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« Swan Magazine(vol.9)2007年秋号 | トップページ | FIGARO JAPON 9/20号 オペラ座連載とニューヨーク特集 »

2007/09/10

9/9 東京バレエ団「ジゼル」

マラーホフの降板に伴い、急遽代役としてアルブレヒトを踊ったのはシュツットガルト・バレエのフリーデマン・フォーゲル。よくぞ代役としてきてくださったと感謝。春先の「白鳥の湖」では少々心もとなかった彼だけど、今回のアルブレヒトは成長が感じられて、良いパフォーマンスだったと思う。払い戻しは結構出たようだし、マラーホフと比べてはいけないのでしょうが、健闘していたし非常に好感が持てた。

ところで、この日は後藤晴雄さんがヒラリオン・デビューということでちょっと楽しみにしていたのに、サイトでのキャスト発表では木村さんがヒラリオン役に。後藤さんは公爵役だったので、怪我ではないと思うのだけど。木村さんの名人芸というべきヒラリオンがまた見られたのは良かったけど、後藤さんのも見てみたかった。

1幕
実は吉岡美佳さんのジゼルを観るのは初めて。背が高くてほっそりとしたプロポーションなので、フリーデマンとのバランスも良い。可愛らしいのだけど見るからに繊細というか神経質そうで、これは簡単に発狂しちゃうだろうなと思わせた。アームスの使い方も柔らかいし、はかなげで透明感が高い。村娘にしては少々姫オーラがでているほかは清らかで素敵なジゼルだった。
フリーデマンのアルブレヒトは、何しろ若い。若さゆえの過ちを犯してしまう青年だった。プレイボーイではなくて、だからといってジゼルを熱烈に愛しているという印象も受けない。優しいけど優柔不断で、お坊ちゃまで、頼りない男。お坊ちゃまではあるけど、あまり貴族的ではないし、演技はちょっと薄味なのだけど、でも彼ならではのアルブレヒト像はしっかり持っている印象。

パ・ド・ユイットが登場するのが、花で飾られた山車というのが今回の新しい趣向。そしてパ・ド・ユイットは磐石の布陣。今回は平野さんがいいな~と思った。とてもくっきりと踊るのだ。女性では佐伯さんが可愛くて、とてもキレイな弧を描く踊り。大嶋さんは心なしかほっそりした感じがした。

井脇さんのバチルド、恐ろしいほど美しい。そして、アルブレヒトを見る冷たいまなざし。彼は絶対バチルドには許してもらえないだろう。本当なの?と迫るジゼルに対して、「仕方ないんだ」と言いたげなアルブレヒト。彼の男としてダメダメなところがよく出ている。

ジゼルの狂乱のシーンは、神経質そうな吉岡さんだったからぴったりとはまっていた。最初のうちは糸の切れたタコのように、心もとなげで、自分はいったいどこにいて、何をしているのかわからない感じ。身振り手振りは大袈裟ではないのだけど、ねじが外れてしまったかのような演技で、かなり真に迫って怖かった(ほめています)。髪を解いた時気がついたのだけど、地毛でやっていたようで、肩くらいと短めの髪だったのがちょっと新鮮。

ジゼルが死んでしまって、初めて自分がジゼルを愛していたことに気がつくアルブレヒト。ヒラリオンを責める表情の真剣なこと。しかしそれを上回る濃くて報われない愛情を持っていたのが木村ヒラリオン。本当に彼のヒラリオンは至芸としかいいようがない。千万変化する表情も豊かだし、殺すんだったら俺を殺せ、と両手を広げて刀の前に身を投げ出す時の背中の反り、すごい。彼は本当にヒラリオンの人生を生きているんだというのが伝わってきて、感動的だった。

2幕
ミルタ初役の高木綾さん。若干ポアントの足音が目立ったものの、冒頭のソロからミルタらしく、アラベスクパンシェやパドブレもきれいで、冷たい空気を運んでくるようで良かった。しかも、表情はめちゃめちゃ怖い!ドゥ・ウィリの奈良さん、田中さんも、ヴァリエーションをきれいにまとめているし、美しかった。見せ場のひとつである、アラベスクのままウィリたちがずんずん進むところはとてもよく揃っており、ぐらつきも少なくて、やはり足音が大きめなこと以外はレベルが非常に高いと思う。ヒラリオンを死に追い込んでいくところ、ウィリ軍団の怖いこと怖いこと。素晴らしいチームワークだ。

ジゼルのウィリ・デビューのシーン。アティチュードのまま高速回転するところは、回転が正確で速かった。背が高く華奢な吉岡さんは、ウィリ姿もとても似合っていて美しい。軽やかで浮遊感もあるけど、同時に人間らしさというか体温も残した感じで、アルブレヒトに対しては、守ってあげなくてはという包み込むような想いが感じられた。何よりも容姿の美しい彼女のジゼル、かなり気に入った。

