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2007/12/08

井上道義指揮:名古屋フィル ショスタコーヴィチ/交響曲第11番、第12番

とても楽しみにしていた、井上道義指揮でショスタコーヴィチの交響曲全曲を日比谷公会堂で演奏するという一大プロジェクト。11月、12月が忙しくて結局この回しかいけなかったのだけど、無理して他の上演も行けばよかったと後悔することしきり。マエストロ井上道義、渾身の指揮には魂が震えるばかり。最終日が9日日曜なんだけど、ギエムなんかさっさと売り払ってこっちにすればよかった。交響曲8番と15番です。新日本フィルだし、きっと名演になることでしょう。

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このショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクトは、井上さんが私財を投じて、ショスタコーヴィチの交響曲の多くが日本初演された由緒ある日比谷公会堂を再生しようというもの。その熱い想いは、
http://kajimotoeplus.eplus2.jp/article/60452877.htmlと、井上さんのサイトで語られています。

ここには井上さんのインタビュー動画もあります。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/podcast/20071206/142557/

さて、日比谷公会堂は、日比谷公園の片隅に鎮座する美しくレトロな建物。入り口にはロシアパンやマトリョーシカが売っていて、懐かしい雰囲気のロビーには、今回のプロジェクトのためのカンパの瓶が。大赤字となっているという今回のプロジェクトのために、井上さんの写真やポストカードなども売られている。

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内装はクラシックで美しい。問題は、椅子が非常に狭いこと。私は比較的小柄なので大丈夫なのだけど、同行の家人が身長186cmなのでかなりきつかったようだ。席は1階6列目の真ん中だったけど、舞台が高く客席が低いため、管楽器や打楽器がまったく見えない。目の前には、井上さんのスマートなお尻。そして舞台の上にはぎっしりとした大編成。ずらりと並んだチェロの数も多ければ、ハープが3台というのを見るのも初めて。とにかくすごそうな雰囲気が漂っている。

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【交響曲第11番 ト短調 作品103 「1905年」】
[凍るようなロシアの長編小説]
〈作曲〉1957年

〈初演〉1957年10月30日、ナタン・ラフリン指揮、ソヴィエト国立交響楽団/
エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮、レニングラード・フィルハーモニー交響楽団
(同日初演)
〈編成〉木管楽器12、金管楽器11、打楽器8、ハープ2~4、チェレスタ2、弦5部

〈楽章構成、演奏時間〉4楽章、約60分
第1楽章 宮殿前広場 アダージョ- 第2楽章 1月9日 アレグロ-
第3楽章 永遠の記憶 アダージョ- 第4楽章 警鐘 アレグロ・ノン・トロッポ

〈日本初演〉1958年5月30日、上田仁指揮、東京交響楽団(日比谷公会堂)

日比谷公会堂は音響がデッドだと聴いていたけど、楽器本来の音が聴けるという意味では、とても面白い聴き方をすることができた。

ショスタコーヴィチの交響曲11番は凄まじい曲である。不気味な静けさから始まり、厳かなピアニッシモの弦楽器の不穏さが、聴く者にぴりぴりするような緊張感を与える。夜明けの冬宮の前に集結した人々の吐く白い息が感じられそうだ。小さな音量でも、とても重くて、来るべき悲劇を予感させる。少しずつ盛り上がりを見せていって、印象的な旋律が見え隠れする、そのフォルテッシモの大音量にしびれる。そして2幕の怒涛の虐殺シーン!7月にハンブルク・バレエの「ニジンスキー」で、2楽章にこの11番のほぼ全部が使われているために生演奏は聴いたことがあったのだけど、演奏会として聴くのは初めて。弦楽器の人たちの演奏振りは、これがクラシックの曲を弾いているとは思えないくらいの激しさで、首を振りながら、完全に振り切れそうなハイテンション。それをかき消すほどの大音量の打楽器の連打で、人々が次々に斃れていくのが見えるようだ。そして井上さんの指揮!ここまで激しく動く人を見たことがない。上半身のダイナミックな動きに吸い寄せられてしまった。3楽章のレクイエムは美しく、2楽章の激しさと対を成すことで悲しみの大きさを感じさせてくれた。そして再び、4楽章でクライマックスを迎える。金管が少しへろっていたところはあるけど、間近で熱演振りを観るとそれだけでも聴いている方は力が入る。ラストの井上さんのポーズのカッコいいこと!しかし終わったように見えた瞬間にフライング気味の拍手が入ってしまい、そうとう興をそがれた気がした。井上さんも、そこじゃない、って拍手を止めさせた。それにしても、井上さん、踊る指揮者の名のとおり、本当に優雅に舞いながら、時には激しく熱く腕を振る。一つ一つの動きに惚れ惚れしちゃった。立ち姿も美しく、ほっそりした脚や優雅な腕はまさにダンサーのよう!ヴィオラ奏者と一対一で向かい合って指揮するところは、当事者じゃないのにドキドキしてしまう。拍手はいつまでたっても終わらず、最後には、井上さんはコンサートマスターを連れて引っ込んでしまった。

