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« フェリの引退公演追加キャスト-マルセロが来る! | トップページ | 4/10 東京バレエ団「白鳥の湖」(セミオノワ&フォーゲル)その2 »

2007/04/12

4/10 東京バレエ団「白鳥の湖」(セミオノワ&フォーゲル)

東京バレエ団の「白鳥の湖」を観るのは久しぶり。2004年のマラーホフ&上野水香のを観て以来。(DVDでジョゼ・マルティネスのも観ていたけど)
「セットがぼろい」「衣装がひどい」「中でもロットバルトの3幕のアップリケには大笑い」「スペインがカッコいい」という印象があって、他のことについてはすっかりどんな感じだったか忘れていた。
「白鳥の湖」はコンスタントに公演のある演目で、去年はパリ・オペラ座、レニングラード国立バレエ、マリインスキー・バレエ、ザハロワがゲストの新国立劇場などを観ていて白鳥の当たり年ともいえる。中でも、ロパートキナが踊ったオデットは絶品で、その後テレビで放映された映像も繰り返し観ている。そうすると、ハードルが非常に高くなるというわけで。。。。

ポリーナ&フリーデマンについて

<2幕>
ポリーナ・セミオノワほど容姿に恵まれた美しいバレリーナもいないのではないか。いたとしたら、それはザハロワしかいないと思える。小さな顔に、小悪魔的なかわいい顔立ち。10頭身くらいありそうな長身、長い手脚。難を言えばバレリーナにしては胸が少々胸が大きすぎるくらいだろうか。2幕の最初にオデットが登場したときには、あまりの美しさに見とれてしまった。今までも「ラ・バヤデール」「くるみ割り人形」などの全幕、さらにガラでも何回も観てきて、実力があることも当然織り込み済みである。テクニックは非常に正確で、アンドゥオールは完璧、高く上がる脚、柔らかい背中と腕、素晴らしいバランス。美しいアラベスク。指先まで丁寧に踊っている。それだけすべてが完璧であるのに、それでもオデットを演じるには何かが足りないと思えるのだから、それほどまでにこの役が難しいということなのだろう。

ポリーナはとても細い体をしているのに、とても健康的に見える。筋肉質で胸が大きく、またみずみずしい若さがあるということもあるのだろうけど、生命力に満ち溢れている。きわめて生身の人間的であり、儚い白鳥の化身に見えない。身体的な条件はポリーナのほうがずっと恵まれていると思うけど、どこかヴィシニョーワの白鳥と共通するところが見えた。
とても意志が強く毅然としたところのある、しかし恋する乙女なのだ。特にコーダでパッセしながら翼のように腕をはためかせるところは、腕が柔らかく滑らかに動いているにもかかわらず、非常に強いものを感じさせた。絶対に、愛のためなんかでは死なない白鳥だ。東京バレエ団版の白鳥の湖は、正義が勝つヴァージョンなので、解釈としては間違っていないが。繊細さは残念ながらない。ベルリンにいる間に、ロシアらしさはすっかり抜けてしまったようだ。せっかくの逸材なのに、ちょっと勿体無い気もする。

毅然とした強いものを持っているオデットの表現者としては、白鳥らしいたおやかでたゆたうようなロパートキナの方が好きだけど、若くて美しいという意味ではポリーナの白鳥は素晴らしい。後は、表現力を身に着けて、叙情性とドラマ性を加えていってほしいと思った。


フリーデマン・フォーゲルの王子は、長身と立派な身体をしているにもかかわらず、とてもカワイイ。ぼや~んとしていて、あまり悩んだこともないような王子様が、白鳥に出会って熱烈な恋に落ち、熱でボーっとしてしまった、という解釈だろうか。非常にお育ちがよくおっとりとした風情が、踊り自体にも反映されていた。ジュッテなど跳躍は気持ちよいほど高いのだが、着地が時々危なっかしい。ピルエットが苦手らしく、回転が非常に遅くてやっとのことで3回転。ちょっとへたれなのだけど、白鳥の王子様はへたれでOKなキャラクターなので、これでも全然OKだと思う。いずれにしても、ビジュアル的にポリーナと釣り合いが取れた、麗しく脚の美しいおぼっちゃま王子様で、純白の衣装がずるいほど似合うのだから、十分だ。少々ノーブルさが足りないし、たまに素に戻っている瞬間があるが、それはご愛嬌ということで。

