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2007年2月

2007/02/27

ルグリと輝ける仲間たち 東京公演

やっとNBSサイトで発表になりました。が、期待以上に豪華な演目になって嬉しいですね!

Aプロ
2007年8月7日(火) 18時30分
2007年8月8日(水) 18時30分
2007年8月9日(木) 18時30分

Bプロ
2007年8月11日(土) 15時
2007年8月12日(日) 15時
2007年8月13日(月) 18時30分

■会場  ゆうぽうと簡易保険ホール

<キャスト>

マニュエル・ルグリ Manuel Legris

モニク・ルディエール Monique Loudières

オレリー・デュポン Aurélie Dupont
マチュー・ガニオ Mathieu Ganio
エルヴェ・モロー Hervé Moreau
バンジャマン・ペッシュ Benjamin Pech

エレオノーラ・アバニャート Eléonora Abbagnato
ドロテ・ジルベール Dorothée Gilbert
ミリアム・ウルド=ブラーム Myriam Ould-Braham

マチルド・フルステー Mathilde Froustey
ローラ・エッケ Laura Hecquet
ミュリエル・ズスペルギー Muriel Zusperreguy
オドリック・ベザール Audric Bezard
ステファン・ビュヨン Stéphane Bullion
マチアス・エイマン Mathias Heymann
ジョシュア・オファルト Josua Hoffalt
ヤン・サイズ Yann Saïz

シャルリーヌ・ジザンダネ Charline Giezendanner
アクセル・イボ Axel Ibot

グレゴリー・ドミニャック Grégory Dominiak

大阪公演で発表になっているよりメンバーが増えましたね。
ペッシュ、モロー、さらにはスーパーバレエレッスンで活躍中のアクセル君とシャルリーヌです!すごい!

Aプロ

「白の組曲」 
振付:セルジュ・リファール   

<パ・ド・トロワ> 
ローラ・エッケ、オドリック・ベザール、ジョシュア・オファルト
<セレナード>
ミリアム=ウルド・ブラーム
<アダージュ>
エレオノーラ・アバニャート、ヤン・サイズ
<フルート>
シャルリーヌ・ジザンダネ
<マズルカ>
マチアス・エイマン
<パ・ド・サンク>  
ミュリエル・ズスペルギー、東京バレエ団
<シガレット>
マチルド・フルステー
東京バレエ団

 
「扉は必ず...」
振付:イリ・キリアン
オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ

「スパルタクス」
振付:ユーリ・グリゴローヴィチ
マチルド・フルステー ステファン・ビュヨン

「ドリーブ組曲」
振付:ジョゼ・マルティネス
ミリアム・ウルド=ブラーム エルヴェ・モロー

「椿姫」第2幕より
振付:ジョン・ノイマイヤー
エレオノーラ・アバニャート バンジャマン・ペッシュ

「ソロ」  
振付:レオ・ミュイジク
オレリー・デュポン

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン
ドロテ・ジルベール マチュー・ガニオ

「オネーギン」
振付:ジョン・クランコ
モニク・ルディエール マニュエル・ルグリ


Bプロ

「ビフォア・ナイトフォール」
振付:ニル・クリスト

<第1パ・ド・ドゥ>
ミュリエル・ズスベルギー/ミリアム・ウルド=ブラーム
ヤン・サイズ/ジョシュア・オファルト

<第2パ・ド・ドゥ>
エレオノーラ・アバニャート、
エルヴェ・モロー/ステファン・ビュヨン

<第3パ・ド・ドゥ>
ドロテ・ジルベール、
マチュー・ガニオ/オドリック・ベザール

<3組のカップル>
マチルド・フルステー、ローラ・エッケ、
シャルリーヌ・ジザンダネ、
ジョシュア・オファルト/グレゴリー・ドミニャック/
オドリック・ベザール/アクセル・イボ/
マチアス・エイマン

「牧神の午後」
振付:ティエリー・マランダン
バンジャマン・ペッシュ

「オネーギン」
振付:ジョン・クランコ
モニク・ルディエール マニュエル・ルグリ

「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン
ミリアム・ウルド=ブラーム/ミュリエル・ズスペルギー
マチアス・エイマン/アクセル・イボ

「ジュエルズ」より“ダイヤモンド”
振付:ジョージ・バランシン
ローラ・エッケ エルヴェ・モロー

「アベルはかつて…」
振付:マロリー・ゴディオン
ヤン・サイズ ステファン・ビュヨン

「ドニゼッティ - パ・ド・ドゥ」
振付:マニュエル・ルグリ    
ドロテ・ジルベール マチュー・ガニオ

「ソナチネ」
振付:ジョージ・バランシン
オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ

先に発表された大阪公演と違う演目もありますね。グリゴローヴィッチの「スパルタクス」にはびっくりです。しかしマチルト・フルステーはグリゴローヴィッチによって「イワン雷帝」のアナスタシア役に抜擢され絶賛されているんですよね。
「白の組曲」やティエリー・マランダンの「牧神の午後」を上演するというのも、滅多にない機会で嬉しいです。
そしてバレエフェスでも大好評の「扉は必ず・・・」もあるし!
A、Bの両プロで「オネーギン」をやるとは、鏡と手紙の両方を上演するってことなんでしょうか。楽しみです!

お値段と発売日は追って発表するとのことです。

2/24、25 NBAバレエ団&ラスタ・トーマス「バレエ・リュスの夕べ」

「ショピニアーナ」
 原振付:ミハイル・フォーキン、再振付:アグリッピナ・ワガノワ
 音楽:フレデリック・ショパン
 出演/原嶋里会(マズルカ)、峰岸千晶(ワルツ)、鷹栖千香(プレリュード)、ラスタ・トーマス(青年) 他
「ル・カルナヴァル」
 原振付:ミハイル・フォーキン、再振付:セルゲイ・ヴィハレフ
 音楽:ロベルト・シューマンのピアノ曲集「謝肉祭」
 美術/衣装:レオン・バクスト
 出演/田熊弓子(コロンビーヌ)、セルゲイ・サボチェンコ(アルルカン) 峰岸千晶(蝶々)、アレキサンダー・ミシューチン(ピエロ)
「バラの精」
 原振付:ミハイル・フォーキン、再振付:セルゲイ・ヴィハレフ
 音楽:カール・マリア・フォン・ウェーバー
 出演/猪俣陽子、ラスタ・トーマス
「ポロヴィッツ人の踊り」
 原振付:ミハイル・フォーキン、再振付:フョードル・ロプホフ
 音楽:アレクサンダー・ボロディン(「イーゴリ公」より)
 出演/鷹栖千香(24日)、チョン・オンキョン(25日)、アレキサンダー・ミシューチン(24日)、ビクトル・コスタコフ(25日)
復元演出:セルゲイ・ヴィハレフ
監修:薄井憲二

もちろんこの公演はラスタ・トーマス目当てで行ったわけだけど、もともとバレエ・リュスというかフォーキン作品が大好きなので見逃せない公演となった。席も端っこだけど最前列(笑)

「ショピニアーナ」
別名「レ・シルフィード」、妖精モノが好きではないため今までこの演目ってあまり面白いと思ったことがなかったのだけど、改めて観てみると意外と楽しめた。NBAバレエ団を観るのは実は今回初めてなのだが、なかなかレベルは高いと思った。ロシア系のテクニックで踊っているため、上半身がきれいでコール・ドが良く揃っている。そしてソリストの3人はみなポール・ド・ブラの美しい、良いダンサーである。特にプレリュードを踊った長身の鷹栖千香さんがのびやかな踊りで良かった。
さて、ラスタだけど、サポートが多くて見せ場の少ないこの役はちょっともったいなかったかも。さすがにジュッテなどの跳躍は非常に大きくて素晴らしいけど、足音はちょっと大きかったと思う。ジュッテ・アントルラッセのときに脚を打ちつけてダイナミックに跳んでいるのには驚いた。ラスタはあまりクラシックのダンサーというイメージはないと思うけど、さすがにキーロフ・アカデミー出身でマリインスキーにも一時在籍していただけあって、クラシックのテクニックは非常にしっかりしている。ルルベで立ったときの足の甲は美しいしバランスも鉄壁。もちろんポール・ド・ブラも優雅で素敵だった。ちょっと合わせてのリハーサルが少なかったようで、パートナーシップが上手くいっていなかったのは残念だったけど2日目のほうが慣れてきたのか良かった。

「ル・カルナヴァル」
滅多に上演されない貴重な演目。そのためか、評論家の先生がたくさん来場していた。シューマンのピアノ曲集「謝肉祭」に基づいて振付けられたもので、作曲家自身の分身である主人公パンタロンのほかピエロ、アルルカン、コロンビーヌなどコメディア・デラルテの登場人物が現れる。パンフレットに詳しいストーリーの説明があるのだけどけっこう複雑な筋。華やかなカルナヴァルと貴族たちの中で、愛に見放される老人パンタロンと孤独で哀れなピエロのお話。「ペトルーシュカ」の貴族版という趣。
女性たちはみんなフリフリの可愛いドレスを着ていて、コロンビーヌと蝶々以外はアイマスクをしている(なので、誰だ誰だか今ひとつよくわからない)。蝶々はとっても可愛い頭飾りをつけていて、この役を演じている峰岸千晶さんもとてもキュートだ。コロンビーヌの田熊弓子さんはこの舞台で引退するというが、とても上手なのでもったいない。ピエロ役のアレクサンダー・ミシューチンもとても演技が上手で、感情移入させてくれたが、なんといってもアルルカンのセルゲイ・サボチェンコの踊りの見事なこと。足音ひとつさせずに高いパ・ド・シャから深いプリエと着地。優雅な上半身。しなやかな動き。海外の一流カンパニーの主役級のダンサーでもおかしくないほどのテクニックと表現力だ。サボチェンコを観ているだけで惚れ惚れとして楽しんでしまった。

