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2007年7月

2007/07/31

6/23 Soiree ABT Romeo and Juliet (Ferri Farewell)Part2

感想の前にニュースです。

「エトワール達の花束」のブログで、フェリはじめ出演ダンサーたちの記者会見の模様が紹介されています。
http://blog.fujitv.co.jp/ferri-bolle/archives/51024194.html
そして、その記事によると、明日の朝(7月31日(火)あ、もう今日ですね)のフジテレビ、めざましテレビでこの記者会見の模様が流れる予定だとのことです。
情報番組なので、100%放映されるかどうかはわからないと思いますが、とりあえず録画予約を入れておきました。

********************

長らくお待たせしてしまってごめんなさい。なかなか感想を書くまとまった時間がないまま、時間が経過してしまいました。今週末には、ついに「エトワールたちの花束」公演も控えているので、いい加減、書き終わらなければなりません。記憶も薄れてきちゃって、あまり細かいところまで覚えていないので、よろしければamicaさんのレポートも併せてどうぞ。

Part 1はこちら

1幕6場、バルコニーシーン。

月明かりの下、バルコニーに浮かびあがるフェリのシルエット。キャピュレット家での宴で出逢ったロミオのことを思い出し、幸福感と甘い余韻をにじませながらまどろみ、腕を上げ、月の光を浴びて少し身体を傾けさせる。草の香りが匂いたつようだ。前の日に観たジュリー・ケントは、ここで身体をくねらせすぎていたのが、生娘らしくなくて違和感を感じさせたのだが、フェリからは、ただただ清らかでほのかな、軽い熱を帯びた恋心が伝わってくるだけ。

そこへ、マントを翻して駆けてくるロミオ。ロミオに大切なのは、疾走感と熱情。だから、このシーンでどのように走ってくるのかがとても大切。良いロミオ役者はここが素晴らしく、アンヘル・コレーラ、マルセロ・ゴメス、フリオ・ボッカ、彼らは皆、この走る姿が美しい。(有望なロミオダンサーのフリーデマン・フォーゲルはここでの走り方がもう少し上手になって欲しい)そしてもちろん、ロベルトの駆け寄ってくる姿も、2歳馬のサラブレッドのように、少年らしさも残しながらも雄雄しく、甘やかさもありながらも凛々しく美しい。ジュリエットはロミオの姿に気がつき、ここでも、まるで軽い電流に打たれたかのよう。バルコニーの上のジュリエットと、その下に立つロミオは、しばし見つめあう。片時もお互いから視線を外したくないという想いで、まるで見えない糸でつながっているかのよう。バルコニーから足取りも軽やかに駆け下りるジュリエット。もう待ちきれない、とばかりに全速力で走り寄る。二人並んでしばし佇み、ドキドキする心臓をそっと触らせるジュリエット。そしてパ・ド・ドゥが始まる。

まずはロベルトの美しいアティチュードから始まるソロ。この姿勢のフォルムは完璧なまでの美。アンヘルのように超高速のピルエットや高く舞い上がるトゥール・アン・レールはないけれども、一つ一つの軌跡は、奇跡ともいえるほど美しい線を描いていき、熱情がほとばしる。ジュリエットを逆さまにしてのリフトでは、フェリの脚の、素晴らしい曲線美を堪能する。折れそうなほどしなやかに反る柳のような背中の柔軟性は、DVDとなっているアンヘル・コレーラとの共演のときと少しも変わっていない。そしてなんと言っても素晴らしいのが、ロベルトのサポート。バルコニーシーンでは本当にさまざまなリフトが登場し、どれも非常に難しいものである。恋の熱に舞い上がらんばかりの二人の想い、高揚感、熱情を表現するのに、これらのリフトが大きな効果を果たしているわけだ。ロミオが正座するかのように跪き、背中を反らせたジュリエットをリフトするところでは、通常、ジュリエットは片方の腕をロミオの肩に乗せて自分の身体をサポートする。そして残った片腕で、浮遊感を表現する。ところが、ロベルトの愛情がこめられたサポートの的確さ、そして二人のパートナーシップの賜物で、このシーン、フェリは両腕を高く上げ、まるで空を自由に飛んでいるかのよう。フェリが自分で自分の身体をサポートする必要がないほど、ロベルトのサポートは安心できるものだということ。こんなのを観たのは、初めて!

このシーンについては、下記リンクの動画で見ることができます。
http://video.on.nytimes.com/?fr_story=c2ce0e9a9b9762ef53a8392feb3a1f8063ef50f8

ロミオとジュリエットは、この瞬間のために生きて、そしてこの瞬間のために死んだということが信じられる、そんな甘美できらめくような時間。この瞬間のために、二人はすべてを捨ててもいいと感じてもおかしくない。だけど、この一時の幸福感、光り輝く世界に包まれた二人は、この一瞬の恋のためにすべてを捨て、多くの血が流れ、そして命までも失われなければならないなんてことになるとは微塵も思っていない。ただただ、時間が止まり、このまま一生こうしていたい、それだけだった。バルコニーシーンの光と墓場のシーンの闇、その落差が大きいからなおのこと、この場面は何百年もの間、永遠のラヴストーリーのクライマックスとして生き永らえてきたのだろう。

ジュリエットのドラマを、ここまでつむぐぐこととができるのはフェリを置いていなかった。フェリのパートナーとしては、今まで、多くの素晴らしいダンサーが存在してきた。ウェイン・イーグリングから始まり、フリオ・ボッカ、アンヘル・コレーラ、ロバート・テューズリー、ホセ・カレーニョ。だけど、このリフトで、完全にフェリが身を任せることができたのは、ロベルト・ボッレしかいなかったという一点で、彼がフェリの最後の「ロミオとジュリエット」の相手を務める任を帯びることができたのだと思わせてくれた。ロベルトの喜びに満ちた表情は、美しいだけではなく、この世界での初めての輝きに出会えた幸福で満たされていた。そして初々しく恋に震えるフェリのジュリエット・・・どうして44歳のフェリが、こんなにもデリケートで、初めての恋に文字通り舞い上がる少女を今でも演じられるのだろうか。これこそが、バレエの魔法なのだと思った。このバルコニーシーン、一生忘れることはないだろう。1999年に観たフリオ・ボッカとフェリとのバルコニーシーンを忘れられないのと同様に。絡み合う視線、そしてジュリエットが絡ませる腕。あまりにも美しすぎる、汚れなきラヴシーン、恋の高まりから自然な流れとして登場した、あっさりとしているのに、まるで映画の中のようにドラマティックで胸をかき乱すようなキス。涙が自然とあふれ出るのを感じた。去年の世界バレエフェスティバルのガラ公演では、途中から号泣してしまったのだけど、この日は、じわーっと涙が頬をつたってきた。

離れがたいけれども、今はひとまず帰らなければならない。少しでも一緒にいたいという想いを残しつつ、バルコニーを駆け上るジュリエット。バルコニーの下のロミオと、上のジュリエットはお互いに手を伸ばして触れようとするが、指先が触れ合うことはなく、幕となる。墓場のシーンで、死を目前にしたジュリエットが最後にロミオの指に触れようとして、触れることなく命が尽きてしまう悲劇と見事な対を成している。

私も、ここで永遠に時が止まればいいのに、神様お願いを聞いて、と思った。しかしすべてのものごとには、終わりが必ず来る。

(続く)

2007/07/29

グルジア国立バレエ雑感/ダンスマガジン9月号

昨日、今日もグルジア国立バレエでした。楽しい公演が3日間続いて幸せ~。グルジア国立バレエはレベルとしては決して高いバレエ団ではないけれども、とにかく一生懸命踊っているし、踊っていることがとても楽しそう、幸せそうだし、観ているこちらもとても幸福感を味わうことができて本当によかったです。群舞を揃えることなどはまだこれからでしょうけれども、跳躍力のあるダンサー、柔軟性のあるダンサーは多いので、これからきっとどんどん良いバレエ団になっていくんじゃないかなと思いました。応援したいです。というわけで、また募金箱に少しお金を入れ、グッズも少し買ったりしました。

昨日のニーナ、衰えてしまった部分はあったにせよ、やっぱり華やかで可愛くて素晴らしかったし、明るいオーラでみんなを幸せにしてくれました。そしてニーナと踊ることが楽しくて仕方ないって風情のウヴァーロフもホント素敵でした。あのカーテンコールのサービス精神、最高です。ウヴァーロフが嬉しそうに、ニーナを片脚リフトしてカーテンの間から出てきたときにはビックリしました。あんなに楽しそうなウヴァーロフ、初めてです。

今日のエンディングのリトル・サプライズも良かった!

ニーナ、ウヴァーロフ、アンヘル、ラリ・カンデラキ、そしてグルジア国立バレエの皆さん、本当にありがとう!バレエの楽しさというのを実感させてもらって、本当に幸せでした♪

昨日、今日と観て感じたことは、私が舞台を観る上で何を重視しているかってことがよくわかった気がしました。感想を書こうと思ってまだ書けていないんですが、6月末の新国立劇場バレエ団の「ドン・キホーテ」。舞台装置も衣装も美しい。群舞のレベルは非常に高いしよく揃っているし、ソリストだってみんなすごく上手(一部例外はあり)。その上、主役のザハロワや寺島ひろみさんや、マトヴィエンコだって世界のトップレベルといっていいほど素晴らしいテクニックを持っている。ちなみに、演出は同じアレクセイ・ファジェーチェフ。だけど、舞台を観終わった後の幸福感は、こっちのグルジア国立バレエの方が圧倒的に上なのですよ。あまりに破綻がない舞台というのも、面白みに欠けるものなんだなって思いました。(まあ、新国立劇場の「ドン・キホーテ」は、エスパーダのマイレンが一種破綻を作っていて、そこはホント面白かったわけなんですけど)

そして、だから私は、ホントに群舞のレベルが低く、体型もばらばら、演出もどうしようもないABTの舞台を観ようとNYまで行ってしまったりするんだろうな、と思いました。


というどうでもいいお話で失礼しました。とにかく舞台の感想は溜めまくっていますが、グルジア国立バレエに関してはできるだけ早く残りを書きたいです。


前置き長くなりましたが、ダンスマガジン9月号。

特集はミラノ・スカラ座。ところで、「ロンドン発バレエ・ブログ」さんの記事で、ミラノ・スカラ座のロンドン公演の反応について書いておられていて、批評家にもロンドンのバレエファンにも大酷評されているとのことだったので、各新聞記事にざっと目を通したのですが、ホントにボロクソでしたね・・。イギリスの新聞は本当に容赦がないというべきか。プレミアの日はデジレ王子がカナダナショナルバレエのギョーム・コテがゲスト出演していたのですが(オーロラはマルタ・ロマーニャ)、ゲストである彼が気の毒でなりませんでした。

何が言いたいかというと、これだけイギリスでは(そして、日本でもファンには)酷評の嵐のミラノ・スカラ座なのですが、ダンスマガジンの記事では、そんなことはまったく触れていなくて、ひたすらゲストキャストのベタほめに終始している上、上野水香ばかりフィーチャーしているという状態なのです。(ああ、こんなこと書いちゃうとものすごく多くの人を敵に回しそうです(笑))笑っちゃいますね~。いや、私は結構ミラノ・スカラ座の公演楽しみましたよ。でもグルジア国立バレエの方が上手でしたね。

