ニューヨーク、エルメスにてIn The Company of Stars(パリ・オペラ座)展
ゆうさんのエントリによってまず興味を引かれた写真集「In The Company of Stars」。写真家Gerard Uferas氏が、2003 -2005年にパリ・オペラ座のダンサーを撮影した、とても美しいものです。Gerard Uferas氏のサイトで、これらの写真を見ることができます。
そのあと、The Wingerのエントリでマーサ・グラハム・ダンスカンパニーの折原美樹さんが、このIn The Company of Starsの展覧会がニューヨークのエルメスのギャラリーで開催されると記述していました。7月21日まで開催されるということで、5番街よりも高級ブランド店が集まるマディソン街のエルメスへと足を運びました。今回時間がほとんどなく、また毎年1~2回はニューヨークに行っているのであらゆる美術館にも行きつくしたため、これが唯一の美術鑑賞に。
ドアマンにびびりながら階段を上り、4階にあるギャラリーに足を運ぶと、そこは静寂の世界。天窓から陽の光が降り注ぎ、他には客も、店員も、誰もいなかった。入場料は無料なのに、立派な紙質の冊子が置いてあり、解説やバイオグラフィー、ブリジット・ルフェーブルによる言葉、そして展示作品のクレジット、写真2点が掲載されている。冊子には82作品のクレジットがあるが、実際に展示されていたのは24点。
この空間を40分程度だけど独占できたのはなんという贅沢。
下右の写真のダンサーは、Alexandra Cardinaleというらしい。バランシンの「セレナーデ」を踊る前に、Foyer de la Danseにて。2003年11月。
真ん中の写真の黒髪のバレリーナが、次のプルミエ候補の一人、アリス・ルナヴァン。
いわゆる一般的なバレエの舞台を撮影したような写真ではない。ダンサーの顔がはっきりとわかるような写真すら少ないのである。すぐに誰だかわかったのは、引退公演でのエリザベット・モーランと、「シーニュ」の日本公演に出演中のアリス・ルナヴァンくらいだった。舞台袖から、シルエットのようにダンサーの姿を捉えたり、「エチュード」のチュチュの下から覗く脚、マチルド・フルステーの美しい背中、舞台裏でリラックスしておしゃべりに講じるダンサーたち、リハーサル風景。必ずしもダンスをしている時の写真ではないこともあるのだけど、そこに捉えられている空気、atmosphereは間違いなくダンスそのものなのである。ABTのコール・ドダンサー出身の写真家Rosalie O'Connerの写真を少しだけ連想した(作風は全然違うのだけど、親密な感じが共通すると思った)。
登場する作品は、「シーニュ」「サンドリヨン」「エチュード」「オルフェウスとエウリディーチェ」(ピナ・バウシュ)などが中心。色彩や光と影の使い方も絶妙。伝統とモダンが共存するオペラ座の美しさが写真の粒子から伝わってきて、見ているほうまで背筋を伸ばしたくなるような体験だった。
そういうわけで、帰国後写真集を注文したのは言うまでもありません。届くのが楽しみ!
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