最近のコメント

BlogPeople


2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« パリ・オペラ座バレエ「くるみ割り人形」バスティーユ、12/29ソワレ | トップページ | ピナ・バウシュテレビ放映/「プルースト」映像ほか情報 »

2008/01/14

レニングラード国立バレエ(ミハイロフスキー劇場)「バヤデルカ」1/10

ニキヤ(バヤデルカ):アナスタシア・コレゴワ
ソロル:イーゴリ・コルプ
ガムザッティ:エレーナ・エフセーエワ
大僧正:マラト・シェミウノフ
ドゥグマンタ(藩主):アレクセイ・マラーホフ
マグダヴィア(苦行僧):ラシッド・マミン
アイヤ(ガムザッティの召使い):ナタリア・オシポワ
奴隷:ウラジーミル・ツァル
隊長・ミハイル・ヴェンシコフ
ジャンペー:エレーナ・コチュビラ、ユリア・カミロワ
黄金の偶像:デニス・トルマチョフ
マヌー(壷の踊り):エレーナ・ニキフォロワ
インドの踊り:アンナ・ノヴォショーロワ、アンドレイ・マスロボエフ
太鼓の踊り:アレクセイ・クズネツォフ
グラン・パ:
 イリーナ・コシェレワ、エレーナ・コチュビラ、タチアナ・ミリツェワ、ユリア・カミロワ
 アレクサンドラ・ラトゥースカヤ、エレーナ・シャリコワ、サビーナ・ヤパーロワ、マリア・リフテル
 デニス・モロゾフ、ニコライ・コリパエフ
幻影の場面 ヴァリエーション:
 イリーナ・ペレン、タチアナ・ミリツェワ、イリーナ・コシェレワ

指揮:ミハイル・パブーシン
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団

今シーズン初レニングラード国立バレエ(正しくはミハイロフスキー劇場)は、「バヤデルカ」。もともと、バヤデルカ(ラ・バヤデール)はその華やかさ、ドラマティックさ、濃厚な人間関係の描写、音楽の美しさととてもお気に入りの演目。去年、同じバレエ団で観たときも見ごたえたっぷりで、大いに楽しんだのだった。しかも!愛するコルプがソロルを演じるのだから、もう。少なくとも今年前半の舞台の中ではもっとも楽しみにしている公演だったのだ。(次に楽しみなのは、もちろん、マイレン・トレウバエフがソロルを演じる新国立劇場の「ラ・バヤデール」)

まず、最初に思ったのが、大僧正が若い。長身のシェミウノフ君が大僧正なのだもの。長い腕による感情表現がとても美しい。大僧正の持つ威厳を表わすのには苦労していたようだったけど、演技はたいそう力が入っていた。シェミウノフの大僧正は、ニキヤに本気で恋焦がれていて、「恋する若者」となっていた。ラジャにニキヤ暗殺計画を持ちかけられたときにも狼狽している。その上、2幕では、陰謀を知っているためにいてもたってもいられない状態。ニキヤが毒蛇に噛まれてからの一つ一つのリアクションがすごくて、第3の目がほしいと思ったほど。彼が渡した解毒剤をニキヤが落としたときの嘆きようといったら・・・ソロルよりもはるかに激しいんだから。

初めて日本の観客の前にお目見えするアナスタシア・コレゴワ。プロフィール写真では金髪だけど、ニキヤを演じるために黒く染めていた。(シェスタコワもニキヤを演じるときには髪を黒くしている) 長身ではないけど、顔が小さく、手脚は長く、細いけど女らしい体型、理想的なプロポーション。小さな顔に、小鹿のようにクリッとした大きな目をしていて、童顔でとても可愛い。ただし、ニキヤを演じるにあたっては、この可愛いお顔が災いしているかもしれないと思った。テクニックは非常に強くて、安定している。背中も腕も柔らかいし、「影の王国」でのヴェールを使った非常に難しいヴァリエーションも実に見事だった。足の甲もとてもよく出ているし、足音もしない。さすがルジマトフが目をつけただけのことはある。2000年ワガノワ卒業というからまだ若手かな?

