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« ルジマトフのすべて2008 | トップページ | DANZA/DDDの表紙もコルプ »

2008/01/27

1/26 レニングラード国立バレエ(ミハイロフスキー劇場)「ドン・キホーテ」

キトリ:アナスタシア・コレゴワ
バジル:イーゴリ・コルプ(イーゴリ・コールプ)
ドン・キホーテ:マラト・シェミウノフ
サンチョ・パンサ:デニス・トルマチョフ
キトリの友人:アレクサンドラ・ラトゥースカ
        :サビーナ・ヤパーロワ
ガマーシュ:マクシム・ポドショーノフ
ロレンツォ:イーゴリ・フィリモーノフ
エスパーダ:デニス・モロゾフ
大道の踊り子:オリガ・ステパノワ
メルセデス:エレーナ・モストヴァーヤ
トレアドール:アンドレイ・マスロボエフ
        :アントン・チェスノコフ
ジプシー:アンナ・ノヴォショーロワ、ニコライ・アルジャエフ
森の女王:オクサーネ・シェスタコワ
キューピッド:エレーナ・ニキフォロワ
ファンダンゴ:アリョーナ・ヴィジェニナ、アントン・チェスノコフ
ヴァリエーション:イリーナ・コシェレワ、オリガ・ステパノワ
グラン・パ:
 アンナ・スホワ、ディアナ・マディシェワ、エレーナ・フィルソーワ、
 エカテリーナ・スカーチナ、エレーナ・カシェーエワ、エレーナ・スヒーフ、
 ヴァレリア・ジュラヴリョーワ

指揮:アンドレイ・アニハーノフ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団

ついにコルプ祭りもこれで終了。しかし私、自分の席が2階L列だったのに、係員の誘導ミスもあり、間違えて3階L列に座ってしまい、気がついたのは演奏が始まってからだった。オーチャードホールの2階バルコンは、最悪なこの劇場の中では非常に観やすいのだけど、そこにいたるまでの構造が複雑なので、もう少しわかりやすい案内にしてほしい。同じフロアに2階L列と3階L列の入り口が並んでいるのだから。

「バヤデルカ」でニキヤを観て、きっとこの技術と明るい雰囲気だったら、キトリが似合うだろうなと思ったコレゴワ。しかし、こうやって観てみると、似合うかもしれなかったんだけど、まだキトリ役そのものになじんでいないんだろうなと思ってしまった。手脚が長く、顔が小さくて、目が大きくとてもキュートな美人で、柔軟性のある身体で脚も非常によく上がる。足の甲もきれい。なのに・・・。演技力があまりなく、パートナーとコミュニケーションできていないのがひとつ。せっかくコルプが一生懸命暑苦しいラブラブ光線を送っているのに、それに応えられなくて、途中でコルプも光線を送るのをやめてしまっていたようだった。それと音楽性の欠如。3幕のフェッテが、ちょっとひどかった。去年のゴールデン・バレエ・コースターで観たアリーナ・ソーモワのフェッテを思い出してしまった。32回回っているし、ダブルも入れているんだけど、軸がぐにゃぐにゃで音と全然合っていない。バランスは得意のようだし、背中も柔らかいんだけど・・。まだまだ全体的に覚束ないというか、真ん中で踊るタマではなかったというのが現時点の実力のよう。相手役のコルプがあまりにも凄いし、女性以上に美しく踊る人だから、余計にそう見えてしまったようだ。

というわけで、コルプ。昨日は最初は飛ばしていたものの、3幕で急に疲れが見えてしまってミスもあったのだけど、今日は踊りそのものは昨日よりも調子がよく、3幕での失速もなかった。演技は、ペレンの方がノリがよかったこともあり、昨日の方がいろいろとやっていて面白かったけど。

