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2008年4月

2008/04/30

ダンスマガジン6月号/ジリアン・マーフィ

ダンスマガジンの6月号は、前の号での予告を見たときには買わなくてもいいやと思っていたのですが、チャコットで立ち読みしたときに、ワガノワバレエアカデミーの特集で寺島ひろみさんとマイレン・トレウバエフの対談が載っていたので買ってしまいました(笑)。

ワガノワ・バレエ・アカデミー特集では、来日公演ハイライトとして、現在活躍しているダンサーたちの若い頃の写真が見られたのが楽しかったです。ヴィシニョーワも今の妖艶さとは違った可愛らしさですよね。練習中のエフセーエワやシクリャーロフも、とっても幼くて、今の姿が想像できないほどです。今お金がなくてチケットを買っていないのですが、これから発売になるティアラこうとうでの公演チケットを買おうかな、と考え中です。

あとはピナ・バウシュ公演の、瀬戸秀美さんによる写真がとても素敵でした。「パレルモ、パレルモ」でのトランスセクシャルっぽい妖しいおじさんの写真、色っぽいです。H・アール・カオスの公演については、文章は良いのですが後ろの方の1ページで、写真もあまり使われていないのが残念。

いつも楽しみなアーツエクスプレスでは、ニーナ・アナニアシヴィリ率いるグルジア国立バレエのブルックリン公演と、エッセンでのノイマイヤーを讃えるガラの紹介をしてくれていて嬉しかったです。それから、オペラ座等で教えているバレエ教師ヤニック・ボカンとの編集長対談が面白かったですね。ルグリと同級生だった彼は優秀な生徒だったのに、身長が伸びないと判断されてパリ・オペラ座学校を15歳で放り出されちゃったのですが、その後の人生について、それがかえって幸いしたという話です。

というわけで、カラーの公演レポートよりも、モノクロの読み物が充実していたと思った号でした。

******
朝日新聞のサイト「どらく」の「ひとインタビュー」で、ABTジリアン・マーフィのインタビューが掲載されています。

http://doraku.asahi.com/

写真がとってもきれいですね~。ジリアンって目が大きくパッチリしていて、色が白くて本当にお人形さんのように可愛いというか綺麗です。入団して2日後には舞台に立っていたとか、急に主役が回ってきたときにすぐに踊れたとか、チャンスが回ってきたとき、それをつかむことができるために普段から切磋琢磨してきたというのがさすがですが、ABTの団員なら誰でもしていることなのだそうです。恋愛も余暇も私の人生と言い切っているのが等身大でいいですね。イーサン・スティーフェルとのお付き合いはもう10年にもなるそうです。ファミリーを持ちたいと言っていますがどうなるんでしょうか。ABTの来日公演では、「白鳥の湖」は彼女の出演日も観る予定です。「海賊」も観たいんだけど今お金がなくて買えないのです。

追記:イープラスのサイトに、ジリアンのメッセージ映像がアップされています。
http://mv-theatrix.eplus2.jp/article/95287694.html


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2008/04/28

シュツットガルト・バレエの来日スケジュール

NBSニュースの4月号と5月号がまとめて送られてきて、シュツットガルト・バレエの来日公演の日程が発表されていました。

会場:東京文化会館

「眠れる森の美女」 マリシア・ハイデ振付
11月23日(日)マチネ ソワレ
11月24日(月・祝)

「オネーギン」ジョン・クランコ振付
11月28日(金)
11月29日(土)
11月30日(日)

キャスト、開演時間等はまだこれから発表とのことです。NBSニュースの写真では、「眠れる森の美女」のカラボスを、イヴァン・ジル・オルテガが演じていて、とても妖しくて素敵です。 彼は一時移籍したようですが、先日のYAGPガラの出演者発表では「シュツットガルト・バレエ」と書いてあったので復帰したのかしら?(結局YAGPガラには出演しなかったようですが)。この版では、カラボスの存在がキーポイントとなっているそうですね。カラボスの衣装は、歌舞伎の女形にヒントを得たそうです。
「眠れる森の美女」は舞台美術を、ハンブルク・バレエの「幻想 白鳥の湖のように」や「椿姫」でも美しい美術を作り上げたユルゲン・ローゼによるものだというのも楽しみです。

「オネーギン」は、前回の公演ではマニュエル・ルグリが客演しましたが、今回はゲストなしなのでしょうか?今回はシュツットガルト・バレエ団のオリジナルキャストで見てみたいですよね。

追記:ボリショイ来日や新国立の「アラジン」と重なっていないと思ってほっとしていたら、ナチョ・ドゥアトの「ロミオとジュリエット」が11月22日~24日にさいたま芸術劇場で上演されるのですね。この時期も忙しそうです。

*****
ちなみに、シュツットガルト・バレエは4月24日初日で、ジョン・ノイマイヤーの「オテロ」を上演しています。写真と批評が掲載されています。オテロ役はジェイソン・レイリー。

http://www.danceviewtimes.com/2008/04/back-to-its-afr.html

*****
余談です。
昨日、渋谷のチャコットに行ったら、VHSのクリアランスセールになっていて、かなり多くのVHSが2割引になっていました。中には、ニコラ・ル=リッシュの「飛翔する魂」やロイヤル・バレエの「三人姉妹」のようにDVD化されていない映像もありましたので、持っていない人にはお得だと思います。

ローザンヌ国際バレエコンクールTV放映と留学先

今日2008年のローザンヌ国際バレエコンクールのTV放映がありました。昼間外出していたおり(映画「ラフマニノフ ある愛の調べ」を見に行っていた)、ご飯を食べて帰宅してから録画を見たので、まだクラシック・ヴァリエーションとコンテンポラリー(ノイマイヤーヴァリエーション)の最初の5人までしか見ていません。なんか今年はテクニックが弱い人が多く、ちょっとレベルが低いような感じです。でも、その中で、やはり女性では高田茜さんが、たおやかで繊細な踊りで素敵でしたね。観客賞も納得です。そして1位のAleix Martinezさんのブルノンヴィルも良かったです。

ノイマイヤー・ヴァリエーションは、めちゃめちゃ面白いですね。これを15歳~18歳に表現させるのはものすごく大変そうですが(特に「ニジンスキー」は本当に痛々しくて観ているのがつらくなるほど。ここまで難しい作品だって、ハンブルク・バレエの舞台を観たときには思わなかった)。続きを見るのが楽しみ(見たら追記します)。
Aleix Martinezさんの「スプリング・アンド・フォール」が、伸びやかな動きと美しいつま先で、圧倒的に素晴らしかったと思いました。フィリピンのMarcelino Libao Jrさんの「ヨンダリング」も柔らかくて、なかなか良かったと思います。

しかし、大原永子さんの解説が非常にうるさかったですね。バレエを見るうえでは勉強になるんだけど、演技の最中に、音楽が聞こえないくらいたくさんしゃべられると先入観みたいなのが植え付けられてしまうし、テレビの映像に集中できません。アナウンサーの話の振り方も良くなかったと思います。これはNHKの問題ではないんですが、映像の方も上半身のみとか、横からの遠いところから映してみたり、ちょっと見づらかったし。この辺は来年から何とかして欲しいですね。

ローザンヌコンクールのサイトに、受賞者の留学先が書いてありました。
http://www.prixdelausanne.org/e/news/news08.php

Aleix Martinez, Spain  Hamburg Ballet School – John Neumeier Hamburg, Germany
Lili Felméry, Hungary  The Royal Ballet School
Dylan Tedaldi, USA  Hamburg Ballet School – John Neumeier
Kyle Davis, USA  The Royal Ballet (研修生)
Akane Takada, Japan   The Royal Ballet (研修生)
Irlan Silva, Brazil   ABT II
Marcella de Paiva, Brazil   San Francisco Ballet School

ハンブルク・バレエ・スクールとロイヤル・バレエ・スクールを選ばれた方が多いですね。ボリショイで学んでいた高田茜さんも、ロイヤル・バレエ・スクールで学ぶようです。は、メールで指摘いただきましたので修正しますが、ロイヤル・バレエの研修生になるようです。(お知らせありがとうございました)


放送を見逃した方は、 ローザンヌ国際バレエコンクールのサイトで動画を観ることができます。再放送も間違いなくあると思いますが。
http://www.prixdelausanne.org/e/multimedia/video08.php

2008/04/27

マリインスキー・バレエNY公演/YAGP上野水香・カレーニョ・ホールバーグ写真

Gene Schiavoneさんが撮影されていたマリインスキー・バレエNY公演の写真ですが、今までパスワードがかかっていたのが解除されて見られるようになりました。「ラ・バヤデール」「パキータ」「ライモンダ」「ショピニアーナ」「薔薇の精」「瀕死の白鳥」「シェヘラザード」「エチュード」「海賊」「ディアナとアクティオン」「ドン・キホーテ」の美しい写真の数々を観ることができます。お楽しみください。

http://www.geneschiavone.com/gallery/v/Principal-Dancers/kirov/

追記:
YAGPガラでは、上野水香さん、ホセ・カレーニョそしてデヴィッド・ホールバーグの「海賊」もアップされています。

http://www.geneschiavone.com/gallery/v/Principal-Dancers/ya/wer/

ロイヤル・バレエ「シルヴィア」DVD

ロイヤル・バレエの来日公演について文句を書いてしまったけど、その前にもう一度復習しなくちゃ、とDVDを観直すことにした。BBCで放映されたときの録画は観ていたんだけど、すっかり忘却のかなたに行っていたので。

振付:フレデリック・アシュトン
再振付:クリストファー・ニュートン
音楽:レオ・ドリーブ
収録:2005年12月 / 117分

シルヴィア:ダーシー・バッセル
アミンタ:ロベルト・ボッレ
オリオン:ティアゴ・ソアレス
エロス:マーティン・ハーヴェイ
ディアナ:マーラ・ガレアッツィ
奴隷たち:蔵健太, Joshua Tuifua
山羊:ホセ・マーティン、アイオナ・ルーツ

詳しいストーリーはNBSの「シルヴィア」サイトへ。

この映像は、なんといっても主演キャストが素晴らしい。ダーシー・バッセルとロベルト・ボッレは見た目のバランスも最高だし、パートナリングも見事なもの。ダーシーが思い切った後方へのフィッシュダイヴができるのも、ロベルトのサポートがあってこそ。ダーシーの魅力が全開となっている映像で、1幕の強さ、凛々しさ、そして2幕で見せた勇気、そして3幕の気品と女らしさ、恋する女性の可愛らしさを生き生きと表現している。1幕はとにかくグランドジュッテが多くてものすごく体力が必要だと思うのだけど、とても30代後半とは思えない大きくてきれいな跳躍を見せてくれている。3幕のヴァリエーションでの、アシュトンの難しい脚捌きを、音と戯れるように軽やかに踊っていて素敵。ロベルトのほうも、長身を生かしたダイナミックな踊り、女性をより美しく見せるサポートと安定感、加えて素脚を出した衣装の似合うこと。倒れている姿すら美しい古典的な美貌とロマンティックさ。というわけで、長身美男美女の麗しさに思わずうっとり。

オリオン役ティアゴ・ソアレスの悪~い感じ、ワイルドさ、そしてパワフルなジュッテやトゥール・ザン・レールは彼の持ち味に合っていて良かったと思う。同じくらい重要な役割なのが、エロスで、マーティン・ハーヴェイが好演していた。彼は太ももがすごく太いので、脚を出しているとちょっとひえ~と思うけど、愛の神らしい魅力があるし、テクニックも達者。1幕ではずっと彫像として身動きが取れないので大変な役だ。来日公演でも彼が踊ってくれるのかしら?山羊役のホセ・マルティンは、なかなかすごいテクニシャンで、軽やかできれいな跳躍の上、動物っぽさも上手く出していた。クレジットには出ていなかったけど、3幕では、結構目立つところでルパート・ペネファーザーが踊っている。ソリストたちもそれぞれ良くて、ロイヤル・バレエはちゃんと実力のあるカンパニーなのがわかる。

この映像には、映像特典としてリハーサル風景やインタビューがついているのだけど、その中で再振付を担当したクリストファー・ニュートンによると、アシュトンは当初この作品を気に入らず、初演して数年後にはもう踊られなくなったとのこと。彼の晩年になって、再演するということで彼が亡くなった後に再振付されたそうだ。一度は踊られなくなったのもちょっと判るような気がしてしまう。2幕のオリオンの島の洞窟のところが中だるみしてしまうのだ。3幕のグラン・パ・ド・ドゥは、ピーター・ファーマーによる美術も美しく、華やかで素敵なんだけど、シルヴィアのヴァリエーション以外はそんなに印象に残る振付がない。ちょっとしたドラマが最後にあるから、もちろん楽しめるんだけど。それでも、ダーシーとロベルトという、圧倒的にキラキラ感のあるキャストで見ると、美しいし、存分に楽しめる。問題は、自分で輝けるような魅力のない人が踊ったら、あんまり面白くないんじゃないかという不安感を起こさせること。やはり長身で凛とした魅力を持つゼナイダ・ヤノウスキーだったら、その点は問題なかったんでしょうが。

映像特典はとても面白い。この作品が上演されているときのバックステージ、幕が上がる前や休憩時間が挿入されているので、とても臨場感がある。幕の裏でストレッチするダンサーたち、幕が終わって着替えるために息を切らせながら楽屋に入っていくダーシー、そしてカーテンコールの裏などが見られる。その上、リハーサルシーンなどもたくさんあるし、マーゴ・フォンテーンが出演した古い初演の映像も少し観られる。作品のあらすじもダーシーによって解説される。「特典」ではなく、チャプターメニューからでないとこれらの映像は見られないので注意。画質は非常にきれいだし、少なくともダーシーとロベルトのファンだったら、絶対に買いの映像だと思う。お値段も今はけっこうお得になっているし。

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2008/04/26

YAGPコンクールとガラの記事と写真

YAGPで検索して、このサイトに来る方がとても多いので記事を書かなくちゃ、と思っていたのにコンクールの方の結果がなかなか公式サイトに出てこないので、記事が書けませんでした。

<YAGPコンクール>
やっと公式サイトに、コンクールの結果が出ています。
http://www.yagp.org/eng/nyc08.asp

GRAND PRIX AWARD (Best overall in Senior Age Division)

Norbert Lukaszehski, 18 (The John Cranko School at Stuttgart Ballet, GERMANY)

Women (SR)

Gold Medal
Rocio Aranzazú Alemán Benavides, 15 (Escuela Superior de Música y Danza de Monterrey, MEXICO)

Silver Medal
Rin Okuno, 15 (Sawako Murase Ballet Studio, JAPAN)

Bronze Medal
Emily Kadow, 15 (Ellison Ballet - Professional Training Program, USA)

Men (SR)

Award Winner
Gold Medal
Vadim Muntagirov, 17 (The Royal Ballet School, UK)

Silver Medal
Benjamin Ella, 16 (The Royal Ballet School, UK)

Bronze Medal (Tie)
Steven Morse, 17 (Maple Conservatory of Dance, USA)
Bronze Medal (Tie)
Jorge Guilherme Maciel Dos Santos, 18 (Grupo Cadência, BRAZIL)

Junior Age Division
YOUTH GRAND PRIX (Best in overall Junior Age Division)

Derek Dunn, 12 (Edna Lee Dance Studio, USA)

Women (JR)

Gold Medal
Mariana Layun, 13 (Fomento Artistico Cordobes, MEXICO)

Silver Medal
Skylar Paley Brandt, 14 (Jacqueline Kennedy Onassis School at ABT, USA)

Bronze Medal
Saori Otsudo, 12 (Soki Ballet School, JAPAN)

Men (JR)

Gold Medal
Esteban E. Hernandez, 13 (The Rock School for Dance Education, USA)

Silver Medal
Zhang Zhi Yao, 14 (Beijing Dance Academy, PR OF CHINA)

Bronze Medal
Sho Yamada, 13 (Koshiba Hazaki Ballet School. JAPAN)

というわけで、シニア部門の銀賞に奥野凛さんが入ったのをはじめ、ジュニアでも男女一人ずつメダルを獲得して、日本人ダンサーもがんばった結果となります。

*********
<YAGPガラ>
今年のYAGPガラは、前日のマリインスキー・バレエのNY公演の余韻が残るシティセンターで開催。司会(MC)には、なんと「キャバレー」のMC役で有名な俳優のアラン・カミング。彼の司会ぶりも観たかったです。

New York Timesのレビュー
http://www.nytimes.com/2008/04/23/arts/dance/23star.html?_r=1&scp=1&sq=Youth+America+Grand+Prix+&st=nyt&oref=slogin

New York Sunのレビュー
http://www2.nysun.com/article/75234

下の記事で、ロベルト・ボッレはガラでは必ずパンツ一丁になるって書いてあったのがちょっと笑えました。ロベルトは2週間前に捻挫でスカラ座の「白鳥の湖」をキャンセルしており、「カルメン」の冒頭のスタイリッシュなソロを踊らなかったようですね。グレタ・ホジキンソンと「小さな死」、ポリーナ・セミオノワと「カルメン」を踊りました。今回NYへのお目見えが初めてというポリーナの「カルメン」は演目の選択ミスだったようで、あまり彼女に合っていなかった模様です。しかも、ラストシーンで早く照明が落ちてしまうというアクシデントもあったようです。この二人で「白鳥の湖」の3幕とか踊ったほうが良かったのかもしれませんね。ただ、その美しい容姿とテクニックは確実に観客をひきつけたようですが。ロビーの「小さな死」も素敵だったようで観たかったです。

ボリショイの飛ぶ鳥を落とす二人、イワン・ワシリエフとナタリア・オシポワの「パリの炎」で見せたテクニック合戦が、観客にも批評家にも大絶賛だったようです。観客は、コンクール関係者の子供が多く、客席は悲鳴と大歓声に包まれたとか。NYTの写真もこの二人。また、MOMIXのNicole LoizidesとSteven Marshallがスキー板を履いて踊った演目が楽しくて観客に大うけだったようですね。 マルセロ・ゴメスの振付作品“Tacacá” が、ABTのブレイン・ホーヴェンとサラワニー・タナタジットによって初演され、なかなか面白い作品だったようです。