あとちょっとひどいなと思ったのが、サラファーノフのインタビュー。「新国立劇場では、アクシデントがあったと聞きましたが」って本島さんを「コッペリア」で落としちゃった件について聞いているわけです。うーんインタビューでそんなこと聞きますかね。まだこれから日本での舞台をたくさん控えているサラファーノフが気の毒です。それとも、新国立劇場バレエだから、ネガティブなことも記事にしていいと思っているのかしら。

その新国立劇場の「ドン・キホーテ」。上でけっこう辛口なことも書いていますが、とにかく寺島ひろみさんが素晴らしかった公演です。ところが、寺島さんのことなんてほとんど書いていなくて、ザハロワばかり。ザハロワが素晴らしいのは誰でもわかっているわけで、やっぱり劇場のダンサーについて書いて欲しいですよね。

取り上げる公演の偏りもいかんともしがたいところで、あの素晴らしかった「ラプソディ・イン・ブルー」なんか2ページ、ラスタ・トーマスがまともに写っている写真すらなしですよ。

けなしてばかりいても仕方ないので、良い記事だと思ったのは、ナチョ・ドゥアトが韓国で踊った「アレナス」の公演についてカラー2ページを含む4ページ費やしていること。この公演はすごく観たかったので嬉しいです。ナチョは美しい人ですね。

それから、ルジマトフがレニングラード国立バレエの芸術監督に就任するに当たり、今度どうするつもりかについての話が読めたのもよかった。マリインスキーを去ることについての率直な気持ちも吐露しています。

フェリのABT引退公演はじめ、ABTのMETシーズンも一応フォロー。しかし毎月パリ・オペラ座を取り上げていることを考えると、あまりにも分量が少ないですよね。フェリはまだこれから「エトワールたちの花束」があるからなんでしょうかね。ダーシー・バッセルの引退公演レポもありますが、この二つの引退公演は取り上げなければおかしいものであるわけで。

NBS機関誌のダンスマガジンにあまり期待しても仕方ないのかな。ザハロワ/ダーシー&ロベルト・ボッレのポスターは素敵でした。

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2007/07/27

パリ・オペラ座2008年5月来日予定

グルジア国立バレエの会場で最新のDANZAが置いてありましたが、気になる記事が。

パリ・オペラ座来日予定の速報がありました。2008年5月下旬、東京はオーチャードホール、愛知は愛知県立芸術ホールとのこと。演目はかねてから噂になっていた「ル・パルク」です。

問い合わせ先が、東京が楽天エンタープライズ、愛知が中日新聞コンサートデスクとなっています。NBSは関係していないんでしょうかね。コンテのみのプログラムではNBSはやらないかな、とは思っていました。

ル・パルクはDVDで観ていて面白い作品と思いますが、オーチャードホールというのはちょっと最悪ですね…。

ちなみに今日発売のダンスマガジンには来日の記述はありませんでした。ますます、NBSは関わっていない感じですね。また分かり次第情報を追加します。

7/26 グルジア国立バレエ(コレーラ&カンデラキ)ざっとした感想

主役二人が素晴らしく、この二人が引っ張ったおかげで最高に楽しい公演になった!
キトリ : ラリ・カンデラキ
バジル (理髪師,キトリの恋人) : アンヘル・コレーラ
ドン・キホーテ : ギオルギ・タカシヴィリ
サンチョ・パンサ (ドン・キホーテの従者) : ベサリオン・シャチリシヴィリ
ガマーシュ (裕福な貴族) : エフゲニー・ゲラシメンコ
ロレンゾ (キトリの父) : ユーリー・ソローキン
キトリの母 : テオーナ・チャルクヴィアーニ
キトリの友人 : マリアム・アレクシーゼ,テオーナ・アホバーゼ
ルチア (街の踊り子) : マイヤ・イリュリーゼ
エスパーダ (闘牛士) : ラシャ・ホザシヴィリ
メルセデス (踊り子) : ヴェーラ・キカビーゼ
ボレロ : マイヤ・イリュリーゼ,ワシル・アフメテリ
森の精の女王 : ニーノ・ゴグア
キューピッド : ツィシア・チョロカシヴィリ
第1ヴァリエーション : ニーノ・オチアウーリ
第2ヴァリエーション : エカテリーネ・チュビニーゼ

レティシア・ジュリアーニの降板に伴い、グルジア国立バレエのラリ・カンデラキがキトリを踊った。「白鳥の湖」のパ・ド・トロワでなかなか良い印象だったのだけど、想像していたよりもさらに良いダンサーだった。大柄ではないんだけど、アンヘルの相手役を踊るには若干背が高かったかもしれない。カンデラキに限らず、グルジアのダンサーはみんな黒髪で濃くエキゾチックな容貌のため、スペインを舞台にした「ドン・キホーテ」はなかなか似合っていたのではないかな。

バジル役のアンヘルは絶好調!最初から相当飛ばしまくりで、サービス精神たっぷりに、いつもより多く回っています状態。キトリの友達たちと踊るところから、もう誰も止められないってくらい疾走していた。最近見たアンヘルといえば「ロミジュリ」「マノン」「ジゼル」で、ロミオ以外は元気一杯、って役ではなくて、ロミオですら以前より大人っぽくなってきた、演技重視になってきたなと思っていた。ところが、今日はあの若々しく、パワー全開のアンヘルが帰ってきたという感じで、持てるものをすべて発揮し、一生懸命舞台を盛り立てようと頑張っている姿に、熱いものを感じた。ピルエットは大抵10回以上は回っていて、いったいいつまで回り続けるんだろうかと思うほど。私はアンヘルによる3幕のヴァリエーションでの顔のつけ方やスカッとした見得の切り方がけっこう好きなんだけど、今日はいつも以上に気合が入っていて、見ていて気持ちよかった。多少音からずれたり、軸が傾いても許せてしまうチャーム(魅力と愛嬌)が彼にはある。雑な踊りってワケではなく要所は丁寧に決め、全力投球で最高のものを見せようという気概がびんびんに伝わってくるのだ。

パートナーシップに関してはばっちりで、片手リフトは見事に決まり、リフトされているカンデラキが観客の方に目線を送ることができるくらい余裕があった。居酒屋のシーンで、キトリがバジルの腕の中に飛び込むところは、ボリショイみたいに手が地面につきそうなくらい勢い良くカンデラキが飛び込み、アンヘルがしっかりと受け止めていた。しかもその前のピルエットは11回回っているし・・・。狂言自殺の演技もすごくとぼけていて演技が細かかった。スペインの太陽のような明るさ、全速力で駆け抜けていくアンヘルを観ていると、こちらの方も思わずニコニコしてしまう。ユニゾンで踊るところもきれいに揃っていた。アンヘルは舞台マナーが本当に良くて、カンデラキを立て、グルジアのコール・ドを立て、人柄の良さが伝わり非常に好感度が高かった。

そして、ちょっと大人なキトリを演じたカンデラキ。ニーナタイプのバレリーナなのか、長身というわけではないんだけどダイナミックな踊りをする人で手脚も大きく使い、実際以上に大きく見える。技術は安定していて、ミスはほとんどなく、上半身がよく引きあがっているので安心してみていることができる。2003年のニーナのグループ公演に出演した時に、ダンスマガジンに彼女のインタビューが掲載されていたが、そのときすでに小学生くらいの子供がいるというわけでベテランなんだと思う。カスタネットのソロでは、背中の柔らかさを発揮していた。ドルシネアを踊る時のジュッテが大きく高く、ふわっと浮かび上がるようだった。派手に技を見せ付けていないのに、テクニシャンなのがよくわかる。プロポーションにも恵まれ、とても良いバレリーナだ。
一番すごかったのがグラン・フェッテで、最初は割りとゆっくり目に大きく回っていたのだけど、途中からダブルが入り始め、最後はトリプルも回っていた。しかも、顔を向ける方向も90度ずつ変えていたりして、ちょっと面白かった。軸もしっかりとしていた。最後の方が速く、多く回っているというのを観たのは初めてかも。当然、客席は大喜び。アンヘル以上の拍手を浴びていた。


エスパーダのラシャ・ホザシヴィリは、「白鳥の湖」でパ・ド・トロワの真ん中を踊っていた人。顔がジョナサン・コープに似ている。背が高く顔が小さく、巻き毛のところまでそっくり。脚が長くすらりとしているのでエスパーダの白い衣装がよく似合っていて素敵だった。背中がとても柔らかい。エスパーダのマントを使ったヴァリエーションがちょっと変わっていて、背中を反らせる振付が多いのだ。街の踊り子役マイヤ・イリュリーゼは大変な別嬪さんで、やっぱり背中が柔らかい。

総じて、男性は顔が濃くて背が高い人が多く、女性は大きな人も大きくない人もいるんだけど、とにかく艶やかな美女が多い。コール・ドがどれくらい揃っているかは、1階2列目という席からはちょっとわかりにくかったけど、水準は十分クリアしている。3幕のヴァリエーションを踊った二人はなかなか上手だと思ったけど、森の女王はちょっといまいち不安定だったかな。このヴァリエーションはイタリアン・フェッテのないもの。あとボレロを踊ったワシル・アフメテリカッコがよかった。ボレロの女性の方は、街の踊り子も踊ったマイヤ・イリュリーゼで、やっぱりすごい美人だと実感。

演出的には、冒頭のドン・キホーテやサンチョ・パンサのドラマを、緞帳に映した影絵風アニメで処理していたのが可愛かった。ジプシーの野営地でバジルとキトリが登場せず、ジプシーのソロがないことがちょっと物足りないけど、あとは比較的オーソドックスなもの。舞台装置は協力:新国立劇場とあったけど、先日の新国立劇場のドン・キホーテで使われたものとはちょっと違うと思う。お金に苦労しているというのが見えてしまった感じはした。帰りに、「ニーナ基金」と書いてある募金箱に、心ばかりの寄付をした。良い公演だったのに空席がけっこうあって勿体なかった。土曜日もまだチケットがあるようなので、迷っている方はぜひ!

