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2008/03/03

2/23 NBAバレエ団「ドン・キホーテ」

キトリ/ドルシネア エフゲーニャ・オブラスツォーワ(マリインスキー劇場)
バジル ヤロスラフ・サレンコ
ドン・キホーテ マキシム・グージェレフ
サンチョ・パンサ 岩上純
ロレンツォ 中村一哉
ガマーシュ スタニスラフ・ブロフ(マリインスキー劇場)
エスパーダ:ビクトル・コスタコフ
キューピット:米津 舞
メルセデス:鷹栖千香
3人のドリアード:田口 麻衣、小山 真貴子、佐藤 香織  
(セルゲイ・ヴィハレフ演出・再振付 4幕構成)

Ballerina マリインスキー・バレエのミューズたち」でとても可愛らしかったエフゲーニャ・オブラスツォーワが初めて日本のバレエ団に客演するというので行くことにした公演。私が通っているバレエ教室の先生がNBAの団長と親しいのでチケットを割引で購入。実際に行ってみたら、ゆうぽうとのいわゆるササチュー席(通路に面したセンターの席)で、周りがいかにもバレエの先生って方たちばかりで少々びびる。最高の席かな、と思ったけど、実は通路前の列の人の座高が高くて、かなり邪魔だったし、「ドン・キホーテ」を見るんだったらもう少し前の方が好み。「白鳥の湖」や「ジゼル」だったら申し分ない席だけど。

今回の「ドン・キホーテ」は古典の復元で著名なセルゲイ・ヴィハレフ氏による振付で、非常に長かった。6時開演で終わったら9時だったし、休憩は3回入るし。観終わったら、かなり疲れた。まず1幕1場が長く、キトリやバジルが登場するわけでもなかったので余計長く感じてしまった。

1幕2場でエフゲーニャが勢いよく飛び込んできた。エフゲーニャって、「ロミオとジュリエット」や「愛の伝説」「ジゼル」のイメージが強いので、どんなキトリかなと思っていたのだけど、飛び込んでくるジュッテも高くてきれいだし、可愛らしい中にも元気いっぱいでお茶目、いい感じ。浮気なバジルにふくれる表情がキュート。アティチュードやアラベスクがものすごくきれいで、さすがマリインスキーの実力。安定感も抜群だった。白地の衣装に赤い水玉が可愛い。金髪を黒く染めていた。Yuraさんの「ロシアのバレエ団情報」によれば、これはエフゲーニャの持ち衣装のようだ。

バジルのヤロスラフ・サレンコは、やや斜に構えたバジル。バジルはもう少しひょうきんな方が好き。でも、さすがモスクワバレエコンクール1位の実力で、テクニックはとても冴えている。何よりも印象的なのがつま先の美しさと、女性顔負けのよく出た甲。ちょっと小柄なので日本にいるのかなあ。妹のヤーナ・サレンコも小柄だし。ジャンプもピルエットも得意のようで、ピルエットは9回くらい回っているし、細かいパの足捌きもきれい。ややサポートは苦手な感じがして、サポートつきピルエットのときにジェーニャがぐらつくところがあった。でも、キトリを高々とリフトするときにはパッと手を離し、ジェーニャもその辺は信頼していたよう。片手リフトは、1回目はちょっと歩いてしまったけど、2回目はばっちりキマった。

エスパーダは、衣装がまるで「海賊」のビルバント?って感じで闘牛士には見えなかったけど、エスパーダ役のヴィクトル・コスタコフはマント捌きが非常に上手く、実力派だと思った。彼は元ダンチェンコ所属だったのですね。ガマーシュ役の人がやけに上手で、容姿は優れているのに笑わせるのが上手いと思ったら、演じていたスタニスラフ・ブロフはマリインスキーのコール・ドの方だった(これもYuraさんからいただいた情報)、。問題は大道の踊り子で、うーむかなり頂けない踊り。メリハリがなく、アラベスクが美しくない。。。パンフレットを買いそびれたので名前はわからず。サンチョ・パンサの岩上さんも、とっても演技が上手。NBAバレエ団は、キャラクターダンサーはなかなか良いのではないだろうか。
幕の終わりは、バジルがキトリを高々と掲げて舞台を横切るパターン。ここのサポートは上手くいっていた。

2幕でいきなり居酒屋のシーン。メルセデス役は、NBAバレエ団で私が一番気に入っている鷹栖千香さん。背中が柔らかく、とても妖艶な演技で大人の魅力を発揮して素敵だった。フィッシュダイブは、ジェーニャが勢いよく飛び込んでいくけど、受け止めるサレンコのほうは若干危なっかしい。でも、その前のサレンコのピルエットはなかなかすごかった。そして狂言自殺のところは。ジェーニャの演技がまたとてもキュートで良かったと思う。すっと伸ばしたサレンコのつま先がやっぱりすごくきれい。ここで休憩が入るというのがちょっと珍しい構成。

3幕1場が、ジプシーの野営地でドン・キホーテの人形が風車に引っかかってなかなか落ちてこなかったのでひやひや。2場は、初めて観る「恐怖の夢」という場面で、ドン・キホーテの悪夢の中に、白い巨大な蜘蛛が登場するというもの。この白い蜘蛛を、蜘蛛の巣のような紗幕と、ダンサーたちの白い衣装で表現していたのだけどあまりにも唐突で最初はちょっと意図がわからなかった。

3幕3場が、夢の場面。ここでのジェーニャがまた素晴らしかった!キトリとはすっかりキャラクターを変えて、お姫様らしいお澄ましぶりで、堂々たる風格。丁寧なポールドブラと、柔らかい背中を生かした美しく伸びやかなアラベスク。そしてグラン・ジュッテで舞台を横切るときの、跳躍の高さと飛距離に驚かされる。こういうテクニックを持っている人とは思わなかった。ドルシネアのヴァリエーションでの片脚ポアントもきれいに引きあがっていて安定している。キューピッド役の米津舞さんが、非常に小柄だけどキュートで元気がよく、アティチュードもきれいで良かったと思うし、3人のドリアードも上手だったし、群舞は良く揃っている。子供キューピッドたちが、とっても可愛い。森の女王は、そこそこ。ドリアードたちの衣装がクラシックチュチュではなく、少し下がり気味のスカートだったのに違和感。

そして4幕のグラン・パ・ド・ドゥ。ファンダンゴでまた鷹栖千香さんが登場。ヴァりエーションの二人も上手だった。グラン・パ・ド・ドゥは見事の一言。アダージョは滑らかで堂々としていた。マリインスキーでは、キトリのヴァリエーションは扇子を使わないそうで、扇子を使っていた方が可愛くて好きなんだけど、ジェーニャの歯切れのよく正確なポアントは観ていて気持ちが良かった。とにかく引き上げが見事なので、小柄さもまったく気にならない。サレンコのバジルも素晴らしく、トゥールザンレールは高いし、最後には540°をビシっと決めて会場を沸かせた。ジェーニャのフェッテは全部シングルだけど、音に良く合っており、軸もまったくぶれずに正確できれいに決めた。最後だけ、半回転ずれたけどこれくらいはご愛嬌。フィニッシュのサレンコのグランピルエットもやはり正確で緩急自在、お見事だった。

長い舞台で見る側も疲れたけど、これがまだ2回目のキトリとは到底信じられないジェーニャの素晴らしさに興奮。これからもいっぱい日本に来て欲しいなって思った。若くても堂々としていて、自信にあふれていてキラキラしている。かといってこれみよがしなテクニックの見せびらかしもなく、相手役とのコミュニケーションもバッチリで一人浮くこともない。これからもずっと応援したくなるバレリーナだった。

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