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« ジョン・ノイマイヤー トークショー | トップページ | 新潟県中越沖地震チャリティガラコンサート、キャスト変更等 »

2008/03/24

3/23 ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団「パレルモ、パレルモ」

演出・振付 ピナ・バウシュ
美術 ペーター・パプスト
衣裳 マリオン・スィートー
共同制作 パレルモ黄金市立劇場
アンドレシュ・ノイマン・インターナショナル

http://www1.ocn.ne.jp/~ncc/pina08/program_a.html

ピナ・バウシュの作品を見るのは、大変恥ずかしいことにまだ2回目なのである。そして、長いこと見ていなかったことに今激しく後悔をしている。上手く口で説明するのはすごく難しいんだけど、この世界観、大好き!

実は恐ろしいことに今朝は大寝坊をしてしまって、起きたら昼の1時だったのだ!前夜にフィギュアスケートの世界選手権の男子フリーを見ていたせいだったのかしら(夢中になって見ちゃった)。新百合ヶ丘まで電車で1時間以上かかるということは調べてあったので、真っ青になった。起きて5分で家を飛び出して、タクシーでJRの駅まで急いだら、なんとかぎりぎりに到着。テアトロ・ジーリオ・ショウワは、昭和音楽大学のキャンパス内にあるので、たどり着くまで結構不安だった。しかも、2階席の2列目を取ったら、手すりがひどく邪魔。最前列だったらもっと最悪だっただろう。新しいホールなのに、この設計は欠陥としか言いようがない。「パレルモ、パレルモ」の舞台機構や演出を許可してくれるホールがあったから、この作品が上演することが可能になったということだけど、次回からは、この劇場の2階1列、2列は絶対に避けなければならない。

舞台の上に大きな壁。これが、轟音を立ててドーンと崩れ落ちる。そしてその瓦礫の間を、ハイヒールで歩く金髪のスリムな美女。花柄のワンピース。舞台の中央に立って、二人の男に、私の手を取って、ハグして、もっとハグしてと大きな声で悲痛に叫ぶ。それから、トマトをぶつけて、顔にぶつけて、と命令する。粛々と黙って従う男たち。美女は顔がトマトまみれになっても美しい。それから、いろいろな寸劇が繰り広げられる。瓦礫の中に置いてあるお皿にある食べ物めがけて走りぺろりと平らげて走り去る犬。口に砂糖を塗りたくり、砂糖をなめてもらうようにキスを要求する女。「これは私のスパゲッティ。絶対にあなたには渡さないわ」とずっと語り続ける女。男たちに支えられて、股間からボトルの水をこぼし続ける女。長い髪の毛で床を掃除する女。みんな、痛いほど人との関係性を求めている。台詞の多くは日本語。先ほどの金髪の女が、飛び降りようとする若い男と群がる野次馬たちが「ジャンプ、ジャンプ、ジャンプ!」「そして彼はそうしました」と語る話には寒気がした。ただ、さまざまな語りは、思い出を語るものが多かったと思う。雪が素敵だったので冷蔵庫に仕舞った話、もうすぐ死ぬ老犬が、いなくなったと思ったらゴミ箱に入って死んでいた話、花の冠を娘たちが作ってろうそくに火をつけ川に流した話・・・。

とても怪しい男性がいて、アイロンの裏で肉を焼いて食べたかと思ったら服を脱いで水を自分にかけ、泳ぐポーズをする。そして、片目の下に痣を作ったまま、赤いボクシングガウンをまとっている。そのガウンを脱いだら、裸体に羽のストールをかけ、赤いマニキュアを塗り、妖しくしなを作ってトランスセクシュアルな感じ。前半のクライマックスは、アフリカっぽいノリのいい音楽にあわせて、男性、女性がそれぞれバトンタッチしながら踊りまくる。このダンスの動きはすごく速くて激しいけど、見ていて楽しい。それを傍目に、下手に腰掛けた男は羽扇子と戯れ、しなを作り続ける。休憩時間の案内が面白くて、例の妖しい男がまたしなしなと横歩きしながら「休憩」と書いたプラカードを掲げて舞台を横断するのだ。休憩と書いてあるのに、ダンサーたちは疲れを知らないがごとく、次々に激しく踊り続ける。

