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2007年4月

2007/04/30

ローザンヌ国際バレエコンクール

【第35回ローザンヌ国際バレエ・コンクール】
解説:大原永子

河野舞衣さんがスカラシップ2位と観客賞、吉山シャルル=ルイ・アンドレさんがコンテンポラリー賞を受賞。河野さんは正直クラシック・ヴァリエーション1の「ライモンダ」は今ひとつと思ったが(着地があまりよくない)、クラシック・ヴァリエーション2の「グランパ・クラシック」は素晴らしかった。かなりケレン味、タメのある踊りで、音のとり方が独特だけど、この演目にはとても合っていた。腕が非常に華奢で長く、ポール・ド・ブラが美しい。解説の大原さんが言ったとおり、すぐにプロでも通用しそう。観客席からも、演技の途中で割れんばかりの拍手が沸いたのも納得。

新井誉久さんは、賞には届かなかったものの、演技自体はなかなか良かったと思う。プロポーションも悪くないし、ヴァリエーション1の「ラ・シルフィード」も合っていた。

吉山さんは、ハーフとのことでプロポーションが非常に良い。コンテンポラリー賞に輝いただけあって、コンテンポラリーヴァリエーションのキリアン作品を見事に踊りこなしていた。低い重心、流れるような動きがお見事。クラシック2のグラン・パ・ラクシックも、跳躍が高く、決して悪くなかったと思う。
キリアン作品を魅力的に見せるのは、ダンサーの力量に負うところが多く、本質を理解して踊っているダンサーはほとんどいなかった中で、吉山さんが光っていた。プロのダンサーが踊るキリアンはとても美しく素敵なのに、そのように踊れている人は吉山さんくらいで、他の人たちは、なにやらヘンな振付でぎくしゃくしているなと思ってしまった。

他に注目はやはりなんと言っても15歳、小柄で可愛らしいポルトガルのモレイラ・テルモ君でしょう。小柄なんだけど脚が非常に長く、まだこれから背が伸びそう。荒削りなところはあるものの、とにかく踊るのが楽しくて仕方ないという喜びに溢れていて、見ているほうも幸せになる。5位に入賞して本当に良かった!これから先が楽しみ。

スカラシップ1位の韓国のパク・セーウンさんは、長い脚を生かしたダイナミックな演技で、アピール力があった。特にクラシック・ヴァリエーション1「ラ・バヤデール」(ガムザッティのヴァリエーション)の、高くシャープに上がる脚。大きなジュッテ。舞台が狭く思えるほどだった。もう一人の韓国人のキム・チャーリーさんもいい演技を見せていた。入賞にはいたらなかったが中国からの出場者も何人かいて、みんな身体がとても柔らかい。このコンクールに出るような人は、アジア人でも遜色がないほど、みなプロポーションが良くなっている。

イギリスから出場したロイヤル・バレエスクールの男の子ジェームズ・ヘイ(4位)、すごく王子様っぽくてヴァリエーション2がよかった。ドン・キは大原さんに「彼は品のあるいいダンサーだけど、この演目は向いていませんね」とぴしゃりと言われてしまっていた。そうかな~たしかに容姿は王子様で麗しい。

しかし全体的にいえることは、ぎこちない演技の人も結構見られたこと。アントルシャ・シスやジュッテなど跳躍などのテクニックはばっちりなのだけど、引き上げが十分でなくて、回転が遅くなったり傾いたり。音に遅れたりといったところが見られた。コンクールは、完成形というより素質を見るところだと思うので、欠点はあっても光るものがあればいいのだろうと思ったけど。

出場者の今後の活躍ぶりを見守っていきたい。河野さん、新井さんは二度目の挑戦というから、今年ダメだった人たちも頑張って欲しいものです。

http://www.swissinfo.org/jpn/front/detail.html?siteSect=105&sid=7495294&cKey=1170758330000
に結構詳しく出ています。動画も観られます。

公式サイトはこちら

澁澤龍彦-幻想美術館(埼玉県立近代美術館)

大学生のころサブカル少女だった私は、澁澤龍彦に熱中し、「黒魔術の手帖」「毒薬の手帖」「エロティシズム」といった著書から、マル・キ・ド・サド、さらにはジャン・コクトーの「大跨びらき」などの訳書にすっかり夢中になっていた。
没後20周年を記念して、埼玉県立近代美術館にて、大規模な展覧会「澁澤龍彦-幻想美術館」が開かれるという。併せて、平凡社より同名の解説書が発売された。

最初は、北浦和まで出かけるのは遠いし面倒くさいなあ、と思っていたのだけど、足を運ぶ価値が十二分にあった、素晴らしい展覧会だったと思う。見て回るのに2時間以上を要した。300点近い展示物の内容が何しろすごい。

デューラー、パルミジャニーノ、ブリューゲル、アルチンボルド、カロ、キルヒャー、ゴーティエ-ダゴティ、ピラネージ、サド侯爵、ゴヤ、モロー、ルドン、クリンガー、アンソール、ビアズレー、クレー、ピカソ、デュシャン、マン・レイ、エルンスト、ゾンネンシュターン、デルヴォー、マグリット、エッシャー、タンギー、モリニエ、ベルメール、ブローネル、ダリ、フィニ、バルテュス、スワーンベリ、ワイエス、ヘルムート・ニュートン、ボナ・ド・マンディアルグ、トポール、ベルナール・フォーコン、伊藤若冲、葛飾北斎、酒井抱一、河鍋暁斎、伊藤晴雨、武井武雄、初山滋、瀧口修造、桑原甲子雄、中谷忠雄、秋吉巒、加山又造、土方巽、藤野一友、土井典、横尾龍彦、奈良原一高、中村宏、堀内誠一、加納光於、細江英公、川田喜久治、池田満寿夫、宇野亞喜良、中西夏之、高梨豊、金子國義、野田弘志、横尾忠則、谷川晃一、野中ユリ、唐十郎、合田佐和子、篠山紀信、山本六三、高松潤一郎、川井昭一、島谷晃、四谷シモン、佐伯俊男、城景都、小林健二など

この顔ぶれを見ただけで圧倒されてしまう。

澁澤龍彦の生涯を、少年時代から没するまで追いつつ、その時代ごとの彼の活躍と、彼を捉えてやまなかった、彼が世に紹介したさまざまな芸術作品が展示されている。少年時代から相当シュールな絵本などを愛読していた彼。60年代においては、細江英公、三島由紀夫や土方巽&大野一雄、唐十郎などとの交流を通して、いろいろなジャンルの芸術を結びつける役割を果たしていた。ダンスに興味がある人間としては、特に土方巽など舞踏関係との交流が興味深く、彼の芸術の一端を知ることができたと思う。土方巽が亡くなった折には、澁澤は葬儀委員長も務めた。

また、彼が初めてヨーロッパ旅行に出かける時に、三島由紀夫が楯の会の制服を着て見送りに来たとのことだが、帰国してまもなく、三島は自刀したという衝撃的なエピソードを初めて知った。

強烈だったのは、シュールレアリズムの作品群。エルンスト、ベルメール、スワーンベリ、バルテュスなどの作品はものすごくて、すっかり胸焼けがしてしまうほど。デルヴォーやマグリットなどでも爽やかだ、と思えてきてしまった。当時のサブカルチャーに大きな影響があったマリ=クレール誌で彼が選んだ映画ベストテンなどは比較的普通だったと思うけど、1位が「アンダルシアの犬」なのはものすごく納得。

そして、私が一番大好きなギュスターヴ・モローの作品が4点もあったことにも感激。ルドンの「ペガサスにのるミューズ」の色彩美にも魅せられた。これらは群馬県立美術館の所蔵品らしい。

彼が癌により亡くなった時に、いろいろな人が彼に捧げる作品を制作したところに、人望の厚さ、いかに周りの人々に愛されたか感じ取ることができる。特に印象的だったのは、四谷シモンによる天使の翼をつけた人形。彼の書斎は亡くなった当時のまま残されているのだが、金子國義による「花咲く乙女たち」が飾られていたり、写真で観る限りとても魅力的な空間のようだった。

本当に、ものすごい人だったんだなと改めて実感した。かなりアブノーマルな芸術もたくさん展示されているが(彼が編集した雑誌「血と薔薇」の表紙には、鉄の貞操帯があしらわれていたりする)、ドロドロとした情念の世界に行き着かず、どこか軽やかでお洒落な感じがするのは、澁澤が基本的にミーハーで社交的だったことから由来するのだろうか。サドがファッショナブルでサブカルチャー好きの人にも愛されるようになったのは、彼の功績が大きいと思う。

なお、ギャラリーTOM(渋谷)にて、彼の世界観を再現した「澁澤龍彦驚異の部屋展」
http://www.gallerytom.co.jp/ex_page/ex.htmlが行われているので、時間があればぜひこちらも見てみたい。会期は2007年4月7日(土)-5月20日(日)

とにかく、900円という安い入場料で、これだけ濃厚な世界をたっぷりと味わえるなんてあまりにも贅沢。都心から離れているせいか、比較的空いているし、美術館がある公演は緑豊かでゆったりとしていて休日を過ごすには最適。シュールレアリズムに興味がある方にはぜひともお勧め!

澁澤龍彦幻想美術館澁澤龍彦幻想美術館
巖谷 國士

平凡社 2007-04
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2007/04/29

ダンスマガジン6月号/Top Stage

テリョーシキナの凛々しいオディールが表紙のダンスマガジン。フェリ&ボッレの「椿姫」が大きく扱われているのがとても嬉しかった。フェリの「椿姫」の全幕を日本で観られないのは本当に残念。何で引退公演がガラなの~と思うのです。
いずれにしても、写真も非常に美しく、新藤弘子さんのレポートの内容も細やかな描写が素晴らしくて、珍しくダンスマガジンの記事が良いと思ってしまいました。一枚一枚の写真にドラマを感じさせてくれるのが良いですね。3月なんて年度末で絶対に休みが取れない時期でしたからね・・。ううう。ロベルトもアルマンに相応しい、美しくイノセントな青年像を見せてくれて、本当にうっとりしてしまいます。
フェリのインタビューによれば、日本での8月のガラの演目は「ロミオとジュリエット」「椿姫」「マノン」「カルメン」、それに「ジゼル」の2幕のアダージオになるそう。ガラでPDDだけでも観られることに感謝すべきでしょうか。

ルジマトフの舞踊生活25周年記念ガラの模様もなかなか良かったです。注目の、岩田守弘さんによる新作「阿修羅」はとても良さそうな作品ですね。岩田さんのインタビューがあるのも良かった。まだ「ルジマトフのすべて」のチケットは買っていなかったけど、観に行かなくちゃと思いました。マールイのシェスタコワはボリショイとマリインスキーからもオファーがあったそうで、たしかに彼女の実力からすればあり得る話です。移籍しなくても、ゲストとして出演して欲しいですよね。写真もたくさんあって、特にイーゴリ・コルプの強烈な「白鳥」の写真は嬉しかった。ダニーラ・コルスンツェフの「シェヘラザード」黄金の奴隷というのも珍しいです。とても真面目で実直そうなコルスンツェフが、あの官能的な奴隷を踊るなんて。瀬戸秀美さんによるルジマトフの写真、ドラマを感じさせて素晴らしいです。

いつも思うんですけど、ダンスマガジンってパリオペラ座の記事を載せすぎです。載っていない月はないんじゃないかと思うほど。日本では一番人気あるでしょうけど、毎回毎回取り上げなくたって。マティアス・エイマンのバジルは良さそうですけどね。来月号も「シンデレラ」が載るって予告がありました。それなのに、マリインスキー国際フェスティバルは予定されていないのは、どう考えても間違っている。マリインスキー・フェスティバルにも一応マチュー・ガニオが客演しているんだし、来月は公演の空白期間で、暇ネタのDVD特集(新書館の販促企画)がメーンなのに。

イレク・ムハメドフの編集長インタビューも面白かった。グリゴローヴィチ、マクミランという偉大な二人の振付家との共同作業の話。ロイヤル・バレエに移籍しようと思ったいきさつ。彼が一番興味があるのは演技者であること、だからボリショイのレパートリーではどれよりも「イワン雷帝」を踊りたいとのこと。私もDVDを取り出して見直さなくては。だから、パリ・オペラ座が「イワン雷帝」を上演することになった時に、ルフェーブルに演技指導をさせて欲しいと申し出たところ断られたのは非常に残念な話です。ルフェーブルはダメな芸術監督の代表ですね。ロイヤル・バレエでも、「マイヤリング」の指導をしたかったのにできなかった。ギエムが「今の芸術監督(モニカ・メイスン)である限り、ロイヤルでは踊らない」と言ったのもよくわかります。ムハメドフは、リン・シーモアが芸術監督を務めるギリシャ国立バレエで指導をすることになったとのこと。
先達が伝えていく技術や演技があるということを理解しない芸術監督が、多すぎますね。

竹島由美子さんのNew File on Dancersは、彼女のシャープな魅力をよく伝える写真でよかったです。が、「融」の扱いがあまりにも小さいのが非常に残念。あの写真では、マリ=アニエス・ジロのDIVAでの魅力などこれっぽちも伝わりません。イリの作品「融」での3人の男性ダンサーの踊りが良かったと書いてあっても、写真がないし。オペラ座のページを一ページ減らしてこっちに割くことはできなかったのでしょうか。「オルフェオとエウリディーチェ」にしても、新国立劇場の新作なのですから、ウォルシュのインタビューを掲載すべきだったでしょうし。どうしてもこの雑誌はNBS偏重なのが見えてくるところがすごくイヤです。広告などの大人の事情でそうなるんでしょうけど。


DANCE MAGAZINE (ダンスマガジン) 2007年 06月号 [雑誌]DANCE MAGAZINE (ダンスマガジン) 2007年 06月号 [雑誌]

新書館 2007-04-27
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一方、Top Stageでは、ダンサー特集として、熊川哲也、服部有吉、K-BALLETの橋本直樹と宮尾俊太郎、東京バレエ団の大嶋正樹のインタビュー。服部さんの「ラプソディ・イン・ブルー」はコミュニケーションがテーマなのだそうですが、前作「ゴーシュ」もそうでしたね。13歳からハンブルクで生活して今はカナダの有吉さん自身のテーマがそうなのでしょうね。K-BALLETの若手男性ダンサー二人は、ビジュアルが非常に良いし、これから期待できそうですね。二人とも、夏の「ドン・キホーテ」でバジルに抜擢されているし、熊川さんによる期待の大きさがわかりますね。

でも、この雑誌はもちろん、大嶋さんのインタビューが載っているから買ったわけで(笑)、彼の人柄の一端がうかがえてとても面白かったです。「薔薇の精」を踊る時には、役柄になりきるために薔薇の花を部屋に飾ったり薔薇の香水を身に着けたり、というくだりが良いですね。よく色気があるといわれるそうですが(実際あるし)、本人は色っぽさについては全然自覚していないそう。多くのお客さんは彼のことをキャラクターが濃いと思っているみたいですが、彼自身はいろいろな役柄ができる、なんでもこなせるカメレオンになりたいそうで。またまたどんな演技や踊りをしてくれるのか、目が離せません。とりあえず9月のニジンスキープロの「薔薇の精」が楽しみです。

追記:6月の上旬に服部有吉さんがNHKの「トップランナー」に出演するとのことで、現在、スタジオ収録の観覧者を募集しているようです。応募締め切りは5月18日とのこと。

2007/04/28

服部有吉&ラスタ・トーマス「ラプソディ・イン・ブルー」関係

服部有吉&ラスタ・トーマス「ラプソディ・イン・ブルー」の、eプラスの特集サイト
http://blog.eplus.co.jp/etheatrix01/2007-04-23blueからリンクしている
http://blog.eplus.co.jp/mv_theatrix/0704_028

で「ラプソディ・イン・ブルー」のプロモーション映像が観られます。服部有吉さんの昨年の「ゴーシュ」の舞台映像が一部と、ラスタが「海賊」「ドン・キホーテ」などを踊っている映像を観ることができます。有吉さんと金聖響さんのインタビューもあり。

有吉さんのインタビューは、いろいろな雑誌媒体に出まくりです。「ダンスマガジン」「DDD」「Top Stage」「日経ウーマン」「ヴァンテーヌ」など。特にヴァンテーヌの有吉さんの写真はとても美しく、カラー4ページも割いているので必見です。 アルバータバレエでの生活は、とても快適なもののようですね。

一方、ラスタ・トーマスのインタビューが英字新聞Herald Tribuneに載っていました。 彼の生い立ちが興味深いです。医師をしていた父親が、なんとサウジアラビアの王室のかかりつけ医となるため、3歳でサウジのリヤドに引っ越すことに。7歳で父の勧めにより、リヤドのバレエスクールに通い始めたことから、彼のダンス人生が始まります。バレエを始める前に、空手、カンフー、テコンドー、カポエイラなどのマーシャルアーツに取り組んでいましたが、それも、1歳のときに5箇所の複雑骨折をしてしまって、医師にちゃんと歩けなくなるかもしれないと言われ、リハビリを兼ねたものでした。バレエを始めたきっかけも、空手のクラスで先生たちに対する態度が悪かったため、父親に罰として「チュチュを着させるからな」とバレエクラスに通わされたからだそうです。最初は恥ずかしくてイヤだったそうですが、やがてダンスの魅力に取り付かれ、10歳で帰国しワシントンのキーロフ・アカデミーへ。
13歳と最年少でパリ国際コンクール、15歳でヴァルナ国際コンクール、17歳ジャクソンコンクールの金賞を受賞するなど輝かしい実績を誇りました。

彼の能力の基礎となったのが、5歳で黒帯を取ったテコンドー。精神的な統率と強さを得ることができたため、それがダンスにも役立ったとのことです。

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」に主演するという交渉も受けたそうですが、それは残念ながら実現しなかったみたいですね。 ただし、「トワイラ・サープとマシュー・ボーンはより幅広い観客にアピールできる作品を作り上げられる数少ない振付家だね」と高く評価しています。

