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« ニュース23に熊川哲也さん | トップページ | バレエコミック「昴-スバル-」の映画化、出演者発表 »

2007/11/12

インバル・ピント・カンパニー「Hydra ヒュドラ」世界初演11/9

NHKで放映された「ブービーズ」「オイスター」がとてもガーリィでキュートでいい感じだったイスラエルのダンス・カンパニー、インバル・ピント・カンパニー(Inbal Pinto Company)の新作が日本で初演されるという。しかも、森山開次さんと大植真太郎さんがゲスト出演。森山さんはテレビでは何回か観たことがあるものの、生では一度もなくて、この機会に観たいなと思って。森山さん人気、それから「ブービーズ」が好評だったためか、チケットはソールドアウトとのこと。

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実は恥ずかしながら彩の国さいたま芸術劇場も行くのが初めてで、遠いこと。埼京線の快速に乗ったら、大宮駅で「次は日進」とか言っているから、それってどこよって行き過ぎだった。。慌てて反対方向の電車に。

宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にインスパイヤされたというこの作品。幕が上がると、薄暗い照明の中、バロックでスカート部分にボリュームのある可愛いドレスを着た女性ダンサーたち6人が、口に電球をくわえていて、それが蛍のような幻想的な雰囲気でとても美しかった。真っ白な部屋の奥に細長い窓があり、その前にベンチ。天井からは、何かが詰まった大きな麻袋がぶら下がっている。黒いだぼっとした上着を着た、ちょっと年を取った男性ダンサー。彼が何枚も何枚も上着を重ね着しており、一枚一枚脱いでは、残りの5人の男性ダンサーがそれを着る。

それから後は、大植さんと森山さんのデュオあり、女性ダンサーたちの群舞あり、男性ダンサーたちがベンチの上に座ったり、ベンチを持ち上げたり斜めにしたり、それから長い棒をつかって、女性ダンサーをひょいっと持ち上げて運んだり、棒を地面に立ててみたり。ムカデのようなダンスをしたり。年を取った男性は、ずっと棒を持って立っている。うずくまる森山さんと大植さんは渾然一体となって、腕を絡ませあい、合体している。やがて袋から砂粒が雨のように降り注ぎ、年取った男性は小さくてかわいい傘をさしている。窓の両端から手が一本ずつだらりと出ていて、上着を脱いで、その手にかける大植さんと森山さん。時々、その窓から人の顔が覗く。

女性ダンサーの一人から、ニジンスカの「結婚」に出てくるような、長い長い三つ編みみたいなのが出ていて、それを他の女性ダンサーたちに引っ張られながらパドブレするところがあるんだけど、よく観たらそれは三つ編みではなくて、髭なのかしら?ほかにも、いろいろな小道具を使ったユーモラスな表現があって楽しい、でも少しせつない思いをさせられる。ラストは、全員で激しいダンスを繰り広げ、羽根のような、タンポポの綿毛のような、ふわふわのものがたくさん空から降ってきて、言葉にできないくらいの美しさ。

直接的に「銀河鉄道の夜」という感じではないのだけど、夢のように幻想的で、ちょっとかわいくて、時にはユーモラスで、時には哀しい。どこか死んだ後に行く世界のようなところが、「銀河鉄道の夜」的なのかな、と思った。すごくアーティスティックなのに、全然小難しくなくて、楽しめるんだけどすごく摩訶不思議で、魔法のようなところがあって胸の奥をきゅんとさせてくれる。インバル・ピントは女性であり、可愛らしさ、叙情性、でも女ならではの強さも感じさせて、女の人が作っている作品だなって感じさせるところがあった。

インバル・ピント・カンパニーのダンサーたちもすごく良かった。バレエとは全然違った舞踊言語で踊っていて、へんな動きも多いんだけど、力強いかと思ったら、ぬめぬめした動きもあったり、ユーモアがあったり。跳躍も良く揃っていて着実なテクニック、下半身が強靭な人ばかり。で、大植さんも森山さんも素晴らしい表現力!森山さんはとにかくしなやかな動きがとてもきれいだった。体をすごく大きく見せていて、魅力的だった。大植さんは、ときたま、未だかつてないような不思議な動きを見せてくれて、すごく身体能力が高いと同時に、独創性があってはっとさせられる。クラシックバレエ(元ハンブルク・バレエ)をやっていたひとだからこそなのだろうけど、男らしい魅力の持ち主。彼らのデュオの部分は、どうやら二人で創ったものを元にしているようだ。