ただし、演技はまだまだのようで、コルプのソロルとの気持ちの通じ合いはなかった。ニキヤの持つ情念や激しさ、内に秘めた女の怖さは感じられなかった。ニキヤは神に身を捧げた巫女なので、自分を抑えている部分というのはあっていいと思うんだけど、ね。1幕のソロルとの逢瀬では、恋にわが身を忘れて舞い上がっている様子がよく出ていたけど、こっちのほうは、ちょっと舞い上がりすぎな感じだったし。影の王国では、完全に無表情で淡々と踊ってしまっている。したがって、残念ながら、二人の魂の通じ合いというのは感じられず、ニキヤにラブ~状態のコルプ=ソロルに対して、淡々と受け止めているニキヤという一方通行になってしまっていた。いずれにしても、素材は大変恵まれているし、技術もあるのでこれからは大いに期待できるのではないかと思う。きっと「ドン・キホーテ」のキトリ役はぴったりだろうと思われ、とても楽しみにしている。

そしてコルプ。「ラ・バヤデール」といえば、グラチョーワとヴェトロフが主演したボリショイの映像が大好きで何回も見ているんだけど、コルプってちょっとヴェトロフ系なのかもしれないと思った。「ライモンダ」でのコルプのアブデラクマンが、チョイ悪どころか大悪セクシーダイナマイトだからどうなるかな、と思ったらチョイ悪なのは顔だけだった。腰に巻いた虎の皮やターバン、そして例のチョビひげがよく似合っていてセクシー&かっこいいんだけどね。ソロルって基本的にどうしようもないへたれ男なので、コルプのアプローチは正しいといえる。そして、彼の演技は、ヘタレ度も最高ながら、濃厚この上なくて、見ごたえたっぷり。すっかりその毒に当てられてきた。

ニキヤとの密会シーンでの喜び方がすごい。あの悪人顔に満面の微笑みがミスマッチで面白い。ラブラブ光線炸裂しちゃって、もう。だけどそんな彼も、ラジャに、美しいガムザッティと結婚するようにと言われて思わずグラリ。一瞬躊躇しながらもOKしちゃう。この一瞬の躊躇の演技がとてもわかりやすくてツボ。そして、演技としてみていて一番面白かったのが、もちろんガムザッティとの婚約シーン。もうニキヤのことをとても直視できなくて、背中をあからさまに向けて、ガラス玉のような青すぎる目で、どこを見ているのかわからないような、死んだような表情をしている。かと思えばそわそわと立ち上がって顔を背けたり、手で顔を覆ったり。でも、ニキヤから、目の前で花かごを差し出されたときには、つい自分も手を差し伸べちゃったり。なのに、ニキヤが薬瓶を持ったときには、弱気になってまた顔を背けちゃったり。さまざまな思いが錯綜して、心が乱れまくっているのがわかる。情けねえ男だ。ニキヤの死の時には、これでもかときつく抱きしめて、背中を大きく反らしたポーズを長い間キープ(駆け寄るタイミングがちょっとずれてしまったけど) でも、ここのあたりについては、11日のほうがずっとすごかったので、11日の感想に書くとする。

婚約式の時の青い衣装はちょっとイケていなかった。胸のところに肌色の布があって、出し惜しみするな!とちょっと思っちゃった。アヘンを吸うところは、怪しく身もだえしてくれるのかな、と思ったらそれはなくて、なんだかやさぐれていて、とろろんとした表情で、まるで自分の家で吸っているみたいでちょっと受けた。(でも、苦行僧=蛇使いの笛の音にあわせて蛇がくねくねするのにはもっと笑った。ソロルを慰めるためのものだとか)。へたれ状態のコルプって今まで見たことがなかったからすごく新鮮で面白かった。

終幕の結婚式で、亡霊状態のニキヤが花を落とし、誰かの差し金で花かごが届けられることで陰謀に気がつくソロルの怒り炸裂ぶりが凄かった。その場面での、人がたくさんいて狭い舞台でのジュッテ・アントルラッセのあまりの高さと鋭さ、後ろ脚の上がり方にも驚いたけど!今までコルプの技術的なことは何も書いていなかったけど、毎度のことながら、この人の完璧なまでの美しい踊りと正確なテクニックには目からうろこが何枚も落ちる思い。猫のようなしなやかさ、正確で端正な着地、女性以上に繊細でゆるやかに美しい軌跡を描く腕、つま先、手。ヴァリエーションの最後に決めのポーズをしたときの背中と、広げた両腕が弓なりに作る曲線は、究極の男性美のひとつといっていい。山なりのジュッテの弧も、うっとりするほど。ああ、うつくしい~。セクシー。影の王国のヴァリエーションで、トゥール・ザン・レールを6回入れてマネージュするところがあるんだけど、これが一回一回、ふわりと舞い上がりながら柔らかくプリエを使って着地していて、うっとり。さらにサポートも高くて完璧で・・・。あんなにほっそりとした身体のどこにそんな筋肉があるんだろう。