「このプロジェクトに参加できて、とてもわくわくしている。クラシックバレエだと、同じ作品の違うヴァージョンを踊るだけだけど、ここでは完全にオリジナルで新しいものを作り上げるのだから。」
「この企画が大成功するか大失敗するかはわらからないけど、僕たちは挑戦しなくてはならない。有吉が一緒にこのプロジェクトをやろうとしていること、そして僕を信じてくれていることには脱帽するよ」

とても楽しみですね!とりあえず2回分のチケットは確保しました。

http://www.asahi.com/english/Herald-asahi/TKY200704270082.html

ロストロポーヴィチ逝去

チェリスト&指揮者のムスティスラフ・ロストロポーヴィチ氏が4月27日に亡くなられたそうです。享年80歳。
去年のショスタコーヴィチ・イヤーで、新日本フィルの指揮の日があったのでチケットを取ろうと思ったのだけど断念。行けばよかった。何年か前に、家人がシカゴでシカゴフィルとロストロポーヴィチの共演を聴いて、それは素晴らしい演奏(ロストロポーヴィチはショスタコーヴィッチのチェロコンチェルトを弾いた)だったと何回も聞かされていた。

朝日新聞の記事によれば、91年8月の旧ソ連クーデター未遂事件時に一緒に大統領府に立てこもった盟友エリツィン元大統領が逝って4日後の死とのこと。エリツィンと同じ墓地に埋葬されるそうです。プーチン大統領は「ロシアの文化にとっての大きな損失」とコメント。またひとつの時代の終わりですね。ご冥福をお祈りいたします。

彼の業績については、ニューヨークタイムズの記事がとても詳しいです。(要ログイン)

2000年には、リトアニア国立バレエの「ロミオとジュリエット」来日公演で新日本フィルハーモニー交響楽団を率いました。バレエとの融合を狙ってオーケストラが舞台に乗った異色の公演で、主演はイーゴリ・イェブラ。残念ながら私はこれは見逃してしまったのです。テレビでも放映されたようですね。 

現在、アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画「ロストロポーヴィチ 人生の祭典」がシアター・イメージフォーラムにて公開中です。ソクーロフの前作「太陽」のエンドロールにも、ロストロポーヴィチ演奏によるバッハが使われていましたね。

2007/04/26

ABT「眠れる森の美女」カラボスはゲルシー・カークランド

ABTのMETシーズンの目玉は、「眠れる森の美女」の新振付。振付は芸術監督のケヴィン・マッケンジーですが、
伝説のバレリーナ、ゲルシー・カークランドが振付補を行っていることが話題となっています。
(「ダンシング・オン・マイ・グレイブ」の作者ですね)

このDance View Times記事によると、

4月16日に、グッケンハイム美術館にて、公開リハーサルとスニークプレビューが行われました。しかも、この時マッケンジーが急病で欠席したため、ゲルシー自身が解説を行ったのです。

「ダンシング・オン・マイ・グレイブ」でスキャンダルにまみれたゲルシーは引退後オーストラリアで生活していましたが、13年間の空白の後、ABTのスタジオカンパニー、ジャクリーヌ・ケネディ・オナシス・スクール、さらにはABTのメーンカンパニーの教師として復帰を遂げました。

このセッションでは、まず妖精たちのヴァリエーションが公開されたとのことです。
5人の妖精の中には、マリア・リチェットらに加え、加治屋百合子さんもいました。それからイリーナ・ドヴォロヴェンコらによるローズ・アダージオ、さらには青い鳥のPDDが、マリア・リチェットと新ソリストのクレイグ・サルスティーンによって踊られました。

ゲルシーによると、この作品のテーマは「生と死、愛と憎しみ、希望と絶望、調和と不調和」になるということで、多くの人が予想していた「ディズニー映画のような眠り」ではなく、もっと深い真実を追究している作品のようです。
ゲルシーは、妖精たちのシーンでは、たとえばリチェットのところでは実際に赤ちゃんのオーロラを抱いているかのようにするよう、実演して指導したり、優しさの精を演じた加治屋さんには、腕の使い方を指導したりしました。「鳥たちを呼んで、えさを与え、そして飛び去っていくところを見るのよ」と。

美術も一部公開され、四季の移ろいをイメージした自然なものとなっているようです。人間の世界と、妖精たちの超自然的な世界を際立たせたもので、王子については、悪を倒すという精神的な旅の中でオーロラと同等の重要性を与えられたキャラクターになっているとか。

ABTは今までいくつかの「眠り」の版がありましたが、最後の版は90年代に上演されたマクミランによるもの。2001年に新版が予定されていましたが、財政上の問題で白紙にされてしまったのです。この新版が長生きして、来日公演などでも観られますように。

カラボスに注目!

なお、アメリカのDance Magazine5月号でのゲルシーのインタビューによると(現物を読んでいないのでBallet Talkのフォーラムを参照)、なんとカラボスをゲルシーが踊るという予定もあるそうです。

この記事は、 "Christening a New Sleeping Beauty: American Ballet Theatre Brings a Legend Back Home."
と題されています。どうして今回振付補をすることになったのかと聞かれ、「ケヴィンが招待してくれたの。招待されて、リストから外されなかったの」とカラボスの復讐のきっかけになぞらえ、ユーモアを交えて答えたとか。

で、「もう舞台には戻らない」という誓いをしていたゲルシーがカラボスを演じることになった経緯については、「私の頭に銃を突きつけて、無理やり同意させられたのよ」とこれまた冗談めかして語ったそうです。
カラボスを演じるのはもう一人、往年の名バレリーナで、現在はマッケンジーの私生活上のパートナーでもあるマルティン・ヴァン・ハメル(ミーシャの「放蕩息子」の映像で美しいセイレーンを踊った方ですね)。これは楽しみですね!

なお、いちぞーさんの「やめられないのよ、追っかけは」で、Orange County Performing Arts Center(以下OCPAC)が発行している無料月刊誌『Revue』に掲載されたABTの「眠り」の記事を紹介しています。こちらも興味深い内容ですので、併せてお読みください。ここにもゲルシーのコメントが載っており、カラボスが暗く陰のある絶世の美人から忌まわしい蜘蛛へと様変わりするという演出があるそうです。

ハンブルクでのフェリ&ボッレ「椿姫」キャスト

以前のエントリで紹介した、7月10日、11日のアレッサンドラ・フェリ&ロベルト・ボッレのハンブルクでの「椿姫」ですが、ハンブルク・バレエの公式サイトにキャストが載っていました。

2日間とも同じキャストです。

マルグリット:アレッサンドラ・フェリ (ミラノ・スカラ座バレエ)
アルマン:ロベルト・ボッレ(ミラノ・スカラ座バレエ)
マノン:イザベル・シアラヴォラ (パリ・オペラ座)
デ・グリュー:クリストフ・デュケンヌ (パリ・オペラ座)
アルマンの父:ミカエル・ドナール
ガストン:カースティン・ユング (ハンブルク・バレエ)
オリンピア:エレーヌ・ブシェ (ハンブルク・バレエ)
プリューデンス:カトリーヌ・デュモン(ハンブルク・バレエ)
N伯爵:ヨハン・ステグリ (ハンブルク・バレエ)

というように、スカラ座、パリオペラ座、そしてハンブルク・バレエの混成アンサンブルとなりました。いずれにしても豪華ですね。ミカエル・ドナールまで呼んで来て。ホント、7月にもう少しハンブルクにいられたら(そもそも、ハンブルクにいけるかどうかもわからないのですが)、絶対に観たいのですけどね。

収録とかありえないものなんでしょうか・・。多分フェリの全幕はこれが最後です。

2007/04/25

ローリング・ストーンズのロン・ウッド、ロイヤル・バレエのダンサーを描く

ローリング・ストーンズのギタリストであるロン・ウッドが、彼に大きな影響を与えたドガとロダンからインスピレーションを得て、このたびロイヤル・バレエのスターダンサーたちを絵画にすることに取り組むのだそうです。

http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/article1687501.ece

ここ数ヶ月、ロン・ウッドはロイヤルの舞台やリハーサルの見学を続けてきました。彼が描く予定なのは、カルロス・アコスタ、ダーシー・バッセル、アリーナ・コジョカル、タマラ・ロホなどのスターだとのこと。彼は、「風景やポートレートを描くよりも、ダンサーを動く姿を描く方がずっと難しい、でも彼らの美しい動きや品性に自分は魅せられているんだ」と語ります。60歳になるウッドは、まもなくストーンズのヨーロッパツアーに参加します。

実はウッドはケイト・モスやボブ・ディランのポートレートも描いています。30万ポンド(6000万円)ほどで売れた絵もあるそうで。もっとも、美術評論家に言わせれば、彼がストーンズの一員だから絵が高い値段で売れるとのことですが。
ストーンズに参加する前には美術学校で絵画を学んでいたウッドは、ダンサーの絵を描く許可をモニカ・メイソンに与えられたそうです。そして、「白鳥の湖」「マイヤリング」やトリプルビルの舞台を観て、製作に取り掛かりました。ピカソ、ロダン、ドガなどの偉大なアーティストから、ヒントを得たといいます。

もともと、アイルランドの自宅で飼っている愛馬の絵を描くのが好きだったというウッドは、馬とダンサーの美しさに共通のものがあると感じたそうです。

秋には、これらの作品はコベントガーデンで展示される計画があるとのこと。また、ストーンズが7月末にツアーで訪れるサンクトペテルブルグでも展示の予定があるとのことです。

ミック・ジャガーに、ウッドの作品についてどう思うかと聞いたところ、「まだ見ていないんだよね。でも、ロンは年寄りの割には踊るのが上手だよ」とのことだそうで(笑)

吉田都 プロフェッショナル仕事の流儀

第49回 2007年4月24日
自分を信じる強さを持て ~バレリーナ・吉田都~

http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/070424/index.html/

楽しみにしていた吉田都さんのドキュメンタリー。前半はロイヤルバレエ中心、後半はKバレエ中心の話で、都さん本人のスタジオトークもありました。

都さんのように頂点に上り詰めたダンサーであり、すでに20年以上踊っていたとしても、アクシデントもあれば不安を感じることもある。突然の状況の変化や自分に打ち勝たなければならない。そんな等身大の都さんの姿を捉えていました。

ロイヤルでは、ホセ・マーティン相手に「ラプソディ」のリハーサルを重ねています。リフトが終わり着地する時の体の角度に徹底的にこだわる都さん。ミリ単位での調整を行っているとのことです。直前になって、注文したポアントが足に合わないという事態が発生。リハーサルが終わった後に、ポアントを叩いたりして一生懸命柔らかくする加工をしていました。職人に依頼して一足一足自分に合わせて作ってもらっても、こんなことが起きたりするのです。
インタビューは、同じ楽屋を共有しているダーシー・バッセル。37歳で第一線を退くことを決意したダーシーに対し、ゲストプリンシパルと立場は変わっても踊り続ける都さん。芸術監督モニカ・メイソンのコメントも。
ロンドンの日常生活では、サッカーのエージェントをしている夫君遠藤貴さんも登場していました。なかなかカッコいい方です。二人とも飛び回っているのですれ違いの日々で、洗濯物を持っていたりしました。

「ラプソディ」の本番。ポアントが合っていないとは思えない、軽やかで優雅な動き。細やかなパドブレがとても美しい。

自分を信じて、やっていくしかない。自分を信じられるようになるために、ひたすら稽古を重ねて、表現の完成度を高めていく。自分を信じられる強さが必要と都さんは語ります。

ローザンヌコンクールに出場した時の映像が流れましたが、都さん、ちっちゃくてめちゃめちゃ可愛かったです。しかしロイヤルバレエスクールに入った当時は、今と違って東洋人は他にいなくて、体型や東洋人のひらぺったい顔に劣等感を持っていて自分が醜いのではないかと思っていたとのことです。一日13時間練習するなど、ひたむきに努力し続けて今の地位に。だけど、2001年にコッペリアに出演する直前に大きな怪我をしてしまい、しばらく起き上がることもできずにベッドから空を見ていたとのこと。(DVDに収録される予定が、結局代役のリャーン・ベンジャミンの映像が残ったわけですね) そこから生き方を変え、休みの日はバレエから離れて友人と過ごしたりして、精神的に余裕を持つようになったとのことです。

スタジオに登場した都さん、めちゃめちゃキレイで若い。お友達のお母さんに作ってもらったというイニシャル入りのバッグから、11足もポアントを取り出しました。体調によって、合うポアントが違ってくるからです。底を剥がすなど、さまざまな工夫がなされています。(素人の人は危険なので加工しないように、とのテロップが出ました)
面白いな、と思ったのは、リボンを縫い付けるのにデンタルフロスを使っていること。切れにくいからだそうです。

******

そして日本。熊川哲也のコメント。4年間踊っていなかった白鳥を、ロイヤルの伝統を日本に伝えていくということで、封印を解くことになりました。輪島拓也さんとリハーサルしていたところ、突然輪島さんの身体が動かなくなります。全治3ヶ月の怪我を負ってしまいました。あと9日しかないところ、代役は芳賀望さんに。2幕のパ・ド・ドゥのタイミングがなかなか合わず、また感情表現にも苦労します。があくまでも都さんは優しく指導します。印象的なのは、細かい表現力について相手のダンサーに伝えることは、しないということ。その人自身が感じた感情が出てこなければ、自分自身で表現を磨いていかなければ意味がないからということだからです。そしてスチュワート・キャシディも芳賀さんにアドバイスをしていました。食い入るようにスタジオの外から都さんを見る若手ダンサーたち。

そうして迎えた本番。白鳥として舞台に駆け出す前の、舞台袖での緊張感溢れる表情。映像の編集の仕方や、映し方には正直言ってかなり不満はあったけど(相当ぶつぶつ細切れにされてしまっているし、全体ではなく顔だけ、上半身だけというカットが多かった)、貴重な都さんのアダージオと、黒鳥のフェッテが観られたのはとてもありがたかった。素晴らしい。たった一度のオデットが終わった後の、晴れやかな表情。
この公演、行きたかったけど先に別の予定があって行けなかったものです。

「私の中でプロフェッショナルといったら、闘い続けられること。言い訳をせずに闘い続けられるってことですね」

ダンサーの日常、美しい舞台が出来上がるまでの地道な日々と、過酷な稽古、そして自分との闘いを細やかに捉えた、良い番組だったと思います。悩んだり不安を感じたりする姿を、隠すことなく率直に映しているのが良かったですね。
が、いつかテレビでもDVDでもいいから、都さんの最新の全幕の舞台が観られることを期待したいです。

「海賊」のチケット、まだBunkamuraに取りに行っていなかったわ。忘れないようにしなくちゃ。


見逃した方には、再放送があります。
4月 30日 (月)
翌日午前1:55~翌日午前2:40 総合/デジタル総合
5月 1日 (火)
午後4:05~午後4:50 総合/デジタル総合

2007/04/24

Dance Channel TVとマリインスキー、エイフマン・バレエの動画

海外のブログを観ていて知ったのですが、ロサンゼルスにダンス専門のインターネットテレビ局Dance Channel TVというのができたようで、バレエの動画をいくつか観ることができます。ちゃんと独自で取材を行ったオリジナルコンテンツを掲載しており、画質や音質もなかなか良いです。

注目は、つい先日オレンジカウンティで公演を行い、4月14日から29日までニューヨークのシティセンターで公演中のエイフマン・バレエ。「アンナ・カレーニナ」の舞台やリハーサルシーン、ボリス・エイフマンやダンサーたちのインタビューが8分ほどあります。エイフマン・バレエはニューヨークでは2週間、17回も公演を行うほどアメリカでは人気があるのに、かつて日本公演を行ったときの動員が振るわなかったためか、日本には来なくなってしまいました。しかし、この映像を観る限りでは、とてもオリジナリティが高くドラマティックな物語バレエを上演しています。舞台装置や衣装のセンスも素晴らしいです。ダンサーたちはワガノワ出身者が多く、スタイルがとても良く技術的にも優れています。いつか日本で観る機会があることを切に願います。

なお、PonさんのApplause Applause!に、エイフマン・バレエのニューヨーク公演「かもめ」の素晴らしいレビューがあります。
また、オレンジ・カウンティ公演のプログラムは、ダウンロードすることができます。作品の解説などを読むことができます。

マリインスキー・バレエ(アメリカではキーロフ・バレエとして公演を行っています)の番組は、なんと24分もあります。ヴィシニョーワとゼレンスキーの「ロミオとジュリエット」、ヴィシニョーワとコルプの「白鳥の湖」(2幕少しと3幕のジークフリートのヴァリエーション、黒鳥のグランフェッテ)の動画が観られるほか、ダニラ・コルスンツェフとウリヤーナ・ロパートキナ、芸術監督ワジーエフのインタビューあり。コルスンツェフはこのインタビュー動画では、思ったより若々しくて(失礼!)素敵です。ロパートキナが語るには、ロシアの観客は要求が非常に高く、すごい技が出てくることを当然のことと思っているとのこと。誰に言わせても、アメリカの観客は素直で反応が良いようです。コルスンツェフによると、ブラジルではサッカーの試合を見ているかのような熱狂的な反応があるそうで!