<Q&Aセッション>
終了後に、インバル・ピントとアブシャロム・ポラックの二人のトークショー。二人ともまだ若くて、学生みたい。すごく仲良さそうな感じ。「ヒュドラ」というタイトルは、九つの頭を持つ化け物という意味もあるけど、ここでは、「背骨のない人がそれを探す」というのが最初のイメージとしてあって、そのアイディアから創られたとのこと。だから、棒が登場するってワケで、動きがぬめぬめしているのも、背中のない昆虫という発想からきているみたいだ。そこから、いろいろと連想していって作品が作られたそう。そして、森山さんや大植さんという外部のダンサーが出演することになったのが新しい刺激になったとのことで、客演ダンサーを迎えるのも初めてのことだったらしい。彼らがもたらした部分は多かったそう。夢と現実を行き来するような作品だと観客の声があったけれども、作品自体は現実として作っているけど、超現実という部分ももちろんある。普段の生活や人生が作品に影響を与えているそうで、創っているうちに無意識や本の中の世界、そして夢の世界となっていくとのこと。

棒や砂袋、綿花といった要素も、ひとつの意味を持っているというわけではなく、様々なことをそれから感じて欲しいと。もちろん、棒は背骨の象徴なのだけど、二つの相対する要素の接点という意味もあるし、砂袋も、砂時計だったり、人がそこからぶら下がっているという意味もあったり、砂が落ちる音、細い糸、命を刻むもの、新しい命を産むもの、などいろいろな意味があり、インスピレーションを感じてもらうことが、それらのモチーフを使う意味ということだそう。

いずれにしても、1時間ちょっとという短い上演時間ながら、片時も目を離すことができず、想像力を刺激されつつも夢幻の世界へと連れて行かれた、素敵な経験だった。インバル・ピントも、そして森山さんや大植さんも、これからもずっと注目して行きたい。愛らしい衣装も、インバル・ピントとアヴシャロム・ポロックのデザインによるものだという。素晴らしく良いセンス。

そしてロビーに展示されたデザイン画がとってもカワイらしかった。インバル・ピント本人が描いたもの。

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埼玉芸術振興財団のサイトに、リハーサルなど充実した情報が色々と載っている。

http://www.saf.or.jp/p_calendar/geijyutu/2007/d1109.html

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

私は行けなかったので、レポート感謝します。
気がついたときは、チケットが売切れでした。
森山さんはNHKの「からだであそぼ」で、出ていた時から、観ていたのですが、今回は見逃して残念です。

くみさん、

いつもながらの遅いレスですみません。

森山さん人気はすごいみたいですね。彼のソロ公演もチケットはすぐ売り切れるみたいです。そして、今回も、こんなに遠い場所なのに売り切れちゃって。しかしきっと彼のファンも満足したに違いない公演だと思いました。

「ブービーズ」「オイスター」はNHKで放映されたのですが、今回はどうなんでしょうね。私が観た日は記録用のカメラしか回っていませんでしたが、世界初演で森山さんが出演しているのだから、放映する価値はあると思うんですよね。1時間ちょっとのコンパクトな作品だし。

naomiさんこんにちは。
さい芸まで遠路はるばるお疲れさまでした。(うちからは乗り継ぎがスムーズなら1時間少々なんですけど「さいたま」と聞いただけで「今日は遠出だわ〜」と感じますよ:笑)
私は10日に観ました。まだ感想を書いていませんが、前作よりもかなり抽象的な作品でより洗練されたと思いました。インスピレーションを刺激されっぱなしの濃い1時間少々でした。是非TV放映してほしいですね。

く~てんさん、こんばんは。
私も決して乗り継ぎは不便ではないのですが(会社から埼京線で一本)、あまり埼玉方面にいくことがなく、土地勘がないと実際以上に感じてしまうんですよね。
そう、たしかに抽象度が増しているから、「ブービーズ」を観て可愛い!面白い!と思った人がどう思うかというところはあると思うんだけど、インスピレーションはおっしゃるとおり刺激されますよね。チケットが早々に売り切れただけに、放映を期待したいところです。

>さいたま芸術劇場は遠い
本当に。今まで開演ギリギリに駆け込むことが多かったので(駅からタクシー、でもタクシーがなかなか来ない!)今回は1時間くらい早く到着してビストロで遅いランチを頂いて時間を潰しました。
時間がもったいないかも。
でもその甲斐のある舞台でした!

ogawamaさん、こんばんは。

一時間前到着のランチ、優雅でいいですね!私はいつも会場前ギリギリに駆け込むことが多くて。もっと余裕を持って行動しなくちゃってよく思います。
移動時間が結構かかったけど(上演時間より電車の中のほうが長い)楽しい舞台でしたね。また来るのが待ち遠しいです。

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