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« 12/24国立モスクワ音楽劇場バレエ『くるみ割り人形』 | トップページ | Happy New Year from Milan »

2007/12/28

12/27モスクワ音楽劇場「白鳥の湖」(ブルメイステル版)/ダンマガ/DDD

今日はモスクワ音楽劇場の「白鳥の湖」(ブルメイステル版)を観てきました。

素晴らしかったです。タチアナ・チェルノブロフキナのオデット/オディールは見事なものでした。細かいテクニックがどうこうということではなくて、そこに確かにオデットがいて、オディールが存在していて、というドラマ性。チェルノブロフキナは、オデットでは悲劇的ではあるけれども愛らしく、しかし高貴でたおやかな姫として、オディールではその魅力で誰もを虜にする妖艶な小悪魔として、この上なく魅力的でした。柔らかでなめらかな腕の動き、凛とした美しさ、上半身のポジショニングの見事さ、目線の使いかた。演技というよりは、肉体全体で役柄を演じ、役を生きているのがわかって、とても新鮮で目から鱗が何枚も落ちるようなオデットそしてオディールでした。もう40歳ということですが、年齢を感じさせない可愛らしさがまたいいのですよね。テクニックも、2回ほどひやりとしたところはあったものの、安定しており、アンドオールもしっかりしていて、ラインが美しかったです。予定があいていれば土曜日マチネでもう一度観たいと思いました。

王子のゲオルギー・スミレフスキは、顔がアンヘル・コレーラにとても似ていて甘いマスク、黒髪のエキゾチックなダンサーなのですが、非常に背が高くて脚が長く顔も小さく、プロポーションに恵まれていました。生まれついての気品があり、踊りはとてもエレガントで高貴な王子そのものなのですが、演技がとても細かくて、観ていて面白かったです。2幕で王子は去っていくオデットの白い羽根を拾い、大切に持っています。3幕でも、花嫁候補たちの踊りをよそに、ずっとオデットの羽根を握り締めては見つめていて、メソメソしているので笑ってしまいました。王妃役のインナ・ブルゴーコワがまた大変な美人なのですが、その王妃と手を握り合ったりしていて、ものすごいマザコン王子なのです。気品のある貴公子的ルックスだからこそ、情けないマザコン振りが際立っているのですよね。オディールにはすっかり参ってしまって、切ないほど吸い寄せられています。それをじらすように、ロットバルトや手下たちのマントの陰に隠れたり、現れたりとオディールは王子を翻弄し、それに操られて一喜一憂する王子の姿には、ハラハラしました。嘆き悲しむオデットの姿を見ての王子の動揺っぷりといったら、かわいそうなことこの上なし。4幕のロットバルトとの戦いも、大熱演でドラマティックでした。この「白鳥の湖」は演出が王子の目線で描かれていて、彼の心の揺れ動きがダイレクトに伝わってくるのです。最後も王子はたった一人で、何回も倒れながらもロットバルトと戦うのです。マザコン王子からの脱皮物語として感じられて、王子がんばれ!と応援モードに。そう、これは王子の物語なのですよね。「白鳥の湖」なんて王子は単なる添え物、オデット/オディールのバーであることが多いのですが、この演出で、王子役ダンサーの演技力あってこその作品に仕上げていました。

ドラマティックといえば、1幕、そして特に3幕のドラマ性は本当にすごかったです。舞台上の一人一人が演技をしていて、台詞のある演劇の舞台を観ているようでした。ブルメイステル版は以前にザハロワ&ボッレのスカラ座のを見ていて、そのときは主役二人はめちゃめちゃ美しいけれど、作品としてあまり面白くないと思ったのですが、認識を改めなければと思いました。民族舞踊なども、いかにもディヴェルティスマンとして余興として存在しているのではなく、一つ一つの踊りに意味があるのです。マズルカからオディールのアダージオへの流れの見事なこと!ひとつとして無駄な踊りがありません。オディール、ロットバルト、そして王子の踊りがパズルのように巧みに組み込まれているのです。なにしろ民族舞踊組は全員ロットバルトの手下で、ナポリなんかも可愛い顔して邪悪なこと!カッコいい!正体を明かして高笑いするオディールは、花嫁候補たちの前をぐるりと歩み「勝ったわ」と勝ち誇りながら去っていくのです。3幕の舞台装置は非常に豪華だし、衣装もゴージャス&繊細で美しいし・・・・3幕だけでも大満足でした。チャイコフスキー・パ・ド・ドゥの曲でアダージオを踊るのに違和感があるのではないかと観る前は懸念していましたが、この作品のドラマ性に良く合ってて、静かにドラマが進行し、少しずつ高まって行く緊張感を伝えていて良かったです。