ダンサーの質もなかなかだったし、アンヘル、そしてラリ・カンデラキの出来が非常に良かったので、大満足。楽しかった!やっぱりアンヘルのバジルは最高!理想的なバジルだわ。また土曜日に見る予定。そして明日はニーナだ♪

2007/07/26

ボリショイでのウィールダン新作ドキュメンタリー

しばらく更新できなくて申し訳ありません・・・昨日更新しようと思ったらココログのメンテナンスに入ってしまって。メンテナンスの告知がろくにされていなかったので、かなり困りました。


Daily Telegraph紙に、このブログでも何回か取り上げているクリストファー・ウィールダンが、ボリショイに新作Elsinoreを振付ける過程を映像に納めたものが、今年の12月にChannel 4 で放映されるとの記事がありました。ニコライ・ツィスカリーゼ、スヴェトラーナ・ルンキナに振付を行っているウィールダンの素敵な写真もあります。

また、去年から今年にかけての、芸術監督アレクセイ・ラトマンスキー、ウィールダン、そしてダンサーたちのさまざまな苦労や確執についてもいろいろと書かれていて、非常に興味深い記事となっています。

この記事によると、ボリショイにウィールダンが新作「Elsinore」を振付けるまでの過程は決して平坦ではなく、困難の連続のようでした。昨年ウィールダンは「ハムレット」の舞台化をボリショイに依頼されたのですが、結局よいアイディアが浮かばず、振付は中断してしまったとのこと。

そして、今年の夏のロンドン公演のトリプル・ビルで「Elsinore」はようやく上演される運びとなりますが、これまでの苦労の様子は、バレエ・ボーイズのウィリアム・トレビット&トレヴァー・ナンが映像に収め、ドキュメンタリーとなって放映されます。

ウィールダンが新作のアイディアがなかなか浮かばなかったこともありますが、ボリショイ内で、昨年の春に内紛に近い状態となっていたことまで、ドキュメンタリーでは描かれているようです。ラトマンスキー体制に不満を持つダンサーが多かった上、昨年のアメリカの振付家によるトリプル・ビルにもカンパニー内で反発がありました。このときに上演されたのが、ABTでもおなじみのトワイラ・サープ振付「In The Upper Room」です。特にニコライ・ツィスカリーゼはこのプログラムを嫌がっていたようです。しかし結局、モスクワでの春公演の後のロンドン夏公演でもアメリカン・トリプルビルは上演されることになり、「In The Upper Room」も、ウィールダンの「Misericordes (Elsinoreと同一作品)」も大喝采を浴びました。

その後でさらに新作を依頼されたウィールダンは、ボリショイのダンサーたちに振付けるのに大変な苦労をしたようです。女性ダンサーたちは、ボリショイの黄金期を飾った往年のプリマたちにコーチされているため、テクニックの種類が古く、ウィールダンのような斬新な作品になじめなかったとのこと。その中では、意外にもマリーヤ・アレクサンドロワが「Elsinore」を素晴らしい経験だと語っていました。

ウィールダンのコメントについては、the wingerのエントリをご参照ください。

なお、ラトマンスキーの試みの中には、グリゴローヴィッチに嫌われていた 元バレエマスターAsaf Messererによる「クラス・コンツェルト」の復元というのもありました。 Asaf Messererの甥で元ボリショイのプリンシパルMikhail Messererが実際の復元を手がけています。グリゴローヴィッチ時代には大作ばかりが上演され、Messererの古典的でぱりっとしたフットワークによる作風は忘れ去られていたのです。この「クラス・コンツェルト」は、海外の興行主にはとても好評だった作品で、上演して欲しいとの依頼が多く舞い込んでいたにもかかわらず、グリゴローヴィッチは自分が芸術監督の間は決して自分のダンサーには踊らせないと言っていたそうです。イレク・ムハメドフはMessererのクラスを受けることを許されませんでした。
この「クラス・コンツェルト」は、ボリショイのモスクワでの今シーズンの最後を飾る演目となりました。

ラトマンスキーの大胆な試みは成功し、2008年10月、新しいボリショイ劇場が完成するときまで芸術監督の契約は延長されました。現在は小さい劇場で多くの作品が上演されているため、ラトマンスキーによる実験的な作品の数々が上演される機会はそれまで十分あることでしょう。

「クラス・コンツェルト」については、ユーラさんの「ロシアのバレエ団情報」に詳しい説明と、映像へのリンクがありますのでよろしかったらどうぞ。(ついでに、ザハロワのとても可愛いらしい写真も載っています)

2007/07/20

新国立劇場バレエ「くるみ」の貸切公演

今年から会員になった新国立劇場から会報The Atreが届いたのですが、早くも12月の「くるみ割り人形」の郵送申込書が入っていました。そこで気がついたのですが、12月23日(祝)のソワレというのがあって、主演はヴィシニョーワ/ファジェーエフで貸切です。

今までも、学校公演でかなりの部分席が占められる公演というのがあり、ラカッラやコジョカルといった人気ゲストの日だったりしたのですが、平日のマチネだったりしました。今回は、祝日のソワレという良い日取りで、しかも人気ゲストの日で貸切なんですね・・・・。ちょっと新国立劇場バレエファンを舐めていませんか?ヴィシニョーワ/ファジェーエフのほかの2回の出演は平日なんですよ。

あまりバレエを見たことがない人に、バレエを売り込むんだったら、ゲストじゃなくて新国立劇場のダンサーが主役の日を貸しきりにすればいいのに。そうすればバレエ団のファンだってつくでしょう。ゲストのファンになられても劇場やバレエ団にあまりメリットがありません。(新国立劇場のダンサーの技量って、ゲストに負けていないし。負けているのは知名度とスター性だけ)

申込書を見たら、平日であるにもかかわらずヴィシニョーワ/ファジェーエフの日は1階席はセット券でほとんど埋まっているような状況でした。

私はセット券のプルミエに加えて郵送申し込みで買い足す予定なのが、マイレン・トレウバエフ&さいとう美帆さんというバレエ団のソリスト主演の日だから、まあいいんですが。そもそもヴィシニョーワがクララ役というキャスティングに無理があるような気もするんですけど(でも怖いもの見たさでちょっと観たい)。

なお、10月1日、2日は新国立劇場 開場10周年記念公演として「オペラ・バレエガラ公演」があります。バレエは、バランシンの「セレナーデ」が上演されるとのこと。S席5000円とお得な値段のため、すぐに売り切れそうです。1日は式典があるので、そもそも、一般の人はほとんど買えないようですね。

2007/07/19

K-Balletキャスト変更/ABT 2008年カレンダー

今日はK-Balletカンパニーの「ドン・キホーテ」。楽しい公演でした。バジル役のラスタ・トーマスが元気一杯でものすごい跳躍や回転を魅せ、最高だったのは言うまでもありませんが(そして今日は彼の誕生日だったようです)、ガマーシュのアンソニー・ダウエル、素晴らしすぎました。ほとんどガマーシュが主役のようなものです。あんなに踊りまくってくださるとは。結婚式にまで登場しちゃうし大活躍。脚線美も素敵でした。ドン・キホーテのルーク・ヘイドンも、サンチョ・パンサの ピエトロ・ペリッチアも、ロレンツォのディヴィット・スケルトンも、それぞれ演技が面白くて面白くて、キャラクテールがここまで充実したドン・キホーテを観るのは初めてだったかも。彼らの名演だけでお釣りが来るくらいでした。荒井祐子さんも安定したテクニックでよかったですね。出番は少なかったですが、輪島拓也さんもずいぶんいいダンサーになったものだとしみじみ思いました。花売り娘の長田佳世さんの踊りも、荒井さん以上に着実なテクニック、ダイナミックさで素敵でした。

こんなにバレエ公演が集中していなければ、別キャストで観たいな、と思ったのですが、橋本直樹さんがリハーサル中に左膝前十字靱帯を損傷という怪我をしてしまい、明日の公演と22日は、代役として清水健太さん(元マイアミシティバレエ)が出演するそうです。清水さんは9月よりKバレエに入団されるようですね。
橋本さんの怪我は熊川さんと同じくらいの、重傷なのでしょうか。それがとても気になります。バジルデビューを目前にこんなことになってしまうなんて、さぞ無念かと思いますが、また元気な姿を舞台で見たいものです。早く良くなりますように。

お知らせはこちらより。感想はまた改めて。


月曜日に観たオーストラリア・バレエの「眠れる森の美女」も非常に充実した公演で大満足でした。ホント、こんなに公演が集中した時期でなければ繰り返し観たいほどです。「白鳥の湖」に続き、ルシンダ・ダンが素晴らしいオーロラを踊りました。ローズ・アダージオのバランスの完璧なこと!あまりのパーフェクトな演技に、思わず涙が出てきてしまいました。ルシンダ・ダン、偉大です。キラキラ感もあって、先日とは打って変わってお姫様でした。カラボスに平手打ちをしちゃう気の強さもまた可愛い。セットはきらびやかで、好き嫌いは相当分かれると思うけど、ものすごくお金も手間もかかっていて、こんなに舞台美術に力を入れているなんて、大したカンパニーだと思いました。ダンサーは皆容姿もスタイルも美しく、テクニックもあって見ている間中幸せでした。
この時期ということもあって、動員面では苦戦していたようでしたが、オーストラリア・バレエ、大好きになりました。こちらも感想はまた改めて。


と話は最初からずれっぱなしですが、ABTの2008年のカレンダーが届きました。詳しい内容については、ゆうさんのエントリで説明をされているので、そちらもご参照ください。撮影は、アレッサンドラ・フェリのご主人ファブリッツィオ・フェリです。去年発売されたABTのスーベニア・ブックの写真がかなり使われています。スーベニア・ブックについてのエントリはこちらをご覧ください。まだ買えるようです。

スーベニア・ブックと違う写真は、
4月のエルマン・コルネホの「真夏の夜の夢」のパック(この写真は、ABTのパンフレットの表紙に使われていますね)。
5月のフェリ、ジリアン・マーフィ、イリーナ・ドヴォロヴェンコ、ジュリー・ケント、シオマラ・レイエスという5人の女性プリンシパルが並んでポアントで立っている写真。リラックスした表情が皆とても可愛らしいです。フェリのニカっとした笑顔はちょっと珍しいかも。
6月は、次期プリンシパル候補のヴェロニカ・パルト。色っぽい美人ですね。
7月の「海賊」のホセ・カレーニョは、スーベニア・ブックの写真の別カットのようです。髪がオールバックになっていますね。
独特の陰影に富んだ、ドラマティックでスタイリッシュな写真の数々です。芸術作品として優れていますね。

ファブリッツィオ・フェリさんといえば、METの会場で新しいフェリの写真集が売っていました。多分「エトワールの花束」公演の会場でも売られると思います。ページ数が少ない割に45ドルとややお高いのですが、当然買って帰りました。これについてはまた後日。

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2007/07/18

ブルース・ウェーバーとクリストファー・ウィールダンのコラボレーション

自らのカンパニー「Morphoses」を立ち上げたクリストファー・ウィールダン。ニューヨークのシティ・センターでの公演のチケットも発売されました。

彼の姿を有名写真家ブルース・ウェーバーが捉えたスライドショーが、VANITY FAIR誌(アメリカ版)8月号に掲載されました。
スライドショーは
http://www.vanityfair.com/culture/features/2007/08/wheeldon_slideshow200708
で見ることができます。

天才振付家の名高いウィールダンですが、ここでは、少年の面影を残していて、なかなかかわいらしい側面を見せています。

記事はこちら。
http://www.vanityfair.com/culture/features/2007/08/wheeldon200708

ニジンスキー・ガラの記事&写真

お友達に教えていただいたのですが、
7月15日にハンブルクで開催された「ニジンスキー・ガラ」の写真&記事がアップされています。

http://www.tanznetz.de/kritiken.phtml?page=showthread&aid=36&tid=10415

作品番号100「モーリスのために」を踊るアレクサンドル・リアブコとイヴァン・ウルバンの素晴らしい写真、それからカーテンコールの写真があります。(カーテンコールには、引退するヘザー・ユルゲンセン、アレッサンドラ・フェリ、ニウレカ・モレドらがノイマイヤーとともに写っていますが、ロベルト・ボッレのお姿は半分に切れています(涙)。

