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2008/05/06

K-Ballet Company ベートーヴェン第九(WOWOW)

Kバレエ・カンパニー 「ベートーヴェン 第九」(WOWOW放映)

【振付・演出】熊川哲也
【出演】Kバレエカンパニー
【指揮】井田勝大
【演奏】シアターオーケストラトーキョー
【合唱】藤原歌劇団合唱部
【独唱】野田ヒロ子(ソプラノ)
    森山京子(メゾ・ソプラノ)
    中鉢聡(テノール)
    久保田真澄(バス)
【美術・衣装】ヨランダ・ソナベント
【照明】足立 恒

お高いお値段にびびって観に行かなかった公演がWOWOWで放送されるというので、観た。うちは家人がボクシング好きで、「エキサイトマッチ」というボクシング番組を見るためだけに(映画も見るけど)契約しているようなものなのだけど、たまにバレエをやってくれるのが嬉しい。

そもそもバレエにしても、物語があるものが好きなので、シンフォニック・バレエというジャンルそのものが得意ではないのでどうしたものか、と思いながら観てみた。意外と面白かった。基本的にほぼクラシックバレエのテクニックや舞踊言語を使った振付なので、目新しさ、斬新さというのはかけらもなかったけど、熊川氏はベートーヴェンの第九交響曲という名曲を、わかりやすく巧みにバレエ化したと思う。

実際に舞台を観た人の話では、オーケストラの音が弱かったとのことだけど、テレビで見てもそれは感じられた。オーケストラが舞台後方に配置されていることもあるのだろう。音楽を中心に作った作品だから、音楽は重視して欲しいと思う。歌手の歌はよく響いていると思ったし、独唱も素晴らしかった。

<第1楽章> 大地の叫び
真っ赤な照明の中、男性ダンサーたちが混沌とした中にもパワフルな踊りを繰り広げる。中心の清水健太さんの踊りは力強く鋭さがあり、存在感がある。しかし、照明が暗い上に真っ赤一色で塗りつぶされているので、テレビの画面で観ると非常に見づらい。WOWOWはハイビジョンで観ているというのに、暗すぎてぼやけ、くっきりと見えないのだ。一人一人の踊りはよく踊れていると思うのに、暗い中でうごめいている感じで残念。照明プランを練り直して欲しいと思った。

<第2楽章> 海からの創世
海をイメージした青いユニタードの女性ダンサーたちが踊る。頭にはターバンを巻いている。第一楽章~第三楽章まで、ダンサーたちはターバンを巻いているのだけど、頭が大きく見えてしまっているので微妙な感じ。ユニタードの、手描きっぽいグラデーションのブルーは非常にきれい。上から青いオブジェがぶら下がっている。この楽章が一番振付が音楽的に優れていると感じた。東野泰子さん、松岡梨絵さんを中心とした女性ダンサーたちも、みな音楽性が豊かで、音と戯れるように踊っていて目に快い。K-Balletの女性ダンサーのレベルはかなり高いと感じられた。

<第3楽章> 生命の誕生
照明が一気に明るくなり、白いユニタードに、今度は植物をイメージしたグリーンの模様が手描きされている衣装。天井から下がっているオブジェは、緑のツタのようで、ピンクの花がついていてなかなか美しい。今回、舞台装置はシンプルながらもとても美しくてセンスが良いと感じられた。最初一組の男女が登場し、それがやがて3組になる。浅川紫織さんのソロもあるけど、パ・ド・ドゥが中心。振付的には、古典バレエをやっているカンパニーがよくコンテンポラリー風味の創作を上演するけど、そんな感じ。このパートは音楽が美しいけど静かで緩やかなのだけど、その音楽の美しさを生かしきれない平凡な振付。やや退屈というか物足りない。浅川さんの踊りはとても繊細でよかったと思う。

<第4楽章> 母なる星
大勢のコール・ドのダンサーたちが登場し、その中で、対立する人間の比喩として、二人の男性ダンサー(宮尾俊太郎、遅沢佑介)が戦いを繰り広げるかのように、跳躍をたくさん交えて踊る。遅沢さんも宮尾さんも身長が高くプロポーションが良いので、ここはダイナミックで映えるシーン。遅沢さんがうまいのはわかっていたんだけど、宮尾さんも意外と健闘しており、シンクロするように二人がアントルラッセしたり、2番に降りるトゥール・ザン・レールをするところがぴったり揃っている。そしてバスの独唱が始まり、神の象徴として、熊川さんが高速シェネをしながら登場。非常に強靭で、強烈な存在感。跳躍はそれほど多くはないけれど、鋭く突き刺さるかのよう。カブリオールも見事なもの。なにより、一挙一動に威厳がある。スターというのはこういうものかと改めて実感する。生命の誕生の象徴として子供が登場するのはちょっと陳腐だけど、これくらいのベタさがあってもいいのかなという気もする。人間の営みの象徴として、輪島さんと荒井さん、清水さんと東野さんという二組のカップルが登場して、パ・ド・ドゥ。ラストは群舞で盛り上がる中、グランピルエットをする熊川さん。曲が終わると暗転して星空が広がる。

