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« DVD「マリインスキー劇場のジルヴェスター・コンサート」New Year's Eve in Saint Petersburg | トップページ | 2/3 マリインスキー・オペラ「イーゴリ公」 »

2008/02/04

2/2 バットシェバ舞踊団「テロファーザ」

この土日は、土曜日にサントリーホールで井上道義指揮の日本フィル、シベリウス交響曲1番と7番、横浜に移動して神奈川県民ホールでバットシェバ舞踊団、そして日曜は雪の中再びNHKホールでマリインスキー・オペラの「イーゴリ公」と大忙し。すっかりぐったりしてしまい、体調も良くないのにこんなにぎっしりと予定を入れるのではなかったと大いに反省。

イスラエルのバットシェバ舞踊団、そして芸術監督であり振付家のオハッド・ナハリンといえば、なんといっても有名なのが、椅子を並べてダンサーたちが一人ずつジェスチャーゲームを繰り広げては服を一枚ずつ脱いでいく「アナフェイズ」や、その変奏曲である「マイナス16」。ってわけで、この大傑作と同等のインパクトを期待すると、ちょっと肩透かしかも。でも、「アナフェイズ」の存在のことを忘れて見れば、とっても面白い舞台だったのではないかと思う。

会場に入ると、舞台の上には4枚のスクリーンがあり、開演時刻までのカウントダウンがデジタル表示で出ている。0になると、「こんばんは、レイチェルです」というゆっくりおっとりした日本語での挨拶と、携帯電話を切ってください云々の注意事項。しかも、このレイチェルさんは、作品の中でも大いに活躍するってワケ。

そしてダンサーたちが舞台の上に横一線に並ぶように登場し、前屈して手を床につけた状態で腰を動かしたりというユーモラスな動き。公演の宣伝ビジュアルでは、派手な柄入りのユニタードを着用していたけど、実際には、みんなバラバラの、でもカラフルでキュートそしてスポーティな服を身に着けている。短パンの人が多かった。それからみんな立ち上がっていると、何人かの女性ダンサーたちが、自由奔放にガクガクと動き出す。イスラエルはクラシックバレエの伝統がないため、クラシックバレエを通過しているダンサーは少ないとのことだけど、ダンサーたちはみんな身体能力に優れていて、特に足腰がすごく強い感じ。時々、ものすごくかっこいい動きをする人がいる。後方4枚のスクリーンの前にダンサーが一人ずつ立ち、映像を切り替えていく。スクリーンの前に小型カメラがあるようで、ダンサーたちの表情が映し出されている。かと思えば、足だけを映していたり。

この作品では、群舞を重視しているということなのだけど、群舞といってもクラシックバレエのように一糸乱れず、というのとは対照的で、一人一人のダンサーの個性が際立つような、力強く、奔放でエネルギーが放出されるようなダンス。さまざまなフォーメーションで動いてみたり、一斉にプリエの動きをしたり。数名ずつのグループで踊ってみたり、輪の真ん中で一人が踊ったり。隊列のように建っているダンサーの間を縫うように動いていた日本人のダンサー、すごいかっこよかった(島崎麻美さんかな?)。てんでバラバラに踊っているのに不思議な統一感があったり。で、ダンサーたち、本当に踊っていて楽しくて楽しくて仕方ないという幸福感が漂っていた。踊ることって、まさに自己表現であり、幸せであり、生きているってことなんだな~って思わせる。

音楽もロックや民族音楽などいろいろな種類のものが使われていて、ブルース・スプリングスティーンの歌に併せたダンスはしびれるほどスタイリッシュだったし、音楽に限らず、雨だれのような自然の音や電車の音などのノイズもあり。

