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« 「白鳥の湖」でルグリ祭り終了 | トップページ | 「エトワールたちの花束」NHK教育「芸術劇場」放映の情報 »

2007/08/20

ルグリと輝ける仲間たち Bプロ 8/12、13

個人的な好みの問題かもしれないけど、Bプロを観たところ、Aプロよりもずっと充実したプログラムに思えて、最初はAプロ1回Bプロ2回だったのが、結局13日は当日立ち見席で観ることにして、Bプロは3回観た。Aプロは「白の組曲」がつまらなかったのと、「扉は必ず・・・」や「椿姫」が不発だったのが痛かったわけで。

今回のガラは若手育成公演のため、まだまだ発展途上の人も多かったのだけど、逆にそういう若い子たちの成長を見守ることができるという、まるで母の心境のようになりました(笑)

◇第1部◇

○「タランテラ」[振付]ジョージ・バランシン
メラニー・ユレル アクセル・イボ(13日)、マルク・モロー(12日)

アクセルは白いバンダナだったけど、マルクは赤いバンダナを頭に巻いて登場。オープニングに相応しい、明るくて元気いっぱいの演目。アクセルはとにかく柔らかいし、脚もきれいに高くあがる。マルクはもう少しがんばれ、戸も思うのだけど、カドリーユでこれだけ踊れるのだから立派なもの。タンバリンを叩く音がバシっと気持ちよかった。メラニーは、赤いビスチェに白いチュチュ。ビスチェがちょっとサイズが小さいようで、胸がこぼれ出そうでちょっと気になった。特に12日は2列目で見ていたもので。ポアントでの2番プリエなどはさすがに見事に決まっていたし、華やかな雰囲気もあって楽しかった。


○「アベルはかつて…」 [振付]マロリー・ゴディオン [音楽]アルヴォ・ペルト「Spiegel im Spiegel(鏡の中の鏡)」
グレゴリー・ドミニャック ステファン・ビュヨン

繰り返し観ているうちに、大好きな演目になった。アルヴォ・ペルトの音楽も美しく、静謐で心に響く作品。とても、オペラ座現役の若手ダンサー(マロリー・ゴディオン)が作ったものとは思えないくらいの完成度。グレゴリーとステファンは、身長も体型も比較的似ているので、本当に兄弟のように見える。金髪で天使のように美しいグレゴリーよりも黒髪のステファンの方が色白で、踊っているうちに白い肌がピンク色に染まっていくのがとても妖しく魅惑的。11日も比較的前の方の席だったので、13日の立見席になって初めて、最初から白い布が地面に敷かれていることに気がついた。

若く美しく仲の良い兄弟。兄カインの動きを、弟アベルが模倣するように繰り返す。お互いに手を差し出したり、シメントリーな動きが続く。二人が跳躍するところも、美しくシンクロしている。兄カインは弟のことをとても大切に思っていて、いとおしむように彼をリフトする振付が何回か入る。時にはお互いの身体を重ねたり、見つめあったり。床に敷かれた白い布を二人が持ち、それを二つに破った時に、兄の分よりも弟の分の方が大きくなった。それは、神に与えられた恵みの量を象徴するもの。真面目な兄よりも無邪気な弟の方が、神に愛されているということなのだ。二人とも愕然とする。弟は弟で、兄よりもこんなに多くのものを受け取っていいのと戸惑う。じゃれあううちに、兄はその白い布を弟に巻きつけ、そうするうちに弟は息絶えてしまう。動かなくなった弟の姿を見て、自分の犯した罪の大きさにおののく兄。愛する弟をこの手であやめてしまった・・・なんということだ。果てしの無い苦悩にカインは沈んでいく。苦しみ、嫉妬などの感情を大袈裟に顔に出すことなく、あくまでも繊細でピュアな存在として普遍的な物語を踊った二人に拍手。