他に、ジョフリー・バレエや新しくできたばかりのロサンゼルス・バレエの舞台映像やインタビューも載っています。南カリフォルニア、オレンジカウンティのOrange County Performing Arts Centerと協力関係にあるとのことで、今後同劇場で上演されるカンパニーについての番組がどんどん制作される予定のようです。期待できますね。

なお、Orange County Performing Arts Centerでは2008年2月に、Diana Vishneva-Beauty in Motionと題して、ヴィシニョーワのプロデュース公演が行われる予定です。詳細は未定ですが、彼女のために振付けられた新作中心だそうで、マリインスキーではなくキエフ・バレエのダンサーを率いるとのこと。これは大注目の公演ですね。

また、2008年6月には、ミラノ・スカラ座も引越し公演を行い、例年のABT公演やアルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアターも含め、この劇場は大変バレエに力を入れています。これらのカンパニーの動画も観られそうですね。

さらに、ギャラリーではボリショイやABT、エイフマン・バレエなどの美しい写真も見ることができます。

2007/04/23

FREDDYでウェアを買う

以前もエントリを書きましたが、ミラノ・スカラ座のオフィシャルウェアであるFREDDYが今年の春、日本デビューしました。スカラ座の写真展をやったり、4月14日に開かれた直営店(表参道)のオープニング・パーティには、ミラノ・スカラ座のマルタ・ロマーニャ、ミック・ゼーニ(「ドン・キホーテ」に主演する二人)、アレサンドロ・グリロ、それから首藤康之さんや本島美和さんらが出席したそうです。

新国立劇場のオフィシャルサイトの本島さんの近況のところで、パーティに出席した本島さんの写真が載っていますね。いつ見てもとても美人です。彼女はFREDDYのイメージキャラクターを務めるそうです。サントリーのDAKARAの愛らしいピグリンのCMといい、大活躍ですね。

話をFREDDYに戻すと、先日、渋谷の西武百貨店の地下にあるFREDDYのショップに行ってきました。スポーツウェアコーナーの一角という感じで、そんなに広い店舗ではないのですが、さすがイタリアのブランドだけあって、とてもファッション性が高くて素敵です。色使いも、日本のブランドにはないシックできれいなものだし、形もカッコいい。その上、インポートものにありがちな質がいまいち、ということもなくクオリティも高かったです。ダンスウェアということですが、街でも着られるものばかり。本当のバレエウェア的な、レオタードやタイツ、バレエシューズなどの扱いはなく、カットソー、パンツ、パーカー、レッグウォーマー、アンダーウェアなどがあります。カットソーの中には、スカラ座のロゴが入っているものもあります。バレエ団のTシャツと考えるとちょっと高いですが、色の美しさ、質の良さを考えれば決して高くないかも。

で、ついつい、あまりにも色がキレイで形が可愛いので、ちょっと渋い紫ピンクのフリフリのミニスカートを買ってしまいました。バレエの練習着としてレオタードの上にも着られるし、ジーンズやレギンズと組み合わせて街でも着られます。それとブルーのカシュクールを買いました。ピンクとブルーの組み合わせって普段なかなかしないのですが、不思議にここのは合ってすごく美しいんですよね。(着る人本人はさておき)スカラ座のダンサーのポストカード5枚組みをおまけにもらいました。サイトに載っている写真と同じモノクロのスタイリッシュなものです。

やはりスタイルが良くないと似合いません。なので、とりあえず冬の間にすっかり蓄積してしまった脂肪を取り除くべく、ビリーズブートキャンプとWiiスポーツで運動する日々です。ビリーズブートキャンプは、めちゃめちゃキツイですが、やっていくうちにハイになってとても楽しいですね。今日も会社の同僚の家でやりました。頑張ります。

2007/04/22

「バレエ・ダンサー」ルーマ・ゴッデン

カテゴリとしては、児童書に分けられている一冊だけど、人生の喜びと苦しみ、家族愛と葛藤を描いたほろ苦い物語でもあり、大人にとっても読み応えたっぷり。筆者のルーマ・ゴッデンは元バレエ教師であるため、バレエへの愛と深い理解が感じられる作品。バレエの世界に魅せられた人なら誰でも面白く、そして時にはほろりとしながら読めると思う。

デューンは、5人兄弟の末っ子で一番ちっちゃい、みそっかすの男の子。姉のクリステルの付き添いでバレエ教室に足を踏み入れた日から、バレエの虜となる。両親、特にダンサーを夢見ていた母は、美人で体型にも恵まれたクリステルを甘やかし溺愛するが、男の子のデューンがバレエを学びたがるなんて夢にも思わなかった。だけどバレエの神様に愛されたデューンは天才的な才能を発揮し始め、両親の無理解、兄たちによるいじめなどの困難、お金の問題、そして何よりも彼の才能に嫉妬するクリステルの妨害をも、ものともしない。周囲の心優しい大人たちが守護天使となり、羽ばたいていくデューン。一方、入学したロイヤルバレエスクールでも、その美貌と技術で際立った存在のクリステルは、どんどんダークサイドに足を踏み入れていき、同じくロイヤルバレエスクールに入ったデューンをつぶそうと、さらに妨害工作をし始めるのだった。。

*****

デューン少年のけなげさに、まずは涙、涙。みそっかす扱いの彼は、家の中に居場所がなく、寂しい毎日を送っていたところ、父の青果店の使用人ベッボーが曲芸と音楽を教えてくれ、そしてクリステルのバレエ教室でバレエと出会い、レッスンピアニストのミスタ・フィリックスと親しくなって、めくるめくバレエの世界に目覚めていく。バレエの神様に愛されたデューンは、ぐんぐん才能を伸ばし、どんな困難や、愛する人たちとの悲しい別れにも負けずに一歩ずつバレダンサーへの階段を上っていく。素直で健気な彼の、眩しいまでの成長ぶりをページを繰りながら見守っていくのは、本当にすがすがしくて、彼の幸福を共有できる素敵な読書体験。いつまでも、ベッボーやミスタ・フィリックスのことを忘れないのが素敵。誰だって彼のことは応援したくなるだろう。

だけど、光があれば影があり、影として存在しているのがクリステル。光が眩しければ眩しいほど、影もより一層濃くなる。ただ一人の娘として両親に溺愛され、蝶よ花よとちやほやされ、甘やかされたクリステルは、デューンとは対照的な、陰険でずる賢い女の子に育ってしまった。たった一人の弟なのに、自分より才能があることに気が付くと、彼を蹴落とすことに全力を尽くす。普通にしていれば、美しくスタイルも良く技術もあってバレリーナのエリートコースを歩いていけるのに。読んでいくうちに、なんてイヤな女の子かと思った。少女漫画に出てくる、典型的な主人公を虐める意地悪な美少女そのものなのである。下巻で同じロイヤルバレエスクールに通い始めてから、行為はエスカレートする。家が貧しく学費が払えないからと、デューンにバレエスクールを辞めさせるように工作する。本当は貰われっ子だと嘘を言ってショックのあまり舞台出演を辞退させる。しまいにはバレエシューズで殴るなどの虐待行為。超イヤ~な女であり、憎むべき敵であるように思える。

だけど、彼女がデューンに向けた意地悪はすべて彼女自身に跳ね返って、彼女を深く傷つける。心優しいデューンは、姉にどんなに虐められても、姉のことを愛しているし許してしまえる。親の愛に恵まれなかった分、周囲の人たちに愛され、寛大な心を持つことができたから。クリステルの心の葛藤と闇、内なる善と悪との戦い。そしてこの二人兄弟への問い=バレエをどれだけ愛することができるか、という思いが丹念に描かれている。下巻は、完全にクリステルが主人公となっている。

そして、バレエに子供たちが熱中するうちに、家族の中で生まれる溝、亀裂、それを上回る喜びもあるけれども、溺愛してきたクリステルが巣立っていく時の母の痛みや寂しさも、苦しいほど伝わってくる。

それにしても、何千人の中から選ばれてバレエスクールに入ることができても、そこから先はなんという厳しい世界だろう。親しい同級生が何人も辞めさせられたり、また自分の意志で去っていく。しっかりとしていて、将来を期待され、確かな技術を持っている子でも、あまりものプレッシャーに押しつぶされて学校を後にする。

二人を教えていたミス・グリンの、ロイヤルバレエスクールについての言葉が印象的だ。
「うまくいって7,8年、自分の踊りを、少しでも良くしようと、もがき苦しみ、それでもバレエが好きでたまらないからほかの子供たちが好きなことや、やっていることを、なにもかもあきらめる決心をして、そのあげく、一番ささやかな、たぶん、誰の目にもとまらない役を、それを踊るという名誉だけのために踊るんです」

長く険しい道を駆け上った後の、デューン少年のその後が知りたい。


さて、実際のバレエ界には、姉弟や兄妹でバレエダンサーとなっているケースがかなり多い。大抵は、デューンの場合と同じで、姉もしくは妹のレッスンを観に行っているうちに自分もやりたくなったというケースである。すぐに思いつく例だと、ABTのアンヘル・コレーラ(と姉のカルメン)、エルマン・コルネホ(と姉のエリカ)。それに、ポリーナ・セミオノワと兄のドミトリー・セミオノフなどもある。きょうだいで同じカンパニーでバレエを踊るのってどういう気持ちなんだろうって考えてしまう。特にアンヘル、エルマン、ポリーナはそれぞれ大スターで、もちろん彼らの姉や兄も素晴らしいダンサーなのだけど、年齢が下の方がより成功しているとなると。。3組とも、きょうだいの仲はとても良いようだけどね。

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2007/04/21

「パンズ・ラビリンス」El Laberinto del fauno

今年のアカデミー賞の撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞し、外国語映画賞、作曲賞、脚本賞にもノミネートされた作品。「ミミック」などのホラー映画や「ブレイド」「ヘルボーイ」などのアクション、そして同じくスペイン内戦を舞台にした「デビルス・バックボーン」で知られるギレルモ・デル・トロ監督の作品。

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1944年、内戦が繰り広げられているスペイン。内戦で父親を失った少女オフェーリアは、身重の母と、新しい父であるファシスト軍の"大尉”の基地がある山まで旅する。妊娠中毒症で体調の悪い妻の身体を気遣うよりも、跡継ぎ息子は自分のそばで生まれるべきだとする、超マッチョで残忍な大尉を父と思うことはできないオフェーリアは、現実を逃れ小説の世界に魅せられていた。虫の姿をした妖精に導かれたオフェーリアは、牧神パンのいる迷宮へと導かれる。パンの話では、オフェーリアは遠い昔に地下の魔法の世界に君臨し、夢見た地上で亡くなったお姫様の生まれ変わりだと言う。本当にお姫様であることを証明するための3つの試練に耐えられれば、魔法の世界に帰れるのだ。オフェーリアは、困難な試練に立ち向かうが、彼女を取り巻く現実の世界は、恐ろしいファンタジーの世界よりもずっと過酷でつらく哀しいものだった・・・。

*******

この映画の表現、イマジネーションの肥沃さには舌を巻く。眼が手にある白い化け物の屋敷には、ゴヤの後期の「黒い絵」を思わせるグロテスクで残酷な絵が飾ってあり、子供たちの靴が大量に積まれていて、人食い鬼であることを連想させる。食卓の葡萄のシャーベットのような輝きを見ると、オフェリアが禁を破ってつい食べたくなってしまう気持ちがわかる。オフェリアの試練を伝える本の、空白のページにみるみるデカタントな文字や絵が描かれていく様子も美しいし、母が出血している時に本からも血が流れているといった表現もショッキングながら美しい。この血のシーンや、ラストの血は、少女の破瓜のメタファーであるようにも思える。パンに渡された、マンドレイクルート(これが根っこのくせに人間のような形をしていて、うねうね動いたり悲鳴を上げたりするのだ)を牛乳に浸し、オフェリアが血を数滴与えるところもそう。徹底的なフェティシズムに貫かれている映画なのだ。

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美しいファンタジー映画ではある。幻想の場面に出てくるクリーチャーたちの、グロテスクだが美意識が感じられる独創的な造形。ダークでゴシックで魔術的な、悪夢のように恐ろしく時には残酷だけどどこか懐かしい迷宮。不思議の国のアリスのようなグリーンのドレスとエプロンを身に着けたオフェリアの無垢な愛らしさ。しかし幻想の世界が美しければ美しいほど、現実のあまりの苛酷さが際立つ。

小さな女の子が生きていくには、あまりにもつらい環境。継父である大尉は、残虐を絵に描いたような男で、ゲリラの疑いが少しでもある人間は、容赦なく拷問を加えた上で殺す。趣味が拷問と殺人じゃないかと思えるくらいで、トンカチや錐、ペンチといった道具を手に持ったときのぞっとするような嬉しそうな表情といったら。

小さな女の子が主人公の映画ではあるけど、正視できないような残酷なシーンもたくさんあるし、大尉は虫けらのようにサディスティックに人を殺しまくる。だけど、おそらく実際のスペイン内戦では、これ以上の残虐が行われたのだろうなと思わせられた。だから、これらの残酷描写は必然的なものであったのではないかと思う。(が、さすがに子供には見せられない)

オフェリアは、パンに課せられた試練に立ち向かうために戦う。ぐちゃぐちゃの泥まみれになったり、気持ち悪い虫に体中を這いまわされたり、眼が手のひらにある恐ろしい化け物に追いかけられたり、大変な目に遭う。だけど、そんなことは、現実のつらさを思えば・・。だって、ここではまだ戦うことができるのだから。どうにもならない絶望的な現実を乗り越えるために、オフェリアはおとぎ話の中で戦い、そしてその戦う姿勢は、やがて現実でも貫かれる。最初は現実逃避だったかもしれない。リアルの世界は、とても生き抜くことはできないくらい、つらいのだから。だけど、幻想の世界も決して甘くはない。

リアルと幻想、この二つの世界が少女の中で溶け合いひとつになり、奇跡をもたらす。

この映画は一種「女性映画」という側面も持っている。主要な女性の登場人物は3人。オフェリアと、オフェリアの母カルメンと、大尉のメイド頭であるメルセデス。カルメンは、内戦の中で生きていくために、残忍で、彼女自身よりもお腹の子供の方が大事だと思うような大尉と結婚する。終盤にオフェリアにカルメンはマンドレイクを火にくべながら言い放つ「魔法なんて存在しない。人生はつらくて哀しいものなのよ」

一方、メルセデスはどんな試練をも乗り越えられる強さと優しさを持ち合わせた、女豹のような女。大尉に仕えているが、実はゲリラが送り込んだスパイである。スパイであることはオフェリアに見抜かれるけど、オフェリアと信頼関係で結ばれ、「いつかあなたを迎えに来るから」と言って去り、そしてその約束を守る。大尉の恐怖政治におびえる使用人たちの中で、ただひとり堂々と渡り合える毅然とした女性。オフェリアにとってはひとつの理想像であろう。

オフェリアはファンタジーの世界の中での冒険、そして凄惨な現実の中で、恐ろしいほどの速さで成長する。母性すら獲得していく。自分が正しいと信じた道は、たとえ母や牧神パンに間違っていると言われても、貫き通す強さが輝いている。最後に彼女が行った選択。小さなかわいい女の子がこんな道を選ぶことができるなんて・・・涙があふれる。それでも残された小さな希望は、現実と幻想が交錯したフェアリーテールならではのもの。

見事な環をなした構成。恐るべき美意識と完成度の高さ。公開は秋(恵比寿ガーデンシネマ)とかなり先。眼をそむけることはあっても絶対に観てほしい映画である。

http://www.panslabyrinth.jp/

2007/04/20

マラーホフ、ニジンスキーを踊る 詳細決定

マラーホフと東京バレエ団による「マラーホフ、ニジンスキーを踊る」の詳細が発表されました

まずは「ジゼル」

2007年9月7日(金)7:00p.m.
(ジゼル:斎藤友佳理、アルブレヒト:ウラジーミル・マラーホフ)
2007年9月9日(日)3:00p.m. 
(ジゼル:吉岡美佳、アルブレヒト:ウラジーミル・マラーホフ)

ゆうぽうと簡易保険ホール

■入場料(税込)S=14,000 A=12,000 B=10,000 C=8,000 D=6,000 学生券=3,000 (NBSのみで受付)
エコノミー券=5,000 (イープラスのみで受付)

■前売開始日:2007年5月26日(土) 

あの~「ジゼル」小出さんがとても似合いそうなんですが、彼女のジゼルデビューはお預けなんでしょうか?そろそろユカリューシャには引退してほしいです。
「ラ・シルフィード」の特典でマラーホフが東京バレエ団の若手を指導するレッスン見学会、とあったので抜擢があるかと思いましたが残念です。(ラ・シルのチケットは取っていませんが)

私は吉岡さんの日を観ると思うのですが、脇がセカンド・キャストっぽいですよね。ソリストは発表になるまでわかりませんが。

<ニジンスキー・プロ>
  「レ・シルフィード」「薔薇の精」「牧神の午後」「ペトルーシュカ」


2007年9月12日(水)7:00p.m.[キャスト(A)]
2007年9月13日(木)7:00p.m.[キャスト(A)]
2007年9月14日(金)7:00p.m.[キャスト(B)]
2007年9月15日(土)3:00p.m.[キャスト(B)]

東京国際フォーラム ホールC

■入場料 S=14,000 A=12,000 B=10,000 C=8,000 D=6,000 学生券=3,000 (NBSのみで受付)
エコノミー券=5,000 (イープラスのみで受付) 

■前売開始日:2007年5月26日(土)

こちらは、細かいキャストまで出ています。

【キャスト(A) 9/12,13】

  『レ・シルフィード』
      詩人:木村和夫
      プレリュード:小出領子
      ワルツ:西村真由美
      マズルカ:奈良春夏
  『薔薇の精』
      薔薇の精:ウラジーミル・マラーホフ
      少女:吉岡美佳
  『牧神の午後』
      牧神: 後藤晴雄
      ニンフ:井脇幸江
  『ペトルーシュカ』
      ペトルーシュカ:ウラジーミル・マラーホフ
      バレリーナ:長谷川智佳子
      ムーア人:平野玲
      魔法使い:高岸直樹

【キャスト(B) 9/14,15】
 『レ・シルフィード』
      詩人:ウラジーミル・マラーホフ
      プレリュード:吉岡美佳
      ワルツ:長谷川智佳子
      マズルカ:田中結子
  『薔薇の精』
      薔薇の精:大嶋正樹
      少女:高村順子
  『牧神の午後』
      牧神: ウラジーミル・マラーホフ
      ニンフ:井脇幸江
  『ペトルーシュカ』
      ペトルーシュカ:中島周
      バレリーナ:小出領子
      ムーア人:後藤晴雄
      魔法使い:高岸直樹

こちらの方は、両方とも良いキャストですね。中でも中島周さんのペトルーシュカは必見ですね。後藤晴雄さんの牧神にも興味しんしんです。大嶋さんの妖しい薔薇の精がまた観られるのも嬉しいし。A,Bプロとも見逃せません。


なお、ついでですが「ラ・シルフィード」のソリストのキャストも発表されました。

シルフィード:斎藤友佳理(6/28)、吉岡美佳(6/29)
ジェームズ:高岸直樹(6/28)、木村和夫(6/29)
エフィー:長谷川智佳子(6/28)、西村真由美(6/29)
ガーン:大嶋正樹(6/28)、中島周(6/29)
マッジ:平野玲(6/28,29)
パ・ド・ドゥ:小出領子-後藤晴雄(6/28)
       高村順子-古川和則(6/29)
シルフィード(ソリスト):高木綾、奈良春夏、吉川留衣(6/28)
             乾友子、田中結子、前川美智子(6/29)

観ないつもりでしたが、キャストが出るとちょっと観たくなります。もちろん観るとしたら二日目ですが。大嶋さんのガーンが見られないのが残念ですが仕方ありません。西村さんのエフィー、前川さんのソリストは良さそうですね。

それと開始時間が7時になったのは本当にありがたいことです。勤め人が6時半に上野に行くのは大変なことですからね。私は平日に6時半上野は、たとえ定時に帰れたとしても無理なので、なるべく避けていました。五反田、有楽町、初台でギリギリというところなので。海外みたいに7時半や8時だともっと助かりますが・・。やはり最大多数の東京在住の人間のことを考えてほしいものです。
「ジゼル」、「ラ・シルフィード」は全幕ものにしては上演時間短いですし、前回のディアギレフプロなどは1時間半くらいしかありませんでしたので、終わったら8時くらいでしたから、特にこういう演目は遅めにしていただくとありがたいです。

シルヴィ・ギエムの注目発言

シルヴィ・ギエムが4月18日、BBCラジオのFront Rowという番組に出演したときの発言です。(ちなみに、今週の間はBBCのサイトで聴くことができます)

インタビューア:最近あなたは、もうゲスト・アーティストとしてもロイヤル・バレエの舞台には立たないと発言されましたね。もうクラシック・バレエは踊らないのですか?