ここの女性ダンサーたちはすごく魅力的だ。若くはない女の持つ魅力、というか。若いダンサーももちろんいるんだけど。みんなすらりとした体、ワンピースにハイヒールを穿いている。ハイヒールの上のふくらはぎがとてもきれい。ワイングラスを持つさまも素敵。ワンピースもとても可愛い。あんなワンピースを着てみたくなった。机の上にハイヒールを並べた女なんて、すごく絵になる。たくましくて、かっこよくて、でも孤独を抱え、うまくいかないコミュニケーションに苦しみ、弱いところも持っていて、不器用で夢見がちな女たち。こんな女にあこがれる。男たちはみんな優しい。白いシャツとパンツがまた似合う、いい男たち。

後半では、のろのろしないで!写真を撮って!と怒鳴り続ける瀬山亜津咲さんのシークエンスが面白かった。ワイングラス片手、男性にくるっと回されながら写真を撮るの。瓦礫の上で水浴びをしながら裸になっているなぞの男性。ストッキングをかぶって銃を構えた金髪美女。女たちが4人x3列で踊るパワフルなダンスには、鼓舞されるような気がする。それからピアノがたくさん並べられての連弾。男女が一列に並んで連なり、上半身を床に落として進んでいくダンス。イスラム系の男性が、グリム童話のキツネとガチョウの話を日本語で語る。天井からは桜の木が逆さに降りてくる。頭にりんごを載せたダンサーたちが並ぶ。


こうやって舞台の様子を語ってはいるけど、合理的な説明を行うのは難しい。前半では今までの秩序が崩壊し、瓦礫の中の、調和の乱れたまったく新しい世界の中で、苦しみぶつかりあい不器用に葛藤しながらも生きていく人間を描き、後半では、連綿と連なっていく人々の営みと希望を描いている、のかな?2階席だったのでわからなかったけど、舞台に近い席だったら、食べ物の匂い、コーヒーの匂い、瓦礫の砂埃、と五感を刺激されたのだと思う。作品を貫く独特の空気感は2階席までも伝わってきた。

生きる力を与えられる舞台だと思う。壁が崩れた後の瓦解した世界に生きる、あのかっこよく、たくましく魅力的な女たちを心の中に抱えて生きていくことができれば、もうすこし前向きになれるのではないかしら。

次は金曜日に「フルムーン」。楽しみ!

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomiさん、こんばんは。

2Fサイドも手すりはあるし、前に人の頭はかぶるし、悲惨でした。平日夜で空席があったので、皆さん移動して視界を確保してました。これで満員だったら悲惨でしたよ。基本的に音楽ホールだから、見える見えないはあまり気にしてないのでしょうか。

冒頭の壁が崩れ落ちるシーンは驚きました。naomiさんのように理解はできませんでしたが、女性のちょっとペラペラのワンピースの質感、デザインが5,60年代のイタリアのイメージぴったりでしたし、踊りのシャープさには感心しました。

shushuさん、こんばんは。

サイドの席を見て、見づらそうだな~って思ったんですがやっぱりそうでしたか。平土間は結構段差があって見やすかったらしいので、もしここに行くことがあれば、そうしてみます。たしかスターダンサーズの公演もここでやったりしていたんですよね。

女性たちのワンピース、デザインや質感が素敵でしたね~!それに、踊りがシャープなのも同感。ちょっと年が行ったダンサーもいたのに、みんなすごいなって思いました。

こんばんは!
naomiさんはさすがずいぶん細かいところまで覚えていらっしゃるんですねえ。しかも当日のエントリなのに、ちゃんと解釈まで。私はピナ・バウシュはじめてでアップアップの状態ですが、naomiさんの記事を見ながらしっかり反芻して、ピナの世界観をしっかり自分の中に取り込みたいと思ってます。

ogawamaさん、こんばんは。
私もちょっとうろ覚えのところがあったんですが・・ホントにテキトーです!最初に見たのが「カフェ・ミュラー」だったのですが、これも理解するのに時間がかかりましたね~。

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