「バラの精」
お待ちかね、今日の一番の楽しみ。しかし、ラスタの衣装にはちょっと絶句・・・。サーモンピンクの光沢のある全身レオタードでほとんどお仕置き状態(苦笑)。頭を覆う帽子も小さくて髪があまり隠れていない。こんな衣装を着せられてかわいそうになるほど。その上、上半身がかなりしっかりとした筋肉がついているため、中性的な雰囲気はなくて、体育会系の若い男の子という感じ。さすがに窓から部屋へ飛び込んできたときの跳躍は非常に高くて会場でもため息が漏れた。妖しさは微塵もなく、健康的で爽やかな薔薇。初夏の朝露が滴るようなフレッシュローズといった雰囲気。でも陶酔した表情はかわいらしかったし、ここでも歌うような腕の動きがとても優雅で、薔薇が花開いていくかのように素敵だった。薔薇の精独特の、アンオーに腕を上げて目を伏せて少し横向きに顔をずらした官能的なポーズはとても決まっている。席が前の方なので、息遣いまで聞こえてきてドキドキする。それに一つ一つの跳躍がとにかく大きくて軽やかで、止まっていることはほとんどないのに最後まで跳躍の高さは衰えない。今まで観たどの薔薇の精にも似ていない、オリジナリティがあって鮮烈な薔薇であった。
少女役の猪俣さんとのパートナーシップはとてもよかった。

「ポロヴェッツ人の踊り」
これは個人的に大好きな演目なので、今回観られて良かった。NBAバレエ団はロシア人の団員が多いため、男性群舞が大変迫力があって見ごたえたっぷり。隊長役のアレクサンダー・ミシューチンの踊りも力強く、最初から最後まで数え切れないくらいのトゥール・アン・レールを繰り返していて凄かった。女性陣もかなり体力的にきつい踊りが多かったと思う。ポロヴェッツの少女の谷田奈々さんの、ジュッテを何回も繰り返す踊りが良かった。「表現豊かな群舞の魅力をたっぷり見せ付ける」というフォーキンの意図が良く伝わってきて、ホント、この演目はとても勇壮で気分が盛り上がって、幕切れにふさわしい感じ。演奏(指揮:榊原徹、東京劇場管弦楽団)も非常に良かった。

NBAバレエ団が実力があるのがよくわかったし、とてもよい企画だったと思う。パンフレットには、それぞれの演目の詳しい解説と、バレエ・リュスの豊富な図版があって、これで1000円はお買い得。ぜひNBAバレエ団は、バレエ・リュス作品を今後も上演し続けてほしいと思った。

なお、次回公演(第4回トゥール・ヴィヨン公演)では、打って変わってトワイラ・サープの「ナイン・シナトラ・ソングス」(ABTでこの間上演された「シナトラ組曲」ですね)、トッド・アレン振付の「ディメンションズ」などを上演するとのことで、これもとても興味深い。

2007/02/26

TBS「情熱大陸」にABT加治屋百合子さん

3月4日日曜日 11時00分〜11時30分、TBS系「情熱大陸」にて、ABT唯一の日本人ダンサー加治屋百合子さんがクローズアップされます。
http://www.mbs.jp/jounetsu/

ABTパリ公演の模様も放映されるようでとても楽しみなのですが、NHK教育テレビのルグリ&コジョカル、東京バレエ団「ジゼル」とまるまる被っているんですよね。うむむ…

加治屋百合子さんの踊りは何回も観ていますが正確で優雅、柔らかくてとても素敵なダンサーです。今はコール・ドですが、ドンキホーテの花売り娘、ラ・バヤデール影の王国のバリエーション、白鳥の湖のパドトロワなどソリスト的な役も多く、ballettalkなどの海外フォーラムでもソリスト昇格の有力候補と目されているようですし、批評家の受けも良いです。

22歳とまだ若く、非常に華奢で可愛らしいですが過去のダンスマガジンでのインタビューを読むと、非常に根性と気が強いようで、海外で活躍するには相当タフでないとならないことを実感させられました。

2007/02/25

ゴールデン・バレエ・コー・スターの豪華出演者

今日はNBAバレエ団の「バレエ・リュスの夕べ」に行ってきました。ゲストのラスタ・トーマスはもちろん素晴らしかったのですが、全体的なレベルも高く、ノボシビルスク・バレエのチーフバレエマスターであるセルゲイ・ヴィハレフを再振付に迎えてしっかりと作りこまれた舞台で大変楽しめました。明日も行く予定なので詳しい感想は後ほど。お時間がある方はぜひご覧ください。
ラスタの薔薇は体育会系さわやかな薔薇でしたね。

さて、会場で掲示してあったガラ公演「ゴールデン・バレエ・コー・スター」の出演者のラインアップがあまりにも豪華でビックリしました。

8月4日、5日 メルパルク・ホール
マリア・アイシュヴァルトとフィリップ・バランキエビッチ(シュツットガルト・バレエ)
   ↑
これが超嬉しいです。この二人が出るというだけで、観に行くこと決定。演目は「オネーギン」かしら?

アリーナ・ソーモワ、レオニード・サラファーノフ (マリインスキー・バレエ)
デルフィーヌ・ムッサン、カール・パケット (パリ・オペラ座バレエ)
ヤンヤン・タン (サンフランシスコ・バレエ)
マヤ・マッカテリ (バーミンガム・ロイヤル・バレエ)、久保紘一(コロラド・バレエ)
ブルックリン・マック (オーランド・バレエ、去年のジャクソン・コンクールの銀メダリスト)
セルゲイ・サボチェンコ (NBAバレエ団)他

なかなか魅力的な顔ぶれですね。7月~8月はオーストラリア・バレエ、グルジア国立バレエ、ルグリと輝ける仲間たち、アクロバティック白鳥の湖と、いろいろと観るモノ目白押しでかなり大変です~。

2007/02/24

2/22日本バレエ協会「ジゼル」

「シェヘラザード」のゾベイダが素晴らしかった下村由理恵さんがジゼルを演じるということで、楽しみにしていた公演。しかも演出は由理恵さんのだんなさんである篠原聖一さんという。どんな世界が展開されるのかわくわくしていた。

由理恵さんのジゼルはかわいいのだけど、同時に落ち着いていて少し大人なところもあり。演技力、テクニックはさすがに申し分ない。ロイヤル系のメソッドなので、脚などはあまり高く上げないで品良く踊る。1幕から足音をまったくさせないこと。そして、背中~腕の使い方の美しさが印象的だった。特にアームスはまさにお手本のようにきれいに決まっている。
演技には定評のある由理恵さんなので、狂乱のシーンをどのように演じるかがとても興味深かったのだけど、やはり凄かった。最初はあまり派手に取り乱さず、いったい何が起きてしまったのか自分でもわかっていない風。まずは深い悲しみが襲ってきて、少しずつ歯車が狂っていって、そして一気に針が振り切れてしまった。途中からは自分がいったい何をやっているのか、目の前にいる人は誰なのかもわからなくなってしまっているのだけど、大袈裟でもなければ激しくもない。だけど、間違いなくイってしまっている。髪も最初から乱れているわけではなく、途中から自然に乱れていっているのが効果的。しまいにはアルブレヒトの剣で自分の胸を刺してしまい、それが致命傷になってしまうのだけど、それすらも、自殺しようという意識の元ではやっていないのだ。非常に印象的な演技だった。

遅沢さんは、とても長身で容姿がなかなか素敵なダンサー。テクニックもあるようで、ジュッテが非常に高い。日本人でプレイボーイを表現するのってなかなか難しいようで、海外で活躍している遅沢さんでもそうなのね、と思った。考えてみれば、お恥ずかしい話だけど日本人のアルブレヒトを見るのって初めてだったりする。日本のカンパニーの「ジゼル」でも、ジゼル役は日本人でもアルブレヒトだけ外国のゲストってことが多いのよね。とにかく遅沢さんのアルブレヒトは、お坊ちゃま風であまり遊びなれていなくて、けっこうジゼルとはマジ。だからバチルドが出てきた時の言い訳もすごく下手でかなり動揺しているし、ジゼルが狂ってしまった時には彼自身もめちゃめちゃ動転して、狂わんばかり。このあたりは篠原さんの演出の効果もあるのだけど、かなり異色な役作り。ジゼルが胸を刺した後で、彼もヒラリオンに剣を向けるのではなく。自分の胸を刺そうとするのだから。ジゼルが死んで彼女の遺体に取りすがるアルブレヒト、それをベルタが突き放し、ウィルフリードに支えられて去っていくというのが通常の演出。だけど、ここでは一旦去ったかに見えたアルブレヒトが、村人たちを掻き分けてジゼルの元に戻り、そこでへたり込んで号泣するのだ。情熱的というか、若いというか。なかなか面白い演出だったと思う。彼にとっては、ジゼルのことは決して遊びではなかったと言うわけだ。

2幕の演出もとても面白かった。いやはや篠原さんの「ジゼル」2幕は怖いよ。何しろミルタとウィリたちがめちゃめちゃ怖い!ピーター・ライト版のゾンビのようなウィリも怖かったけど、さらに恐ろしかった。まず、ジゼルの墓の前で号泣しているヒラリオンと墓堀人たち。そこへ、四隅から、白いヴェールをまとったウィリたちがヒラリオンを追い詰めるのだから。出たな化け物、って感じだ。ミルタの前田さんはとても上手な人なのでもちろん期待していたが、期待以上に凄かった。もうめちゃめちゃ怖いし、女王様というよりボスというか親玉というか。長身で細いというのもあるんだけど何よりメイクが怖い。。。眉毛がほとんどなくて、顔色も真っ青で、隈取のようなアイライン。そのメイクに負けないくらい演技が強烈だった。ウィリたちも、心底この親玉への畏敬の念があって、命令どおりに動きます、って感じ。踊りそのものはとても上半身が美しいし威厳があるし、良かったと思う。ドゥ・ウィリのキミホ・ハルバートさんのメイクも怖かった。ここのウィリはミルタに絶対服従でどんなことでもしでかしちゃうし人間らしさのかけらもないのが怖い。ヒラリオンもたっぷりといたぶって殺すし。ヒラリオンの沖潮隆之さん、とてもよく踊れる人で、ミルタへの懇願ぶりも必死で、良かった。ヒラリオンはいっぱいウィリにいじめられているところを観ないと、物足りないのだ(笑)
ウィリの皆様、バレエ協会という寄せ集め公演にしてはよく揃っていたと思う。ただ、最大の見せ場のひとつであるアラベスクのままでずんずん進んでいくところでは、時々後ろ足が低くなっている人がいたのが残念。