ギエム:いいえ、クラシックを踊りたくないとは言っていません。私はただ、今の芸術監督(がモニカ・メイスン)である限りは、ロイヤルの舞台には立たないと言っただけです。私が言ったのは、今までのレパートリーのうちで、もう踊らないと決めている作品がたくさんあるということ。非常に若いときから古典作品を踊り続けていて、レパートリーからのほとんどの作品を何回も踊らなくてはならなくて、そういうのはもう嫌だということです。舞台に立っていてもすっかり退屈してしまって、「私はいったいここで何をしているのかしら」と絶えず自問していました。私がやっていることは、どうでもいいことで、重みは全然なく、ただ肉体的なことだけでした。もうそんなことには興味がないのです。

いろんな意味に取れる発言ですね。ロイヤルの芸術監督が変わったら、再びロイヤルの舞台に立つことがあるのかもしれませんね。ロイヤルも、ウェイン・マクレガーを常任振付家に選んだり、ホワイト・ストライプスの曲を使った作品を上演したり、変わって行っているので、シルヴィの復帰もあり得ないことではないかもしれません。

ボリショイxマリインスキー「ロシアバレエの煌き」日程&ブログ

ボリショイとマリインスキーの若手ダンサーが多数共演する「ロシアバレエの煌き」、しばらく続報がなく、本当にやるのか不安になってきたころに、日程が発表されました。いつの間にかサイトも情報量が増えていたりして。なにげにアーティスト写真なんかも載っています。

8月30日(木)18:30<Aプログラム>
9月 1日(土)13:00<Aプログラム>
9月 1日(土)18:30<Bプログラム>
9月 2日(日)14:00<Bプログラム>

5月中旬に詳細発表、6月16日(土)にチケットが発売されるそうです。

そして、公式ブログがスタートしました。今回はseesaaを使っているんですか・・・。ジャパンアーツは、マリインスキーの来日公演のときにかなり充実したブログを展開してくれたので、今回も楽しみです。近々、この公式ブログでも紹介されている新しいチラシが夢倶楽部会員宛に送られるそうなので、楽しみにします。

***

ブログでも触れられていますが、ちょうどマリインスキー国際バレエフェスティバルが開催中ですね(22日まで)。
http://www.sptimes.ru/index.php?action_id=2&story_id=21329
の記事にいろいろ詳しいことが書いてあります。
ゲストとしてマチュー・ガニオがオレシア・ノーヴィコワと「ジゼル」を踊ったり、コボー&コジョカルのカップルがラヴロフスキー版の「ロミオとジュリエット」を踊ったり。出演予定だったジョゼ・マルティネスとアニエス・ルテステュは、ルテステュの怪我で残念ながらキャンセルとなってしまったようです。

マチューとオレシアのジセルの写真がここにあります。オレシアも、今回の来日メンバーに入っていますね。12月の来日の時には、清楚な美人なのに気が強そうでちゃきちゃき踊っていましたが、写真を観る限りでは意外とジゼルが似合っています。

明日20日金曜日は、サラファーノフと、ボリショイのナタリア・オシポワによる「ドン・キホーテ」が予定されています。元気いっぱいの若い二人なのですごいことになりそうですね。

最終日のガラについては、ロシアのバレエ団情報さんのエントリーがとても詳しいので、そちらをご覧ください。マリインスキー・フェスティバルの詳しい情報や写真もたくさん載っています。

2007/04/19

ロベルト・ボッレ&アレッサンドラ・フェリ、ハンブルクで「椿姫」

ロベルト・ボッレの公式サイトのスケジュールの項目を見たら、7月10日、11日はハンブルクでフェリと「椿姫」を踊る、と書いてあります。

ハンブルク・バレエ公式サイトのカレンダーを見たところ、「ゲストカンパニー」としか記述しておらず、これを見ただけでは何とも言えませんが、符合はしているので、この二人がハンブルクで踊るということなのでしょう。気になるのは、この「椿姫」のフェリとボッレ以外のキャストが誰かということですね。バレット・ターゲ(バレエ週間)の真っ最中なので、もしかしたら、ハンブルク・バレエで主役がこの二人という可能性もありそうです。

フェリとボッレは、7月22日、24日、27日とラヴェンナ他でガラに出演した後、8月2日からの日本公演ということで、かなり忙しいスケジュールですね。

当初の予定では、7月7日までハンブルクにいる予定だったので、もう少し延ばせばこの二人の椿姫も観られたんですね。さらに悔しさ倍増って感じです。おそらくはフェリの最後の全幕の舞台になるでしょうから、せめて収録してDVD化でもして、と思うわけですが。

************

ハンブルク・バレエ関連の情報をもうひとつ。現在、ノイマイヤーは「ニジンスキー・プロジェクト」のための募金を集めています。ノイマイヤーがバレエ・リュス、特にニジンスキーのコレクターであることは有名な話で、ピカソやバクストの作品、ストラヴィンスキーやラヴェル関連をはじめとした彼のコレクションは世界最大のものとなっています。以前NHKのハイビジョンで放送されたノイマイヤーの特別番組でも、コレクションの一部が紹介されていました。ノイマイヤーは今年の二月にノイマイヤー基金を設立して、このコレクションを充実させ一般公開していこうと考えました。

ニジンスキーが狂気に蝕まれ始めた1917年から19年の間に描いた絵画などが、ニジンスキー家のコレクションとして売りに出されており、ノイマイヤーはその貴重なコレクションを買ってコレクションに加え、ハンブルク市に委嘱して展示をしたいと考えているようです。ただし、それはかなりのお値段がするようで、資金が不足しているとのこと。ノイマイヤーのために、2007年6月までこのコレクションは予約されており、75万ユーロという価格だとのこと。つまり、6月末までに1億円ほどの金額を集めなければならないとのことです。これが買えれば、ハンブルクには素晴らしいニジンスキーコレクションが完成し、常設展示も可能になるとのこと。お金のある方、ぜひ寄付してあげてください!

詳細 http://www.hamburgballett.de/projekt_nijinsky.pdf(ドイツ語ですが、ニジンスキーの美しい写真や、独特の絵画作品を見ることができます。

ABTのMETシーズン、オープニング・ガラ

5月14日に開催される、ABTのMETシーズン、オープニング・ガラの詳細が発表されました。
これでオーケストラ席125ドルは安いと思われます(ただし、オーケストラとパルティレ=2階席はソールドアウト)
http://www.metoperafamily.org/metopera/season/abt/

・ラ・バヤデール 2幕抜粋 La Bayadère Act II excerpts: Company
・眠れる森の美女 抜粋 The Sleeping Beauty excerpts: Irina Dvorovenko, Veronika Part, Diana Vishneva, Michele Wiles, Maxim Beloserkovsky
・Piece d'Occasion: Lang- Lang
・ロミオとジュリエット バルコニーシーンPDD Romeo & Juliet Balcony PdD: Xiomara Reyes, Erica Cornejo
・マノン 1幕PDD Manon Act I PdD: Julie Kent, Jose Manuel Carreño
・白鳥の湖 3幕PDD Swan Lake Act III PdD: Nina Ananiashvili, Angel Corella
・オテロ 3幕PDD Othello Act III PdD: Alessandra Ferri, Marcelo Gomes
・ラ・バヤデール 1幕抜粋 La Bayadère Act I excerpts: Paloma Herrera, Gillian Murphy, David Hallberg, Ethan Stiefel

さすがにオープニングは豪華ですね。あの天才ピアニスト、ラン・ランのゲスト出演もあります。
また、「眠れる森の美女」と「ラ・バヤデール」1幕抜粋は、主役級のダンサーが複数出演しているので、果たしてどういうことになっているんでしょうか。特に眠りはドヴォロヴェンコ、パールト、ヴィシニョーワ、ワイルズとなかなかすごいです。
「ロミジュリ」のエリカ・コルネホはエルマン・コルネホの間違いですね、たぶん(笑)
「白鳥の湖」の3幕PDDで、ニーナがABTの舞台に復帰します。相手役はアンヘル(日本公演でもこの二人の組み合わせを観てみたかった!)

ドレスアップしたセレブが大挙して駆けつける豪華なオープニング・ガラ、一度は観てみたいですがNYに引越ししない限り無理かな?

サンディエゴ美術館Annie Leibovitz A Photographer's Life, 1990-2005

サンディエゴ出張ではあまり自由時間はなかったけど、コンベンションが始まる前の1時間を利用し、バルボア・パークにあるサンディエゴ美術館まで行ってきた。バルボア・パークは広大な公園で、有名なサンディエゴ動物園をはじめ、メキシコ風の雰囲気を残す多くの博物館が点在する、緑豊かで広々とした憩いの場。美術館も、壁面に細かな彫刻がなされていてとても美しい。

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実はここで何をやっているのかわからないまま行ってみたら、ちょうどアニー・リーボヴィッツ展が開催中で、ラッキー、と思った次第。アニー・リーボヴィッツは、現代アメリカでもっとも有名な女性写真家の一人。非常に有名な、裸のジョン・レノンがオノ・ヨーコの横で寄り添うように丸まっている写真や、デミ・ムーアの妊婦ヌードなどを撮影している。展覧会のイメージ写真は、なんとミハイル・バリシニコフだった。

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今回の展覧会は、Annie Leibovitz: A Photographer's Life, 1990・2005と題されたもので、昨年ブルックリン美術館で開催された回顧展が巡回してきたもの。この展覧会を基にした写真集も発売されている。
展示は大別して3種類の写真が展示してあり、有名なセレブレティを撮影したポートレート、報道写真、そして彼女の家族や親しい人を撮影したものの三本柱となっている。

サンフランシスコで開催された時のインタビュー記事が、内容について詳しく触れている。

もともとローリング・ストーン誌の報道カメラマンとして出発した彼女のポートレート写真は、単なるポートレートではない。初期は報道写真的に対象を撮影していたが、この写真展での写真が撮影された90年代以降は、よりコンセプチュアルな写真が中心となる。まだ売れっ子になる前の若さでギラギラしているブラッド・ピット、当時恋人同士だったジョニー・デップとケイト・モスがベッドに横たわる写真、妊娠中のデミ・ムーアを後ろから抱きしめるブルース・ウィリスの手、ロバート・デニーロとアル・パチーノが同じ日に撮影されてながら決して一緒には映っていないポートレート、輝くように美しいニコール・キッドマンや、ヴァンプのようなスカーレット・ヨハンソン。スタイリッシュなジェイミー・フォックス。どれもこれもひとひねりある写真ばかりだ。

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報道写真では、ルワンダの虐殺での、犠牲者の血によって残された足や手の跡、サラエボで爆弾によって吹き飛ばされた子供の自転車など、直接的な死を捉えることを避けながらもそれ以上に、そこで起きたことを衝撃的に伝えているのが印象的だった。

しかしやはりこの展覧会の白眉は、彼女のパーソナル・ライフを伝えたものだろう。老いていく両親と、父の死。女性たちの写真ばかりを集めた写真集の表紙は、老いた母のポートレート。そして、著名な批評家スーザン・ソンタグ。

アニーとスーザンが親しかったことは知られていたのだが、スーザンが亡くなってようやく、二人は恋愛関係にあったことが明かされる。1988年からソンタグの死、2004年まで関係は続いた。ソンタグが癌に罹り、病んで衰えていく姿から棺に横たわるまでを克明に記録している。実は後で解説を読むまで二人の関係ははっきりと知らなかったのだが、スーザンを捉える写真からも愛は伝わってきた。

スーザンが死に向かっていくことを知ったアニーは、51歳になって人工授精により妊娠し、娘を産む。この展覧会でも展示されたデミ・ムーアのヌードに対応するように自らの妊婦姿を撮るアニー。とてもそんな年齢の母親から生まれたとは思えないくらい可愛らしい娘サラ。さらにソンタグの死、その数週間後の父の死を経て、アニーは今度は代理母によって双子に生を与える。日本では到底考えられないような、議論を呼ぶ行為であるが、生というものについて、深く考えさせられる。

以前東京でもアニー・リーボヴィッツの大規模な展覧会が開催された。この展覧会もぜひ開催してほしいな、と切に思う。図録を買って帰ろうかと思ったが、帰りの荷物の重さを考えて断念。すると、日本のアマゾンで、現地で買うよりも安い値段で扱っているではないか。

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2007/04/17

クリストファー・ウィールダンのカンパニーMorphosesの詳細

クリストファー・ウィールダンの新カンパニー、Morphosesがいよいよ始動と、ダンサーブログthe wingerで、ウィールダン自身が語っています。

その前に、ボリショイで新作Elsinoreのプレミアを行い、さらにシアトルとボストンで「ポリフォニア」、NYCBとサンフランシスコ・バレエで「カルーセル」、ワシントン・バレエで「Morphoses」を上演するなど多忙を極めていたとのこと。

新カンパニーMorphosesの参加メンバーは、豪華この上なく、NYCBのウェンディ・ウェーランとマリア・コウロスキー、ロイヤル・バレエのアリーナ・コジョカルとヨハン・コボー、ABTのアンヘル・コレーラ、バレエ・ボーイズ、ボリショイのアナスタシア・ヤツェンコ、サンフランシスコ・バレエのゴンザロ・ガルシア、レティシア・ジュリアーニ(フリー)、ハンブルク・バレエのティアゴ・ボーディンとエレーヌ・ブーシェ。アンヘルはバランシンのAllegro Brillianteを、ロイヤルのアレクサンドラ・アンサネッリと踊るそうで、他に「アフター・ザ・レイン」、「ポリフォニア」、フォーサイスの作品などを上演するそう。ウィールダンは、中でも新作Elsinoreを踊ったボリショイのヤツェンコをこの上なく美しいと絶賛しています。

追記:このカンパニーの最終的な目標は、パーマネントカンパニーであるけど、まずこの夏はpick up groupとして活動するとのことです。

「なぜ、20人のダンサーで小さなカンパニーを作ろうと思ったのか」という質問に対しては、その理由はサンフランシスコ・バレエで「カルーセル」の振り付け指導を行っているときに実感させられたとのこと。主役を踊ったダンサーのうち二人はコール・ドの女性だったけど大きなインスピレーションを与えられ、振り付け指導をして作品を作り上げていき、ダンサーが成長していくのを見る喜びをこれほどまでに感じたことは無かった、とのことです。

ウィールダンのエントリーはとても興味深いのでぜひお読みください。Morphosesを観られるロンドンやNYの観客が羨ましいです。いつか日本に来る日があるんでしょうか。日本はバレエ系のコンテンポラリーにとってなかなか難しい市場ですからね。

Morphosesと平行し、オーストラリア・バレエでの「アフター・ザ・レイン」、ヒューストン・バレエでの「Carnival of The Animals」の振り付け指導を行い、さらにNYCBでオスカー・ワイルドの童話を基にした新作The Nightingale and The Roseを創作すると、ウィールダンは非常に精力的に動いています。

マリ=アニエス・ジロのLEON HATOT広告

東京バレエ団の「ドン・キホーテ」を観に行った際に、東京文化会館でフリーマガジン「プレイビル日本版」をもらってきた。会社の昼休みにパラパラとめくっていると(オペラなどの海外情報が充実していてなかなか面白い)、とても美しい女性の広告写真が。よく見ると、パリ・オペラ座のマリ=アニエス・ジロだった。マリ=アニエスは普段は宝塚の男役でも似合いそうな、男前のキリリとした美女という雰囲気があるのだが、この写真の彼女はとてもフェミニンな感じで、女優やモデル顔負けの美しさ。それでもやはり、白いジャケットという辛口のファッションなのが彼女らしいけど。

LEON HATOTという、1905年に創業という由緒あるスイスの高級腕時計/ジュエリーブランドの広告。今はスウォッチの傘下にあるようだ。和光、日本橋高島屋、シブヤ西武などで扱っているようなので、もしかしたらマリ=アニエスのポスターなどがあるかもしれない。サイトには残念ながら広告ビジュアルはなかったけど、このブランドの目もくらむばかりの美しくゴージャスなジュエリーに目を奪われてしまった。目の保養になることこの上なし。

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2007/04/16

小林紀子バレエシアター8月公演 「ザ・レイクス・プログレス」「エリート・シンコベーションズ」他

☆小林紀子バレエシアターでは、

ニネット・ド・ヴァロワ振り付けの「The Rakes Progress ザ・レイクス・プログレス ~放蕩児レイクの生涯~」を日本初演します。ゲストには、ロイヤル・バレエのヨハン・コボー。