「マイナス16」も観客参加型の作品だったのだけど、今回もそのような仕掛けがあった。さきほどのレイチェルさん(なかなかかわいらしい女性)がスクリーンの前に立ち、客席の客に向かって、手を動かすように振りの指示が行われる(レイチェルさんの言っていることは日本語に吹きかえられている)。まずは手をまるく動かしてください、ひじから先を動かしてくださいといった単純なことから、次は右手はこうして、左手はこんな動きをしてください、と少しずつ複雑になり、頬に手を当てて、いとしい人の事を思ってください、とか銀行口座のことを考えてください、なんて指示になる。ダンサーたちも、同じように指示に従っているのだけど、日本語を理解していないのに、ちゃんと指示通りに動いているのがすごい。作品の最後に、今度は観客を立ち上がらせ、席で踊ってくださいと言われる。立ち上がるところまではみんなやるんだけど、踊っている人は半分いたかな~。日本人ってこういうの苦手な人が多いみたい。でも、椅子を並べて、その前に立ち、ものすご~く楽しそうに踊っているダンサーたちに触発され、自分たちも踊り始めるとこっちもとても楽しい気分になる。ダンサーたちは、ほとんど踊り狂っているってくらいの激しい、身体の関節がいったいどうなっているのかな、って思うほどの動きを見せている。スクリーンには、とっても幸せそうに、楽しそうに踊っているときのレイチェルさんの顔が映し出されている。

ラストは、一列に並んだダンサーたちが後ろを向いて、いっせいに一歩ずつ下がっていく。ダンサーたちが消えていくと、ストロボの点滅する中、一人の男性ダンサーがふわりふわりと舞っていて、デヴィッド・パーソンズの「コート」みたいにトリックで空を飛んでいるみたいに見える。そして並べられた椅子の上をぴょんぴょんと跳んでいる女性ダンサー。

ダンスすること、というのはどんなことなのかを理屈ではなく身体感覚で観客に感じさせるという試み。この路線を突き詰めていくと、とてつもないものができていくんじゃないかという予感がする。ダンスというものの持つ力、可能性を感じる。

カーテンコールにオハッド・ナハリンが来るかな、と思ったけど姿がなかったのが残念。稲尾芳文さんもいなかった。でも一人一人のダンサーが、みんなそれぞれ違った独特の魅力があって素敵だった。若い人が多い。足腰が強い人が多いので、下半身がすごくしっかりしている体型。表情がとても豊かで、一人一人の個性が確立されている。

いや~面白かった。でも、体力がちょっと弱っていたので、もっと体調が万全のときに見ればもっと楽しかったんじゃないかと思う。お客さんの入りもとても良くて県民ホールの1階は完全に埋まっていたし、反応も良かったみたいだから、また近いうちに来てくれないかしら。そういえばDANZAのインタビューで、イーゴリ・コールプもイスラエルのダンスシーンにとても興味があると言っていた。

ひらづみ」さんのところで、イラスト入りの詳細なレビューがあるので、これを見てみるとどんな感じなのか良くわかると思う。
http://d.hatena.ne.jp/sdt/20080202

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
舞台の感想など、よく拝見させていただいております。
バットシェバは実質初見なのですが、先日イベントで「アナフェイズ」の、イスを並べて座って次々と服を脱ぎ捨てていく、一番盛り上がるところだけを抽出した、ワークショップ&ショーイング公演「Deca Dance」を映像で見ました。
あの場面だけでもしびれるので、全編見たらどんなんだったんだろうと思いました。

「本当に踊っていて楽しくて楽しくて仕方ないという幸福感が漂っていた」とお書きになっている部分に大きく頷いてしまいました。
すごく、幸福感にあふれていたのが、印象に残っています。

末筆ですが、当方のエントリに言及ありがとうございました。
今後も色々な記事、楽しみにしております。

sdtさん、こんばんは。
お越しいただきありがとうございました!私の方こそ、よく拝見させていただいています。勝手に紹介しちゃってごめんなさい!作品を見ていない人に伝えるには一番わかりやすくていいな~と思ったのです。
ワークショップ公演見に行かれたんですね!いいですね。私も、バットシェバ舞踊団が踊るナハリン作品を見るのは初めてなのです。NDTによる「マイナス16」や、貞松浜田バレエ団による「DANCE」(これもアナフェイズの変奏曲)だけなんですが、でもすごい衝撃的でした。
イスラエルのダンスカンパニーは面白いところが多いので、もっともっと見る機会があればいいなって思いました。
これからもどうぞよろしくお願いします。

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