記事はドイツ語なので、あまり正確に読み取れなかったのですが、前記の「作品番号100『モーリスのために』」は、バレエ史上最も美しいダンスによる愛の宣言と評されていました。昨年の世界バレエフェスティバルで上演されたこの作品、たしかに心が震えるほど美しく感動的でした。

今年のニジンスキー・ガラのテーマは「神話とフェアリーテール」。演目は以下の通り

Part I

from The Sleeping Beauty「眠れる森の美女」よりプロローグとグラン・パ・ド・ドゥ
Prologue
Music: Peter I. Tchaikovsky
Choreography: John Neumeier
Prince: Alexandre Riabko アレクサンドル・リアブコ
The Good Fairy: Hélène Bouchet エレーヌ・ブシェ
The Evil Fairy: Peter Dingle ピーター・ディングル

Grand Pas de deux
Aurora: Barbora Kohoutkova, Prince: Otto Bubenícek バルボラ・コホトウヴァ、オットー・ブベニチェク

from Swan Lake「白鳥の湖」(プティパ版)
Music: Peter I. Tchaikovsky
Choreography: Marius Petipa
Odette: Polina Semionova, Prince: Wieslaw Dudek ポリーナ・セミオノワ、ヴィスラウ・デュデック
Staatsballett Berlin

from A Cinderella Story 「シンデレラ・ストーリー」
Music: Serge Prokofiev
Choreography: John Neumeier
Cinderella: Hélène Bouchet, Prince: Thiago Bordin エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボーディン

from Daphnis and Chloe 「ダフニスとクロエ」
Music: Maurice Ravel
Choreography: John Neumeier
Chloe: Georgina Broadhurst, Daphnis: Yohan Stegli ジョージーナ・ブロードハースト、ヨハン・ステグリ

from Amleth「アムレス」
Music: Michael Tippett
Choreography: John Neumeier
Ophelia: Silvia Azzoni, Amleth: Alexandre Riabko シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

from The Nutcracker「くるみ割り人形」
Music: Peter I. Tchaikovsky
Choreography: John Neumeier
The Ballerina: Uljana Lopatkina ウリヤーナ・ロパートキナ
Ballet of the Mariinsky Theater
Drosselmeier: Edvin Revazov エドヴィン・レヴァツォフ

Part II

from Parzival – Episodes and Echo 「パルツィヴァル-エピソードとエコー」
Music: John Adams
Choreography: John Neumeier
The Court of King Arthur
Parzival: Edvin Revazov, Gornemans: Sébastien Thill エドヴィン・レヴァツォフ、セバスチャン・ティル
and the Ensemble

Death and Memory 「Death and Memory」
Herzeloyde: Kusha Alexi クーシャ・アレクシ
Gahmuret: Amilcar Moret Gonzalez アミカール・モレー・ゴンザレス

Errand into the Maze「Errand into the Maze」マーサ・グラハム
Music: Gian Carlo Menotti
Choreography: Martha Graham
Miki Orihara, Tadej Brdnik 折原美樹、Tadej Brdnik 
Martha Graham Dance Company

from Le Sacre「春の祭典」
Music: Igor Strawinsky
Choreography: John Neumeier
Niurka Moredo ニウレカ・モレド

from Sylvia「シルヴィア」
Music: Léo Delibes
Choreography: John Neumeier
Diana: Laura Cazzaniga, Endymion: Carsten Jung ラウラ・カッツァニガ、カースティン・ユング

Diana and Acteon「ディアナとアクテオン」
Music: Cesare Pugni
Choreography: Agrippina Vaganova
Diana: Carolina Agüero, Acteon: Maximiliano Guerra カロリーナ・アグエロ、マキシミリアーノ・グエラ

from Sylvia「シルヴィア」
Music: Léo Delibes
Choreography: John Neumeier
Sylvia: Joëlle Boulogne, Aminta: Lloyd Riggins ジョエル・ブーローニュ、ロイド・リギンス

The Dying Swan「瀕死の白鳥」
Music: Camille Saint-Saëns
Choreography: Mikhail Fokine
Uljana Lopatkina – Ballet of the Mariinsky Theater ウリヤーナ・ロパートキナ

Part III

from Sheherazade「シェヘラザード」
Music: Nikolai Rimsky-Korsakov
Choreography: Mikhail Fokine
Uljana Lopatkina – Ballet of the Mariinsky Theater ウリヤーナ・ロパートキナ
Ivan Koslov イヴァン・コスロフ

from Roméo et Juliette「ロミオとジュリエット」(アモディオ振付)
Music: Hector Berlioz
Choreography: Amedeo Amodio
Juliette: Alessandra Ferri, Roméo: Roberto Bolle アレッサンドラ・フェリ、ロベルト・ボッレ
Corpo di Ballo del Teatro alla Scala

A Modern Mythos: Maurice Béjart「現代の神話:ベジャール」

from Ring um den Ring「ニーベルングの指環」
Music: Richard Wagner
Choreography: Maurice Béjart
Brunhilde: Polina Semionova, Siegfried: Michael Banzhaf ポリーナ・セミオノワ、ミカエル・バンツァフ
Staatsballett Berlin

Opus 100 – für Maurice「作品番号100 -モーリスのために」
Music: Simon and Garfunkel
Choreography: John Neumeier
Ivan Urban, Alexandre Riabko イヴァン・ウルバン、アレクサンドル・リアブコ

from Odyssee「オデッセイ」
Music: Georges Couroupos
Choreography: John Neumeier
Penelope: Heather Jurgensen, Odysseus: Lloyd Riggins ヘザー・ユルゲンセン、ロイド・リギンス
Telemachos: Arsen Megrabian, Das Meer: Laura Cazzaniga アルセン・メグラビアン、ラウラ・カッツァニガ
and the Ensemble

ニジンスキー・ガラを含むバレット・ターゲについては、Staatsoper Journal 6 で豊富な写真を観ることができます。ただしドイツ語です。

2007/07/17

6/23 Soiree ABT Romeo and Juliet (Ferri Farewell)Part1

気がつけばフェリのABT引退公演から1ヶ月が経とうとしている。あれからすでに1ヶ月も経ったとは信じられないほど、毎日が流れて行くのが早い。ハンブルクの州立劇場の客席で、ロベルト・ボッレと歩くフェリの小柄な姿を見た。あの舞台に立って、最後には万雷の拍手と花のシャワーを浴びていたフェリが、こんなに近いところにいるのがとても不思議な気がした。

世界バレエフェスティバルなどでそれまでも何回も目にしていて、素敵だなとは思っていたけれども、アレッサンドラ・フェリというバレリーナが心の中に刻み付けられたのは1999年のABT来日公演、フリオ・ボッカとの「ロミオとジュリエット」だった。あのジュリエットはまさに衝撃だった。ボッカがロミオ引退を表明し、そして昨年にはついにABTからの引退もしてしまった。そしてついに、この日がやってきてしまったのだ。

会場には、フェリの旦那様ファブリツィオ・フェリによる美しい写真パネルが飾られていた。そして客席にも、ロビーにも、本日は出演しないダンサーたちのドレスアップした姿が。日本人の観客も相当多い。私の席は、2階のセンターパルティレという、この劇場では一番高いお席である。ボックス席なので鍵がかかり、ちょっとしたセレブ気分だ。

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Romeo: Roberto Bolle
Juliet: Alessandra Ferri
Mercutio: Herman Cornejo
Tybalt: Isaac Stappas
Benvolio: Jared Matthews (Sascha Radetsky の代役)
Paris: Gennadi Saveliev
Lady Capulet: Georgina Parkinson
Lord Capulet: Victor Barbee

1幕で颯爽と登場したロベルト・ボッレの美しい姿に目を奪われる。そこに光が存在していて輝きを放っているかのようだ。マンドリンを片手に駆けてくる姿も麗しい。彼は笑うと少し目尻が下がるのがとても可愛い。アポロ神のような肉体に加え非常に整った美しい顔立ちなのに、無邪気で無防備な笑顔を見てしまうと、急に親近感を覚えてしまう。マキューシオ、ベンヴォーリオとふざけあうロミオの邪気のなさといったらもう。

マキューシオは、この公演のためにしばらく出演を控えていたエルマン・コルネホ。不調を伝えられていた彼だったけど、この日はさすがに特別だったようで、怪我をしていたとは思えないほどはじけた踊りを見せてくれた。この人には重力というものは存在しないかのようだ。そして、まるで天使のようなピュアな存在感。神様に愛されているからこそ、早く天に召されてしまったのではないかと思わせる。そのまま飛び去っていきそうな跳躍。音楽性。見事なものだった。ベンヴォーリオは、サシャ・ラデツキーの代役として、シーズン後ソリストに昇格したジャレッド・マシューズ。容姿の端正なこの人は急成長株で、勢いを感じさせる。

ところが、残念ながら、キャピュレット家の前で3人が踊るところは、3人の息が合っていなかった。うむむむ。跳びぬけて大柄なロベルトが、他の二人に遅れてしまっている。でもまあ、ここは楽しさが感じられればいいのだから、まあいっか!(amicaさんもおっしゃっている通り、このシーンはやっぱりアンヘル君が一番ピチピチ魅力的に踊っていると思う)

前後するけど、ジュリエットが登場する乳母とのシーン。元気よく飛び出し踊った後乳母の膝に飛び乗るフェリ。あの素晴らしい曲線を描く甲や、美しいアラベスク、折れそうなほどの背中の柔らかさは健在。可愛い~とてもこれが、今年引退する44歳のダンサーとは思えない。14歳そのもの。ジュリエットという役柄は、乳母との親密さ、乳母に対する愛情がどれだけ表現できているかがとても重要だと思うのだけど、この点でもフェリは完璧。パリスが登場されて紹介されても、結婚なんていったいどこの世界のこと?私は人形や乳母と遊んでいる時の方が楽しいもん、という表情を浮かべている。こんなジュリエットが、わずか3日後には悲しみや喪失を知る大人の女性になっていくのだから、ジュリエットに要求される演技というのはすごい。

キャピュレット家の宴会で、ロミオとジュリエットは運命的な出会いをする。パリスと踊っているジュリエットと、ロミオは、ふとした瞬間に鉢合わせ。フェリの演技の素晴らしさは、ここで発揮される。決して大袈裟に感情を表現するわけではない。でも、彼女の大きな黒い瞳で、瞬きもせずにあんなふうに見つめられたら、もう恋に落ちるしかない。それに対応するロベルトの演技だって、何かを積極的に表現しようとしているわけではない。だけど、この瞬間、観る者は、電流に打たれたような感情を共有する。そしてその後のフェリのゆったりとして柔らかな、柳のようなしなやかなソロが美しい。二人の熱々なムードに気がついたティボルトに引き離されあうまで、二人は見つめあう。そして、誰もいなくなった広間で、ついに溢れる想いを踊りに託す二人。仮面を放り投げたロミオと、ジュリエットは恋の陶酔感で舞い上がるように、喜びに溢れたパ・ド・ドゥ。フェリの晴れやかで初々しい表情が可愛らしく、観ている方も微笑んでしまう。それに応えるロベルトも、目尻を下げて純粋な喜びを表現。そんなクライマックスのところに戻ってきたティボルト。ティボルト役のアイザック・スタッパスは男らしいハンサムでとても素敵。ロミオが、自分の顔がわからないように手で隠すところ、私はけっこう好きなんです。でも隠し切れなくって、ロミオはついに観念して、顔を見せてしまう。ここで悲劇の幕が切って落とされたってわけだ。

そしてお待ちかねのバルコニーシーンへ・・・。

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(ここで一旦切ります。続きをお楽しみに!)

