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2008/05/22

5/21新国立劇場「ラ・バヤデール」短評

今日は新国立劇場で寺島ひろみさんと中村誠さん主演の「ラ・バヤデール」を観に行きました。

とても良い公演で、主役の二人はとても素晴らしかったです。寺島ひろみさんのニキヤはとても魂がこもっていて、ニキヤの花篭の踊りは観ている側も思わず涙してしまうほどの美しく、身を切られるような悲痛さと情熱がこめられた舞でした。ひろみさん、本当に涙を流しながら、丁寧に、心を込めて踊っていました。ガムザッティを指差し、「あなたがやったのね!」というときには、心からの痛ましい叫びが聞こえてきました。3幕の影の王国では、霊魂のようにスピリチュアルな存在として、生命感を見事に消していました。ヴェールの踊りで少しぐらつくところはありましたが、役作りの見事さ、しなやかさと儚さ、全体への溶け込む感じ、ひろみさんならではの確固たるニキヤ像を作り上げて素晴らしかったです。

中村さんのソロルは初役ということで、ちょっと親のような心境で見守っていたんですが、持ち前の伸びやかでしなやかな肢体を生かしており、古典の主役ダンサーとしての力を発揮。勇ましい戦士というよりは清潔感のある王子でしたが、優柔不断で優しすぎるゆえの悲劇を体現した演技も細やかな心境を物語り、心を打ちました。ニキヤの舞をとても見ていられないほどの罪悪感の塊となって、まるで針の筵の上にいるようなソロルの姿にも、心を引き裂かれそうでした。3幕でも、中村さんのソロルは罪を心から悔いていて、後悔してもし切れない想いを漂わせていました。それだけに、最後まで許されないという幕切れは悲劇的です。

彼は背中の柔軟性がすごくて、指先やつま先までのラインがとても美しいです。ジュッテ・アントルラッセの後ろ脚の上がり方もとても高い!これでサポートがさらにうまくなれば(もちろんサポートも下手ではないと思いますが)完璧です。来シーズンから登録ダンサーになってしまうのが惜しいですが、山本さんに次ぐ新国立2本目の柱といえる実力を証明しました。

また、真忠久美子さんの、華やかで高慢でかなり怖いガムザッティの演技も真に迫っており、女二人の対決は大変な迫力でした。真忠さんは、イタリアンフェッテが不安定だったり、グランフェッテを省略するなどテクニックは弱いのですが、ガムザッティというお嬢様的な雰囲気を出すのには適任です。2幕の婚約式で、ソロルの隣で、大きな目で冷ややかにニキヤを見つめ、見せ付けるかのようにソロルに手へのキスを強要するときの艶やかで傲慢な笑みにはぞくりとしたし、ニキヤに指差されていても平然と、堂々としてるさまには、恐れ入りました。

いうまでもなく、影の王国のコール・ドも揃っており、幽玄な世界に浸ることができました。2階の正面、センターから見られたので、32人の粒ぞろいのコール・ドは圧巻。影の王国の先頭を踊った小野絢子さん、歌うような動きが綺麗です。地上に降りてからアラベスクするときに後方でちょっとぐらついていた人がいましたが、研修所の五期生も参加していたので、そのへんだったのでしょうか?八幡顕光さんのマグダヴェーヤのテンションの高さも良かったです。バリノフくんの黄金の仏像も、空中でぴたりときれいに止まったり、脚がきれいに伸びた状態でのアンレールなど、とても仏像っぽくて良い出来。

太鼓&インドの踊りがないのは残念ですが、割り切れなさを残すエンディングが独特で、面白い解釈の牧版ラ・バヤデールでした。

とにかく、ひろみさんも中村さんも、新国立の中でも特に高い素質と才能のあるダンサーなので、もっともっと主役を踊る機会を増やして欲しいと思います。全体的に、一体感があってクオリティの高い公演でした。次は日曜日に本島美和さんとマイレン・トレウバエフ主演の「ラ・バヤデール」を観ます。

振付 マリウス・プティパ
改訂振付・演出 牧阿佐美
作曲 レオン・ミンクス
編曲 ジョン・ランチベリー
指揮 アレクセイ・バクラン
舞台美術・衣装・照明 アリステア・リヴィングストン


ニキヤ 寺島ひろみ
ソロル 中村誠
ガムザッティ 真忠久美子
ハイ・ブラーミン ゲンナーディ・イリイン
マグダヴェヤ 八幡顕光
黄金の神像 グリゴリー・パリノフ
トロラグヴァ 市川透
ラジャー 森田健太郎
ジャンペの踊り 楠元郁子・堀口純
つぼの踊り 湯川麻美子
パ・ダクション 川村真樹・寺島まゆみ
ブルー・チュチュ 丸尾孝子・堀口純
ピンク・チュチュ 遠藤睦子・さいとう美帆・大和雅美・井倉真未
アダジオ 陳秀介・冨川祐樹
第1ヴァリエーション 丸尾孝子
第2ヴァリエーション 寺島まゆみ
第3ヴァリエーション さいとう美帆

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

こんばんわ。
レポありがとうございます。
ボリショイで刷り込まれちまいましたから、太鼓の踊りは
バヤデールのたびに観たくなります。


>独特で、面白い解釈の牧版ラ・バヤデールでした。

ウチも日曜日行きますので楽しみです。
ロイヤル貧乏で 3 階席ですが(笑)
F 嫁はマイレンのソロルを楽しみにしているようです。
私はニキヤ、ソロル、ガムザッティ 3 者のバランスがとれていると
いいなぁと思ってます。
naomiさんはどのあたりですか?また幕間にでもお会いしましょう!!


Fさん、こんばんは。
ボリショイの「ラ・バヤデール」素晴らしかったですよね~!あの土迫力の太鼓の踊りは楽しかったですし、つぼのアンナ・レベツカヤちゃんも可愛かったですよね。

日曜日、行かれるのですね~!奥様もマイレン好きとは、良い趣味だわ♪新国立の3階席は私も良く座ります。ぜひ幕間にお会いしたいですね。私はこの日ばかりは1階の前の方にいます。

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