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« DANZA2008年4-5月号 | トップページ | ブノワ賞で牧版「椿姫」/新潟チャリティガラ続報 »

2008/03/31

3/28 ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団 『 フルムーン 』

演出・振付:ピナ・バウシュ
美術:ペーター・パプスト
衣裳:マリオン・スィートー

ここしばらく、仕事等で相当疲れがたまっていて、精神的にもかなり参っている状態でしばらく更新が滞っている状態で申し訳ありません。

「パレルモ、パレルモ」がとても面白かったピナ・バウシュ&ヴッパタール舞踊団、もうひとつのプログラムは新作である「フルムーン」。
http://www1.ocn.ne.jp/~ncc/
で動画を観ることができるので、興味のある方はぜひ。

「パレルモ、パレルモ」では冒頭の壁の崩壊というスペクタクルがあったけど、こっちは大量の水を使ったスペクタクル。といっても、最初から水が出てくるわけではない。

舞台の中央部には、大きな隕石のような岩。そして男性ダンサーが最初は一人、次にもう一人登場して、上半身を大きく使った激しいダンスが繰り広げられる。かと思ったら、女性ダンサーがまた日本語をしゃべりだして、そのあたりはちょっと「パレルモ、パレルモ」に似ているかも。男性たちがワイングラスのようなグラスを縦に並べ、巧みにグラスを避けながら小さくジャンプして飛び越えて行ったり、グラスの上に立ってみたり。岩の上によじ登る人も。

ランダムに並べられた椅子に、長いドレス姿の女性ダンサーたちが座り、すると男性ダンサーたちが、座っている横に巧みに飛び乗る。そしてペットボトルの水を女性たちにかけてみる。女性たちのドレスが素敵。上半身はビスチェのようにぴったりしていて、裾は長くて女っぽい。

別の場面では、女性ダンサーが椅子に座ろうとして、こう言う。
「幽霊だって、ときどき座るの。
今夜は満月、酔っ払ってはだめ」

ピナの舞台で使われる台詞はなかなか素敵なものが多いんだけど、日本語を使うことについては一長一短があって、たどたどしい日本語に対して、観客が笑っちゃって興をそぐところがあるのが残念というかもったいないというか。台詞が多いと、すこし単調に感じられてしまうところもある。

雨が少しずつ降り出して、舞台の後ろにある川の水が増えていく。そして、女性ダンサーが一人、下手からこの川の中を泳いでいくではないか!岩をくぐるように泳ぎ進んだら、また一人!また一人!と都合4人が舞台の上を泳いで渡っていた。いつの間にか雨は大降り。そして休憩。

後半は、最初から水で満たされた川が存在している。水の中から出てきた瀬山亜津咲さんが言った台詞が印象的だった。
「私は若い
私の耳に、未来の約束が聞こえる
私の心に、力がみなぎる
私の目に、夢が広がる
私の志は、高い。
私のからだは、強い。
私は美しい
私は若い」

希望を与えられるような言葉たち。

激しくキスをしたまま横に動いていく男女たち。ピナの作品でよく描かれている。ディスコミュニケーション。お互いに気持ちを伝えたいのに、上手く伝わらないもどかしさ、せつなさ。それが、水と満月の魔法にかかって、解き放たれる。男たちが川の中、バケツで水を掛け合っている前で、黒髪の小柄な女性が踊ったソロが美しい。まるで儀式のような、神聖で緊張感あふれる舞。バケツから放たれる水の放物線も美しい。

水の中にジャブンと浸かって、女性が一人身体をばたばたと動かす。濡れた男性ダンサーの身体から滴る水が客席にもかかる。そうするうちに、ダンサーたちは降りしきる雨の中、舞台を横切るように勢いよく走ったかと思ったら、川の中へ。全身ずぶぬれになりながら、大音量の音楽にあわせて狂ったように踊る人たち。岩によじ登ってから、川へと飛び込む人。濡れているから滑るとか、動きが鈍くなるということが一切ないのが潔い。衣装が濡れて身体にまとわりついているというのに、特に女性たちは長いドレスを着ているのに、濡れていないかのように身体が動かせている。上半身を大きくそらし、腕を広げて美しい曲線を描いている。観ている側もすっかりトランス状態になる。まるで祝祭空間のようだ。水は天からの恵みのようで、それを全身に受ける歓びを表現してくるかのようだった。しまいには、ダンサーたちのほとんどが、川が氾濫したかのようになった舞台の上で、水に身体を浸しながら、喜びに打ち震えているかのようにばたばたと動いていて、幕。

最後の20分間のカタルシスのために、それまでの一時間半があったような舞台であった。だけど、あの圧倒的なクライマックスには、観ている側も気持ちが解放され、満月の下で水に濡れながら踊りだしたくなるような気持ちになる。あの20分間のために、また観てみたい!と思う。でも「パレルモ、パレルモ」の方が好きなんだけど。

水に濡れながら踊るシーンは、はっとするほど美しい瞬間もあれば、痙攣したような動きもあるし、疾走していく姿が美しいと思った後に、人間を縛っている理性から解放されて獣のようになっている赤裸々な姿も出てくる。美しいだけが人間じゃないけど、美、醜、さまざまな姿をしながら解放されていくのが人間なんだと、ピナは語っていたような気がした。そして、水の軌跡や飛沫は、いつでも美しい。それはいつの時代にあっても変わらない真実。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

日曜日に見てきました〜♪今回は体調も良く席も前の方で、十分堪能してきたつもりですが、思い返すとやっぱり情報量が多過ぎて頭から溢れています。
水と満月の魔法ですか、なるほどー。すごく納得しました。やっぱりnaomiさんの感想は素敵です。

naomiさん、こんばんわ
この様なサイトに方に見て頂ける私は大きく反省をし、少しだけ嬉しく思います。ありがとうございます♪

ogawamaさん、こんにちは。

ogawamaさんの感想も楽しく読みました♪ピナの作品は情報量が多くてこぼれてしまいますよね。私は金曜日でちょっと疲れていたため、日本語の台詞の聞き取りに苦労しました。あの姐さんは素敵でしたね。
ピナの作品って中毒性が強いって思います。

courierさん、こんにちは。
失礼しました。いらしていただきありがとうございます!またこれからもどうぞよろしくお願いいたします♪
新国立劇場バレエ、いいバレエ団なので一緒に応援していきましょうね。

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