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« 6/9 ミラノ・スカラ座「ドン・キホーテ」マチネ(その1) | トップページ | ABT&ボリショイ・バレエ来日予定 »

2007/06/12

ミラノ・スカラ座「ドン・キホーテ」6月9日マチネ続き

ヌレエフ版ドン・キホーテの特異な演出その2は、2幕のジプシーの野営地での冒頭。野営地に逃げ込んだバジルとキトリが踊る曲は、「ラ・バヤデール」の1幕でソロルとニキヤが密会する時の音楽なのだ。「ドン・キホーテ」と同じミンクス作曲だけど、しっとりとして情緒的な美しい曲。赤いストールを持ってキトリが踊ると、まるでニキヤのように見えてしまう。このパ・ド・ドゥはとても美しく、恋人たちの逢瀬が甘く官能的。横たわる二人の脚だけが上がっているのはとてもなまめかしいし、身体を重ねるドキッとさせられる描写まである。

音楽は聴きなれた「ドン・キホーテ」とはかなり違った感じ。ヌレエフ版のためにランチベリーが編曲したというが、スピードもかなりゆっくりとしているし、楽器の使い方も相当違っているので、時々違和感を感じた。ただし、演奏自体はミスが少なく、とてもよかったと思う。

キトリ役のマルタ・ロマーニャは身長174センチと長身でほっそりとしており、手脚が長い。非常に恵まれたスタイルと容姿。踊りは、その長い手脚を生かして非常にパワフルでダイナミック。特にジュッテは大きく、高く跳んでいた。脚もすごく高く上がる。時々ポアントが不安定になってひやりとする場面があった。アラベスクやアティチュードはきれいだし、スカラ座の中では頭ひとつ抜けているのはよくわかる。すごく大人っぽくて艶っぽい、ゴージャス姉御系のキトリ。バジルとの結婚に反対するロレンツォに対しては本気で駄々こねちゃったりしていて、気はとっても強そう。

バジル役のミック・ゼーニは、決して小柄ではないんだけど、マルタ・ロマーニャが長身なわりには少し小さい感じがした。身長は178~180cmの間くらいと思われる。身体もどちらかといえば華奢な方。ちょっとマッシモ・ムッル系のハンサムさんだけど、少し華が足りないかも。テクニックは十分あると思われ、ヌレエフの細かくて難しいパを上手く踊っていた。パ・ド・シャからアッサンブレになるとか、鬼のようなステップがいっぱいあるんだけどきちんとこなし、足捌きもとてもきれいだし、五番もきちんと入るし、端正なダンサー。この人はバジルよりも、王子系やプティなどが似合いそうな雰囲気だ。真面目な青年が道を踏み外した、なんて役(ドン・ホセとかデ・グリューとかアルマン)もお似合いだろう、きっと。そう、優しくていい人オーラが出ているのだ。私はけっこう真面目そうな人というのに色気を感じるので、ミック・ゼーニ、素敵だわと思ったけどやっぱりバジル向きではなかったのかも。ただ姉御系キトリにワンワン仔犬のように従っていて、惚れちゃっているところが見えるのが、めちゃめちゃかわいい。狂言自殺の時、足の甲がきれいに伸びていたし、横になっている姿もちょっと色っぽくて魅力的だった。

さすがにスカラ座コンビで、普段からよくパートナーとして踊っているだけあって、二人の間の演技の間はばっちりで、台詞の応酬なども聞こえてきそう。大人っぽい、いい雰囲気のペアだ。ただし、ミックはマルタには少し小さいこともあってか?片手リフトのところを片手であげられずちょっと歩いてしまったのが惜しい。

二人とも途中まではとてもいい雰囲気で、なかなかやるじゃんと思っていたところ、3幕で急に失速してしまったのが非常に残念だった。ミック・ゼーニのヴァリエーションは、爆発するようなパワーがなかったのが物足りなかったけど、テクニックそのものは十分発揮できていたと思う。マネージュの脚はきれいに伸びていたし、トゥール・ザン・レールも決まっていた。コーダのピルエット・ア・ラ・スゴンドもばっちり。バジルじゃなくてこれがデジレ王子やジークフリート王子だったら良かったんだろうな。いつか、違う役で彼を観てみたい。

マルタ・ロマーニャは3幕のGPDDは残念ながら不調のようで、ヴァリエーションのパッセを繰り返すところから、あれ、大丈夫かしら、怪我でもしているんじゃないかと心配になった。フェッテでは最初から左足がぐらぐらしていて16回で終了してピケに。それでもやっぱり足を痛めてしまったのではないか、無理しないでねとハラハラさせられた。ピルエット・ア・ラ・スゴンドを終えたミックが彼女を優しく抱きとめたときには、お疲れ様、大丈夫?と声をかけたくなってしまった。ヌレエフ版ドン・キホーテのキトリってそれほどまで過酷な役なのかと思った。ミックの性格の良さそうなところがここでも発揮されていた。マルタも、ものすごく調子が悪そうなのになんとか最後まで踊り終えて、カーテンコールで微笑んでくれたのはさすがにプロ。

残念ながら尻すぼみ感はあったものの、ミック・ゼーニは個人的にはかなり気に入ったし、リード・ジプシーのサルヴァトーレ・ペルディキッツィ、街の踊り子役ベアトリーチェ・カルボーネなど素敵なダンサーを見つけることはできた。街の喧騒が伝わってくるような躍動感、モブシーンのリアリティ、芸術品のように素晴らしいセットと美しい衣装に照明、総合芸術としての舞台の完成度は高かったので、大満足とまでは行かないものの、十分楽しめた。バレエで最も重要なのはもちろんダンサーの技量と演技だけど、美術と音楽が良いと5割増しくらいになると実感した。

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コメント

naomiさんもゼーニを素敵だと感じられましたか~
お仲間がいて嬉しいです。私が探し当てられなかった言葉の数々になるほど、です。端正、確かに。
スカラ座主役に関してはかなり不評のようなので、彼が果たして「ヌレエフ版」を踊れていたのかどうか、テクニックをきちんと見る目がない私は不安になっていて。
naomiさんの言葉に安心しました。
勿論、見方感じ方は人それぞれですけれども。

ほみさん、こんばんは。

マチネを観ながら、ミックはきっとほみさんのタイプなんだろうな~って思いましたよ♪
テクニックはちゃんとある人だと思います。少しスタミナは足りないかもしれませんが、いいダンサーだと思います。ぜひ、別の作品で彼の踊りを観てみたいと思いました。
ザハロワとロベルトの「ラ・バヤデール」DVDで彼は苦行僧を踊っていますが、短いシーンですがキレのある踊りでよかったですよね。

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