コボーが主演したロイヤル・バレエの「ザ・レイクス・プログレス」については、チャコットのダンスキューブに記事がありますが、なかなか面白そうな作品ですね。

また、新制作としては、ケネス・マクミランの「エリート・シンコペーションズ」。昨年上演して好評だった「コンチェルト」と、同シアターらしい、イギリス色の強い3作品です。


2007年8月24日(金)25日(土)26日(日)3日間
新国立劇場 中劇場

指揮 フィリップ・エリス
演奏 東京ニューフィルハーモニー管弦楽団
衣装・装置協力 英国ロイヤル・バレエ
        バーミンガム・ロイヤル・バレエ

「The Rake's Progress」

振付       ニネット・ド・ヴァロワ
ステイジド・バイ ジュリー・リンコン
作曲       ゲーヴィン・ゴードン
美術       レックス・ウィッスラー
照明       ジョン・B・リード

The Rake      Johan Kobborg(英国ロイヤル・プリンシパル)
The Betrayed girl  島添亮子
Dancing Master   恵谷 彰
Fencing Master/Violinist  *澤田展生
Tayler/Sailor  *奥田慎也
His Friend/Card Player  *中村誠
Bravo    *冨川祐樹
Horn Brower    *冨川直樹
Man with the Rope  後藤和雄/中尾充宏
Jockey  *八幡顕光


「コンチェルト Concerto」

振付       ケネス・マクミラン
ステイジド・バイ・ジュリー・リンコン
作曲       ドミトリー・ショスタコーヴィッチ
美術       デボラ・マクミラン
1st Movement
Principals      高橋怜子 恵谷彰
3Couples      駒形祥子 佐々木淳史 萱嶋みゆき *冨川祐樹 小野絢子 *冨川直樹

2nd Movement
Principals     島添亮子 *中村誠

3rd Movement
Principal Girl    大森結城 /高畑きずな
Principals      高橋怜子 恵谷彰
Principals      島添亮子 *中村誠  他

「エリート・シンコペーションズ」

振付ケネス・マクミラン
ステイジド・バイ・ジュリー・リンコン
作曲 スコット・ジョップリン 他
衣装 イアン・スパーリング

Merle     高橋怜子
Jenny     小野絢子 / 難波美保
Monica     高畑きずな/大和雅美
Vergie     楠本郁子 / 大森結城
Donald     *冨川祐樹 / *中村誠
David      後藤和雄
Eagling    *中村誠
Coleman    冨川直樹
Sleep     *八幡顕光
Jenny J    大和雅美 / 高畑きずな
Judith     大森結城 / 楠本郁子
Drew      中尾充宏
Adams     *澤田展生

*は新国立劇場バレエ団所属ダンサー

キャストは変更の可能性があるとのことです。
なかなか日本では観られない演目なので、とても興味深いです。8月もスケジュールびっしりですが、ぜひ観てみたいと思います。「エリート・シンコペーションズ」は指揮者とラグタイム・バンドが舞台に上がっていて上演する形式になるんでしょうか。

良い作品を上演していますし、新国立劇場のダンサーもたくさん出演しレベルの高い公演を行っているのですから、ぜひ小林紀子バレエシアターには、Webサイトを作って欲しいと切に願うこのごろです。

最高に楽しかった!東京バレエ団4/15 ドン・キホーテ

遅くなってしまったのでちゃんとした感想は後ほど。

最高に楽しい舞台でした。もともと、東京バレエ団の「ドン・キホーテ」は楽しいことで定評があり、今回も二日間ともチケットがソールドアウトでしたが、実際、幸せを感じてしまう逸品。

今回、初キトリの小出さん。しかもバジル役の後藤晴雄さんと結婚以来初の夫婦主演ということで、バレエ団のみんなが応援しているのが伝わってきて、とても暖かい雰囲気。その中で、小出さん、頑張りました。初役なのに緊張感もあまりなく初めてとは思えない。自然体で、周りと調和した可愛くしっかり者のキトリ。踊りはとても正確で、派手なことは何もやっていないけど、足を高く振り上げたりダブル、トリプルでフェッテを回ることだけがバレエではないので。アラベスクできれいにバランスをとったり、フェッテはすべてシングルだけど軸はほとんど動かなくて、余裕を持ってきれいに回ったり。タンバリンのソロでは、背中の柔らかいところを見せたり、さりげなく持てる力をだしているのがいいですね。みんなに愛されているキトリで、好感度が抜群。狂言自殺のところの芝居も達者で、表情はお茶目でかわいいし、バジルとの共犯関係がわかって楽しかった!

ドルシネアとの演じわけもきっちりできていて、こちらは優雅でクラシックで美しかったです。踊りのタイプ的にはこっちの方が合っていたかしら?

後藤晴雄さんは、古典だと時に不安定なところが現れる人なのですが、今回はそれが出なくて良かったです。さすがに愛があるというか、息もぴったりで、片手リフトもばっちり決まりました。すっかりキトリの尻に敷かれているヘタレ系のところも愛嬌という感じで。彼はシェネがとても正確で速く回れるのが良いですね。

木村さんのエスパーダは、リーゼントのヘアスタイルにちょっと笑ってしまいました。でも白い衣装が似合っていて、つま先は相変わらず美しく、1幕2場のジプシー野営地ではエスメラルダも真っ青のタンバリン技を見せてくれたり、真面目そうだけど端正で素敵な(たまに変態入るけど)エスパーダでした。ふわっと浮かび上がるマネージュにも至福感が漂います。マント捌きがもう少しうまくなれば言うことなし。

奈良さんのメルセデスは初役。はっきりした大変な美人でスタイルもいいのでさっぱりとしたお色気があってなかなか似合います。初役なので、役作りはまだこれからという感じですが、闘牛士の刺した剣の間をパドブレで通り抜けるところも余裕で踊っていたし(1本上手く刺さっていなかった)、度胸がありそうなので今後がとても楽しみです。

やはり特筆すべきなのが井脇さんのジプシーの娘。前に観た吉岡美佳さんのジプシーは情念系で湿度がとても高かったのですが、さすが井脇さんは強さが前面に出ていて、哀しい運命を背負っていても、それと戦ってきた女の意志が感じられてとてもドラマティックでした。艶やかでカッコいい。驚異的な背中の柔らかさはここでも発揮されていて、惚れます。

サンチョ・パンサの高橋さんがとっても可愛かったです。トランポリンで飛ばされているときにも、ひねりを入れる身体能力の高さ。ゴムマリのように跳ねまくりおどりまくりで、一匹家に飼いたいくらいの愛嬌がありました。古川さんのガマーシュはとても演技が達者だし、踊るところも多くて、見ていてとても楽しい。カーテンコールでの、ロレンツォ役の平野さんとのやり取りが笑えました。

東京バレエ団の自慢の男衆による闘牛士軍団。振付がもう少しジュッテやトゥールザンレールなどが入っていてもいいかな、と思うけどみんなイカシテいました。やっぱりどうしても目が行ってしまうのが大嶋さん。つま先がやっぱりきれいだし、マントさばきも上手。独特の色気を発散しています。中島周さんは帽子を目深にかぶっていて顔が全然見えませんでしたが、一つ一つの動きにメリハリがあって、スタイリッシュ。この二人はさすがプリンシパルの踊り、なのでもっと大きな役も踊ってほしいです。

キトリのお友達の西村さんと長谷川さんも良かったです。特に西村さんはふわっとした柔らかで大らかな跳躍がとても美しい。癒し系の笑顔も素敵で、雰囲気で魅せる人ですね。お友達役だけでなく結婚式のヴァリエーションもあるのですごく大変だと思うけど、最後まで二人とも素敵でした。ドリアードの女王の田中さんは長身のはずなのに、あまり手の長さが感じられなかったのが少し残念。少々硬かったかもしれません。キューピッドの佐伯さんはアンドォールが効いていて、可愛く正確に踊っていて良かったです。

いずれにしても、スピード感があって、元気があって楽しい東京バレエ団の「ドン・キホーテ」はこれからもっともっと観たい演目。白鳥のような少し暗めの演目より、雑多な感じが楽しく明るい今回の演目が、カンパニーの一体感があり魅力を発揮できるようで、向いています。今回ゲストなしで、2回公演でソールドアウトだったことから、もっと公演回数を増やしてもいいと思います。

2007年4月15日(日) 東京文化会館
改訂振付:ウラジーミル・ワシリエフ
舞台美術:ヴィクトル・ヴォリスキー
衣装:ラファイル・ヴォリスキー

キトリ/ドゥルシネア: 小出領子
バジル: 後藤晴雄
ドン・キホーテ: 芝岡紀斗
サンチョ・パンサ: 高橋竜太
ガマーシュ: 吉田和人
エスパーダ: 木村和夫
メルセデス: 奈良春夏
キトリの友人: 長谷川智佳子、西村真由美
ジプシーの娘: 井脇幸江
ドリアードの女王: 田中結子
キューピッド: 佐伯知香

2007/04/15

「善き人のためのソナタ」Das Leben der Anderen

今年度のアカデミー賞外国語映画賞受賞作。その栄誉に相応しい傑作だと思う。

監視国家だった1984年の東ドイツ、ベルリン。国家保安省シュタージのヴィースラー大尉は、ヘムプフ大臣に命じられ、反体制の恐れがある劇作家ドライマンと恋人である女優のクリスタを毎日24時間監視することを命じられる。凄腕の役人であるヴィースラーは、だが彼らを監視するうちに、彼らが愛する芸術と自由に魅せられていく。ドライマンは、演出することを禁止された親友イェルマンの自殺に衝撃を受け、東ドイツにおける多発する自殺についての文章を書き、西側の雑誌に匿名で発表する。この動きをヴィースラーは察知していたにもかかわらず、見逃していたのだ。やがて、文章を書いた犯人探しが始まるとともに、ヴィースラー自身の身にも危機が迫る・・・。

そして、それから数年後、ベルリンの壁は崩れ、世界は変わっていく。


ヴィースラーの人物像の描き方が秀逸。冒頭、政治犯の尋問で48時間もの間眠らせないで、自白させる鮮やかな手腕を見せ、その様子を学生たちに講義しながら、「あまりにも非人道的」と言った学生のところに×印をつける。だが、すべてを仕事に捧げてきた彼の日常はあまりにも寂しく殺風景なものだった。ドライマンとクリスタが誕生日パーティで多くの友人たちと楽しい時間を過ごした後、愛し合う様子まで聞くことになったヴィースラーに、変化が訪れる。権力をかさにしたヘムプフ大臣によってリムジンの中で陵辱されたクリスタが、ドライマンのアパートに届けられたとき、ヴィースラーはわざとその様子がドライマンにわかるように呼び鈴を鳴らす。その一方で、アパートに初めて娼婦を呼び、ことが終わって帰ろうとするときに「もう少しいてくれないか」と頼むようになるのだ。

ドライマンの部屋からヴィースラーはブレヒトの本を盗み、激しくも美しい愛に心を奪われる。イェルマンが贈った楽譜「善き人のソナタ」を、ドライマンが彼の死を悼んで弾いた時、ヴィースラーの目には涙が浮かぶ。

その曲を本気で聴いた者は、悪人になれない、と言われたこのソナタ。

それにしても、なんとヴィースラーという男は切ないことか。東ドイツという国家の体制を信じて、すべてを任務のために捧げてきた。中年となった今もひとりぼっちで、殺風景なアパートで孤独に生活している。通りすがりの子供にも、「あなたはシュタージでしょう」と言い当てられる始末。そしてようやく、監視を通じて、人生の喜びに触れることができたのだ。自分自身ではなく、他の人の人生の喜びを覗くことによって。
この映画の原題はDas Leben der Anderen(他人の人生)という。喜びが自分にもたらされたものではなく、他人のものであっても、それを見て、感じることだけでも幸せになれるということは、哀しいことであると同時に、人生の喜びとはどういうものかということを考えさせてくれる。

そして、彼が取った行動。それは果たして、ドライマンやクリスタを幸せにしたことなのかどうかはわからない。だけど、そこで彼が取った選択は間違っていなかったと信じたい。ドライマンとクリスタに存在していた喜びは、すべて彼から奪い取られていたものだと思ってしまった。しかし・・・・。

ラストのヴィースラーの笑顔と、誇らしげな口ぶり。彼が、他人の人生を見ているだけでなく、自分自身の立派な人生を生きることができたと、自分自身で確信できた幸福な瞬間だった。それは、この映画を、カタストロフィを予測しどきどきしながら観ていた私たちをも至福へと導く。

「それは私のための本だから」


壁が崩れ、すべての監視記録を閲覧できるようになったという新生ドイツはすごい国だ。その記録に残った赤い指紋とコードナンバーから、ドライマンは自分たちを守ろうとした人間の存在を知る。このあたりの演出も心憎い。


どんなに権力に押しつぶされ、裏切られ、自由を奪われたとしても、人間には心がある。そしてそんなひどい世の中でも、芸術が人の心を潤してくれる。たとえ愛するものを、すべてを、命を奪われたとしても、真摯な人間の生き方は人々に影響を及ぼし、世界は変わっていく。そういう希望を感じさせてくれた映画であった。さて、自分はそのような人間になれるものなのだろうか。


ヴィースラーを演じたウルリヒッヒ・ミューエが素晴らしい。冒頭で冷酷に任務を遂行しているように見えても、人間味が隠されていることを感じさせる。非常に寡黙で台詞も少なく、表情の変化もそれほどあるわけではないのに、少しずつ彼の内面が変わっていくことを、抑えた演技で見せて行ってくれる。素晴らしい、美しい目の表情だけで。明確な表情を見せたのは、ラストシーンだけというのが効いている。あの晴れやかで素晴らしい笑顔が、この映画の成功に最大の貢献をしていると思う。
日本では未公開だったコスタ=ガヴラスの傑作「ホロコースト-アドルフ・ヒトラーの洗礼-(Amen)」の、ユダヤ人強制収容所のナチス親衛隊兼医師役も人間味を感じさせて感動的だった。

クリスタというキャラクターも非常に複雑である。そもそも二人が監視されることになったのは、クリスタの舞台を観て彼女の魅力に惹きつけられたヘムプフ大臣が、彼女をモノにしようと考えたことから始まった。ヘムプフ大臣は卑劣にも強引に彼女と関係を結び、脅迫し、そして雑誌記事への関与をドライマンが疑われた時には、彼女の口を割らせようとする。人気女優の彼女に、二度と舞台に立てなくなると脅して。女優という仕事への誇りとドライマンへの愛に引き裂かれるクリスタを演じたマルティナ・ゲデックもとても良かった。「マーサの幸せレシピ」のマーサ役だったのだが、まったく違った印象。ドライマン役のセバスチャン・コッホといい、役者の力がさらに作品のクオリティを上げている。

東京での公開は20日まで。まだの方はお早めに。

http://www.yokihito.com/

2007/04/14

田中好道氏死去/「カーテンコールのこちら側」高円宮殿下

日本舞台監督協会名誉会長の田中好道氏が4月11日に逝去されました。1946年に日本で初めて上演された「白鳥の湖」で舞台監督を務めるなど、バレエやオペラの舞台監督の草分けとして活躍された方とのことです。私のバレエの大先生もこの方にお世話になったとのことで、先日の貝谷典太氏(貝谷バレエ団代表)に続き、お葬式への出席が増えてしまったと悲しんでいました。ご冥福をお祈りいたします。

http://www.jiji.com/jc/c?g=obt_30&k=2007041200032

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田中好道さんのことはちょっと前まで全然知らなかったのですが、Side B-alletのゆうさんに紹介していただいた高円宮殿下対談集「カーテンコールのこちら側」にて、故高円宮憲仁殿下と対談されています。

この対談の中で、田中さんは実は少しの間、旗揚げしたばかりの東京バレエ団(服部智恵子、小牧正英、貝谷八百子ら錚々たるメンバー)で、バレエを踊っており、松山樹子と「シェヘラザード」まで踊ったと話しています。それだけバレエは好きだったというわけで。舞台監督は本当に大変な仕事ではあるけど、緞帳が上がるのが17秒、その瞬間、お客さんが拍手してくれる時の喜び。「そのたった17秒にかけてきた。おれじゃなければできないんだ、やった!」という瞬間、それがあるからこの仕事はやめられないのだと。そんな気持ちで仕事を60年間もできたなんて、なんという羨ましい人生でしょう。

この対談集は素晴らしい一冊です。いかに高円宮殿下がバレエを愛したかが良く伝わってきます。対談相手も大変豪華で、バレエ編はルドルフ・ヌレエフ、マリシア・ハイデ、森下洋子、清水哲太郎。舞台編は市川猿之助、浅丘ルリ子、江守徹、朝倉摂、ワダエミ、キリ・テ・カナワ、蜷川幸雄、中村紘子など。そして、忘れてならないのは、これらスターのほかにも、田中さんはじめ、指揮者の堤俊作、照明家の外崎俊彦、舞台美術家の川口直次といった、舞台を裏から支えるスタッフとの対談もあること。ここにまで目配りを忘れないのが、高円宮殿下のすごいところです。対談の内容からも、いかに彼がバレエという芸術をよく理解し、本気で愛していたかがよくわかります。バレエを観る目も、そのへんの評論家よりもよほど優れています。

そして、彼らの話がとても面白いのです。バレエが好きな人なら膝を打つようなことばかり。堤さんによれば、「白鳥の湖」はシンフォニー4曲分を指揮するほど大変なこと。指揮者は汗をたくさん掻くため、背抜きで腕ぐりが大きな特製のタキシードを着用していること。ヌレエフと森下洋子の「ドン・キホーテ」で振って5キロ痩せたそうです。難しいのは、プロコフィエフやストラヴィンスキー。特に「シンデレラ」の12時のところのヴァイオリンを完璧にするのは至難の業だそうです。そう、実は高円宮殿下は指揮者を志していたそうですね。

照明家の外崎さんの話によれば、最近は日本人の肌の色も白人に近づいてきたとのことです。肌の色をきれいに見せることが腕の見せ所だそうで、白人、特にロシア人は踊っているうちに白い肌がピンクに染まっていくので、青を使えば美しく見える。日本人の少し黄色い肌だと、「ジゼル」の1幕がきれいに見せやすいのだそうです。

絶版となってしまった本ですが、アマゾンのマーケットプレイスで安く買えます。バレエファンには強くお勧めする一冊です。実は持ち歩いているうちに紛失してしまったのですが、素晴らしい本なので買いなおしました。(ゆうさん、素晴らしい本を教えていただいてありがとうございます!)