2幕の由理恵さんは、霊的というよりは生っぽいというか1幕の村娘ジゼルの部分をかなり残している役作り。アルブレヒトを守り抜こうという強い意志が見えた。情感はあるのだけど、アームスと背中が美しいので浮遊感はあって、こっちの世界とあっちの世界の中間に存在しているというのがよくわかる。スーブルソーではあまり背中を反らさないし、デヴロッペの脚もあまり高く上げない。だけどそうすることで、より生身の感情を残したジゼルという印象を植え付けられた。アルブレヒトに対して揺るぎのない包み込むような愛情を持っていて、最後にお墓へと消えていくところでも、最後まで彼に対する想いを残したまま、消えたくない、でも消えなくてはならないという締め付けられるような気持ちが表現できていたと思う。素晴らしかった。

遅沢さんのアルブレヒトは、長身なのでマント姿は似合っているのだけど、百合の花束の持ち方はもう少しなんとかしましょう。顔を花束に埋めようとしても、そこは茎だって!2幕で甘ちゃんダメダメ君の本性がとても出ていて、情けないまでにウィリたちにこてんぱんにやられている。お願い、助けて~って声が聞こえてきそう。だけど終盤踊らされるところは、まだ体力残っているように見えた。とてもよく踊れる人で、グリッサードもカブリオールも上手なのだけど、もう少し弱っている演技を頑張りましょう。ジゼルへの熱い想いは最後まで持っていて、一緒にお墓に入りかねない勢いで、若さを感じたわ。お墓に倒れこむ姿は絵になるし、たまにはこういうアルブレヒトもいいかも。

ペザント・パ・ド・ドゥの粕谷さんと青木さんも非常にテクニックがあったし、予想していたよりも全体的なレベルも高く、充実した公演だったと思う。中でもやはり由理恵さんの演技力と、怖い怖い前田さんのミルタは強烈だった。機会があればこの二人は観たいダンサーだ。

ジゼル:下村由理恵
アルブレヒト:遅沢佑介
ヒラリオン:沖潮隆之
ミルタ:前田新奈
ペザント・パ・ド・ドゥ:奥田花純、青木崇
ドゥ・ウィリ:石井美香、キミホ・ハルバート
振付:演出:篠原聖一
指揮:堤俊作

2007/02/21

3月4日NHK芸術劇場

この日の芸術劇場はコジョカル&ルグリの「ジゼル」が放映されることは皆様ご存知かと思いますが、その前の情報コーナーも見逃せません。超豪華です。

3月 4日( 放送時間 22:00~0:15 )
【情報コーナー】 22:00~22:20
● 海外音楽情報  「デンマーク・ロイヤルバレエ団の現在」
● 特集       「ダンス・オペラへの挑戦」

手抜きですみませんが、NHKのサイトからのコピペです。デンマークロイヤルバレエと、あと大島早紀子振付の話題のオペラ「ダフネ」です。「ダフネ」は観に行きたかったのに体調不良でパスしたため、ちょっとでも見られるのが嬉しいです。

★ 海外情報コーナー
「デンマーク・ロイヤルバレエ団の現在」
 
 「ラ・シルフィード」「ナポリ」など、バレエの名作を残した振付家オーギュスト・ブルノンヴィル。デンマークが生んだ偉大な振付家の作品は、デンマーク・ロイヤルバレエ団で150年以上にも渡り踊り継がれ、その独特の舞踊スタイルは、ブルノンヴィルスタイルといわれ、バレエ界に確たる地位を得ている。
そのブルノンヴィルの作品が、2005年のブルノンヴィル生誕200年を機に、一部刷新され上演された。その改訂振り付けは国内で大きな話題となり、観客の要望に応え2007年の1~2月に再演の運びとなった。ブルノンヴィルの名作「ナポリ」の改訂振り付け版の魅力を伝えながら、北欧の名門、デンマーク・ロイヤルバレエ団の今を伝える。
 

 ★ 特集 
「ダンス・オペラへの挑戦」
 
 2007年2月、東京二期会の公演でリヒャルト・シュトラウスのオペラ「ダフネ」が上演される。リヒャルト・シュトラウスの隠れた名作の日本初演ということで話題を呼んでいるが、それに加え、今回演出を手がける気鋭の振付家、大島早紀子のアプローチが大きな注目の的となっている。
 大島早紀子は、1989年にダンサー白河直子と共にダンスカンパニー、H・アール・カオスを設立、主宰。独特な美意識と哲学に支えられた創作活動は世界的に高い評価を受けている。「春の祭典」や「ボレロ」などのダンス作品を世に送り出してきた大島だが、今回オペラを演出するにあたり、「音楽、美術、衣裳、照明、ダンス、そのすべてが一体となって共振する空間を創り上げたい」と抱負を述べている。視覚的な要素が重視されている昨今のオペラ演出。その中で、大島早紀子と日本のトップダンスカンパニー、H・アール・カオスの起用がオペラ界にどんな新風を吹き込むのか。リハーサルの模様と大島へのインタビューを中心に構成し、身体が音楽に呼応するダンス・オペラの可能性を探る

2007/02/20

ノイマイヤー「椿姫」のジャケット

更新を休むと言いながら舌の根も乾かぬうちに更新している嘘つきな私です。お許しください。体調と相談しながら更新のペースは落としていきます。

ノイマイヤーの「椿姫」のDVDがドイツグラモフォンから再リリースされることは皆様ご存知かと思いますが、本家ドイツグラモフォンのサイトにジャケットの画像がありました。

http://www.deutschegrammophon.com/catalog/product.htms?PRODUCT_NR=0734320&COMP_ID=CHOFR&WIDTH=1436&HEIGHT=517&COLORS=&PLAYER=yellow

間違いなくマリシア・ハイデ、イヴァン・リスカ主演、ハンブルク・バレエのものです。

HMVではこちらです。05月25日 発売予定です。


ついでにハンブルク・バレエのカリフォルニア公演の批評をご紹介


「ヴェニスに死す」

ロサンゼルス・タイムズ
http://www.calendarlive.com/stage/cl-et-hamburg19feb19,0,6050976.story?coll=cl-stage

Orange County Register (写真あり)
http://www.ocregister.com/ocregister/entertainment/arts/dance/article_1583749.php


「椿姫」

Orange County Register(写真のスライドショーつき)
http://www.ocregister.com/ocregister/entertainment/arts/dance/article_1579717.php

ロサンゼルス・タイムズ
http://www.calendarlive.com/stage/reviews/cl-wk-hamburg15feb15,0,5648822.story

ロサンゼルス・タイムズによるノイマイヤーやリギンスのインタビュー。
http://www.calendarlive.com/stage/cl-et-neumeier13feb13,0,3825100.story?coll=cl-stage-features

2007/02/19

しばらくお休みします/バレエテレビ放映情報

体調不良につきしばらくお休みいたします。

気が向いたら更新するかもしれませんが・・・。

申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。


これだけでは申し訳ないので置き土産です。
バレエ関係のテレビ放映の予定、まとめです。

2/23(金) 19:24-21:11 デジタル教育3「ファラオの娘」
ボリショイ・バレエ ザハロワ、フィーリン

2/28(水) 13:00-15:09 NHK衛星第2 衛星映画劇場 
アカデミー受賞作品特集 「赤い靴」

2/28(水) 23:00-23:43 NHK Hi-vision 「シブヤらいぶ館」
歌のない音楽会 “バレエ最前線” 熊川哲也、Kバレエカンパニー

3/04(日) 22:20-24:15 NHK教育 芸術劇場
東京バレエ団「ジゼル」
コジョカル&ルグリ 2006/08 東京文化会館

3/07(水) 18:00-18:43 NHK衛星第2 「シブヤらいぶ館」
歌のない音楽会 “バレエ最前線” 
熊川哲也、Kバレエカンパニー (2/28と同じ番組)

3/11(日) 22:20- NHK教育 芸術劇場
勅使河原三郎 「ガラスの牙」 新国立劇場

3/16(金) 24:55-27:59 NHK衛星第2 クラシックロイヤルシート
ライプチヒ・バレエ団 モーツァルトの ミサ曲 ハ短調 K.427

3/30(金) 24:55-27:59 NHK衛星第2 クラシックロイヤルシート
パリ・オペラ座 バレエ「シルヴィア」

映画「ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド」

結合性双生児の美しい兄弟によるロックバンドを描いた作品ということで、宣伝ヴィジュアルがかっこいいしと思って公開直後に観に行く。

う~む一言で言えば"惜しい”映画。

この映画、ヴィジュアルと音楽は確かに完璧である。実際に双生児であるバリーとトムを演じたハリーとルーク・トレッダウェイはロックスターにふさわしい容姿が美しく、しかもこの映画の舞台である70年代っぽい部分をよく体現している。しかも歌も本人たちが歌っていてすごく妖しくいい雰囲気。この二人が生まれ育った、イギリスの田舎の岬、”The Head"の寒々しく荒涼とした風景。湿った空気を感じさせる映像。撮影の アンソニー・ドッド・マントルは ラース・フォン・トリアーの「ドッグヴィル」やダニー・ボイルの「28日後...」、フォレスト・ウィテカーがアカデミー賞にノミネートされている「ラスト・キング・オブ・スコットランド」や一連のドグマ作品などを撮影している人だそう。バリーとトムが落書きをする奇妙なイラストのセンスも良い。見た目はほんとうに素晴らしい。

語り口としては、フェイク・ドキュメンタリー形式となっている。かつて存在したザ・バンバンというバンドと、その中心的なメンバーであった双子を、現代の視点からドキュメンタリー化しているというメタ映画なのだ。びっくりしたのが、途中でケン・ラッセル監督本人が登場して、彼らを主人公にした映画"Two-Way Romeo"を撮影していたなんて話までする。この"Two-Way Romeo"という作品、タイトルといい、耽美的な雰囲気といい、すごく良い感じ。ザ・バンバンの70年代的な音楽性もすごくカッコいいし、苦悩が伝わってくる歌詞にも独特の美学があってたまらなく魅力的だ。

双子をロックのプロモーターに売ってしまったという父親、唯一の理解者であった姉(リトル・ヴォイスのジェイン・ホロックスが演じているんだけどいつの間にかこんなにおばさんに・・)、取材ということで近づいてトムと恋に落ちた女性ジャーナリストローラ、兄弟の脳を診察した医師、マネージャー、興行主といった関係者へのインタビューが出てきて、まさにドキュメンタリー映画という仕立てになっている。監督は「ロスト・イン・ラマンチャ」のキース・フルトン&ルイス・ペペで、あちらはテリー・ギリアムの映画製作が空中分解する様子を描いたドキュメンタリーであったわけで、その路線を継承しているってワケだ。実のところ、ザ・バンバンというバンドも、トムとバリーという双子の兄弟も1974年ごろ実在していたらしい。ただし、名前を借りているだけのようだ。

