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2008/02/05

2/3 マリインスキー・オペラ「イーゴリ公」

プロローグと3 幕

指揮 : ワレリー・ゲルギエフ
演出 : エフゲニー・ソコヴニン
2001年版演出 : イルキン・ガビトフ
音楽監修(2007年) : ワレリー・ゲルギエフ
「ポロヴェッツ人の踊り」 振付 : ミハイル・フォーキン
装置・衣裳 : ニーナ・ティホーノワ/ニコライ・メルニコフ
装置復元 : ヴャチェスラフ・オクネフ
照明 : ウラジーミル・ルカセヴィチ
首席合唱指揮 : アンドレイ・ペトレンコ
楽曲指導 : イリーナ・ソボレワ

出 演
イーゴリ公 (プチーヴリの公) : アレクサンドル・モローゾフ→(セルゲイ・ムルザーエフから変更)
ヤロスラーヴナ (その妻) : エカテリーナ・シマノーヴィチ
ウラジーミル (彼らの息子) : セルゲイ・セミーシクル
ガリツキー公 (ヤロスラーヴナの兄) : ワディム・クラーヴェツ
コンチャーク汗 (ポロヴェッツ人の長) : セルゲイ・アレクサーシキン
コンチャコーヴナ (その娘) : ズラータ・ブルイチェワ
オヴルール (キリスト教徒のポロヴェッツ人) : ワシーリー・ゴルシコーフ
スクーラ (クドーク弾き) : グリゴリー・カラショーフ
エローシュカ (クドーク弾き) : アンドレイ・ポポーフ
ヤロスラーヴナの乳母 : エレーナ・ソンメル
ポロヴェッツ人の娘 : タチアーナ・パヴロフスカヤ
【ポロヴェッツ人の踊り】
: ポリーナ・ラッサーディナ
:イスロム・バイムラードフ
:エレーナ・バジェノワ
:ゲンナジー・ニコラーエフ

大雪の中の公演だったけど、多分金曜日よりは客の入りが良かったと思う。とはいっても、2階サイドや、3階正面の両端は空席が目立っており、ここからD席、という8列目以降だけがびっしりと埋まっていた。そして私は、最後列のひとつ前(最後列の後ろにまだ補助席があり)。正面なので見やすいけど、やっぱり遠いなあ。バイムラードフさんが出ると聞いていれば、無理してでももう少し良い席にしたのに。ジャパンアーツのバカ!(しかも、ちょっと調べてみると招待で見に来ていた人がずいぶんいたようである)

イーゴリ公役が、土壇場で変更。初日、二日目を歌っていたセルゲイ・ムルザーエフが急病につき、アレクサンドル・モローゾフに交代。初日にガリツキー公役で出演していた人だ。ガリツキー公がちょっといまいちだな、と思っていたのですごく残念。実際、イーゴリ公として出演していても、声量が足りず、声の艶もない。悪役のガリツキーなら十分なんだけど、イーゴリ公にはちょっと力不足感あり。反面、ヤロスラーヴナ役のシマノーヴィチが初日よりもずっと安定していて、圧倒的な力量を見せてくれた。どんなにオーケストラが鳴らしていても、合唱がかぶさっても絶対に負けることのない、豊かな声量と突き刺さるような高音。不安にさいなまれながらも、妃らしい気丈さと毅然とした部分を持っているヤロースラーヴナの心境もよく表現できており、素晴らしかった。最後のカーテンコールでも、一番大きな拍手やブラヴォーを受けていた。ウラジーミルのセミーシクルは1幕では不調だったけど、後半は挽回していて、これぞテノールという甘く美しい声を聴かせてくれた。 オヴルールのワシーリー・ゴルシコーフも上手な歌手だ。スター主義ではなく平均点が高い劇場なのだけど、やっぱりシマノーヴィチが突出して良かったと思う。それと、分厚いコーラスの圧倒的な迫力も素晴らしかった。