2幕は、まるでこのふたりによる白鳥版ロミオとジュリエットを見ているような気分。胸を締め付けられるような感情は出てこないけど、新しい白鳥の解釈だと思えばいいのだろうか。

<3幕>
予想されていたことではあると思うけど、ポリーナはオデットよりオディールが似合う。バレエフェスティバルで見せたオディールはあまりにも目ヂカラが強くて、邪悪さを感じさせるものであったが、今回はその邪悪さを減らしその分妖艶に演じていた。まさに小悪魔のように、イノセンスを含んだ、早熟な少女のような青い色香を放っていて誘惑的である。ポリーナのオディールの美しさと誘惑はもはや王子に向けられたものではなく、観客に向けたもののように思えた。なぜなら、王子がオディールを見た瞬間、また熱烈な恋に落ちてしまって嬉しさを隠せないものだから、もはや彼を陥落させる必要はないからだ。正面を見据えて、私を見て、私の美しさ、権力、魔力のすべてを見て、讃えなさい、とオディールは呼びかけている。まるで巫女のように。

ポリーナはアダージョが一番見事であった。なんといっても、驚異的なバランス!相当長い間、ポアントでサポートなしで美しいアティチュードを見せていた。アラベスクにしても、アティチュードにしても本当に見事な曲線美である。もともと大きな身体だが、場を完全に支配しきっていて、魔力で会場中に女神のように君臨していた。完璧。お見事。

ヴァリエーションは、バレエフェスやマラーホフのガラのときのグリゴローヴィッチ版のではなく(そちらの方が似合っていると思うのだが)、一般的な方。こちらも実に見事。ただし、フェッテはいつもと比べると少し落ちた。前半ずっとダブル、後半は3回に一回ダブルを入れていたが、途中で少し不安定になって傾きかけたことがあった。演奏のテンポと合っていないような感じだった。それはポリーナの責任ではなくオーケストラの問題であったと思えるが。とはいっても、バレエフェスの時ほどは良くなかったということだけで、十分高い水準のものといえる。オディールに関しては、若手では最強だろう。

フォーゲル王子は、ロミオのように生き急ぐかのような熱くてまっすぐな恋心と、本当にこの女性がオデットなのだろうかという戸惑いの間で揺れる気持ちをたくみに演じていた。ジュッテ・アントルラッセの開脚がとても美しいし、跳躍は高い。回転はやっぱり苦手。でもそれはいいのだ。もう少しノーブルだったらなお良いのだろうけど、それは彼の持ち味ではない気がする。

オディールに騙されたと知った瞬間の取り乱し方も、若くて純粋な王子らしく、混乱と激情と後悔が入り混じった複雑な感情をとても上手く演じていたと思う。

(つづく)

オデット/オディール:ポリーナ・セミオノワ
ジークフリート王子:フリーデマン・フォーゲル
王妃:加茂律子
悪魔ロットバルト:木村和夫
道化:松下裕次

家庭教師:野辺誠治
パ・ド・トロワ:高村順子、佐伯知香、古川和則
ワルツ(ソリスト):
 西村真由美、乾友子、奈良春夏、
 田中結子、浜野香織、前川美智子
四羽の白鳥:森志織、福田ゆかり、阪井麻美、河合眞里
三羽の白鳥:乾友子、田中結子、浜野香織
司会者:横内国弘
チャルダッシュ
(第1ソリスト):長谷川智佳子、大嶋正樹
(第2ソリスト):森志織、福田ゆかり、辰巳一政、小笠原亮
ナポリ(ソリスト):佐伯知香、松下裕次
マズルカ(ソリスト):奈良春夏、山本亜弓、中島周、野辺誠治
花嫁候補たち:
 小出領子、高村順子、西村真由美、
 乾友子、吉川留衣、渡辺理恵
スペイン:井脇幸江、田中結子、後藤晴雄、平野玲

指揮:アレクサンドル・ソトニコフ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

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