カーテンコールのこちら側―高円宮憲仁親王対談集カーテンコールのこちら側―高円宮憲仁親王対談集
高円宮 憲仁

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2007/04/13

4/10 東京バレエ団「白鳥の湖」(セミオノワ&フォーゲル)その2

<4幕(3幕)>
4幕は、3幕の余韻も残していて、なかなかいい感じだった。東京バレエ団のゴールスキー版「白鳥の湖」の良いところは、4幕が比較的コンパクトで、しかも王子とロットバルトが本気になって戦うというところ。フォーゲルはここでスイッチが入ったのか、とても鋭くて高いジュッテやアントルラッセを見せてくれて、なんだか急にかっこよくなってしまった。たまに素に戻っちゃったりしているけど。さらに、ポリーナのオデットも、なぜかここで急に儚くおしとやかな白鳥に変身。泣いているマイムを見せたり、抱きしめてあげたくなってしまうほどだけど、そこでもなお色っぽいところがポリーナ。
木村さんとフォーゲルの対決はそういうわけで、なかなかの迫力。ついに翼をもぎ取って大勝利。ポリーナのオデットも、2幕(1幕1場)からこれくらい儚げで繊細だったらもっと良かったのにとつい思ってしまった。だけども、何しろポリーナは素材が素晴らしいし、まだまだ若いので成長の余地はいくらでもあるでしょうし、今後に大きな期待は持てることでしょう。


ポリーナとフリーデマンは若くピチピチしたかわいいカップル!技術のレベルはポリーナが断然上なのだけど、見た目のバランスは良く取れているし、青春ラブラブ白鳥の湖という新しい演目としてみればとても面白い。カーテンコールでもラブラブが持続していて、唇チューまでしちゃうほど。実にスウィートで見目麗しいふたりが微笑ましかったです。

******

<東京バレエ団編>

かなり辛口なことは書きますが、ほとんどの問題は、色あせてしまった上センスが最悪の衣装と、ゴールスキー版のどうしようもない振付なので、ダンサーに罪はほとんどありません。

東京バレエ団の「白鳥の湖」といえば、チーム・スペインによる3幕のスペインがひとつの看板。木村さんがロットバルトだったので代わりに入ったのが平野さん。大島さんが抜けた穴は今日は田中さん。なんといっても井脇お姉さまのメリハリの利いたかっこよくセクシーな女っぷりと、驚愕の背中の反り。扇子の先が毎回床につくほどである。田中さんもなかなか良かったけど、さすがに熟練の井脇さんにはまだ太刀打ちできない。男性陣のほうは、平野さんが素敵なのでずっと平野さんばかり見てしまった。動きがすごくシャープでダイナミック。つま先がきれいだし跳躍も美しい。後藤さんはちょっとパの切れが悪かったような。しかし何度観ても、オディールが走り去った後に間髪なく始まるスペインの踊りにはゾクゾクする。これを観るためにずっと我慢してきたようなもの。

次にロットバルトの木村さん。なぜか私が今まで観てきた「白鳥」では、ロットバルトは毎回高岸さんだったので、初めての木村ロットバルトだった。木村さん、調子が良かったみたいで相変わらずふわっと浮かび上がるジュッテと美しい脚、つま先が健在。翼のはためかせ方も綺麗。が、衣装が黒っぽい上照明が暗いので、せっかくの美脚が拝めないのが少し残念。あと、木村さんは決して背が低い方ではなくむしろ高い方なのだけど、身長190cmのフリーデマンややはり長身のポリーナと並ぶとさすがに少し迫力負けしてしまう。それでも、最後の対決シーンはすごく迫力があって良かった。

だが、誰もが突っ込みを入れるであろう3幕のロットバルトの衣装!ほとんどお仕置きというかイジメに近い。黒鳥のアップリケは前から有名だったけど、木村ヴァージョンともなると、トナカイのような鉄製兜ですよ。おかげで顔が全然見えない。ロットバルトの表情もひとつの見ものなのに。ポリーナやフリーデマンも、よくアレをみて「ぷ」と笑わなかったものだわ。誰がいったいこんな悪趣味な衣装を考えたのでしょうか。

この日はセカンドキャスト。当然ファーストキャストが見たかったのだが、仕事やお稽古の都合でこの日になってしまったのだ。3日間とも平日はかなりつらい。

今回ソリストに昇格した松下さんが、この日の道化。東京バレエ団の道化といえば大嶋さんというイメージが強かったこともあるけど、正直言ってかなりがっかりさせられたパフォーマンスだった。跳躍は高い方だと思うけど、見せ場であるピルエット・アンドォール、足先がすっかりフレックスになっているし膝は曲がっているし、どんどん脚が下がってきてしまうし・・・。技術的に、はなはだ心許ない。愛嬌はあるのでキャラクターとしては道化に向いているのだけど、とてもソリストの踊りとはいえない。今まで観た白鳥の道化の中で最もレベルが低い。道化としての哀しみを見せてくれて、なおかつ端正な大嶋さんで見たかった。

パ・ド・トロワは3人とも良かったと思う。古川さんはやっぱり跳躍が素晴らしいし、高村さんも佐伯さんもとても可愛らしいし踊りは軽やか。高村さんはフリーデマンとからむところがあるのだけど、小柄なのでちょっと大変そうだった。残念なのは、このトロワの振付にまったく魅力がないところ。特に女性二人のパート、この曲にあのアシメントリーな振付はあわないでしょう?せっかく二人とも素敵なのにもったいない。

キャラクターダンスは、スペインが素晴らしいのは前述の通り。チャルダッシュの大嶋さんは、ブーツの中でもきれいにつま先が伸びているのがよくわかって、やっぱり端正で素敵。ナポリは佐伯さんがここでもとても可愛らしかった。マズルカは、気合が入りまくりでダイナミックな中島さんに自然に視線が行く。新プリンシパルの大嶋・中島がこんな小さな役のみなんて、いくらセカンドキャストの日とは言えもったいない!民族衣装のデザインも悪趣味で、特にマズルカはへんな甲冑みたいでなんとかして、と思ってしまった。

ゴールスキー版の良いところその3は、他の版ではあまり踊らない花嫁候補が、華やかにたくさん踊ってくれること。きれいどころが揃っていて、みなとてもよかった。最初に美しいジュッテを見せてくれた西村さんは相変わらず鷹揚で温かみがあって素敵。次に踊った小出さんも端正だし、このパートは良いダンサーをそろえている。

*******

そして問題の、白鳥のコール・ド。揃っているとか揃っていないとかそれ以前に、一人一人がバラバラの振付なので「白鳥の湖」の整然とした幽玄な美しさというものがまったく味わえない、最悪な振付。しかもアダージオのときにも動き回っていたりして、邪魔なことこの上ない。足音はうるさいし。揃っていなければならないところは、きれいに揃っていたのはさすがだと思うし、上半身がきれいな人は多いのだけど・・・。
大きな三羽の白鳥は、悪くなかったと思うけど、この振付では魅力を発揮できなくて残念。問題は小さな四羽の白鳥で、ここの出来は残念ながら非常に悪かったと思う。4人で踊っているとは思えないほどの足音の大きさ。一人が音に乗り遅れており、さらにポアントが落ちたり足を引っ張っていた。発表会以下のレベルかもしれない。新しい団員がたくさん入っていて、十分トレーニングできなかったのだろうか。いくらセカンドキャストでも、ここも見せ場のひとつなのだからもう少し上手な人を使ってほしい。

それと、一番最悪だったのはこの日の演奏である。ひさびさにひどいオケを聴いたと思った。テンポが異様にゆっくりで眠くなりそうだった。大事なところで音は外すし、調子はずれになることもしばしば。オディールのグランフェッテのテンポは異常に早くて、ポリーナがとても踊りにくそうだった。

*****

東京バレエ団はとてもいいバレエ団だと思うし、特にプリンシパルやソリストはみな個性があって素晴らしく、国内ではトップレベルだ。しかし古色蒼然とした衣装や装置、時代遅れでセンスの悪い演出、低レベルのオーケストラ、これらを改善していかないと、せっかくの素晴らしいダンサーたちが気の毒である。バレエは総合芸術であり、もちろん一番重要なのはダンサーなのであるが、彼らの魅力を生かすためには、それ以外のものも良いものにしていかなければならないと思う。そのためには、チケット代を少々高くしてもかまわないと私は思う。

2007/04/12

4/10 東京バレエ団「白鳥の湖」(セミオノワ&フォーゲル)

東京バレエ団の「白鳥の湖」を観るのは久しぶり。2004年のマラーホフ&上野水香のを観て以来。(DVDでジョゼ・マルティネスのも観ていたけど)
「セットがぼろい」「衣装がひどい」「中でもロットバルトの3幕のアップリケには大笑い」「スペインがカッコいい」という印象があって、他のことについてはすっかりどんな感じだったか忘れていた。
「白鳥の湖」はコンスタントに公演のある演目で、去年はパリ・オペラ座、レニングラード国立バレエ、マリインスキー・バレエ、ザハロワがゲストの新国立劇場などを観ていて白鳥の当たり年ともいえる。中でも、ロパートキナが踊ったオデットは絶品で、その後テレビで放映された映像も繰り返し観ている。そうすると、ハードルが非常に高くなるというわけで。。。。

ポリーナ&フリーデマンについて

<2幕>
ポリーナ・セミオノワほど容姿に恵まれた美しいバレリーナもいないのではないか。いたとしたら、それはザハロワしかいないと思える。小さな顔に、小悪魔的なかわいい顔立ち。10頭身くらいありそうな長身、長い手脚。難を言えばバレリーナにしては胸が少々胸が大きすぎるくらいだろうか。2幕の最初にオデットが登場したときには、あまりの美しさに見とれてしまった。今までも「ラ・バヤデール」「くるみ割り人形」などの全幕、さらにガラでも何回も観てきて、実力があることも当然織り込み済みである。テクニックは非常に正確で、アンドゥオールは完璧、高く上がる脚、柔らかい背中と腕、素晴らしいバランス。美しいアラベスク。指先まで丁寧に踊っている。それだけすべてが完璧であるのに、それでもオデットを演じるには何かが足りないと思えるのだから、それほどまでにこの役が難しいということなのだろう。

ポリーナはとても細い体をしているのに、とても健康的に見える。筋肉質で胸が大きく、またみずみずしい若さがあるということもあるのだろうけど、生命力に満ち溢れている。きわめて生身の人間的であり、儚い白鳥の化身に見えない。身体的な条件はポリーナのほうがずっと恵まれていると思うけど、どこかヴィシニョーワの白鳥と共通するところが見えた。
とても意志が強く毅然としたところのある、しかし恋する乙女なのだ。特にコーダでパッセしながら翼のように腕をはためかせるところは、腕が柔らかく滑らかに動いているにもかかわらず、非常に強いものを感じさせた。絶対に、愛のためなんかでは死なない白鳥だ。東京バレエ団版の白鳥の湖は、正義が勝つヴァージョンなので、解釈としては間違っていないが。繊細さは残念ながらない。ベルリンにいる間に、ロシアらしさはすっかり抜けてしまったようだ。せっかくの逸材なのに、ちょっと勿体無い気もする。

毅然とした強いものを持っているオデットの表現者としては、白鳥らしいたおやかでたゆたうようなロパートキナの方が好きだけど、若くて美しいという意味ではポリーナの白鳥は素晴らしい。後は、表現力を身に着けて、叙情性とドラマ性を加えていってほしいと思った。


フリーデマン・フォーゲルの王子は、長身と立派な身体をしているにもかかわらず、とてもカワイイ。ぼや~んとしていて、あまり悩んだこともないような王子様が、白鳥に出会って熱烈な恋に落ち、熱でボーっとしてしまった、という解釈だろうか。非常にお育ちがよくおっとりとした風情が、踊り自体にも反映されていた。ジュッテなど跳躍は気持ちよいほど高いのだが、着地が時々危なっかしい。ピルエットが苦手らしく、回転が非常に遅くてやっとのことで3回転。ちょっとへたれなのだけど、白鳥の王子様はへたれでOKなキャラクターなので、これでも全然OKだと思う。いずれにしても、ビジュアル的にポリーナと釣り合いが取れた、麗しく脚の美しいおぼっちゃま王子様で、純白の衣装がずるいほど似合うのだから、十分だ。少々ノーブルさが足りないし、たまに素に戻っている瞬間があるが、それはご愛嬌ということで。

2幕は、まるでこのふたりによる白鳥版ロミオとジュリエットを見ているような気分。胸を締め付けられるような感情は出てこないけど、新しい白鳥の解釈だと思えばいいのだろうか。

<3幕>
予想されていたことではあると思うけど、ポリーナはオデットよりオディールが似合う。バレエフェスティバルで見せたオディールはあまりにも目ヂカラが強くて、邪悪さを感じさせるものであったが、今回はその邪悪さを減らしその分妖艶に演じていた。まさに小悪魔のように、イノセンスを含んだ、早熟な少女のような青い色香を放っていて誘惑的である。ポリーナのオディールの美しさと誘惑はもはや王子に向けられたものではなく、観客に向けたもののように思えた。なぜなら、王子がオディールを見た瞬間、また熱烈な恋に落ちてしまって嬉しさを隠せないものだから、もはや彼を陥落させる必要はないからだ。正面を見据えて、私を見て、私の美しさ、権力、魔力のすべてを見て、讃えなさい、とオディールは呼びかけている。まるで巫女のように。

ポリーナはアダージョが一番見事であった。なんといっても、驚異的なバランス!相当長い間、ポアントでサポートなしで美しいアティチュードを見せていた。アラベスクにしても、アティチュードにしても本当に見事な曲線美である。もともと大きな身体だが、場を完全に支配しきっていて、魔力で会場中に女神のように君臨していた。完璧。お見事。

ヴァリエーションは、バレエフェスやマラーホフのガラのときのグリゴローヴィッチ版のではなく(そちらの方が似合っていると思うのだが)、一般的な方。こちらも実に見事。ただし、フェッテはいつもと比べると少し落ちた。前半ずっとダブル、後半は3回に一回ダブルを入れていたが、途中で少し不安定になって傾きかけたことがあった。演奏のテンポと合っていないような感じだった。それはポリーナの責任ではなくオーケストラの問題であったと思えるが。とはいっても、バレエフェスの時ほどは良くなかったということだけで、十分高い水準のものといえる。オディールに関しては、若手では最強だろう。

フォーゲル王子は、ロミオのように生き急ぐかのような熱くてまっすぐな恋心と、本当にこの女性がオデットなのだろうかという戸惑いの間で揺れる気持ちをたくみに演じていた。ジュッテ・アントルラッセの開脚がとても美しいし、跳躍は高い。回転はやっぱり苦手。でもそれはいいのだ。もう少しノーブルだったらなお良いのだろうけど、それは彼の持ち味ではない気がする。

オディールに騙されたと知った瞬間の取り乱し方も、若くて純粋な王子らしく、混乱と激情と後悔が入り混じった複雑な感情をとても上手く演じていたと思う。

(つづく)

オデット/オディール:ポリーナ・セミオノワ
ジークフリート王子:フリーデマン・フォーゲル
王妃:加茂律子
悪魔ロットバルト:木村和夫
道化:松下裕次

家庭教師:野辺誠治
パ・ド・トロワ:高村順子、佐伯知香、古川和則
ワルツ(ソリスト):
 西村真由美、乾友子、奈良春夏、
 田中結子、浜野香織、前川美智子
四羽の白鳥:森志織、福田ゆかり、阪井麻美、河合眞里
三羽の白鳥:乾友子、田中結子、浜野香織
司会者:横内国弘
チャルダッシュ
(第1ソリスト):長谷川智佳子、大嶋正樹
(第2ソリスト):森志織、福田ゆかり、辰巳一政、小笠原亮
ナポリ(ソリスト):佐伯知香、松下裕次
マズルカ(ソリスト):奈良春夏、山本亜弓、中島周、野辺誠治
花嫁候補たち:
 小出領子、高村順子、西村真由美、
 乾友子、吉川留衣、渡辺理恵
スペイン:井脇幸江、田中結子、後藤晴雄、平野玲

指揮:アレクサンドル・ソトニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

2007/04/11

フェリの引退公演追加キャスト-マルセロが来る!

