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2007/07/17

6/23 Soiree ABT Romeo and Juliet (Ferri Farewell)Part1

気がつけばフェリのABT引退公演から1ヶ月が経とうとしている。あれからすでに1ヶ月も経ったとは信じられないほど、毎日が流れて行くのが早い。ハンブルクの州立劇場の客席で、ロベルト・ボッレと歩くフェリの小柄な姿を見た。あの舞台に立って、最後には万雷の拍手と花のシャワーを浴びていたフェリが、こんなに近いところにいるのがとても不思議な気がした。

世界バレエフェスティバルなどでそれまでも何回も目にしていて、素敵だなとは思っていたけれども、アレッサンドラ・フェリというバレリーナが心の中に刻み付けられたのは1999年のABT来日公演、フリオ・ボッカとの「ロミオとジュリエット」だった。あのジュリエットはまさに衝撃だった。ボッカがロミオ引退を表明し、そして昨年にはついにABTからの引退もしてしまった。そしてついに、この日がやってきてしまったのだ。

会場には、フェリの旦那様ファブリツィオ・フェリによる美しい写真パネルが飾られていた。そして客席にも、ロビーにも、本日は出演しないダンサーたちのドレスアップした姿が。日本人の観客も相当多い。私の席は、2階のセンターパルティレという、この劇場では一番高いお席である。ボックス席なので鍵がかかり、ちょっとしたセレブ気分だ。

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Romeo: Roberto Bolle
Juliet: Alessandra Ferri
Mercutio: Herman Cornejo
Tybalt: Isaac Stappas
Benvolio: Jared Matthews (Sascha Radetsky の代役)
Paris: Gennadi Saveliev
Lady Capulet: Georgina Parkinson
Lord Capulet: Victor Barbee

1幕で颯爽と登場したロベルト・ボッレの美しい姿に目を奪われる。そこに光が存在していて輝きを放っているかのようだ。マンドリンを片手に駆けてくる姿も麗しい。彼は笑うと少し目尻が下がるのがとても可愛い。アポロ神のような肉体に加え非常に整った美しい顔立ちなのに、無邪気で無防備な笑顔を見てしまうと、急に親近感を覚えてしまう。マキューシオ、ベンヴォーリオとふざけあうロミオの邪気のなさといったらもう。

マキューシオは、この公演のためにしばらく出演を控えていたエルマン・コルネホ。不調を伝えられていた彼だったけど、この日はさすがに特別だったようで、怪我をしていたとは思えないほどはじけた踊りを見せてくれた。この人には重力というものは存在しないかのようだ。そして、まるで天使のようなピュアな存在感。神様に愛されているからこそ、早く天に召されてしまったのではないかと思わせる。そのまま飛び去っていきそうな跳躍。音楽性。見事なものだった。ベンヴォーリオは、サシャ・ラデツキーの代役として、シーズン後ソリストに昇格したジャレッド・マシューズ。容姿の端正なこの人は急成長株で、勢いを感じさせる。

ところが、残念ながら、キャピュレット家の前で3人が踊るところは、3人の息が合っていなかった。うむむむ。跳びぬけて大柄なロベルトが、他の二人に遅れてしまっている。でもまあ、ここは楽しさが感じられればいいのだから、まあいっか!(amicaさんもおっしゃっている通り、このシーンはやっぱりアンヘル君が一番ピチピチ魅力的に踊っていると思う)

前後するけど、ジュリエットが登場する乳母とのシーン。元気よく飛び出し踊った後乳母の膝に飛び乗るフェリ。あの素晴らしい曲線を描く甲や、美しいアラベスク、折れそうなほどの背中の柔らかさは健在。可愛い~とてもこれが、今年引退する44歳のダンサーとは思えない。14歳そのもの。ジュリエットという役柄は、乳母との親密さ、乳母に対する愛情がどれだけ表現できているかがとても重要だと思うのだけど、この点でもフェリは完璧。パリスが登場されて紹介されても、結婚なんていったいどこの世界のこと?私は人形や乳母と遊んでいる時の方が楽しいもん、という表情を浮かべている。こんなジュリエットが、わずか3日後には悲しみや喪失を知る大人の女性になっていくのだから、ジュリエットに要求される演技というのはすごい。

キャピュレット家の宴会で、ロミオとジュリエットは運命的な出会いをする。パリスと踊っているジュリエットと、ロミオは、ふとした瞬間に鉢合わせ。フェリの演技の素晴らしさは、ここで発揮される。決して大袈裟に感情を表現するわけではない。でも、彼女の大きな黒い瞳で、瞬きもせずにあんなふうに見つめられたら、もう恋に落ちるしかない。それに対応するロベルトの演技だって、何かを積極的に表現しようとしているわけではない。だけど、この瞬間、観る者は、電流に打たれたような感情を共有する。そしてその後のフェリのゆったりとして柔らかな、柳のようなしなやかなソロが美しい。二人の熱々なムードに気がついたティボルトに引き離されあうまで、二人は見つめあう。そして、誰もいなくなった広間で、ついに溢れる想いを踊りに託す二人。仮面を放り投げたロミオと、ジュリエットは恋の陶酔感で舞い上がるように、喜びに溢れたパ・ド・ドゥ。フェリの晴れやかで初々しい表情が可愛らしく、観ている方も微笑んでしまう。それに応えるロベルトも、目尻を下げて純粋な喜びを表現。そんなクライマックスのところに戻ってきたティボルト。ティボルト役のアイザック・スタッパスは男らしいハンサムでとても素敵。ロミオが、自分の顔がわからないように手で隠すところ、私はけっこう好きなんです。でも隠し切れなくって、ロミオはついに観念して、顔を見せてしまう。ここで悲劇の幕が切って落とされたってわけだ。

そしてお待ちかねのバルコニーシーンへ・・・。

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(ここで一旦切ります。続きをお楽しみに!)

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コメント

naomiさん、待ってました~こちらの記事。アレッサンドラのロミジュリのDVDはもう何度も観ましたがその度に切なくて美しくて言葉に表現できずに涙をポロポロ流しました。その度に夫に「また観て泣いている。」と呆れられたほど。

もう引退公演本当に楽しみ。私失神してしまうかもしれません。そうそうチケット無事に届いて、席は一階席の中央だったので一安心。バルコニーシーンについて教えていただいていたので、右端だったらどうしようかと思っておりましたが、良かったです。

それにしても飾られてある写真も本当に美しいですね。うっとり。続き楽しみにしてます。

Tamakoさん、こんばんは。

フェリのロミジュリのDVD本当に素敵でしたね!私も去年世界バレエフェスティバルでバルコニーのパドドゥだけだったのに、すごく泣いてしまいました・・・。

引退公演、いい席が取れてよかったですね。やっぱりセンターで堪能しないと!

ちょっと時間がかかると思いますが、必ず続きを書きますのでお待ちくださいね。

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