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« 8/16ルグリと輝ける仲間たち 全幕特別プロ 『白鳥の湖』ガラ (簡単な感想) | トップページ | 「白鳥の湖」でルグリ祭り終了 »

2007/08/18

ローザンヌ・ガラ2007

マチューの王子やステファンのロットバルトは観たいけど、どうしても上野さんのオデットは観たくないのと、オハッド・ナハリン振付の「マイナス16」が観たかったので、この公演を観に行くことに。

ところが、これ、なんと18時開演で会社勤めの人には無理な時間帯。事前に上演順が発表になっていなかったため、朝に青山劇場に問い合わせの電話をしたら「演目が多いので、全部はお知らせできません」というかなりひどい対応。現地に行っても、キャスト表は配っていないし、それどころか掲示もしていないので、パンフレットを買わないと結局プログラムの順番がわからなかった。

仕事の関係でやっぱり開演時間に行くのは無理で、オープニングと、吉山シャールルイ・アンドレさんを観ることができなかった。吉山さんは今年のローザンヌコンクールでも、コンテンポラリーが素晴らしかったのでとても残念。彼は8月から、ヒューストン・バレエIIに入団するとのこと。たまには日本で踊って欲しいなあ。


◆オープニング 鈴木・クラシック・バレエ・アカデミー「水上の音楽」「グラズノフ組曲」

◆吉山シャールルイ・アンドレ
「Rubrix」 Ch: Matthias Sperling


◆河野舞衣
「グラン・パ・クラシック」

今年のローザンヌコンクールでも大評判だった河野さんの「グラン・パ・クラシック」。改めて観てみて、やっぱりとても良かった。プロと遜色ない。きれいに引きあがった身体が美しい。ちょっと腕が細すぎるところは難かもしれないけど、技術的にとても安定している。河野さんは9月よりミュンヘン・バレエに入団するとのこと。


◆菊池あやこ(ヴィルツブルグ・バレエ団)/遅沢佑介(フリー)
「白鳥の湖 第3幕より黒鳥のパ・ド・ドゥ」
 Mus: P. Tchaikovsky Ch: M.Petipa

残念ながらこれはあまりよくなかった。遅沢さんはまあまあ悪くないけど、菊池さんが問題。ふにゃふにゃしていて、オディールの凛とした所や魔力がまるで感じられない。オディールのヴァリエーションは、グリゴローヴィッチ版が採用している、短調の曲にあわせての難しい振付のほう。ヴァリエーションはまずまずだったが、問題はやはりコーダ。最初から32回回る気が無かったようで、フェッテが始まるところも違うことをやっていて途中からようやくフェッテに入るけど16回も回っていなかったのでは?経歴などを見ていると、古典を踊ったのは選択ミスと思える。


◆木田真理子/児玉北斗(レ・グラン・バレエ・カナディアン)
「Territoire」 Ch: Shawn Hownsell

この演目、音楽がアルヴォ・ベルトで、なんとルグリガラで上演された「アベルはかつて・・・」と同じ曲を使っているのだ。男女二人の踊りではあるけど、雰囲気もなんとなく似ているもので、ドミニャックやステファン・ビュヨンの幻影がちらついて困った。照明が暗く、女性はショートパンツ着用。雰囲気的にはちょっとキリアンっぽく、二人とも、非常に表現力があって、静謐な世界観を伝えていて良いパフォーマンスだったと思う。動き一つとっても、とても美しい。しかしながら、これはダンサーのせいではないのだけど3日前に観たばかりの「アベルはかつて・・・」を思い出しちゃってちゃんと観られていない。


◆中村かおり/Lucien Postlewaite
(パシフィック・ノースウエスト・バレエ)
「Kaori & Lucien」 Mus: Ch: Olivier Wevers

この二人のために振付けられた作品という。ドガの絵画にインスピレーションを受けたということで、茶色のビスチェ&眺めのチュールという中村さんの衣装は、ドガの絵に出てくる踊り子を思わせる。中村さんを生で見るのは初めてだけど、非常に個性が強く自分の世界を確立している感じ。テクニックも表現力も高い。ちょっと歯が目立ったのが気になったけど、アーティスティックでとても素敵だと思った。


