ダンスマガジン6月号/Top Stage
テリョーシキナの凛々しいオディールが表紙のダンスマガジン。フェリ&ボッレの「椿姫」が大きく扱われているのがとても嬉しかった。フェリの「椿姫」の全幕を日本で観られないのは本当に残念。何で引退公演がガラなの~と思うのです。
いずれにしても、写真も非常に美しく、新藤弘子さんのレポートの内容も細やかな描写が素晴らしくて、珍しくダンスマガジンの記事が良いと思ってしまいました。一枚一枚の写真にドラマを感じさせてくれるのが良いですね。3月なんて年度末で絶対に休みが取れない時期でしたからね・・。ううう。ロベルトもアルマンに相応しい、美しくイノセントな青年像を見せてくれて、本当にうっとりしてしまいます。
フェリのインタビューによれば、日本での8月のガラの演目は「ロミオとジュリエット」「椿姫」「マノン」「カルメン」、それに「ジゼル」の2幕のアダージオになるそう。ガラでPDDだけでも観られることに感謝すべきでしょうか。
ルジマトフの舞踊生活25周年記念ガラの模様もなかなか良かったです。注目の、岩田守弘さんによる新作「阿修羅」はとても良さそうな作品ですね。岩田さんのインタビューがあるのも良かった。まだ「ルジマトフのすべて」のチケットは買っていなかったけど、観に行かなくちゃと思いました。マールイのシェスタコワはボリショイとマリインスキーからもオファーがあったそうで、たしかに彼女の実力からすればあり得る話です。移籍しなくても、ゲストとして出演して欲しいですよね。写真もたくさんあって、特にイーゴリ・コルプの強烈な「白鳥」の写真は嬉しかった。ダニーラ・コルスンツェフの「シェヘラザード」黄金の奴隷というのも珍しいです。とても真面目で実直そうなコルスンツェフが、あの官能的な奴隷を踊るなんて。瀬戸秀美さんによるルジマトフの写真、ドラマを感じさせて素晴らしいです。
いつも思うんですけど、ダンスマガジンってパリオペラ座の記事を載せすぎです。載っていない月はないんじゃないかと思うほど。日本では一番人気あるでしょうけど、毎回毎回取り上げなくたって。マティアス・エイマンのバジルは良さそうですけどね。来月号も「シンデレラ」が載るって予告がありました。それなのに、マリインスキー国際フェスティバルは予定されていないのは、どう考えても間違っている。マリインスキー・フェスティバルにも一応マチュー・ガニオが客演しているんだし、来月は公演の空白期間で、暇ネタのDVD特集(新書館の販促企画)がメーンなのに。
イレク・ムハメドフの編集長インタビューも面白かった。グリゴローヴィチ、マクミランという偉大な二人の振付家との共同作業の話。ロイヤル・バレエに移籍しようと思ったいきさつ。彼が一番興味があるのは演技者であること、だからボリショイのレパートリーではどれよりも「イワン雷帝」を踊りたいとのこと。私もDVDを取り出して見直さなくては。だから、パリ・オペラ座が「イワン雷帝」を上演することになった時に、ルフェーブルに演技指導をさせて欲しいと申し出たところ断られたのは非常に残念な話です。ルフェーブルはダメな芸術監督の代表ですね。ロイヤル・バレエでも、「マイヤリング」の指導をしたかったのにできなかった。ギエムが「今の芸術監督(モニカ・メイスン)である限り、ロイヤルでは踊らない」と言ったのもよくわかります。ムハメドフは、リン・シーモアが芸術監督を務めるギリシャ国立バレエで指導をすることになったとのこと。
先達が伝えていく技術や演技があるということを理解しない芸術監督が、多すぎますね。
竹島由美子さんのNew File on Dancersは、彼女のシャープな魅力をよく伝える写真でよかったです。が、「融」の扱いがあまりにも小さいのが非常に残念。あの写真では、マリ=アニエス・ジロのDIVAでの魅力などこれっぽちも伝わりません。イリの作品「融」での3人の男性ダンサーの踊りが良かったと書いてあっても、写真がないし。オペラ座のページを一ページ減らしてこっちに割くことはできなかったのでしょうか。「オルフェオとエウリディーチェ」にしても、新国立劇場の新作なのですから、ウォルシュのインタビューを掲載すべきだったでしょうし。どうしてもこの雑誌はNBS偏重なのが見えてくるところがすごくイヤです。広告などの大人の事情でそうなるんでしょうけど。