しかし、このフェイク・ドキュメンタリーという手法が成功しているかといえば、とても成功しているとは言いがたいのが難点。結合双生児の兄弟という魅力的な素材を扱うのに、オブラートが何枚もかぶさった感じになってしまって、その実像はすっかりぼやけたものとなってしまっている。スターになった彼らが、さまざまな苦悩に苛まれ、お互いを切り離したいという願望に取り憑かれ、破滅していく理由がよくわからなかったというのが最大の欠点。ローラに裏切られたとか、兄弟の片方の頭に腫瘍(その腫瘍は実は胎児という説が出てきて、そのグロテスクなメタファー映像は刺激的でよかった)ができて攻撃性が人格に加わったとかいろいろあるんだろうけど、それだけで、あそこまで苦悩するものだろうか、と思ってしまう。

ロックにすべてをぶつけている、ロックをやるしか生きていく術はないという純粋さはガツンと伝わってくるが。

せっかく素材やヴィジュアル、世界観が魅惑的なのに、とてももったいない結果に終わってしまったのが残念。ラストの、双子の顔がひとつに融合したように重なって正面を見据えるショットはすごくいかしていた。魂のすべてを音楽にぶつけているという意味では、本物のロックであることは間違いない。

監督:キース・フルトン&ルイス・ペペ
脚本:トニー・グリゾーニ
原作:ブライアン・オールディス
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
音楽:クライブ・ランガー
出演:ハリー・トレッダウェイ、ルーク・トレッダウェイ、ブライアン・ディック、ショーン・ハリス、ケン・ラッセル

http://brothers-head.com/

2007/02/18

ABT ロンドン公演

Ballet.co.ukにJohn Ross氏のフォト・ギャラリーがあります。Symphony Concertante、ラ・バヤデール、緑のテーブルの写真が見られます。ヴェロニカ・パールトってほんと美人ですよね。
現地のフォーラムなどを見ると、私の大好きなイリーナさまですが普段ガムザッティを踊る方が多いようなので、ニキヤ表現が今ひとつのようですね。うむむ。加治屋百合子さんが影の王国のヴァリエーションでかなり頑張っていたようです。

Symphony Concertanteはバランシン作品の中でも、美しいですが正直やや退屈な作品なんで、こういうガラ形式の公演の演目としてはどうなんでしょうね。批評家の集まる初日には、ミシェル・ワイルズ&ヴェロニカ・パールトという見栄えはするものの技術的には不安定な二人よりも、私がNYで観た時のジリアン・マーフィ&イリーナ・ドヴォロヴェンコにしたほうが良かったのではと言う気がします。

なお、John Ross氏のギャラリーには、ロイヤル・バレエの「白鳥の湖」(マリアネラ・ヌニェズとティアゴ・ソアレスという新婚カップル主演)の素敵なギャラリーもあります。ヌニェズは「ジゼル」でのミルタも素晴らしかったし、来日公演の「シルヴィア」への主演も予想されている注目のダンサーですね。

話をABTに戻すと、新聞の批評も出揃っています。NYの批評家はかなり甘いと思うので、しっかりしたイギリスの批評を得られることは、カンパニーにとってもとてもよいことだと思います。

Clement Crisp (Financial Times)
http://www.ft.com/cms/s/dcfa7342-bd0a-11db-90ae-0000779e2340.html

Ismene Brown (Daily Telegraph)
http://www.telegraph.co.uk/arts/main.jhtml?xml=/arts/2007/02/12/btballet12.xml

Judith Mackrell (The Guaradian)
http://arts.guardian.co.uk/theatre/dance/reviews/story/0,,2014544,00.html

Debra Craine (The Time)
http://entertainment.timesonline.co.uk/tol/arts_and_entertainment/stage/dance/article1391194.ece

Sarah Frater (The Evening Standard)
http://www.thisislondon.co.uk/theatre/show-23361886-details/AmericanBalletTheatre%3AProgramme2%28LaBayadereActII/DrinkToMeOnlyWithThineEyes/FancyFree%29/showReview.do?reviewId=23385827

Luke Jennings (The Observer)
http://arts.guardian.co.uk/reviews/observer/story/0,,2015536,00.html

何よりもイーサン・スティーフェルが完全に復活したのが嬉しいですね。いちぞーさんがロンドンのレポートを書いてくださっていますのでどうぞ。

2007/02/17

チケット取りとかいろいろ

明日というか今日はKバレエの「海賊」のチケット発売日ですね。先週はチケットスペースの先行で、案内は来ていたのですが、バレエのお稽古&発表会写真の撮影があったので電話もかけられず参戦しませんでした。

で、昨日、Bunkamuraのチケットメイト先行発売日で、仕事もあったので11時くらいにかけてみたらすぐにつながり、良席とは言わないまでも、そこそこの席が取れました。いくら都さんが観られるといってもオーチャードホールで18000円は高いと思ったのでA席にしたのですが、KバレエのA席の中では比較的良い席が取れた気がします。このチケットメイト先行は穴場かもしれません。そもそも、オーチャードホールというのはバレエを見るのにまったく適していない会場であることは皆様ご存知だと思いますが、そんな会場でも良いと思うのでしたら、ひとつの選択肢としてありえますね。ちなみに、オーチャードで絶対に避けたい席は、1階の1列~9列、2階正面の前方端(上の階が相当視界にかぶる)、1階34列目以降の雨宿り席だと思います。一応サイトで舞台の見え方を見せているのですが、1階前方がまったく駄目だというのがよくわかります。

また、今日はアクロバティック白鳥の湖のチケットメイト先行発売日で、こちらも良い席が取れました。


ところで、3月4日(日)22:20~に教育テレビ「芸術劇場」でコジョカル&ルグリ、東京バレエ団の「ジゼル」が放映されることはお知らせしましたが、その翌週(3月11日)の「芸術劇場」の同じ枠では、勅使川原三郎の「ガラスノ牙」(2006年12月17日(日)新国立劇場・中劇場)が放映されるのですね。この舞台、写真などを観た限りではとても痛そうですね~。2週続けて「芸術劇場」でダンスの放映ってけっこう珍しい気がします。

2007/02/16

Dance Europe誌アンヘル・コレーラのインタビュー

イギリスのバレエ雑誌「Dance Europe」の最新号では、Dancer of the Year としてアンヘル・コレーラのインタビューをフィーチャー。同誌の人気投票で1位に選ばれたとのことで。

アンヘルのインタビュー、大変読み応えがあるのですが、今回私は手抜きをして、いちぞーさんが素晴らしい翻訳をしてくださったのでそちらをご覧ください。(いちぞーさん、いつもありがとうございます!)

アンヘルはここ数年、故国スペインにカンパニーを作るべく基金を設立して奔走しており、ABTでの活動と平行しているため大変多忙だったとのこと。王室の援助も得て、ようやくそれが実を結び、ダンサーのオーディションがまもなく開催されるようです。マドリッドの北のGranja de San Ildefonsoというところに劇場を持つことができたようで。

ダンサーとしての生活は多くを犠牲にして、友達もダンサーの友達しかいない。でも好きなことだから犠牲だなんて思っていない。6年前に好きな役はロミオだと言ったけど、今も役柄を一番早く掴むことができるのはロミオだということ。タバコもお酒もドラッグもやらないし反対だけど、チョコレートだけは唯一の悪徳?であること。

まだ数年はABTで踊り続けつつも、踊ることをやめたらスペインに戻って芸術監督業に専念したいというアンヘル。踊ることをやめてしまったアンヘルなんて、今はまったく想像できません。ずっと踊り続けてほしいというのはファンの気持ちなんですけどね。

2007/02/15

コジョカルとルグリの「ジゼル」放映決定

NBSサイトによると、去年夏のバレエフェス全幕プロ、アリーナ・コジョカルとマニュエル・ルグリ、東京バレエ団の「ジゼル」がようやく放映が決まったとのこと。

3月4日(日)22時20分から24時15分まで、NHK教育テレビ芸術劇場の枠ですね。
(放映前にかならず番組表で確認してください)

素晴らしい舞台だったのでやっと決まって嬉しいですね。DVDの領域を空けておかなければ。

ところで、当日スタッフの方に聞いたところハイビジョンでも放映するって聞いたんですが、NHKハイビジョンでは放映しないんでしょうか。大型テレビを購入して以来、地上波の番組の画像の汚さが気になって仕方ないんですよね。最新のテレビも善し悪しということで・・。こちらもぜひお願いしたいところです。

NBSといえば去年まで同社が招聘していたボリショイ・バレエが、ジャパンアーツの招聘予定にありました。来年11月15日〜12月15日来日予定、「白鳥の湖」他とジャパンアーツのサイトにあります。
ニコライ・ツィスカリーゼの悪の天才(ロットバルト)が観られるなら、とっても嬉しいです。

映画「ヘンダーソン夫人の贈り物」

舞台や芸能が舞台となっている映画が好き。ちょっと前だと「ネバーランド」、最近では「王の男」など。そしてこの「ヘンダーソン夫人の贈り物」は、夫の遺産で劇場を買い取って、イギリス初のヌードショーを始めた肝っ玉おばさんの話である。面白いに決まっている。

ジュディ・デンチ演じるヘンダーソン夫人のキャラクターが最高。大胆さと繊細さを持ち合わせ、時には傲慢だったり無礼だったりするけどふとした優しさもある、素敵な女性である。自分がお金持ちだったら、こういう人になりたいな~ってすごく思う。夫の葬式では気丈に振舞っても、ボートを漕ぎながら一人号泣する。豪快に飛行機を飛ばしたと思ったら、それは戦争で21歳で亡くなった一人息子のお墓に行くためだったりする。支配人のヴィヴィアンと対立してもう劇場にには足を踏み入れないわ、とキレてしまった後、中国人に変装してこっそりと劇場に潜入しようとするが却って目だってつまみ出されたり、白クマの着ぐるみを着てオーディション受けたりととってもお茶目。憎まれ口の達人。このヘンダーソン夫人は実在した人物で、本当にこれらの行為をやってしまった人らしい。すごすぎる~

