DDD7月号
この雑誌、号を追うごとに内容が充実してきた上、お値段も880円と安くなって来ました。
表紙は、最初は気がつかなかったのですが、首藤康之さん。帽子をかぶっているので顔はかなり隠れてしまっていますが、しなやかな身体の魅力が発揮された躍動感あるもの。めくってすぐのところにも、FREDDYxTHE STUDIOということで、FREDDYと首藤さんのコラボが実現。モノクロームの素敵な写真ですね。
この号はパリ特集ということで、歌舞伎のガルニエ公演をはじめ、パリ・オペラ座のマニュエル・ルグリ、イザベル・シアラヴォラ、ミリアム・ウルド=ブラムのインタビューが掲載されています。なんとなくこの3人はというとクラシック派という印象があり、エミリー・コゼットのエトワール昇進に異議を申し立てている人選って思わせます。(ちょうど同じ発売日のダンスマガジン最新号には早速コゼットのインタビューが載っていますね)
ルグリのインタビューはいつも読み応えがあるものですが、今回も素晴らしかったです。
「東京には外国のカンパニーがたくさん来るよね。日本の観客が日本のダンサーやカンパニーをもっと応援するようになったら、より良いのじゃないかと思う」
いいことを言いますね。
最近のルグリのインタビューはと言うと、必ず登場するのが引退の話。
「少なくとも、あと2シーズンはオペラ座で踊ろうと考えている。「オネーギン」でオペラ座の舞台を去りたいと思っているから。この作品がレパートリーに入るのが多分、一年半後なんだよね。だからそれまでは少なくともここで踊り続けるよ」
-バレエを志す上で、一番重要だと思う信念は?
「愛すること。ダンスのために自分のすべてを犠牲に、捧げられること」
シアラヴォラのインタビューは、楽屋での写真がとても素敵。そして、インタビューの内容からは、人柄の良さが伝わってきます。熊川哲也さんのことを絶賛していたり、「バレエはヨーロッパ人のためのものという考え方には同意できないわ」など。
「椿姫は素晴らしいバレエなので、皆さん観に来てくださいね。宣伝しちゃったわ!」
美脚の持ち主でクールな印象が強いシアラヴォラの意外な一面が見えました。
ミリアムのインタビューも、とても明るくて飾らない性格の持ち主、だけどしっかりと自分のダンサーとしてのキャリアを見据えているのがわかってよかったです。インタビュー中の写真はとっても可愛い。
特集「歌舞伎in巴里」もなかなか面白かった。首藤さんの歌舞伎観劇記あり、ニコラ・ル=リッシュのワークショップ参加について、藤間勘十郎のインタビューあり。首藤さんあ、ここで感じたものが表現者としての彼に大きな影響を落としている気がすると語っておられますが、早く、それが具体的な形になったところを見たいなと思います。
特集以外には、インタビューが二つ。マーサ・グラハム舞踊団の折原美樹さんによるアレッサンドラ・フェリのインタビュー。踊りたいという情熱に突き動かされてきた彼女の人生を振り返るものでした。大人の女性を演じられるという役が、バレエではあまりにも少ないということを思い知らされました。その数少ない作品が「椿姫」であったということですが、そのような役を一年に数回踊るためにダンサーの身体を維持していくのは簡単なことではないということ。テューダーやマクミランのような振付家がいない現在、そのような作品を作れるのはノイマイヤーだけということなのかもしれません。
ザハロワのインタビューは、なによりも写真がとても美しいです。普段のバレリーナ姿の彼女とは違った、素顔に近い姿は可愛らしいし、長い美しいドレスをまとったザハロワは女神のようですね。でもやっぱり金髪は似合わないと思うのですが。平山素子さんの作品「Revelation」にショックを受けるほど感動し、平山さんにモスクワに来てもらって振付けてもらったとのこと。クラシックバレエの印象が強いザハロワですが、いつか「Revelation」を踊る彼女を観られる日が来るといいですね。お気に入りのレパートリーは他には、「カルメン」「ファラオの娘」「フィンフォニー・イン・C」そしてノイマイヤーの「真夏の夜の夢」なのだそうです。
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