上野水香さんが、ホセ・カレーニョのアリ、デヴィッド・ホールバーグのコンラッドと踊った「海賊」のパ・ド・トロワは、トリだったけど記事や感想にはあまり大きく取り上げられませんでした。香港バレエ団のダンサーが「グラン・パ・クラシック」を踊ったのですが、彼らと印象がかぶったようです。正確で丁寧に踊っていたようなのですが。

多分新聞記事よりも、実際にご覧になった人の感想のほうが面白いと思うので、ご紹介します。

amicaさんの「ロベルト・ボッレのバレエな日々」
http://robertobolle.at.webry.info/200804/article_1.html

それから、おなじみGene Schiavoneさんのサイトに、ワシリエフ&オシポワ、ウィールダンのカンパニーの二人、そしてABTのゴメス作品を踊った二人のギャラリーがアップされています。残りの出演者の写真も見たいですね。
(追記:今見たら、香港バレエ団のJin Yao & Huang Zhenによる「グラン・パ・クラシック」の写真が追加されていたので、後でもっと増えるかしら?)
http://www.geneschiavone.com/gallery/v/ya/

また、Geneさんのギャラリーに、ロベルト・ボッレのフォトセッションの写真もアップされているのですが、パスワードがかかっていて見ることができません。残念。

ロイヤル・バレエ来日公演「シルヴィア」のキャスト変更

すでに皆様ご存知の情報かと思いますが。

イギリスのメディア等で、ゼナイダ・ヤノウスキーがおめでただと話題になっておりましたが、ようやくロイヤル・バレエの「シルヴィア」のキャスト変更が発表になりました。ゼナイダが降板しシルヴィア役が変更になっただけでなく、オリオン役も玉突きのように変更になってしまいましたね。

http://www.nbs.or.jp/blog/0807_royal/contents/2008/04/post-7.html

7/3(木) 6:30p.m.
シルヴィア: ゼナイダ・ヤノウスキー → マリアネラ・ヌニェス
アミンタ: デヴィッド・マッカテリ
オリオン: ギャリー・エイヴィス → ティアゴ・ソアレス

7/4(金) 6:30p.m.
シルヴィア: マリアネラ・ヌニェス
アミンタ: ルパート・ペネファーザー
オリオン: ヴァチェスラフ・サモドゥーロフ → ティアゴ・ソアレス

7/5(土) 1:00p.m.
シルヴィア: サラ・ラム
アミンタ: フェデリコ・ボネッリ
オリオン: ティアゴ・ソアレス → ヴァチェスラフ・サモドゥーロフ

7/5(土) 6:00p.m.
シルヴィア: ゼナイダ・ヤノウスキー → ローレン・カスバートソン
アミンタ: デヴィッド・マッカテリ
オリオン: ギャリー・エイヴィス

7/6(日) 1:00p.m.
シルヴィア: マリアネラ・ヌニェス
アミンタ: ルパート・ペネファーザー
オリオン: ヴァチェスラフ・サモドゥーロフ → ティアゴ・ソアレス


私は今回、5日のソワレと6日を観る予定だったのですが、シルヴィア役を今まで踊ったことがないはずのカスバートソンが代役なので、気が進みません。カスバートソンは、「シンデレラ」の冬の精で観たくらいで、印象にも残っていないのですが、BBCで放送された「白鳥の湖 マスタークラス」で、ルパート・ペネファーザーとともに、アントワネット・シブレーとアントニー・ダウエルに指導をされている映像を見ました。それを見る限りでは、あまりプロポーションも踊りも良くないし容姿も地味、ロイヤル・バレエスクール出身の生え抜きイギリス人だからプッシュされているという印象が強く、シルヴィア役が合っているようにも思えなくて。その上、6日はサモドゥーロフを観たいと思っていたのに変更になってしまったし。このキャストに2万円超という金額を出すのも、もったいない気がしてしまいました・・・。「シルヴィア」という演目を5回も上演すること自体に無理があったような気がします。せめて、サラ・ラムへのキャスト変更だったら納得がいったのに。ガラのある大阪がうらやましいです。

追記:ご参考までに、ロイヤル・バレエで現在上演中のトリプル・ビルの写真。「セレナーデ」と「オマージュ・トゥ・ザ・クイーン」でカスバートソンの写真を見ることができます。(ロンドン発バレエ・ブログのNaoko Sさんに教えていただきました)

http://www.ballet.co.uk/gallery/jr_rb_serenade_rushes_homage_roh_0408
「オマージュ・トゥ・ザ・クイーン」は大阪のロイヤル・ガラで、吉田都さんを迎えて上演されるんですよね。大阪在住の方がつくづく羨ましいです。

でも、マリアネラ・ヌニェスのシルヴィアは、NBSのサイトに載っている動画を見ると、なかなか美しくて良さそうです。6日の方は楽しみ。
http://www.nbs.or.jp/blog/0807_royal/contents/cat36/

同じ日に、さいたまでラララ・ヒューマンステップスの「アムジャッド」を上演しているので、そっちも観たいんですよね。

2008/04/25

新潟県中越沖地震チャリティーバレエガラコンサート チラシ

新潟県中越沖地震チャリティーバレエガラコンサートのチラシを入手しましたので、取り急ぎご紹介します(画像はクリックすると拡大します)。今月末の神奈川県民ホール、東京バレエ団「ドナウの娘」公演から、配布されるようです。裏面もカラーでダンサーの顔写真入り、とてもきれいです。

チケットがアーツ企画さんのほうにぴあから届いたので、これから発送が行われるとのこと。さらに追加でダンサーが加わる可能性がありそうです。

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ところで、チラシの裏面を見て気がついたのですが、インペリアル・ロシア・バレエにいたキリル・ラデフって、アンヘル・コレーラが立ち上げたBallet de Espanaに加入したんですね。ワガノワ出身で、美形だしなかなか良いダンサーなので、今後の活躍が楽しみです。

パリ・オペラ座&ピナ・バウシュ「オルフェオとエウリディーチェ」DVD化/オペラ座のドキュメンタリー映画/ロイヤル・バレエ「リーズの結婚」DVD

2005年にパリ・オペラ座で初演され、今年2月に再演されたピナ・バウシュ振付の「オルフェオとエウリディーチェ」ですが、ピナ・バウシュがDVD化に同意したということで、現在DVD化に向けての話し合いが進められているそうです。

http://www.culturekiosque.com/dance/news/pina_bausch_film174.html

舞台上にオペラ歌手が上がってグルックのオペラを歌うという作品ですが、フランス/ドイツのテレビ局ARTEで先日放映されたそうで、その映像のDVD化ということになるようです。作品そのものは、ピナがヴッパタール舞踊団の芸術監督になってから2年後に振付けられたとのこと。75年にオルフェオ役を踊ったのは、ドミニク・メルシーなんですね。今回の収録のときにエウリディーチェ役を踊ったマリ=アニエス・ジロは、ロンドンのサドラー・ウェルズで上演された「カフェ・ミュラー」に出演したメルシーを観て彼のカリスマ性に打たれたそうです。収録されたときのオルフェオ役は、ヤン・ブリダール。

このCulturekiosqueの記事の写真がとっても美しいです。DVD化が楽しみですね~。

*********

一方、ダンソマニに情報が載っていましたが、ABTのドキュメンタリー映画「BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界」を監督したフレデリック・ワイズマンが、今度はパリ・オペラ座のドキュメンタリーを撮影したとのこと。

http://www.ideale-audience.com/site/new_films_by_wiseman_and_monsaingeon_coming_from_i.563.0.html

ガルニエ、バスティーユ、リハーサルやボードミーティング、エトワールからスタッフまで追いかけた50日間に渡る撮影が、昨年12月14日に完了したそうです。2009年に劇場公開予定。(ところで、この撮影期間ってオペラ座はストだったような気がするんですが・・・)

**********

DVDといえば同じくダンソマニに出ていましたが、ロイヤル・バレエからは、アシュトンの「ラ・フィユ・マル・ガルデ(リーズの結婚)」のDVDが発売されるそうです。Opus Arteに情報が載っています。

http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=239

2008年6月1日発売予定、キャストはリーズにマリアネラ・ヌニェス、コーラスにカルロス・アコスタ、シモーヌにウィリアム・タケット、そしてアランにジョナサン・ハウウェルズ。リージョンALLです。OpusArteはいつも予告編映像をサイトに載せてくれるので、それも楽しみです。

ロイヤルのお家芸のアシュトン&カブリモノなので、きっと楽しい映像でしょうね。ヌニェスのリーズもきっと可愛いことでしょう。コジョカルの「ジゼル」や「眠れる森の美女」よりも先にDVDが出るとは思いませんでした。ゆうさんのSide Balletにも紹介がありました。

********

カルロス・アコスタといえば、彼の公式サイトからの情報。ボリショイ・バレエに彼が客演した「スパルタクス」(パリ・オペラ座・ガルニエでの公演)が来年の9月に発売されることになったようです。Deccaレーベルとアコスタがバレエダンサーとしては初めて独占契約を結んだそうで、彼の出演するDVDが他にもDeccaから発売されるようです。

2008/04/24

K-Balletの「海賊」日程&キャスト発表

去年、熊川哲也さんがツアーの最初で怪我を負ってしまった「海賊」ですが、「白鳥の湖」に続き熊川さんが復帰して再演されます。その日程とキャストが発表されました。

http://www.k-ballet.co.jp/topics/performance.html

7月30日(水) 18:30 文京シビックホール
Medora 松岡梨絵
Conrad スチュアート・キャシディ
Ali 熊川哲也
Lankedem 輪島拓也
Gulnara 荒井祐子
Birbanto ビャンバ・バットボルト
Seid Pasha ルーク・ヘイドン

7月31日(木) 18:30 文京シビックホール
Medora 荒井祐子
Conrad スチュアート・キャシディ
Ali 熊川哲也
Lankedem 宮尾俊太郎
Gulnara 樋口ゆり
Birbanto ビャンバ・バットボルト
Seid Pasha ルーク・ヘイドン

8月1日(金) 18:30 文京シビックホール
Medora 吉田都
Conrad 清水健太
Ali アレクサンドル・ブーベル→遅沢佑介
Lankedem 輪島拓也
Gulnara 松岡梨絵
Birbanto 遅沢佑介→杜海
Seid Pasha ルーク・ヘイドン

8月2日(土) 14:00 文京シビックホール
Medora 荒井祐子
Conrad スチュアート・キャシディ
Ali 熊川哲也
Lankedem 遅沢佑介
Gulnara 浅川紫織
Birbanto ビャンバ・バットボルト
Seid Pasha ルーク・ヘイドン

8月2日(土) 18:30 文京シビックホール
Medora 吉田都
Conrad 清水健太
Ali アレクサンドル・ブーベル→遅沢佑介
Lankedem 輪島拓也
Gulnara 松岡梨絵
Birbanto 遅沢佑介→杜海
Seid Pasha ルーク・ヘイドン

8月3日(日) 14:00 文京シビックホール
Medora 浅川紫織
Conrad 宮尾俊太郎
Ali 荒井英之→アレクサンドル・ブーベル
Lankedem 遅沢佑介
Gulnara 中村祥子
Birbanto 杜海
Seid Pasha ルーク・ヘイドン

8月3日(日) 18:30 文京シビックホール
Medora 松岡梨絵
Conrad スチュアート・キャシディ
Ali 熊川哲也
Lankedem 輪島拓也
Gulnara 荒井祐子
Birbanto ビャンバ・バットボルト
Seid Pasha ルーク・ヘイドン

7公演しかない上、吉田都さんが2日だけ出演します。熊川さんのアリは4回で、他は、アレクサンドル・ブーベルと、昨年2月に加入した荒井英之さんがアリに抜擢されています遅沢佑介がアリを踊ります。さらに、中村祥子さん、ルーク・ヘイドンのゲスト出演もあって、とても豪華な公演ですね。チケット争奪戦は、きっとすごいことになると思われます。観に行きたいけど、ファンクラブに入っているわけではないので、ちょっと入手は難しいだろうな。お客さん入りそうだから、もう少し公演回数があってもいいのに。私は今年はすでに大赤字なので観に行けなさそうです(少しは我慢しないと)。8月3日のマチネ(16000円)を除く公演のS席が18000円です。

去年観た橋本直樹さんのアリがとても良かっただけに、復帰が間に合わなかったのが残念ですね。熊川さんと同じ箇所を怪我されたようなので、もう少し完治には時間がかかるのでしょうね。こうやって見てみると、K-Balletって男性ダンサーが非常に充実してきた感じがします。熊川さんは別格としても、清水さんや遅沢さんといったトップクラスの実力ダンサー、安定している輪島さん、そして橋本さんや宮尾さん、ブーベルと魅力的なダンサーがたくさんいますね。

4/26追記:
キャストが変わってしまったようで、
荒井さんがアリだった8月3日マチネはアレクサンドル・ブーベル、
当初ブーベルがアリだった8月1日と2日ソワレは遅沢佑介さんがアリに変更になりました。
荒井英之さんは怪我などでなければよいのですが。

余談をちょっと。
今更って感じなのですが、先週末に友達の家で、熊川哲也さんのDVD「Being A Dancer」を見せてもらいました。私はロイヤルの92年来日公演での彼は観たことがあるのですが、もう記憶の遥か彼方にあるのです。若いときの彼がここまでとんでもない、笑っちゃうくらい凄いテクニックを持っていた人だとは知らず、K-Balletは高いのでめったに観に行けなかったってこともあって、改めてびっくりしました。DVDとかでは観ていたんだけど、「ジゼル」とか「白鳥」とか「カルメン」とか観ても、ね。今、これくらい踊れる人って、サラファーノフか、ダニール・シムキン、ボリショイのイワン・ワシリエフ、くらいしかいないのでは?その当時のファッションとか、やっぱり今見るとかなり笑えるところがありますが、やっぱり彼は凄い人なんですね。よくぞ、この時代の彼をこれだけ映像に残してくれたと思います。凄く面白かったです。

Being a DancerBeing a Dancer
熊川哲也

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2008/04/23

ロイヤルのヌニェス&ソアレスサイン会/タマラ・ロホのインタビュー

チャコットのサイトで見たのですが、

チャコット渋谷本店 リニューアル1周年記念
英国ロイヤル・バレエ団 プリンシパル
マリアネラ・ヌニェス&ティアゴ・ソアレス サイン会 開催!

ということで、2008年5月2日(金曜日)18:30~、チャコット渋谷本店 地下1階にてサイン会が行われます。

参加方法としては、5月2日(金)の17時30分より、会場にて先着50名の限定受付を開始ということで、先日のジリアン・マーフィのサイン会に続く第2弾ですね。

ティアゴ・ソアレスとマリアネラ・ヌニェスは、舞台、プライベートともにベスト・パートナーとして誰もが認める存在で、2006 年12 月、二人が主演した『眠れる森の美女』のカーテン・コールの後、ソアレスが舞台上でヌニェスにプロポーズ、今年夏に結婚の予定なんだそうです。

マリアネラ・ヌニェスは、前回のロイヤルの来日公演に出演はしていたものの、主役ではなくて、「マノン」のレスコーの愛人役などだったのでなかなか目立ちませんでしたが、とても良いダンサーだと思います。BBCで放映された、コジョカルが主演した「ジゼル」のミルタ役は怖い中にも哀しみが込められて、とても存在感があったし、同じくコジョカル主演でBBCで放送された「眠り」のリラの精では、同じ人とは思えない包み込むような温かさを、高度なテクニックの中に見せていました。ソアレスは「ロミオとジュリエット」のティボルトなど、ちょっとドゥミ・キャラクテール系ですが個性の強いダンサーですね。いずれにしても、これからのロイヤルを背負って立つ期待の若手の二人ですね!

NBSのロイヤル・バレエ日本公演ブログのほうにも記事があります。
http://www.nbs.or.jp/blog/0807_royal/contents/2008/04/post-6.html
今回は、二人が主演する「眠れる森の美女」の公演の合間を縫ってのプロモーション来日ということで、本当にお疲れ様です。

追記
UK-JAPAN2008 WEBサイトに記事掲載!

