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« マラーホフ、「ニジンスキーを踊る」「ジゼル」降板、代役発表 | トップページ | 朝日新聞にフェリインタビュー/婦人公論に加治屋百合子さん »

2007/08/27

「舞台芸術の世界」東京都庭園美術館

バレエ・リュス好きとしては、早く観に行かなくてはと思いつつ、バレエ公演続きでなかなか行けなかった展覧会「舞台芸術の世界」にようやく足を運んだ。東京都庭園美術館自体、大好きな美術館であり、以前もここで開催されたヘルムート・ニュートンなどの写真展に行ったり、それから、旧朝香宮邸である芸術品たるこの建物そのものを鑑賞するための催しにも参加したことがある。
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建築物もさることながら、アンリ・ラバンによるアール・デコ形式の内装が大好きなのだ。ラリックによる正面玄関のガラスレリーフ扉や照明器具なども本当にシックで美しい。時の止まった異界に連れて行ってくれるような、そんな素晴らしい環境でこそ、この展示は似つかわしいと思える。

観終わった後は、茶室を見たり、庭園を散策したり、都会の真ん中とは思えない静けさを堪能した。

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ディアギレフのバレエ・リュスで実際に使われた衣装、それから衣装デザイン画、版画、舞台装置のデザイン画、舞台上の人々を描いた作品、公演パンフレットなどの展示が行われていた。個人的に、ちょっとだけ残念だったのは、舞台芸術ということなので、舞台装置の一部とか、テキスタイルなどが展示されているのかなと思っていったのだけどそれが無かったこと。衣装の数が思ったほど無かったこと。でも、それを除けばかなり充実した展覧会だったと思う。

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今回の展覧会の目玉としては、やはりレオン・バクストとアレクサンドル・ブノワによるデザインだと思う。バクストは、この展覧会のイメージビジュアルにも使われている「ワツラフ・ニジンスキーのための衣装デザイン(上演されなかったバレエ『ペリ』より)」が、色彩感覚や模様などのテキスタイルデザインが素敵。あとやはりニジンスキーの「『ナルシス』のためのデザイン」が、モデルとなっているニジンスキーのムーヴメントが伝わってくるように生き生きとしているのもいい。「アンナ・パヴロワのための衣装デザイン『東洋の神秘』」も、意表をつくミニスカートで、エキゾチックで妖しいのにキュートなのがツボ。衣装の実物で言えば、「カルナヴァル」のアルルカンの衣装。アルルカンは黒白ダイヤ柄という印象が強かったのに、これはきれいな色使いなのだ。

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何点かあった陶器による人形がとても美しい。中でも、建物の入り口にあって、出迎えてくれるニジンスキーの陶器「アルミードの館」の「奴隷」(ブノワによるデザイン)が完璧なまでの美という感じで、レプリカがあったら欲しいと思うほどだった。

ブノワのデザインといえば一番有名なのは「ペトルーシュカ」かな?「バレリーナ」の衣装が飾ってあって、これにはちょっと感激しちゃって何回も観に行ってしまった。流行のレギンスのようにはみ出したアンダーパンツや、ファー使いがすごく可愛いし、これを実際に着て踊ったんだと思うと感激。ペトルーシュカの3人のキャラクターのデザイン画があったけど、ブノワの描く絵は、とてもキュートなんだけど同時にものすごい寂寥感があって、観ていると泣けてくるほど。

肉筆ではなくて版画ではあるものの、ジョルジュ・バルビエによる有名なニジンスキーの一連の版画が観られたのも嬉しい。「シェヘラザード」の「金の奴隷」や「牧神の午後」の官能的な表情、どこか古代エジプトを思わせる構図などがとても個性的で粋。さらに耽美的で繊細なロバート・モンテネグロによるニジンスキーの版画集も、金を多用していてちょっと違った趣だけど魔力が伝わってくる。ニジンスキーの「黄金の奴隷」「薔薇の精」などの写真が掲載された写真集も、薄井憲二コレクションより展示されているけど、これらニジンスキーの写真と版画を見比べてみるのも興味深い。ニジンスキーは決して美男ではないし、プロポーションだって良いわけではない。背は多分低いし、太ももが非常に太い。それでも、黄金の奴隷はふるい付きたくなるくらいの野性的な官能があるし、薔薇の精では、両性具有的な色香が漂う。薄井憲二さんいわくところの「解き放たれた野獣の魅力」は言いえて妙。