ラスト、人間の姿に戻ったオデットが、自分の腕などを見て「私、人間に戻っているわ」と喜んで王子と結ばれるところ、観客としても幸福感に包まれます。娘姿のチェルノブロフキナの可憐なこと!身体の線に沿った白いドレスがとても似合います。

白鳥の群舞は、席がかなり前方だったので全体的な揃い方はわかりづらかったのですが、足音も小さく、プロポーションは揃っているし、動きも統率されていて良かったのではないかと思います。1幕でも、男性群舞が貴族のようにきれいな衣装と、美しいダンサーたちで踊られていたので、視覚的に大変楽しめました。
道化のデニス・アキンエーエフは、とにかくよく回りよく跳び、これぞ道化の踊り、という愛嬌で演じきっていて、観ていて思わず笑顔になってしまいました。3幕では、道化の子分たちがたくさん登場して、道化の親玉が一人一人のお尻を蹴るんです。でんぐり返しをしていたり、楽しかった~。

こんなに素晴らしい舞台なのに、年末であわただしい時期の平日ということもあって、客の入りが寂しかったのがあまりにも残念です。年末、お時間がある方はぜひご覧になることをお勧めします。この作品は観ないと後悔します。休憩3回込みで3時間45分という長尺ですが、舞台装置の立派さを見れば、設営にこの長さも必要だと納得できると思います。オーケストラピットからはみ出さんばかりに髪を振り乱し飛び上がる指揮者フェリックス・コロボフの熱演も楽しかったです。

************

ということで、さっと書くつもりが長々としてしまいました。今日発売の雑誌の紹介をざっとしておきます。

「DDD」はインタビューだけでなく、ファッションページにイーゴリ・コルプが登場しています。まるでロックスターのようなコルプのセクシーでやんちゃでカッコいいこと!彼のチョイ悪の部分、そしてパンクなところ、アーティスティックさをよく伝えている写真です。普段の金髪ではなく、黒髪にしているのですが、ガラス玉のように澄んだ青い瞳とのコントラストが見事です。この写真だけで、迷わず購入。表紙は、キエフ・バレエのナタリア・ドムラチェノワ。かわいいです。ピナ・バウシュ、ヤンヤン・タン、首藤康之さんのインタビューもあります。

ダンスマガジンは、恒例のダンサートップ10。巻頭は珍しく新国立劇場の「椿姫」。表紙はザハロワです。それからエレーナ・フィリピエワのインタビューが面白かったです。彼女は非常に賢い人なのですね。将来、本当に芸術監督になるかも。。。付録としてDVDがついており、コジョカル、コルプ、ザハロワ、マトヴィエンコ、フォーゲル、マラーホフのインタビュー映像が納められています。
2008年のバレエ/ダンス予定が掲載されていますが、ラララ・ヒューマンステップスが7月頭に来日する(彩の国さいたま芸術劇場)のが新しい情報かな?今度はぜひ観てみたいと思います。11月には同じ劇場で、ナチョ・ドゥアト率いるスペイン国立ダンスカンパニーがきます。しかも「ロミオとジュリエット」!!必見ですね。
あと、小林紀子バレエシアターは、8月にヨハン・コボー振付の「ラ・シルフィード」(もちろんコボーがゲストコメントで教えていただきましたが、コボーではなくデヴィッド・ホールバーグのようです。デヴィッドにはジェームズは初役?)、10月に「ザ・レイクス・プログレス」の再演をやるということで、相変わらず魅力的なプログラムばかりです。