当ブログは、UK-Japan2008公式ブログに認定されました。

*********

さて、ロイヤル・バレエといえば、タマラ・ロホの興味深いインタビュー記事がありました。
http://arts.guardian.co.uk/theatre/dance/story/0,,2275171,00.html

スペインの新聞El Mundoのインタビューによると、タマラは、スペイン政府がバレエに関心を払っていないために才能が海外に流出してしまったと言っています。タマラ自身も、もうスペインには戻る気がないとのことです。

タマラの意見では、スペインにおいては、1940年代にロシアのバレエ団がツアーを行って以来、良いバレエは上演されていないとのこと。バレエがエリートのためのものであるとか、チケット代が高いとかそういう問題ではない、サッカーの方がチケット代が高いくらいだから。本当の問題は、政府がサポートをしてくれないことと、クリエイティヴィティの欠如のせいで、ダンスが多くの人々から縁遠いものになってしまっていることだと彼女は言います。

タマラは、新しいスペインの国立のバレエ団の芸術監督になることに同意していましたが、現在のところ、何の進展もありません。彼女は、才能のあるスペインのダンサーはみな海外で踊っているということが、実現の妨げになっていると語っています。「政府は、私たちがみんな海外にいるのに、新しくバレエ団を立ち上げるのがどんなに大変なことか、理解していません」

また、彼女は、スペインにおける演劇と映画の現状も、決して良いものではないと政府を批判しました。


スペインのバレエ団といえば、アンヘル・コレーラがBallet de Espanaというカンパニーを立ち上げ、今年の秋の旗揚げ公演に向けて、幾多の困難を乗り越えて頑張っているということがあります(詳しくは、いちぞーさんのブログをご覧ください)。

タマラとアンヘルという、スペイン出身で、しかも同世代で同じバレエ学校出身の2大ダンサーの仲がしっくり行っていないようで、そのことも問題なんじゃないかという気がします。タマラの方は、もうスペインでバレエ団を運営する気がないようですが、アンヘルの新バレエ団は成功して欲しいなって思います。タマラもまだ若いですし、演技力もテクニックも素晴らしいバレリーナなので、まだまだバリバリとロイヤルで踊って欲しいと思います。

文化を根付かせることって本当に大変なことだし、景気が悪いとすぐに文化は切り捨てられてしまいますが、一度切り捨てられてしまった文化を復活させるのには、以前の数倍の努力が必要になってきてしまうんですよね。人々の気持ちが沈みがちな時だからこそ、文化って生きていくのに必要なものになってくるって思います。

2008/04/22

ジーン・シモンズが「デトロイト・メタル・シティ」に出演♪

大好きなマンガ「デトロイト・メタル・シティ」が松山ケンイチ主演で映画化されるのは知っていたけど、本物のKISSジーン・シモンズが、ジャック・イル・ダーク役です!きゃ~!

http://cinematoday.jp/page/N0013581

これはすごいな~

そして、写真を見ると、出演者のビジュアル、相当がんばったみたいで原作そっくりです。松山ケンイチくんのクラウザーさんや根岸もだし、松雪泰子の社長も原作同様強烈だし、けっこう期待していいのかもしれません。(でも、大好きなキャラクターである"資本主義の豚”さんが写真に写っていない…)

それにしても、ジーン・シモンズは洒落のわかる男でいいなあ♪WOWOWで放映されていた「スクール・オブ・ロック」といい、老いてますます元気良くてカッコいいです。

何を隠そう、私は10代の頃はヘヴィメタル少女でして、KISSはちょっと全盛期を過ぎていたけど(しかしコンサートは2回ほど行ったことがある)、当時はメタリカとかメガデスとかアンスラックスとかアイアン・メイデンなど大好きでした~(年がばれますね)。去年も、メガデスの来日公演に行って大感動して来たのです。
「デトロイト・メタル・シティ」はコアなメタルファンの中には、設定が受け入れられない人もいるようですが、これくらい不条理でバカバカしくて洒落が効いていて、しかも甘酸っぱさを持っているこの作品のテイストが私は好きです。

映画『デトロイト・メタル・シティ』は2008年夏に全国公開
オフィシャルサイト http://go-to-dmc.jp/

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5月2日NHK芸術劇場で、梅若六郎とプリセツカヤ放映

マイヤ・プリセツカヤと現代最高の能楽師の一人である梅若六郎が世界遺産である京都の上賀茂神社にて共演した話題の公演が、NHK教育テレビの「芸術劇場」で放映されるということで、とっても楽しみです。

5月 2日(金曜日) (22:30~0:45)
永遠に咲く花の如く-梅若六郎とプリセツカヤ 世界遺産に舞う-

http://www.nhk.or.jp/art/yotei/2006/20080502.html
 
 番組では、三月に京都で催された梅若六郎とマイヤ・プリセツカヤ、一夜限りのコラボレーションを取り上げると共に、モスクワ、東京、京都などで稽古と対話を重ね、舞台を完成させるまでの二人の姿を追う。
 
また、番組後半では公演当日の演目からマイヤ・プリセツカヤのために振り付けされた「アヴェ・マイヤ」、そしてラヴェルの「ボレロ」にのせて上演されたコラボレーション作品を紹介する。

<演目> バレエ「アヴェ・マイヤ」
能・バレエ・舞「ボレロ・幻想桜」

<出演> マイヤ・プリセツカヤ(バレリーナ)
梅若 六郎(能楽師)
藤間 勘十郎(日本舞踊家)

<収録> 2008年3月30日 京都・上賀茂神社(賀茂別雷神社)細殿

********
ついでに、GW近辺はバレエ関係のテレビ放映がたくさんありますので、おさらいします(備忘録代わりに)

4月23日(金) 24:30-26:10 WOWOW
映画「オーロラ」

4月27日(日)15:00~17:00 NHK教育
第36回ローザンヌ国際バレエコンクール

5月4日(日)8:00~9:56 NHK BShi
ハイビジョン クラシック館
東京バレエ団 「ジゼル」(コジョカル、ルグリ)

5月4日(日) 23:00- WOWOW
Kバレエ 新作バレエ「ベートーヴェン第九」

5月11日(日) 09:00- WOWOW
Kバレエ 「ドンキホーテ」

5月18日(日) 09:00- WOWOW
Kバレエ 「くるみ割り人形」

5月26日(月)0:40~4:00 NHK BS2
クラシック ロイヤル シート
クラシック・ドキュメンタリー「マリインスキー・バレエのミューズたち」
「ボリショイ・バレエ&マリインスキー・バレエ合同公演」

2008/04/21

芳賀望さん、新国立劇場の登録ソリストに/「アラジン」主演

お友達のえりさんに教えていただきましたが、新国立劇場バレエのサイトにびっくりの告知が。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20000371.html

2008/2009シーズン開幕公演D.ビントレー「アラジン」11月19、22日出演のアラジン役が芳賀 望(2008/2009シーズンより新国立劇場登録ソリスト)に決定

とのことです。

芳賀望さんは、演技力もあるとても良いダンサーで、K-Ballet退団後も活動しておられたましたね。新天地での活躍、楽しみです。その前に 「平成19年新潟県中越沖地震チャリティガラコンサート」への出演もありますよね。

「隠居宣言」 横尾忠則 著

美術家の横尾忠則といえば、大胆かつエネルギッシュな作風で楽しませてもらっていたのだけど、このたび「隠居宣言」という本を出したのだ。隠居っていうから引退するのかな?と思ってこの本を読んだら、さにあらず。70歳を迎えた今、隠居として、自分の好きなことだけをやって、肩の力を抜いた生き方をするということ。横尾さんがもう70歳だというのもびっくりなんだけど、グラフィックアートの仕事はもう受けないで生活の規模を縮小し、好きな絵を描いたり、好きな文章を書いたり、写真を撮って暮らしていくということ。落語に出てくる長屋のご隠居さんみたいなイメージで生活していくということだ。

あくせく暮らしている身からすると、なんとも羨ましい話だけど、まだ隠居するような年齢ではない読者にとっても生きているヒントのようなものがちりばめられていて、楽しい本になっている。そして、子供時代の話から健康法、死の準備まで、飄々とした語り口の中に考えさせられる話が満載だ。

三島由紀夫との思い出話が興味深い。彼と初めて会ったときの、礼節について教えられたエピソードは特に面白い。横尾さんにとっては三島との出会いが人生で一番大きな出来事であり、三島が亡くなった後もずっと続いている感じがするということだ。いろいろなエピソードが出てくるけど、三島由紀夫って人は基本的にお茶目でチャーミング、誰にでも愛されるような人だったみたい。

それから、モーリス・ベジャールとの思い出話もある。横尾さんはベジャールの「デュオニソス」という作品の舞台美術を依頼されていて、打ち合わせをして絵を描いたところ、その絵からさらに発想が広がって前の絵が必要ではなくなり、7景描く予定が20何枚描かされてもなかなか決まらなかったとのこと。そして「春の祭典」を一緒に鑑賞しながら、ベジャール、ドン、ヴェルサーチとミーティングをした話。突然ミラノからベルギーまで来てくれと日帰りで向かったり大変だったようだけど、エキサイティングだったこと。ベジャールも、ドンも、ヴェルサーチも亡くなり、いまや証言者は横尾さんだけになってしまったというのが切ない。

編集部が作った質問に対して横尾さんが答え、さらに後日横尾さんによる補足があるという形式。とても読みやすくて、何度となく読み返してしまう。同じような優雅な隠居生活はできなくても、このような生き方を手本にしたいなって思う。南伸坊さんによるイラストも飄々としていてかわいい。

「隠居宣言」をした横尾さんだけど、実際には活発に活動をしていて、「冒険王・横尾忠則」という回顧展が世田谷美術館で2008年4月19日(土) -6月15日(日)の会期で開催されています。見に行きたいなあ。
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html

期間中には、荒俣宏さんや中条省平さんらとのトークショーなども予定されています。サイトに載っている作品などを見ても、めちゃめちゃ面白そうです。

それから、横尾さんにはブログというか日記もあって、横尾さんの隠居の日常が伺えるのもとっても面白い。畑から観ると忙しそうに見えるけど、本人はいたってのんびりしているようだ。
http://www.tadanoriyokoo.com/vision/index.htm

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2008/04/20

フィガロ・ジャポン「パリ・オペラ座バレエ物語」とレペット特集

フィガロ・ジャポンの隔号連載「パリ・オペラ座バレエ物語」は、いよいよ来日公演まで1ヶ月ということで「ル・パルク」の特集です。マニュエル・ルグリと振付のアンジェラン・プレルジョカージュのインタビューが各1ページ。

ルグリさんは、今回初めてレティシア・プジョルと組むそうですね。この作品では、エリザベット・モーランと組んできたそうで。ルグリさんのインタビューで凄いな、と思ったのは、オーバーブッキングなくらい忙しい方が、肉体的には快調だということ。彼の年齢でこれだけ踊っても調子がいいのは素晴らしいですね。オペラ座の引退後もたくさん踊ってくれるといいな。「ル・パルクは難解な作品ではありません。プレルジョカージュの作品の中では、クラシックです」ということなので、コンテンポラリーは苦手な方でもとっつきやすいのではないでしょうか。私も、DVDを見直さなくては。
プレルジョカージュのインタビューでは、この作品はパリ・オペラ座に依頼された作品ということで、オペラ座が生まれた時代にテーマを得て創作したと語っています。

記事の中には、ルグリとモーランの共演や、ローラン・イレールの「解放」のシーンの写真、素敵な衣装が伺えるショットなど、美しい写真がたくさん載っています。さらに、コレオグラファーを刺激する種々のインスピレーション源、ということで、「ドガの小さな踊り子」「アポロ」「ジゼル」「扉は必ず・・」「嵐が丘」などの作品が紹介されています。


別ページでは、すでに他のバレエ雑誌では紹介されていましたが、レペットの60周年記念ということでさまざまなセレブレティがデザインしたシューズが紹介されています。ブリジット・バルドーによる赤いギンガムチェックと、イザベル・シアラヴォラによる羽と薔薇による華麗な一足が素敵ですね。私は去年末にお店に行ったときには、シンプルな黒いエナメルの定番BBを買ったのですが。写真を見るといろいろと欲しくなります。靴好きなんですよね。

それから、レペット財団の後援者となったマリ=アニエス・ジロのインタビューが1ページ。レペット財団は、恵まれない子供たちへダンスへのアクセスを与えるだけでなく、一般教育も受けられるようにするというもので、ブラジル、キューバ、南アフリカの学校に援助をしているそうです。マリ=アニエスはこれだけでなく、社会活動に積極的で、ナタリー・デセイと孤児の兄弟たちが離れ離れにならずに暮らせる家を作るためのチャリティ・ガラを行ったとのことです。彼女がカスタマイズした、「パキータ」からのシーンをイラストにして描いたポアントもとても可愛いです。

レペットの「生命のダンスプロジェクトDanse pour la Vie」については、当ブログの過去エントリをご覧ください。
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2007/11/danse_pour_la_v_e44c.html

プロジェクト宣伝用の動画
http://www.diplomatie.gouv.fr/fr/actions-france_830/commission-francaise-pour-unesco_3962/colonne-droite_4335/partenariats_11332/repetto-danse-pour-vie_55203.html

今日は松本道子バレエ団から、5月18日の「白鳥の湖」のチケットが届きました。SS席の最後の1枚だそうです。結局ダニーラ・コルスンツェフを観るために名古屋遠征で、新国立のザハロワの「ラ・バヤデール」は手放すことにしました。ザハロワは「白鳥の湖」も手放す予定で、今シーズン、何のためにシーズン会員になったのかよくわからなくなっちゃいました。

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2008/04/18

新潟県中越沖地震チャリティー・バレエガラコンサート、チケット発売他

たびたび情報を掲載してきた「新潟県中越沖地震チャリティー・バレエガラコンサート」ですが、ぴあでは明日からチケットが発売されます。

東京公演 2008年9月1日(月) 18:30~新宿文化センター
http://ent.pia.jp/pia/event.do?eventCd=0816217&perfCd=001

奈良公演 2008年8月24日(日) 開演 15:00 / 開場 14:30 なら100年会館 大ホール 
http://ent.pia.jp/pia/event.do?eventCd=0816214&perfCd=001

新潟公演 2008年8月27日(水) 開演 18:30 / 開場 18:00 新潟テルサ(新潟)
http://ent.pia.jp/pia/event.do?eventCd=0816215

桶川公演 2008/8/30(土) 開演 17:00 / 開場 16:30 桶川市民ホール
http://ent.pia.jp/pia/event.do?eventCd=0816216&perfCd=001

Pコード: <奈良>386-132 <新潟>386-133 
       <桶川>386-134 <新宿>386-135


さて、主催者アーツ企画さんからお知らせをいただきました。各公演のS席、主催者へ先行予約で申し込んだ方に限り、「公演当日の舞台稽古特別ご招待!!」(限定席数あり)という企画があるそうです。希望する場合はメールでお知らせ下さいとのことです。この豪華なメンバーですから、貴重な機会ですね。さらに出演者が増える可能性もあるそうです。

それから、現在問い合わせが殺到しており、また、チケットぴあからチケットの原券が届くのが21日になるため、先行予約をされた方へのチケットの発送は21日からになるそう。今しばらくお待ちくださいとのことです。

あと、主催者のアーツ企画さんはこのガラの打ち合わせのために5月頭から13日までロシアに出張されるので、その期間のお問い合わせはメールでお願いしますということでした。今回公演を主催するのは初めてとのことですが、並々ならぬ熱意で取り組んでおられるのが伝わってきます。また、多くのボランティアの協力があるそうです。

そもそも、今回の企画は、古くからの付き合いであるマリインスキーの名ダンサー、イリヤ・クズネツォフおよび元ボリショイのスター、ゲジミナス・タランダの賛同と呼びかけで始まったそうです。タランダさんが舞台に立ってくださる可能性も高いそうで。

各ダンサーの出演演目については、6月ごろ正式決定する予定のようです。楽しみですね。当ブログでも、随時情報をお知らせしていきます。


お問合せ/先行予約申し込み
アーツ企画事務局 TEL:080-1279-7709 (受付時間 10:00~20:00) FAX:050-3322-0893


(出演予定ダンサー)4月20日現在  (◇は、追加出演予定ダンサー)
ガリーナ・ステパネンコ (ボリショイ劇場) アンドレイ・メルクリエフ(ボリショイ劇場)
ユリヤ・マハリナ(マリインスキー劇場) イリヤ・クズネツォフ (マリインスキー劇場)
◇アントン・コルサコフ(マリインスキー劇場)◇アリーヤ・タニクパエワ(ウィーン国立歌劇場)
シリル・ピエール  (ミュンヘン・バレエ)リサ=マリー・カラム (ミュンヘン・バレエ)
オクサナ・クチュルク(ボルドーバレエ劇場) イーゴリー・イェブラ(ボルドーバレエ劇場)
アンナ・パシコワ(インペリアル・ロシアバレエ団)
エレーナ・コレスニチェンコ (インペリアル・ロシアバレエ団) 
キリル・ラデフ(スペイン・バレエ団)高橋晃子(ロシアクラッシック・バレエアカデミー)
大嶋正樹(東京バレエ団)さいとう美帆(新国立劇場)
◇後藤和雄(フリー)8/27・9/1 芳賀望(フリー)

2008/04/17

VAIOのCMに草刈民代さん&シヴァコフ

お友達に教えてもらったのですが、

http://www.vaio.sony.co.jp/Products/Concept/Vision/index.html?product=VMS&contents=kusakari

ソニーのVAIOのCMでは「私のMOVIE STORY」と題していろいろな有名人の日常を切り取ったのがあるんですが、草刈民代編では、草刈さんが白鳥を踊っていて、サポートしているのがミハイル・シヴァコフですね。かなりたっぷりと映っています。テレビでも流れているんでしょうか?ちょっと草刈さんのパ・ド・ブレは(以下自粛)。

それから、ネクタイを締めた男性が登場しますが、どう見てもクリギン(父)です。

草刈さんといえば、サントリーの「セサミン」のCMでも、黒鳥を踊っていますね。こちらにもシヴァコフがちらりと写っていますね。

本当にシヴァコフさん、お疲れ様です(涙)。

マリインスキー・バレエNY公演に再びゼレンスキー登板/パリ・オペラ座オーストラリア公演

シティセンターで4月20日まで公演中のマリインスキー・バレエですが、現在は5番目のプログラムであるフォーサイス・プロを行っているところです。

NewYorkTimesのこの記事によると、マリインスキーがフォーサイスを上演し始めたのは2004年からということで、まだまだ踊り始めたばかりなんですね。ゲルギエフ御大が、フォーサイスは嫌いだと公言しているため、今後上演されるのかどうかも不明です。したがって、今回観られた方は貴重な経験なのかもしれません。

去年のボリショイ・マリインスキー合同ガラで、イーゴリ・コールプとイリーナ・ゴールプが「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」を踊りましたが、とても不思議な、粘り気のあるフォーサイスでした。イリーナ・ゴールプは今回怪我で出演できませんでしたが、コールプはまた踊ったようですね。

怪我といえば、今回のNY公演で途中で怪我をしてしまい、しばらく出演できなかったオレシア・ノーヴィコワが「エチュード」で復活したようで良かったです。「エチュード」は、いろいろなレビューやBallet Talk、Ballet.co.uk等を読むと、サラファーノフのスーパーテクニックが大喝采を浴びたようですね。今回のマリインスキーNY公演で一番株を上げたのは、彼だったようです。あの華麗なテクニックはアメリカ人にウケそうですものね。確かに、マリインスキーの来日公演での彼の「エチュード」も凄かったです。一方、アリーナ・ソーモワに関しては、2回目のバヤデールで改善したという話も聞こえてきましたが、賛否両論のようです。軸のぐらつくフェッテと、上げすぎのあごが不評なのに対して、よく伸びた足の甲、大きなジュッテ、素材の良さそして可愛らしいお顔を好む人もいたようです。それから、ミハイル・ロブーヒンが今回とても良かったようですね。

Ballet.co.ukを読んだら、イーゴリ・コールプの「薔薇の精」も賛否両論あったようで、彼の薔薇の精はwackyとかcreepyって書いている人もいます。すっかり彼の毒に馴らされてしまったので、あの妖しすぎる表現が素敵と思ってしまう自分がいるわけですが。

いずれにしても、今回のマリインスキーNY公演は、芸術監督の不在にもかかわらず大好評で、観客の動員も良かったようで喜ばしい限りです。次は、メトロポリタン・オペラハウスで上演してくれるのでしょうか。

私は最初の2プログラムしか観ていないので、実際にご覧になった方のレビューを紹介します。いずれも読み応えたっぷりです!

