12/4キエフ・バレエ「ライモンダ」簡単な感想/産経新聞に岩田守弘さん
今日はオーチャードホールでキエフ・バレエの「ライモンダ」を観て来ました。「ライモンダ」っていい演目だな~ってしみじみ思いました。グラズノフの音楽も美しいし、クラシックとエキゾチズムの絶妙なブレンド。3幕の踊りまくり大会。今回の版は、アブデラフマンの踊りの見せ場もたっぷりあって、見ごたえたっぷり。クラシックバレエのめくるめく魅力にクラクラと幻惑されました。
今日の公演は主役の3人、エレーナ・フィリピエワ、セルギイ・シドルフスキー、イーゴリ・コルプ、3者とも素晴らしい出来。特にコルプのアブレラフマンの妖しさと情熱、吸引力、信じられないほど柔らかい背中には改めて惚れ惚れ。あんなに背中を反らすことのできる男性ダンサーって他にいるのでしょうか、と思うくらい。えびぞりジャンプした時に頭から脚が生えているのですよ。でも基本的に彼はキャラクテールよりは端正な人なんだなって思いました。猫のようなしなやかさには今更ながら驚くばかり。彼が登場すると、その場の温度が変わるのがよくわかります。絶命するまでの、愛を訴える渾身の演技、凄まじかった・・・手下の手を払いのけて堂々と歩いた後倒れ、地を這いながらあの射るような視線でじりじりと近寄り、死ぬ間際にライモンダにキスするの。シドルフスキーは、まっすぐな脚の美しさ、音のしない見事な着地、白が良く似合う絵に描いたような騎士ぶりでめちゃめちゃ素敵でした。しかしライモンダ、完璧にアブデラフマンにのぼせ上がっちゃって、その後でのジャンへ接する態度の冷たいこと。アブデラフマンへと向けられた愛の炎を必死に消そうとする白の貴婦人って実は邪悪な存在だったりして。必死に愛を取り戻そうとするジャンが気の毒でした。フィリピエワの鉄壁のテクニック、バランスのすごさ、見事なアティチュード、キラキラした姫オーラも最強。3幕のポアントに立ったままパドブレするヴァリエーションも安心して見てられました。
ソリスト陣も、ラインがスレンダーで美しい白の貴婦人田北志のぶさんや、クレマンスとアンリエットはじめ、みんなとても良かったです。田北さんの上半身、特に腕の美しさは絶品。彼女のオデットも観たかったですね。ベルナールの菅野英男さんも、踊りまくる役ですが、端正で堂々とした踊りっぷりでした。面白いのは、ラストでは伯爵も伯爵夫人も踊りまくること!伯爵夫人、あんなに脚上げちゃっていいんですか?こんなライモンダ、観たことない!
特筆すべきはオーケストラの素晴らしさ。「ライモンダ」は音楽が真珠の珠や宝石のようにキラキラしているけど、演奏が良いと本当にうっとりできます。このカンパニーで最大の懸念である衣装やセットも、アブデラフマンの衣装以外は今回はきれいだったと思います。アブデラフマンの衣装は、せっかくのコルプの美脚が見えないし、特に2幕では色使いも地味で彼の魅力をちょっと殺してしまっていました。1幕では赤い頭巾でまるで蜘蛛みたいだったし。あとコルプのメイクはやりすぎ。旧ソ連時代風のものすごいライン使いで、せっかくのコルプの青くて澄んだ瞳が生かせていないのが残念でした。
12月と忙しい時期の平日公演につき、客席は正直言ってかなり寂しかったです。「白鳥の湖」では東京国際フォーラムホールA(5000人)を満杯にできていたのに。「ライモンダ」がマイナーな演目っていうのもあるでしょう。しかしながら、コルプの踊るパートは白鳥の倍以上あるし、華やかだし音楽も演奏も最高だし、クラシックバレエが好きな人だったら絶対に気に入ると思うのです。迷っている方はぜひ明日の公演に!私は明日は日比谷公会堂でショスタコーヴィチの11番を聴きに行くので、行けなくて残念です。
またちゃんとした感想は後日。