忘れてはいけないのがエフセーエワのガムザッティ。去年も彼女のガムザッティ像が鮮烈だったのだけど、さらに一回り成長した感じ。去年は、一見虫も殺さないような可愛くワガママなお嬢様の、内に秘めた恐ろしさが印象的だったけど、今回は女としての強さやしたたかさがアップしたようだった。エフセーエワのガムザッティ、ビジュアル的には完璧に可愛い。少しオレンジがかった金髪を縦ロールにして、真っ白な肌。澄んだブルーの瞳。ガムザッティの衣装はヘソだしなのだけど、くびれたお腹もしみひとつない真っ白さなので、見ているとどきどきしちゃう。彼女のガムザッティは、ソロルの肖像画を見たときから一目ぼれしていて、実物を見て完璧に恋に落ちてしまっている。恋する私の邪魔をする人は絶対に許せないわ!とニキヤを呼びつける。ニキヤの顔をよく見て、あら、この娘卑しい舞姫のくせに美しいわ!しかもわたしの言うことを聞かない、と高いプライドをズタズタに傷つけられてしまう。今まで一人として、わたしの言うことを聞かなかった人はいなかったのに。「ほら御覧なさい、わたしと婚約したのよ」と肖像画を見せ付けても「でも彼が本当に愛しているのはわたしよ(アンタみたいなワガママ女なんか彼は好きじゃないわ)」とニキヤに反撃され、ガムザッティが窮地に追い込まれ、宝飾品を与えようとする。でも信念を動かさないゆるぎないニキヤに、女の強さや怖さを感じてしまう。「この女、殺してやる」と美しい顔で誓ったときの表情の恐ろしさ。
でも、蝶よ花よと育てられたお嬢様であるから、悪人にはなりきれない。ニキヤが蛇に噛まれるところでは、自分の意思とはいえ、「わたしはなんてことをしてしまったのかしら」とその結果に顔面蒼白になっているし、ニキヤに「あなたがやったのね」と指差されたときには、そうよ、と頷きながらも顔を背けてしまう。そして、倒れたニキヤのところへソロルが駆け寄ろうとするときに、「この人はやっぱりあの女のほうが・・・・」と悲しげな表情。素晴らしい演技を見せてもらった。

エフセーエワは、踊りのほうも成熟してきて、イタリアンフェッテにもゆるぎない自信が感じられて、とても素敵だったと思う。存在自体に華があるので、ガムザッティにはぴったり。でもいつか、彼女のキトリ全幕も観てみたいな。

2幕のキャラクターダンスは凄く楽しかった。中でもノリノリの太鼓の踊り(インドの踊り)が最高!アンナ・ノヴォショーロワのキレのある動きは見ていて気持ちがよい。これをやってくれるのはロシア系のカンパニーだけだから、貴重。トルマチョフのブロンズ・アイドルも、いかにも仏像らしくて名人芸。可愛い壷の踊りでも登場する高木バレエスクールの子供たちの踊りも達者。

大長文になってしまったので、残りはざっと。非常に残念だったのが、影の王国のコール・ド。スロープを降りてくるところから、タイミングがぜんぜん合っていないので美しく見えない。下に下りてからは、エカルテでデヴロッペするところ、後ろのほうにいるダンサーがキープし切れなくて脚を下ろしてしまっているのが見えてしまった。さらに、アラベスクするところでも、脚がぶるぶるしたり、ぐらついている人が多数。去年から比較すると相当なレベルダウン。かなりコール・ドはメンバーを入れ替えたようなので、その影響なのだろうか。32人という大人数を投入してくれるのはうれしいのだけど。その代わり、影の王国のヴァリエーションは、ミリツェワ、ペレン、コシェレワと豪華版。ミリツェワのヴァリエーションの後半は素晴らしかった。ペレンも良かったんだけど、ヴァリエーションじゃないところで、おっとととよろけてしまってちょっと心配。

ニキヤを裏切ったソロル、そしてニキヤを死に追いやった人々の行いに神の怒りが炸裂し、神殿は崩壊してすべての人々に天罰が下る。ニキヤの魂が白いヴェールとともに天に昇っていき、神殿の跡に大僧正。冠を火にくべて、もはやこの地位に何の意味があろうと立ち尽くす姿に、万感の思い。

