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2007/07/14

7/13 オーストラリア・バレエ「白鳥の湖」ざっとした感想

まだ初日で、これからご覧になる方もいらっしゃるかと思うので、本当に簡単に。特に、この作品は予備知識なしで見ることをお勧めするので。後日ちゃんと書きます。(といって、恐ろしいほど溜めこんでいます)

グレアム・マーフィ振付による「白鳥の湖」、とても面白かったです。私はこの作品、かなり好きです。作品としての完成度もオリジナリティも高いと思います。

パ・ド・ドゥがあって、男女のバリエーションがあって、コーダがあって、という古典バレエのガチガチの法則に縛られている方のお口には合わないかもしれません。私も古典バレエは好きだけど、でも、あれはもう150年くらい同じものを踊っているわけであって、こういう新しい物を作っていかなくちゃいけないんだなってすごく思います。

バレエというよりはダンス・ドラマと言えるかもしれないけど。 演劇性が非常に高いので、ダイアナ妃云々は置いておいて、イギリスで受けたのがよくわかります。3人の登場人物の心理描写が濃密かつ細やかで、たっぷりと心理劇を堪能しました。

何しろ、プティパ/イワーノフの振付をひとつも使っていないらしいのが、すごい。そうはいっても、クラシックバレエの高度なテクニックを駆使した作品ではあります。


(以下、基本的にネタバレはありませんが、予備知識なしで見たい方は読まないでください)

************************

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」が好きな友人たちはほぼ100%面白いって言っていました。

ところどころジゼルっぽかったりマノンっぽかったりします。音楽はブルメイステル版とほぼ同じ並び方。(でも、ところどころ違うところもあるけど、この使い方もすごく巧み)。

男爵夫人のルシンダ・ダンがものすごく良かった。踊りも演技もこってりと濃厚で、魔性を感じさせ、魅惑的なんだけど、同時に哀れさも表現できていた。テクニックは強靭。女性二人のキャラクターがものすごく立っています。 オデット役のカースティ・マーティンはとても美しい人。時にはエキセントリックに転んだり、妖艶になったりするけど、ガラスのように繊細で儚げな存在感があるし、こちらも踊りは上手。特に2幕のコーダのパッセの連続では、強靭な足技を見せてくれた。リフトがとても多い振付なのだけど、体重を感じさせないようにリフトされるのが二人ともとても上手い。

王子役のダミアン・ウェルチは大柄でとてもハンサムなんだけど、誰かに似ているよな~と思っていて、カーテンコールの時に気が付いた。ブレンダン・フレイザー(「ハムナプトラ」「ゴッド・アンド・モンスター」などに出ている俳優さん)だった。この版は、男性のソロは非常に少なくて、とにかく男爵夫人/オデットのリフトが非常に多い。したがって、王子役はものすごく大変だと思う。ダミアン・ウェルチは数少ないソロはあまり上手ではなかったけど、リフトは非常に安定していて良かった。演技も良くて、女にだらしない、優柔不断な王子を好演していた。

コール・ドは時々揃っていないこともあったけど、全体的には美しく、とても良かった。スタイルの多い美人さんが多い。白鳥のフォーメーションが独特でとても面白い。

結婚式の踊りも伯爵たちを含めてリフトがとても多いのだけど、フィギュアスケートのペアかアイスダンスのような、ずさーっと引きずったり、低い位置で回したりといった独創的で、難易度の高いテクニックが見られた。

日本人の藤野暢央さん(第一王女の夫)、久保美和子さん(貴婦人、白鳥)、本坊怜子さん(小さな白鳥)も大活躍。藤野さんはタキシードが似合っていてカッコよかったです。本坊さんの小さな白鳥も良かった。

衣装や舞台装置が非常に美意識が高くて、ゴージャスでシックで麗しい。3幕の衣装の美しさ、頽廃的な雰囲気だけで目がハートになりそうになりました。湖のシーンのシンプルで研ぎ澄まされた美しさと対照的。全体的にデカタンスあふれるつくりで、こういう舞台は大好きです。 舞台は総合芸術だから、装置や衣装が素晴らしいと、公演全体のクオリティが上がります。