それから、1幕の前にある長い前奏、この演奏が素晴らしい。金管が力強くて大地の鼓動を感じさせ、思わず聞き惚れる。初日よりもよく鳴っており、心は中世ロシアへと飛んでいく。NHKの3階は、音を聴く分にはそんなに悪くないなあ、と思った。でもやっぱり次イーゴリ公が来るときにはもっと良い席で観なくちゃ。

ポロヴェッツ人の踊りは初日と同じキャスト。若干バイムラードフは初日の切れ味が鈍っていた感じもしたが、それでも、やっぱり彼は凄い!あのハイパー・テンションを維持し続け、コーダでも、飛び蹴りのようなジャンプを3回連続して跳び、続けて高い高いパドシャ2回。見得を切る表情は、完全に中央アジアの草原にいるポロヴェッツ人のものだった。スリムなのに身体にばねがあり、ゴムマリのように着地しては弓を持ってポーズ。至芸といえよう。妖艶でしなやかなアンナ・バジェノワ、そして背中の柔軟性と達者な技術のポリーナ・ラッサーディナ。加えて美しいバレリーナたち、勇壮な男性ダンサーたち。大興奮の坩堝で、拍手とブラヴォーはいつまでも止まなかった。またそう遠くない将来に上演してほしいものだ。(次回の来日は、カーテンコールの看板によると2011年とのこと)オペラと一緒では難しいのなら、ぜひマリインスキー・バレエのガラででも。

違和感を感じた「イーゴリ公」の構成だけど、よく考えてみると、前半はポロヴェッツ人の野営地、後半はイーゴリ公が去った後の彼の故郷という対比になっているのが理解できた。物語を語るというよりは、一つ一つのシーンを描くことに重点を置いている作品であるということも。それでもやっぱり、イーゴリ公の逃亡のあたりや、ガリツキー公の狼藉が長くてダレてしまうのが難点。ボロディンが完成させることなく亡くなってしまった未完成作品だから仕方ないのか。でも、印象的な旋律はいくつもあるし、ポロヴェッツ人の踊りを抜きにしても良い作品なのだと思う。それを、実力を蓄えた歌劇場、さらにはゲルギエフの手によるレベルの高いオーケストラ、さらには世界一のマリインスキー・バレエが「ポロヴェッツ人の踊り」を踊るのだから、満足度はやっぱり高かった。疲れたけどね。

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コメント

初めまして。
いつも楽しく読ませて頂いています。
また、有益な情報をどこよりも早く提供頂き、ありがとうございます。
私は2/2のイーゴリ公を3階1列目で見たのですが、ガリツキー公は歌も演技も良かったと思います。その代わりウラジーミルがあまりにもおデブちゃんで若々しさもなく、ロマンスに説得力が感じられなかったのが残念でした。

次のマラーホフのレポートも楽しみにしております。

peluさん、こんばんは。ようこそいらっしゃいました!

3階1列なんてよいところでご覧になったのですね!いいな~。どうやら、2月2日のガリツキー公は、1日とも3日とも違った方のようですね。3日間通えれば一番よかったわ。(ポロヴェッツ人の踊りも、女性ソリストが違う人だったんですよね)
ウラジーミルも2日だけ、違う方だったんですね。キャスト違いで見たかったと思いました。私が見た日のウラジーミル役の人も太めではあったけど、声は甘く若々しく、後半非常によかったと思います。

マラーホフのレポート、出張前なのですぐに書けるかわかりませんががんばります!

今晩は。またもやお邪魔します。
イーゴリ公はモニター券なるものを利用しました。定価ではとても手が出ません。
でも2階1列だったらもっと迫力あるんだろうなあ~、なんて思ったりして。。。
切りが無いですね。

お仕事に観劇にお忙しいようですが、週末はまた寒くなるようですし、体調管理に気をつけて頑張ってください。

ちなみに、私もコールプのアブデラフマン、大のお気に入りです。

peluさん、こんばんは。

モニター券、私も惹かれたのですが、すでにE券を発売時に買っていたのですよね。発売が公演の一年近く前だったんです。先立つものがなく。

コールプのアブデラフマン、また見られたらどんなにいいだろう、って思います、ホントに。光藍社さん、お願いします!ミハイロフスキーのレパートリーにもライモンダ、入ったそうですし。

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