「芸術都市パリの100年展」
久しぶりにお天気が良かったので、上野の東京都美術館で開催中の「芸術都市パリの100年展 ルノワール、セザンヌ、ユトリロの生きた街 1830-1930年」に行って来た。
今年2008年は日仏修好条約が締結されて150周年にあたるとのこと。それを記念し開催されている展覧会。「パリをテーマとした近代フランス約100年の優れた油彩画、彫刻、素描、版画、写真など約150点」が展示されている。
貸し出しに協力してくれた美術館は
ルーヴル美術館
オルセー美術館
ポンピドゥーセンター
カルナヴァレ美術館
マルモッタン美術館
ロダン美術館
プティ・パレ美術館
パリ市近代美術館
ヴィクトル・ユゴー美術館
ギュスターヴ・モロー美術館
ブールデル美術館
フランス国立図書館
マイヨール美術館 など
で、最近日本国内ではあまり美術展に行っていない私が(何しろ、日本で観ると混んでいることが多いもので)この展覧会に行ったかというと、大好きなギュスターヴ・モローの「レダ」が展示されているから。
ギュスターヴ・モロー
「レダ」
制作年不詳 ギュスターヴ・モロー美術館
©Photo RMN-©Christian Jean/ distributed by DNPAC
この絵が収蔵されているギュスターヴ・モロー美術館は、パリの中でも特別にお気に入りの場所で、何時間いても飽きないほど。モローが住んでいた家をそのまま美術館にしたもので、壁面いっぱいに彼の作品が飾られている。神秘と夢幻の世界へと連れ去ってくれるところなのだ。ほの暗い光の中で白く横たわるレダと、エロティックに首を曲げた白鳥。このほかにも、ものすごい目の力を湛えた「デライラ」などモローの作品は5点展示されていて、これらを観られただけで、もう幸せ~。今月末にパリに行く時には、また絶対に行かなくちゃ!と誓ったのだった。
1.パリ、古きものと新しきものー理想の都市づくり
2.パリの市民生活の哀歓
3.パリジャンとパリジェンヌー男と女のドラマ1
4.パリジャンとパリジェンヌー男と女のドラマ2
5.パリから見た田園へのあこがれ
ルノワールやユトリロの作品など、絵画もいろいろと面白いのがあったのだけど、市民生活を可笑しく風刺的に描いた風刺画、それからエッフェル塔が建設される最中の写真なども面白かった。3.のパリジャンとパリジェンヌー男と女のドラマ1では、ヴィクトル・ユゴーにスポットを当てていた。ユゴー自身が、画家としての才能も持っていて、彼による作品も展示されていた。それと、「ノートルダム・ド・パリ」の物語を絵画にしたものも数点あり、動きやドラマが感じられて面白かった。
もうひとつ面白かったのが、シュザンヌ・ヴァラドン。ユトリロの母としても知られる女性画家なんだけど、自画像を見ても、強烈な人物だったのがよくわかる。28歳の時の息子の肖像を描いているんだけど、これが実の息子を見る視点か!と驚かされること間違いなし。私生児であった彼女は、18歳の時にユトリロを産んでいて、ユトリロの父親は誰なのかはわからないという。そして、エリック・サティの肖像画もあるのだけど、サティは彼女の恋人だったそう。正規の教育を受けていないにもかかわらず、芸術家に囲まれて暮らしていたため、かなりインパクトがある作品を残している。
1.パリ、古きものと新しきものー理想の都市づくり、では、ポール・シニャックの「ポン・デ・ザール」など、セーヌ川にかかる数多くの橋の絵画があり、橋そしてセーヌを囲んだ人々の日常生活が見えてくるのがまた興味深い。
有名な画家の絵も、有名な作品もあったり、パリに行かないと観られないような作品も多い割には、比較的空いていてゆっくり観られる。エッフェル塔の大きな模型の下には、パリの美術館マップもあるので、これからパリに出かける人の予習にもうってつけで、お勧めの展覧会。
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コメント
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うわー、素晴らしいレビューですね。
naomiさんはモローがお好きなんですね。私は、素朴派のルソーやボーシャンがお気に入りでした。
でもヴァラドンに目をつけるなんて、さすが。それにふつうパリに行かなければ見られない作品が多々あることに気づかれるとは。私はかなり年季の入った美術ファンの方に教えてもらいました。
入りは今ひとつみたいだけど、「通」な方にはなかなか見所の多い展覧会のようです。
投稿: ogawama | 2008/06/02 23:22
ogawamaさん、こんばんは。このネタはきっとogawamaさんが反応してくださると思いましたよ。実はその後、六本木でターナー賞展にも行ってきたので、後で書こうと思っています。
私はモローは一番好きといってもいいくらいなんですが、ルソーも良かったですよね。ちなみに、美術はさほど詳しいわけではありません。子供の時にロンドンにいたので、親に連れられていろいろと観ましたが、子供の時と絵の見方があまり変わっていないと思います(笑)
ogawamaさんのように詳しい方に教えていただかなくてはなりません!
投稿: naomi | 2008/06/03 23:09