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一方、Top Stageでは、ダンサー特集として、熊川哲也、服部有吉、K-BALLETの橋本直樹と宮尾俊太郎、東京バレエ団の大嶋正樹のインタビュー。服部さんの「ラプソディ・イン・ブルー」はコミュニケーションがテーマなのだそうですが、前作「ゴーシュ」もそうでしたね。13歳からハンブルクで生活して今はカナダの有吉さん自身のテーマがそうなのでしょうね。K-BALLETの若手男性ダンサー二人は、ビジュアルが非常に良いし、これから期待できそうですね。二人とも、夏の「ドン・キホーテ」でバジルに抜擢されているし、熊川さんによる期待の大きさがわかりますね。
でも、この雑誌はもちろん、大嶋さんのインタビューが載っているから買ったわけで(笑)、彼の人柄の一端がうかがえてとても面白かったです。「薔薇の精」を踊る時には、役柄になりきるために薔薇の花を部屋に飾ったり薔薇の香水を身に着けたり、というくだりが良いですね。よく色気があるといわれるそうですが(実際あるし)、本人は色っぽさについては全然自覚していないそう。多くのお客さんは彼のことをキャラクターが濃いと思っているみたいですが、彼自身はいろいろな役柄ができる、なんでもこなせるカメレオンになりたいそうで。またまたどんな演技や踊りをしてくれるのか、目が離せません。とりあえず9月のニジンスキープロの「薔薇の精」が楽しみです。
追記:6月の上旬に服部有吉さんがNHKの「トップランナー」に出演するとのことで、現在、スタジオ収録の観覧者を募集しているようです。応募締め切りは5月18日とのこと。
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コメント
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naomiさん、こんにちは。
服部くんがついにトップランナーに登場ですか~。
嬉しい情報ありがとうございます!
毎年夏に来日するたびにトップランナーに出ないかなぁ…と思っていたので嬉しいです。
英語でしゃべらナイトとかドイツ語講座も面白かったんですけど、時間が短いですからね。
楽しみですね♪
投稿: uno | 2007/04/29 10:29
naomiさん こんばんは。
パリオペラ座「イワン雷帝」再演の折にグリゴローヴィチ自身がパリオペラ座に出向いて指導してたと記憶しています。
インタビューでマチューはクルブスキー候をジョゼはイワン雷帝をグリゴローヴィチに直接教わったと話してましたよ。
・・グリゴローヴィチに教わるのでムハメドフが教えるのを断ったのじゃないかしら、なんてふと思いました。
投稿: shio | 2007/04/30 01:00
unoさん、こんばんは。
そうなんですよ~私も思わずやった~と思いました。服部さん、比較的テレビなどメディアへの出演頻度は高い方ですが、ゆっくりとお話を聴くということはなかったですものね。今まで出たことがなかったのが意外なほどです。
応募もしちゃおっかな~と思っています。
Shioさん、こんばんは。
なるほど、そういうことだったんですね。グリゴローヴィチの作品なので、彼が振付指導をするのは当然のことといえばそうですよね。たしかマチルド・フルステーがグリゴローヴィチに抜擢されてアナスタシアを踊ったんでしたっけ(うろ覚えでスミマセン)
映像になっているニコラのイワン雷帝は私は結構気に入っています。ニコラに向いている役ではないかと。
投稿: naomi | 2007/05/01 01:42