「ジョルジュ・バルビエ画集 永遠のエレガンスを求めて」
バレエ・ファンにはニジンスキーのアートワークで知られているジョルジュ・バルビエ。昨年開催された「舞台芸術の世界~ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン」展に、「ワツラフ・ニジンスキー」の版画シリーズが展示されていたのでお馴染みだと思う。
ところで、
実はバルビエはファイン・アートをほとんど手掛けず、グラフィック・アートのみで才能を発揮したがために、美術史からは黙殺され、また、多くの作品(本)はコレクター向きのレアアイテム(限定出版本)であったために、ほとんど人の目に触れることなく今日に至っているからなのです
(「ほぼ日刊イトイ新聞」より、担当編集者のコメント)ってことで、意外とマイナーな存在だったんですね、バルビエは。しかも、彼の作品は非常にレアだといううことなのです。「舞台芸術の世界」で展示されていた薄井憲二さんのコレクションも、本当に貴重なものなのですね。
そんな貴重なバルビエの作品を200点、鹿島茂さんのコレクションを中心に集めたのが、この「ジョルジュ・バルビエ画集 永遠のエレガンスを求めて」。本邦初公開の作品も多数収録されています。
ロシア・バレエ
ギリシャ趣味
モード
ロココ趣味
ジャポニズム・シノワズリ
エロティシズム
エキゾチズム
カーニヴァル
モダン・ライフ
トランスセクシャル
という10のキーワードでバルビエの作品を再構成。もちろん、バレエファンとしては、ニジンスキーやタマラ・カルサヴィナの作品に最も興味を覚えるわけですが、モード作品のモダンでデカダンス漂うエレガントで洗練されたデザイン、なんともうまく表現できない、鮮やかなだけど繊細なニュアンスのある色彩美にも惹かれました。
この時代は、バルビエらアーティストが描いたデザイン・プレートにインスピレーションを得て、ファッションデザイナーがモードのデザインを行うことも多かったようです。このアール・デコの時代にタイムスリップするような快い感覚を味わうことができます。それでいて、決して古くないというか色褪せないモダンな魅力が、バルビエの作品にはあります。
「ロシア・バレエ」以外のテーマでも、「カーニヴァル」ではもちろんフォーキンの「カルナヴァル」、「エキゾチズム」では「シェヘラザード」が登場します。また、「モダン・ライフ」に登場する作品はみな、「青列車」でココ・シャネルとニジンスカが描いた世界を思わせます。面白いのは、「モード」や「ロココ趣味」「ジャポニズム」では圧倒的な色彩美のめくるめく世界が表現されているのに、「ロシア・バレエ」では色使いはきわめて少なく、淡色による表現であること。実際には、バレエ・リュスの作品は「薔薇の精」「シェヘラザード」にしても極彩色のエキゾチズムが存在しているのに。しかしながら、色をあまり使っていないところが、想像力を掻き立て、ニジンスキーらの肉体の存在を際立たせていて、写真以上にバレエ作品の世界を伝えているところが凄いわけです。
本のサイズも大きいわけではなく、しかし印刷はとても美しく、手軽に手にとってはバルビエの世界に浸ることができる贅沢。バレエに関心がある人も、なくても本物の洗練とエレガンスを味わいたい方にも、お勧めの一冊です。
なお、現在、東京・銀座「ハウス オブ シセイドウ」ギャラリーで
「香りと恋心 バルビエのイラストレーションと香水瓶 展」が開催されていて、鹿島氏のバルビエコレクション=オリジナル作品をじかに見ることができるそうです。入場無料ですし、ぜひ行ってみたいです。
期間:3月23日(日)まで
時間:平日11:00~19:00まで(入館は18:30まで)
休日11:00~18:00まで(入館は17:30まで)
定休日:毎週月曜日
入館料:無料
http://www.shiseido.co.jp/house-of-shiseido/html/exhibition.htm
鳥酉Ballet日記さんで、この展覧会と画集の素敵な感想が書いてあります。
http://diary.jp.aol.com/gq24gmseeh/361.html
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コメント
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行ってきました!ハウス オブ シセイドウ。
版画好きなのですが、なんでこんなくっきりと鮮やかな色が出るのだろうと思いました。
バルビエのイラスト、めちゃくちゃ素敵でした。
投稿: ogawama | 2008/03/11 23:30
ogawamaさん、こんにちは。
ハウス・オブ・シセイドー行かれたんですか!私も行きたいです~会期中に行けるかしら。素晴らしいレビューも読みました!やっぱり肉眼で見ると全然違うんでしょうね。ううう。
投稿: naomi | 2008/03/13 13:02
私も見てきました〜。ただ、前期・後期で絵は入れ替えがあったとの事でチラシにあった絵はなかったのですが…。あんなに色がきれいとは思っていませんでした。絵の中から人が出てきそう、マラーホフかな?ルジマトフかな?鹿島茂さんの収集はすごい!絶版になった本も手に取って見ました。
皆さま、必見ですよ〜。
投稿: まりあ | 2008/03/15 17:28
まりあさん、こんばんは。
行かれたんですね!いいな~!私はしばらく忙しく、観にいけたとしても終わり間際の20日になりそうです。でも、やっぱり本物の持つ美しさは見逃せないでしょうね!行きたい!
投稿: naomi | 2008/03/17 00:52