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産経新聞のWebにボリショイ・バレエの岩田守弘さんのインタビューが載っています。紙面では一面に載っていたようです。身長が166cmと小柄でなかなか主役に就けないのは、「つらいが事実です。でも、だからこそ、高く跳べるようになった。人には自分の持ち場がある。どんな小さな役でも一生懸命やれば、喜びは必ず見つけられます」とは本当にプロの鑑となるべき心意気ですね。
ロシア・バレエ界の巨匠で、振付家のミハイル・ラブロフスキー氏はこう評価する。
「モリは、拝金主義に侵されたロシア人ダンサーが失いつつある精神の力を信じている。その力は、肉体の力とは異なり無限だ。精神の力を重視したサムライの魂を宿した芸術家だ」
最高の賛辞ですね。そんなサムライ岩田さんの舞台がまた観たいです。記事中の写真は、「白鳥の湖」の道化を演じる自身の写真を前にした岩田さん。来年のボリショイ・バレエの来日公演「白鳥の湖」できっと彼の道化が観られることでしょう。楽しみですね。
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コメント
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わたしも思いっきり楽しみましたp(^-^)q
そうそう、公爵夫人踊っちゃってましたね〜 だいたいこういう役の人は立ったり座ったりするだけなのに大活躍でしたよね。
コルプの衣装確かに2幕目はむむ、、だった。悟空みたい。
またみたいよー!!です。
投稿: ずず | 2007/12/05 17:21
良い公演だったんですね。
演奏は「白鳥の湖」の時も、とてもよかったと思うので、あれで「ライモンダ」なら本当に素敵でしたね。
コルプの王子姿に続き、アブデラクマン姿も堪能できて、良かったですね。
変幻自在のダンサーの一人だと思います。
ショスタコーヴィッチは、井上さんの全交響曲演奏ですか?
魅力的なプログラムですよね。
投稿: くみ | 2007/12/05 20:30
12/5のライモンダ観てきました!
フィリピエワが腰痛の為田北さんがライモンダ代役でした。
うう。。
確かに上半身の美しさや上品さは申し分ないのですが。。。
フィリピエワとはまた一味違いますよね・・・。
比べちゃいけませんかね。
コルプは今日も観客を鷲づかみでした
~!!!
投稿: ゆき | 2007/12/06 00:29
ずずさん、こんばんは。
コルプの2幕の衣装が孫悟空みたいって、誰もが言っていましたね(笑)でも、ホントにコルプは素敵でくせになります。思わずチケット、バヤデルカ、忙しくていけないかもしれないのに追加して買っちゃいましたから。今日の公演の方がメイクは改善していたみたいです。行きたかったな~(でも井上道義さんも素敵でしたよ)
投稿: naomi | 2007/12/06 02:08
くみさん、こんばんは。
そうそう、ライモンダは音楽がとても素敵なので、良い演奏で聴けてよかったです。ぜひまた新国立劇場でも上演して欲しいですよね。ワシントンだけじゃなくて。
コルプは妖しい役だと本領発揮しますね~。人間とは思えないほどしなやかな身体でした。
ショスタコーヴィッチはそう、井上道義さんでした。いや~ミッチーにも惚れましたよ。なんて素敵なんでしょう。演奏も素晴らしかったです。こんなに楽しいコンサートもなかったくらい。
投稿: naomi | 2007/12/06 02:10
ゆきさん、こんにちは。
もしかしてはじめまして、ですか?(違っていたらごめんなさい)
そうですか~フィリピエワ心配ですね。田北さんはとても繊細な動きを見せる素敵なダンサーですが、ライモンダの姫オーラという点ではフィリピエワが上なのでしょうね。
コルプ、やっぱり素敵ですよね~できるだけたくさん観に行きたいです!
投稿: naomi | 2007/12/06 02:12