まず、1幕のキトリのお友達とのパドトロワでスパークしていた。コルプはいつもは腕の使い方の美しさに目が行くのだけど、ここではランベルセのときの伸びやかな脚の動きに魅せられた。凄いスピードで複雑なパを踊りこなしているし、おおおお!って興奮。キメのトゥールザンレール、キレ味鋭く見事な着地。その後に続くキトリのカスタネットのソロでは、コルプがまずカスタネットを鳴らしながら舞台を一周。このまま、コルプがカスタネットのソロを踊るんじゃないかって(笑)。ってゆうか、コルプのカスタネットのソロが観たいんですけど。以前バレエフェスのガラの余興で、マルセロ・ゴメスが見事なカスタネットのソロを披露したのを思い出した。コレゴワも、カスタネットのソロは柔軟性が生かされており、良かったと思う。

昨日失敗した1幕での片手リフトは今日は見事に成功。相変わらずリフトやサポートは見事で、キトリがまるで空を飛んでいるんじゃないかと思うほど。ただし、1幕のラストで二人で逃げ出すところは、昨日はアンオーに腕を広げてポーズをしているペレンをリフトしたまま、群集を掻き分け舞台を斜めに横切っていたけど、今日は普通に手に手を取って逃げていった。それにしても、人相やガラは悪いけど満面の笑顔、そこらへんのアンチャンって感じの1幕のコルプ、可愛かったな~。満面の笑みが時々、あの片頬でのニヤリとした笑いと、射抜くような鋭い視線に変身する瞬間があって、それがたまりません。ヘラヘラしたヤンキーな床屋に偽装した、黒い天使のよう。しかしピンクのシャツの裾がずるずる出てきているのはいただけないわ!あのピンクは何か狙っているのかしら?

2幕の冒頭でいちゃつくバジルとキトリ、すごくエロい。昼間っからこんなもの見せちゃっていいんでしょうかと思うくらい。二人が上手の方でジプシーの踊りを見ているときも、ほとんど二人羽織状態で身体密着しちゃってもう、みたいな感じなんだけど、とにかくバジルがキトリのことを好きでたまらないんだけど、キトリはちょっとクール。風車に戦いを挑むドン・キホーテを見ているバジルが、本気でオタオタと慌てていたりするという演技の細かさ、いいねえ。そして狂言自殺のシーン。また例によって狂気が覗くマジな顔で(でも、前日よりはいたずらっぽく、冗談っぽくはなってきている)刃物振り回して、このままみんな皆殺しかも、って見せかけ、マントを床に敷いて横たわる。その後に、会場に向けた投げキッスの濃ゆいこと!会場沸きまくり。やっぱりペレンと比べてラブラブ度が低いので、今回はキトリとのキスの数がちょっと少なくて、キトリの胸をおさわり、というのもほとんどなかったけど、それでもコレゴワのホッペに顔を寄せるコルプがいたずらっぽくもセクシーだった。そして伸ばしたつま先がやっぱりきれいで、やたら色っぽい。女性の美しい脚を見て興奮する親父のような心境になってしまって困った。結婚を許されて立ち上がったコルプが見せた、超高速シェネがまるで竜巻のようで凄かった!あんなに速くて正確なシェネは初めて見たかもしれない。この人は何でいちいちすべてが上手なんだろう。ゲストで呼ばれるダンサーだから、上手なのは当たり前なんだろうけど、上手という水準を軽く超えた、さらに上のモノを見せてもらうことできる。

3幕では、またまた貴公子に大変身。純白の衣装(上着は若干グレーがかっていて、華麗な刺繍がある)が似合うってキラキラ感もあるんだけど、やっぱりこの人は黒王子。彼が体現する純粋なバレエの美しさの中に、一瞬だけ黒曜石のように輝く魔性。これが、パフォーミングアーツを見る醍醐味なのだと思う。アダージオのフィッシュダイブは前日にちょっと失敗したので、慎重にやっていたけど今回は成功。肩甲骨からしっかり使っているポール・ド・ブラが滑らかな曲線を描き、女性ダンサーよりもずっと美しい。ヴァリエーションは、昨日とはちょっと変えてきていて、標準的なバジルのヴァリエーションに近いものになっていた。キメポーズで大きく後ろに背中をそらすラインが、気絶しそうになるくらい美しい。片足で着地してそのままアラベスクに持っていくという高度な技も、微塵も揺るぐことなくスムーズに美しいY字ラインへと持っていく。そこで、また片頬でにやり、野生の豹のような鋭くエロティックな視線。こんなバジル観たことない!少なくとも絶対スペイン人ではないだろう。
コーダは前日と同じ、しなやかなトゥール・ザン・レールとジュッテのコンビネーション。音にあわせるのがすごく難しそうな振り付けだと思うんだけど、前日よりずっと合っていた。床屋に身をやつしていたバジルが、遠い遠い寒い国からやってきたエキゾチックな貴公子という正体を明かして踊っているようだったけど。そしてすごいスピードのピルエット・ア・ラ・スゴンド。軸のしっかりしていること、安定しいていること。アンレールのアティチュードの角度の絶妙な美しさ。参った。「ドン・キホーテ」のバジルではないけれども、どこまでも自分らしく、純粋な美とアーティスティックさを追及し、技術的にも芸術的にも、そして娯楽的にも妥協を許さないその真摯な姿勢。これぞ真の芸術家だと確信。