2007/07/16

7/14 ニーナ・アナニアシヴィリ&グルジア国立バレエ「白鳥の湖」

ニーナの白鳥を観に、大雨の中横須賀へ。 ニーナの白鳥といえば、3年前にABTで観たフリオ・ボッカとの「白鳥の湖」が忘れられない。ボッカの濃い演技に、ニーナの華やかさが加わって、それはそれは火花散る名演だった。

ニーナは白鳥はとてもよかった。波打つような腕の動きは、いったい腕の構造がどうなっているのかと思うほど、本当に人間離れしていてすごい。叙情性、繊細さ、白鳥の動物的な部分、細やかな表現は素晴らしい。白鳥の翼が見えるようだ。ポアントの音もしないし、リフトされながらの開脚では、脚がきれいに180度にふわりと開いて美しい。コーダのパッセのところも力強くて、身体がよく引きあがっていて見事なもの。

しかし黒鳥の時には調子が悪かったのではないかと思う。場を支配する魔力が足りない。フェッテも、全部シングルで、しかもなぜか後半音が急に早くなって、その音についていっていない。指揮に問題があったのかもしれないが。もちろん本来はフェッテ得意なはずのニーナなので、場所はまったく移動しないし、きれいにきちんと回りきっているんだけど、物足りない感じが残った。来日して一番最初の公演だったから、まだ本調子ではなかったのかもしれない。

ウヴァーロフは、いつものウヴァーロフって感じでぽやや~んとした印象。舞台が狭く感じられるほどの跳躍も見せ、良かったと思うけど、何しろこの演出は1幕がほとんどなく演技の見せ場がないので、王子のキャラクターを描くのには無理があった。 ウヴァーロフはバジルの方がいいな。

グルジア国立バレエは、比較的レベルは高いと思った。みんなスタイルは良いし、エキゾチックな美形が多い。ただ、跳びぬけて上手い人はいない。レティシア・ジュリアーニの降板で急遽アンヘル・コレーラのパートナーとしてキトリを踊ることになったラリ・カンデラキは、その中では際立っていいダンサーだと思った。パ・ド・トロワの片割れを踊ったのだけど、ニーナにちょっと雰囲気が似ていて、華やかな感じ。テクニックも強そうだし、キトリには向いている感じがした。 パ・ド・トロワの男性、ラシャ・ホザシヴィリはジークフリート王子など主役も踊っている人ということで、たしかに上手だとは思ったけど、個性には欠けるかな。

コール・ドも割りと揃っているし、みなさんプロポーションがいいので、不満はない。よくここまで鍛えたものだと思った。 フォーメーションは、ところどころ変わっているところはあるけど、それほど違和感がなかったのが救い。4羽の白鳥は一般的な振付。3羽の大きな白鳥も実力がある人が踊っている。一人とても大きい人がいたのには驚いたけど。

3幕のキャラクターダンスは普通。可も不可もないといったところだろうか。衣装はゴージャスであでやか、美しい。東京バレエ団のように、スペインが悪の手下という設定。このスペインの踊りはダイナミックで非常に良かった。パンフレットにはプリンシパル級しか顔写真が載っていないためどちらかわからないけど、左側の女性が非常に背中が柔らかく、扇子の先端が床につくほど大きく背中を反らせていた。

この版は1幕が非常に短いため、男性ダンサーの見せ場もほとんどない。冒頭のバレエ団のリハーサル場面で、まず男性ダンサーたちがアントルシャ・シスの練習をしているシーンがある。みな高く跳んで、足先の打ち付け方や着地はきれいなので、実力はあるのではないかと思った。

芸術監督役のイラクリ・バフターゼはロットバルトも演じていて、なんと背がウヴァーロフよりも高い。濃い目のハンサムで、ロットバルトのときもほとんどメイクなしで演じていた。 踊りもダイナミックでよかった。

最大の問題はアレクセイ・ファジェーチェフによる演出。かなり特殊な演出なんだけど、そういえば4年前にニーナがフィーリンやウヴァーロフとグループ公演できた時に、今回の演出の短縮版を踊ったのだった。1幕はバレエ団のレッスン場で始まるというもの。非常に短くて、いきなりパ・ド・トロワがレッスン場で展開する。ウヴァーロフ演じるプリンシパルが、芸術監督にダメだしをされていくうちにスタジオで眠りに落ちて、夢の中が2幕というわけ。だから、王子のキャラクター付けもへったくれもない。そういえば、いまいちと思った新国立劇場の「ドン・キホーテ」もファジェーチェフによる演出だった。

オデットにしても、2幕でのマイムがなかったり、非常にあっさりとした演出となっている。王子にいたっては、悩んだりするような様子もほとんどないし・・。4幕ではオデットはいつの間にか消えてしまっているし、夢オチなので、ラストはまたスタジオの中。オデットがパ・ド・ブレしながら去っていくというもの。余韻もあまり味わえなくて、物足りなかった。全体で2時間ないという短さも、物足りなさに拍車をかけてしまった。

素晴らしいニーナをはじめ、ダンサーはとてもよかったし、グルジア国立バレエもなかなかの実力を持っていて前途有望だと思ったのだけど、この版の白鳥を踊らなくてはならないというのはかなりマイナスなのではないかと思ってしまった。なんでもっとオーソドックスな白鳥にしなかったのだろう。こういう中途半端な改訂が一番つまらないなと、オーストラリア・バレエの斬新な白鳥を見た翌日だけに、しみじみと思ったのであった。

おそらく「ドン・キホーテ」はオーソドックスな演出だろうから、そちらに期待することにしよう。何度も言うけど、カンパニー自体は良いカンパニーなのだから。

それと観客の質があまりよくなかったのが残念。地方の劇場で見るのはリスクがあるなって思った。 観客が、親子連れとかばかりなのはいいんだけど、バレエを普段見慣れていない、って感じ。拍手が少ない。隣に座ったおばちゃんは、ずっとコンビニの袋を握り締めていて、それが時々シャカシャカ鳴って気が散る。握り締めているため、当然拍手は一切しない。 後ろでは親子連れがずっとおしゃべり。何回か後ろを向いたけど止む気配はなかった。よこすか芸術劇場は、少々舞台は小さいものの、馬蹄形の5階席まである見事なホールで、段差もしっかりとあってとても観やすい良い劇場。音響も良かった。後は観客を育てることが必要だと思った次第。

オデット/オディール ニーナ・アナシナシヴィリ
プリンシパル・ダンサー アンドレイ・ウヴァーロフ
芸術監督/悪魔 イラクリ・パフターゼ
パ・ド・トロワ ラリ・カンデラキ、ツィシア・チョロカシヴィリ、ラシャ・ホザシヴィリ

2007/07/15

ボリショイのイワン・ワシリエフの動画

Daily Telegraph紙のサイトに、ロンドン公演を控えたボリショイ・バレエの新星(17歳!)、イワン・ワシリエフのインタビュー記事と動画が掲載されています。

記事(跳躍中のイワンのとっても素敵な写真つき)
http://www.telegraph.co.uk/arts/main.jhtml?xml=/arts/2007/07/14/nosplit/btivan114.xml

動画
http://www.mediaplayer.telegraph.co.uk/?item=4B65A569-2317-49BB-95B5-17905846CBBB

まだ17歳という若さで、すでに次のバリシニコフとか、ムハメドフ以来のスターと言われているそうです。レッスン場に入ってくるところを見ても、まだまだ子供という感じでかわいいのだけど、インタビュー内容はなかなかしっかりしています。詩が好きで、テクニックだけでなくその感性が役柄に反映されるよう努力しているとのこと。

すごいのが、ピルエットの回数。故郷ベラルーシのバレエ学校では、21回という記録を持っているとのこと。しかし実際の公演では「10回から11回」にとどめているそうで・・・。小柄という印象はあるけれども、現在の身長は175センチ。小さいことにコンプレックスがあるため、毎朝身長を測っており、177cmの数値が出たときは嬉しかったそう。か、かわいい・・・。

動画ではピルエットや、マネージュを披露しているけど、ピルエットは正確だし、跳躍も勢いがあって見ていて気持ちいいです。伸び盛りの若いダンサーを見ると、自然と微笑みたくなります。

現在学んでいる役柄はスパルタクスだそうで!彼のスパルタクス、見てみたいですね。

ボリショイ・バレエ&マリインスキー・バレエ合同公演では、イワンくんはナタリア・オシポワと「パリの炎」と「薔薇の精」を踊ります。いや~楽しみですね!まだサイトで写真は別ウィンドウでは開かないようなので、ぜひとも追加をお願いしたいところです。

2007/07/14

7/13 オーストラリア・バレエ「白鳥の湖」ざっとした感想

まだ初日で、これからご覧になる方もいらっしゃるかと思うので、本当に簡単に。特に、この作品は予備知識なしで見ることをお勧めするので。後日ちゃんと書きます。(といって、恐ろしいほど溜めこんでいます)

グレアム・マーフィ振付による「白鳥の湖」、とても面白かったです。私はこの作品、かなり好きです。作品としての完成度もオリジナリティも高いと思います。

パ・ド・ドゥがあって、男女のバリエーションがあって、コーダがあって、という古典バレエのガチガチの法則に縛られている方のお口には合わないかもしれません。私も古典バレエは好きだけど、でも、あれはもう150年くらい同じものを踊っているわけであって、こういう新しい物を作っていかなくちゃいけないんだなってすごく思います。

バレエというよりはダンス・ドラマと言えるかもしれないけど。 演劇性が非常に高いので、ダイアナ妃云々は置いておいて、イギリスで受けたのがよくわかります。3人の登場人物の心理描写が濃密かつ細やかで、たっぷりと心理劇を堪能しました。

何しろ、プティパ/イワーノフの振付をひとつも使っていないらしいのが、すごい。そうはいっても、クラシックバレエの高度なテクニックを駆使した作品ではあります。


(以下、基本的にネタバレはありませんが、予備知識なしで見たい方は読まないでください)

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マシュー・ボーンの「白鳥の湖」が好きな友人たちはほぼ100%面白いって言っていました。

ところどころジゼルっぽかったりマノンっぽかったりします。音楽はブルメイステル版とほぼ同じ並び方。(でも、ところどころ違うところもあるけど、この使い方もすごく巧み)。

男爵夫人のルシンダ・ダンがものすごく良かった。踊りも演技もこってりと濃厚で、魔性を感じさせ、魅惑的なんだけど、同時に哀れさも表現できていた。テクニックは強靭。女性二人のキャラクターがものすごく立っています。 オデット役のカースティ・マーティンはとても美しい人。時にはエキセントリックに転んだり、妖艶になったりするけど、ガラスのように繊細で儚げな存在感があるし、こちらも踊りは上手。特に2幕のコーダのパッセの連続では、強靭な足技を見せてくれた。リフトがとても多い振付なのだけど、体重を感じさせないようにリフトされるのが二人ともとても上手い。