○「ドニゼッティ - パ・ド・ドゥ」(初演)[振付]マニュエル・ルグリ
ドロテ・ジルベール マチュー・ガニオ

本当にマチューはダンサーとしてすごく成長したのがわかる演目。この男性ヴァリエーションは一言で言えば鬼!ジュッテ・アントルラッセで跳躍したまま、そこでさらにアン・レールするという超絶技巧。マネージュも、間に挟むトゥール・ザン・レールが膝をそろえているという変わったものになっていたり。マチューの得意なアントルシャ・シスとパ・ド・シャのコンビネーション。とても高く跳んでいるし、つま先は美しいし、甲は高い。その美しさには本当に惚れ惚れとする。アレグロの得意なドロテも、軸足を変えてのフェッテなど、難しい技を楽々とこなしている。でもひょっとして、この二人って相性悪いんじゃないかと思ってしまった。カーテンコールでも、ちょっとぼーっとしているマチューを、ドロテが引っ張っていくなんてシチュエーションが。


○「オネーギン」[振付]ジョン・クランコ
モニク・ルディエール マニュエル・ルグリ

特に2列目で見た12日のモニクの演技が凄まじすぎて、もう途中からタチアーナに感情移入しすぎて涙が止まらなくなって困った。タチアーナの苦悩を、まるで自分自身の苦しみとして感じてしまうのだから。(当然、自分自身はそんな経験は実際にしたことが無いわけなのだが)今回、4回観ることができたわけだが、毎回少しずつ演技を変えているのがわかった。タチアーナのキャラクターも強くなったり、より繊細になったり、さまざまな演技の要素の組み合わせを変えてきているのが、モニクのすごいところだ。

ちらりと見えたオネーギンの走る姿を見て、心が揺らいでいるタチアーナ。この男に決して気を許してはいけない、愛してはいけないと思って、決して視線を合わそうとしないのに、わが身が引き裂かれるような苦しみに苛まれる姿を見て、滂沱の涙。ルグリも、走っていく姿が、18日に見た王子とはまったく違っていて、オネーギンというプライドは高いけれど現実社会に対応できない下級貴族の人物像を体現していた。タチアーナにすがりつく姿は、どう考えたって情けないはずなのだけど、その姿すら、エレガントで美しいのがルグリなのだ。二人とも相手をどうしようもなく愛しているのは同じなのに、残酷な時の流れによってその思いはすれ違い、どんなに愛してもどうしようもない、決して結ばれてはならない運命となってしまった。そしてお互いの立場がまったく違ってしまったことが、同じように苦悩しているように見える表情を見比べることでわかってしまう。それでも追いすがられ、熱烈に迫られるうちに、タチアーナも閉ざされた心の扉が開きかけ、あふれ出る想いは抗し難くなり、思わず身を任せそうになる。伸ばした指先、足先、しなる背中、全身で叫びたくなるような激烈な想いを表現している。

それでも、タチアーナは、愛の無い結婚生活を選び、すべての感情に再び鍵をかけ、決然とした、感情を殺した表情で先ほどは張り裂けそうな思いで読んだ手紙を破り捨て、オネーギンに出て行くように命令するのだ。手紙を突きつけられたときのルグリの悲しく、情けなく、それでもロマンティックな狂気をはらんだ表情は胸に迫るものがあり、動揺しながら走り去っていく後姿を見ると、その後を追いかけようとするタチアーナに再び感情移入をしてしまうのだ。ふらふらと舞台を彷徨い、顔を覆った後に、人生ただひとつの恋を葬って慟哭するタチアーナの姿は、悲しくも凛として美しい。こうやって思い出しても、泣けてくる。

モニク・ルディエールのダンサー人生の最後を、ルグリを相手にした「オネーギン」で観られたことに感謝。ここまで踊り手として、表現者として最高のものを見せていただいた至福と、それをもう二度と見られなくなる悲しみに、胸が切り裂かれつぶれる想いがした。

(つづく)

◇第2部◇

○「ビフォア・ナイトフォール」

第1パ・ド・ドゥ: メラニー・ユレル、マチアス・エイマン
第2パ・ド・ドゥ: エレオノーラ・アバニャート、ステファン・ビュヨン
第3パ・ド・ドゥ: ドロテ・ジルベール、オドリック・ベザール