バジル役がコルプに似合っているとは、やっぱり言えない。しかし敢えて似合わない役柄を、自分流の美学を通して作り上げ挑戦する心意気は良し。コルプはやはり「白鳥の湖」の浮世離れした、ロマンティックな狂気を秘めたひきこもり王子や、勇敢そうでセクシーなのに実はヘタレな「バヤデルカ」のソロル、そして、なんといってもめくるめく快楽の世界へと誘ってくれる鼻血が出そうな「ライモンダ」のアブデラクマンなどの黒王子的な役柄で観たいと思ったけど、今後このバジル役をどうやって突き進めて行くかは、ものすごく興味がある。やっぱり彼からは一瞬も目を離せない!何をやらかしてくれるんでしょう、今度は。長期の滞在で疲れたと思うけど、また日本に来てね。

それと、終演後に友達とお茶しながら出た話題としては、ぜひノイマイヤー作品、「幻想 白鳥の湖のように」のルートヴィヒ2世と、「ニジンスキー」のタイトルロールで観たいということ。それから10年後には、「ヴェニスに死す」のアッシェンバッハもいいかもしれない。いっちゃった役を演じるには、彼ほどの適任者はいないんじゃないかと思うこのごろ。スタイルとしては、コルプはもしかして、ニジンスキーの転生なんじゃないかと思うよ、マジで。ノイマイヤー先生、お願い。


ほかのキャストはというと、まずモロゾフのエスパーダはめちゃめちゃ濃かった。しかもスペイン人の濃さじゃなくてやっぱりロシア人の濃さなんだよね。前日のシヴァコフのキメキメぶりが可愛いのとは対照的で、泥臭さがあるけどテクニックはなかなかお見事。闘牛士軍団はみな、跳躍も大きくダイナミックで、マント捌きもうまい。大道の踊り子はステパノワ。しかもステパノワは3幕ではヴァリエーションでも出演と大活躍。昨日のハビブリナが女らしいほんのりとした色香が漂っていたのに対し、あくまでも男前でかっこいい姐さん。思い切りのよいテクニックがいかしていた。ここでは、剣は上向きに立てられているのよね。一方、3幕のヴァリエーションでは、音楽性が豊かで正確でありながらのびのびした踊りが素敵だった。ものすごく上手い!主役よりも上手い。もう一人、ヴァリエーションを踊ったのが可憐なイリーナ・コシェレワ。この第二ヴァリエーションは相当難しそうな振り付けだけど、すごく丁寧に踊っていて、笑顔がキラキラしていて可愛いこのこの上なし。

メルセデスは昨日に引き続きのエレーナ・モストヴァーヤ。初日は黒髪だったのに今日は金髪。プログラムを見ると地は金髪のようだ。背中が柔らかく、つややかで色っぽ~いメルセデスが素敵だった。キューピッドのエレーナ・ニキフォロワが素晴らしい。軽やかでキュートで、アラベスクがとってもきれい。しかしこの日の女性ダンサーの白眉は、やっぱり森の女王のシェスタコワだろう。音楽と一体化したこの上なく優雅な踊り。イタリアンフェッテにしても、彼女の手にかかると、あまりにもなめらかなので、ぜんぜん難しそうに見えない。優しげでおおらかで気品あふれる女王ぶり。舞台を横切るグラン・ジュッテも、足音をさせずにふわりと飛んで、高く舞い上がっているのにそれがさらりとしているところが凄い。コレゴワもジュッテは得意なようで、やはり高く足音もなく飛んでいたけど、シェスタコワの貫禄の前では分が悪い。シェスタコワ、サンクトペテルブルグではキトリ・デビューをしたようなのでぜひ来年は彼女のキトリが見たいところ。

