ベルリン・フィル「春の祭典」プロジェクトNY版
ドキュメンタリー映画「ベルリン・フィルと子どもたち」では、ベルリン・フィルの首席指揮者兼芸術監督サイモン・ラトルと、振付家のロイストン・マルドゥームが、恵まれない子供たちにダンスレッスンをして「春の祭典」を踊らせるというプロジェクトを展開しました。作品を作っていく過程、子供たちが芸術へ目覚めていく様子、子供たちの持つ可能性のきらめき、音楽の歓び、踊ることの歓びがつまった、とても感動的で素晴らしい作品となっています。
そして、このプロジェクトが、同じチームで今度はニューヨークで行われることになりました。
http://www.nytimes.com/2007/11/11/arts/11atam.html?_r=1&ref=dance&oref=slogin
ハーレムなどアップタウンの公立学校に通う、7歳から17歳の子供たち130人が、11月18日に、サイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィル演奏、ロイストン・マルドゥームが振付けた「春の祭典」を踊ります。カーネギー・ホールで行われる「Berlin in Lights」というフェスティバルの最終日を飾るそうです。
http://www.carnegiehall.org/berlininlights/events/eventDetail.aspx?evt=8172
稽古などはすべてハーレムの学校などで行われ、まったくダンス経験のない、それどころかアートに触れる機会も少なかった子供たちが、マルドゥーム、ラトル、そしてドイツから来た二人の教師によって芸術の喜びを知るというプロジェクト、生で観たらさぞすごいことでしょうね。
なお、このプロジェクトには、裕福な個人や財団、企業をはじめ、ニューヨーク市とジェローム・ロビンス財団などが協賛しているそうです。日本では、たとえば東京都がそんなプロジェクトにお金を出すとは到底思えませんよね。
なお、映画「ベルリン・フィルと子供たち」は、11月11日(日) 午後10:00〜午後11:46 にNHKハイビジョンで放映されました。
「ベルリン・フィルと子供たち」のDVDのコレクターズ・エディションには、ダンス「春の祭典」本編と、ベルリン・フィルによる5.1ch録音の演奏編という特典がついていますが、これが本当に最高のパフォーマンスです。おすすめです。
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コメント
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naomiさん、私はこの本家・ベルリン版のドキュメント、数年前にBBCで見て感動したのをおぼえています。ラトルのリーダーシップも素晴らしかったけど、肝心の振付家・ダンス教師の方々の指導者としての「よき大人」ぶりが強く印象に残っています。
このプロジェクト、ベルリンではオーケストラと地元コミュニティとの絆を深めるという意味合いが強かったと思うのですが、まるごとNYに持っていくとなると、そこの部分はどうなるんだろう・・・と思ったりも。地元のオケの面目丸つぶれ・・・とみるべきではなくて、ここはやはり、天下のベルリン・フィルだからこそ各方面からのバックアップも得やすいのだ、とみるべきなんでしょうね。(ん?なんかシニカル?いえいえ、今回も成功されますように祈ってますよ!)
投稿: Naoko S | 2007/11/15 10:24
Naokoさん、こんばんは。
マルドゥームらの根気というのもすごく感じました。途中で脱落しかかる子達も多くて、それをよく引きとどめたなあって。
そうですね、ベルリンの場合には、ベルリンフィルとベルリンの地域社会との結びつきという側面がありましたよね。ベルリンフィルは街の誇りというわけだし。あのような実績があったから、それをNYに持ってきてしまえ、ベルリンフィルの公演に合わせてやる、ってところがあったんだろうと思うし。NYには気前のよいお金持ちの方もいっぱいいるだろうし。
次はNYフィルか、NYCBやABTが奮起して、こんなことができるといいですよね!
投稿: naomi | 2007/11/16 02:34