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28日の夜出発で、パリとミラノに行ってきます。パリでは「パキータ」「くるみ割り人形」、ミラノではスカラ座バレエのチャイコフスキー・ガラを観てきます。その間更新できないと思います。

本年は皆様には大変お世話になりました。皆様の応援なしではとても続けられなかったと思います。毎度コメントへのお返事等が遅くてご迷惑をおかけしておりますが、めげずに今後もお付き合いいただければと思います。色々な方とここを通して出会うことができて、本当に楽しかったです。2008年もどうぞよろしくお願いいたします。皆様にとって、2008年が素敵な年になりますように。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

「白鳥の湖」良い公演だったようでね。
知名度や日程により、お客さまが、少なくなってしまうのは、本当に残念ですね。

来年の小林紀子バレエシアターは、8月の公演で、2005年にヨハン・コボーが新製作した「ラ・シルフィード」を上演する予定です。
ジェームスには、ABTのデヴィッド・ホールバーグさんが、予定されているようです。

今年もこのブログを楽しく読ませていただきました。
本当に参考になることばかりで、博識さには、感心しています。

来年も楽しいバレエ公演が観られるように、願いながら、ご旅行を楽しんできてください。

おー早速ありがとうございます。
年賀状書くといっていたので期待していなかったからよけいうれしいわ。

すばらしい公演でしたね。すっかり堪能しました。

3幕のデヴィルティスマンがロットバルトの手下という着想はすごくいいですね。

今年はたいへんお世話になりました。
こちらのブログのおかげでどれだけバレエライフが豊かになったことか。
あらためて御礼申し上げます。
欧州で年越しなんですね。
楽しいご旅行になることをお祈りいたします。

チェルノブロフキナ出演のモスクワ音楽劇場の白鳥、ブルメイステル版、私も同じ12月27日に観てきました。チェルノブロフキナの長い手足、場の空気を読んだ叙情性にすっかり感動したジゼルの公演を何年か前に初めて観た時の印象が強く、今回は絶対に逃せないと思っていました。2幕のオデットを踊ったチェルノブロフキナの舞は今年みた白鳥の中では一番印象に残るものとなりました。
2階、3階席には空席が結構目立ち、観客全体としてノリがやや悪かったのは私も残念でした。

今年もありがとうございました。楽しいパリ、ミラノの新年を楽しんできてください。

あ、ごめんなさい。↑上のコメント、togaでした。
良い年を。

くみさん、
年をまたいでのコメント、すみません!旧年中は本当にお世話になりました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
今年の小林紀子バレエシアターのラインアップも楽しみですね。なんといってもデヴィッド君!彼のジェームズは素敵でしょうね。コボーの本家ブルノンヴィルも見たかったけど。
また色々と教えてくださいね。

ずずさん、
あけましておめでとうございます(って昼にお会いしたばかりですが)。今年もよろしくね!
年賀状は成田エクスプレスの中で書いて、電車が揺れるものだからひどい字だったかと思います。
いい公演をご一緒できて良かったですよね♪

ロットバルトの手下がディヴェエルティスマンというのは、東京バレエ団もそうだけど、ブルメイステル版のほうがよりそのあたり上手く演出していますよね。

Fさん、
新年おめでとうございます。そんな、褒めすぎですよ^^;私もFさんのサイトでいつも楽しませていただいています。
私もマールイのコルプ祭りは参戦するので、お目にかかれればいいですね。今年もよろしくお願いいたします。

togaさん、
同じ日にご覧になったのですね!チェルノブロフキナは、2年前のバレエの美神ガラでしか観たことがなかったのですが、本当に素敵でした。白鳥としては、確かに今年観た中では一番印象に残りましたね。フィリピエワも良かったですが。叙情性があって、演技をしているわけではないのに、見事に物語りに寄り添っていて美しかったです。

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