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« ABTパリ・ロンドン公演トピックス | トップページ | コジョカルとルグリの「ジゼル」放映決定 »

2007/02/15

映画「ヘンダーソン夫人の贈り物」

舞台や芸能が舞台となっている映画が好き。ちょっと前だと「ネバーランド」、最近では「王の男」など。そしてこの「ヘンダーソン夫人の贈り物」は、夫の遺産で劇場を買い取って、イギリス初のヌードショーを始めた肝っ玉おばさんの話である。面白いに決まっている。

ジュディ・デンチ演じるヘンダーソン夫人のキャラクターが最高。大胆さと繊細さを持ち合わせ、時には傲慢だったり無礼だったりするけどふとした優しさもある、素敵な女性である。自分がお金持ちだったら、こういう人になりたいな~ってすごく思う。夫の葬式では気丈に振舞っても、ボートを漕ぎながら一人号泣する。豪快に飛行機を飛ばしたと思ったら、それは戦争で21歳で亡くなった一人息子のお墓に行くためだったりする。支配人のヴィヴィアンと対立してもう劇場にには足を踏み入れないわ、とキレてしまった後、中国人に変装してこっそりと劇場に潜入しようとするが却って目だってつまみ出されたり、白クマの着ぐるみを着てオーディション受けたりととってもお茶目。憎まれ口の達人。このヘンダーソン夫人は実在した人物で、本当にこれらの行為をやってしまった人らしい。すごすぎる~

受けて立つ支配人のヴィヴィアンも一筋縄ではいかない。ジュディ・デンチに対抗できるだけの芸達者ということで演じるのはボブ・ホスキンス。ヴィヴィアンとヘンダーソン夫人の関係がすごくおかしい。約束の時間に大幅に遅れた挙句、ヴィヴィアンをユダヤ人だとキメつけた彼女の無礼な態度に立腹するという最悪の出会い。劇場運営には素人の彼女に口を出させないようにする抜け目のなさ。しかしやがてこの二人は、長年連れ添った夫婦のように、喧嘩と仲直りを繰り返しながらも、ベストパートナーとなっていく。ヴィヴィアンの抜け目のなさは、観客がねずみを舞台に放ってひと騒動おきたのを見ると、今度はわざとねずみを仕込ませたりするところにも現れている。

そんな彼に、妻がいたことを知って大人気ないやきもちを焼くヘンダーソン夫人。いくつになっても、女である。

戦争が激しくなり、コメディレビューとしてスタートしたウィンドミル劇場の客入りが悪くなっていった時に、一発逆転のアイディアとしてヘンダーソン夫人が提案したのは、ヌードショー。唖然とするヴィヴィアンだったが、ヘンダーソン夫人は古い知り合いの検閲長官をいとも簡単に煙にまいて、裸のモデルが動かないでポーズをとるという額縁ショーならOKという許可を取り付けてしまう。公園の中での特設テントで豪華なお茶に招待して、うまいこと検閲官を丸め込む手管手錬がお見事!そして、これはいやらしいことではなく芸術であり、誇りを持って仕事に取り組むべしと脱ぐことを躊躇するモデルたちをヴィヴィアンとヘンダーソン夫人が説得するところは感動的である。ヴィヴィアンをはじめとする男性陣も、彼女たちを脱がせるために全裸になるところは、超笑えるけど。実際、ステージの上でポーズをとる彼女たちは、なまめかしくも彫刻のように美しく、芸術作品そのものだ。戦場に出かける前の兵士たちが劇場につめかけ、戦局が厳しくなりロンドンがたびたび空襲にあっても、ウィンドミル劇場はたった一軒、営業を続けた。地下にある劇場は安全なため、女性たちやスタッフも引っ越してきて、まるでひとつの家族のようになる。

やがてロンドン市街が空襲により焼け野原と化してきて、閉鎖を命じられても、ヘンダーソン夫人は決して劇場を閉めようとしない。たった一人の息子の遺品は、古ぼけたヌード写真。21歳で戦死するまで一度も生身の女性の裸を見ることがなかった彼を不憫に思った母が、兵士たちに女性の裸を合法的に見せることを思いついたのだった。このことを、兵士たちや役人の前で淡々と語るヘンダーソン夫人。戦争が奪い去ったかけがえのないものたちを思い出させる、素晴らしいシーン。

そしてウィンドミル劇場は、戦争が終わってもずっと営業を続けて、額縁ショーは続いていった。ヘンダーソン夫人も、ヴィヴィアンも、劇場の女の子たちもみんな素敵だけど、主役は、やっぱり彼らを惹きつけた、ウィンドミル劇場だったんじゃないかと思う。だから私たちは劇場に魅せられるんだなってしみじみ思った。Show must go on!
女の子たちの裸も、どこか昔風でちょっとふくよかだったりするのがまたとても魅力的。劇場のスターとなったモーリーンの、凛とした美しさと儚さも印象的だった。

ダンサーの一人として(2番目に多く登場するパフォーマーで、一番良く踊っている)、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」でこの間まで王子を踊っていた元ロイヤル・バレエのマシュー・ハートが出演している。台詞もあれば歌まで歌ってしまうし、インディアンから白タイツの王子様までいろいろとコスプレも。登場シーンは一つ一つは短いけど、芸達者なのがよくわかる。

この映画とマシュー・ハートについては、きょんさんの日記でも詳しく書かれていますのでぜひどうぞ。

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コメント

はじめまして。
素敵なブログですね。
マシュー・ハートにも触れていただいて嬉しいです。彼はとっても素晴らしいダンサーですよね。バレエ関連の記事もたくさん書いていらっしゃるので、ゆっくり読ませていただきます。

きょんさん、ようこそいらっしゃいました。お返事が遅くてごめんなさい。コメント無精者なんです。ココログは携帯からコメントがつけられないのが不便ですよね。

マシュー・ハートはロイヤル時代は全然見ていなくて、「オン・ユア・トウズ」くらいしか観ていないのですが、やはりサドラーズで白鳥を見てきた友達が、マシューが一番素晴らしかったって言っていましたよ。私はクリス派ですが(笑)。
マシューの踊りを日本で観る機会があるといいな~。
これからもどうぞよろしくお願いいたします!

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