BlogPeople


2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« Swan Lake at Burswood Theatre 5/4(開演前のお話) | トップページ | ジーン・シモンズのロックスクール »

2007/05/13

5/4 Matthew Bourne's Swan Lake

Burswood Theatre

The Swan/The Stranger Thomas Whitehead
The Prince Dominic North
The Girlfriend Agnes Vandrepote
The Queen Sarrane Curtin
The Private Secretary Alan Vincent
The Young Prince Gavin Parsand

P1000945small


パース公演初日は、1時間半と大幅に開演時間が遅れ、不完全な上演になってしまうと事前にお詫びがあった。初日は当然マスコミなども取材に来ているというのに信じられない事態が起きてしまったというわけだ。が、実際に上演が始まってしまうと、装置の不具合は感じられず、明らかに省略されてしまったのは大きな白鳥の踊りだけだった(この踊りが好きなので、ないのは非常に寂しかったが)。ただし、舞台に上がるダンサーの数は減らしていたようで、1幕の召使の数や、2幕・4幕の白鳥たちの数も明らかに少ない。


今日のザ・スワン/ザ・ストレンジャーは、初めて観るトーマス・ホワイトヘッド。ロイヤル・バレエのソリストであり、1年間という期間限定でこのツアーに参加している。幼年王子のベッドの上をみると、事前に聞いていた通り、背はあまり高くないが、細身で腕の動きが美しい姿が映し出されてホッとする。
ロイヤルでは、マノンの看守やジゼルのヒラリオン、眠りの狼、ドン・キのエスパーダといった、どちらかといえばキャラクター系の役が多い人のようだ。

女王役は、他のマシューの舞台では何回も観ているものの、女王役では初めて観るサラーン・カーティン。スワンレイクの女王役は、演じる人によってまったく異なった役作りとなる。前回の日本公演では威厳のあるニコラ・トラナ(元ロイヤル)が印象的だったけど、中には欲求不満の中年女のように演じる人もあれば、それぞれである。サラーンの女王は、白髪のメッシュも入れておらず、若く美しくほんのりセクシーだけど上品な色香のある女王。1幕から若い家来を品定めして引っ張り込んでいたりするのだけど、不思議とふしだらな感じは受けない。腕が美しい~。

王子は、アンダースタディのドミニク・ノース。非常に若くかわいいので、日本公演ではコール・ドだったにもかかわらずかなり人気があったダンサー。外見的には、幼さやイノセンスを残していて王子らしいのだけど、アンダースタディということもあって演技力は相当足りない。1幕では王子が思わず女王を襲ってしまう背徳的なシーンがある。美しい容姿の二人だというのに、全然ドキドキしない。う~ん。踊りの方も、日本公演では結構踊れると思ったのに意外と良くない。クラシック出身者なので、跳躍は高く、アンドオールはしっかりしているんだけど、この役は技術だけでは駄目ということか。この人、背中が案外硬いのかもしれない。

そして待望の2幕。トーマスのザ・スワンが素晴らしかった。小柄なほうだと思うけど、群れの中に紛れないのはさすが。腕の動きはまさに白鳥そのもので柔らかく優雅だ。今までのザ・スワンで一番、クラシックバレエのオデットの動きを連想させてくれるダンサーだと思う。肩から白い翼が生えているのが見えるほど。アンドオールは完璧、裸足の足のつま先はよく伸び、甲のアーチも発達していて非常にクラシカル。ほっそりしている上、金髪にブルーアイの美貌の持ち主だ。シャープなのだけど美しい、研ぎ澄まされたような鋭いナイフのような孤高のザ・スワンで、なかなか王子に心を開かない。だけど一度心が通じ合えたら非常に忠実な、兄のような存在となる、そんな感じの役作りだ。

ザ・スワンも王子もクラシック・ダンサーなので、さすがにコーダでの動きは二人とも美しい。トーマスは最後までスタミナ切れすることなく、完成度の高い見事な踊りを見せてくれた。こうなるとほとんど王子は目に入らない。

3幕は、久しぶりに見るダミアンのイタリアン・エスコートがユーモラスで最高だった。今回のツアーは日本公演から半分以上メンバーが入れ変わっていて、知らない顔が多くまだ個性を発揮するに至っていないのが少々つまらない。執事は、別の日にはザ・スワンを踊っているアラン・ヴィンセント。可もなく不可もない演技だけど、できればずっと執事役をやっていて欲しかったな。

で、トーマスのストレンジャー登場。これほどストレンジャー役が美しい人もいないんじゃないかというくらいの凛とした麗しさ。ほんの少しアダム・クーパー系だけど。でも、誰に似ているかと言えば、デヴィッド・ボウイにそっくりなのだ。薄い青い瞳に吸い込まれそうになる。背は高くないのだが、ほっそりとしていて顔も小さいので、プロポーションがよく見える。目ヂカラが凄い。とてもクールなのだけど、時折見せる笑顔がぞっとするほど冷たい。クールなので、フェロモン系ではないのだが、ルースカヤの曲のときのソロでは、軽くピルエット5回転はしていてこれがまた軸がぶれずにキレイだ。この人はシャープさと柔らかさが同居しているのがホント素敵。音にもすごくよく合っている。うっとり~。たぶんこのストレンジャーは、めちゃめちゃナルシストに違いない。自分のことしか愛していないのよね、絶対。

黒鳥のPDDの曲での、女王とストレンジャーのワルツ。サラーンは白い肌に真っ赤なドレスが映えてゴージャスだし、美しい二人が踊ると絵になることこの上なし。あえて難を言えばひょっとしてトーマスはリフトが苦手?女王と王子が入れ替わってのタンゴ。このタンゴの緊張感には息を呑んだ。トーマスの獲物を射るような目。美しいアラベスク。美しい足先。邪悪さ。