舞台の前に放送された10分ほどのインタビューで、熊川さんはしきりに、未来へつなげていきたい、次の世代への橋渡しをしたいと語っていたけど、その気持ちを体現した作品になっていたと思う。一から創作するのは今回初めてとのことだけど、振付家の才能は持っているのではないかと感じた。

残念なのは、テレビ用ということでカメラの台数をずいぶんたくさん使っていたのだと思うのだけど、カットの切り替えが非常に多くて、踊りがぶつ切りになっており、全体で何が起こっているのかわからないことがあったり、ライブ感が損なわれているところが多かったこと。ラストの熊川さんのグランピルエットも、途中で上半身しか映っていないことがあった。シンフォニックバレエという特質上、全体をもっと捉えないと、作品そのものの全容がわかりにくい。

それから、最後のクレジットが全部英語になっており、また楽章ごとのソリストの名前が出ていなくて、出演者の名前をカンパニー内の位別に並べてあるのが不親切に感じられた。おそらくはこのままDVD化するのでしょうけど、せめて、楽章ごとのソリストの名前を別に明記して欲しいと思った。

でも、この作品は面白かったと思うし、再演される機会があれば生の舞台で観てみたいと思った。

6/5追記:8月6日にDVDが発売されます。

熊川哲也 ベートーヴェン 第九熊川哲也 ベートーヴェン 第九
Kバレエカンパニー ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 熊川哲也

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バレエのTV番組」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。
私もWOWWOWの放映を観ました。
作品として面白いと思いましたが、映像作品として周辺の完成度は
低かったと思います。
劇場のせいといえばそれまでですが、オケの配置に問題ありましたね。
それと仰るとおり一幕の照明はなんとかしないと。
赤は映像的には一番厳しい色ですから。
なによりもイラついたのは、カメラのカット割りです。
1~2秒ごとに切り替えられたんじゃ落ち着いて観ることができません。
クラシックで左右均等の振りをしているのをそれぞれ切り替えて
向いた方から撮られたのでは・・・
スタッフはロックのコンサートと間違えてるんじゃ。
舞踏には舞踏の捉え方があると思うのですが。
やっぱりこのままDVDでしょうか。
作品が良かっただけに辛口ですみません。


映像は残念ながら(WOWOWを契約していないので)見ることが出来ませんでしたが、やはり実際その場で観ていても後ろの席で全体を観た方がワクワクしたくらいですから、ズーム&カット多用とあってはなかなか見づらかったのではないかと思います。

また、仰るようにオケの薄さがどうしても気になってしまい、総合点で辛口になってしまうのはしょうがないと思います。

この「第九」は単純明快で非常にわかりやすい、万人向きの作品でしたね。小難しく考える必要もないので、多少単純で物足りないところもあるかもしれませんが、これはこれでいいのではないかと思います。私も同じく、熊川さんは振付家としても面白い才能をお持ちだなぁ、とつくづく思います。

でも、、、、これがDVDになるのかと思うとちょっと購入をためらっちゃいますね(笑)。

こんばんは。
私はこの舞台を生で見たのですが、なぜか全然乗れなかったのですよ。確かに女性陣は皆さんスタイルも良くレベルも高いと思いましたし、熊川さんのオーラはすごかったんですけどね。。。舞台の印象があまりにもパンフレットに書かれているテーマのまんまで、それ以上の驚きがなかったせいかも知れません。1~3楽章は衣装(主にターバン)が気に入らなかったし、第4楽章はテッちゃんがいないと「合唱が主役?」って感じでした。熊川さんが出演しなかったらどういうオチになっていたんでしょうか?とっても疑問です。

