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« ワガノワバレエ学校のすべて・サンクトペテルブルクの天使たち | トップページ | DDD7月号 »

2007/05/27

5/24 H・アール・カオス「Drop Dead Chaos」

『Drop Dead Chaos』
世田谷パブリックシアター
構成・演出・振付:大島早紀子
振付:白河直子
出演:白河直子、新上裕也、群青
    木戸紫乃、小林史佳、斉木香里
    長内裕美、横山博子

白河直子さんがとてつもないダンサーであることは、「神々を創る機械」を観た時に思ったのだけど、久しぶりに生で彼女の踊りを観ると、自分の記憶の中にある白河直子よりももっと凄いものを見た思いがする。強靭な背中、身体能力の凄さ、放出されるエネルギー、存在感、ここまで強烈な女性ダンサーはいないかもしれない。今回は珍しく上半身裸にはならなかったけど、胸をはだけているかどうかということ自体はどうでもいいことなのだということが実感された。何者かに操られているかのような、人間の想像力を超えた動きは、もはや人間の肉体を超越した奇跡である。

H・アール・カオスといえば徹底的な美意識に支えられた舞台空間を作りこむことでも知られている。コンテンポラリーダンスの場合、衣装も装置もきわめてシンプルなことが多いけれども、ここは違う。幕が開いた時に驚いたのは、舞台の前にかかっている薄い紗幕。蜘蛛の糸を少し太くしたような、別の見方をすればいばらのような黒い筋が縦横無尽に走っている。舞台の上には、蝋燭がいくつも置かれている。そして、見上げれば、ワイヤーで女性ダンサーが3人、それぞれ吊り下げられている。彼女たちはまるで死体のようにだらりと垂れ下がっているのだが、そのうちぐるぐると空中で回転を始める。さらには、ワイヤーで吊るされたまま、ダンスまで始める。これは相当過酷なことだろう。

そして舞台の中央にうずくまるのが、白河さん。やがて、不規則にダンスをはじめ、それがどんどん激しくなる。男性ダンサーが登場する。このダンサー、新上裕也さんはコンテンポラリーではかなり有名な方のようだけど、私は観るのが初めて。背も比較的高く、がっしりとした体型だけど、バレエ的な美しい動きもできる人で、ジュッテもきれいだ。この二人が絡み合うのだけど、中性的でシャープな白河さんの肉体もあいまって、エロスはほとんどない。もう一人、男性ダンサーが登場する。ブレイクダンサーの群青さん。H・アール・カオスの公演にブレイクダンスが登場したのにはびっくりだけど、群青さんのたたみかけるようなダンスもすごく強烈で激しい。あんなに激しく踊って、よく怪我をしないものだとハラハラするほどに。女性さんサーたちも増えていき、ダンサーたちはぶつかり合う。

紗幕が上がり、吊られていたダンサーたちも降りてきて、静謐な雰囲気となる。女性ダンサーたちの長い白いたっぷりとしたドレスが、ドラマティックでとても美しい。彼女たちは優雅な動きを見せてくれて、うっとりと陶酔するほどの美の境地を見せてくれた。その中でも白河さん、上半身の動きのシャープで研ぎ澄まされた美しさは比類がない。激しさ、美しさと静謐さは両立するものだと思わせられる。巫女のような神聖な至高の美。

しかしまた、再び3人の女性たちがワイヤーで吊り下げられて、冒頭に近い雰囲気に戻っていく。バーレッスンで使うようなバーが並べられ、その上を何度も何度も落下したりバウンドしたり絡み付いたりするダンサーたち。中でも白河さんの動きは凄まじく、バーの上でぐったりとしているので死んでしまったのかと思ったら、不死鳥のようによみがえっていた。バーにこんな使い方があったとは。

最後までテンションが途切れることなく、強靭な動きを見せてくれた白河さん、新上さん、群青さん、そして他のダンサーのみなさん、みんな凄すぎる。舞台装置、美術、衣装、音楽、どれもレベルが高く、ただただ耽美的なまでに美しい。ひとつの総合芸術としての完成度の高さに、息を呑む。70分ノンストップ、緊張感が途切れることがなかった。観る人によって、いかようにも解釈できる自由さ、想像力を掻き立てるドラマ性と刺激。事情が許せば繰り返し見たかったけど、チケットはほとんど売り切れていた。

来年2月29日には、また東京文化会館で東京フィルハーモニー交響楽団と共演し、「ボレロ」「中国の不思議な役人」を上演するという。これも楽しみ!

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