PonさんのAppluase!Applause!
http://ponchikrin.exblog.jp/

norideさんのNY オペラ・バレエ鑑賞記
http://nyoperaballet.blog116.fc2.com/

madokakjpさんのOpera!Opera!Opera
http://blog.goo.ne.jp/madokakip/

それから、norideさんに教えていただきましたが、最終プログラムのバランシン・プロ、「バレエ・インペリアル」のロパートキナのパートナーはイーゴリ・ゼレンスキーが予定されているようです。(プレイビルに印刷してあったそうです)ゼレンスキーは、NYCBに在籍していたわけですし、ロパートキナとの「バレエ・インペリアル」はさぞ素晴らしいことでしょう。

***********
話変わって、パリ・オペラ座は来年6月に、再びオーストラリアで公演を行うそうです。
http://www.smh.com.au/news/arts/la-bayadere-australiabound/2008/04/15/1208025197396.html

演目は、ヌレエフ版の「ラ・バヤデール」で、会場はメルボルンのState Theatre。去年の「白鳥の湖」公演が好評だったことから、1年空けてすぐに公演が実現したんですね。
「ラ・バヤデール」は、オペラ座の2008/2009シーズンでは予定されていません。オーストラリアは時差がなくて日本から行きやすいですから、日本から観に行く方もいるでしょうね。

2008/04/16

ダニール・シムキンのブログとTwitter

スーパーなテクニックとキュートな容姿で人気のダニール・シムキンが、動画などを満載した公式サイトを持っていたのは知っていたのですが、ブログもやっていたのですね。YouTubeにも自分の動画を投稿しているし。ホント、動画を観るだけでも彼のとてつもない凄さの一端がうかがえます。

しかも、ブログだけでなく、"ミニブログ”とでもいうべきTwitterまでやっていたとは、最近の若い人らしいというか、最先端を行っている感じです。けっこうこまめにアップデートしており、彼の日常生活の一端がうかがえます。

1ヶ月ほど前のブログのエントリによると、ダニールは

8月9日 高松サンポートホール
8月12日 東京・ゆうぽうとホール

にて開催されるガラに出演し、「レ・ブルジョワ」と“Moorhuhn”を踊る予定だそうです。これはどこかのバレエ教室主催のガラのようですね。日本のファンからたくさんの問い合わせが来ているようです。


現在ウィーン国立歌劇場バレエ団に所属しているダニールですが、移籍の噂があります。彼のブログを読んでいても、それとなく匂わせています。「まだ言えないけど、ビッグなニュースがあるよ」と。台北のガラについてのサイトを読むとなんとなく、何が起きているのか判るような気がしますが。

ダニールは、
世界バレエスターフェスティバルinソウル2008
2008.6.5(木) 午後 7時30分 / 2008.6.6(金) 午後 5時
セゾン文化会館大劇場
http://www.sejongpac.or.kr/

そして

International Ballet Gala 2008 in Taipei
http://www.balletstargala.com/
2008年6月20-21日 19:00
National Theater (国家戯劇院)

に出演する予定です。両方とも、パートナーはロイヤル・バレエのロベルタ・マルケス。そして共演者がめちゃめちゃ豪華です。ソウルの方は、パリ・オペラ座のマニュエル・ルグリとドロテ・ジルベール、マリインスキーのオーレシア・ノヴィコワとレオニード・サラファーノフ、ボリショイのアンナ・アントニーチェワとドミトリー・ベロゴロツェフらが出るんですよね。

Yuraさんの「ロシアのバレエ団情報」の記事もご参照ください。

ダニールくんの胸のすくような「レ・ブルジョワ」、親子共演「マイ・ウェイ」が観られます。
 ↓

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追記:Twitterでダニールが、これからウィーン国立歌劇場での最後の舞台「白鳥の湖」ヌレエフ版に立つと書いていました。移籍は間違いないようですね。

「まるごとパリの撮り歩き」星野秀夫 著

お友達の旦那様が出されたということで買った本なのですが、パリに行って写真を撮りたい、という方にはこれ以上優れものの本はないと思います。今後パリに行くときには持っていかなくては。

パリという街は、どこを見ても絵になる美しい街で、写真もいくらでも撮りたくなりますが、そのパリの街をいかに美しく撮影するかというポイントを書いています。それも、本格的なカメラに限定した話ではなく、初心者向けの一眼レフや、コンパクトデジカメを使って。写真の撮り方のテクニックやコツだけじゃなくて、どの地点から被写体にカメラを向ければ、素敵な構図になるか、地図で示してあるのが便利。

パリは、昼間だけでなくて夜景も美しい。エッフェル塔、シャンゼリゼ、ルーヴルのピラミッド、凱旋門などの夜景の撮影の仕方なども役に立ちます。もちろん、パリ・オペラ座を観に行く人にとって役に立つのが、どこから撮影すればオペラ・ガルニエやオペラ・バスティーユがきれいな構図で撮れるかも教えてくれていること。ガルニエのグラン・フォワイエなど暗い室内を、より豪華絢爛に写す撮影の仕方も。

そして、写真を撮らない人にとっても、美しい街の風景はどこに行けば見られるか、という観光ガイドブック的にも使えるのがミソ。7つの散策コースが示されているので、スケジュールや行きたい場所にあわせてコースを組むことができます。たとえば有名人のお墓はどこにあるなんて情報も。ニジンスキーのお墓の写真もあります。セルジュ・ゲーンズブールのお墓には、なぜかキャベツが供えてあるんですね。

写真についての本なので、もちろん、パリの美しい写真が満載。風景だけでなく、公園や広場、カフェなど何気ない日常の一こまをお洒落に切り取ってあるところなんかも素敵。

露出、シャッタースピードなどの基本的なことから、レタッチソフトの使い方、用語解説など、かゆいところに手が届く一冊になっています。

星野さんの、パリ写真撮影術については、NIKKEI NETでもインタビューが紹介されています。
http://waga.nikkei.co.jp/hobby/camera.aspx?i=MMWAi3000010042008

まるごとパリの撮り歩き―散策コース別美的デジカメ撮影術まるごとパリの撮り歩き―散策コース別美的デジカメ撮影術
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2008/04/15

YAGPガラ2008

ローザンヌコンクールと並ぶ、ダンサーの登竜門となったYAGP(Youth America Grand Prix)。4月21日に行われるコンクールに付随して行われるガラの演目が、ようやくアップされていました。

http://www.yagp.org/gala/gala_08_mon.html

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Monday, April 21, 2008 at 7:00pm
New York City Center
ACT I: STARS OF TOMORROW
Winners of Youth America Grand Prix 2008 international student ballet and contemporary dance competition

“Grand Defilé”
(piece d'occasion, featuring all YAGP participants)
Choreography: Carlos dos Santos, Jr.
Music: Peter Tchaikovsky

ACT II: STARS OF TODAY
Natalia Osipova ナタリア・オシポワ (Bolshoi Ballet)
"Le Corsaire" Odalisque Variation
Choreography: Marius Petipa
Music: Richard Drigo

Sarawanee Tanatanit, Blaine Hoven サラワニー・タナタニット、ブレイン・ホーヴェン (American Ballet Theatre)
“Tacacá” WORLD PREMIERE
Choreography: Marcelo Gomes
Music: Batucada Brasileira

Jin Yao, Huang Zhen (Hong Kong Ballet)
“Grand Pas Classique”
Choreography: Daniel Auber
Music: Victor Gsovsky

Drew Jacoby, Rubinald Pronk (Morphoses/The Wheeldon Company)
“Alloy” WORLD PREMIERE
Choreography: Adam Hougland
Music: Schlagwerk Nordwest Percussion Ensemble

Wendy Whelan, Philip Neal ウェンディ・ウェーラン、フィリップ・ニール(New York City Ballet)
“Chaconne”
Choreography: George Balanchine
Music: Christoph Willibald Gluck
© The George Balanchine Trust

Hee Seo ヒー・セオ(American Ballet Theatre),
Ivan Ortega イヴァン・オルテガ(Stuttgart Ballet)
“Godspeed” NY Debut
Choreography: Goyo Montero
Music: Black Emperor

Natalia Osipova, Ivan Vasiliev ナタリア・オシポワ、イワン・ワシリエフ (Bolshoi Ballet)
“Flames of Paris” Pas de Deux
Choreography: Marius Petipa
Music: Ludwig Minkus

Nicole Loizides, Steven Marshall (MOMIX)
“Millennium Skiva”
Choreography: Moses Pendleton and Company
Music: Brainbug

Polina Semionova ポリーナ・セミオノワ (Berlin State Opera Ballet),
Roberto Bolle ロベルト・ボッレ (La Scala Ballet)
“Carmen”
Choreography: Roland Petit
Music: George Bizet

Mizuka Ueno 上野水香 (Tokyo Ballet),
Jose Manuel Carreño, David Hallberg ホセ・カレーニョ、デヴィッド・ホールバーグ (American Ballet Theatre)
“Le Corsaire” Pas de Trois
Choreography: Marius Petipa
Music: Richard Drigo

NYデビューとなるのが、ポリーナ・セミオノワと上野水香。シティセンターにあったポスターでは、ポリーナが大々的にフィーチャーされています。踊るのはプティ版の「カルメン」で、パートナーはロベルト・ボッレ。ロベルトはミラノ・スカラ座でザハロワと「白鳥の湖」を踊る予定だったのを、足の捻挫でキャンセルしていましたが、こちらは大丈夫のようです。

上野水香さんは、ABTのホセ・カレーニョとデヴィッド・ホールバーグと「海賊」パ・ド・トロワを踊ります。
東京バレエ団のブログに、高岸さん相手にリハーサル中の水香さんの様子が載っています。
http://www.thetokyoballet.com/blog
初めてのガラのトリ、初めての「海賊」トロワヴァージョンなんだそうです。しかも、ホセ・カレーニョというビッグスター相手!翌日にGene Shaivoneさんが水香さんのフォトセッションを行うそうですから、これでかなり世界的にも有名になるかも、しれませんね。

それから、本人は出演しませんが、マルセロ・ゴメスの振付作品 “Tacacá”のワールド・プレミアがあります。踊るBlaine Hovenは、ABTでコール・ドですがかなり重要な役を踊ることが多く、近いうちに昇格されるのではないかと思われる若手です。金髪でなかなかハンサムな方。

面白いのが、2回踊るのがボリショイのナタリア・オシポワだけだってこと。元気いっぱいですね。

2008/04/14

エトワール・ガラの演目決定

フジテレビから、エトワール・ガラの演目が決定したというメールが送られてきました。

【プログラム】(予定)

■Aプログラム
8/6(水)19:00、7(木)14:00、10(日)14:00

ラ・シルフィード」(振付:A.ブルノンヴィル) 
S.アッツォーニ、J.ブベニチェク 
白鳥の湖」 第2幕より(振付:M.プティパ/L.イワノフ)
S.ルンキナ、M.ガニオ 
椿姫」 第1幕より(振付:J.ノイマイヤー)
E.アバニャート、B.ペッシュ/ピアノ:上田晴子
スターズ&ストライプス」(振付:G.バランシン)
マリ=A.ジロ、H.モロー 
ベラ・フィギュラ Bella Figura」(振付:J.キリアン)
S.アッツォーニ、J.ベランガール
ジゼル」 第2幕より(振付:J.コラリ/J.ペロー)
S.ルンキナ、M.ガニオ
カンツォーニ Canzoni 」(振付:M.ビゴンゼッティ)※日本初演
E.アバニャート、H.モロー
ロミオとジュリエット」“寝室のパ・ド・ドゥ”(振付:J.ノイマイヤー)
S.アッツォーニ、B.ペッシュ
思いがけない結末 Unintended Consequence 」 ※世界初演(振付:J.ブベニチェク)
マリ=A.ジロ、J.ブベニチェク
アザー・ダンス」(振付:J.ロビンス)
L.プジョル、J.ベランガール/ピアノ:上田晴子


■Bプログラム
8/8(金)19:00、9(土)14:00

ラ・バヤデール」第1幕より(振付:M.プティパ)
S.ルンキナ、J.ブベニチェク
瀕死の白鳥」(振付:M.フォーキン)  
マリ=A.ジロ
ロミオとジュリエット」第1幕より“マドリガル”(振付:R.ヌレエフ)
L.プジョル、M.ガニオ
アン・トレ・デュニオン Un Trait d'Union 」※日本初演(振付:A.プレルジョカージュ) 
J.ベランガール、B.ペッシュ  
受胎告知」(振付:A.プレルジョカージュ) 
E.アバニャート、L.プジョル
カノン Canon in D major 」(振付:J.ブベニチェク)
M.ガニオ、H.モロー、J.ブベニチェク
トリオ」(振付:S.L.シェルカウイ)
マリ=A.ジロ、J.ブベニチェク、J.ベランガール 
マーラー 交響曲第5番 アダージェット」(振付:J.ノイマイヤー)
S.アッツオーニ、B.ペッシュ
マノン」第1幕第2場より(振付:K.マクミラン)
S.ルンキナ、H.モロー

※表記の出演者・演目は2008年4月現在の予定です。
やむを得ない事情により変更になる場合がありますので予めご了承下さい。

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■『エトワール・ガラ2008』のさらなる詳細はコチラ!
http://www.fujitv.co.jp/events/stage/gala/index.html

エルヴェ・モローが今上演中のミックスプロの「ライモンダ」初日を降板したようで(でも、その後のデフィレには登場)、ちょっと心配なわけですが、その前に「椿姫」の収録もあるんですよね。なんとか無事であって欲しいです。

イリ・ブベニチェクの「ラ・シルフィード」、あのイルジがキルトスカート着るんですね。キリアンの美しい「ベラ・フィギュラ」や、プレルジョカージュの「アン・トレ・デュニオン Un Trait d'Union 」、「融」で上演された音楽性の素晴らしい「「カノン Canon in D major 」をマチュー、エルヴェ、そしてイルジが踊るのもとても期待できます。
マリ=アニエスの「瀕死の白鳥」もどんな感じなんでしょうか。同じく肩の筋肉が張っているヴィシニョーワがあまり似合わなかったのですが、マリ=アニエスはまた違う表現を魅せてくれそうです。

演目も出演者も魅力的なので、今回けっこうチケットを買ってしまいました(苦笑)。お金もないのに~

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/08_etoiles/index.html
で、出演者たちの素敵な動画メッセージが見られます。

ABTのシティセンターシーズンはチューダー生誕100周年/バレエ・リュス100年

少し前になりますが、ABTの秋のシティセンターシーズンが発表されています。

http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=221

2008年は振付家の故アンソニー・チューダー生誕100年ということで、METシーズンのオープニング・ガラにも「Judgment of Paris」という作品が上演されるのですが、October 21-November 2の秋のシティセンターシーズンで本格的なトリビュートが行われます。

オープニング・ガラで「ロミオとジュリエット」全編(チューダー振付は1幕もの)、10月31日のチューダー・トリビュート・ガラでは「Continuo」 、「リラの園Jardin aux Lilas」、「Romeo and Juliet」のパ・ド・ドゥ、「葉は色あせて」、「Judgment of Paris」そして「火の柱Pillar of Fire」が上演されるとのこと。

また、シーズンの中でも「リラの園」「葉は色あせて」「火の柱」が上演されます。

チューダーは特にABTと縁が深い振付家でしたが、なかなか地味な存在で、生誕100周年の今年もあまり目立った上演はありません。が、「リラの園」は深みのある素晴らしい作品です。ABTでは、「アメリカン・バレエ・シアター「スターの饗宴」」というガラを収録したDVDで、「葉は色あせて」の映像があります。とても美しい作品で、この映像で主演しているアマンダ・マッケローとジョン・ガードナーが今回、再振付を担当します。また、2004年のシティセンターシーズンでは、「火の柱」を観ました。シェーンベルクの「浄夜」に乗せた心理ドラマで、売れ残りになることを恐れ、衝動的に向かいの家の男に身を任せてしまうヒロインの役を、ジリアン・マーフィが熱演していたのが鮮烈でした。

ワシントン・ポストにて特集記事があります。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/04/03/AR2008040304206.html

このほかバランシンの「Ballo della Regina」「テーマとヴァリエーション」、トワイラ・サープの「Baker's Dozen」、「Brief Fling」、新作としてイリ・キリアンの「Overgrown Path」などが上演されます。

*******

ハンブルク・バレエの2008/9シーズンのところでも書きましたが、2009年はバレエ・リュス100周年なので、様々なイベントが予定されています。

ハンブルク・バレエのバレエ・リュス100周年記念公演「ニジンスキー」(5月19日)ほか、ニジンスキー版「春の祭典」の上演などバレエ・リュス関連作品上演。
http://www.hamburgballett.de/e/spielplan_08_09.htm

ボストンで2009年3月16日より23日まで、バレエ・リュスを記念したフェスティバルが開催されます。
http://www.ballets-russes.com/
ボストン・バレエのバレエ・リュスミックス・ビルは「牧神の午後」「薔薇の精」「春の祭典」を予定。2009年3月16日に開催されます。

ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館では、特別展が開催されます。(2010年予定)
http://www.vam.ac.uk/exhibitions/future_exhibs/diaghilev/index.html

ストックホルムのDansmuseetには、バレエ・リュスの膨大な衣装のコレクションがあり、2009年5月18日から11月 1日まで展覧会が開かれます。
http://www.dansmuseet.nu/english/dansmuseet/index.html?information=b-dansmuseet-eng.html

ニジンスキー版の「春の祭典」の復刻上演を最初に行ったジョフリー・バレエも、2009年2月19日から3月1日の予定で、「春の祭典」「結婚」を上演する予定です。.