ドン・キホーテのシェミウノフ、サンチョ・パンサのトルマチョフ、二人の至芸ぶりは言うまでもない。この版では踊るシーンこそ少ないものの、シェミウノフ君は若さに似合わない風格と、ドン・キホーテの可笑しさ哀しさを体現しているし、トルマチョフはちょこまかしていて愛嬌あるサンチョを好演。それと忘れていた、ジプシー役のニコライ・アルジャエフのワイルドな跳躍がかっこよかった!すごく背中が柔らかくてバネがあって迫力満点!「バヤデルカ」の太古の踊りでもかっこよかったアンナ・ノヴォショーロワと併せ、退屈になりがちな2幕1場を魅せてくれた。

そういうわけで、見れば見るほど楽しいレニングラード国立バレエ(ミハイロフスキー劇場)の「ドン・キホーテ」。この公演が東京の最後だと思うと、ちょっと寂しい。フルーツ王が多額の資金を投入し、ルジマトフが芸術監督となったことで、いろいろな変化があったはず。マトヴィエンコ夫妻も移籍してきたし、地元サンクトペテルブルグを重視するために日本での公演回数を減らすらしいという話も聞こえてくる。しかし、今までこれだけ多くの公演回数をこなし、地道な活動で日本中にファンを作ったカンパニーが来なくなるのはあまりに悲しい。ロシアバレエの魅力を伝えてきた功績は大きいんだし、これからも、少なくとも冬には来てほしいな~と切に願うのだった。(そして、ぜひ「ライモンダ」を携えてコルプをまたアブデラクマンで呼んでね!)

今はただ、4月のマリインスキーのNY公演が楽しみで仕方ない。コルプの黄金の奴隷を観られるかと思うと、幸せで死にそう。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。こちらでは始めまして。
こちらで今冬のミハイロフスキー・バレエ公演での一連のコルプの踊りについて拝読していて、完全にコルプ欠乏症になってしまいました…。
あーーーコルプ観たいです~~~。連日堪能されているnaomiさんが羨ましい!

こんばんわ。
昨日はお会いできて良かったです。
あんなに席が近かったのにもビックリしました。
それにしても会場係員は噴飯物ですね。

バジルとキトリの熱に違いがあり過ぎたのが残念でした。
決して悪いダンサーではないと思うのですが、仰るとおり真ん中で踊るのは
早すぎましたね。

コールプのバジル初役はホントにおもしろかったです。
また観たい・・と思わせる男性舞踏手は貴重です。

妖しいバジルとマールイの仲間達、そしてアニー様の指揮を堪能した午後でした。

marikoさん、ようこそいらっしゃいました!
マリインスキーは最近はパリでは公演をしていないのかしら?今年の11月から1月にかけて、コルプは実に9回も出演しているんですよね。そのうちの7回を観ました。6月と8月にもガラに出演していたし、本当に東京に住んでいてよかったことのひとつは、コルプ祭りができたことです。
でも、今年はこれ以上来てくれるかどうかはわからないんですよね~。とりあえず4月にNYまで見に行きますが。
でも、私はステファン・ビュヨンのリュシアンとイニゴとモレルも観たかったです。

Fさん、こんばんは。
昨日もお目にかかれて楽しかったです。楽しいコルプ祭りも終わってしまってちょっとさびしいところです。
男性の目から見ても、コルプは魅力的だったんですね!そして、マールイの仲間たちもみんな本当に良かったですよね。アニーの指揮にもやっと出会えたし。また、冬には(夏もだけど)再び、マールイのみなさんとコルプに会いたいものです。コシェレワちゃんも可愛かったですね♪

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