BlogPeople


2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« 写真展「ボリショイ・バレエ-美の舞台裏」 | トップページ | パリ・オペラ座昇進コンクール結果(女子) »

2007/12/21

12/19 新国立劇場バレエ団「くるみ割り人形」

【振付】マリウス・プティパ/レフ・イワーノフ
【作曲】ピョートル・チャイコフスキー
【改訂振付】ワシリー・ワイノーネン
【演出】ガブリエラ・コームレワ
【監修】牧阿佐美
【舞台美術・衣裳】シモン・ヴィルサラーゼ
【照明】ウラジーミル・ルカセーヴィチ
【舞台監督】大澤 裕(ザ・スタッフ)

【指揮】渡邊一正
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

P1020001small_2

【マーシャ】ディアナ・ヴィシニョーワ
【王子】アンドリアン・ファジェーエフ
【ドロッセルマイヤー】ゲンナーディ・イリイン
【シュタリバウム】貝川鐵夫
【シュタリバウム夫人】湯川麻美子
【フランツ】大和雅美
【道化】グレゴリー・バリノフ
【人形】高橋有里
【黒人】江本 拓
【ねずみの王様】市川 透
【くるみ割り人形】八幡顕光
【スペイン】西川貴子 市川 透
【東洋】湯川麻美子
【中国】寺島まゆみ 吉本泰久
【トレパック】丸尾孝子 楠元郁子 貝川鐵夫
【パ・ド・トロワ】小野絢子 井倉真未 八幡顕光
【ばらのワルツ】寺島ひろみ 真忠久美子 川村真樹 厚木三杏 
中村 誠 陳 秀介 江本 拓 マイレン・トレウバエフ

P1020004small

一昨年に新国立劇場で上演された時にはパスしてしまったので、3年ぶりに観るこのプロダクション。パーティの会場に入った時に、こんなにピンクピンクした舞台だっけ?とちょっとビックリ。2幕も見事にピンクの世界だった。

妖艶なイメージの強いヴィシニョーワが果たして少女マーシャを演じることができるのだろうか、とちょっと怖いもの観たさで臨んだ舞台だったけど、ヴィシニョーワ、ちゃんとセクシーオーラを消して、可愛らしい少女になりきっていてお見事な演技力。フリフリのドレスを着ていても浮いていないし、ネズミ軍団におびえている姿もキュート。ところが、王子が登場したとたん、いきなり色っぽくなるのはさすがのディアナちゃんで、ピンクのチュチュをお召しになればもう貫禄もお姫様オーラもたっぷり。

ヴィシニョーワは、おそらく時差ぼけもあったようで、後半はサポートつきピルエットが傾いたり、キャバリエにサポートされる時に不安定なところもあったけど(サポートする側にも問題あり)、アカデミックさを感じさせる、ピカピカに磨き抜かれたテクニックは素晴らしい。多少脚の上げ方が乱暴かな、と思うところもあり、優雅というよりは元気いっぱいではあったけど、ザ・一流バレリーナという素晴らしい踊りを見せて貰って満足。以前はヴィシニョーワのクセの強い踊りにアレルギーがあったのだけど、毒気が抜けてきたようだし、この役だと、クネクネしたところもなく「やっぱりいいものはいいわ」と思った。

王子役のファジェーエフは、夏のガラでソーモワ担当にさせられていた時には、あまりの重労働で疲れて見えて影も薄かったのだけど、今回はキラキラの王子様ぶりを見せてくれた。これだけ絵に描いたような容姿の美しい王子様もいないのではないかと。白いタイツが似合う長く細い美脚。サラサラの金髪ときれいなお顔。そしてこの人はとにかくつま先がきれい!立っているだけで王子とは彼のこと。ところが、1幕終盤のマーシャとのパ・ド・ドゥでフィッシュダイブのときにサポートを失敗してしまった。といっても、リカバリーがうまくてその後何事もなかったかのように踊ってたのだけど。振付自体がとても難しそうだから仕方ないかな、と思った。以降、やや不調な感じになってしまったのが気の毒。それでも、この人の踊りは本当に端正で美しい~。

ワイノーネン版の「くるみ割り人形」の2幕って、グラン・パ・ド・ドゥのアダージオがまるで「眠れる森の美女」のローズ・アダージオのように、4人のキャバリエにサポートされるというもの。このサポートがまた、観ている側が緊張してしまうほど難しいもので、通常の金平糖のPDDの幸福感が足りないのだ。う~んもったいない!ポアントでアラベスクバランスをしているマーシャをキャバリエ二人がサポートしているところもヴィシニョーワがぐらついて、失敗気味だったし、4人でマーシャを高くリフトしているところも、いつ失敗しちゃうのかと緊張してしまった。これはダンサーに非があるのではなく、完全に振付の問題だと思う。ワイノーネン版は、寺島姉妹のサイトによれば今回が最後だということなのだけど、最後にして良かった気がする。技術的な難易度が必要以上に高いため甘い世界にうっとりできないものをやるんだったら、オーソドックスなPDDにすればいいのに。

1幕では、フランツ役の大和さんが可愛かった。ちゃんとやんちゃな男の子の演技になっているんだもの。大和さんはずっとフランツ役を踊っているはずなので、すっかり役になりきっている感じ。人形では、バリノフくんの道化、江本さんの黒人は溌剌としていて良かったんだけど高橋有里さんの人形はポアントが弱かった。男の子役のダンサーたちがみんな金髪ボブヘアのカツラなのはどうもセンスがよろしくない。客人も男性はみんな巻き毛カツラで、ヅラ地獄とはこのこと。マリインスキー(キーロフと読んだ方がしっくりくる)のプロダクションをそのまま持ってきているからそうなっちゃうんだろうけど、眉毛が黒々としている日本人には似合わないよ。(「小鳥のさえずり」のひなどりさんの「陳さんだけは巻き毛カツラが良く似合う」には同意!)