他に米国のカンパニーでバレエ・リュス作品を予定しているところが多数あります。おそらく、ヨーロッパでも沢山上演されるのではないでしょうか。

2008/04/13

キーロフ・バレエ「ラ・バヤデール」DVD

振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス
ニキヤ:ガブリエラ・コムレワ
ガムザッティ:タチヤーナ・テレホワ
ソロル:レジン・アブディーエフ 
ヴィクトール・シロコフ(指揮)
1977年、キーロフ劇場 収録時間:130分
NTSC Region All

ずいぶん前に、この映像のVHSを友達に貸してもらって観て、なかなか良かったことを覚えており、最近になってDVD化されたので購入。「ラ・バヤデール」というかバヤデルカは、太鼓の踊り(インドの踊り)などのキャラクターダンスが充実しているのが好きで、DVDが出ているロイヤルやミラノ・スカラ座のマカロワ版はこれがカットされているのが不満。オペラ座のヌレエフ版はインドの踊りはあるけど、ちょっと違う感じだし。

改めてDVD化された映像を観ると、いろいろと思うところはある。30年前の収録と古い映像であるため、今観ると古色蒼然としていると思う。ダンサーのプロポーションも、今の人たちと比べると落ちる。ニキヤ役のコムレワは技術的には素晴らしいと思うのだけど、やっぱり昔のバレリーナ。演技の方も比較的淡々としており、特にソロルとの逢瀬のところであまり感情を出していないから、せっかく花かごの踊りで熱演しても、ドラマティックさが薄い感じ。どこか上の空的な感じがつきまとう。とはいっても、踊りそのものは正確で観ていて安心はできる。影の王国のヴェールのアダージオは見事。ソロル役レジン・アブディーエフはちょっとおっさんぽくプロポーションにも難あり。こっちの方も、演技が薄いので存在感そのものも薄くて残念。(彼については、Yuraさんの「ロシアのバレエ団情報」で詳しく説明があるので、興味のある方はご覧ください)

でも、ガムザッティ役のタチアナ・テレホワが素晴らしい~。お姫様オーラはばしばし出ているし、気品もあり、華やかなことこの上なし。婚約指揮でのイタリアン・フェッテもびしっとキマっていて見事なもの。女同士の対決シーンも、凛とした中にもかなり熱い演技を魅せてくれてとても魅力的だった。遠めで見るとちょっとアニエス・ルテステュ系の美女。やっぱり、ガムザッティがニキヤと同格のダンサーが踊ると、作品全体のクオリティもあがるしドラマ性も高まる。

ロシア系バヤデルカだけあって、さすがにキャラクターダンスは達者。特にブロンズ・アイドルが、勢いがあって上手だと思った。クレジットがなくて誰が踊っているかはわからないのが残念。太鼓の踊りもワイルドで迫力たっぷり。(ボリショイの方がイケイケで野性的で好きだけど)また、大僧正役の人の演技が濃くて良いし、苦行僧など脇の演技や踊りも、さすがキーロフ、細かいところまで手抜きなしで贅沢さが味わえる。

影の王国は32人のコール・ド。地上に降りてエカルテでデヴロッペした後にぐらついた人が後ろの方ではいたものの、よく揃っており、テレビの画面で見ていても思わず背筋を正したくなるほどの幻想的な世界を作り上げていた。昔の映像でも、みんなプロポーションが良いし。3人のソリストも上手いのだけど、影の王国の場面にしては踊りが元気がありすぎて、レベランスで笑顔を見せているのはどうかと思った。旧ソ連の伝統にのっとり、影の王国で終わるヴァージョン。

30年前の映像にしては、そこそこきれいな画質。なんだかんだいって、大きな舞台でハイレベルのグランド・バレエが観られるので見ごたえはある。でも、古い「バヤデルカ」の映像だったら、ボリショイの、グラチョーワとヴェトロフの「バヤデルカ」が最高。これもビデオでしか出ていなくて、入手困難。これこそ早くDVD化して欲しい。そして、キーロフ/マリインスキーは、新しいキャストで「バヤデルカ」のDVDを収録して欲しいな。ロパートキナ/コルスンツェフか、ヴィシニョーワ/コールプで希望!ソーモワはやめてね。

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2008/04/12

新国立劇場の中村誠さん/パリ・オペラ座「ジゼル」DVD

新国立劇場バレエ団のソリスト、中村誠さんがブログを持っていたのは知っていましたが、しばらく更新されていませんでした。今日、お友達に「久しぶりに更新されている」って教えてもらって、見に行ったら、今まで契約ソリストとして、年間を通じて出演していたのを、来シーズン(9月)から、演目ごとの契約となる登録ソリストへと変更になるとのこと。

http://makotoballet.iza.ne.jp/blog/

登録ダンサーへの移行を決断したのは、誠さんが26歳となり、どこか日本以外の土地で踊ってみたいという願いを実行してみるタイムリミットだから、とのことだそうです。誠さんは、女性並みの美しい身体のライン、柔軟性に富み、伸びやかな表現力の持ち主です。新国立劇場の男性ソリストの中でも光る存在でお気に入りでした。今シーズンも、山本隆之さんの代役として「ラ・バヤデール」のソロル、そして「白鳥の湖」の王子と主演に抜擢されている主力ダンサーです。来シーズンから、見られる頻度が減ってしまいそうなのは少し残念ですが、彼の挑戦を応援したいと思います。

それから、最新のエントリでは、現在、新作であるデヴィッド・ビントレーの「アラジン」、そして「ラ・バヤデール」と2作品のリハーサルを平行して行っていると書かれています。「アラジン」ではランプの精・ジーニーを演じるそうで、どんな作品になるか楽しみですね。

*****

Balletto.netで、一昨年テレビ放映された、パリ・オペラ座の「ジゼル」がようやくDVD化されるとのお知らせが載っていました。ジゼル:レティシア・プジョル、アルブレヒト:ニコラ・ル=リッシュ、ミルタ:マリ=アニエス・ジロ、ヒラリオン:ウィルフリード・ロモリ、ドゥ・ウィリ:エミリー・コゼット&ローラ・エケ、ペザント・パ・ド・ドゥ:エマニュエル・ティボー&ミリアム・ウルド=ブラムと豪華なキャストです。エトワールが5人も!以前見せてもらったことがあるのですが、一番感銘を受けたのは、美しくも悲しいマリ=アニエスのミルタでした。レティシアは村娘の役がぴったりですね。4月28日に現地で発売されるそうです。

http://www.balletto.net/giornale.php?sezione=news&articolo=2076

2008/04/11

ロパートキナのインタビュー@TimeOut

NY出発前に紹介だけしたウリヤーナ・ロパートキナのインタビュー、ちょうどタイムリーなので訳してみます。例によって私の英語はいい加減なので、心配な方は原文をお読みください。今年1月、マリインスキーのワシントン公演のときにインタビューされたものです。

http://www.timeout.com/newyork/articles/performances/27688/a-swans-way

Time Out New York / Issue 651 : Mar 19–25, 2008
A swan’s way
The secret of a famous ballerina? Keep the glass full
By Gia Kourlas

Q.ロシアのバレエカンパニーでは、教師が生徒に深くかかわる伝統があります。あなたはイリーナ・チスチャコワとどれくらいの期間学んできたのですか?

A.4年間です。彼女についたときには、私は娘を産んだばかりで、さまざまな困難に直面していました。私はもっと注意を払い、集中的にトレーニングする必要を感じたのです。出産後私の体が変化し、以前よりも鍛える必要がありました。イリーナは、私とともにトレーニングに取り組んでくれる優しさがありました。

Q.なぜ彼女を選んだのですか?

A.彼女がどのようなダンサーだったかを覚えているからです。彼女は、特に技術的な面において素晴らしいバレリーナでした。もうひとつの理由は、彼女の教師としての成功を予測できたからです。私は、マリインスキーのほかのダンサーが彼女に学んだたしかな成果を見ることができました。どうやって彼女が彼らを鍛え、彼らがどのように改善したかも。具体的には、マリインスキーに所属していたあるカップルの例があります。彼らには才能はありましたが、役に恵まれませんでした。彼らはコール・ド・バレエに所属していましたが、イリーナと学び始めたところ、別のカンパニーに招かれ、主役を踊ることができるようになったのです。それはダンサーとしての技術面だけではなく、自分自身についてもっと冷静に、そしてもっと心地よくなったのです。それは、彼女のメソッドが有効だったからであり、私はそれを目の当たりにすることができました。

Q.それは具体的にはどんなメソッドだったのですか?

説明するのにはとても長くかかります。まるで一冊の本のようだから。それは、とてもヘルシーなシステムといえます。バレエにおいては、明らかに、背骨と位置関係と正しいポジションでのポーズのとり方の問題があります。彼女のシステム、彼女が解剖学的に見る方法は論理的なものです。それによって、人間の肉体は、要求されたことに実際に反応し、アラインメント(背骨と骨盤の正しい位置関係)とポーズ取りにおいて必要なすべてを理解できるのです。それによって人間の身体は進歩し、上手くいき、より早く向上するのです。

Q.あなたにとって、フレージングと音楽性において何が重要ですか?

ひとつの角度から答えます。まずは、すべては音楽に依存するものです。ダンサーが何を踊り、指揮者が音楽をどのように読み取り、オーケストラがどのように演奏するか、です。音楽そのものがエモーショナルな瞬間があることが私にとって重要です。その音が、私の中の感情に命を吹き込んでいることが重要なのです。ほとんどの時間、これらのニュアンスやアクセントはリハーサルの間につけられ、それから指揮者と話し合います。そのため、リハーサルでなされたのと同じように実際の舞台で表現され、観客に、スタジオで行われたのと同じ効果を上げることになります。しかしながら、同じ演目でも毎回違うこともあります。なぜならば、舞台の度、ダンサーや指揮者、そして教師によってそれぞれ違った感触があるからです。

Q.子供を持ったことは、あなたの芸術にどのように影響しましたか?

子供を生んだことで、私の人生に、そして私の芸術にはより深い意味が与えられました。すべてがもっとシリアスになったのです。とてもあいまいな答えですが、質問そのものもとてもあいまいですから。(と、ロパートキナは歯を見せないで微笑む)

Q。あなたのスピリチュアルな意味において、「瀕死の白鳥」はどのような意味がありますか?

これは、先ほどのあなたの音楽性について、そしてそれぞれのパフォーマンスがどのように変化するかについての質問に関連付けることができます。なぜなら、「瀕死の白鳥」には決まった物語がないからです。毎回、違ったアプローチをします。すべての小さな、微細な動きすらも、内面でどれだけの感情を作り上げたかによって変わります。私にとって、白鳥は、魂の状態をあらわすものです。だから、私の魂がその瞬間、どうなっているかによって変わるのです。

Q.このような、象徴的な役をどのようにして身につけたのですか?

「瀕死の白鳥」を準備するためのプロセスはとても長かったのです。私は、その時代にとても尊敬されていたダンサーたちに学びました。さまざまな本や、映像や写真を見て、それぞれから何かを得て私のヴァーションを作り上げました。他人から剽窃することは避けたかったのです。誰かから何かを奪って、そのダンサーからの動きを取ったことで責められたくはなかったのです。私は他の誰にも似ていたくない、私自身でありたいのです。

Q.元エイフマン・バレエのイワン・コズロフが今、あなたのメーンのパートナーの一人です。彼をどうやって発見したのですか?

私はそのときボリス・エイフマンのガラに出演しており、一緒に踊る予定のパートナーが怪我をしてしまいました。それはとても深刻な状況で、誰か別の人と踊らなくてはならず、その代役がイワンでした。他の人と違っていたのは、最初のリハーサルから、とても心地よかったことです。彼はとても注意深く、その舞台は、私たちが恋人同士として登場するものでした。私はいつも、舞台の上で私に的確に反応できる人を求めていました。舞台の上で私の物語を表現するための、何らかの理由を探すことが重要なのです。それは、私だけの物語ではありません。愛についての物語だとすると、私と単なるパートナーであってはなりません。(笑)それが、私たちが一緒に組み始めなければならない理由です。

Q.あなたは芸術監督になりたいと思ったことはありますか?そのような野心はありますか?

芸術監督はとても困難な仕事で、難しい役割であることはわかりますが、とても興味深い仕事です。芸術監督になった、かつての同僚たちを見て、どんな犠牲を払わなければならないのかもわかります。一般的に考えて、答えは、それはとても興味深く、そして私のキャリアの延長にとって重要なことであるということです。

Q.あなたは何かを変えるのですか?たとえばキーロフでは?

カンパニーの中で何かを変えるためには、必ずしも芸術監督になる必要はありません。アーティストとして、ひとつまたは別の方法で物事に影響を与えることができるからです。そして、何か違ったことをしたり、目の前にいる人物がやっていることを変えることも、必ずしも必要ではありません。自分の経験やビジョンを使って、既存のベースに付け加えることによってでも可能です。そして、自分の個々のアプローチとビジョンと、そこにあるものの上に構築することから、すべてが生まれるのです。

Q.クラシックのカンパニーのあるべき姿のビジョンはありますか?

ビジョンを提示する時間は私にはありません。私は、自分のポテンシャルを、舞台の上で踊ることに使っています。私にとって、それは最初の質問ではなく、私個人に向けられた質問です。私は自分のエネルギーを舞台のために使っています。今の私にとって、そのことがずっと重要だし、それがまた、私の人生です。もちろん、私は将来のことは考えていますが、今は自分のダンスに関心が向いています。もし何かを変えなければならないのだとしたら、それはプロセスであり、プロセスを経なければなりません。

Q.何がバレリーナをつくりますか?あなたは、数少ない、類まれなバレリーナとして存在していますが。

私は、観客が舞台の上で役者を観ることができるから、バレエは興味深いのだと思います。これが、バレエという芸術のアーティストであることについての重要な要素だと思います。ロシアでは、二つの言葉があります。ダンサーと芸術家です。私は芸術家でなければなりません。演じること、そして感情を運ぶことは、ダンサーの魂と、客席に座っている観客の間の直接的なつながりだからです。このつながりがあるからこそ、観客は、劇場に来て舞台を観て、舞台の上のダンサーがその動きやジェスチャーや踊りで何を表現しようとしているのか理解できるのです。私にとって最も重要なことは、観客とその直接的なつながりを作り上げることです。だから、私はイワンと踊りたいのです。彼は舞台の上にいるべき人です。私は彼を役者として見ました。そして、私は彼にチャンスを与えたいと思ったのです。

Q.あなたはどうやって舞台に備えますか?