休憩後には、映画監督の篠田正浩氏がゲストで立ったままの短いトークショーが行われた。篠田監督は77歳だというが、立ち姿もすっとしていてなかなかかっこよく、とてもその年齢には見えない。それを言ったら、井上さんも61歳にはとても見えない、若々しく美しい方なのだけど。篠田さんは、松竹の助監督時代によく日比谷公会堂へ音楽を聴きに言ったとのこと。「この11番の演奏の後に12番は無理だよ」みたいな話をしていた。このトークショーのために井上さんは着替えていた。相当汗をかいたようである。そして12番で登場した時には、また着替えていた。

【交響曲第12番 ニ短調 作品112 「1917年」】
[何が起こっても何も変わらない「世界」]
〈作曲〉1961年

〈初演〉1961年10月1日、エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮、
レニングラード・フィルハーモニー交響楽団

〈楽章構成、演奏時間〉4楽章、約40分
第1楽章 革命のペトログラード モデラート-アレグロ-
第2楽章 ラズリフ アレグロ-アダージョ-第3楽章 オーロラ号 アレグロ-
第4楽章 人類の夜明けアレグロ-モデラート

〈編成〉木管楽器12、金管楽器11、打楽器6、弦5部

〈日本初演〉1962年4月12日、上田仁指揮、東京交響楽団(日比谷公会堂)

11番と対になっている曲ではあるけども、主題は、レーニンを讃える曲であり、ショスタコーヴィチの交響曲の中では駄作といわれ、演奏される機会も少ないのである。ところが、この曲のコード進行には恐ろしい隠喩が含まれており、ずばりスターリン批判ということだ。ところが、私には、何故この曲が駄曲といわれるのかがちょっとわからなかった。盛り上がるし、旋律も決して悪くないし、目の前のオーケストラの熱演にぐいぐいと引っ張られた。井上さんはさすがに、踊りまくった11番の指揮で疲れていたような雰囲気もあったけど、それでも力技でずしんとくる音楽の波を送り出してくれた。12番では指揮棒なし。ラストには、譜面台の上の譜面に重ねてあった、ショスタコーヴィチのポートレートを指して拍手を求めた。そのポーズのカッコいいこと!マエストロ・ミッチーの、全身全霊を捧げた熱演が終わった時には、万雷の拍手、そしてそれはいつまでたっても終わらなかった。最後にそでにちょこんと出てきた井上さんを観客はスタンディングオベーションで迎えた。

9日には、ついに15の交響曲が全部演奏されるという偉業が完結する。その場にいられないのが本当に残念!当日券もあるようだし、チケット代は全席3000円という破格!しかもショスタコーヴィチの交響曲の中でも名曲である8番と、奇妙なところもあるけど面白い15番。本当に行けないのが悔しい。ショスタコマニアの家人が終演後チケットを買い求めていたので、彼の感想を楽しみにするとしよう。

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コメント

naomiさんのこのエントリを拝見して、今日当日券で8番と15番聴いてきました。
井上さんのパフォーマンス、素敵でした〜。
今回の演奏会をCD化する計画があるそうで、楽しみにしています。

ogawamaさん、こんばんは。
今日行かれたのですね!羨ましいです!しかも楽しんでいただいてなんだか嬉しいです。ogawamaさんの感想も楽しみにしていますね。そしてCD化も期待しちゃいます♪

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