1幕のクライマックスは雪の精のシーン。コール・ドの素晴らしい新国立劇場の本領が発揮されて、思わずうっとりと幸せになってしまうほど。ここの群舞は、マリインスキーやボリショイにもひけを取らないくらいで、よく揃っているし優雅だし、ブラボーだった。ソリストの遠藤さん、西山さんも良かった。

2幕のディヴェルティスマンも、ダンサーは一部を除いて皆本当に素晴らしいのに、悪趣味な衣装で台無しになっていると思った。たとえば東洋の湯川麻美子さんは、この役にものすごく良く合っていて、アダルト&セクシー、しなやかかつ湿度のある踊りが素敵なのだけど、露出度の低いアオザイのような衣装のせいで魅力が半減している。キエフ・バレエでは田北しのぶさんが、まるでゾベイダのようなセクシー系衣装だったけど、湯川さん、そして東洋のコールドのみなさんもそうすればとても素敵だっただろうに、もったいない。

中国の寺島まゆみさんと吉本さんは、踊りもすごく良かったし、衣装も違和感なし。吉本さんは、ものすごく高いジャンプを見せてくれて、怪我からはすっかり回復した様子で嬉しかった。まゆみさんも、とても可愛いし、エシャッペもアントルシャも正確で、観ていて気持ちがいい。スペインに関しては自粛。葦笛のパ・ド・トロワは三期生の二人、小野さんと井倉さんが可愛くて可愛くて。踊りもすごく柔らかくてきれいで。小野さんはちょっと困った感じのお顔が愛らしいし、可憐を絵に描いたような踊り。主役を踊る日も遠くないと思った。八幡さんは、「椿姫」で女装怪人マイレンに襲われそうになっていたときと同じような白いカツラ着用だったので、いつまたマイレンが出てくるのかドキドキしちゃった。踊りはホント、はじけるようで素晴らしいんだけどついつい笑っちゃう。トレパックは、ひさびさに元気いっぱいの姿を見せてくれた貝川さんがいいなって思った。

バラのワルツは、4組のソリスト、プラス群舞。男性はやはりなんと言ってもマイレンが目を引く。白いカツラをかぶってもすぐわかっちゃう濃いマイレン。中村誠さんも相変わらず柔らかくて素敵~。女子も含めて全員ヅラ着用なのが興ざめ、さらに女性陣は奇妙な頭飾りまでつけさせられていてまるでお仕置きされているかのようだったけど、踊りはコールドもきれいで、甘い世界にうっとりしているところへ、マーシャと王子が登場し、そしてなぜかマーシャは王子ではなくキャバリエとバランスをとらされるという例の不思議なシークエンスへと突入するってワケ。

P1020002small

しかしいくら新国立の女性ソリストが上手だといっても、ヴィシニョーワの女王様オーラに敵う人はいないなと実感。丁寧さで言えば新国立の方が上だと思うのだけど、ヴィシニョーワの上半身やアラベスクのきれいさは別格。その上、コーダで強靭な回転テクニックを魅せてくれた。アンオーにしながらのピケがコンパスのように正確なのだ。ファジェーエフも、決して調子が良さそうではなかったけど、最後のヴァリエーションは完璧。美しく脚を伸ばしてのマネージュ、トゥール・ザン・レールの連発、足先のきれいなカブリオール。きめるところはきっちり決めて、さすがマリインスキーの正統派王子様は違うわ♪とうっとりさせてくれた。

ってわけで、文句はいろいろ言ったかもしれないけど、何しろ新国立のダンサーはごくごく一部の例外は別にして、古典のテクニックが素晴らしいし群舞もハイレベルなので、クラシックバレエを観た!という満足度はめちゃめちゃ高く、幸せな気分で会場を後にすることができた。しかも、終演後にはねずみの王様と、子ネズミちゃんが観客を出迎えていて、写真撮影にも応じていて子供たちが大喜び。ロビーには大きなクリスマスツリー。このあたりの雰囲気作りもうまいな~。次は22日のマイレンの主演。大好きなマイレンの王子が楽しみ!

でもやっぱりワイノーネン版は・・・です。今回が最後で本当に良かった。
2幕のアダージオの、あの果てしなく美しく胸を揺さぶる音楽が眠りのローズアダージオになっているなんて、もー許せない。
衣装と、特にヅラが悪趣味で古臭く最悪だと思ったら、やはり最悪だと思っていた新国立のセルゲイエフ版「眠れる森の美女」と同じ人が衣装&舞台美術だった。納得。
素晴らしい新国立のダンサーと、良いオーケストラと、一流のゲストを迎えて上演するのに、この版ではもったいない・・・。

« 写真展「ボリショイ・バレエ-美の舞台裏」 | トップページ | パリ・オペラ座昇進コンクール結果(女子) »

バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 写真展「ボリショイ・バレエ-美の舞台裏」 | トップページ | パリ・オペラ座昇進コンクール結果(女子) »