王子役のダミアン・ウェルチは大柄でとてもハンサムなんだけど、誰かに似ているよな~と思っていて、カーテンコールの時に気が付いた。ブレンダン・フレイザー(「ハムナプトラ」「ゴッド・アンド・モンスター」などに出ている俳優さん)だった。この版は、男性のソロは非常に少なくて、とにかく男爵夫人/オデットのリフトが非常に多い。したがって、王子役はものすごく大変だと思う。ダミアン・ウェルチは数少ないソロはあまり上手ではなかったけど、リフトは非常に安定していて良かった。演技も良くて、女にだらしない、優柔不断な王子を好演していた。

コール・ドは時々揃っていないこともあったけど、全体的には美しく、とても良かった。スタイルの多い美人さんが多い。白鳥のフォーメーションが独特でとても面白い。

結婚式の踊りも伯爵たちを含めてリフトがとても多いのだけど、フィギュアスケートのペアかアイスダンスのような、ずさーっと引きずったり、低い位置で回したりといった独創的で、難易度の高いテクニックが見られた。

日本人の藤野暢央さん(第一王女の夫)、久保美和子さん(貴婦人、白鳥)、本坊怜子さん(小さな白鳥)も大活躍。藤野さんはタキシードが似合っていてカッコよかったです。本坊さんの小さな白鳥も良かった。

衣装や舞台装置が非常に美意識が高くて、ゴージャスでシックで麗しい。3幕の衣装の美しさ、頽廃的な雰囲気だけで目がハートになりそうになりました。湖のシーンのシンプルで研ぎ澄まされた美しさと対照的。全体的にデカタンスあふれるつくりで、こういう舞台は大好きです。 舞台は総合芸術だから、装置や衣装が素晴らしいと、公演全体のクオリティが上がります。


今日の指揮者は女性の方で、非常にパワフルな指揮で良かった。基本的に音楽のテンポはゆっくり目で進んでいるんだけど、4幕のクライマックスの盛り上がり方が爆音系で大変な迫力。3幕のルースカヤのヴァイオリンソロが良かったけど、例によって金管系のミスが目立ったのが残念。

明日横須賀までニーナを観に行くので、見られなくて残念。都合がつく方は、ぜひ明日観に行ってください。古典ガチガチじゃなきゃイヤ、という人以外には楽しめると思います。 「眠り」も観に行くので、こちらも楽しみ。今日素晴らしかったルシンダ・ダンがオーロラを踊ります。

オデット:カースティ・マーティン
ジークフリート王子:ダミアン・ウェルチ
ロットバルト男爵夫人:ルシンダ・ダン
女王:シェーン・キャロル
女王の夫:ロバート・オルプ
第一王女:ゲイリーン・カンマーフィールド
第一王女の夫:藤野暢央
公爵:アダム・スーロウ
公爵の若い婚約者:カミラ・ヴァーゴティス
伯爵:ティモシー・ハーバー
伯爵の侍従:マシュー・ドネリー
提督:コリン・ピアズレー
侯爵:マーク・ケイ
男爵夫人の夫:フランク・レオ
宮廷医:ベン・デイヴィス

指揮:ニコレット・フレイヨン
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

2007/07/13

6/23 Matinee ABT Romeo and Juliet

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Romeo: Marcelo Gomes
Juliet: Paloma Herrera
Mercutio: Craig Salstein
Tybalt: Gennadi Savliev
Benvolio: Jared Matthews
Paris:  Cory Stearns
Lady Capulet: Carmen Corella
Lord Capulet: Roman Zurbin
Friar Laurence: Clinton Luckett

フェリのABT引退公演を夜に控えたマチネ。しかし夜の大イベントに備えてテンションが高く、充実した舞台だった。なんといってもMy王子のマルセロ・ゴメスがロミオなのだから、悪い舞台になるわけがない。ファンの贔屓目はあるにしても、やっぱりマルセロは素晴らしいダンサーで、ロミオだった。

マルセロのロミオは、等身大の青年。仲間とふざけあったり、ロザリンに淡い恋心を抱いたり、そしてジュリエットとの運命の出会いから悲劇的な死まで、その気持ちが身体から素直に伝わってきて、観客も一緒に笑ったりときめいたり慟哭したりと物語の世界へと引き込まれてしまう。マルセロは長身でハンサムなのだけど、近寄りがたいわけではなく、とても身近で感情移入しやすい対象なのだ。踊れるだけじゃなくて、肉体から発散する演技力、表現力がしっかりと身についているのだから。あ、ロミオがここで息づいていて、確かに生きていて、泣いたり笑ったりしている、と思う。役作りとしては、とても若くて、思春期の男の子なんだな、と思わせる。

表現力だけでなく、テクニックもしっかりしているのが頼もしい。バルコニーシーンでのリフトも、ジュリエットが安心して恋の高揚感に身を任せられるようなしっかりしたもの。技術を見せびらかすわけではなく、あくまでもエレガントに、だけど同時に疾走感と若さ、情熱がほとばしっている。白いタイツに包んだ長い脚が、シソンヌでパッと開くときの美しさ。アティチュードの造形美。実にロマンティックで、至福のときである。そしてマキューシオがティボルトの凶刃に倒れた後の、怒りを剥きだしにしてティボルトを殺すまでの激しさは、今回観た4人のロミオの中でも一番だった。

何よりも、パロマ・ヘレーラとマルセロは相性がとても良いのがいい。見た感じもお似合いだし、息も合っているし演技のテンションも同じところにあるのだ。昨日のアンヘルが一人いくら素晴らしくても、ジュリーとの組み合わせが今ひとつでケミストリーが感じられなかったのとは対照的。

というわけで、パロマ・ヘレーラ。ジュリエットはパロマの当たり役であり、ABTのレパートリーの中で一番彼女に合っているのではないかと思う。ずいぶん前に、アンヘル・コレーラとパロマは「ロミオとジュリエット」の写真集を出しているのだけど、このときの二人は本当に若くて、「ロミオとジュリエット」の物語から抜け出してきたかのように初々しくピュアで愛らしかった。今でも、パロマはこの役を演じる時には、そのときの彼女に戻っているんではないかと思う。彼女のジュリエットを観るにつけ、いったいどこにこのような瑞々しい感情、繊細さ、純粋さが眠っていたのだろうかと思ってしまうほど。マルセロがロミオそのものとして生きているのと同様に、パロマもジュリエットに完全になってしまっているのだ。乳母と戯れるところの可愛らしさといったら!本当に乳母のことが大好きでたまらないって気持ちが溢れている。

そんなジュリエットが恋におち、悲しみを知り、あっというまに大人になってゆく。ロミオとの最初で最後の朝を迎え、身を切られるような別れから、一世一代の命を懸けた決意を下すまでの心の葛藤、おののきは繊細に表現されていた。とてもナチュラルで内省的な感情表現は、等身大のジュリエット。フェリを除けば、彼女ほどジュリエットらしいジュリエットはいないのではないかと思ったほど。そして最後に、永遠にロミオを失ったことを知ったジュリエットの慟哭、深く激しい絶望には感情移入させられ、一緒に涙が流れ落ちた。それまでの表現が決して大袈裟ではなかったため、ここで初めて見せた激情に胸をかきむしられる思いがしたのだ。

二人の心が見事に通い合ってハーモニーを奏で、同じ地平に立った演技が見られた、素晴らしいロミオとジュリエットだったと思う。

脇のキャラクターはこの日は特筆すべきことはなかったけど、やっぱりクレイグのマキューシオは可愛くていい。キャピュレット夫人は、カルメン・コレーラよりはステラ・アブレラのほうが妖気と毒があって好き。若いロマン・ザービンくんが今回もキャピュレット公で頑張っていた。なかなか演技も堂々としている。

ルグリと輝ける仲間たち/グルジア国立バレエキャスト変更

すでに大きな話題となっていますが、かねてから多くのバレエファンが気をもんでいた、ルグリと輝ける仲間たちの変更キャストが出ましたね。

Aプロと地方公演はアニエス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネス、そしてBプロにはなんと元エトワールのローラン・イレール!これは嬉しいサプライズです。もう二度とイレール様の踊る姿を見られないと思っていただけに。

アニエスは、7月29日の島根公演から、東京公演のAプロ(8月10日)まで、ジョゼは、7月30日の大阪公演から東京公演Aプロ(8月10日)まで。 

そして追加された演目が、ジョゼ・マルティネスの「三角帽子」とアニエス&ジョゼの「ドリーブ組曲」(Aプロ)と、イレール&ルグリの「さすらう若者の歌」(Bプロ)というのも素晴らしい。特にジョゼの「三角帽子」は、「スペイン情熱のバレエGALA」で、あまりのセクシーさ、かっこよさに鼻血が出そうになっていただけに、嬉しいことです。

(もちろん、エルヴェ・モローやオーレリ・デュポンが出られなくなったのはとても残念です。二人とも、早く怪我が良くなって欲しいです)

http://www.nbs.or.jp/news/detail.php?id=497

Aプロ
「白の組曲」 
<アダージュ> ミリアム・ウルド=ブラーム、ヤン・サイズ
<フルート> メラニー・ユレル
<マズルカ> マチアス・エイマン
<シガレット> アニエス・ルテステュ 東京バレエ団

「扉は必ず...」 エレオノーラ・アバニャート マニュエル・ルグリ

「ドリーブ組曲」 アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス

「三角帽子」ジョゼ・マルティネス

Bプロ
「タランテラ」
  メラニー・ユレル マチアス・エイマン(11、13)

「ビフォア・ナイトフォール」
 <第1パ・ド・ドゥ> メラニー・ユレル(12)
 <3組のカップル> マチルド・フルステー、ローラ・エッケ、シャルリーヌ・ジザンダネ、グレゴリー・ドミニャック、アクセル・イボ、マルク・モロー

「さすらう若者の歌」 ローラン・イレール マニュエル・ルグリ 

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あと、グルジア国立バレエの「ドン・キホーテ」、アンヘル・コレーラのパートナーが代わりました。レティシア・ジュリアーニが降板し、代わりに、グルジア国立バレエ団の第一プリンシパル、ラリ・カンデラキさんという方がキトリを踊るそうです。

http://japanarts.cocolog-nifty.com/nina/2007/07/post_38b5.html

レティシア・ジュリアーニ降板の件は、いちぞーさんのブログでちょっと話題になっていました。怪我ではなくスケジュールの都合だそうです。当初はシオマラ・レイエスが代役を予定されていたそうでしたが、シオマラが怪我でABTの公演をほとんどキャンセルすることになったために、ラリ・カンデラキが代役となったものと思われます。アンヘルも初めて組むパートナーで大変かと思いますが、ニーナ一押しのダンサーだそうですから、きっと良いパフォーマンスを見せてくれることでしょう。

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ジャパン・アーツ関係でもうひとつ。「ボリショイ・バレエ&マリインスキー・バレエ」合同ガラ。

ロパートキナのBプロの演目がまだ決定していませんでしたが、現在、ボリス・エイフマン振付の≪2声~Two Voices≫の上演許可を申請中とのことです。<エイフマン振付/ピンク・フロイド音楽>ということで面白そうですね。パートナーのイワン・コズロフは、エイフマン・バレエの方ですね。なかなか日本ではエイフマンの作品を見る機会がないので楽しみです。