3組のカップル: マチルド・フルステー、ローラ・エッケ、シャルリーヌ・ジザンダネ、
         アクセル・イボ、グレゴリー・ドミニャック、マルク・モロー

暗い照明の下、墨色のグラデーションにストラップだけ赤いキャミソールドレスの女性ダンサーたちと、上半身裸にやはり墨色のタイツの男性ダンサーたち。6組のカップルとなっていて、最初、女性の後ろに男性が立っているのかと思ったら、男性同士、女性同士のペアもあった。不穏な空気、内乱の予感といったものが漂う。
第一パ・ド・ドゥでは、やはりマティアス・エイマンの高度なテクニックが光る。彼はクラシックダンサータイプだと思うのだけど、なかなかどうして、こういうコンテンポラリーも合っている。そしてメラニーもなかなか良い。第二パ・ド・ドゥでは、コンテンポラリーが得意なエレオノーラがやっぱり魅力的。オフバランスでのバランスのとり方がうまい。このパ・ド・ドゥではステファンはサポートをすることが多かったのだけど、彼のサポートの上手さ、女性をきれいに見せるテクニックが光っていた。パ・ド・ドゥの終わりで二人が震えるようにうずくまっていた姿が印象的。第三パ・ド・ドゥでは、クラシックだと首がちょっと前に出すぎているオドリックの欠点が目立たず、彼のダイナミックなマネージュが映えてよかった。ドロテは、古典とコンテンポラリーで別の魅力を発揮できる人というのが明らかになったけど、本当に存在感が強い人なんだと思う。コンテンポラリーとはいえ、女性はポアント着用だし、技術的にはクラシックのテクニックも多用している。少なくとも「白の組曲」よりはずっと楽しんだ。


○「牧神の午後」[振付]ティエリー・マランダン
バンジャマン・ペッシュ

やっぱり面白い作品だな~って思う。でも、果たして他のダンサーが踊ったらどんな感じになるのだろうか。イタリアでイレールが踊ったというけど、どんな感じなのかおよそ想像できない。1日目より2日目、2日目より3日目と、ペッシュはすっごく乗っていて、本当に楽しそうに踊っていた。床にダイブしたり、丸めたティッシュをイメージしたチュールの塊に顔を埋めたり、四つんばいになって腰を振ったり、どれもこれも至福の表情をしているのだもの。彼は決して脚は長くないしプロポーションが良い訳ではないけれども、筋肉のつき方はとてもキレイな人だなって思った。そしてカーテンコール、一度目は牧神特有の平行にした腕だけを登場させてからカーテンの前に現れ、二度目は牧神ジャンプ(1度目と同じ腕のまま、横向きに飛ぶ)で登場。観客の反応もよく、とっても嬉しそうなペッシュだった。


◇第3部◇

○「ジュエルズ」より“ダイヤモンド”[振付]ジョージ・バランシン
ローラ・エッケ オドリック・ベザール

この演目って、やっぱりすごく地味なので、ロパートキナのように内面からダイヤモンドのように輝く人が踊らないと厳しいものがあるのだった。バレエフェスでアニエスとジョゼが踊った時ですら、特に印象も何も残らなかったくらいで。13日、3日目にして、ようやく、ローラとオドリックの「ダイヤモンド」が見慣れてきて、こういう作品か、という全体像が見えてきたと思う。13日は立ち見で一番後ろで見ていたけど、それくらい距離があった方が把握しやすいのかもしれない。オドリックに関しては、首が前に出すぎというのがさんざん言われているわけだけど、それ以外の面、丁寧さやサポート、優雅さはこの3日間でずいぶんと進歩した気がする。まだまだ伸びしろはありそうだ。背が高く容姿もいいので、ホント、首の位置だけもう少し改善してもらえれば。ローラも、もともと気品とオーラはすごくあるひとなので、あとはもう少し精神性の高みを感じさせてくれれば。私は、彼女の少々長めの顔があまり好きではないのだけど、一般的に見れば美人だと思う。

○「ドリーブ組曲」[振付]ジョゼ・マルティネス
ミリアム・ウルド=ブラーム マチアス・エイマン

本当に可愛い二人!特にミリアムの可愛さといったらもう、とてもアニエスが着ていたのと同じ衣装を着ているとは思えないほど。袖のあたりにフリフリがついているというところが、アニエスの衣装と違っていたところだろうか。金髪に、紺色の髪飾りも映えていた。マティアスのスーパーテクニックは絶好調で、12日にあったマネージュでの失速も克服し、少しずつ角度を変えてのグランピルエットも疾風のようだった。大喝采。13日は会心の出来だったようで、ラスト、二人がシルエットになって舞台の奥に消えていく時、マティアスは嬉しそうにミリアムにキスをしていた。


