命がけで亡命したキューバ人ダンサー
キューバから亡命するバレエダンサーは後を立ちませんが、興味深い記事を見つけました。
http://www.azcentral.com/news/articles/2008/06/22/20080622cubans-dancer0622.html
バレエ・アリゾナのHumberto Banderaは、キューバ国立バレエで伸び盛りの24歳のダンサーでした。しかし友人の違法インターネット接続により、西側の世界、そしてキューバ革命について知った彼は、共産主義に幻滅して亡命を決意。まずハイチへ旅行するビザをブラックマーケットで手に入れた後、4000ドルを密入国の手引き屋に払ってドミニカ共和国へと逃れ、それからさらに3000ドルを払って、プエルトリコへと渡る船を手配しました。
しかしこの密入国船での旅は命がけのものでした。7人が定員の釣り用モーターボートに、12人の密入国者と2人の手引き屋が乗っていました。船は水が漏れており、手引き屋は、彼らを海に放り投げると脅したのです。米国の沿岸警備隊の目を掠めながら9時間も船は漂流し、みなが船酔いしていました。そして大きな波が船を襲い、船は岩にぶつかって壊れました。乗客たちは荒れた海を700メートルも泳いで、ようやくプエルトリコの海岸にたどり着いたのです。
プエルトリコに上陸すれば、米国の方針で、キューバ人は亡命を認められます。バンデラはまずマイアミに向かい、それから亡命キューバ人のための定住エージェントを通してアリゾナ州フェニックスに住むことになりました。2ヵ月後にはバレエ・アリゾナの門を叩いてオーディションを受け、元NYCBのスターだった芸術監督イブ・アンデルセンに認められて昨年の5月に入団。早速活躍を見せているとのことです。6月に行われた、シーズン最後のオール・バランシン・プログラムにも出演しました。
このように命の危険まで冒してまでキューバから亡命するダンサーが続出しています。キューバ国立バレエのレベルは高く、他の職業の人より、バレエダンサーはアメリカで職を得やすいということもあるようです。
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