2007/07/12

サラ・レーン&エルマン・コルネホ、「眠り」で主演

ABTのキャスト予定を見ていてちょっとびっくりしたのですが、このたびソリストに昇格したばかりのサラ・レーンが、7月22日のオレンジ・カウンティ公演「眠れる森の美女」でオーロラデビューをするようです。快挙ですね!
しかも、デジレ王子を踊るのは、エルマン・コルネホです。

サラ・レーンは身長155cmと小柄で、かねがねやはり身長165cmのエルマンと釣り合いがぴったりと言われてきたわけですが、ソリストに昇格したことで、現実に二人の組み合わせがたくさん観られるようになるわけです。テクニック的にはABTでNo.1、世界的に見てもトップクラスのエルマンですが、今まではパートナーがなかなかいないという問題もあり、キャラクテールばかり踊ってきました。エレガントな持ち味の味の彼、王子デビューはめでたいことですね。

ぜひ来シーズンはMETでもこの二人のコンビが観たいものです。

2007/07/11

業務連絡-ABTの「グレート・ギャロッピング・ゴットシャルク」

メールでお問い合わせをいただいた件ですが、お返事しようとしたらメールが戻ってきてしまいました。
答えをこちらに書いておきますね。

お問い合わせの作品ですが、
http://wmg.jp/artist/americanballettheatre/WPBS000090155.html
「IN SAN FRANCISCO / ベスト・オブ・アメリカン・バレエ・シアター 「黒鳥のパ・ド・ドゥ」ほか」
に入っている

グレート・ギャロッピング・ゴットシャルク
音楽:ゴットシャルク
振付:リン・テイラー=コルベット
出演:エレイン・クドウ/スーザン・ジャフィ ほか

のことですね、
このDVDなら、アマゾンなどで買うことができます。

ベスト・オブ・アメリカン・バレエ・シアター「黒鳥のパ・ド・ドゥ」ほかベスト・オブ・アメリカン・バレエ・シアター「黒鳥のパ・ド・ドゥ」ほか
アメリカン・バレエ・シアター サンフランシスコ・オペラ管弦楽団

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私も実はまだ観ていないのですが、近日中に見ようと思います。

2007/07/10

ロイヤル・バレエ、ラウラ・モレラ、アレクサンドラ・アンサネッリ、デヴィッド・マッカテリがプリンシパルに

7月6日にロイヤルの「眠れる森の美女」で主演したアレクサンドラ・アンサネッリ、デヴィッド・マッカテリのペアが揃ってプリンシパルに昇進したそうです。先に発表されていたラウラ・モレラの昇進とあわせて、3人のプリンシパルが誕生したことに。

アレクサンドラ・アンサネッリはNYCBではプリンシパルでしたし、順当なところでしょう。愛らしい美人で、とても美しい詩的なバレリーナです。ラウラ・モレラはあまり観たことがないのでなんともいえません。BBCで放映された「ジゼル」ではペザント・パ・ド・シスの真ん中を踊っていますが、特に印象に残るような踊りではなかったです。マッカテリは去年の世界バレエフェスティバルでの活躍が記憶に新しいところです。まだこれからの人という感じですが、長身で容姿も良いので、がんばって欲しいところですね。来日公演でダーシー・バッセルと踊った「シンデレラ」の王子はキラキラ感があって悪くなかったと思います。

アンサネッリ
http://info.royaloperahouse.org/ballet/index.cfm?ccs=250&cs=2493

マッカテリ
http://info.royaloperahouse.org/ballet/index.cfm?ccs=250&cs=1200

ハンブルクから帰ってきました

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7月4日~7日の4日間、ハンブルクに行ってハンブルク・バレエのバレット・ターゲ(バレエ週間)に参加してまいりました。

見た演目は「シンデレラ・ストーリー」「ニジンスキー」「ジュエルズ」「眠れる森の美女」です。本当は新作「人魚姫」のプレミアも見る予定でしたが、仕事の都合がつかず残念でした。「シンデレラ・ストーリー」は時差ぼけの状態で観たので作品をどれだけ堪能できたか、もったいないことをしてしまいましたが、あとの3本はばっちり。どれも素晴らしい公演でした。どうせハンブルクまで観に行くのなら、バランシン作品ではなく全部ノイマイヤーでまとめて欲しかったのが正直なところでしたが、「ジュエルズ」は地元ではとても人気が高いようです。

今シーズンを最後に、ヘザー・ユルゲンセンとニウレカ・モレドが引退します。へザーは、私が観た4作品すべてで主演級として出演しており、4日連続の出演をものともしない強靭さ、美しさ、情感、身震いするほど完成度が高く、ダンサーとしての頂点で舞台を去るのは本当にもったいないことだと思いました。長身で手脚が長く、美人で表現力やテクニックも一流、華のあるスターダンサーを失うことはバレエ団にとっては大きな損失だと思いますが、今後は指導者として残るようです。また、ロイド・リギンス夫人であるニウレカも、「ニジンスキー」の2幕で実に強烈でパワフルなソロを踊り、鮮烈な印象を残しました。

4日間連続の出演といえば、アレクサンドル・リアブコ。「ニジンスキー」での繊細さから徐々に狂気を増していく憑依型の演技。「眠れる森の美女」での、未だかつて観たことがないほどの猛スピードによる正確なマネージュ。技術的にも、演技的にも、彼以上のダンサーは今存在しないんじゃないかというくらいの天才肌。そんなサーシャにまた8月、フェリの「エトワールたちの花束」で会えるのが楽しみです。

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二人の日本人ダンサー、大石裕香さんと草野洋介さんも、毎日出演していて、さまざまな役を踊りこなして頑張っていました。中でも草野さんは、長身で脚が長く顔も小さく、西洋人のダンサーにも見劣りしない容姿の良さで将来性を感じさせました。大石さんも、アラベスクがとても美しく音楽性豊かで可愛らしいダンサーです。

個々の演目については、日を改めて感想を書きます。

最後にヘザーの椿姫が観たかった・・・。

映画「バレエ・リュス 踊る歓び 生きる歓び」公開

以前当ブログでご紹介した映画「Ballet Russes」ですが、ついに日本でも劇場公開が決定しました。読売新聞のPop Styleで紹介されていたのですが(本紙でも紹介されているはずですが、日本にいなくて読んでいません)、「バレエ・リュス 踊る歓び 生きる歓び」というタイトルで、公開は今年の年末を予定しているとのこと。

乗越たかおさんのブログで、もう少し公開について詳しく書いてあります。それによると、
>シネマライズ、ライズエックスにてお正月ロードショー!他全国順次公開
>配給:ファントム・フィルム 宣伝:ムヴィオラ

とのことだそうです。これは、バレエの歴史を知る上では欠かせない、本当に素晴らしい作品なのでバレエファン必見です。劇場公開はとても嬉しいニュースです。本国の公式サイトはこちらです。

先日ABTの「ロミオとジュリエット」でローレンス神父を演じた、93歳の現役ダンサー・フレデリック・フランクリンもバレエ・リュスの生き証人として出演しています。

バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び [DVD]バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び [DVD]
アリシア・マルコワ, アレクサンドラ・ダニロワ, イリナ・バロノワ, フレデリック・フランクリン, ダニエル・ゲラー他

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NYCBのプリンシパルで、芸術監督ピーター・マーティンスの息子でもあるニラス・マーティンスが、ツアー先のサラトガでコカイン所持で逮捕されてしまったそうです。(産経新聞の記事
偉大な父と比較するとちょっともっさりとしたダンサーではあるとはいえ、看板ダンサーのニラスがツアー最中にこんな不祥事を起こしてしまうとは、大変なことですね。しかも芸術監督の息子ということだし。

ABTの昇格情報

少し前に発表されたことですが、ABTで5人のダンサーが昇格しました。ほぼ下馬評どおりですが、クリスティ・ブーン、ミスティ・コープランド、サラ・レーン、加治屋百合子、そしてジャレド・マシューズです。

サラ・レーンは最近アメリカのダンスマガジンのカバーストーリーに登場したり、タイムアウト誌にもインタビューが載ったり、コール・ドにしては圧倒的な注目を浴びてきたダンサーで、もっと早く昇進すべきダンサーの一人でした。身長が155センチと非常に小柄なため、一度はABTの入団試験に落ちて、見習いから出発したそうです。まだ22歳ですが、このたび同僚のスペイン出身のコール・ドのダンサー、ルイス・リバゴルダと結婚されるとのことで、二重の喜びとなりますね。来日公演では、可憐なキューピッドが印象的でした。

ミスティ・コープランドも小柄なダンサーだけど非常にテクニックが強い人です。ABTでは現在唯一のアフリカン・アメリカンで、ちょっとぽっちゃり気味ですが愛らしいルックスの持ち主。最近かなり大きな役にキャスティングされることが多いため、今回の昇進もほぼ予想通りでした。

加治屋さんについては、皆さんもよくご存知だと思いますが、最近では「白鳥の湖」のパ・ド・トロワや「ラ・バヤデール」の影のヴァリエーションなどソリスト的な役を踊ることが多かったので、これもまた予想通りの昇進でしょう。ジャレドも、「白鳥の湖」のロットバルトに抜擢されたり、「ロミジュリ」のベンヴォーリオ、「ジゼル」のペザント・bパ・ド・ドゥなどで活躍していたので、男性ダンサーの中ではもっとも可能性の高い一人でした。金髪でスタイルもルックスもとてもよく、スターになれる素質を持っています。加治屋さんと一緒に日本で発表会のゲストとして踊ったり、グランディーバの日本公演にも出演したりと、けっこう日本と縁の深い人でもあります。

クリスティ・ブーンは私にはあまり印象が強くないダンサーですが、クデルカ版「シンデレラ」で義理の姉役の演技が高く評価されているようでした。あとは「ロミオとジュリエット」の娼婦や「ジゼル」のドゥ・ウィリなどけっこうあくの強い役が多い印象があります。

今回昇格から漏れた有力ダンサーとしては、アイザック・スタッパスやジョン・ジン・ファン、ヒー・セオあたりが挙げられます。おそらくこの3人は近いうちに昇進することでしょう。

それよりも気になるのが、プリンシパルに今度こそヴェロニカ・パルトがなるかどうかでしょうね。

2007/07/03

またしばらく留守にします

更新予告をしておきながら、やはりすぐには無理ってことで、帰ってきてからまた更新をします。月曜日戻りです。
体力の限界に挑戦って感じですね(笑)

書き忘れましたが、7月1日の新国立劇場の「ドン・キホーテ」の影の主役はマイレンでした。彼のエスパーダは最高でした。踊りは端正なのに、見得を切りまくりの濃ゆいキメ顔がステキすぎます。前日にマイレンのトレアドールとボレロを見て、彼のエスパーダは絶対必見に違いないと当日券をとって観に行ったのは大正解でした。