スタジオの中での時間だけではなく、精神の問題です。次のステップで、心の中の何かが変わります。それが、私がイリーナと作り上げるものです。舞台に立つ前には、私は人生のシチュエーションについて考えます。私は病気になるかもしれません。舞台が始まる前に心の中で泣かなければなりません。私は、いくつかの経験を心の中にとどめて置かなければなりません。私はコップの水を取って、舞台が始まる前に満杯にしなければなりません(と、想像上のコップを手に取る)イリーナは、私がその精神状態を保つのを助けてくれることがあります。彼女は言います。「覚えている?あの日を思い出して御覧なさい」。そして私は泣き始めます(笑) ときどき、自分の力を使い、そして時々、自分の弱さを利用します。それはとても細い境界線です。同じように、観客も、いつも何が自分を感動させたのか言えるとは限りません。すべてはそのコンビネーションです。そして、これらの感情は言葉では言い表せないこともあります。芸術について語るのは難しいのです。それについて語ることはできますが、感じることしかできないものについて話すことはできません。

マリインスキーの昇進がオフィシャルに

テリョーシキナ、イワンチェンコのプリンシパル昇格の知らせは、ニュースなどでは伝わっていたものの、肝心のマリインスキー劇場からの公式発表がありませんでした。
やっとマリインスキー劇場公式サイトに、昇進したダンサーたちが新しい地位に表記されるようになりました。

ロシア語版 http://www.mariinsky.ru/ru/ballet/soloist

英語版 http://www.mariinsky.ru/en/ballet/soloist
(英語版は、プリンシパルのみ正しく、それ以下はまだ修正されていません)

Principals :
Viktoria Tereshkina ヴィクトリア・テリョーシキナ
Evgeny Ivanchenko エフゲニー・イワンチェンコ

First Soloists :
Olesya Novikova オレシア・ノーヴィコワ
Yevgenia Obraztsova エフゲニア・オブラスツォーワ
Alina Somova アリーナ・ソーモワ
Irina Golub イリーナ・ゴールプ
Vladimir Shklyarov ウラジーミル・シクリャーロフ
Nikita Scheglov ニキータ・シェゴロフ

Second Soloists :
Yulia Bolchakova ユリア・ボルシャコワ
Maxim Zyuzin マキシム・ジュージン
Anton Pimonov アントン・ピモノフ
Alexander Sergeyev アレクサンダー・セルゲイエフ

Coryphees :
Ekaterina Ivannikova
Daria Vasnetsova
Anna Lavrinenko
Anastasia Petushkova
Maria Shirinkina
Diana Smirnova
Andrei Ermakov
Alexeï Nedviga
Alexeï Timofeyev
Grigory Popov
Filipp Stepin
Sergei Popov

皆様、昇進おめでとうございます。特に、ヴィクトリア・テリョーシキナのNYでのパフォーマンスは、堂々たるもので素敵でした。イワンチェンコも、ロパートキナやヴィシニョーワという世界トップのバレリーナを立派に支えていました。ファーストソリストに昇進したオレシア・ノーヴィコワは残念ながらNY公演の途中で負傷し、残りの公演は出られなくなったそうです。早く良くなりますように。また、アリーナ・ソーモワはバヤデールの最終公演を降板し、ニキヤの代役はエカテリーナ・コンダウローワになったようです。

で、イワン・コズロフの地位は?ミハイロフスキーから入団したエレーナ・エフセーエワの名前もありません。

より詳しい昇進情報や入団、退団者についてはユーラさんのロシアのバレエ団情報をご覧ください。

2008/04/10

さらに予断を許さないマリインスキーの芸術監督問題

Ballet Talk経由の情報ですが、現在NY公演真っ最中のマリインスキー・バレエでは相変わらず芸術監督問題がくすぶっているようです。

以前のエントリーで触れたように、フォーキンプロの最終日の「シェヘラザード」において、急遽コルプに代わりイーゴリ・ゼレンスキーが出演することになったのは、やはりゲルギエフが無理やりニューヨークへ呼び寄せたようです。それも、ミハイロフスキー劇場へのゲスト出演をすることになっていたゼレンスキーを、舞台をドタキャンさせてまで。その上、「シェヘラザード」では御大自らが指揮をしたという。ちょうどゲルギエフは、メトロポリタン・オペラの「賭博師」の指揮のためにもニューヨークにいたんですよね。

サンクトペテルブルグのGORODという週刊誌の4月7日号では、このあたりのことがいろいろと出ているようです。その記事の記者Irina Gubskaya の話によると、今回のNY公演の芸術監督代行は、ロパートキナが務めたとのこと。そして、そのことは、多くのダンサーの怒りと混乱を招いたようで、次期芸術監督としてロパートキナが有力視されているものの、そのことがカンパニー全体に支持をされているわけではないようです。そのため、当面ワジーエフが留任するという話に安堵の声が上がったとか。NY公演にワジーエフが同行しないことは、今回のツアーのプロデューサーであるArdani ArtistsのSergey Danilianも知らされていなかったとのこと。

そして、ゲルギエフは、マリインスキーがフォーサイスの作品を取り上げていることについて「われわれの伝統の一部ではない」と嫌悪感を示し、と同時に、最近の新作のいくつかについても満足していないと表明しました。彼はグリゴローヴィチの作品に興味を示していたようです。現在のマリインスキーのポリシーとしては、プティパ作品、バランシン作品、最近の先進的な振付家によるコンテンポラリー、そして少数のロシア的な作品とのことですが、もしこのポリシーをゲルギエフが否定したとしても、ゲルギエフ自身には対案がないのではないか、とこの記事を書いたライターは指摘しています。何しろ、ブルノンヴィルのようなロシア以外の古典バレエが存在すること事態、ゲルギエフは知らないそうだから、ということで、記者はかなりワジーエフに同情的です。

とにかく、このゴタゴタが早く片付いて、ダンサーたちが舞台に集中できますように。そしてロパートキナには、芸術監督になるよりバレリーナのキャリアを極めて欲しいと願っています。最近、まだまだ踊れるのに芸術監督になってしまうダンサーが多くて、観客の一人としては残念に思ってしまいます。

**********

閑話休題。
現在発売中のAERA [ 2008年04月14日号]に、こんな記事が載っていました。
「女子たちのバレエ献身愛-5大バレエ団が次々来日する理由」

歯医者の待合室でたまたま見つけたのですが、バレエ鑑賞に年間100万円以上つぎ込んでいる女性たちの話でした。バレエを見るために節約したり、DVDの価格比較をしたり、ポイントを貯めてマイレージにしたり。日本における海外バレエ団の公演は、ほとんどの場合8割以上の動員率があるということ、そして海外では富裕層がバレエを見るのに対し、日本では主に30代後半から50代の女性が観客の大半を占めているということ。ジャパンアーツの人のコメントもあって(写真はABTジュリー・ケントの「海賊」の花園のシーン)、海外のバレエ団からは、日本の観客の目は肥えているという定評があるということだそうですが。
そういうわけで、今年、世界5大バレエ団のうち4つも来日するという話でした。今年来日するパリ・オペラ座、ロイヤル・バレエ、ABT、ボリショイに加え、今年は来ないマリインスキーを合わせて5大バレエってことでしょうね。
いずれにしても、耳が痛いというか、笑えない記事です(苦笑)。

2008/04/09

ハンブルク・バレエ2008/2009シーズン

ハンブルク・バレエ2008/2009シーズンが発表されました。
http://www.hamburgballett.de/e/spielplan_08_09.htm

新作として、ラコット振付の「ラ・シルフィード」、そして「アルミードの館/春の祭典」があります。

「アルミードの館」はミハイル・フォーキン振付をベースにしたノイマイヤー作品です。「春の祭典」はミリセント・ホドソンが復元したニジンスキー版です!2009年6月28日がプレミア。これはものすごく興味があります。

リバイバルとしては「シルヴィア」、「ダフニスとクロエ」そしてノイマイヤー版の「春の祭典」「牧神の午後」。

レパートリーは「オテロ」「ヨゼフの伝説」「人魚姫」「クリスマス・オラトリオ」「くるみ割り人形」「ヴェニスに死す」「ニジンスキー」「マタイ受難曲」「椿姫」です。いつも以上に魅力的ですね。とくに「ニジンスキー」!これは本当にまた見たい作品です。

2009年5月19日には、バレエリュス100周年記念のガラがあります。

そしてツアーの予定。日本公演の予定が入っています。
Tokyo, Yokohama, Nagoya, Osaka, Hiroshima, Fukuoka
2009年2月12日から3月7日までとのことです。前回の来日公演では、東京の公演がすべて平日になっていましたが、今年は土日が入りますように!演目の記述はありませんが、楽しみですね。

大嶋正樹さん、東京バレエ団を退団

古川和則さんのブログで報告がありましたが、東京バレエ団のプリンシパルだった大嶋正樹さんが退団するとのことです。大阪の「ドナウの娘」が最後になるそうで。

大好きなダンサーだった、独特の色気のある大嶋さんが去ってしまうのは本当に寂しいことです。もちろんダンサーは続けられるようですし、夏の新潟県中越沖地震チャリティーバレエガラコンサートや、5月18日の松本道子バレエ団への出演などの予定もありますので、これからも応援したいと思います。怪我の回復も順調のようで。

それにしても、古川さんの、「よきライバル」のエピソードは泣けます。

古川さん、大嶋さんと好きなダンサーが減っていき、多分これから東京バレエ団の公演を観ることも減ってしまうだろうな。

2008/04/08

セルゲイ・フィーリンの引退

The Moscow Timesでのボリショイ・バレエ「ラ・シルフィード」「ザ・レッスン」のレビューの中で、セルゲイ・フィーリンの引退の件について触れられています。

http://www.themoscowtimes.com/stories/2008/04/04/103.html

Filin departs at the end of this month, following an illustrious 20-year career in which he has frequently been hailed as the Bolshoi's finest male exponent of classical roles, as well as the sort of partner every ballerina might wish for, and moves on to become ballet company artistic director of the Stanislavsky and Nemirovich-Danchenko Musical Theater.

「フィーリンは今月末にボリショイに別れを告げる。ボリショイの古典における役柄の最良の男性継承者として、そして同時にすべてのバレリーナが望みうる理想のパートナーとして賞賛された20年間の輝かしいキャリアに終止符を打つ。そしてスタニスラフスキー・ネミロヴィチ・ダンチェンコ音楽劇場のバレエ芸術監督に就任する」


フィーリンは正式にボリショイ・バレエを今月末で引退するとのことです。彼の舞台の最後の一つになった「ザ・レッスン」見てみたかったです。バレエ教師が教え子を殺してしまうというダークな話で、「Kings of The Dance」公演で上演されたことでボリショイのレパートリー入りした作品です。

それにしても、本当に彼の引退は残念です。ダンチェンコでの芸術監督としての成功を祈ります。そして、年末のボリショイの来日公演にはゲストとしてでも出演して欲しい・・・。

ニューヨークから帰ってきました

朝6時半のワシントン行きの便に乗り、そこからANA直行便で帰国の予定でした。本当はもっと遅い便だったのですが、ワシントン行きの予定の便がキャンセルされたので、そんな早朝になったのです。一睡もしないで朝5時にラガーディア空港に着いてチェックインしようとしたところ衝撃の事実が。。

朝6時半発のワシントン行きユナイテッドがキャンセルになり、次の便ではANA便に間に合わないので、朝8時発のシカゴ行きに振り替え、シカゴからユナイテッドで帰国しろというのだ。これで二度目のキャンセルの上、何のために徹夜して四時半に出発したのかしかもシカゴだと当然遠回りだし、アメリカ系航空会社には乗りたくないんですが。。これだから、マイレージの無料航空券は不便ですよね。

とりあえずチェックインしてゲートまで行きふて寝。まだ乗客は誰もいなくて怖かったけど眠気に勝てず手荷物の上に丸まって一時間半くらい寝ました。 シカゴのオヘア空港はユナイテッドのハブのくせに免税店に口紅の一本も売っていないひどいところでした。

という感じの帰国は結構大変だったのですが、やっとゆっくりお風呂に入れて一息ついたところです。

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わずか2日半の滞在でしたが、素晴らしい舞台を堪能できて大満足でした。毎回アメリカに行くときには時差ぼけに苦しむのですが、今回いいタイミングでメラトニンを飲んだのと、舞台の内容があまりにも良かったので眠くなる暇なんてありませんでした。バレエを見ていないときには、現地在住のお友達とご飯を食べたり、メトロポリタン美術館やノイエ・ギャラリーやミーシャの写真展に行ったりして、楽しむこともできたし。(お金がなくて、せっかくの円高メリットを生かしたお買い物はできなかったけど) お世話になった皆さん、ありがとうございました!

カメラマンのGene Schiavoneさんが、今回のマリインスキーNY公演の写真を撮影していますので、いずれ彼のサイトにアップされると思います。現在もアップされているんですが、パスワードがかかっているんですよね。
http://www.geneschiavone.com/gallery/main.php

客席には、その日出演していないダンサーもいれば、他のバレエ団のダンサー、そして元ダンサーもたくさん見かけました。この間サイン会で日本にいたジリアン・マーフィも見かけましたよ。あと、イリーナ・コルパコワとヴェロニカ・パルト(元マリインスキー)、それからヴィクトリア・テリョーシキナ、エカテリーナ・コンダウローワ、ほか何人か非番のダンサーが。一般のお客さんも、ロシア人率が非常に高く、カーテンコールの熱狂振りはABTのNYでの公演でも見られないほどのもの。それから携帯電話がしょっちゅう鳴っていたのには困りました。鳴っていても止めないんですよね。

Ballet Talkを読んだら、私が観なかったフォーキンプロの最終日、シェヘラザードはゲルギエフが振ったそうです。カーテンコールにも登場したとのこと。そして、ゼレンスキー、素晴らしかったようです。残念だけど仕方ないです。もう観る機会もないのかなあ。

NewYorkTimesにアレイスター・マコーリー氏によるフォーキン・プロの批評が載っていますが、ショピニアーナ以外はものすごく辛口です。
http://www.nytimes.com/2008/04/07/arts/dance/07kiro.html?_r=2&scp=2&sq=ballet&st=nyt&oref=slogin&oref=slogin
シェヘラザードはキーロフではなくトロックスが踊るべき演目、とかよく言うわ。この人は古典が嫌いでバランシン好き、かなり偏っているんですよね。

さて、明日からまたお仕事がんばります。4月はバレエ公演が全然ないので、落ち着いて仕事に専念できます。

2008/04/07

イワン・コズロフのインタビュー

ニューヨークで買った雑誌TimeOutにイワン・コズロフの短いインタビューが載っていて、面白かったので紹介します。

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題名に25歳のキーロフのプリンシパルってありますが(米国では今でもマリインスキーのことをキーロフと呼ぶ)、プリンシパル待遇で入ったとは思えないけど…まだマリインスキー公式サイトには位が載ってないのですよね。この写真を見ると、恐ろしいほどの美貌の持ち主なのですが。

Q.キーロフに参加する前、あなたはボリス・エイフマンのカンパニーにいましたね。ドラマチックな作品を中心にしていて、クラシック・バレエの厳格さとは少し距離がありますよね。キーロフの一員であることに慣れるのは大変ですか?

契約書にサインするまで、僕は信じられなかった。突然空から僕の膝の上に落ちて来たんだ。でも決心するのは難しかったよ。(キーロフは)あまりにもレベルが高いし、引き受けた仕事にはあまりにも大きな責任がある。未だに信じられないし、踊ることを楽しんではいないんだ。なぜなら、自分の踊りには満足できていないから。自分の腕も、脚も気に入っていないから。大きく変わらなくちゃいけないと思ってる。すごく大変だし何もかも違うけど、手にしなければならないチャンスだったんだ。挑戦しないことは誤りであることは確信していた。善きにつけ悪しきにつけ、挑戦しなければならない。(笑)母は僕を誇りに思ってくれているよ。

Q.ロパートキナと踊るとき、どうやって彼女と繋がりますか?

僕は彼女を感じ、彼女が何を感じているかを感じている。それはダンスではなく、舞台の上で生きているようなものだ。別の人生、それが僕にとってのダンスだ。

Q.舞台に立つ準備は何をしますか?

涙を流す。メイクをする。ウォームアップする。そして頭に物語をしっかり入れて舞台に上がるんだ。


コズロフはとても真面目な人のようです。いきなりロパートキナというスーパースターのパートナーとして、異なる芸風のマリインスキーに放り込まれた苦労やプレッシャーは並大抵のものではないでしょう。

シェヘラザードを見た限り、古典中心のカンパニーの中で真ん中を踊るには物足りないところはたくさんあるように思えました。体を絞り込む必要もあるようだし。しかし、彼にはロパートキナが惚れ込むだけの何か、光るものがあるのもわかりました。これからの彼の飛躍に期待したいです。

追記:まだまだ続くマリインスキーのNY公演、コズロフは次は4月9日にロパートキナ、コールプと「海賊」のパ・ド・トロワを踊ります。役柄は明記されていませんが、多分アリがコールプで、コズロフはコンラッドでしょうね。なんという豪華な配役なのでしょう。

さらに追記:
原文はオンラインで読めます。
http://www.timeout.com/newyork/articles/performances/28180/3-questions-forivan-kozlov

2008/04/06

4/5 ソワレ マリインスキー・バレエ「フォーキン・プロ」

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ショピニアーナ Chopiniana

マズルカ エカテリーナ・オスモルキナ
プレリュード Yulia Bolshakova
ヴァルス ヤーナ・セリーナ(イリーナ・ゴールプの代役)
若い男(詩人) イーゴリ・コルプ

幕が開くと、美しい妖精たちがポーズしている深い森。その真ん中で一人怪しく目を光らせた男、もとい詩人がいる。コルプ、やっぱり怪し過ぎ。シュ・スーで立っている姿も、ポール・ド・ブラも美しいのに・・・。詩人らしく、目を半分伏せたロマンティックな表情を作ろうとしているのは良く分かるんだけど、「ロマンティックな狂気」というのがふさわしいかもしれない。彼はテクニックはいつ見ても素晴らしくて、伸びのあるアラベスクもラインがきれいだし、足の甲がすごく出ていてつま先がキレイ。アントルラッセをしながら足を2回打ち付けるなんていうのも易々とこなしている。マリインスキーの人はみんなそうだけど、足音はさせない。サポートは、ダニーラほどのていねいさはないのだけどやっぱり上手で、ヤーナ・セリーナをものすごく長い時間持ち上げていた。詩人という役は、非常にサポートが難しい上、音楽性も要求されており、音にピッタリあわせて歌うように動きながら、左へ右へとサポートしなければならず、もちろんあわただしさなど微塵も見せてはいけない。そういったところでも本当にお見事なのだが・・・でもやっぱり狂気に憑かれた詩人なのだ。
やはりオスモルキナとヤーナ・セリーナがファーストキャストのようで、オスモルキナの軽やかで愛らしい舞い、セリーナの音を目一杯伸ばしての伸びやかな動きが快い。ショピニアーナはマリインスキーが誇るべき至宝。初っ端からものすごい大喝采。

薔薇の精 Le Spectre de la Rose

レオニード・サラファーノフ
ヤナ・セリーナ

サラファーノフの衣装は、濃いピンクにスイムキャップ。あの衣装を着た姿を見て、改めて彼は本当に華奢で少年のような体型であることを再発見。腕なども本当に細く、あの身体でよく女性をリフトできるなと思った。テクニシャンとして知られる彼のことだから、跳躍も勿論大きいし、アントルシャ・シスも高い。ピルエットは何回でも回れるし、トゥールザンレールはお手の物。しかしそれだけではダメというのが薔薇の精であり、サラファーノフはまだまだだと思った。ポールドブラがあまりきまらない。何も間違った事はしていないのだけど、こぼれるようなつぼみのふくらみを感じさせてくれないし、子供っぽくて色香を感じられないのだ。ほっそりとしているので、男性性は全然無いし、爽やかといえば爽やかなんだけど・・・。身体能力やテクニックは並外れている彼のことだから、何年かすれば素晴らしい薔薇の精を見せてくれるかもしれない。