○「さすらう若者の歌」[振付]モーリス・ベジャール
ローラン・イレール マニュエル・ルグリ

ヴォーカル入りの曲で踊られるバレエに抵抗があるため、この演目の魅力はついに私にはわからなかったけど、この二人の踊りは心を打つものがあった。やはり近い距離より、客席の一番後ろから観た方が、よく伝わってくるものがあったのではないかと思う。水色のユニタードのイレールは、どちらかといえば女性的というか弱さとか優しさがある役柄で、赤いユニタードのルグリが男性的で強い印象がある。体型がよく出るこの衣装だと、残念ながらイレールのお尻の形よりルグリの方がずっときれいな形をしているのがわかってしまう。また、たまにイレールのアンドォールが甘くなってしまっているのも見えてしまった。ルグリが現役バリバリで、完璧な踊りを見せているのとは、ちょっとステージが違ってきてしまった感じ。それでも、イレールの動きは美しい。偉大な二人のダンサーの、さまざまな出来事、花も嵐もを乗り越えての強い絆を感じることができた。踊るルグリを上手で見つめているイレールの嬉しそうな顔。そして、ルグリに手を引かれ、舞台奥へと去っていくイレールが、客席に視線を向けて手を伸ばしている姿、そのときの目が「さようなら」と観客に行っているようで、涙が出てきてしまった。


カーテンコールでの、ルグリ、モニク、そしてイレールの3人の並びを見ていると、万感の想いがこみ上げてくる。イレールに推されて一人、カーテンの前に立つルグリはあくまでも謙虚で、他のダンサーたちの方を向いて彼らを讃えていた。バレエを見なかった空白期間が長い私には、彼らに対する思い入れを語るような資格は無いのだけど、彼らが刻み付けてくれた感動は決して忘れないと思った。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

私が観たのは12日なので、マチューくんをドロテが、カーテンコールでリードしたいたのには笑いました。
エトワールでも、鷹揚としているんですね。
イボくんのタランテラも観たかったです。

naomi様の「オネーギン」の感想は、全く同感!です。私はCプロを見たので、「オネーギン」は最後の演目だったのですが、会場を出た後もしばらく舞台を見た後の興奮で、ぼ~っとして帰宅したのを覚えています。モニクとルグリだと、原作の設定に比べて、かなり年長になってしまいますが、逆に良い、って思いました。年を重ねてきたからこそ出る二人の色気・香気と、もう取り返しがつかない、っていう運命の残酷さがひしひしと伝わってきましたよね~。原作のタチアーナは20代半ば、オネーギン30代?位、今なら「やりなおせるじゃん」って感じになりかねない若さですからね。オネーギンって、ロシアの高等遊民みたいなもので、傲岸で孤独でどうしようもないところがいっぱいある男なのに、ルグリが演じると、最後はすがりつこうが何しようが、あくまで高貴なんですよね。私もこれには驚きました。最後の走り去る、というか、飛び去るところまで、ノーブルでしたもん。ルグリは、パリオペを「オネーギン」で終えたい、みたいな話はどうなったんですかね~?引退した後客演なのかな・・・全幕が見てみたいです☆

くみさん、
マチューは性格のよさと、浮世離れした王子ぶりがいいですよね。あんなに美しいのに、ちょっと抜けているところがなんだか可愛いですね。ドロテがちょっとチャキチャキした感じなので、面白いコンビだと思いました。
アクセルくんは、スーパーバレエレッスンでのへたれぶりが嘘のように良いダンサーでしたね。こりフェへの昇格試験も、1位で通過したみたいだし、今後期待できそうです。

sandyさん、
たしかにオネーギンは最後にあったほうが余韻が残る気がしますね。走り去るところまでノーブルというのはすごい同感です。若い人には出せない優雅さと色気の同居が美しかったです、二人とも。本当に彼らは至宝としか言いようの無い存在で。
ルグリさんはまだまだ踊る意欲は満々のようですし、来年のシュツットガルト・バレエの来日公演でもおそらく踊ってくれるのではないかと思います。チケット争奪戦がまた大変そうですが。オペラ座でも踊って欲しいですよね。

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