Fさん、こんばんは。
おっしゃるとおり、内容は良かったと思うのですが、映像作品としては完成度が低いですよね。ホント、ロックのコンサートを撮影しているんじゃないんだからって思いました。バレエの映像に関しては、やっぱりNHKが慣れているだけに上手なんじゃないかなというか、これからは放送は別の曲でも、撮影はNHKのスタッフにやって欲しいと思いましたよ。ホント、あの赤はきつかったですね。最初、あれを見て、見るのをやめようかと思ったほどで。
Fさんご贔屓の浅川さんはキレイでしたね。

yolさん、こんばんは。
残念ながら生の舞台を観にいけなかった私は、yolさんのレポートを楽しく読ませていただきました。
一からここまでの作品を作ったのはたいしたものだと思います。新しいところはないけれども、万人にわかりやすく、楽しめるように作ったのはさすがですよね。特に4幕はエンターテインメントになっていたし。
このままDVDになっちゃうんでしょうかね~。良い舞台だけにもったいないです。

peluさん、こんばんは。
たしかに、振付は、各楽章ごとのテーマそのままで、わかりやすいけど単純化しすぎて深みはなかったかもしれませんね。驚きというのは確かになかったですし。
それと、4幕の熊川さん登場シーンは、彼のようにカリスマ性のあるスターが演じたからこそのインパクトだったような気がします。というか、彼ありきの作品って感じですよね。
あとは、私は生で見ていないのでなんとも言えませんが、音楽の響き方が配置や会場の問題でよくなかったこともあったかもしれませんね。
熊川さんも、これから振付家としても閑雅って欲しいと思います。少なくとも、某国立バレエ団の芸術監督よりは才能はあると思うので。

再びこんばんは。
そういえば、第九を見ながらKバレエの旗揚げ公演を思い出してましたね。あの公演もとってもわかり易かったので(笑)。席は1階最後列の端っこだったのですが、音に関して言えば1~3楽章は非常に寂しかったです。第4楽章は合唱に負けないように頑張ってたような気もしますけど。視覚的にも指揮者の上半身が目立ってしまって(もしかしてジャケットが白でした?)、オケを舞台の上に乗せた意味があるのかなと。。。

話は変わりますが、今日のYahoo!ニュースに”グルジアと露「戦争状態近づく」 ”とありました。心配ですね。

peluさん、こんばんは。
K-Balletの旗揚げ公演にいかれたのですね。私はその頃は一時的にバレエを見ていなかったんです。熊川さんは、バレエの裾野を広げようと努力している方なので、分かりやすい作品を作られるんでしょうね。
テレビで見た感じでも、指揮者の上半身は目立っていたと思います。白っぽかったですね。
そうそう、グルジアに関しては非常に心配です。ニーナの名前もボリショイから消えているし、ダンサーの皆さんも大丈夫なのでしょうか…。

またまたこんばんは。
バレエの裾野を広げるにはまずチケット代を下げていただかないと。。。(^^;
私は熊川さんの「日本にバレエダンサーを職業として定着させたい」という志を応援したいので、チケット代が高くても時々は鑑賞しているのですけどね。

昨日のコメントを送信したあとも、第九で感じた違和感についてずっと考えていたのですが、”音楽に合わせてあるテーマを踊りで表現する”→体育の授業でやらされた創作ダンスみたいだったなあ、と思ってしまったのですよ(特に1、2楽章)。もちろん熊川さんの振り付けはもっと高度で完成度が高いのですけど、プロの振付家としてはそこからもう一歩踏み込んで欲しかったなと。あと、第3楽章は衣装のせいでライオンキングの中のパ・ド・ドゥを思い出してしまいました(踊りはずっと素晴らしかったです)。
生意気言ってすみません。

peluさん、こんばんは。
確かにK-Balletはチケット代がお高いです。私も、実は今まで3回しか観に行っていません、高いので。しかも、そのうち熊川さんが出演したのは1回だけ・・。
でも、彼の志は素晴らしいと思います。誰でも楽しめる、エンターテインメント性に優れていて、衣装や装置も素晴らしい、キャラクターアーティストも重視するバレエで、ノルマなし、ギャラもちゃんと払っているという。

体育の授業の創作ダンス、そういえば私もやりました。実は大学の体育は、ひとつの種目を選択するというものでしたが、ダンスを選択したのでやりましたよ。たしかに第一楽章はちょっとそれっぽかもしれませんね。ライオンキングは私は見ていないんですけど。日本のミュージカルが結構苦手で、ほとんど観ていないんです。ブロードウェイとかウエストエンドでは観ていますが。(ってライオンキングもブロードウェイミュージカルですが)

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