◆高部尚子/(谷桃子バレエ団)
「ロミオとジュリエット」 Mus: S.Prokofiev Ch: 坂本登喜彦

バルコニーなどの装置は一切無しで、シーンはバルコニーシーン。リフトも少しあって、振付の雰囲気は割りとマクミラン版に似ている。最後ロミオが去ってしまった後、ジュリエットは床の上に横たわり、亡くなった人のように手を身体の上に重ねている。高部さんのジュリエットが可憐で柔らかいのに驚く。


◆崔由姫/佐々木陽平(英国ロイヤルバレエ団)
「くるみ割り人形」第2幕よりパ・ド・ドゥ
 Mus: P. Tchaikovsky Ch: Peter Wright

崔由姫さん、金平糖の精の衣装がとってもよく似合っていて、笑顔がキラキラと可愛らしいこと!ほっそりとしていて手脚が長く、愛らしい顔は非常に小さくて恵まれたプロポーション。まさにおとぎ話の中のお姫様。上半身が柔らかくきれいで、音に乗って気持ち良さそう。ヴァリエーションのところでもう少し、というところはあったけど今後への期待は大。佐々木さん、思ったよりかっこよくて(失礼)笑顔が素敵。技術的に安定しておりサポートもうまい。彼のヴァリエーションは正確で、とても安心して観ていられた。


◆中村祥子/Ronald Savkovic(ベルリン国立バレエ団)
「Transparente」 Ch: Ronald Savkovic

中村祥子さんの美しいことといったら、もう。長身に真っ赤なビスチェドレス。足元はバレエシューズ。ものすごい目力とメリハリの利いた、スタイリッシュかつ色香あふれ、ドラマティックな動き。柔らかい背中、強靭なテクニック。二人が並んで椅子に座っているところから、最後はまた二人で並んで座っているという構成。あまりにも祥子さんが素敵かつ表現力豊かなので、この作品を振付けたというサフコヴィッチはほとんど観なかった。音楽はファドに、ベルリン国立バレエのソリストであるアルシャク・ガルミヤンが現代的なリズムを付け加えたもの。私は歌モノをバレエに使うのはあまり好きではないけど、この作品に関しては、エキゾチックさを上手く付け加えており、合っていたと思う。圧巻。

◆貞松・浜田バレエ団
「DANCE」(オハッド・ナハリン振付「Minus 16」より)
※平成17年度文化庁芸術祭舞踊部門大賞受賞作品
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振付:オハッド・ナハリン
振付指導:稲尾 芳文
音楽:L・アルメイダ他
衣裳・照明:オハッド・ナハリン
出演:上村未香/正木志保/山口益加/竹中優花/吉田朱里
佐々木優希/武用宜子/瀬島五月/安原梨乃/大江陽子
廣岡奈美/半井聡子/谷村さやか/角 洋子/小松原千佳
福田咲希/川村康二

今回一番楽しみにしていた作品。「Minus16」は、NDTIIがさいたまで上演したのがNHKで放映され、その録画を観たのだけどあまりの面白さにすっかりハマった。これが東京で上演されると聞いて絶対に観なくちゃと思ったのだ。若干アレンジを付け加えていた。