« パリ・オペラ座バレエ「くるみ割り人形」バスティーユ、12/29ソワレ | トップページ | ピナ・バウシュテレビ放映/「プルースト」映像ほか情報 »

バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

熱~いレポ、楽しく読みました。
同じ舞台を見ていたのに見落としたところがたくさん。
コルプに熱い視線を注ぎつつもたくさんのことに気付かれていらっしゃる。
特にエンディング、なるほどです。
私はもうコルプの妖しさに酩酊してました。
11日の感想も楽しみにお待ちしてます。

こんばんわ~
会場ではわざわざ後ろの席までお運びいただきありがとうございました。
たいへん充実したレポを楽しく読ませていただきました。
全体と細部に同時に注がれる視点に、なるほどと膝を打つことしきりでした。


ヴェトロフ系・・・

私もアレクサンドル・ヴェトロフの大ファンです。
しばらく前までロットバルトは彼がデフォでした。
踊らないロットバルトがつまらなく感じて困ったものでした。
グラチョーワとのバヤは残念ながら未見ですが、なるほど仰るとおりコールプに共通するものも感じられます。
・・・ってことは、コールプのロットバルトもあり?

ウチは祭り最終日の参加を残すのみですが、途中の演目レポも楽しみにしています。

naomiさん、先日はお会いできて嬉しかったです。
Fは「最近、美女ばかりと知り合いになる♪」とご機嫌でした。(ずうずうしくてすみません)

レポを読んで、舞台を再度思い出し、どきどきしたりニヤニヤしたり。
とても観察力がすごくて驚いています。

(コルプ)
>彼の演技は、ヘタレ度も最高ながら、濃厚この上なくて、見ごたえたっぷり。
(エフセーエワ)
>くびれたお腹もしみひとつない真っ白さなので、見ているとどきどきしちゃう。

激しく共感♪それから、子供たちが本当に上手でしたね。

では、楽日にご一緒できるのを楽しみにしています。それから、11日のレポも楽しみにしています。

ほみさん、こんばんは。
ほみさんの感想もとても楽しく拝読しましたよ~。コルプってホント素敵ですよね♪11日の感想も書かないといけないのですが、もっとすごいことになっているので、果たしてそのあたりが文章で伝えきれるかどうかはわかりません。
シェミウノフくんの大僧正にもけっこう萌えていました。坊主萌え、なんです(笑)

Fさん、こんばんは。先日はどうもでした♪

Fさんもヴェトロフお好きでしたか!彼のロットバルトを見ると確かにほかのロットバルトは物足りなくなるし、彼のクラッスス(スパルタクス)を見るとほかの人では見られなくなるような気がしますね。ヴェトロフとグラチョーワの「バヤデルカ」は以前はビデオが出ていたのですが、廃盤になってしまい、DVDもないんですが、これこそDVD化してほしい作品のナンバーワンですね。ヴェトロフも背中が柔らかい人なのですよね。

コルプの悪の天才(ロットバルト)!似合いそう!チョー観たいですね!(でもそれはグリゴローヴィッチ版だわ)

F嫁さん、こんばんは!
ご夫婦でお越しいただきありがとうございます♪本当に素敵な美男美女ご夫婦で羨ましいです。うちのも、パリとミラノでようやく少しはバレエに関心を持つようになったようですが・・・。

11日の分もがんばってレポートしますね!これからもどうぞよろしくお願いいたします♪(エフセーエワのお腹萌えますね)

naomiさんのレポは「ふむ、ふむ。そうそう!」がいっぱいで楽しみです。
今回もにやにやしながら楽しみました♪
11日分もよろしくお願いします :)

13日は王子に身をやつした(笑)コルプを見ましたけど(これはこれですばらしい♪)ロットバルト!!僧ですよね!!できることならこっちで白鳥お願いしたいです。

ずずさん、こんばんは。
コメントをつけるのが遅くなってごめんなさい。
なかなか風邪が回復しなくって。
11日、やっと途中まで書きました。思い入れが強いと、なかなか文章が進まないんですよね。困ったものです。
13日行きたかったのですが、とても舞台を見に行けるような体調ではなかったので、今日行ってきました。コルプという人の引き出しの多さを実感しました。きっとシェスタコワの方がよりドラマティックに演じられたんでしょうけど、でもペレンちゃんも、魅力を引き出されていて、とても素敵でしたね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« パリ・オペラ座バレエ「くるみ割り人形」バスティーユ、12/29ソワレ | トップページ | ピナ・バウシュテレビ放映/「プルースト」映像ほか情報 »