フリーデマンのアルブレヒトは、百合の花束を少し高い位置に持っていたので、花で顔が半分覆われて最初は見えなかった。歩く姿も美しいし、ジゼルのお墓の上に横たわる姿も絵になる麗しさ。1幕では少々薄味に感じられた演技も、ここに来てようやく熱烈な愛情へと変わっていったように見えた。リフトもとても上手で、持ち上げられる方の吉岡さんの上手さもあると思うのだけど、ふわっと上がっていてきれいだった。「白鳥の湖」で見られたヘタレさはどこへやら。立派に成長していて嬉しかった。アルブレヒトのヴァリエーションにしても、ジュッテアントルラッセは高いし、背中を柔らかく反らせてのバットゥリーといい、テクニックを相当磨いている。プロモーション用に公開されたバレエフェスの時の映像とは雲泥の差。背が高いから跳躍した時には本当に映える。アントルシャ・シスはやらなかったということは、脚さばき系は少し苦手なのかな?ピルエットも、バレエフェスや白鳥の時みたいに3回回るのがやっと、ってことではなくて6回回っていたし、斃れこむところもきれいに落ちていた。正直言って、彼がここまで踊れるとは思わなかったので、驚いた。役柄にも相当入れ込んでいたようで、気がつくと彼の目には涙が光っていた。

急造のペアというわけで、二人の間に流れる感情が、マラーホフが感じさせるような魂のふれあいとまではいかなかったものの、十分感動的で素敵なジゼルだった。ジゼルが消えてしまった後、床に散らばった花束をかき集めて、ジゼルの墓に捧げ、まるでジゼルを抱きしめるように横たわるフリーデマンの姿に思わず涙。

フリーデマン、来てくださってありがとう!そして吉岡さんのジゼルもまた観たいと思った。

ジゼル: 吉岡美佳
アルブレヒト:フリーデマン・フォーゲル
ヒラリオン:木村和夫

【第1幕】
バチルド姫:井脇幸江
公爵:後藤晴雄
ウィルフリード:野辺誠治
ジゼルの母:橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット):
 小出領子 - 古川和則、高村順子 - 中島周
 長谷川智佳子 - 平野玲、佐伯知香 - 大嶋正樹
ジゼルの友人(パ・ド・シス):
 西村真由美  乾友子  高木綾 奈良春夏  田中結子  浜野香織

【第2幕】
ミルタ:高木綾
ドゥ・ウィリ:奈良春夏 - 田中結子

アレクサンドル・ソトニコフ
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomiさん ジゼル公演の速攻レポを有難うございます。代役のフォーゲル君、なかなかよかったようですね。吉岡さんのジゼルについても大変興味深く拝読しました(見てみたいなあ)。私東バ・ダンサーズに関して殆ど無知なので、naomiさんのブログで予習させて頂いております(3日後には見られます!)。

ところで、以下、私信で申し訳ないのですが・・・。naomiさんも12・13日のAプロ公演両日いらっしゃるとお聞きして、休憩時間にでもお会いできないかしら・ご挨拶したいなぁと思っております。ご興味ございましたら拙メル・アドまでメッセージ下さいませ。

末筆ながら、右腕くれぐれもお大事に。早期完治されますようお祈りしております。

早速のレポ、楽しく読ませて頂き、素晴らしい夕べの舞台、脳裏に甦って来ました。
幽玄の世界へ入って行ってしまうマラーホフとまではいかなかったけど、フォーゲルの踊りは、素晴らしかったですね!
吉岡さん=ジゼル、初見でしたが、狂乱の場の目つき!迫真ものでした!
そして、あらたに見直したのは(ファンの方、失礼)、フォーゲルの薄味の「顔演技」のせい?か、木村さんは、純朴なヒラリオン役、実に上手いな~、スタイルもいいじゃん!です。
フォーゲル、代役どころか、大役果たしたと思いました。チケット、手放さず正解でした。

Naoko S さん、こんばんは。
無事日本で殿のペトルーシュカが見られるようになっておめでとうございます!私もとっても楽しみです。マティアスくんの薔薇の精もね。東京バレエ団のダンサーも、木村さんはじめいいダンサーが多いですよ。木村さんは日本人には珍しく、脚が長くて美しいプロポーション、なのに演技が濃いのです。
メールしましたが、会場でお会いできるの楽しみにしています!

マーキーさん、昨日はご一緒できて楽しかったですね~。
まあ、マラーホフのアルブレヒトは究極の存在なので、あの領域にいけるような人は他にいないですからね。
フェーゲル君も、テクニックはとてもよかったし、今後すごく期待できそうですね。素敵でした。
吉岡さんのジゼルもとてもたおやかで良かったし。木村さんのヒラリオン、本当に最高ですよね。熱くて濃くて、役への入れ込み方が半端じゃないです。私のナンバーワンヒラリオンは木村さんだわ。

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