今日は東京バレエ団の「白鳥の湖」に行ったのですが、そこでアレッサンドラ・フェリの引退公演「エトワール達の花束」の追加キャストを掲載されたチラシが配られていました。

公式サイトにも出ています。

ロベルト・ボッレ(ミラノ・スカラ座 エトワール)、ホセ・カレーニョ、マルセロ・ゴメス、パロマ・ヘレーラ(いずれもアメリカン・バレエ・シアター プリンシパル)、ロバート・テューズリー(フリー)、シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ (いずれもハンブルク・バレエ プリンシパル)

そう、愛するマルセロが来るんです♪去年の「マラーホフの贈り物」で振られて以来の来日ですね。嬉しいです。
この組み合わせを見ると、フェリと踊るのかパロマと踊るのかのどちらかでしょう。

*****

実は今年のABTのMETシーズンはまたキャスト変更があり、5月24日の「オテロ」はフェリとデズモンド・リチャードソンの出演が予定されていたのが、リチャードソンが降板していて、マルセロに変わっているのです。リチャードソンの降板の理由がとても気になるわけですが・・・。つまりマルセロはフェリと踊るわけですね。

マルセロついでで話せば、新しいプロダクションである「眠れる森の美女」(マッケンジー&ゲルシー・カークランド振付)の6月1日初演キャストが、マルセロとヴェロニカ・パールトです。まだソリストであるヴェロニカ・パールトがオーロラ役ということは、もしかしたら彼女のプリンシパル昇進がありうるのかもしれません。マリインスキー仕込みの上半身の優雅さに加えて、女優顔負けの美貌でパールトはNYで大変人気がありますが、来日公演の「ライモンダ」でのミス連発など、技術的に不安定なところが懸念されています。とはいえ、彼女のオデットはさすがにロシア人らしく本当に叙情的で表現力豊かだし、スター性があるので、このチャンスを生かしてトップに上り詰めてほしいものですね。

***
東京バレエ団「白鳥の湖」の感想はまた改めて。ポリーナ・セミオノワは容姿の素晴らしさでは世界中でも右に出る人はいないでしょうね。驚異的なバランス、回転やジャンプなどテクニックも鉄壁だし。しかし何かが足りない気がします。あまりにも生身の人間らしい白鳥に見えてしまいました。

2007/04/10

韓国国立バレエの「スパルタクス」(グリゴローヴィチ振付)

発売中の「ダンスマガジン」で振付家ユーリ・グリゴローヴィチの特集があって、なかなかおもしろい読み物となっています。なぜ今グリゴローヴィチなのかというと、今年生誕80年で、モスクワだけでなくロンドンでも記念ガラが開催されていますね。

ところで、グリゴローヴィチの代表作「スパルタクス」は、ボリショイだけの専売特許ってわけではなく(もちろん、ボリショイのダンサーのための演目であり、彼ら以上に踊れる、似合っているカンパニーがあるわけないですが)、2001年には韓国国立バレエが上演しています。

そして今月20日~25日、この作品が同バレエ団によって再演されるとのことです。主演のLee Won-kookは2001年のモスクワ国際コンクールのベストパートナー賞受賞者だそうです。また、フリーギア役のKim Joo-wonは去年のブノワ賞受賞者とのこと。

Korea Times(英語)

Korea Herald(英語)

しかも今回は、4月13日、14日に本場ロシアのノボシビルスク国立劇場での公演の後韓国で公演するというからすごいですね。ノボシビルスク国立バレエも、お返しに韓国公演を行うとのことです。

男性ダンサーが60名も出演するという「スパルタクス」、この作品が日本のバレエ団で上演される日が来るんでしょうか。ぜひ観てみたいものです。もちろん、本家ボリショイによる「スパルタクス」もまた日本でやってほしいですが!

2007/04/09

サンクトペテルブルグ建都300周年記念ガラ/マリインスキー・オペラ

ゲルギエフ指揮、マリインスキー・オペラの来年1月~2月の来日公演、早くもチケット発売があった。
そう、夢倶楽部会員先行のE、F席抽選発売である。オペラは大変チケットがお高いため、このレベルの席しか見られない。何しろS席は5万円なのだから。
もちろん、お目当ては「イーゴリ公」である。なんとか、友人の分も含めて無事E席を取ることができた。割り当て枚数を見ると、夢倶楽部会員でなければ、E、F席のチケットを取るのはなかなか困難な模様。
ちなみに、もっとお安いレニングラード・オペラの「イーゴリ公」のチケットも確保している。こちらは、S席が2万円なのでS席を取ってしまった。

「イーゴリ公」といえば「ダッタン人の踊り」である。その「ダッタン人の踊り」も踊られたサンクトペテルブルグ建都300周年記念ガラがNHKハイビジョンで放映されたので、録画して観た。前回放送の時には見逃して、友達が家に来た時に見せてもらっていたのだ。

時間がないので、バレエ部分のみを観る。

サンクトペテルブルグ建都300周年記念ガラ
「ラ・バヤデール」第3幕から
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ
ディアナ・ヴィシニョーワ/レオニード・サラファーノフ

影の王国のコール・ドがスロープを降りてくるところや、3人のソリストのヴァリエーションは省略されている。ヴィシニョーワのニキヤは、ほとんど問題ないけどたまに着地が乱暴であれれ、と思われるところはあった。難しいヴェールのヴァリエーションは難なくこなしていたし、さすがにジュッテ・アントルラッセは非常に高い。サラファーノフのソロルは、技術的には素晴らしい。トゥール・ザン・レール6回も鮮やかに決まっているし、ソロでは突き刺すような鋭さを見せた。ガラだから、感情面まで出せというのはちょっと酷な話か。三人のソリストの一番右端はアリーナ・ソーモアだろうか。

歌劇「イーゴリ公」からポロヴェッツ人の踊りと合唱
音楽:アレクサンダー・ボロディン
振付:ミハイル・フォーキン

待っていました!のダッタン人の踊り。「Kirov Dances Nijinsky」でも観ているけど、さすがにオペラと一緒の共演というのは違うなって感じ。しかもコール・ドの男性群舞もかなり揃っている。肝心のボロヴィッツ人の隊長が誰なのか、クレジットがないのだけど、見たところ、DVDと同じでイスロム・バイムラードフに顔と長身スリムな体格が似ている気がする。このボロヴィッツ人の隊長、超イカすのだ。助走なしでびっくりするほど高く跳んでいるし、難しいキャラクターステップの切り替えも見事。それと、女性たちの美しいこと!ロシア人の美女が露出度の高い衣装を着て身をくねらせていると、観ているこちらもほとんどおやじ目線になってしまう。演奏も合唱もさすがにものすごい迫力。見ごたえ満点。

「瀕死の白鳥」
音楽:カミーユ・サン=サーンス
振付:ミハイル・フォーキン
ウリヤーナ・ロパートキナ

「瀕死の白鳥」は何回も生でも観ている演目。映像でもプリセツカヤその他で観ているし。でも、このロパートキナの白鳥はあまりにも素晴らしすぎて、途中からテレビの前で涙が止まらなくなった。気高い魂を持つ白鳥が、運命と抗いながらも、やがては死を受け容れて命の火を消していく。ロパートキナの腕の表現力は、とても人間とは思えない。この人の腕や肩の筋肉はいったいどうなっているんだろうかと思うほど。可動域が常人の数倍あるのではないかと思える。かといってくねくねしているわけではなく、ごくごく自然に、どこまでもスムーズに。田ユタ羽陽に優雅に動いているのだ。その中で、時に意志の力が反映されたような鋭い動きが内包されている。本当に短い演目だけれども、濃厚なドラマを見せてもらった。宝物のような一編。

「海賊」2幕より
音楽:アドルフ・アダン
振付:マリウス・プティパ
スヴェトラーナ・ザハロワ/イーゴリ・ゼレンスキー

ザハロワのようにその肢体が"美”そのものであるバレリーナに、メドーラ役はぴったり。何度観ても惚れ惚れするようなラインの美しさに息を呑む。この映像では、お顔がかなりプクプクしているけど(笑)それが愛嬌があって可愛い。技術的にもとても正確だし、おみあしが長い上にパッセの位置がとても高い。ただし、今でもそうだと思うんだけどフェッテはちょっと苦手なのでしょうか。場所が移動しまくるのだ。
ゼレンスキーは、この間の来日公演よりは元気があるけれど、アリという奴隷を演じていても、あくまでも品があってエレガントな感じ。こんな奴隷、絶対にいないでしょう。風を切る跳躍、ってわけにはいかないけど、着地等とても正確でクリーン、いかにもキーロフの美しいダンサーだなと思わせてくれる。

何よりもロパートキナの「瀕死の白鳥」が素晴らしすぎるのであるが、それ以外の3作品とも見ごたえ十分で、大満足。なんでこれが映像ソフトになっていないんでしょう?また、曲目の間に映し出されるゲルギエフの表情を観ているだけでも楽しい。演奏に満足した様子で微笑んでいるところがとても素敵。


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というわけで、今度は映像ソフトのほうを。やっと手に入れた「イーゴリ公」のDVDである。が、久しぶりの休日で家事がたいへんたまっていたため、時間がなくてとりあえず「ボロヴィッツ人の踊り」のみ鑑賞。冬のマールイ・オペラの前には、ちゃんと予習するために全編4時間を観なくては。

こちらの方も、残念ながらバレエのソリストのキャストはライナーノーツにも載っていなかった。「Kirov Celebrates Nijinsky」やサンクトペテルブルグ建都300周年ガラと違って、ボロヴィッツ人の隊長の髪型が、モヒカンになっている。前頭部と横を短く刈り上げて、あとは長く伸ばして後ろで結んでいる。ところが、こんな髪形をしていてもけっこうかっこいいのだ。1993年の収録だというから、バイムラードフの可能性は低いけど、とても若そうなダンサーである。
こちらは、オペラ全幕の中でのボロヴィッツ人の踊りなので、主役のイーゴリ公などもしっかり映っている。演奏がものすごく迫力があって、まさに血沸き肉躍る感じ。コール・ドのレベルとしては、サンクトペテルブルグのガラの方が上かもしれないが、それでも大変素晴らしい。なによりも隊長!ワイルドでいかしている。これが生で観られるかと思うと、とっても楽しみ。ただ、E席だから豆粒にしか見えないかもしれないけど!

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2007/04/08

「ラブソングができるまで」/Music and Lyrics

サンディエゴ出張中、夜の空き時間を利用して映画館へ。ちょうど時間が合っていて、ヒュー・グラントとドリュー・バリモアが出ている作品ならきっと間違いがないだろうと思って、予備知識ゼロで見ることにする。

ヒュー・グラント演じるアレックスは80年代に一世を風靡したアイドル・グループPOP!のメンバー。バンドは92年に解散し、相方は映画にも出演してスターであり続けたが、アレックスはすっかり過去の人となってしまう。同窓会や遊園地での営業に精を出し、いい年となった今もぴっちりしたパンツを穿いて子供やオバサンたちの前で腰を振っている。「あの人は今・・」的な番組への出演のオファーが来て出演を承諾したところ、思いがけないチャンスが到来。人気絶頂の歌姫コーラが彼のファンで、彼女のために曲を書いてほしいというのだ。締め切りは数日後。このチャンスに飛びついたアレックスだったが、実のところ何年も曲を書いていないため、早速歌詞に行き詰る。そこへ、観葉植物の水遣りにやってきた女性ソフィーが歌詞のヒントをくれた。ソフィーとアレックスは曲に取り組み始めるが。。。

ようやくできた曲をコーラは気に入ってレコーディングするが、仕上がった曲は、二人との意図とはまったく違った、セクシーでオリエンタルなものに変えられてしまっていた。起死回生のチャンスを、アレックスとソフィーはどうする?

****************
冒頭にPOP!のプロモーションビデオが1曲まるまる流れるけど、これが、80年代を知る人間からすると大爆笑モノ。あの時代の特徴である、逆立てた長めの髪のヒュー・グラントが、照れも見せずに堂々とアイドルらしく歌い踊っているものだから!この映像を観られただけでも入場料の元が取れたかもしれない。
(ドリュー・バリモア公認ファンサイトにPV映像全編が載っているので、ぜひどうぞ。必見!)
そのスター時代から、すっかり過去の人になってしまって落ちぶれたアレックスだが、だからといって過去の栄光にしがみついているわけではなく、割り切って生活のために昔の名前を使って淡々と生活している。このあたり、ヒュー・グラントの飄々としたキャラクターがうまく生きているってワケ。でも、やっぱりせっかくのチャンスはモノにしたいし!

一方、そんなアレックスの前に現れたソフィーは、天才的な詩の才能を持つ女性。この仕事を引き受けることをためらいながらも、どうしても助けてほしいと嘆願され徹夜で曲作りに取り組む。こんなにも才能を持つ彼女が、なぜそれとはまったく関係ない人生を送っていたのか。それには深い訳があった。文才溢れる生徒だった彼女は、自分がかつて恋していた教師が書いてベストセラーになった自伝的な小説に、自分とそっくりの女性が登場しているのを知る。その本では、ソフィーは才能がないからっぽの最低の女とこき下ろされていたのだった。深く傷ついた彼女は、筆を折り、文章や詩を書くことを一切断ち切って生きていたのだ。このあたり、すごくビターで思わず涙を誘われてしまう。

自分の過去にどう決着をつけるか?自分の創造した作品とその世界観をどれほど大切にするか?そのことをテーマにした少し辛口の部分もある。何しろ、完全に負け組の烙印を押されてしまった不器用なふたりなのだから。しかし、ヒュー・グラントのひょうきんさ、ドリュー・バリモアのスウィートさがうまくブレンドされて、とても可愛いくて素敵なラブコメディに仕上がっている。売れなくなったアレックスにずっと仕えているマネージャーや、アレックスの大ファンであるソフィーの姉など、脇のキャラクターもすごく人間味があって楽しい。コーラのイメージはクリスティーナ・アギレラと浜崎あゆみを足して2で割った感じかしら。オリエンタルかぶれがかなり笑えてしまう。

それにしても、ドリュー・バリモアという女優は、過去にあれだけいろいろなことがあったのに決して汚れなくて、いつまでもとろけそうに可愛い笑顔とピュアな魅力を持っているなと思った。コメディでは抜群のうまさを発揮するヒュー・グラントとの組み合わせはかなり最強に近い。安心して観ていられる、胸きゅんなラブコメディ。

日本では4月21日からの公開ということで、デートムービーにはかなりいける作品だと思う。

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2007/04/07

休みが取れない・・/ハンブルクに行けないかも。

今年の夏は、7月の第一週にハンブルクに行って、ハンブルクのバレットターゲ(バレエ週間)でバレエ三昧の予定だった。この時期を夏休みにすれば問題ないと思っていた。会社は夏休みという休日はなくて、有給消化しろということになっているので、有給をそのためにキープしていて、よほどのことがない限り休まないように頑張っていた。

ところが、出張から帰ってきて、上司に「7月1週目に休みたいんですが」とお願いをしたら速攻で却下されてしまいました・・・。ダメってことではないのですが、その時期どれくらい忙しくなるのかわからないうちから、一週間も休んでいいと今から約束はできないということです。全然知らなかったんですが、8月のお盆の時期に休みを取ることを半ば強制されていて(といいつつ、私は去年は休んでいないんだけど)、それ以外の時期は取るなってコトのようなんです。といっても、私の仕事はお客様には関係ないんだけど、内勤だからって別の時期に取るのは不公平という理屈なんだそうな。

出張の前の10日間ほど、毎日12時まで仕事、時には終電も逃し、それでも朝9時には出勤して、しかも熱を出しているのに休めずボロボロの状態でこき使われてきたのに(もちろん残業代なんて出ません)、それはないだろう、って思ったんですがそれが会社の決まりというわけで。。。

ところで、バレット・ターゲのチケットって1年前に取らないと売切れてしまうので、手元に6枚もある。しかも「人魚姫」のプレミア公演で2万円位するものまで。これが全部パーになるかもしれないのだ。総額10万円くらい。

あまりのことで目の前が真っ暗になってしまった。まずはチケットを売るところから始めようかしら。しかし、日本ではなくドイツでの公演なのに買ってくれる人いるのかしら?

プランBとして、3日くらいなら休みも可ということのようなので、どうしても観たい「ニジンスキー」だけは観ることにして弾丸ツアーにして、前半の「人魚姫」2回分と「シンデレラ・ストーリー」を手放そうかと思っています。万が一興味がある方がいらっしゃったら、ご連絡ください。

2007/04/06

ニコライ・ヒュッベ、デンマーク・ロイヤル・バレエの芸術監督に/クリストファー・ウィールダン

ニューヨーク・タイムズによると、ニューヨークシティバレエのプリンシパルであるニコライ・ヒュッベが、出身カンパニーであるデンマーク・ロイヤル・バレエの芸術監督に任命されたとのことです。
任期は2008月7月1日から 2012年6月30日まで。その前の2007年8月1日から2008年8月までは、principal stage director を務めるとのことです。

ということは、ヒュッベは1992年から所属していたNYCBを、今年の春夏シーズン限りで退団するということなんでしょうね。ノイマイヤーに新作「人魚姫」を委嘱するなど、デンマーク・ロイヤルも意欲的なカンパニーですし、来日の予定もささやかれているので、引退は残念ですが、楽しみに見守ることにします。

ログインなしで見られるプレイビルでのニュースはこちら。


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ニューヨークシティバレエといえば、もう一人、常任振付家を務めているNYCBを去るクリストファー・ウィールダン。自らのカンパニー、Morphosesを立ち上げたばかりの彼が、ABTのデヴィッド・ホールバーグやNYCBのクリスティン・スローンが運営するダンサー・ブログ「The Winger」に参加するとのことです。

このブログは、いろいろなカンパニーのダンサーが参加しており、大変面白いのでお勧めです。Morphosesはすでに今年の9月にロンドンのサドラーズ・ウェルズでの公演、10月にはNYのシティ・センターでの公演と新しいカンパニーとしては大変恵まれたスタートを切ります。

サンフランシスコ・バレエの鑑賞記へのコメントで、Kaoruさんにコメントを頂いた通り、サンフランシスコ・バレエのプリンシパルであるゴンザロ・ガルシアが、Mophosesの公演に参加するためにサンフランシスコ・バレエを退団するという発表がありました。他にどのようなメンバーが参加するのかもとても興味深いですね。


シルヴィ・ギエム、ロイヤルには出演せず/2007/8シーズンラインアップ

すでにあちこちで、来シーズンのロイヤル・バレエの演目は話題になっていますが、併せて、シルヴィ・ギエムの今後について、芸術監督のモニカ・メイソンがコメントをしております。

http://music.guardian.co.uk/classical/story/0,,2050116,00.html
より

The Royal Ballet director, Monica Mason, announced that the much-beloved, long-term guest star Sylvie Guillem will never again perform with the company.

"I did invite her to appear with us but she has chosen not to do so," said Mason. "I understand that now she wants to give herself completely to contemporary work.

"I also invited her to give a farewell performance. But I can undertand that as she is still appearing she did not wish say farewell. Her audiences will follow her wherever she still performs." Guillem's last performance at the Royal Ballet was in June.