受けて立つ支配人のヴィヴィアンも一筋縄ではいかない。ジュディ・デンチに対抗できるだけの芸達者ということで演じるのはボブ・ホスキンス。ヴィヴィアンとヘンダーソン夫人の関係がすごくおかしい。約束の時間に大幅に遅れた挙句、ヴィヴィアンをユダヤ人だとキメつけた彼女の無礼な態度に立腹するという最悪の出会い。劇場運営には素人の彼女に口を出させないようにする抜け目のなさ。しかしやがてこの二人は、長年連れ添った夫婦のように、喧嘩と仲直りを繰り返しながらも、ベストパートナーとなっていく。ヴィヴィアンの抜け目のなさは、観客がねずみを舞台に放ってひと騒動おきたのを見ると、今度はわざとねずみを仕込ませたりするところにも現れている。

そんな彼に、妻がいたことを知って大人気ないやきもちを焼くヘンダーソン夫人。いくつになっても、女である。

戦争が激しくなり、コメディレビューとしてスタートしたウィンドミル劇場の客入りが悪くなっていった時に、一発逆転のアイディアとしてヘンダーソン夫人が提案したのは、ヌードショー。唖然とするヴィヴィアンだったが、ヘンダーソン夫人は古い知り合いの検閲長官をいとも簡単に煙にまいて、裸のモデルが動かないでポーズをとるという額縁ショーならOKという許可を取り付けてしまう。公園の中での特設テントで豪華なお茶に招待して、うまいこと検閲官を丸め込む手管手錬がお見事!そして、これはいやらしいことではなく芸術であり、誇りを持って仕事に取り組むべしと脱ぐことを躊躇するモデルたちをヴィヴィアンとヘンダーソン夫人が説得するところは感動的である。ヴィヴィアンをはじめとする男性陣も、彼女たちを脱がせるために全裸になるところは、超笑えるけど。実際、ステージの上でポーズをとる彼女たちは、なまめかしくも彫刻のように美しく、芸術作品そのものだ。戦場に出かける前の兵士たちが劇場につめかけ、戦局が厳しくなりロンドンがたびたび空襲にあっても、ウィンドミル劇場はたった一軒、営業を続けた。地下にある劇場は安全なため、女性たちやスタッフも引っ越してきて、まるでひとつの家族のようになる。

やがてロンドン市街が空襲により焼け野原と化してきて、閉鎖を命じられても、ヘンダーソン夫人は決して劇場を閉めようとしない。たった一人の息子の遺品は、古ぼけたヌード写真。21歳で戦死するまで一度も生身の女性の裸を見ることがなかった彼を不憫に思った母が、兵士たちに女性の裸を合法的に見せることを思いついたのだった。このことを、兵士たちや役人の前で淡々と語るヘンダーソン夫人。戦争が奪い去ったかけがえのないものたちを思い出させる、素晴らしいシーン。

そしてウィンドミル劇場は、戦争が終わってもずっと営業を続けて、額縁ショーは続いていった。ヘンダーソン夫人も、ヴィヴィアンも、劇場の女の子たちもみんな素敵だけど、主役は、やっぱり彼らを惹きつけた、ウィンドミル劇場だったんじゃないかと思う。だから私たちは劇場に魅せられるんだなってしみじみ思った。Show must go on!
女の子たちの裸も、どこか昔風でちょっとふくよかだったりするのがまたとても魅力的。劇場のスターとなったモーリーンの、凛とした美しさと儚さも印象的だった。

ダンサーの一人として(2番目に多く登場するパフォーマーで、一番良く踊っている)、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」でこの間まで王子を踊っていた元ロイヤル・バレエのマシュー・ハートが出演している。台詞もあれば歌まで歌ってしまうし、インディアンから白タイツの王子様までいろいろとコスプレも。登場シーンは一つ一つは短いけど、芸達者なのがよくわかる。

この映画とマシュー・ハートについては、きょんさんの日記でも詳しく書かれていますのでぜひどうぞ。

2007/02/13

ABTパリ・ロンドン公演トピックス

パリ公演が終わったばかりのABTですが、予想通り?ダンソマニのフォーラムや批評家にはかなり酷評されており、特に「ラ・バヤデール」の影の王国のコール・ドは、メディアが集まった初日は無理なスケジュールによる時差ぼけ等もあったようでボロボロだったもようです。ニキヤ役のパロマ・ヘレーラも調子が悪かったよう。また、会場となったシャトレ座は伝統ある劇場ですが、いささか狭く、ABTのような大規模なカンパニーには不向きだったようです。傘下にバレエ学校を持たなかった(最近設立されたジャクリーヌ・オナシス・ケネディ・スクールはあるものの)ABTは、ダンサー育成に関して大きな弱点を持っています。

しかしその中でもやはり、「薔薇の精」「ファンシー・フリー」で活躍したエルマン・コルネホや、ホセ・カレーニョ、アンヘル・コレーラは高い評価を得ており、中でも小柄で身体能力に優れているテクニシャンタイプなのに、同時にエレガンスを持ちあわせているエルマンは絶賛されています。また、高いテクニックを持つジリアン・マーフィも、マリーヤ・アレクサンドロワやゼナイダ・ヤノウスキーと並ぶバレリーナだと評価されています。

パリ公演で復活を遂げたイーサン・スティーフェル、そしてパロマ・ヘレーラ、エルマン・コルネホらのインタビューが、Daily Telegraphに掲載されています。エルマンなどはアメリカン・バレエ・シアターというカンパニーは知らなかったけどそこのスターダンサーたちの名前は良く知っていたと語っていた、という具合に、やっぱりスターによるカンパニーなのですね。

14日からは16年ぶりのロンドン公演です。このTimesの記事によると、チケットの価格はサドラーズ・ウェルズでも前代未聞の高額、70ポンド(約16000円)だそうで。ABTのダンサーは一年のうち36週(約9ヶ月)しかカンパニーに雇われておらず、それ以外の時期はゲスト出演などで稼がないといけなかったり、公的な援助は経費のわずか1%しかまかなっていなかったりと、いろいろと興味深いことが書いてあります。

ところで、METシーズンに向けて公式サイトの写真も入れ替えられていますが、「ラ・バヤデール」のイメージ写真で、仏像の上に色っぽく横たわるヴェロニカ・パールトにはドキッとしてしまいました。アレッサンドラ・フェリのご主人ファブリッツィオ・フェリの撮影によるものです。

第20回バレエの祭典

NBSから現行会員宛に案内が到着しました。
ラインアップは皆様ご存知の通り。

2007年6月 ミラノスカラ座「ドン・キホーテ」(1演目)
2007年9月 マラーホフ、ニジンスキーを踊る(2演目-「ジゼル」全幕、ミックスプロA、Bの3つから2つ選択)
2007年10月 コジョカル「真夏の夜の夢」(1演目)
2007年12月 ギエム・オン・ステージ(1演目)
2008年1月 バーミンガム・ロイヤルバレエ「美女と野獣」「コッペリア」(2演目)
2008年2月 マラーホフの贈り物(2演目)
2008年7月 英国ロイヤル・バレエ「眠れる森の美女」「シルヴィア」(2演目)

特典はパンフレットがもれなくついてくること、そして8月のルグリと輝ける仲間たちのクラスレッスンにもれなくご招待ということだそうです。(でもどうせ勤め人は行けない平日の昼間という予感がしますが)

で、お値段ですが、
S会員 185000円
A会員 162000円
B会員 140000円
だそうです。

募集開始日は2月24日だそうで、まあなんだかんだいって継続するつもりです。ロイヤル、バーミンガムロイヤル、マラーホフガラがありますからね。

ところで、昨日ミラノ・スカラ座の「ラ・バヤデール」のDVDを観ていたところ、来日公演の「ドン・キホーテ」でバジルを踊るミック・ゼーニさんが苦行僧役で出演していました。なかなか良いダンサーですね。写真を見るとハンサムだし。ちなみに、オフィシャルサイトもお持ちです。動画も見られます。バジルやアルブレヒトを踊っていて、テクニックもありそうですね。しかしこの動画、どう観ても舞台袖からのもので臨場感ありすぎ(笑)
http://www.mickzeni.com/

ジョニー・ウィアのDVD発売

フィギュアスケート界の王子様、ジョニー・ウィアのDVDが発売になるそうです。しかも日本のファン向けに。

http://www.johnnyweirdvd.com/

サイトではたどたどしい日本語を話すジョニーがかわいいです。

こんなもの作っている暇があったら…というつっこみはとりあえず観てからにします。世界選手権での様子も収められるそうですから、がんばって欲しいものですね!

2007/02/12

2月大歌舞伎 「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」夜の部

母と歌舞伎座で半年振りに歌舞伎見物。2階席の一番前、とても観やすい席だった。

歌舞伎は今まで20回くらいしか観ていないので、全然詳しくないのだけどやっぱり面白い。お話をわかりやすく見せる工夫をしているし、悲しい話でも必ずユーモアが出てくるところがある。人情も絡んでくる。とても美しいけれども、同時に大衆娯楽なんだよな、と思う。吉右衛門、菊五郎、玉三郎、仁左衛門と名優が揃った豪華な上演。

一日をかけての上演なのだけどさすがに昼夜ぶっ通しで観る体力はないもので、夜の部から。五段目、勘平がイノシシを撃とうとして間違って定九郎を殺してしまい、財布を取った結果、お軽の父の与市兵衛殺しの嫌疑をかけられてしまうところから。

◎五段目 山崎街道鉄砲渡しの場 同 二つ玉の場 / 六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
早野勘平(菊五郎)、斧定九郎(梅玉)、一文字屋お才(時蔵)、千崎弥五郎(権十郎)、おかや(吉之丞 )、判人源六(東蔵)、不破数右衛門(左團次)、女房お軽(玉三郎)

ちょっとしか出番がないが悪人定九郎が登場したときの見得の切り方がカッコいい。あとイノシシの勢いある飛び出し方が楽しかった。

勘平の菊五郎、ブラボー。与市兵衛殺しの嫌疑をかけられてから、切腹するまで追い詰められていくところの心理描写が見事。恋に夢中で一大事に駆けつけられず、さらにはとんでもないことをしでかしてしまった悲運の男の嘆き方を、滅びの美学的に演じていた。血判状に連ねることを許され、最後に自らの手で介錯した後、じっと正面を見据える表情に現れる無念さ。
よもやこれが永遠の別れになるとは思わない勘平とお軽の別れのシーンの、身を切り裂かれるような苦しさの表現、実に見事。玉三郎の、決して派手ではないのに哀切な、にじみ出るような悲しみの表現が素晴らしい。
ただ、全体的には六段目は山がラストにしかなくて、長すぎてだれてしまうところがあるのが難。