この展覧会の良い点は、展示品に関連する上演作品についての、なかなか詳しく丁寧な解説がついていること。バレエ・リュスの作品には、すでに上演されなくなってしまったり、失われてしまったり、滅多に上演されることがなくなったものが多い。神秘的で、妖しく、そして悲劇的な数々の寓話的作品。そういった未知の作品について、デザインを見ながら想像力の翼を広げる時間というのがこの上なく幸福である。「アルミードの館」や「雪娘」なんていったいどういう作品なんだろうか、と思う。「青神」は最近ニコライ・ツィスカリーゼが出演して復刻されたそうだけど。

また、ビデオで発売されていた「ディアギレフの夕べ」(Paris Dances Diaghilev)から、モニク・ルディエール出演の「ペトルーシュカ」、マニュエル・ルグリ出演の「薔薇の精」、シャルル・ジュド、マリ=クロード・ピエトラガラ出演の「牧神の午後」が毎日上映されている。このビデオ、現在は入手が困難のため、未見の方にはぜひお勧め。

asahi.comのこの記事に、展示作品の写真や解説があるので、そちらもぜひどうぞ。今週いっぱいは夜間開館で遅くまで開場している。

追記:バレエ・リュスに関する展示としては、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館で、2009年10月3日~2010年1月10日までDiaghilev and the Ballet Russes 1900-1939という展覧会が開催される。今回の展示品の中にも、ヴィクトリア&アルバート美術館から提供された収蔵品が多くある(ブノワによる「ペトルーシュカ」のデザインなど)。ものすごく先のことだけど行ってみたい。そう、2009年はバレエ・リュス100周年記念の年なのだ。

なお、バレエ・リュスとニジンスキーについては、「ICON 伝説のバレエダンサー ニジンスキー妖像」で、さらに多くの美しい写真や図版を観ることができる。薄井憲二さんや芳賀直子さんなど、今回の展覧会に関わったスタッフがこの本を作っているのだ。1913年の特別ガラのためのプログラムが美麗な色彩で復刻されて掲載されているのは、特に眼福である。熊川哲也さんのインタビューつき。

ICON  伝説のバレエ・ダンサー、ニジンスキー妖像ICON 伝説のバレエ・ダンサー、ニジンスキー妖像
芳賀 直子

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コメント

先日のFinancial Timesのクレメント・クリスプ氏もいらしたようです。
建物の装飾に凄く感動してました。
旧皇族のお屋敷跡ですよという話と、ニジンスキー・プログラムを上演する予定があるとお伝えしたら、それにも、非常に興味を示していました。

naomiさん、とても素晴らしいレポを有難うございました。もう、すご~く見たくなってしまいましたよー バレエ・リュス展。仰る通りこの美術館自体も素敵ですしねえ。来月は"殿"が再来日されることだしこういう面白い展覧会もやっているし、帰郷心がムズムズ刺激されちゃってます(笑)。

くみさん はじめまして。FTのクリスプ氏もいらしてたんですか?彼はちょっと前までボリショイの会場(ロンドンの)でしょっ中お見かけしてましたが、ツアー終了後すぐに灼熱の東京に飛ばれたんですかねえ ご高齢なのにお元気で何より。もしかしたら、近いうちに彼の展覧会レビューがFTに載るかもしれませんね 楽しみです。(教えて下さってありがとうございます♪)

くみさん、こんばんは。
小林紀子バレエシアター公演のクレメント・クリスプさんの講演、ぜひ聴きたかったです。この美術館にいらしたとは、素晴らしいですね。外国に誇れる数少ない美しいところだと思います。

Naoko Sさん、こんばんは。

追記したのですが、ものすごく先のことですがヴィクトリア&アルバート博物館で、2009年にバレエ・リュス展があるとのことです。今回の展覧会も、いくつかヴィクトリア&アルバートの収蔵品を借りてきたようなので・・。アレクサンドル・ブノワによるペトルーシュカのデザイン画や、ナタリア・ゴンチャロワの「金鶏」の舞台デザインなど、素晴らしいものがありました。

ぜひNaokoさんには、殿の来日に合わせて一時帰国していただきたいですね!ペトルーシュカとっても楽しみで、マラーホフファンには申し訳ないのですがチケットを一枚買い足してしまいました。

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