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2008/04/21

「隠居宣言」 横尾忠則 著

美術家の横尾忠則といえば、大胆かつエネルギッシュな作風で楽しませてもらっていたのだけど、このたび「隠居宣言」という本を出したのだ。隠居っていうから引退するのかな?と思ってこの本を読んだら、さにあらず。70歳を迎えた今、隠居として、自分の好きなことだけをやって、肩の力を抜いた生き方をするということ。横尾さんがもう70歳だというのもびっくりなんだけど、グラフィックアートの仕事はもう受けないで生活の規模を縮小し、好きな絵を描いたり、好きな文章を書いたり、写真を撮って暮らしていくということ。落語に出てくる長屋のご隠居さんみたいなイメージで生活していくということだ。

あくせく暮らしている身からすると、なんとも羨ましい話だけど、まだ隠居するような年齢ではない読者にとっても生きているヒントのようなものがちりばめられていて、楽しい本になっている。そして、子供時代の話から健康法、死の準備まで、飄々とした語り口の中に考えさせられる話が満載だ。

三島由紀夫との思い出話が興味深い。彼と初めて会ったときの、礼節について教えられたエピソードは特に面白い。横尾さんにとっては三島との出会いが人生で一番大きな出来事であり、三島が亡くなった後もずっと続いている感じがするということだ。いろいろなエピソードが出てくるけど、三島由紀夫って人は基本的にお茶目でチャーミング、誰にでも愛されるような人だったみたい。

それから、モーリス・ベジャールとの思い出話もある。横尾さんはベジャールの「デュオニソス」という作品の舞台美術を依頼されていて、打ち合わせをして絵を描いたところ、その絵からさらに発想が広がって前の絵が必要ではなくなり、7景描く予定が20何枚描かされてもなかなか決まらなかったとのこと。そして「春の祭典」を一緒に鑑賞しながら、ベジャール、ドン、ヴェルサーチとミーティングをした話。突然ミラノからベルギーまで来てくれと日帰りで向かったり大変だったようだけど、エキサイティングだったこと。ベジャールも、ドンも、ヴェルサーチも亡くなり、いまや証言者は横尾さんだけになってしまったというのが切ない。

編集部が作った質問に対して横尾さんが答え、さらに後日横尾さんによる補足があるという形式。とても読みやすくて、何度となく読み返してしまう。同じような優雅な隠居生活はできなくても、このような生き方を手本にしたいなって思う。南伸坊さんによるイラストも飄々としていてかわいい。

「隠居宣言」をした横尾さんだけど、実際には活発に活動をしていて、「冒険王・横尾忠則」という回顧展が世田谷美術館で2008年4月19日(土) -6月15日(日)の会期で開催されています。見に行きたいなあ。
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html

期間中には、荒俣宏さんや中条省平さんらとのトークショーなども予定されています。サイトに載っている作品などを見ても、めちゃめちゃ面白そうです。

それから、横尾さんにはブログというか日記もあって、横尾さんの隠居の日常が伺えるのもとっても面白い。畑から観ると忙しそうに見えるけど、本人はいたってのんびりしているようだ。
http://www.tadanoriyokoo.com/vision/index.htm

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コメント

まあ、アートネタですね、素晴らしい!
私は世田谷美術館行くつもりです。
パワーをもらいに。

ogawamaさん、こんばんは。
きっとogawamaさんなら反応してくださるって思いました!
この本は友達に教えてもらったのですが、予想以上に面白かったです。のんびりとした隠居生活をしながらも、いろいろと活動的であることができる横尾さんって凄いって思いました。
展覧会の方も楽しみです!世田谷美術館ってすごく環境が良くて好きです。

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