◎七段目 祇園一力茶屋の場
大星由良之助(吉右衛門)、遊女お軽(玉三郎)、大星力弥(児太郎)、赤垣源蔵(友右衛門)、竹森喜多八(松江)、矢間重太郎(吉之助)、鷺坂伴内(亀鶴)、斧九太夫(芦燕)、寺岡平右衛門(仁左衛門)

夫が死んだのも知らず、祇園に売られてしまったお軽がいる茶屋。由良之助は仇討ちのことをまるで忘れてしまったかのように遊興に嵩じている。遊び人風の由良之助=吉右衛門が色気のある大人物といった風情で華がある。そして玉三郎の愛らしい色っぽさ。手鏡で、顔世御前からの密書を覗く、柱にもたれかかったしぐさが可愛らしくも色香溢れる。六段目ではめちゃめちゃ地味だったのだけど、それはここであでやかに花開くためだったのね。

そこへやってきたお軽の兄で足軽の平右衛門。最初にお互いに兄妹だと気が付かないのが可笑しい。遊女の身分に身を落としてしまった自分を恥じるお軽に、夫のために自分を犠牲にしたのだから立派だという平右衛門。下級武士の悲哀をにじませている。由良之助に身請けされることになったと喜ぶお軽だが、彼女が密書を読んでしまったことを知って、由良之助は彼女を殺すつもりだと悟る平右衛門。いっそ自分の手で始末しようと刀を振り上げる。どうしてこんなことをするのさ、と逃げるお軽。この二人のやり取りが哀しくもすごく可笑しくて、哀しい一方だけではないのがさらに胸をえぐる感じ。兄と妹といっても、恋人のような濃密な関係性を感じさせる。玉三郎、仁左衛門とも名演である。哀しいシーンでこんなにも笑わせることができる人ってそうそういない。父と勘平の死を知って、癪で取り乱した後の玉三郎の「わたしゃどうしよう」というときのイノセントさがたまりません。

遊び人風情に見せかけて、実際には着々と仇討ちの機会を狙っている由良之助の大物ぶりが重厚に出ている吉衛門、彼も色っぽいな~。

◎十一段目 高家表門討入りの場 同 奥庭泉水の場 同 炭部屋本懐の場
大星由良之助(吉右衛門)、小林平八郎(歌昇)、竹森喜多八(松江)、磯貝十郎左衛門(種太郎)、大星力弥(児太郎)、高師直(幸右衛門)、村松三太夫(由次郎)、富森助右衛門(家橘)、原郷右衛門(東蔵)

討ち入りのシーンである十一段目は案外あっさりしている。ずらりと四十七士(もちろん勘平はいないので四十六人だが)が並んだ様子は壮観。雪が積もった中での、泉水の場では、有名な平八郎との殺陣が見ごたえあった。川に落ちてしまった喜多八が逆転を演じる様がなかなかすごい。高師直を倒すシーンは案外あっさりとしていて、勝どきで完結。すっきりとした終わり方。

言ってみればこの間観たベジャールの「ザ・カブキ」そのものである。が、「ザ・カブキ」の100万倍素晴らしい。ザ・カブキは劣化コピーしたものをさらにバレエにしたって感じ。衣装ひとつとっても、歌舞伎の美しく品のある衣装が何であんな極彩色チープな、空港で外人向けに売っているようなペラペラなものになってしまうんだろう。

歌舞伎はもっと観に行って、観劇のポイントを押さえられるようになりたいと思った。

ハンブルク・バレエ北米公演

ハンブルク・バレエは、2月7日~10日、ニューヨーク、ブルックリンのBAM(Brooklyn Academy of Music)でニューヨーク公演、オレンジカウンティのOrange County Performing Arts Centerで13日~18日、カリフォルニア公演を行います。NYは「ヴェニスに死す」が上演されました。オレンジカウンティではそれに加えて「椿姫」が上演されます。

Orange County Performing Arts Centerでは、ダンサー紹介や作品についての解説が記述してあるプログラムがダウンロードできます。

すでに終了したNY公演については、いろいろな新聞で批評は掲載されたものの、今ひとつ作品の本質を捉えていないものが多いです。唯一、BloombergTobi Tobiasの批評がちょっと読み応えがあるくらい。Edvin Revazov君の美貌はまさにタッジオにふさわしいとは賞賛されていますが。

あと、NYCBのダンサーKristin Sloaneのブログthe wingerでは、会場の様子の写真や、ダンサーとしての視点を読むことができてなかなか面白い記事になっています。コメントを読むと、どうやらノイマイヤーによるワークショップがあった模様。

Playbillには9日の公演の写真も掲載されています。

オレンジカウンティ公演に先駆けて、Orange County Register紙に、ノイマイヤーのインタビュー記事が掲載されています。
これはなかなか良いインタビュー。

ハンブルクバレエ熱のsachikomさま、そしてShevaさま、いろいろとご教示ありがとうございます。いつか日本でもハンブルク・バレエによる「椿姫」「ヴェニスに死す」が観られる日が来ますように。

2007/02/11

ABT ワシントン公演「オテロ」写真

現在パリ公演中のABTですが、1月のワシントン公演でのラー・ルボビッチ振付の「オテロ」(Othello)の舞台写真が、Gene Schiavoneさんのギャラリーにアップされています。

http://www.geneschiavone.com/gallery/albums.php

写真の数は15点で、主にマルセロ・ゴメス、マキシム・ベロツェルコフスキー、ジュリー・ケントの写真。残念ながらゲスト出演のラスタ・トーマスの写真はなし。異彩を放っているのがマックスで、普段の金髪王子様ぶりをかなぐり捨てて、ものすごーく怪しい。あと、サシャ・ラデツキーと結婚したステラ・アブレラのクレジットがステラ・ラデツキーになっていたのだけど、改姓したのかしら?夫婦で一緒に写っています。

「オテロ」はワシントン公演の批評は非常に悪かったのですが、METでは、今シーズンで引退するフェリが一度踊るのと、ラスタのほか、初演キャストのデズモンド・リチャードソン(今月号のDDDにインタビューが掲載されていましたね)も踊るなど豪華な出演陣となります。


こちらは、ヤンヤン・タンとデズモンド・リチャードソン共演、サンフランシスコ・バレエによる「オテロ」です。
(注意:リージョン1です)

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2007/02/09

ABTパリ公演のニュース映像

パリ公演真っ最中のABTですが、フランスの番組で舞台(「ファンシー・フリー」)の模様が少々、あとフリオ・ブラガド=ヤングとケヴィン・マッケンジーのインタビューが見られます。バックステージのホセ・カレーニョ、エルマン・コルネホ、ステラ・アブレラも。2月6日のニュースで、17分49秒から。

http://jt.france3.fr/regions/popup.php?id=b92a_1920&portail=france3&m_OAS=regions.france3.fr/pic/videojt/1920regional/parisiledefrance&m_mmtrie=france3_regions_pic_videojt_1920regional_parisiledefrance

2/4 レニングラード国立バレエ「バヤデルカ」さらに続き

マールイの「バヤデルカ」の終わり方は、少しマカロワ版に似ていて影の王国の後に結婚式のシーンがある。

結婚式なのに、真っ赤な衣装のガムザッティと、先ほどと同じ青い衣装のソロル。めでたいはずの結婚式だというのに、照明は暗く、そしてソロルは沈痛な表情。なぜ自分は、この女と結婚しなければならないのだろうと自問自答している。ソロルとガムザッティの腕に赤いスカーフが巻きつけられ、儀式が執り行われようとするその時に、白いヴェールをかぶったニキヤの亡霊が現れる。この亡霊が、かなり、怖い。ガムザッティとソロルの間に入ったり、ガムザッティと代わってソロルと踊ったり。さらにお祝いの花を掴んで空から二人の上に降らせる。女の強い執念を感じさせる。表情には憎しみも恨みも出していないのに、背筋に冷たいものを走らせる。

花が落ちてくるのを見て、ソロルはニキヤの存在を感じる。もはや、彼にはこの結婚が耐えられなくなってくる。しかも直感的に、愛する女性を死に追いやったのはガムザッティであることに気が付いてしまう。我に返ったように花を拾い集めて、激しい憎しみを込めてガムザッティに投げ、さらに赤いヴェールをくしゃくしゃに掴みガムザッティに投げつけて儀式を中断させる。このあたりのルジマトフの演技はさすが。大袈裟になることもなく、心を凍らせるようなぞっとするような表情を見せる。激しく拒絶されたガムザッティはパパにしがみついて泣き始める。人を平気で殺すような女でありながらも、実のところかなり弱虫で甘えん坊なへたれお嬢様なのだ、ガムザッティは。まさに恋によって盲目になってしまって悪事に手を染めてしまった哀れな女。

影の王国の清らかな世界とは対照的な、汚れきった地上の愚かな人間たちを罰するように、結婚式が執り行われていた神殿が崩壊し、そこにいた人間は全員死ぬ。ただ独り、大僧正を残して。ニキヤを象徴する白いヴェールが天高く舞い上がる。取り残された大僧正は、この恋の顛末が残した破壊と禍根とともに、終生独りで生きていかなければならない。それこそが、色欲に惑わされ悲劇を呼んだ彼へ下された神罰なのである。


3時間以上にわたり、見ごたえたっぷりの濃厚な愛憎ドラマを堪能した。影の王国のコール・ドも見事な上、主役3人も大変優れた演技と踊りを見せてくれた。太鼓の踊りなどのキャラクターダンスもハイレベルだったし、マミンさんのマグダヴェーヤのエネルギッシュな踊りも楽しめた。衣装や美術は美しくゴージャス。アニハーノフが帰国してクオリティが下がっていたオーケストラは、最終日ということで気合が入り、先日の「白鳥の湖」のひどい演奏を聞かせたのと同じオーケストラとは思えないほどであった。素晴らしい舞台を本当にありがとう!マールイの皆様。(で、帰国して3日後にはもう地元で公演が始まっているらしい!)

