田中好道氏死去/「カーテンコールのこちら側」高円宮殿下
日本舞台監督協会名誉会長の田中好道氏が4月11日に逝去されました。1946年に日本で初めて上演された「白鳥の湖」で舞台監督を務めるなど、バレエやオペラの舞台監督の草分けとして活躍された方とのことです。私のバレエの大先生もこの方にお世話になったとのことで、先日の貝谷典太氏(貝谷バレエ団代表)に続き、お葬式への出席が増えてしまったと悲しんでいました。ご冥福をお祈りいたします。
http://www.jiji.com/jc/c?g=obt_30&k=2007041200032
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田中好道さんのことはちょっと前まで全然知らなかったのですが、Side B-alletのゆうさんに紹介していただいた高円宮殿下対談集「カーテンコールのこちら側」にて、故高円宮憲仁殿下と対談されています。
この対談の中で、田中さんは実は少しの間、旗揚げしたばかりの東京バレエ団(服部智恵子、小牧正英、貝谷八百子ら錚々たるメンバー)で、バレエを踊っており、松山樹子と「シェヘラザード」まで踊ったと話しています。それだけバレエは好きだったというわけで。舞台監督は本当に大変な仕事ではあるけど、緞帳が上がるのが17秒、その瞬間、お客さんが拍手してくれる時の喜び。「そのたった17秒にかけてきた。おれじゃなければできないんだ、やった!」という瞬間、それがあるからこの仕事はやめられないのだと。そんな気持ちで仕事を60年間もできたなんて、なんという羨ましい人生でしょう。
この対談集は素晴らしい一冊です。いかに高円宮殿下がバレエを愛したかが良く伝わってきます。対談相手も大変豪華で、バレエ編はルドルフ・ヌレエフ、マリシア・ハイデ、森下洋子、清水哲太郎。舞台編は市川猿之助、浅丘ルリ子、江守徹、朝倉摂、ワダエミ、キリ・テ・カナワ、蜷川幸雄、中村紘子など。そして、忘れてならないのは、これらスターのほかにも、田中さんはじめ、指揮者の堤俊作、照明家の外崎俊彦、舞台美術家の川口直次といった、舞台を裏から支えるスタッフとの対談もあること。ここにまで目配りを忘れないのが、高円宮殿下のすごいところです。対談の内容からも、いかに彼がバレエという芸術をよく理解し、本気で愛していたかがよくわかります。バレエを観る目も、そのへんの評論家よりもよほど優れています。
そして、彼らの話がとても面白いのです。バレエが好きな人なら膝を打つようなことばかり。堤さんによれば、「白鳥の湖」はシンフォニー4曲分を指揮するほど大変なこと。指揮者は汗をたくさん掻くため、背抜きで腕ぐりが大きな特製のタキシードを着用していること。ヌレエフと森下洋子の「ドン・キホーテ」で振って5キロ痩せたそうです。難しいのは、プロコフィエフやストラヴィンスキー。特に「シンデレラ」の12時のところのヴァイオリンを完璧にするのは至難の業だそうです。そう、実は高円宮殿下は指揮者を志していたそうですね。
照明家の外崎さんの話によれば、最近は日本人の肌の色も白人に近づいてきたとのことです。肌の色をきれいに見せることが腕の見せ所だそうで、白人、特にロシア人は踊っているうちに白い肌がピンクに染まっていくので、青を使えば美しく見える。日本人の少し黄色い肌だと、「ジゼル」の1幕がきれいに見せやすいのだそうです。
絶版となってしまった本ですが、アマゾンのマーケットプレイスで安く買えます。バレエファンには強くお勧めする一冊です。実は持ち歩いているうちに紛失してしまったのですが、素晴らしい本なので買いなおしました。(ゆうさん、素晴らしい本を教えていただいてありがとうございます!)
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naomiさん、ご紹介ありがとうございます。
田中好道さん、亡くなられたのですか。ご冥福をお祈り致します。
生き生きと語られる殿下と対談相手の方々のお話は本当に面白かったですね。殿下がお相手の話を引き出す巧みさにも感心しました。amazonであんなに安く買えてしまうのが申し訳ない程の本ですね。
投稿: ゆう | 2007/04/15 00:09