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2007/04/30

澁澤龍彦-幻想美術館(埼玉県立近代美術館)

大学生のころサブカル少女だった私は、澁澤龍彦に熱中し、「黒魔術の手帖」「毒薬の手帖」「エロティシズム」といった著書から、マル・キ・ド・サド、さらにはジャン・コクトーの「大跨びらき」などの訳書にすっかり夢中になっていた。
没後20周年を記念して、埼玉県立近代美術館にて、大規模な展覧会「澁澤龍彦-幻想美術館」が開かれるという。併せて、平凡社より同名の解説書が発売された。

最初は、北浦和まで出かけるのは遠いし面倒くさいなあ、と思っていたのだけど、足を運ぶ価値が十二分にあった、素晴らしい展覧会だったと思う。見て回るのに2時間以上を要した。300点近い展示物の内容が何しろすごい。

デューラー、パルミジャニーノ、ブリューゲル、アルチンボルド、カロ、キルヒャー、ゴーティエ-ダゴティ、ピラネージ、サド侯爵、ゴヤ、モロー、ルドン、クリンガー、アンソール、ビアズレー、クレー、ピカソ、デュシャン、マン・レイ、エルンスト、ゾンネンシュターン、デルヴォー、マグリット、エッシャー、タンギー、モリニエ、ベルメール、ブローネル、ダリ、フィニ、バルテュス、スワーンベリ、ワイエス、ヘルムート・ニュートン、ボナ・ド・マンディアルグ、トポール、ベルナール・フォーコン、伊藤若冲、葛飾北斎、酒井抱一、河鍋暁斎、伊藤晴雨、武井武雄、初山滋、瀧口修造、桑原甲子雄、中谷忠雄、秋吉巒、加山又造、土方巽、藤野一友、土井典、横尾龍彦、奈良原一高、中村宏、堀内誠一、加納光於、細江英公、川田喜久治、池田満寿夫、宇野亞喜良、中西夏之、高梨豊、金子國義、野田弘志、横尾忠則、谷川晃一、野中ユリ、唐十郎、合田佐和子、篠山紀信、山本六三、高松潤一郎、川井昭一、島谷晃、四谷シモン、佐伯俊男、城景都、小林健二など

この顔ぶれを見ただけで圧倒されてしまう。

澁澤龍彦の生涯を、少年時代から没するまで追いつつ、その時代ごとの彼の活躍と、彼を捉えてやまなかった、彼が世に紹介したさまざまな芸術作品が展示されている。少年時代から相当シュールな絵本などを愛読していた彼。60年代においては、細江英公、三島由紀夫や土方巽&大野一雄、唐十郎などとの交流を通して、いろいろなジャンルの芸術を結びつける役割を果たしていた。ダンスに興味がある人間としては、特に土方巽など舞踏関係との交流が興味深く、彼の芸術の一端を知ることができたと思う。土方巽が亡くなった折には、澁澤は葬儀委員長も務めた。

また、彼が初めてヨーロッパ旅行に出かける時に、三島由紀夫が楯の会の制服を着て見送りに来たとのことだが、帰国してまもなく、三島は自刀したという衝撃的なエピソードを初めて知った。

強烈だったのは、シュールレアリズムの作品群。エルンスト、ベルメール、スワーンベリ、バルテュスなどの作品はものすごくて、すっかり胸焼けがしてしまうほど。デルヴォーやマグリットなどでも爽やかだ、と思えてきてしまった。当時のサブカルチャーに大きな影響があったマリ=クレール誌で彼が選んだ映画ベストテンなどは比較的普通だったと思うけど、1位が「アンダルシアの犬」なのはものすごく納得。

そして、私が一番大好きなギュスターヴ・モローの作品が4点もあったことにも感激。ルドンの「ペガサスにのるミューズ」の色彩美にも魅せられた。これらは群馬県立美術館の所蔵品らしい。

彼が癌により亡くなった時に、いろいろな人が彼に捧げる作品を制作したところに、人望の厚さ、いかに周りの人々に愛されたか感じ取ることができる。特に印象的だったのは、四谷シモンによる天使の翼をつけた人形。彼の書斎は亡くなった当時のまま残されているのだが、金子國義による「花咲く乙女たち」が飾られていたり、写真で観る限りとても魅力的な空間のようだった。

本当に、ものすごい人だったんだなと改めて実感した。かなりアブノーマルな芸術もたくさん展示されているが(彼が編集した雑誌「血と薔薇」の表紙には、鉄の貞操帯があしらわれていたりする)、ドロドロとした情念の世界に行き着かず、どこか軽やかでお洒落な感じがするのは、澁澤が基本的にミーハーで社交的だったことから由来するのだろうか。サドがファッショナブルでサブカルチャー好きの人にも愛されるようになったのは、彼の功績が大きいと思う。

なお、ギャラリーTOM(渋谷)にて、彼の世界観を再現した「澁澤龍彦驚異の部屋展」
http://www.gallerytom.co.jp/ex_page/ex.htmlが行われているので、時間があればぜひこちらも見てみたい。会期は2007年4月7日(土)-5月20日(日)

とにかく、900円という安い入場料で、これだけ濃厚な世界をたっぷりと味わえるなんてあまりにも贅沢。都心から離れているせいか、比較的空いているし、美術館がある公演は緑豊かでゆったりとしていて休日を過ごすには最適。シュールレアリズムに興味がある方にはぜひともお勧め!

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コメント

naomiさん、お久しぶりです〜。
澁澤龍彦-幻想美術館!これ、すっごく観に行きたいな〜と思っていたんです。胸焼けがしそうなシュールも象徴派も大好きです。(ある意味、変態趣味?)

naomiさんが、東京縦断してまで観に行く価値があった!と思われるのもうなづけます。作者は、そうそうたる顔ぶれです…(ごっくん)
さいたま芸術劇場に芝居を観に行くと思えばいいのよね。
やっぱり行こうかな…どうしようかな。

く~てんさん、こんばんは。
またお返事が遅くなっていてスミマセン。たしか今週末までかな?あとBunkamuraギャラリーでも無料の展覧会をやっているようです。
胸焼けしそうなシュールや象徴派お好きとは、同好の士ですね!ならば必見です。
そうそう、電車に乗ってしまえばすぐなのでお勧めですよ♪
この美術館がある公演も憩いの場所で素敵です。澁澤さんの母校(高校)の跡地なんだそうです。

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