NDTIIが上演した時には、メンバーは男女混合だったのだけど、今回ユニークなことに一人を除いて全員が女性ダンサー。作品そのものは休憩時間から始まっている。そろそろ休憩も終わりかな、と席に向かおうとすると、客電も落ちていないし、観客たちが席に向かって歩いているような状態なのに、一人の女性ダンサー(瀬島五月さん)が踊っている。それも、ブルース・ブラザーズのような黒いスーツを着ていて、一瞬男か女かわからない感じ。この踊りの振付がとても奇妙で、下半身を低くしてちょっとがに股気味、肩をすぼめ、手は前にして左右にゆらゆらと身体を動かす。時には痙攣するようなコミカルな動きもあって目が離せない。インプロヴィゼーションのようなソロを5分くらい一人で踊っていると、舞台の後ろに次から次へと、同じ服装のダンサーたちが登場し(合計15人)、めいめいがばらばらの動きだけど同じように奇妙でコミカルな、関節をカクカクさせたような踊りを見せる。ものすごい迫力。普段彼女たちがクラシックバレエを踊っているとは思えない、大胆な動きから圧倒的なエネルギーが放出されている。幕が下りる。降りた幕の下から、瀬島さんとは違う女性ダンサーがひょっこりと顔を出し、台詞を言う(台詞の内容は失念)。幕が下りると、大音響の音楽。続いて、ヘブライ語と、それを日本語に訳した「狂気と正気を分ける細い線・・・疲労と優雅さの共存」の朗読があり、そしてユダヤ教の「過越しの祭り」(※乗越たかおさんの「コンテンポラリーダンス徹底ガイド」参照)で歌う神に捧げる数え歌がかかる。再び幕が開くと、舞台上には半円状に椅子が並べられ、先ほどの黒いスーツに帽子をかぶった女性ダンサーたち15人が座っている。彼女たちは一緒に歌をいたいながら、パーカッションのリズムに合わせてウェーブのように一人ずつ立ち上がり、左側の人と同じ振りをしていく。左から右に踊りは波及している。一番右側にいる人だけ(この人は男性)が地面にダイブ。このウェーブが何回も繰り返されるが、振付はどんどん複雑になり、一人ずつ背中を反らせてたり手足をぶらぶらさせたり、椅子の上に立ったり。そして一巡ごとに帽子を脱いで投げ、靴を脱いで投げ、上着を脱ぎ、パンツを脱ぎ、タンクトップとショートパンツになる。脱いだ靴や服は中央にうずたかく積まれている。この一連の動きが強烈に面白い!私は映像ですでに見ていたけど、初めて観る人だったらとても新鮮に思えるんじゃないだろうか。タンクトップとショートパンツになると、若い女性たちだな、とわかってくる。

タンクトップ姿になったダンサーたち4人が少し踊ったかと思うと、今度は、再びスーツを身に着けたダンサーたちが舞台を降り、観客を一人ずつ連れてきて舞台に上げる。ディーン・マーティンの「Sway」に合わせて、ダンサーと観客が踊る。思いっきり関節を曲げ、内股にして腰を振って大胆にコミカルに踊るダンサーたちと、戸惑いながらも一緒に踊る観客。時々ダンサーがごろんと床に転がることも。中にはおば様なのにとても踊りが達者な人がいたり、ノリノリな人もいたりして楽しい。客席からは手拍子。ひとしきり踊った後、観客は客席に帰っていくが、一人だけ中央にノリの良いおば様が残り、キメてくれて最高。

それから、この「ブルース・ブラザーズ」のようなスーツの格好でプリエやアラベスクなどクラシックバレエのレッスンのような動きをダンサーたちが見せたかと思うと、再び激しい音楽にあわせて思い思いに、自由奔放に踊る。上着を脱いで縄跳びの縄のようにする人。女の子なのにトゥールザンレールを決めたり、側転、バック転、カンフーキック、ジュッテ、とにかくパワフルで踊ることの楽しさがいっぱい伝わってくる。カーテンコールには、今回の振付指導をした稲尾芳文さん(バットシェバ舞踊団)も登場したが、彼も交えてパワフルなダンスが今一度。そしてカーテンが下りたと思っても、また上がってダンサーたちは踊りを続けている。ダンスの楽しさ、自由さ、奔放さ、エネルギーが伝わってきて、固定概念を破壊するような、本当に楽しい舞台だった。NDTIIの上演ではダンサーたちが一人一人自己紹介するというのもあったんだけど、それを割愛したのは正解。