この完成度の高いバヤデルカ、来年はもっと公演回数を増やしてもいいかもしれない。東京以外の地方で上演するのもよいのでは?セットが大きくて立派だから難しいのかしら。

第7回エリック・ブルーン・コンクール

偉大なダンサー、エリック・ブルーンを記念して創立された第7回Eric Bruhn Prizeが3月3日にトロントで開催されます。ナショナル・バレエ・オブ・カナダ、ロイヤル・バレエ、ABT、デンマーク・ロイヤルバレエと世界の4大バレエ団を代表して出場する今年の出場者は、

ナショナル・バレエ・オブ・カナダの平野啓一さんとBridgett Zehr
(海賊のPDD、Sabrina Matthewsの新作)
ロイヤル・バレエのチェ・ユフィ(崔由姫)さんとFernando Montaño
(ロミオとジュリエットのバルコニーシーン、眠りの青い鳥のパ・ド・ドゥ)
アメリカン・バレエ・シアターのミスティ・コープランドとジャレッド・マシューズ
(キリアンの「小さな死」と眠りの3幕のPDD)
デンマークロイヤルバレエのYao Wei and Ulrik Birkkjær
(ゼンツァーノの花祭り、 Tim Rushtonの新作)

の4組です。けっこうおなじみのダンサーがいて嬉しいですね。福岡出身のユフィさん、このコンクールに出場するとはロイヤルでも相当期待されている証拠です。

ちなみに、過去の優勝者ですが、

1988
Errol Pickford of the Royal Ballet and
Rose Gad Poulsen of The Royal Danish Ballet;

1989
Stephen Legate of The National Ballet of Canada &
Silja Wendrup-Schandorff of The Royal Danish Ballet;

1993
Johan Kobborg of The Royal Danish Ballet &
Julie Kent of American Ballet Theatre;

1995
Johan Persson of The National Ballet of Canada &
Jaimie Tapper of The National Ballet of Canada;

1999
Jhe Russell of The National Ballet of Canada with
Guennadi Nedviguine of San Francisco Ballet &
Vanessa Zahorian of San Francisco Ballet;

2002
Friedemann Vogel of Stuttgart Ballet &
Michele Wiles of the American Ballet Theatre.

となかなか錚々たるメンバーです。第一回のコンクールはビデオ&DVD化されており、DVDは新書館から「バレエフェスティバル in Canada」というタイトルで発売されています。この時の出場者には、現ハンブルク・バレエのロイド・リギンズ(デンマークロイヤルのオーゼ・ガッドゥと出演)や、ヴィヴィアナ・デュランテがおり、またナタリア・マカロワとケヴィン・マッケンジーの「白鳥の湖」の2幕のパドドゥも抜粋が収録されています。

2007/02/08

「ルグリと輝ける仲間たち」大阪公演演目

7月末~8月に予定されています「ルグリと輝ける仲間たち」ですが、NBSのほうはまだ正式は発表はないのですが、大阪公演の会場のサイトで、演目と出演者が発表されています。

東京や他の地方で同じ演目・出演者になるかどうかは不明ですが、参考になると思います。

2007年7月30日(月)18:30開演
大阪フェスティバルホール

http://www.ytv.co.jp/event/stage/legris.html より

■「タランテラ」
ミリアム・ウルド=ブラーム/マティアス・エイマン
振付:ジョージ・バランシン(1964年)
音楽:L.M.ゴッツシャルク(編曲H.ケイ)

■「小さな死」 オレリー・デュポン/マニュエル・ルグリ
振付:イリ・キリアン(1991年)
音楽:W.A.モーツァルト

■「夜になる前に」
(ビフォア・ナイトフォール) 第1パ・ド・ドゥ: ミュリエル・ズスペルギー/ヤン・サイズ
第2パ・ド・ドゥ: エレオノーラ・アバニャート/エルヴェ・モロー
第3パ・ド・ドゥ: ドロテ・ジルベール/マチュー・ガニオ
3組のカップル: マチルド・フルステー、ローラ・エッケ、シャリーヌ・ジザンダネ、ジョシュア・オファルト、オドリック・ベザール、マティアス・エイマン
振付:ニル・クリスト(1985年)
音楽:ボフスラフ・マルティヌ
美術・衣裳:ケソ・デッカー


<休憩>

■「白鳥の湖」
(黒鳥のパ・ド・ドゥ) ローラ・エッケ/ジョシュア・オファルト、
ステファン・ビュヨン
振付:ルドルフ・ヌレエフ(1966年)
音楽:P・I.チャイコフスキー

■「ドニゼッティ - パ・ド・ドゥ」
(初演) ドロテ・ジルベール/マチュー・ガニオ
振付:マニュエル・ルグリ
音楽:ガエターノ・ドニゼッティ

■「アベルはかつて…」 ヤン・サイズ/ステファン・ビュヨン
振付:マロリー・ゴディオン(2003年)
音楽:アルヴォ・ペルト

■「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」 オレリー・デュポン/エルヴェ・モロー
振付:ジョージ・バランシン(1960年)
音楽:P・I.チャイコフスキー

■「オネーギン」 モニク・ルディエール/マニュエル・ルグリ
振付:ジョン・クランコ(1965年)
音楽:P・I.チャイコフスキー

大阪公演のチケット発売は2007年3月10日(土)

出演予定
■パリ・オペラ座バレエ団
マニュエル・ルグリ(エトワール)、オレリー・デュポン(エトワール)、マチュー・ガニオ(エトワール)、ドロテ・ジルベール(プルミエール・ダンスーズ)、エレオノーラ・アバニャート(プルミエール・ダンスーズ)、 ミリアム・ウルド・ブラーム(プルミエール・ダンスーズ)、マチルド・フルステー(スジェ)、ローラ・エッケ(スジェ)、 ミュリエル・ズスペルギー(スジェ)、ヤン・サイズ(スジェ)、ステファヌ・ビュリヨン(スジェ)、 ジョシュア・オファル(スジェ)、シャルリーヌ・ギーゼンダネ(コリフェ)、オドリック・ベザール(コリフェ)、 マティアス・エイマン(コリフェ)
■元パリ・オペラ座バレエ団
モニク・ルディエール(元エトワール)

以上を予定(諸状況により出演者の変更あり。)

なんと「ドニセッティ・パ・ド・ドゥ」は初演でしかもルグリの作品です。どんな感じなんでしょう。
あとは、やはりモニク・ルディエール様との「オネーギン」も見逃せません。

ディアナ・ヴィシニョーワ「ロシア人民芸術家」の称号を受ける

マリインスキー・バレエのサイトによると、2007年2月7日、ディアナ・ヴィシニョーワが「ロシア人民芸術家」の称号を受けたそうです。

ロシア・バレエの方のプロフィールを見ると時々出てくるこの称号、なんだろうと思ってWikipediaで調べてみると、

(引用)
ソ連人民芸術家(Народный артист СССР、女性型はНародная артистка СССР、People's Artist of the USSR、ソ連国家芸術家とも)

ソ連人民芸術家の称号は、舞台芸術における特筆すべき業績を上げた者に対して授与され、舞台芸術部門の授賞対象者には、作曲家、舞踏家、歌手、映画監督、劇場指揮者、及び、全ソ連邦構成共和国の俳優を含んだ。

ソ連人民芸術家という用語が使用されているため、芸術家全般を対象にしているかの如き印象を受けるが、この称号は、舞台芸術及び、視覚芸術(ビジュアルアート)の二部門を対象としていた。また、個々のソ連邦構成共和国(ロシア、ウクライナ、白ロシア、カザフ、リトアニア、モルダビア、ラトビア、エストニアなど)や自治共和国も同様に類似の賞を設定し、階層化がなされていた。

これら人民芸術家の称号の保持者は、ソ連政府から特権を与えられるとともに、ソ連文化省から任務を与えられた。このような性格上、当然のごとく、ソビエト体制を批判した異論派のような芸術家や作家は、疎外された。

通常、受賞者はその年齢が40歳に達するとソ連人民芸術家の称号を授与された。例外はバレエ関係の芸術家で、例えば、ナデージダ・パヴロワNadezhda Pavlovaは、28歳でこの称号を授与されている。
(引用終わり)

ということだそうです。
ソ連人民芸術家と、ロシア人民芸術家はまた別のようですね。

ヴィシニョーワは今30歳ですから、かなり若い年齢で受賞したことになりますね。有名なところでは、ニーナ・アナニアシヴィリ、ナデジダ・グラチョーワ、ファルフ・ルジマトフ、ウラジーミル・ワシリーエフ、マイヤ・プリセツカヤ、ワレリー・ゲルギエフなどが人民芸術家です。

いずれにしても、おめでとうございます。

2007/02/07

2/4 レニングラード国立バレエ「バヤデルカ」続き

婚約した二人の前に打ちひしがれたニキヤが現れ、踊りを奉納する。

赤いベールに身を包んだニキヤ=シェスタコワが、沈痛な面持ちで、背中を大きく反らし踊り始める。彼女はテクニックも感情表現もとても達者で、ジュッテはとても高いし、背中は柔らかい上、ソロルに向ける哀しい気持ちが見えない涙となって指先から全身をつたってきているようで、観る者の胸をひりひりさせる。ニキヤは、なんとソロルとガムザッティが座っているすぐ目の前まで行って、彼に訴えかけるように踊っているのだから、ソロルの方もいたたまれないことおびただしい。なぜ自分はここでガムザッティの隣に座り、彼女の手を取らなければならないのか、針のむしろの上にいるような表情。すでに魂の抜け殻。だけど、そんなときにもガムザッティは彼の手を握って、艶やかに微笑んでいるのだ。

花篭を渡されたニキヤが、それまでの哀しげな表情から一転して、花が開いたかのように微笑みながら踊る。この花篭はソロルから贈られたと聞いたから。ひたむきに思いを込めて踊る彼女の変化に驚いたソロルは、思わず立ち上がる。微笑んでいるからこそ、一層痛々しく哀れを誘うニキヤ。花篭から花を取って投げ、再び花篭に身を近づけたときに、毒蛇に噛まれてしまう。このとき、毒蛇の姿は見えず、苦行僧が花篭の中に手を突っ込んで蛇を取り出して退治するという演出になっていた。ニキヤは、あなたがやったのね!とガムザッティを指差すが、ガムザッティは「何言っているのよ、あたし知らないわ」という顔をしながらも、自分の企みがもたらした結末の重大性におびえているかのようだ。
苦しむニキヤに大僧正は解毒剤の瓶を渡す。その瓶を受け取ったニキヤに向かい、ソロルは「それを飲んではだめだ」という表情をしてニキヤは瓶を落とす。それまで突っ立っていたソロルがニキヤに駆け寄るとその瞬間、ニキヤは彼の腕の中で絶命し、ソロルは彼女の亡骸を激しく抱きしめる。深い後悔の念とともに。

