6/23 Soiree ABT Romeo and Juliet (Ferri Farewell)Part2
感想の前にニュースです。
「エトワール達の花束」のブログで、フェリはじめ出演ダンサーたちの記者会見の模様が紹介されています。
http://blog.fujitv.co.jp/ferri-bolle/archives/51024194.html
そして、その記事によると、明日の朝(7月31日(火)あ、もう今日ですね)のフジテレビ、めざましテレビでこの記者会見の模様が流れる予定だとのことです。
情報番組なので、100%放映されるかどうかはわからないと思いますが、とりあえず録画予約を入れておきました。
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長らくお待たせしてしまってごめんなさい。なかなか感想を書くまとまった時間がないまま、時間が経過してしまいました。今週末には、ついに「エトワールたちの花束」公演も控えているので、いい加減、書き終わらなければなりません。記憶も薄れてきちゃって、あまり細かいところまで覚えていないので、よろしければamicaさんのレポートも併せてどうぞ。
Part 1はこちら
1幕6場、バルコニーシーン。
月明かりの下、バルコニーに浮かびあがるフェリのシルエット。キャピュレット家での宴で出逢ったロミオのことを思い出し、幸福感と甘い余韻をにじませながらまどろみ、腕を上げ、月の光を浴びて少し身体を傾けさせる。草の香りが匂いたつようだ。前の日に観たジュリー・ケントは、ここで身体をくねらせすぎていたのが、生娘らしくなくて違和感を感じさせたのだが、フェリからは、ただただ清らかでほのかな、軽い熱を帯びた恋心が伝わってくるだけ。
そこへ、マントを翻して駆けてくるロミオ。ロミオに大切なのは、疾走感と熱情。だから、このシーンでどのように走ってくるのかがとても大切。良いロミオ役者はここが素晴らしく、アンヘル・コレーラ、マルセロ・ゴメス、フリオ・ボッカ、彼らは皆、この走る姿が美しい。(有望なロミオダンサーのフリーデマン・フォーゲルはここでの走り方がもう少し上手になって欲しい)そしてもちろん、ロベルトの駆け寄ってくる姿も、2歳馬のサラブレッドのように、少年らしさも残しながらも雄雄しく、甘やかさもありながらも凛々しく美しい。ジュリエットはロミオの姿に気がつき、ここでも、まるで軽い電流に打たれたかのよう。バルコニーの上のジュリエットと、その下に立つロミオは、しばし見つめあう。片時もお互いから視線を外したくないという想いで、まるで見えない糸でつながっているかのよう。バルコニーから足取りも軽やかに駆け下りるジュリエット。もう待ちきれない、とばかりに全速力で走り寄る。二人並んでしばし佇み、ドキドキする心臓をそっと触らせるジュリエット。そしてパ・ド・ドゥが始まる。
まずはロベルトの美しいアティチュードから始まるソロ。この姿勢のフォルムは完璧なまでの美。アンヘルのように超高速のピルエットや高く舞い上がるトゥール・アン・レールはないけれども、一つ一つの軌跡は、奇跡ともいえるほど美しい線を描いていき、熱情がほとばしる。ジュリエットを逆さまにしてのリフトでは、フェリの脚の、素晴らしい曲線美を堪能する。折れそうなほどしなやかに反る柳のような背中の柔軟性は、DVDとなっているアンヘル・コレーラとの共演のときと少しも変わっていない。そしてなんと言っても素晴らしいのが、ロベルトのサポート。バルコニーシーンでは本当にさまざまなリフトが登場し、どれも非常に難しいものである。恋の熱に舞い上がらんばかりの二人の想い、高揚感、熱情を表現するのに、これらのリフトが大きな効果を果たしているわけだ。ロミオが正座するかのように跪き、背中を反らせたジュリエットをリフトするところでは、通常、ジュリエットは片方の腕をロミオの肩に乗せて自分の身体をサポートする。そして残った片腕で、浮遊感を表現する。ところが、ロベルトの愛情がこめられたサポートの的確さ、そして二人のパートナーシップの賜物で、このシーン、フェリは両腕を高く上げ、まるで空を自由に飛んでいるかのよう。フェリが自分で自分の身体をサポートする必要がないほど、ロベルトのサポートは安心できるものだということ。こんなのを観たのは、初めて!
