BlogPeople


2018年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« 「VOGUE NIPPON」にギエムとフェリのインタビュー/スカラ座「真夏の夜の夢」はリージョンALL | トップページ | ロイヤル・バレエ2008年来日日程発表 »

2007/12/02

世田谷パブリックシアター「失踪者」(カフカ原作、松本修演出)

世田谷パブリックシアター2作品交互上演「審判」「失踪者」
シアタートラム
[原作] フランツ・カフカ 池内紀訳(白水Uブックス「カフカ・コレクション」より/白水社刊)
[構成・演出] 松本修
[振付] 井手茂太
[美術] 伊藤雅子
[照明] 大野道乃
[音響] 市来邦比古
[衣裳] オルガ・カルピンスキー


[出演] 井口千寿瑠/石井ひとみ/伊勢佳世/いせゆみこ/大崎由利子/太田緑ロランス/ともさと衣/西田薫/山田美佳/石母田史朗/泉陽二/笠木誠/粕谷吉洋/小嶋尚樹/斎藤歩/柴田雄平/高田恵篤/中田春介/福士惠二/宮島健    
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2007/11/post_93.html

一時期自分が演劇をやっていたこともあったので、ストレートプレイも好きなのだけど、バレエをたくさん観るようになってからは足を運ぶことも減ってしまっていた。友人に勧められて観たのが、2001年と2003年に「アメリカ」の題で上演された(読売演劇大賞優秀作品賞、毎日芸術賞・千田是也賞を受賞)カフカ原作の「失踪者」。原作は「アメリカ」という題名の方が有名だけど、カフカは本来「失踪者」という題名をつけるつもりだったとのこと。

シアタートラムに行くのは、ずいぶん昔に野田秀樹の「赤鬼」を観て以来のこと。劇場に入ると、本来とは逆の組み方で、入り口が舞台の上になっており、奥が客席。舞台の奥が高くなっていて、階段で降りたところがメーンの舞台という形になっていて、上下2段の舞台構成をうまく使った上演になっていた。脚本はなく、長期にわたるワークショップにより完成した舞台だという。その成果が存分に発揮され、テンションが高くて充実した作品に仕上がった。しかも、同じキャストでの「審判」との交互上演というから、その大変さは想像を絶するものがある。上演時間は、休憩15分を入れると3時間45分という長丁場、しかしその長さは全然感じない、面白い舞台になっていた(席は大変座りづらくてお尻はちょっとつらかったけど)。

主人公のカール・ロスマン役を4人の役者(そのうち一人はともさと衣と女優)がリレーのように演じているのがユニークな趣向。役者の演技中心を中心に追うというよりは、舞台の流れや演出の妙を感じるのに良い手法だったと思う。出演する19名の俳優たちが、一人7~10もの役を演じるというのもすごい。話そのものも、あっち行ったりこっち行ったりと寄り道ばかり。それでいて散漫にならないということにも感心する。主人公の目線というよりは、周囲が見る主人公像の反映としての主人公という見せ方をしているのかな?そもそもカールは自分の意思が明確に存在しない人間なのだ。周囲の人間に流され、犠牲になる人間。なぜか女たちにはめっぽうモテるのだけど、そのことも彼自身の意思とはまったく関係ないのだ。その流れ流されていく感覚がなぜか心地よい。

19歳のドイツ人青年カールが女中に手篭めにされて妊娠させてしまい、親に追い出されアメリカに行く船の中で、大富豪の伯父に出会ったところから、流れ流れていくお話。登場する人物の大部分が悪意のある、だけど変に魅力的な人間たちで、カール自身の選択もことごとく裏目に出ることから、どんどん悲惨な目に遭っていくのに、暗さがまったく感じられなくて、色々な不条理にくすくす笑ってしまう。途中で挟まれるイデビアン・クルーの井手茂太さん振付による群舞が群集心理をうまく語らせていて、いいスパイスになっていたし、踊りもさまになっていた。音楽も飄々とした世界観に良く合っていた。

(以下ネタばれありにつき、これから観る方はごらんになりませんように)

終わり方の演出だけがちょっと疑問だったかな?最後に舞台上方のスクリーンに「働けば自由になれる(Arbeit macht frei=アウシュビッツ強制収容所の門に掲示されていた文言)」という言葉を映していたのは明確にナチズムを表現していたわけなんだけど、急に深刻なトーンを与えすぎで、今までの世界観を崩してしまっているような気がした。

« 「VOGUE NIPPON」にギエムとフェリのインタビュー/スカラ座「真夏の夜の夢」はリージョンALL | トップページ | ロイヤル・バレエ2008年来日日程発表 »

演劇/歌舞伎」カテゴリの記事

コメント

「審判」の方を見ました。入れ替わりの激しい、テンポの良い演出でした。女性の描き方がカフカっぽくて巧かったです。「失踪者」は主役の俳優が入れ替わるんですねー。こっちはどうしても都合が合わなくて行けなかったのですが、naomiさんのレビューを拝見できて良かったです。原作は「アメリカ」の方を読んだのですが、最後の文句には覚えがないです。うーん。

ogawamaさん、こんばんは。

私は逆に「審判」を見る時間が取れませんでした。「失踪者」は、この作品(「AMERIKA」という題名で上演)を観た友達に推薦されたのです。12月は本当に公演が多くて仕事も忙しくて大変!です。私が観に行った日は完全にソールドアウトだったようなので、また2年後くらいには再演があるかもしれませんね。こっちもテンポが良くて動きの多い舞台でした。


初めまして。
私どもは、舞台芸術カンハ゜ニーとして活動しているBABYEINSTEINという集団です。
http://www.baby-einstein.biz/top3.html
フ゛ロク゛を拝見していて、ひょっとすると・・・当カンハ゜ニーの作品も気に入っていただけるのではなかろうかと
勘ぐり、コメントさせて頂きました。
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/hcprp617/view/20090617
7月の2(thu)-5(sun)に池袋のシアターク゛リーンという劇場で、作品を発表します。
現在、まさに稽古段階ですが、おそらく突き抜けた作品になるであろう実感を得ております。
この公演では、鑑賞フ゛ロク゛をお持ちの方を無料でご招待しております。
(baby_einstein@hotmail.co.jpまで氏名・希望日時をブログアドレス添付の上、ご一報いただけたら幸いです。)
つきましては、是非この機会をご活用いただき劇場に足をお運びいただけないだろうかと
書き込みをさせて頂きました。
http://www.baby-einstein.biz/carnibalmania.html
もし、ご都合がつかれましたら是非ご観覧にいらしてください。
劇場にてお待ちしております。


※ご面倒であれば当日お越しいただいてフ゛ロク゛のタイトルをおっしゃっていただけるだけでも
ご招待とさせていただきますので、何卒よろしくお願いいたします。

BABY EINSTEINさま、こんにちは。

ご案内をありがとうございます!都合がつくようでしたらぜひ拝見させていただきます。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 「VOGUE NIPPON」にギエムとフェリのインタビュー/スカラ座「真夏の夜の夢」はリージョンALL | トップページ | ロイヤル・バレエ2008年来日日程発表 »