ロイヤル・バレエの芸術監督、モニカ・メイソンは、長年にわたって愛されてきたゲスト・スターのシルヴィ・ギエムは二度とロイヤルには出演しないと発表した。
「来シーズン出演してほしいとオファーはしたのだけど、彼女が出演しないという選択をしたの。シルヴィが完全にコンテンポラリー作品に集中したいということは理解できるわ」
「シルヴィには、フェアウェル公演をしないかと提案をしたのだけど。でも彼女はまだ現役なのだから、さよならを言いたくないというのもわかるわ。彼女の観客は、彼女がどこで公演を行おうとついて来るから」
シルヴィ・ギエムのロイヤル・バレエでの最後の公演は6月となっている。

シルヴィはもうクラシックは踊らないということなのですね。今年の秋に東京バレエ団で「白鳥の湖」を踊るのは貴重な機会といえそうです。

***********************************************

なお、ロイヤル・バレエのラインアップですが
http://info.royaloperahouse.org/News/Index.cfm?ccs=1133


ラ・バヤデール(10/6~27)

ロミオとジュリエット (10/16~11/25)

ジュエルズ (11/23~12/7)

くるみ割り人形 (12/8~1/,19)

レ・パティヌール/ベアトリス・ポター物語 (12/23~1/,8)

シルヴィア (1/18~3/31)

Chroma/ディファレント・ドラマー/春の祭典 (2/2~23)

ウィールダンの新作/牧神の午後/田園の出来事 (2/28~3/19)

眠れる森の美女 (3/13~5/14)

セレナーデ/ブランドストラップの新作/オマージュ・トゥ・ザ・クイーン (4/23~5/,8)

ロメオとジュリエット (5/26~6/13)

ザ・ドリーム/ダンシズ・アット・ア・ギャザリング (5/17~6/10)

古典と現代もののバランスの取れた、良いプログラムだと思われます。某フランスのバレエ団も見習ってほしいですね。常任振付家となったウェイン・マクレガーですが、新作はなくChromaの再演のみのようですね。

来日公演は、ロミオとジュリエットが終わった後でしょうか。どうせなら来日公演は眠りやシルヴィアよりも、なかなか日本では上演される機会の少ないマクミラン版「ロミオとジュリエット」を上演してほしいと切に願うのです。


キャストも一部ですが発表されています。吉田都さんの予定は

☆ロミオとジュリエット-吉田都&フェデリコ・ボネッリ 10/22,29,11/1
☆くるみ割り人形-吉田都&フェデリコ・ボネッリ 12/8,11,14

少ないですが、それでもちゃんと踊ってくれるのは嬉しい限りです。(といっても、ロンドンまで見に行けるかというと多分無理ですが)

またゲストとして、ロベルト・ボッレが「ラ・バヤデール」でゼナイダ・ヤノウスキーと共演するとのことです。(10月15日、20日)そうすると、もしかして来年の来日公演の「シルヴィア」もゼナイダの相手役はロビーかしら?

2007/04/05

携帯からのアクセスに対応しました

ココログがバージョンアップし、本日から、このブログの通常のURLを打ち込めば携帯電話からでも読める&コメントをつけられるようになったようです。

それに伴い、このブログの左下にQRコードを設置しました。ぜひご利用ください。

ココログがモバイル対応するのはあまりにも遅いと思っていたのですが、ようやくですね。

http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/

また、ブログ内検索機能もいつのまにかついたようです。こちらは右下。といっても、サイトの上部についているテクノラティ検索の方が機能は上だと思いますが・・・。


便利なサービスといえば、フランスのAFP通信で、ブログに無料で報道写真を転載できるサービスというのが始まりました。このAFP通信は、パリ・オペラ座の美しい写真も配信しているので、提携しているブログ(Seesaa ブログ、JUGEMなど。Yahoo、livedoorなども順次開始予定)に加入している方は使ってみてはいかがでしょうか。残念ながら、ココログは対応していません。

東京バレエ団、大嶋さん&中島さんプリンシパルに

東京バレエ団の団員のプロフィールが更新されました。
http://www.nbs.or.jp/TokyoBallet/ja/profile.html

これを見ると、

大嶋正樹さん、中島周さんがプリンシパルに、
乾友子さん、佐伯知香さん、高木綾さん、奈良春夏さん、松下裕次さんがソリストに昇進されたようです。

おめでとうございます!
中島さん、大嶋さんはこれを機に古典作品などでも主演する機会が増えるといいな、と思います。 東京バレエ団の場合、男性のゲストを招くことが多く、プリンシパルで主演する機会が少ないのが少し残念ですね。が、楽しみは先にとっておくということで。若くて色気があってとっても素敵な二人の主役が早く見たいものです。

乾さん、佐伯さん、高木さん、奈良さんはすでにソリスト的な役柄でいつも活躍されていたので、今回の昇進は順当ですね。松下さんは少し意外でしたが、でも育ち盛りの良いダンサーですね。若手がどんどん登用されることを期待しましょう。

それと、東京シティバレエ団に、牧阿佐美バレヱ団で活躍していた橘るみさんが移籍されたようです。団員一覧に載っていました。るみさんの「リーズの結婚」のリーズはとても可憐だったので、牧を退団されたと聞いて寂しかったのです。新天地での活躍が期待されますね。

2007/04/03

サンフランシスコ・バレエ3/24 Repertory Program 4

サンフランシスコ・バレエの2007シーズンは合計8つのプログラムから構成されている。「眠れる森の美女」と「ドン・キホーテ」以外はすべてコンテンポラリー作品のミックスレパートリーで構成されている。この日はプログラム4として3つの作品が上演された。

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通常A5サイズのプレイビルが一般的だと思っていたのだが、サンフランシスコ・バレエはかなり大きな版型のものを配っており、演目の解説も丁寧だし、コール・ドにいたるまで団員全員の顔写真と出身地、入団年が入っていてとても親切。そのほかにシーズン全体の解説の冊子も置いてあった。このプレイビルをめくっていて気が付いたのが、プリンシパル・キャラクター・アーティストにホルヘ・エスキヴェルの名前があること。そう、アリシア・アロンソのパートナーとしてキューバ国立バレエで活躍した方である。どうやら今はサンフランシスコ・バレエのバレエマスターを務めながら、キャラクターとして出演もしていて、ロミオとジュリエットのヴェローナの大公などを演じているらしい。サンフランシスコ・バレエはシーズンにクラシック演目が二つだけ、あと冬にくるみ割り人形を上演するくらいなので出番はそれほどなさそうであるが。

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劇場War Memorial Opera Houseは前のエントリで書いたように、歴史を経てきた風格があって優雅で美しい。特にロビーは天井の金色の模様が華麗で、うっとりしてしまうほど。アッシャー(場内係員)はほぼ全員がボランティアのようで、ボランティアのバッチをつけている。3000人以上収容するという大きな劇場だけど、席はとてもゆったりとしていて座り心地が良い。私は前から13列目のセンターという場所だったが、前の席にお客さんがいなかったこともあり、とても観やすかった。段差はさほどなさそうではあるけれども、ニューヨークのMETよりはだいぶましな感じである。

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Program 4

Spring Rounds
Composer: Richard Strauss
Choreography: Paul Taylor
MusiC: Divertimento for small orchestra, op. 86
(after Couperin)

Vanessa Zahorian Garett Anderson

出演者は全員がライトグリーンの衣装。主役二人と12人の男女による、春らしい爽やかな作品。ポール・テイラーの作品なので基本的にはクラシックの振付ではない。リヒャルト・シュトラウスの曲に合わせた軽やかな跳躍が多く観られ、躍動感が溢れている。長い髪を後ろに垂らしたヴァネッサ・ザホリアンがとても美しい。男性7人が環になって腕をアロンジェの形にして円の真ん中に向かって跳躍する印象的なシーンでは、動きや高さがみな揃っていてバレエ団の実力の一端をうかがえた気がした。この部分は、まるで花びらのように思える。ハンサムなダンサーがそろっているなと思ってしまった。

Chi-Lin
Composer: Bright Sheng
Choreography: Helgi Tomasson
MusiC: Flute Moon; The Stream Flows; “Fanfare”
from China Dreams

Dragon: Davit Karapetyan
Tortoise: Tiit Helimets
Phoenix: Nicolas BlancJaime Garcia Castilla
Chi-Lin: Yuan Yuan Tan

芸術監督のヘルジ・トマソンが、看板プリンシパルであるヤンヤン・タンのために創造した作品。ヤンヤン・タンのルーツである中国の文化へのオマージュを捧げている。よく東洋的なテーマをバレエ化すると、東洋人である私たちから見れば珍奇な作品に仕上がってしまうことが多いけど、この作品は純粋に東洋的なモチーフだけ使ってエンターテインメント性を強調しているので、楽しく見ることができた。Chi-Linとは麒麟のことであるようだ。麒麟、亀、フェニックス、そしてドラゴンの4人の聖獣がそれぞれポーズを取っている冒頭から、それぞれが派手な技を繰り広げ、さらには群舞も登場して、祝祭的な空間ができ上がる。ドラゴン、フェニックス、亀ともとても力強い技を見せてくれて男性的だった。が、やはり際立っているのがヤンヤン・タン。長くて細い手脚、よくしなる柔軟な背中、強いポアント、しなやかで高く上がる美脚。身体能力の高さは驚異的である。まさにスターの輝きというべきカリスマ性。でも、同時にキュートで、アルカイックな幸福感を漂わせていて、とてもチャーミングなのだ。この繊細さと透明感はアメリカ人、いや西洋人には出せないものだろう。スタイルの良さ、身体能力の高さと柔らかさ、清潔感がある可愛い容姿と日本人に受ける要素が多分にある。


今回の目玉は、話題の振付家ウェイン・マクレガー(ロイヤル・バレエの常任振付家に就任したばかり)による「Eden/Eden」である。シュツットガルト・バレエのために振付けられた作品で、サンフランシスコ・バレエでは今シーズン初めて上演される。話題となっていたようで、多くの媒体で批評が掲載されていた。今シーズンをもって引退するプリンシパルのミュリエル・マフルが主演しているのも話題である。

Eden/Eden - NEW!
United States Premiere
Composer: Steve Reich
Choreography: Wayne McGregor
MusiC: “dolly” from Three Tales (a video opera)

Muriel Maffre, Gonzalo Garcia
Pascal Molat, Dana Genshaft
Rory Hohenstein, Katita Waldo
James Sofranko, Margaret Karl, Moises Martin

最初に、数分、クローン羊ドリーについてのフィルムが流れる。音楽はスティーヴ・ライヒによるミニマルなもの。クローン人間をテーマにしているため、ダンサーは全員、一見裸に見える肌色全身タイツに、スイムキャップをかぶってスキンヘッドを模している。固体識別は難しく、人間性を剥奪されている。そのため、シュツットガルトでの初演ではかなりスキャンダラスな捉え方をされたようだ。

この作品もまた、ミュリエル・マフルというダンサーの素晴らしさを実感させられる一作となっていた。フランス出身で、パリ・オペラ座学校を16歳で中途退学させられるという挫折にめげず、コンセルヴァトゥールに転校してパリ国際コンクール金賞やモスクワ国際コンクールファイナりストという経歴を持つ。ハンブルク・バレエ、モンテカルロ・バレエのソリストを経て1989年よりサンフランシスコ・バレエで活躍してきた。たしかに年齢的にはもう42歳なので引退も致し方ないかもしれないけど、技術も表現力も大変優れている魅力的なダンサーだ。

最初にミュリエル・マフルが登場。次にゴンサロ・ガルシアが登場してのパ・ド・ドゥ。マネキンとかロボットのような、カクカクした動き。女性ダンサーはみなポアント着用だが、ウェイン・マクレガーはたしかロイヤル・バレエの歴史の中でも唯一クラシックバレエの経験のない振付家という。たしかに、足先はフレックスを多用しているし、クラシック・バレエの文法を解体したように見える。だが、クラシックな要素は残されているのが面白い。ハンス・ベルメールの写真を思わせるような、不思議な曲がり方をした独特のフォルムを取るダンサーたち。舞台後方には、エデンを象徴するかのような木が一本。ミュリエル・マフルの力強い動きに引き寄せられる。人類創造をモチーフにしているかと思いきや、近未来的でもある。やがて、残りのダンサーたちが登場し、それぞれペアになってパ・ド・ドゥを踊る。このあたりの振付は、多分にフォーサイスっぽい感じだ。
それから、天井から衣装を着けたトルソが降りてくる。ダンサーたちは、スイムキャップを脱いて髪をほどき、服を身に着ける。すると、アンドロイドかマネキンのようだった彼らが、急に個体性のある、男女の区別のつく人間に見えてきて、どこか暖かさが伝わってくる。が、そんな彼らが、超高速でフェッテし始めたり、なんだかすごいことになっていく。

一度見ただけでは全部把握しきれないけど、斬新でめちゃめちゃ面白かった!いずれロイヤルなどでも踊られることになるのだろうか。初めてマクレガーの作品を見たけど、なるほど恐るべき才能だと思ったし、非常に踊るのが難しい振付を難なくこなしたサンフランシスコ・バレエのダンサーたちも素晴らしいと思った。


ヤンヤン・タンという日本でも知られており、夏の来日でおそらく人気が上昇するスターがいるのだし、いつかは日本でも公演を行ってほしいと思った。ツアーにはあまり出ない地元密着型のカンパニーのようではあるが。

2007/04/02

そういうわけで帰ってきました

記事の順番が前後してしまいましたが、アメリカ出張から帰ってきました。仕事のメーンイベントは、某カンファレンスへの出席で、最新のWeb関連技術のお勉強と情報収集をしてきたという次第です。毎日英語のレクチャーを聞くというのはなかなかハードでしたが刺激的でした。様々な地域や国からの参加者とお話できたり、面白かったです。しかし帰国後はこのレポートを書かなくちゃいけなくてかなり大変。

現地では、英語しか読めない/書けないPCしかなかったため、英語での書き込みとなったわけです。日本語の情報が読めなかったので、帰ってきたらプチ浦島太郎でした。知らない間にべランガールがエトワールになっていたりするし。仕事関係の記事も、バレエや映画関係の記事も、ニュースも全部RSSリーダーを使って読んでいたのですが、帰国したら未読エントリーが1万を超えていたのにはびびりました。1週間の間に私が消化をする情報量は1万件ですか!われながら呆れます。必死に処理をして今残り2000。

サンフランシスコその1

月曜日からカンファレンスだったため、前日にサンディエゴ入りし、さらに1日前の土曜日にサンフランシスコ入りをして、サンフランシスコ・バレエを観て来ました。現地在住のサンフランシスコ・バレエのファンの方に劇場まで連れて行っていただき、いろいろと教えてもらいつつ観たのでさらに楽しめた感じです。内容はまた詳しく書きますが、非常に面白かったです。サンフランシスコ・バレエは、プリンシパル級は他のアメリカのバレエ団同様、外国人、特にラテンアメリカとスペイン、旧ソ連出身者が多いです。ダンサーのレベルも高いですし、ウェイン・マクレガーの作品「Eden/Eden」に主演したミュリエル・マッフィーもいいダンサーでしたが、残念ながら彼女は今シーズンを持って引退してしまうとのこと。「Chi-Lin」に主演したヤンヤン・タンの素晴らしさ、美しさには目を見張りました。

サンフランシスコ・バレエの本拠地であるWar Memorial Opera Houseは実に典雅で美しい劇場でした。ここは、サンフランシスコ講和条約が締結されたり、国連が誕生した場所であり、また国連憲章がトルーマン大統領によって署名されたという歴史的な出来事も行われたという由緒正しい場所です。ロビーの美しさたるや、アメリカでこんなに美しい劇場に出会えるとは思わなかったほどです。

サンフランシスコではほとんど時間をすごすことはできなくて、郊外というかバークレーの外れにあるRichmondにある友人宅に滞在していました。大きな家庭菜園のある庭やアトリエのある素敵な家で、とっても可愛いグレイハウンドを二匹、さらに鶏やウサギも飼っていて、羨ましい生活をしていました。

サンディエゴ

メキシコとの国境近くの都市。海沿いにある美しい街です。カンファレンスで来ていたために自由時間はあまり無かったのですが、マリーナのそばのレストラン&ショッピング街Seaside Villageを散策したり、空母ミッドウェイを外から眺めたり、トロリーバスに乗ったり。寒かったカンファレンス初日以外はお天気もよく、太陽を燦燦と浴びて気持ちよかったです。わずか一時間でしたが、ダウンタウン北部のバルボア・パークへと出かけたり。バルボア・パークはかの有名なサンディエゴ動物園があるところですが、さすがにそこに行く暇はなく、点在する博物館の中でサンディエゴ美術館に行って、開催中の写真家アニー・リーボヴィッツ展に行ってきました。時間がなくてゆっくりは観られなかったのですが、素晴らしい展覧会でした。これもまた後で詳しく。

夜は、素敵なガスランプクオーターでタイ料理やインド料理をいただく。アメリカの割には、これらのレストランはおいしく(ボリュームはすごいけど)、値段もリーズナブルな上、インテリアはおしゃれで楽しめました。が、さすがに胃が疲れて1日は夕食抜きにし、ショッピングセンターHorton Plazaの映画館でヒュー・グラントとドリュー・バリモアのラヴコメ映画「Music and Lyrics」を観る。(邦題は「ラブソングができるまで」になるそうです)ヒュー・グラントが80年代のポップアイドルに扮している冒頭のプロモーションシーンに大爆笑。良い映画でした。
ホートン・プラザでは、アバクロの服を買いまくり。

そんな感じで、写真や詳細については後日アップします。

マグナム・フォトによるボリショイ・バレエの写真

世界最高の写真家集団であるマグナム・フォトが、ボリショイ・バレエのアニバーサリーを記念して3月28日よりサイトで写真を公開しています。
http://todayspictures.slate.com/20070328/index.html

古いものでは1947年から、2005年までの同バレエ団を撮影した美しい写真が18点掲載されています。
1947年では入団試験の写真がありますが、今のバレエダンサーとのスタイルの違いがよくわかります。1954年の舞台写真は、かの有名なアンリ・カルティエ=ブレッソンによるものです。60年代の写真は、若き日のマイヤ・プリセツカヤやナタリア・べスメルトノワを撮影しています。2004年の写真は、ボリショイのパリ、オペラ・ガルニエにおける公演の際のもので、とてもスタイリッシュです。
報道カメラマンならではの独特の視点によるドラマティックな写真、とても魅力的です。

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