コーダの男女対抗ダンスでは、打って変わってトーマスはワイルドに野郎どもに声をかけて、これまたカッコよく音に気持ちよく乗って決めてくれた。オフバランスも絶妙。女王とのキスは、非常にディープ。錯乱した王子が連れ去られるところでの高笑いは徹底的に邪悪なのもいい。

4幕では、女王は打って変わって王子への愛情を覗かせ、王子がロボトミー手術を受けさせられているときには、大いに動揺し自分の罪深さにおののいていた。ベッドの下から出てくる白鳥は一羽のみで、全体的に白鳥たちの数は少なかったのでは。傷ついたザ・スワンはここでも孤高の存在で、最後まで凛と誇り高く、殉教者のように死んでいった。白鳥の大群に対しては、激しく闘志を剥き出しにして、驚くほどの高いジュッテを見せ、股関節の柔らかさを発揮したキックが鮮やかな軌跡を見せる。滅び行く者だけが見せる、死を前にした最後の輝き。

ドミニク王子は、さすがに自分が死ぬところの演技には身が入っていて良かったと思うのだけど、少しぼーとしすぎていた。アンダースタディで今までほとんど王子役は踊ったことがないので(もしかして初めて?)、あまり厳しい評価をするのは酷であろう。素質はあるし容姿も良いので、がんばってほしいな、と思う。

観客は上品な人たちで、パリで見たときほどの盛り上がりはなかったけど、それでも半分くらいの客はスタンディングオベーションで暖かい拍手を送った。終演は深夜12時。

この夜は、ほとんど麗しきトーマスに釘付け、それ以外ではサラーンの女王の美しさにもうっとりした一晩だった。不完全な形と言いつつ、大きな白鳥の踊りだけがなかったという最小限の変更にとどめてくれたことには感謝。

久しぶりに見ると、やっぱりこの作品は面白いなと改めて思った。特に3幕を、古典の白鳥の湖の人間関係と照らし合わせながら観ると、いろいろと発見がある。

« Swan Lake at Burswood Theatre 5/4(開演前のお話) | トップページ | ジーン・シモンズのロックスクール »

バレエ公演感想」カテゴリの記事

マシュー・ボーン」カテゴリの記事

コメント

は~。とても面白い感想をありがとうございます。デイヴィッド・ボウイのような美貌でクラシックのテクニックが完璧なスワンなんて素敵ですね~~~~。

舞台装置の不具合で開演が遅れたのに開幕したら白鳥さんの数が足りなかった…ということは大道具が組み立て中にバタッと倒れ、白鳥が何人か下敷きになったのかしら!?そうではないことを祈ります!

レポ有り難う御座いました。
何だか、美し~いスワンが目に浮かぶようです。読みながらウットリしてしまいました。四幕で愛情を見せるという女王の役作りも、日本ではあまりお目にかからなかったタイプでしょうか?(私が見ていないだけかしら)久し振りに見たいです、スワン。
初日から大変なトラブルに見舞われた公演だったみたいですが、キャスト・スタッフの方々に怪我人が出ていないと良いですね。

こんばんは。初めてコメントさせていただきます。
すばらしいレポをありがとうございました。本当に、舞台が目に浮かぶようです。ドミニクの王子を見てみたいと思っていましたが、彼はこれから期待大なのかもしれないですね。
それにしても、一時間半の遅れにはビックリです。相当なトラブルだったのですね。残りの公演が、すべて順調だったといいのですが。

amicaさん、
おそらく装置の不調というのは、床の問題もあったようです。というのは、現地の新聞の記事にあったのですが、床が非常に硬く、ダンサーの足の負担が大きいという苦情がダンサーたちからもあったとのことで。一応リノを引いて対応はしていたようなのだけど、床のせいで怪我をした人もいたようです。だからamicaさんの推理も半分当たっていますね・・・。
トーマスは8月からロイヤルバレエに復帰するので、amicaさんも観る機会があるのでは?ラ・バヤデールだと何の役だろう。奴隷かな?パシャだったりして(笑)こんなに美形なのにヒラリオンとかマノンの看守だもんな・・。

Elieさん、こんばんは。

トーマスのザ・スワン、非常に美しかったですよ。一番クラシック・バレエ的な踊り方をする人なのではないでしょうか。アダムに比べれば線が細い分シャープで繊細な感じですね。でもアダム的な色気の出し方がありました。
きっと彼は来年のロイヤルの来日で見られると思います。主役級は踊らないだろうけど。
けが人は、残念ながら出たようです。床が硬いのが一番の原因のようです。
サラーンの役作りは意外でした。サラーンというとどうしても、セクシーな美女という印象が強いダンサーですが、彼女もママになって変わったのでしょうね。母親ならではの優しさをのぞかせていました。

RINさん、はじめまして。
ようこそいらっしゃいました。
ドミニクは、まだまだ若いですし、アンダーということでちゃんと役作りや振り写しもしてもらっていないようですので、これからどんどん経験をつんで成長してくれるんじゃないかと思います。今後に期待しましょう!なんといっても彼はかわいいですからね~。

で、書いたとおりその後もトラブルに見舞われて、1回公演が流れてしまいました。こんな経験は初めてでした・・・。海外に行ってまでこんな目にあっちゃうなんて。

白鳥は、当分(何年か)日本には来てくれないようですよ・・・

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30328/15050478

この記事へのトラックバック一覧です: 5/4 Matthew Bourne's Swan Lake:

« Swan Lake at Burswood Theatre 5/4(開演前のお話) | トップページ | ジーン・シモンズのロックスクール »