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« 「ダンシング・フォー・エイズ・オーファン」イベントに行ってきました | トップページ | 8/6「エトワール達の花束」Bプロ―さようなら、フェリ »

2007/08/09

「ルグリと輝ける仲間たち2007」Aプロ8/7

2007.8/7(火)18:30 ゆうぽうと簡易保険ホール
「ルグリと輝ける仲間たち2007」Aプロ

さて、ルグリと輝ける仲間達初日。前日フェリのフェアウェル公演を観てしまったためか、さすがに素晴らしい「オネーギン」以外は消化不良で終わった。ひょっとして、私はパリ・オペラ座のバレエがあまり好きではなかったのかも、と思ったくらい。でも、「オネーギン」が<神>級に素晴らしかったので、よしとする。

「オネーギン」、ジョゼがセクシーな「三角帽子」、愛らしいマチルド・フルステーが情感豊かな「スパルタクス」、それ以外はいまひとつだった。
「椿姫」なんか、違う幕の部分とはいえ、やはりフェリの「椿姫」の次の日に観てはいけない演目であった。

第1部
「白の組曲」(振付:リファール)
シエスト:乾友子、高木綾、奈良春夏
テーム・ヴァリエ(パ・ド・トロワ):ローラ・エッケ、オドリック・ベザール、アクセル・イボ
セレナード:マチルド・フルステー
プレスト(パ・ド・サンク):シャルリーヌ・ジザンダネ、松下裕次、氷室友、辰巳一政、長瀬直義
シガレット:アニエス・ルテステュ
マズルカ:マチアス・エイマン
アダージュ(パ・ド・ドゥ):ミリアム・ウルド=ブラーム、マチュー・ガニオ
フルート:メラニー・ユレル
東京バレエ団

「白の組曲」は演目自体と音楽がつまらない上、東京バレエ団の男性ダンサーが、スタイル、技術とも激しくオペラ座の人たちに見劣りしていて邪魔だし(東京バレエ団の女性ダンサーたちは非常によかった。アームスがみな美しい)、退屈だった。
オドリック・ベザールの踊りが硬く、これでスジェ?と思ってしまった。もう少し上手な人だと思ったのに。一緒に踊っていたコリフェのアクセル・イボの方が伸びやかで良かったが、逆に柔らかすぎてふにゃふにゃ。
アニエス・ルテステュはさすがの貫禄で大物感があったけど、この人も柔軟さを感じさせない。最近ロシア系のメソッドのダンサーを見ることが多かったからか、オペラ座のダンサーの上半身の動かし方が好きになれない。脚はさすがにみんな強く、正確で素晴らしいのだけど。
メラニー・ユレルも上手なんでしょうが硬い。注目のマティアス・エイマンはさすがに素晴らしい。ダイナミックな跳躍力、音楽性、華があって場が盛り上がった。お気に入りのマチルドも、ひときわ人目を引く魅力がある。それに比較すると、技術も表現もさすがにレベルの高いミリアム・ウルド・ブラム&マチュー・ガニオが、地味だった。

冒頭と最後のフォーメーション、真っ白な衣装は美しかったけど、それだけの作品だった。きっと別の演目で見れば、ダンサーたちももっと魅力的に見えたのではないかと残念に思う。
それにしても東京バレエ団の男性は、みんな小柄だ。同じバレエ団の女性ダンサーたちより小さいのでは?

第2部

「扉は必ず...」(振付:キリアン)
エレオノーラ・アバニャート マニュエル・ルグリ

アッバニャート、去年の夏に見たオーレリとはまったく違うけど、悪くはない。だけど、緩急やタメがあまりなくて、フェミニンだけど平面的な表現、ルグリとの間にケミストリーが無いのと、オーレリにあったスリルや淫靡さ、ユーモア感覚が弱かった。ルグリのやさぐれ感は素敵。


「スパルタクス」(振付:グリゴローヴィチ)
マチルド・フルステー ステファン・ビュヨン

フリーギアの悲しみ、愛、歓び、様々な感情を繊細に、時には雄弁に表現した華奢で儚げなマチルドはよかったけど、ビュヨンは微妙。この演目の売りである片手リフトに相当苦労していたし、スパルタクスには逆立ちしたって見えない。ニコラ級のダンサーじゃないと難しそうだ。


「ドリーブ組曲」(振付:マルティネス)
アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス

演目としては、どこかで見たような振り付けの寄せ集めのようで、退屈。同じ音楽を使っている「コッペリア」のグラン・パ・ド・ドゥを見せて欲しいと思った。アニエスはとてもうまいし美しいのだけど、表現がちょっと冷たい。アニエスが踊ると見せかけて、実際に踊るのはジョゼだったり、ジョゼの逆回転(時計回りに回っているけど、左足から回る)マネージュがちょっと面白いくらい。とても美しくスタイリッシュな衣装、以前はベルベットの部分が紺色だったけど今回は紫。紺の方がきれいだった。


第3部

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」(振付:バランシン)
ドロテ・ジルベール マチュー・ガニオ

ドロテ・ジルベールとマチュー・ガニオのキラキラコンビ。キラキラ感はピカイチ。ドロテはアレグロは得意のようで、とても元気の良い溌剌とした踊り、音にぴったり合った動きはさすが。観ていて気持ちいい。ただし、もうちょっと軽やかでもいいのではないかな。
3年前にこのルグリガラで観たマチューは、「これでエトワールなんてありえない」と思ったが、さすがに成長の跡が見られ、エトワールにふさわしい踊りになっていたと思う。端正なムーヴメント、ふわっと高く上がるジュッテ、美しい脚のラインとつま先。実にきれいなダンサー。ただ、コーダの、ドロテが勢いよく飛び込むところで、がっしりとはキャッチできていなかった。
全体的にバランシンらしさが希薄な気がする。マチューはひょっとして音楽性が弱いのかもしれない。だけど、 若くて美しいスター二人の競演は、ガラらしくて華やかで良かった。これくらいのレベルのものを、どの演目にも要求したいなって思ってしまう。