今日の指揮者は女性の方で、非常にパワフルな指揮で良かった。基本的に音楽のテンポはゆっくり目で進んでいるんだけど、4幕のクライマックスの盛り上がり方が爆音系で大変な迫力。3幕のルースカヤのヴァイオリンソロが良かったけど、例によって金管系のミスが目立ったのが残念。

明日横須賀までニーナを観に行くので、見られなくて残念。都合がつく方は、ぜひ明日観に行ってください。古典ガチガチじゃなきゃイヤ、という人以外には楽しめると思います。 「眠り」も観に行くので、こちらも楽しみ。今日素晴らしかったルシンダ・ダンがオーロラを踊ります。

オデット:カースティ・マーティン
ジークフリート王子:ダミアン・ウェルチ
ロットバルト男爵夫人:ルシンダ・ダン
女王:シェーン・キャロル
女王の夫:ロバート・オルプ
第一王女:ゲイリーン・カンマーフィールド
第一王女の夫:藤野暢央
公爵:アダム・スーロウ
公爵の若い婚約者:カミラ・ヴァーゴティス
伯爵:ティモシー・ハーバー
伯爵の侍従:マシュー・ドネリー
提督:コリン・ピアズレー
侯爵:マーク・ケイ
男爵夫人の夫:フランク・レオ
宮廷医:ベン・デイヴィス

指揮:ニコレット・フレイヨン
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomiさん、私マチネも追加して行って来ました。2度目はもちろんハラハラどきどきするわけではありませんが、細かいところまで見ると、ホントによくできた作品だと、感心しました。オケも昨晩より良かったですよ。

Naomiさん、初めまして。Masiaと申します。
14日マチネ&ソワレしてきました。こんな白鳥もあるんですね~。(実はそんなに期待してなかった。。)マチネは演技で、ソワレは踊りで魅せた感じです。一番驚いたのはルシンダのオーラは凄かったこと!眠りも楽しみになってきました!

やはり良かったでしたか。ルシンダ・ダン私大好きです。非常に艶があって色っぽいんですよね。それから日本人では本坊さんがキュートで注目してます。

それにしても皮肉なことにオーストラリアにいる私がオーストラリアバレエ団の白鳥を観ることができないだなんて。今年はパリオペが来豪して白鳥をやったせいでしょうかね、、とほほ。12月にシドニーで予定されている公演はくるみ割りですし、と言っても、私は日本へ帰国するのでこれも見れないのですが(苦笑)


shushuさん、2度目もご覧になることができたなんて羨ましいです~。私もニーナじゃなくてこっちにすればよかったと後悔することしきり。
私は金曜日、会社から出るときにエレベーターに引っかかり、到着した時にはもう暗転していて、扉の近くで観ていたんです。だから1幕があまり落ち着いて見られなかったのだ残念で。ぜひDVDを発売して欲しいと思いました!
「眠り」も今日観ましたが、ルシンダさん素晴らしかったです。テクニックがめちゃめちゃ安定していますね。プロダクションもものすごく面白かったです。
オーストラリア・バレエ、恐るべしです。

Masiaさん、はじめまして!
マチソワですか!いいですね~本当に面白かったですものね。私もマチネを観ていたら、絶対に勢いでソワレも観たと思います。本当は、横須賀でニーナを観た後、上野に直行したかったです。
ルシンダさん、本当に素晴らしいバレリーナですね。オーロラも本当に良かった。テクニックも演技力もあって素敵でした。またこのバレエ団は観たいです。

Tamakoさん、
本当にルシンダさんは素晴らしかったですね。大人のバレリーナという感じでした。繊細な表現力、テクニック、オーロラからロットバルト男爵夫人まで演じ分ける演技力。こういう人はなかなかいないと思いました。

Tamakoさん、せっかくオーストラリアにいらっしゃるのにご覧になれなくて残念ですね・・。でも、この作品はウケもいいので、きっとどこかで観る機会があると思います。オーストラリア・バレエは比較的映像化されているものが多いので(「白鳥」のグレアム・マーフィが振付けたちょっと変わった「くるみ割り人形」も素晴らしいですよ)、これもDVD化に期待します。
東京でも、バレエを楽しんでくださいね!

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