このシーンについては、下記リンクの動画で見ることができます。
http://video.on.nytimes.com/?fr_story=c2ce0e9a9b9762ef53a8392feb3a1f8063ef50f8
ロミオとジュリエットは、この瞬間のために生きて、そしてこの瞬間のために死んだということが信じられる、そんな甘美できらめくような時間。この瞬間のために、二人はすべてを捨ててもいいと感じてもおかしくない。だけど、この一時の幸福感、光り輝く世界に包まれた二人は、この一瞬の恋のためにすべてを捨て、多くの血が流れ、そして命までも失われなければならないなんてことになるとは微塵も思っていない。ただただ、時間が止まり、このまま一生こうしていたい、それだけだった。バルコニーシーンの光と墓場のシーンの闇、その落差が大きいからなおのこと、この場面は何百年もの間、永遠のラヴストーリーのクライマックスとして生き永らえてきたのだろう。
ジュリエットのドラマを、ここまでつむぐぐこととができるのはフェリを置いていなかった。フェリのパートナーとしては、今まで、多くの素晴らしいダンサーが存在してきた。ウェイン・イーグリングから始まり、フリオ・ボッカ、アンヘル・コレーラ、ロバート・テューズリー、ホセ・カレーニョ。だけど、このリフトで、完全にフェリが身を任せることができたのは、ロベルト・ボッレしかいなかったという一点で、彼がフェリの最後の「ロミオとジュリエット」の相手を務める任を帯びることができたのだと思わせてくれた。ロベルトの喜びに満ちた表情は、美しいだけではなく、この世界での初めての輝きに出会えた幸福で満たされていた。そして初々しく恋に震えるフェリのジュリエット・・・どうして44歳のフェリが、こんなにもデリケートで、初めての恋に文字通り舞い上がる少女を今でも演じられるのだろうか。これこそが、バレエの魔法なのだと思った。このバルコニーシーン、一生忘れることはないだろう。1999年に観たフリオ・ボッカとフェリとのバルコニーシーンを忘れられないのと同様に。絡み合う視線、そしてジュリエットが絡ませる腕。あまりにも美しすぎる、汚れなきラヴシーン、恋の高まりから自然な流れとして登場した、あっさりとしているのに、まるで映画の中のようにドラマティックで胸をかき乱すようなキス。涙が自然とあふれ出るのを感じた。去年の世界バレエフェスティバルのガラ公演では、途中から号泣してしまったのだけど、この日は、じわーっと涙が頬をつたってきた。
離れがたいけれども、今はひとまず帰らなければならない。少しでも一緒にいたいという想いを残しつつ、バルコニーを駆け上るジュリエット。バルコニーの下のロミオと、上のジュリエットはお互いに手を伸ばして触れようとするが、指先が触れ合うことはなく、幕となる。墓場のシーンで、死を目前にしたジュリエットが最後にロミオの指に触れようとして、触れることなく命が尽きてしまう悲劇と見事な対を成している。
私も、ここで永遠に時が止まればいいのに、神様お願いを聞いて、と思った。しかしすべてのものごとには、終わりが必ず来る。
(続く)
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コメント
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naomiさん
私の記事、ご紹介どうもありがとうございます。はう~。ついに来日しましたね~~~。は~。
バルコニー・シーンの記述とっても素敵でまたまたフェリとロベルトの凄さを思い出して目がウルウルしてしまいました。色々なアーティストの公演を見倒しているnaomiさんだからこそ書ける記事ですね。つ、続きを早く…(禁断症状)
投稿: amica | 2007/07/31 03:02
naomiさん、待ってました。第二弾。そしてそして、もう間もなく私もフェリに会えるかと思うと本当に信じられなくてぇぇ(><;)あああって叫びたい、とにかく嬉しくて嬉しくてッ!これが最初で最後だと言うのもなんだかとても強い何かを勝手に感じてます(笑)またロミジュリを最初から最後まで通して観たいです。と思ってDVDを観たかったのに今頃荷物は船の中かしらね。私の日本生活ももう少しでスタートですッ!!!私はブログをいったん辞めてしまいますが、また機会があったら必ずや再開しますのでまた懲りずに遊びに来てくださいね。私もこれからもお世話になりますっ!!!
投稿: Tamako | 2007/07/31 19:38
amicaさん、こんばんは。
相変わらずのひどい遅筆ぶりです。しかも到底amicaさんの感想には及ばない。。。
やっぱりフェリのジュリエットは素晴らしい。最後にロビーのような美しいパートナーを残してくださったことも、フェリからの贈り物だったんだなと思いました。もう観られなくなるかと思うと、それだけで泣きそうになります。
投稿: naomi | 2007/08/01 01:05
Tamakoさん、こんばんは。
日本に到着されたんですね。ぜひ公演楽しまれてくださいね。最後にフェリに間に合うことができたのは幸せだと思いますよ!
ぜひブログの再開を楽しみにしています。東京にいればバレエの公演を観る機会はいろいろあるので、Tamakoさんならきっとまた書きたいという意欲がムクムクしてくるのでは?
もちろんここにもどんどん遊びにいらしてくださいね!
投稿: naomi | 2007/08/01 01:07