「椿姫」第2幕より(振付:ノイマイヤー)
エレオノーラ・アバニャート バンジャマン・ペッシュ

「白のパ・ド・ドゥ」だし、完全に別物と思えばいいんでしょうが、ペッシュが重たい荷物のようにアッバニャートをよっこらしょっと運んでいるのはちょっと問題だと思ってしまった。幸福感があまり伝わってこなくて、何だか必死に振付をこなしている感じがしていた。
最前列で見ていた友達の話では、リフトのたびにアッバニャートの髪が引っ張られて抜けてしまって、かわいそうだったとのこと。ペッシュ自身の演技は情熱的で悪くなかっただけに、リフトが残念。

「三角帽子」より粉屋のファルーカ(振付:マシーン)
ジョゼ・マルティネス

楽しみにしていた「三角帽子」。真っ赤なシャツが細身に良く似合うジョゼ、じゃなくてホセ・カルロス・マルティネス。バレエとサパテアード(靴音でリズムを打ち出す技巧)が見事に融合して素敵。指パッチンもよく鳴るし、しびれる。脚が長いので、フラメンコ独特の脚を揃えて弓なりにしたポーズがかっこよく決まる。もう少しキレキレにラテンしてもいいと思うけど、この上品さがジョゼ。
惜しむらくは、この「粉屋のファルーカ」のシーンがあまりにも短いこと。素敵だわ~と思っているうちに終わってしまう。今度上演するときには、ぜひ粉屋の女房の踊りも入れて欲しいと思った。


「オネーギン」(振付:クランコ)
モニク・ルディエール マニュエル・ルグリ

そして真打、「オネーギン」(手紙のパ・ド・ドゥ)。
モニク・ルディエールは今回のルグリガラを最後に、踊りを封印するという。だが、その決断はあまりにももったいないと思った。今まで登場してきた女性ダンサーたちと、明らかに格が違う。たぶんもう50歳くらいなんだと思うけど、身体のコントロールなどのテクニックは衰えていないうえ、タチアーナというヒロインそのものとして舞台上に存在しているのだ。
それに、ルグリとの栄光のパートナーシップそのままに、演技のテンションが同じ位置にある。オネーギンを前に迷い、ためらい、感情に押し流されそうになりながらも、ついには未練を断って手紙を破き、部屋から出て行くように命令する。その時の激しい慟哭、ふらふらと扉の前から舞台の前方までよろめき、涙をこらえて少女時代の恋を永遠に封印する、悲しみと決意、苦悩が入り混じった表情。シュツットガルト・バレエのマリア・アイシュヴァルトも素晴らしかったけど、ルディエールはやっぱりすごすぎた。
そのルディエールの演技を受け止めるルグリも、さすがに見事なもの。オネーギンという男のどうしようもなさ、おろかさ、それを自覚しながらも一縷の望みに賭けてすがりつく様子、迫ってくる老い、後悔、様々な要素を内包した複雑な人物像を体現していた。これがガラの一部だなんて信じられない。これこそ、観たいと思っていたもの。
これを観ることができただけでも、チケット代の価値は十分あったと思う。このようなドラマをつむぐことができるダンサーが、今どれほどいるのだろうか。しかもフェリは引退してしまったのだし。

*******************

バレエダンサーというのは難しい職業だと思う。演技力というのは、キャリアに比例して深まっていく。ルディエール、ルグリ、フェリの領域に達した頃には、少しずつ体力、技術が衰えてきてしまう。だが、ルグリのように、技術的にも未だ頂点にいるというのに、オペラ座をまもなく引退しなくてはならないとはなんということだろう。

フェリの「エトワールたちの花束」を観たときにも思ったのだが、今のバレエの流れとして、とにかく技術重視、見た目重視となっていて、演技力に優れたダンサーというのは時代に取り残された存在になってきているのではないかという危惧を感じる。演劇的なバレエというものも生き続けて欲しい、演技力もダンサーの資質として評価して欲しいと切に願う。

とにかく、モニク、そしてマニュエル、ありがとう。
マニュエルも、引退前に今一度、念願である「オネーギン」の全幕に主演してくださいますよう。

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コメント

ルグリが若手を連れてきたお陰で、マチアス・エイマンや、ドロテ・ジルベールをきちんと観られました。
こういう人が次の世代を担うのかな。
「三角帽子」は、短いけれど、スペイン人のジョゼに似合っていて、とても良かったです。
「オネーギン」は、素晴らしい出来栄え。
円熟味が出る頃に引退とは、何とも寂しいですね。
来年、シュツッツガルトバレエが来日するけれど、客演なんてことはないのかなと、ちょっと期待してしまいます。

naomiさん、こんばんは。
値段、音響、仕切りすべてに問題があったけど、舞台の満足度では(フェリに思い入れがない)私もフェリの公演の方がはるかに高かったと思います。「白の組曲」は後ろの東京バレエ団の人とあんまり変わらないダンサーもいたような気がしますし。ルグリが入ってくれればよかったですよね。

shushuさん、こんにちは。
まったく同感です。フェリの公演は、たしかに音響や仕切り、お値段や席割り、パンフレットなど不満な点は多かったのですが、中身は本当に素晴らしかったですからね。
そう、東京バレエ団の女性ダンサーは健闘していたと思います。どうも「スーパーバレエレッスンライブ編」みたいな感じになってしまいましたね。それもいいんですが、それには少し高かったかもしれません。「オネーギン」が素晴らしかったからいいんですけど。

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