来シーズンのマイレン主演の「ラ・バヤデール」が楽しみで仕方ありません。

新国立劇場の「ドン・キホーテ」アレクセイ・ファジェーチェフ版は、演出そのものはあまり良くないと思ったんですよね。大人しいし、ジプシーのソロがないし、代わりにまったりとしたギターの踊りがあって、踊っていた大森結城さんは素敵でしたが、この踊りはなくてもいいと思いました。それから、2幕の居酒屋(狂言自殺)→ジプシーの野営地→夢のシーンという流れも不自然です。
東京バレエ団の採用している版の方が、生き生きしていて楽しいなって思いました。

でも、何しろ、ダンサーの皆様は素晴らしかったので楽しかったです。ホント、寺島ひろみさんのキトリは素敵でしたね。フェッテを踊りきった時には思わす涙が出ちゃいました。お姫様っぽいキトリではあったけど、キレイで可愛くてテクニックも強く、堂々とした主演ぶりでした。マトヴィエンコも久しぶりに見たらものすごく上手になっていて、びっくり。イケイケだけどでしゃばり過ぎなくて好感度大。でもやっぱりマイレンが一番かな(笑)

2007/07/02

更新の予告

よせばいいのにとても無理無理なスケジュールを自分の中で組んじゃって、全然更新の方が追いついていません。いつになるかわかりませんが、こんな感じのインプットをしているので、そのうちアウトプットがあるでしょうという予告をしておきます。

6月23日マチネ ABT「ロミオとジュリエット」パロマ・ヘレーラ&マルセロ・ゴメス
6月23日ソワレ ABT「ロミオとジュリエット」アレッサンドラ・フェリ&ロベルト・ボッレ
(一番好きなバレリーナだった、フェリの引退公演なので、いくら文字を尽くしても語りきれないかもしれません)

ICON 伝説のバレエ・ダンサー、ニジンスキー妖像 」芳賀直子
図版中心で、文章は少なめ。熊川哲也さんの談話あり(2ページ)。版型が大きいので、ビジュアル本と考えた方がよさそう。

「In the Company of Stars」Gerald Uferas
届きました。

6月29日 ルジマトフのすべて2007
イーゴリ・コルプの2演目は最高でした。あんなに踊りそのものは美しいのにまったく奴隷に見えない邪悪な奴隷で、相変わらず独自のめくるめく変態コルプワールドを作り上げていました。ルジマトフも、本当に自分のことをよくわかっているアーティストだなと改めて感心。今回のエロスワールド展開は大正解。「阿修羅」も良かった。


6月30日 新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」ザハロワ&ウヴァーロフ
7月1日 新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」寺島ひろみ&マトヴィエンコ

寺島ひろみさんのキトリが素晴らしかったです!ウヴァーロフの復活も嬉しかった。

今WOWOWでダイアナ妃追悼コンサートを生中継でやっています。いろいろな世代のミュージシャンが出てきて面白いですね。デュランデュランのジョン・テイラーは相変わらずカッコいい。そして、イングリッシュ・ナショナル・バレエによる「白鳥の湖」4幕もありました。コール・ドつき。ウェンブリー・スタジアムという6万人収容の会場でバレエって、滅多にないことですよね。誰かわからなかったのですが王子役の跳躍がなかなかすごかったです。

いつもコメントやメールへのお返事が遅くて申し訳ありません。コメントへのお返事が遅いのにこんなことを言って申し訳ないのですが、コメントはとても励みになりますので、気軽にコメントしていただけるととても嬉しいです。

2007/07/01

6/22 ABT Romeo and Juliet

アンヘル・コレーラ主演の金曜夜の公演ということでチケットの売れ行きが良く、当日の戻りに期待しようと思ったけど朝ボックスオフィスに行ったところ、もう6階席のファミリーサークルしかないという。が、当日のみ発売される立見席でオーケストラの一番前の席があるというではないか。立見席初体験である。

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Romeo Angel Corella
Juliet Julie Kent
Mercutio Carlos Lopez
Tybalt Sasha Radetky
Benvolio Jared Matthews
Paris Gennadi Saveliev
Lady Capulet Stella Abrera
Lord Capulet Roman Zurbin
Friar Laurence Frederic Franklin

この立見席だけど、非常に見晴らしが良くて見やすい。METのオーケストラ席は段差がほとんどなくて、ほとんどどの席でも前の人の頭が邪魔という困ったところなのだが、その問題が完全にクリアされていて視界が開けている。いわゆる雨宿り席なので圧迫感があるけど、バルコニーシーンのバルコニーもちゃんと見えた。こんな席がファミリーサークルと同じわずか24ドルというのはお得すぎ。立ち見といっても、ちゃんとついたてのようなものがあるので、そこに肘をついたりして見ることができ、普通に立っているよりは疲れない。問題があるとしたら、あまりにも冷房が効きすぎて寒いことくらい。

さて、アンヘル・コレーラといえばロミオかバジル、というくらいの当たり役。彼のロミオを生で見るのは4回目(うち新国立劇場での客演が1回)。今までの3回はすべてジュリエット役がフェリだった。アンヘルは、舞台に登場した瞬間から、ロミオそのものという演技。ちょっとお調子者で、まっすぐで、爽やかな若者。前髪が伸びて目にかかりそうなくらい。以前と比較するとずいぶんと落ち着いた感じになってきたように見えた。踊りが丁寧になっている分、疾走感が薄れているようだ。それでも、独特の愛嬌溢れる魅力とパッションは健在。マキューシオ、ベンヴォーリオとのコミュニケーションのとり方はばっちりだし、キャピュレット家の宴に行く前の三馬鹿大将(と勝手に命名)のダンスも息がよく合っている。
バルコニーシーンでのほとばしる情熱を体現した、超スピードのピルエットやシェネは健在。すごい速さなのに、丁寧になっていて、軸がぶれない回転は完成度がますます高くなっている。本物のロミオってこういう人なんだろうな、と思わせる血の通う人物像を演じられているのが見事だ。ドラマティックな演技力を身につけ、3幕冒頭の別れのパ・ド・ドゥの、胸をかきむしるような離れたくない、でも離れなくてはならないというどうしようもない悲しさも、身体表現ひとつで表わすことができるようになっている。アンヘル・コレーラはすっかり成熟したと思わせた。これが最後、仮死状態のジュリエットとのパ・ド・ドゥになると、そこでまた再び、10代の少年に戻って生のストレートな感情をぶつけていて、それがまた、観る者の心を激しく揺さぶるわけだ。見事な役作りだけど、同時に、アンヘルが大人になってしまったという一抹の寂しさも感じた。マキューシオの死の後、ティボルトに向ける怒りが思ったほど激しくなかった、むき出しの激情ではなかったところに、彼の成熟を見てしまった思いがする。

ジュリー・ケントはもともと好きなダンサーではない上、彼女のような長身でやせぎすのダンサーがジュリエットを演じるのって果たして似合うのだろうか、と思った。また、身長の高くないアンヘルとのバランスもどうなのか、かなり不安を持って臨んだ。結論から言えば、彼女のジュリエット自体は、最後の死の場面を除けばまずまず良かったのではないかと思う。ただし、アンヘルとの相性はというと、演技の質が違うことからも、やはりいいとは言いがたかった。ABTでは、フェリ、シオマラ・レイエス、パロマ・ヘレーラとのジュリエットが彼のロミオとバランスがとれてよかったのではないだろうか。

ジュリーのジュリエットは、ガラス細工のように繊細で、強く抱きしめたら壊れてしまいそうである。少し背が高すぎる以外は、美しくピュアな容姿といい、年齢を感じさせないイノセンスといい、ジュリエットにぴったり。出会ったときの喜びの表情といい、バルコニーでの陶酔を踊りに高めている様子といい、透明感がある。バルコニーでロミオを待つところはちょっとしなを作りすぎかもしれない。それ以外はとても良いのに、時々、彼女の演技にはそういった瑕疵がある。その最たるものが、ラストの墓場でのシーンだった。

ジュリエットが仮死状態から目覚めると、傍にはジュリエットが死んだと思って斃れたロミオが横たわっている。後を追ったジュリエットが、苦しい息の元でベッドの上を這って、少しでも愛しいロミオの死体の傍に行きたい。少しでもロミオに触れていたい。触れようとして腕を伸ばし、ようやく指先で触れたところで命が尽きる。もしくは、あと少しで届くのに、触れることすら叶わないで死を迎える。その切なさが涙腺を刺激してくれるのに、ジュリーのジュリエットは、大胆にもロミオを抱きかかえられるほど接近して、彼の頭をかき抱いてから絶命するのだ。最後にジュリエットにそこまでの力が残っていたとは思えないし、今までのジュリエットの演技にそこまでの情熱が表現されていたかといえばそれは否なので、違和感が残ってしまって泣けなかったのだ。

でも、その部分を除けば、ジュリーのジュリエットは美しかったし、良かったのではないかと思える。ラストの演技が致命的だったけど。

ベンヴォーリオはジャレド・マシューズ。ジャレドはハンサムで端正なダンサーだし、めきめき力をつけている。男性コール・ドの中でもソリスト候補の最右翼で、次の週の「白鳥の湖」では代役でロットバルトを踊ることにもなっている。3年前にMETでABTの「ロミジュリ」を観た時、ベンヴォーリオをデヴィッド・ホールバーグが演じていたことを思い出した。ジャレドも、デヴィッドのように大輪の花を咲かせることがあるのかもしれない、とふと思った。マキューシオは、前日はベンヴォーリオだったカルロス・ロペス。今回、当初マキューシオが予定されていたエルマン・コルネホ、ヘスス・パストールが降板して、マキューシオを踊る残りの二人(もう一人は、クレイグ・サルスティーン)は本当に大変だったと思う。カルロスは、マキューシオにしてはちょっと真面目すぎる役作りで、はじけ方が少々足りないところもあった。でも、彼も上手なダンサーだし、ロミオ、ベンヴォーリオとの踊りは揃っていたし掛け合いもばっちり。ティボルトとの決闘で刺されてから死に至るまでの演技は、ドラマティックでとてもシンパシーを感じさせるものだったと思う。
サシャ・ラデツキーのティボルトも、以前見たときより凄み、悪い人オーラが出ている上渋みもあり、いかしていた。ティボルトはロミオとジュリエットでは最重要キャラクターの一人なので、彼を演じるダンサーに演技力がないと、まったくつまらなくなってしまう。その点では、完全に条件を満たしていると思った。

特筆すべきなのが、93歳になるというフレデリック・フランクリンのローレンス神父。まっすぐに伸びた背筋。美しい腕使い。品格。そして、その年齢にもかかわらず、視線がとても色っぽくて愛に満ちているのが、1階席の一番後ろからでも見えるのだ。こんなに美しい93歳は他にはいないだろう。

「ロミオとジュリエット」は観る回数を重ねるごとに、音楽と振付の融合の見事さに惚れ惚れとする。キャラクター一人一人にテーマ曲が充てられていて、それらが重なってポリフォニックなハーモニーを作っていく、それがまたダンスの重奏となっていくのがすごい。願わくば何度でも何度でも観たい、聴きたい、大好きな演目がマクミラン×プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」だ。

「ロミオとジュリエット」の決定版といえばこれ。

ミラノ・スカラ座バレエ団「ロミオとジュリエット」(マクミラン版)全幕ミラノ・スカラ座バレエ団「ロミオとジュリエット」(マクミラン版)全幕
コレーラ(アンヘル) フェリ(アレッサンドラ) プロコフィエフ

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