レニングラード国立歌劇場「イーゴリ公」
「ダッタン人の踊り」が大好きなので、とても楽しみにしていた公演。チケット代がオペラにしてはお手ごろな上、アニハーノフさんが指揮とあっては見逃せないと思って。実際、とても楽しい公演だった!
12月13日 東京文化会館
レニングラード国立歌劇場オペラ「イーゴリ公」
作曲:ボロディン
指揮:アンドレイ・アニハーノフ
イーゴリ公 : アレクサンドル・ネナドフスキー
ヤロスラーヴナ(イーゴリ公の妻) : オクサーナ・クラマレワ
コンチャク汗 : カレン・アコポフ
ガリツキー公(ヤロスラーヴナの兄) : アレクサンドル・マトヴェーエフ
ウラジーミル(イーゴリ公の息子) : ドミトリー・カルポフ
コンチャコヴナ(コンチャク汗の娘) : ナタリア・ヤルホワ
オブルール(キリスト教徒のボロヴェツ人) : アレクセイ・クリギン
スクーラ(グドーク弾き) : ユーリ・モンチャク
エローシュカ(グドーク弾き) : ヴァレンチン・シェヴェレフ
子守 : タチアナ・チェルカソワ
ダッタン人の女性 : ユリア・シモノワ
マリインスキー・オペラのDVDは持っているものの、あまりちゃんと予習もしないで観に行ったけど、話は比較的単純でわかりやすかった。3幕のポロヴィッツ陣営からの脱出のくだりがまるまる省かれていて、ダッタン人の踊りが2幕最後で終わった後、話が飛んでしまっているけどまあいっか。全部上演したら4時間になってしまうので、平日の上演では無理でしょう。(しかし、これでは、まるでイーゴリ公とコンチャク汗のやおい話?)
全国をまわるツアーの割には、セットもそれなりに豪華でセンスも悪くなく、衣装もなかなか美しかった。メイクがダンサー含めてとんでもないことになっているのは大目に見るとしよう。
イーゴリ公のアレクサンドル・ネナドフスキー、ヤロスラーヴナのオクサーナ・クラマレワとも、声量が豊かで良い歌い手。特にいかにもスラヴ的なヤロスラーヴナの2幕の独唱は素晴らしかったし、二人が一緒に歌うところの音の重なり方も綺麗だった。前半はそれほど声が出ていないけど、しり上がりにどんどん良くなっていって、ラストは震えが来るほどよかった。そんなに頻繁に上演される演目ではないので、アリアは聴いたことがないのが多いのだけど、特にポロヴィッツ人の陣営のところでコンチャコヴナが歌った東洋的な音階が変わっていて面白かったし、演じたナタリア・ヤルホワのアルトの声も良かった。コンチャク汗のカレン・アコポフのバスも、魅力的だった。
合唱は、ラストのところはすごく盛り上がったけど、それまではちょっと迫力に欠けたかな?というのも、アニハーノフの指揮が爆音系でものすごい音量、コーラスを上回っちゃっていたからだけど。1階前方の席だったけど、けっこうアニハーノフの動きが見えて、ものすごい熱演をしているのがわかった。腕を高く振り上げていたり、よく動いている。
で、期待の「ダッタン人の踊り」は野性的が迫力はすごかった。剣の踊りで男性ソリストが剣を落としたのがやや間抜けだったけど、それ以外は、トゥール・ザン・レールの連発などがばっちり決まっていてレベル高い。ここは、振付がフォーキン版ではなくて、以前「ルジマトフのすべて」ガラで、クリギンさんらが踊ったのと同じ振付なのだと思う。ジャンプなどもかなり民族舞踊っぽくて、面白かった。オペラのバレエシーンって舞台が狭いから踊りにくいのだろうと思うけど、ダンサーの数も多くて贅沢。もちろん、女性ダンサーたちはみんな柔らかい美しい動きでプロポーションも抜群で目の保養。一人も顔と名前が一致しなかったのが残念。プログラムに、ソリストはどのダンサーって書いてくれればいいのにね。
いずれにしても、迫力のコーラスと迫力の踊り、そしてもちろんアニハーノフの爆演で、舞台からのアドレナリン放出しまくりで楽しかった。観客として最高の時間を過ごすことができて、観客の反応もここが最高潮。やはり最大の見せ場はバレエなのであった。
カーテンコールの順番を「次は君」とアニハーノフさんが仕切っているのがとても面白かった。指揮だけではなくてこういうところでも活躍するのね。バレエの方も期待しているわ♪
さて、来年のマリインスキー・オペラの「イーゴリ公」はどうなんでしょう?バレエはきっとすごく良いはずだけど。
マリインスキー・オペラのDVD、いつのまにか国内盤も出ていたんですね。
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