カーテンコールでは出演者が全員集合。貞松・浜田バレエ団のメンバーはみんな、また面白いポーズを取る。帽子を取ると、みんな若い女の子の顔をしていてちょっと驚く。

「DANCE」が観られただけでも元が取れたのに、中村祥子さんや中村かおりさん、崔由姫さんなど素晴らしいダンサーを観ることができて満足度は高かった。前回の公演はNHKで放映されたんだけど、今回はなしなのだろうか。

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コメント

貞松・浜田バレエは、良いらしいのですが、東京にずっといる私には、遠いバレエ団の一つです。
「minus16」が意味するものが、ユダヤ人の過ぎ越しの祭りと、どう関係するのかが分かりませんが、かなり面白そうな作品だったことは、感じます。

河野さんは、ミュンヘンに行かれるということは、ルシア&シリルと一緒になるんですね。
崔さん、佐々木さんは英国ロイヤルの来日まで楽しみに待ちます。

naomiさん こんにちは。(やっと)初めてお邪魔させていただきます~。

またまた興味深いレポをありがとうございます。オハッド・ナハリンという振付家のことは全く初らないのですが、"Minus16"ってなかなか面白そうな作品ですね。ついて行けるかどうか心もとないけど、是非一度見てみたいです。

河野舞衣さんはご本人のご希望通りミュンヘン・バレエに入団されるんですね(おめでとう!)。崔由姫さんはロイヤルの群舞で踊っている時にいつも目がいくダンサーです。今時貴重な、ちょっと古風なタイプで踊りはとても端正で、今後に期待大です。(Naomiさんご覧になったかもしれませんが、過日某英紙でボリショイのナタリヤ・オーシポワが取り上げられていた時に、バレエ界の若手有望株リストの中に崔さんも入ってたんですよ~。)

くみさん、

先ほどはお疲れ様でした!
「マイナス16」の振付家オハッド・ナハリンはイスラエルの人です。イスラエルは、世界のコンテンポラリーダンスでも最先端を行っている国なのですね。11月に来日するインパル・ビント・カンパニーも面白いです。
で、このうず高く積まれた帽子や靴や服は、ホロコーストの時に強制収容所でユダヤ人たちの服を集めた様子に似ているという批評があったようですね。パレスチナ問題などもあって、けっこうオハッド・ナハリンは苦労しているようです。
稲尾芳文さんはオハッド・ナハリンのバットシェバ舞踊団で活躍しておられて、一時期は芸術監督もしていたのです。

Naoko Sさん、こんにちは。

いらしていただけるとは光栄です!

「Minus16」は、2002年にNDTのキリアンフェスティバルがさいたまで行われ、この公演がNHKで放映された時の演目のひとつなのです。オペラ座のレパートリーでもある「ベラ・フィギュラ」、それから「バースディ」や「プレリュード」などキリアンの代表的な作品に混じって、上演されました。このときの演目はどれも面白かったです。それほど小難しくなく、純粋に楽しい作品でした。

チェ・ユフィさんはフロリナ王女などを踊られているのですね。若手有望株の記事は読んだような読んでいないような感じなので、また探して見ますね。ロイヤルは来年7月ごろ来日するそうなので、きっと彼女の活躍が見られるんではないかと楽しみにしています。

ボリショイの豪華プログラム上演中のロンドンが羨ましいです~(こっちはこっちでルグリ公演もあるのですが)。

naomiさん、ご無沙汰しております。
拙ブログのローザンヌガラ感想で紹介させていただきました。
私は18日に見たのですが、Minus16、とても面白かったです。コンテ単独の公演にはなかなか食指が動かないのですが、今回見られて良かったと思いました。

ほみさん、こんばんは。
ほみさんは土曜日にご覧になったのですね。そしてほみさんの記事拝読しました!そんな貴重な経験をされたとは素敵ですね~♪
私は最前列の真ん中なので来るかな、と思っていたのですが来ませんでした。舞台上で踊っていた観客の皆さんは本当に楽しそうでしたね。
私は、この作品を知っていたので、大体予測はついていたのですが、知らないで見るとホント意外性ですごいインパクトなんじゃないかと思います。ライブでこんな経験ができたなんて羨ましいです。

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