瀕死の白鳥 The Dying Swan

ディアナ・ヴィシニョーワ

客席にディアナのママを発見。本当に娘にそっくりの、若くてきれいなお母さん。さて、ヴィシニョーワの瀕死の白鳥を見るのは初めてなのだが、マチネにロパートキナを観てしまったばかりなので、かなり不利である。まず、体型の問題。筋肉質でやや怒り肩のヴィシニョーワは、白鳥のチュチュがあまり似合わない。特に肩のラインがやや美しさに欠ける。腕の動きは、波打ってくねくねしており、緩やかでしなやかなロパートキナとはまるで違う。生そのものの象徴のようだ。彼女の白鳥は強く、死を前にしてなお、戦う強い意志が前面に出ており、終盤はかなり激しく翼を上下させる。最後に腕を伸ばし、その先を見つめたまま絶命するところからも、最後まで決して諦めることなく生への執着を見せた。ヴィシニョーワは生(命)のバレリーナなんだなって思う。

シェヘラザード Scheherazade

ゾベイダ ウリヤーナ・ロパートキナ
黄金の奴隷 イワン・コズロフ
シャリアール王 ウラジーミル・ポノマレフ
シャー・ゼーマン Soslan Kulaev
宦官 イーゴリ・ペトロフ
オダリスク Kusenia Dubrovina Ryu Ji Yeon Maria Lebedeva

マチネ公演におけるロパートキナの官能性に驚かされたのだが、彼女の引き出しはそんなものではないことを強く感じさせられたソワレであった。インタビューで、コズロフが自分とぴったり合うパートナーであることを公言しているロパートキナだが、この公演を観てそれが非常によく分かった。

ロパートキナのゾベイダが、シャリアール王の寵愛を受けて贅沢な暮らしに倦み、王への愛はあるものの、窮屈さや孤独を感じているところまでは同じ。しかし今回のゾベイダは、ずっと激しく強く、官能におぼれる一人の女であった。ゾベイダが唯一の話し相手であると思われる女官に切々と話しかける姿に、かごの鳥である彼女の淋しさ、満たされない思いを感じてはいた。ハレムの女たちが宦官を買収して奴隷達を解放するところで、突然彼女に火がついたようであった。シャリアール王が出陣する前に彼女に贈った真珠のネックレスを、受け取った時にはとても嬉しそうにしていてそれにくちづけをしているのに、宦官長を買収するために、いとも簡単に、投げ捨てるようにホラ!と与えてしまう。そして満面の笑みで黄金の奴隷の檻を開け放つ。

そこでコズロフ演じる黄金の奴隷が飛び出してポーズを取る。でかい。イワンチェンコよりも大きい。狭いシティセンターのステージが、ますます狭く見える。しかも、あまり言いたくないけど、肌がとても白いこともあり、お腹の辺りがムチムチしている。英語で言えばout of shapeである。彼よりずっと年が上であるはずのコールプやイワンチェンコは引き締まっていたのに。が、このコズロフの奴隷は、美しい顔に不敵な笑みをうかべている。奴隷なのに、傲慢さすら感じさせる。彼はゾベイダの愛を信じて疑っていないし、自分の魅力に絶対的な自信を持っている。その上、奴隷達のリーダーとしても君臨している。たしかに、他のどの奴隷よりも大きい。そんな黄金の奴隷に、ゾベイダは身も心もメロメロになっており、心底惚れこんでいる。身をくねらせる姿の美しく妖艶なことといったら!艶然と微笑み、大きく腰をそらせ、奴隷の求愛を全身で受け止める。何だか見てはいけないものを見てしまった気分だ。だが、そんなロパートキナは輝くばかりに美しい。氷の女王の魔法が解けたかのような微笑の魅惑的なこと。驚くべきことに、この二人のベクトルはピッタリと合っている。二人がユニゾンで踊るところの揃い方が凄い。

古典のテクニックが不安視されていたコズロフであるが、思ったよりは踊れていた。何しろout of shapeなので、跳躍などは非常に重そうである。重そうなのだが、跳躍そのものはとても高いし、足音もしない。終盤には爆発的なエネルギーを発揮し、ピルエット・ア・ラ・スゴンドは見事に決まった。5回連続の、トゥール・ザン・レール連発も決まった。身長も190センチを超えているような大柄さであるため、跳躍の軌跡の美しさや、ポーズ一つ一つの美しさはマリインスキーのほかのソリスト級ダンサーからは明らかに落ちると思われるが、迫力はあり、狭いステージがさらに狭く感じられるほどだった。彼には、他のダンサーには無い何かがある。そして、そこにロパートキナは惚れ込んだに違いないと思った。それは、いい意味での型破りな面であり、野性味であり、色香である。終盤のクライマックスで何かが弾け飛んで彼自身が解き放たれたようだった。一匹の野獣がそこに姿を現したのだ。陳腐な表現であるが、ニジンスキーの黄金の奴隷の写真が残されている。その陶酔した表情と、コズロフの表情がとても似ているような気がした。ニジンスキーが踊る姿の映像は残されていないから、実際に彼がどんな感じだったのかは知るよしもないのだが。

去年のボリショイ&マリインスキー合同公演で「三つのグノシェンヌ」や「薔薇の死」といった静かなコンテンポラリー作品でコズロフを見たときには、こんな彼の姿を見られるとは夢にも思わなかった。その時は少なくともout of shapeではなかったし。わずか半年の間に、こんな風に人は変わるものなのだ。

クライマックスで中心になって踊るロパートキナの艶やかで、あふれ出る情熱を抑えられない姿。黄金の奴隷に水を飲ませる場面のエロティックなこと。そして二人は手に手を取り合ってキスをして、愛し合おうとしたところ、シャリアール王が帰還して狂乱の宴は一瞬のうちに大殺戮の現場となる。黄金の奴隷が倒され、ゾベイダは逃げようとするが王の手下に阻止される。王に甘えて(またこの甘える表情が可愛らしい)許してもらおうとするが、黄金の奴隷がシャーゼーマンに足蹴にされるのを見て、マチネとはうって変わって、激しく逆上。生きていても仕方ないとナイフを身に突き立てるときのロパートキナの放心したような表情には忘れがたいものがあった。

こんな感想を持った人は少数派だと思う。多くの人は、「ロパートキナはいつになくすごく情熱的でセクシーだった」「イワン・コズロフは身体は大きくハンサムだけど、ちょっと太りすぎだし、テクニックも落ちるし、なんで主役をやっているのか分からない」と感じたものと思われる。でも、ひょっとすると、彼も化ける日が来るのではないか。他のマリインスキーのダンサーにはない、強烈な何かを持つ人であると、私は強い印象を受けた。この公演を見ることができて良かったと思う。ロパートキナは、もしかしたら次期マリインスキーの芸術監督になってしまうかもしれないし、そしたらいつまで踊ってくれるかも分からない。コズロフは、マリインスキーでの立場が不安定で、いつまでこうやってここで踊っているかも分からない。非常に貴重な珍しいものを見せていただいた気分。

(でもその前にコズロフくんは痩せましょう。折角の美男子なんだから)

というわけで、ついに3日間のマリインスキー祭りが終了。コルプ祭りというのは事前に予想はしていたのだけど、それ以外にも、ダニーラの魅力再発見、マリインスキーの底力、そしてロパートキナ&コズロフコンビの凄まじい目くるめく世界と、十分すぎるほど楽しむ事ができた。いつか、日本でもフォーキンプロは実現させて欲しい。シティセンターの小さなステージでもできたんだから、不可能な事はないはず。古典以外は客が入るかどうかが不安なところではあるのだが、マリインスキー=白鳥の湖という馬鹿の一つ覚えはもう止めにして欲しい。

4/5マチネ マリインスキー・バレエ「フォーキンプロ」

ショピニアーナ
マズルカ Daria Vasnetsova
プレリュード Yulia Bolshakova
ヴァルス Nadezhda Gonchar(イリーナ・ゴールプの代役)
若い男(詩人) ダニーラ・コルスンツェフ

もうダニーラ素敵♪ダニーラLOVE♪に尽きる。ダニーラの詩人は完全にはまり役。ロマンティックで、夢見るようでいて、繊細でエレガント。あの大きな身体なのに音楽性は見事なものだし、指先からつま先までとても美しいラインを描いている。優雅な弧を描くポール・ド・ブラにもうっとり。加えて、リフトの優しさ、大事な宝物のように女性をリフトする技術。空に完全に浮いているように見えるのだ。見ているととても切なくなる。昨日のコルサコフも決して悪くはないのに、ダニーラとはもう比べ物にはならない。女性キャストは昨日よりもさらに若手キャスト。オスモルキナのような華はないものの、一人一人が音楽を奏でており、音楽を可視化した振り付けであることが良く分かる。東京で見る「レ・シルフィード」とは全くの別物。

薔薇の精

アントン・コルサコフ
Nadezhda Gonchar(イリーナ・ゴールプの代役)

昨日の「ショピニアーナ」でコルサコフはムチムチしていると書いてしまったけど、薔薇の精の衣装を着た彼を見て、実際には全然ムチムチしていないのが分かった。ダニーラのスタイルが良すぎたのだ。コルサコフは顔が丸いのでそう見えるだけである。彼の薔薇の精の衣装は、真紅といっていいほどの真っ赤なもので、キャップというより、花の冠を被っていて、神話に出てくる妖精のように中性的な印象。若くて色白でかわいい顔立ちなので、とても甘くてフレッシュで、素敵な薔薇だと思った。跳躍力もテクニックもある人だし、ポールドブラもきれいだし、後半少々スタミナ切れしたところが見受けられたけど、合格点を十分あげられる。昨日のコルプの毒気むんむん薔薇を見た後だからか、余計爽やかにみえて、これだったら少女もきっと甘やかな夢を見られるだろうなと思った。

瀕死の白鳥
ウリヤーナ・ロパートキナ

再びロパートキナの薔薇の精。やはり毎回少しずつ演技を変えて踊っている。昨日よりは意志が強く抗う気持ちがありながらも、従順に死すべき運命を受け入れる気高い白鳥。流れるような腕の使い方は至芸だし、いったい肩や肩甲骨の関節はどうなっているのかと思うほどの折れ曲がり方をしており、ここまで深く傷ついてしまったのなら、もはや死ぬ事が1つの救いになるのではないかと思わせる姿、それでも生きようという意志と、死を受け入れようという気持ちが戦っているのが見える。きっと彼女の瀕死の白鳥は、踊った数だけヴァリエーションがあるに違いない。したがって、何回でも観たくなる。

シェヘラザード
ゾベイダ ウリヤーナ・ロパートキナ
黄金の奴隷 エフゲニー・イワンチェンコ
シャリアール王 Soslan Kulaev
シャー・ゼーマン アンドレイ・ヤコブレフ
宦官 イーゴリ・ペトロフ
オダリスク Kusenia Dubrovina Ryu Ji Yeon Maria Lebedeva

ロパートキナのゾベイダの役作りが非常に興味深かった。この日は、マチネ、ソワレともゾベイダをロパートキナが踊った訳だが、まず、相手によってこんなにもアプローチを変えるという事に驚愕。(ソワレのロパートキナがあまりにも凄かったので早くソワレのレポートを書きたいのだけど) ロパートキナのゾベイダは、後宮の女王の誇り高さを持ちながらも、非常に官能的で甘え上手な女性。大きな目を見開いた表情が、どこかむなしさと孤独感を漂わせ、寝床の横に置いた鳥かごが、籠の鳥である彼女の立場を物語っている。驚くべきことに、あのヴィシニョーワよりもセクシーなのである。
しかし問題は、イワンチェンコ。イワンチェンコは非常に大柄で立派な肉体、容姿も整っていて奴隷姿が絵になる。テクニックも悪くない。だけど演技面で明らかに温度差があるのだ。彼はひたすら女王様にかしづく奴隷であり、常に卑屈で、ゾベイダ様に命令されているから仕方なくお相手をしているというのが見えてしまう。もちろん、黄金の奴隷というのは奴隷なのであり、ご主人様の言うとおりにするのは正しい解釈。それでも立派な身体を地面に這わせ、従順に従う姿に野性味は無い。前の日にコルプを見てしまったので、非常に物足りない。ロパートキナが色っぽく身をくねらせ、誘っているのになかなか同じペースで付いてこない。奴隷の美しさの1つに被虐美というのがあって、美しく強い男を屈服させるというサディスト的なところに、観客を痺れさせるものというのがあると思う。そういう意味で、イワンチェンコは外見は合格。だけど、反抗的な面、野性的な面が無い奴隷というのはあまり面白みが無く、ロパートキナの熱演が浮いてしまう形になった。ソワレを見て、マチネのロパートキナはまだまだ本気を出していなかったのが分かってしまったのだが・・・。
マリインスキーの底力は、群舞に発揮されている。奴隷の男達の荒々しいトゥールザンレールの迫力、3人のオダリスクのキャラクターダンスの見事さ。あのしなる背中、アクセントのつけ方、絶品。宦官の演技も面白いし。加えて、全体的にいえることだけど、オーケストラの演奏が本当に素晴らしく、特に「シェヘラザード」の美しいヴァイオリンの音色、金管楽器に豊かなふくらみと迫力があり、聴き応えがたっぷりあった。

2008/04/05

4/4 マリインスキー・バレエ「フォーキンプロ」

ショピニアーナ
マズルカ エカテリーナ・オスモルキナ
プレリュード Yulia Bolshakova
ヴァルス ヤーナ・セリーナ(イリーナ・ゴールプの代役)
若い男(詩人) アントン・コルサコフ

若手中心のキャスト。まず、コールドの揃い方が素晴らしい。それから、上半身、特にポール・ド・ブラの美しさ!皆柔らかいのだけど、やわらかすぎるわけでもないところが気に入った。その上、足音が全然しない。ロシアのポアントを履いているのに何で音がしないんだろう! マズルカのオスモルキナは、跳躍の多い役で、ふわりふわりと舞っていて本当に空気の精のよう。アントン・コルサコフは昨日のパキータでもソーモワ相手に健闘していたけど、今日も素晴らしいサポートと、足音をさせない大きな跳躍を見せてくれた。5番でのシュスーで立っている姿も美しいし、ポール・ド・ブラも「薔薇の精」に通じる柔らかくきれいな形で、いいダンサーなんだけど顔が丸く(太ったディカプリオみたいでかわいいのだけど)太ももが太いのが見た目ちょっと損している。時差ぼけでこの演目、寝たらどうしようと思っていたんだけど、何よりもダンサーみんなの音楽性が素晴らしく、見ごたえたっぷりで眠くなる事は一切無かった。

薔薇の精
イーゴリ・コールプ
ヤーナ・セリーナ

さっき出ていたヤーナ・セリーナが再びゴールプの代役で登板。柔らかく繊細なポール・ド・ブラ、少し大人っぽいけど整った美しい容姿。コールプの薔薇の精は何回も見ているけど、見るたびに印象が違っている。今日も、口ひげつき怪しいバージョンなのだけど、毒気は少し抜けた感じ。前に見たときのような人さらいのお兄さんではないけど、物の怪ではある。あの異常に柔らかい長い手脚、後ろ脚が高い伸びやかなアラベスク、沈み込むプリエ、1つの至芸になっている。

瀕死の白鳥
ウリヤーナ・ロパートキナ

これもロパートキナの18番なのだけど、毎回印象が違う。今回は強さより儚さを感じさせた。夜の闇に溶けそうな繊細な腕、震えるようなパ・ド・ブレ。弱り果てながらも、意志の強い突き刺さるようなアラベスク。死に至る時にすこし上を見上げてため息を付くのではなく、地を見つめて自分の運命を悟り、静かに消えていく白鳥。やはり生で観ると毎回涙してしまう。

シェヘラザード
ゾベイダ ディアナ・ヴィシニョーワ
黄金の奴隷 イーゴリ・コールプ
シャリアール王 ウラジーミル・ポノマレフ
シャー・ゼーマン アンドレイ・ヤコブレフ
宦官 イーゴリ・ペトロフ
オダリスク Kusenia Dubrovina Ryu Ji Yeon Maria Lebedeva

某動画サイトで夢中になったコールプの黄金の奴隷、やはり凄かった。凄まじいとしかいいようが無い。さっき薔薇の精を踊ったばかりなのに。グランジュッテの時の背中のしなり方は何!頭と腰が着きそうなほど。スピード感が凄い。しなやかに地を這う姿は、ニジンスキーの有名な写真を髣髴させる。野獣のような瞳。その獰猛さは、女主人ゾベイダにはかしづいて従順に見えども、飢えた獣のように彼女の身体をまさぐり、鋭い爪を隠し持っている。ところが、中盤でゾベイダと濃厚なキスを交わしてからは、いきなり純愛モードに突入。ヴィシニョーワが女王様としてクールに振舞うところを、彼がいとおしそうに、包み込むように愛し合っている。ゾベイダは身をくねらせて快楽を感じながらも、自分が絶対的に上位に君臨している。なので、意外とエロス度は低い。

クライマックスの炸裂するコールプの踊りが凄すぎた。ピルエット・ア・ラ・スゴンドの凄絶な連続技、大きく背中をそらせながらも切れ味鋭いジュッテの左右への繰り返し、その体力、最後まで全開のテクニックには驚愕せざるを得ない。炎のような、全てを焼き尽くすかのような舞い。舞台の途中なのに観客の興奮することといったら!舞台が余りにも狭すぎるのがもったいない。

奴隷が帰って来たシャリアール王に殺されてから、急にゾベイダが彼の死に深く傷つき、ようやく彼を愛していた事に気が付くというのが今回の物語。最初のシーンでもやけにシャリアール王に甘えん坊になっていたゾベイダは、命乞いの時に再び甘えるそぶりを見せるけど、改めて彼の死を実感すると自害する。

コールプのシェヘラザードは進化し続けている。日本でこれが見られる日が来ることを願わずにはいられない。なんとなく、「ルジマトフのすべて」でいずれ披露してくれるんじゃないかという予感がするのだが。

2008/04/04

4/3マリインスキーバレエ「プティパ・プログラム」

NYは超寒いです。冬のコートを持って来たのに。冷たい雨も降っています。

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今観て来て帰って来たところです。「ライモンダ」「パキータ」そして「ラ・バヤデール」の影の王国というプティパ・プロの最終日。
やはり、キャストの変更が相当あったようです。プレイビルでは、明日のシェヘラザードがコルスンツェフとなっていましたが、紙が挿入されていて、予定通りコルプになりました(ほっとした反面ダニーラの黄金の奴隷も観たかった)。そして、なんと日曜日の黄金の奴隷はゼレンスキーですよ。びっくり。やはりコレゴワは来ていないのと、どうやらイリーナ・ゴールプが怪我したようで全日程降板。ドミトリー・プハチョフも不参加のようです。
NYに来ているダンサーが少ないせいか、ソリスト級も一日に何作品も踊ります。昨日はなんと「パキータ」の第5ヴァリエーションがヴィシニョーワだったようです。なんという贅沢。(パキータはテリョーシキナ)。また、「ライモンダ」はノーヴィコワだったようですが、いくらなんでもそれは荷が重そうですよね。それでいて、ノーヴィコワは今日のライモンダの群舞と影の王国の影のヴァリエーションですよ。みんなよく働きます。

ライモンダ三幕

ライモンダ:ヴィクトリア・テリョーシキナ
ジャン・ド・ブリエンヌ:ダニーラ・コルスンツェフ
ヴァリエーション:ナデジダ・ゴンチャール(イリーナ・ゴールプの代役)

テリョーシキナもヴィシニョーワも当然のごとく素晴らしかったのですが、やはりライモンダのダニーラが最高にステキでした。うっとり〜。本当に彼は脚が長くて美しい。エレガント。思わず目がハートになってしまいました。あんなに紳士的で騎士の役にぴったりなダンサー、観たことないかも(ルグリくらい?) ヴァリエーションもダイナミックで素晴らしい。ダニーラの全幕、観たいよう。。。帰り際にソレらしき人を観たんだけど、野球帽?みたいなのを被っていたので確認出来ず。
テリョーシキナのライモンダは、手を一切鳴らさないロシアン仕様で、アカデミックを絵に描いたような正確な踊り。この人は本当に上手い。でも,優雅さや余裕といった面で、さすがにまだロパートキナの域には達していないかな。パキータのヴァリエーションも、背中が柔らかくて、身体から音楽が聞こえて来るようで素敵でした。

パキータ グラン・パ・ドゥ・ドゥ

パキータ:アリーナ・ソーモワ
アントン・コルサコフ
ヴァリエーション:オレシア・ノーヴィコワ
エカテリーナ・コンダウローワ
Valeria Martynyuk
エカテリーナ・オスモルキナ
ヴィクトリア・テリョーシキナ

パキータは(今まで新聞の批評やBallet Talkなどで下品とか醜いとか、ワジーエフがいなくなったら地方のバレエ団へと追放されるだろうとか。ザハロワやボロチコワの安っぽいコピーとかさんざん罵倒されて来た)ソーモワが一応主役ではあるものの、パキータのヴァリエーションはテリョーシキナが踊っていました(笑)あの音楽性をソーモワは出せないでしょうからね。
でも、プレイビルの表紙はソーモワなんですよ。やっぱりマリインスキーの一押しなんでしょうか。
彼女はアゴを出すクセが目につきますね。フェッテもぐにゃぐにゃしているし。 でもまだパキータだから我慢出来たかなあ。他の役だったらきっと許せないと思う。あの脚が首に巻き付く勢いの脚上げはちょっと遠慮していました。 って色々書いていますが、思った程悪くなかったです。

ラ・バヤデール、影の王国

ニキヤ:ディアナ・ヴィシニョーワ
ソロル:エフゲニー・イワンチェンコ
三人の影のヴァリエーション:オレシア・ノーヴィコワ
ナデジダ・ゴンチャール
エカテリーナ・コンダウローワ
なんと影の王国にはスロープがありませんでした。シティセンターは舞台が狭いから。。。でも24人のコールドは揃っていて美しかったです。体型までみんな同じで、脚の角度までぴったり。これでちゃんとスロープになっていたら、どんなに 美しかったことでしょう。

3人の影や、パキータの第2ヴァリエーションを踊った長身赤毛美女のコンダウローワがしなやかで素晴らしく音楽性も豊かで、他の人の倍くらい拍手をもらっていました。跳躍が大きいので、シティセンターの舞台から落ちそうになっていましたが。 彼女もライモンダの群舞に入っていたけど、とにかく大きくて絶世と行っていい程美人なので目立つこと。本来は一日ゾベイダを踊る予定だったので、見られなくてとても残念。
イワンチェンコのソロルにあまり期待していなかったんだけど、こうやってみると彼もけっこうハンサムでステキなソロルでした。背が高いし,戦士の風格がある。でも最後は普通トゥールザンレール6連発だけど、それを全部アントルラッセに変えていたのはなぜだろう。

明日からはフォーキン・プロです。明日はコルプとヴィシニョーワのシェヘラザードですよ。ロパートキナの瀕死の白鳥ですよ。

2008/04/03

マシュー・ボーンの新作は「ドリアン・グレイの肖像」

ballet.co.ukで話題になっていて、ニューアドベンチャーズのサイトを見たら、お知らせが載っていました。
マシュー・ボーンの新作は、うわさされていた「ロミオとジュリエット」ではなく、オスカー・ワイルドの「ドリアン・グレイの肖像」の舞台化でした。

http://www.new-adventures.net/news.php?id=11

8月22日にエディンバラ国際フェスティバルでプレミアされ、ロンドンでは、サドラーズ・ウェルズにて9月2日に初演されるとのことです。

キャストは、ドリアン・グレイにリチャード・ウィンザー、レディHにミケーラ・メッツァ、バジル卿にアーロン・シルズ。その他出演者として、スコット・アンブラー、ショーン・ウォーターズ、アシュレー・ベイン、そしてなんとクリストファー・マーニーです。これはビッグなニュースですね!そして美術は、いつも素晴らしく洗練されたデザインを作り上げるレズ・ブラザーストンです。

サドラーズで上演された後、9月中旬~下旬にイギリスで数箇所のツアーが行われるようですね。

「ドリアン・グレイの肖像」は今まで何回かバレエ化されており、私も2003年秋にABTのシティセンターシーズンで上演された「ドリアン」を観に行きました。ロバート・ヒルの振付で、ドリアン役がデヴィッド・ホールバーグとヘスス・パストールのダブルキャストだったのですが、あまり批評家受けが良くなくて、このシーズンで上演されたきりです。なかなか耽美的で素敵な作品だったのですが・・・。

専用のサイト(まだ情報は少ない)もできていました。
http://www.new-adventures.net/doriangray

Playbillに記事が出ていました。

http://www.playbill.com/news/article/116423.html

2008/04/02

ABTジリアン・マーフィのサイン会

会社がチャコットにわりと近いので、夕方抜け出して行ってきました。

ジリアンは背は高いのですが、ウエストは細い!抜けるように真っ白な肌に大きな瞳、赤みがかった金髪、お人形のように可愛い。一人一人と通訳を通して話し、とても感じがよかったです。

ちょっとしたトークもありました。七月の来日公演では「白鳥の湖」、「海賊」そしてトワイラ・サープの新作に出演。白鳥は先日のマリインスキーフェスティバルに出演、海賊のメドーラ役は男の子達とふざけられるし、強い役だしロマンチックだから好きとのこと。

トワイラ・サープの新作は、まだタイトルも未定。武道っぽいところやコミカルな部分もあるそうで。ファーストキャストはジリアンとイーサン・スティーフェル、エルマン・コルネホそしてパロマ・ヘレーラがメーンとのこと。ほかに、ステラ・アブレラとゲンナディ・サヴェリエフ、8組のカップルが登場するそうです。

年間どれくらいの舞台に立つのかという質問に対しては、メトシーズンは週に8公演、8週間行われ、コール・ド時代は全部に出演、今は週に一、二回とのこと。芸術監督マッケンジーはゲスト出演も奨励してくれるそうです。2週間前にマリインスキーで白鳥の湖、先週はロサンゼルスで白鳥、来週はシカゴで「眠れる森の美女」と大忙し。

トレーニングとしては主に8時間のクラスレッスンですが、週に一回、今はやりのジャイロトロニクスに取り組んでいるそうです。

そしてバレエをするのに必要なアイテムとしては、まずレオタードは、毎日長い時間着るので、たくさん持っている。それからポアントはゲイナー・ミンデン。(ジリアンは広告にも出てますね)そしてベルリンに客演したときにマラーホフにプレゼントされたチュチュを愛用しているそう。それから欠かせないのが(ボーイフレンドである)イーサン。最後はお惚気で、とても可愛いジリアンなのでした。このイベントが終わったあとは、いっぱいチャコットで買い物をしたいと瞳を輝かせていました。

追記:ABTの来日公演公式ブログに、このサイン会のレポートが載っています。写真を見れば、いかにジリアンが可愛らしいかというのがよく判ると思います。マリインスキー公演で見かけたジリアンも、こんな感じでとても愛らしかったです。
http://abt2008.seesaa.net/article/92782948.html

マリインスキー・バレエのNY公演にワジーエフ同行せず

4月1日より、マリインスキー・バレエのNY公演が始まりますが、辞表を提出したものの受理されずとりあえずは留任した芸術監督のワジーエフは、同行していないようです。

ヴァレリー・ゲルギエフのインタビューを中心に構成した、ニューヨークタイムズのこの記事では、ワジーエフの辞任騒動を引き起こした、ゲルギエフとの確執について詳しく書かれています。なんでも、31日の早朝2時にワジーエフのツアーへの不参加が決定したとか。何がいったい起きたのかについて、マリインスキーの広報もコメントを拒否しており、ワジーエフとのコンタクトも取れない状態。唯一明らかなことは、ゲルギエフがワジーエフについて不満を抱いていることです。

先週金曜日に、ゲルギエフは今回のNY公演についてのインタビューを受けましたが、その中で、彼は、ワジーエフがマリインスキー・バレエのレパートリー入りさせた最近の作品についてがっかりしていると言明。現在のレパートリーは、ニジンスキーやニジンスカ、ブレノンヴィルの作品、そして19世紀、およびソヴィエト時代からの古典や、ソヴィエト時代のそれほど有名ではない作品で構成された魅力的なもの。そして21世紀の新作については、アメリカの観客の多くにとってはなじみの薄い作品で構成されています。

ゲルギエフによると、マリインスキーのために新しい作品を見つけることは非常に大変であるとのこと。彼は自ら、アレクセイ・ラトマンスキーに「せむしの仔馬」、そしてストラヴィンスキーの「妖精のくちづけ」の新振付を依頼してるそうです。

「良くも悪くもないようなことに時間を費やしてはいられないのだ」とゲルギエフは、良い新作がないことがワジーエフ時代の11年間への最大のクエスチョンマークであることと語っています。もうひとつの問題は、ゲルギエフが、ゼレンスキー、ロパートキナ、ヴィシニョーワ、マハリナといったトップクラスのプリンシパルと、若手を組ませたいのにそのことにワジーエフの同意が得られなかったことだそうで。「若手の力を最大限発揮できるような環境と空気を作ることができたかと聞かれると、100%そうだと自信を持って答えられない」

ゲルギエフは、バレエやオペラを再活性化させて、もっと若い世代が劇場に運んでくれるようにすることが、緊急に求められていると言う。「眠れる森の美女」を、完全に新しい観客向け、万人向けに作るために一生懸命努力しなければならない」

彼は、11歳か12歳のときに、リムスキー=コルサコフの「皇帝の花嫁」を観た時のことを覚えている。このオペラはロシア語によるもので、彼にとって大きな意味を持った。一言も聞き漏らさないようにして、とてもエキサイティングだった。同じような体験を、バレエの世界にももたらしたいと彼は思っているとのこと。

なお、今回のNYツアーでゲルギエフはゼレンスキーに出演して欲しいと思っていたようだが、それは実現できなかった。そして、NYの観客にはあまり知られていないものの必ずや愛されるであろう、テリョーシキナとサラファーノフには注目して欲しいとのこと。

*****

ゲルギエフ御大には、さすがのワジーエフも逆らえなかったってことなんでしょうか。ワジーエフはよく11年間耐えた、という気にもなります。ゲルギエフはやはりオペラ中心に考えられている方ですからね。今後ワジーエフはいつまで残るのか、後任は誰になるのか、とても気になるところです。


ニューヨーク公演のキャストは
http://www.ardani.com/april08.htm
にアップされていますが、マリインスキー劇場の4月のプレイビルと見比べると、ダブルブッキングが若干発生しているようです。具体的には、4月6日にマリインスキー劇場の「バフチサライの泉」と、ニューヨークでの「レ・シルフィード」の両方にアナスタシア・コレゴワがキャスティングされています(「バフチサライ~は、他にイルマ・ニオラーゼとイリヤ・クズネツォフが出演)。うむむむ・・・。なお、4月4日のマリインスキー劇場は、オブラストゥーワとシクリャーロフによる「ジゼル」。オブラスツォーワは残念ながらNY公演には不参加、シクリャーロフは途中からの参加になるようです。

そして私は4月3日から5日までNY公演を観る予定なんですが、果たして本当に観られるのか、今でも非常に不安です。お休みの許可が覆るんじゃないかと心配で寝られません。

2008/04/01

ブノワ賞で牧版「椿姫」/新潟チャリティガラ続報

土曜、日曜と新国立劇場の「カルメン」に行ってきました。

この作品、前半はなかなか大胆でセクシーでよかったのですが、後半で無音状態のときに男性ダンサーたちが「ハッ!ハッ!」と声を出すところがなんだか変に和風でミスマッチだったり、アカペラでダンサーたちがニャニャニャと歌いながら踊るのに違和感があって、それが相当キツかったです。ダンサーの皆さんはすごい熱演で、いつも上品でエレガントさを標榜している新国立劇場とは思えない、色っぽい演技を魅せてくれてよかったです。

中でも、日曜日の厚木三杏さんのカルメンは、見るからにファム・ファタル的な艶やかさ、燃えるような炎の女で、まさにカルメンが乗り移ったかのような入魂の演技と踊りで素晴らしかったです。相手役の貝川さんも、独特の優しいホセ像を見せてくれてはまり役。とても感動的でした。本島美和さんは華やかで美しく、若さゆえの強気さで魅力的、碓氷悠太さんはハンサムで素敵なホセで、テクニックもあるいいダンサーでした。

エスカミリオのマイレンは、毎回違ったメイクで笑わせてくれましたが、ダイナミックな跳躍がすごくかっこよくて、キメキメのエスカミリオには鼻血が出そうでした。後姿で立っている姿がまたきれいなんですよね。

しかし、カルメンって、理屈ぬきで自分の欲望に忠実に生きて死んでいく女なのだから、途中で男たちにひどく邪険にされて荒んでホセの温かさを知る、という描写はいらないんじゃないでしょうか?そんな哀れなカルメンの姿は見たくないって思ってしまいました。それはダンサーや振付の問題ではなく、台本の問題なんだと思いました。この「カルメン」、台本を書いた人は宝塚の人なのですよね。(感想は後日書きます)

さて、そのときにお友達の天龍さんから聞いたニュースですが、
今年のブノワ賞
http://benois.theatre.ru/massmedia/news/でデニス・マトヴィエンコがノミネートされているということで、5月6日、7日にボリショイ劇場で開催される、受賞記念公演に出演します。このときに踊られる作品が新作(1年以内の作品)でなくてはならず、マトヴィエンコの希望で「牧阿佐美の椿姫」を踊るとのことです。パートナーは酒井はなさん。そして八幡顕光さんが「カルミナ・ブラーナ」から神学生2のソロを踊ります。

それと、ガラ公演があって、こちらでは、マトヴィエンコが酒井はなさんと「ドン・キホーテ」を踊ります。

酒井はなさんと八幡顕光さんのロシア・デビュー、しかも栄えあるブノワ賞でのお目見えは嬉しい限りですね。「椿姫」がロシア人の目にどう映るのか、反響が楽しみなような。マトヴィエンコも、新国立劇場にはかなりの恩義を感じているんですね。

5月7日のチャリティー・ガラ・コンサートのプログラムは、アメリカン・バレエ・シアター、アルベルト・バレエ、アルゼンチン・バレエ、モンテ・カルロ・バレエ、ベルリン国立バレエ、ベラルーシ共和国ボリショイ・バレエ、ロシア・ボリショイ・バレエ、ハンブルク・バレエ、ロイヤル・バレエ(ロンドン)、マリインスキー劇場、ミュンヘン・バレエ、オランダ国立バレエ、新国立劇場(東京)、パリ国立オペラのスターたちが演じる予定なのだそうです。


*******

一方、マトヴィエンコ夫妻の出演がキャンセルされてしまった新潟県中越沖地震チャリティ・ガラですが、「徒然日記」のyunyu-aさんに教えていただきましたが、主催者アーツ企画による公式サイトができていました。
http://www.geocities.jp/arts_planning/

それによると、出演者として、マリインスキー・バレエのアントン・コルサコフが追加されています。また、AプロとBプロがあるようで、各プロごとの演目もアップされていますが、どの会場がどのプログラムなのか、そしてどのダンサーがどの演目を踊るのかはまだ不明です。

アーツ企画によるチケット先行発売も開始されています。
3月30(日)~(4公演とも)
アーツ企画事務局 FAX:050-3322-0893

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