ニキヤが死ぬ前に藩主もガムザッティも立ち去っていた。ガムザッティは恋敵を殺すほどの女でありながらも、実のところかなり小心者のお嬢様。そして、優柔不断で、愛してもいないガムザッティとの結婚に同意しながらも、ニキヤには他の男のものになってほしくないというソロルも、身勝手な男。そんな卑劣な人間たちの思惑により、憐れにもニキヤは命を落とすことになってしまった。

<3幕>
青い衣装のソロルはベッドに横たわり、傷心を癒すためにアヘンを吸う。大体こんなに後悔するんだったら、ガムザッティを選ばなければ良かったのに、もう。ベッドの上で苦悶の表情を浮かべながら横たわるルジマトフも色っぽい。
影の王国のスロープは2段。東京では3段のスロープを用意できる会場はなかなかないようで、惜しい。だが、32人のコール・ドはよく揃っており、永遠の時をアラベスク、パンシェ、アテールドゥヴァンの単調な繰り返しによって刻んでいく。降り切った32人が、揃ってデヴロッペ・エカルテ、そしてアラベスク。少しぐらつく人もいないわけではなかったけど、体型もタイミングも見事に統一されており、黄泉の世界を幽玄に体現していて息を呑む美しさ。

ニキヤの幻影は少しもソロルを責めておらず、ただただ一途な想いを清らかな身体で表現している。この世界では二人は、地上世界の醜さ、汚さからすっかり浄化された存在となっている。ヴェールを持ってのヴァリエーション。ヴェールを持ってのアラベスクでの回転はうまくいったものの、ヴァイオリンソロがアレグロになるところで、シェスタコワは途中から着地が不安定になってしまった。このヴァリエーションの難しさは半端ではなく、ザハロワでもグダグダになってしまうくらいだから。しかしルジマトフのヴェール使いは、とても丁寧で、まるでニキヤの魂を大切に大切に抱えているかのようであった。そう、このヴェールは、最初にニキヤが登場したときにかぶっていたのと同じものなのである。地上で結ばれなかった二人の魂は、ようやくここで寄り添うことができたのだ。

3人の影のヴァリエーションは、一番最初のミリツェワが素晴らしかった。軸足の強さは驚異的といってもいいほどだ。次のステパノワも、ダイナミックな個性が生きており、打ちつけ系のパで高いテクニックを見せた。3人目のガブリレンコワは先の二人よりはちょっと落ちる。

シェスタコワのヴァリエーションは完璧。高速シェネが見事だし、ジュッテも非常に高いしアントルラッセは浮かび上がるようなふわっとしたもの。しなやかさを感じさせながらも、生きている存在ではないとわかる、霊的なところが表現できている。ルジマトフは、さすがに跳んだりするのは控えめではあったが、空中にいるときの姿勢は美しいし、着地が柔らかく、背中の柔軟性や見得の切り方がうっとりするほどのストイックな美を内包している。姿勢がよくアプロンを保っているので、シェネも安定した形で美しい。通常トゥール・ザン・レール5連発をソロルが跳ぶコーダは、トゥールを織り込んだマネージュに変更していたが、きれいだったと思う。ニキヤが走り去って独り残されたソロル。ここで永遠に魂が安らぎを得られれば彼はきっと幸せだっただろう。だが、さらなる試練が彼を待ち受けているのだった。


(3幕結婚式へとつづく)

2007/02/06

ダ・ヴィンチ3月号は「テレプシコーラ」特集

ダ・ヴィンチの3月号は、第一部が完結した山岸涼子さんの「テレプシコーラ」大特集です。およそ20ページにわたる豪華版。

http://web-davinci.jp/contents/guide/index.php

作品の舞台裏を語った山岸涼子さんのロング・インタビュー、鈴木晶氏によるバレエ講座(彼の一押しはやはりザハロワとコジョカルでした)、そしてダンサーのインタビュー集として、熊川哲也、服部有吉(それぞれ2ページ)、さらには上野水香のグラビアとインタビュー4ページがあります。なんかこういう特集に出るダンサーが固定化していてつまらないと思うこのごろですが・・・服部さんは13歳から海外留学をし、振付に取り組んでいるところが、「テレプシコーラ」の六花ちゃんと共通していますね。また、熊川氏、上野さんもそれぞれモデルとなっているキャラクターが登場しています。服部さんの「HS06」の写真はなかなか素敵です。

現在ダ・ヴィンチでは「テレプシコーラ」の番外編である「ヴィリ」が短期連載されていますね。

パリ・オペラ座「白鳥の湖」DVD配送予定

2月1日発売予定のパリ・オペラ座「白鳥の湖」(ヌレエフ版)を予約していたのですが、発売日を過ぎても届く気配がありません。
昨日までは2月2日か3日配送となっていましたが、今日アマゾンのアカウント見たら、2月16〜24日の配送予定になっていました。

それなのにこちらから連絡を取るまでは何も言って来ないのは、少々問題ありですね。

問い合わせの結果、確保分を上回る注文が来たためだからとのこと。発売日から10日程度過ぎないと、アマゾンからは連絡しないことになっているそうです。

もちろん発売日には店頭には並んでいたわけで…キャンセルしてHMVなどの実店舗で買うか考え中です。
これから買う方は、別のお店で買ったほうがいいかもしれませんね。オンラインショップの方のHMVも、入荷に1週間程度かかるようですが。

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2/4 レニングラード国立バレエ「バヤデルカ」(まだ途中)

横浜方面に後ろ髪を引かれながらも、チケットを買っておいたマールイの「バヤデルカ」に行くことに。12月頭からの冬ツアーも、ついに最終日。本当にお疲れ様です。

結論を先に言うと、今回のツアーでも観た限り最高の出来で、大満足の公演だった。豪華絢爛で、主役からコール・ドにいたるまで踊りのレベルも高く、濃厚なドラマにどっぷりつかった3時間あまり。いつもは微妙なボヤルチコフ版の演出だけど、バヤデルカに関しては、許せる。

<1幕>
ニキヤ役のシェスタコワは、金髪を黒く染めて神に仕える舞姫に扮していた。お腹を出した衣装から見える腰の細いこと、そしてくびれていること!顔が小さくて、理想的なバレリーナ体型。登場したときから、他のダンサーとは別格の風格と神秘性をかもし出している。こんなに美しく品のある舞姫だったら、大僧正も自分の立場を忘れて一目ぼれしようというもの。柔らかく儚げな腕使い。音楽を体現するかのような舞。美しいだけではなく、なぜか胸を締め付けられるような、心に訴えるものがある。

荒行でぐったりしている苦行僧たちに、ニキヤが水を与えるところには、彼女の心優しさが良く出ている。ここで苦行僧マグダヴェーヤが、ソロルからの伝言をつたえ、見張り役となるというわけだ。この演出はなかなか小道具の使い方や演出が凝っている。

ルジマトフ演じるソロルは、白い衣装で登場。少し肌が浅黒いので、白い衣装が映える。ルジマトフは往年のように踊れなくなっていたとしても、存在や立ち居振る舞いが美しいのはなぜだろうと考えながら見ていて、答えがわかった。上半身、特に胸と背中のラインが完璧なのだ。もちろん腕もすばらしいのだけど。姿勢が良くて常にアプロンを保っている。だから立っているだけで、うっとりさせてしまう美の体現者たりえるのだ。
ソロルとニキヤのパドドゥは、幸福感でいっぱい、恋の情熱が伝わってくる。ただし、やはりルジマトフの体力的な問題か、高いリフトはなく、身長と同じ高さに持ち上げる程度だった。ニキヤが登場するシーンでかぶっていた白いヴェールが、二人の愛情の象徴。ヴェールを持って愛を誓うのだ。しかしこのヴェールは、二人の関係を知った藩主によって地面に叩きつけられる。

二人の逢瀬を見ていた大僧正の嫉妬メラメラは相当凄い。ブレグバーゼさん、演技が超濃いのだ。ニキヤに熱くしつこく迫る。ニキヤは、まあいけませんわ、と品よく、しかし凛として強く拒む。可愛さあまって憎さ百倍。怒りのあまり腕をブンスカ振り回しちゃって、もう。

そこへ、勇者ソロルの結婚相手として、藩主(今回大活躍のアレクセイ・マラーホフ)の娘ガムザッティがやってくる。マラーホフさんも、なんだかものすごいメイクをしていて元のお顔がわからないくらい。長身スリムでかっこいいんだけど、メイクが怖いよ。

ガムザッティのエフセーエワは、輝く金髪をマリー・アントワネットのような縦ロールにして登場。ヴェールを取ると、これまた真っ白な肌に青い瞳、絶世の美女の顔が現れる。こちらもお腹を出した衣装に、なぜかポアントではなく金色のヒール靴。うむむむ、ニキヤとの違いを出すためにはチュチュの方が良くないか?それはさておき、美しいガムザッティを見ても、ソロルは動揺するだけで、彼女の美しさに参ったという感じではない。ルジマトフのソロルは、絶対的な愛をニキヤに誓っているからだ。(彼の後の行動と思いっきり矛盾しているんだけど)。なんでこんなことになってしまったのだろうと当惑し、魂ここにあらずといった風情。

そしてこの幕のクライマックスは、ニキヤvsガムザッティの女同士の対決。ガムザッティがヒール靴を履いているため、ここでは踊らないのが残念。エフセーエワのわがままお嬢様ぶりはなかなかのもの。イジワルとか高慢とか残酷とかそういうわけではなく、蝶よ花よと育てられ、今まで生きてきて一度も思い通りに行かなかったことがなかった姫が、初めて、思い通りにならないことに直面して逆上する、という解釈だ。自分の宝石を与えることで、簡単に身分の低いニキヤを心変わりさせられると思っていて、それができなくて、いくら懇願してもダメで、そのことにすごく驚いてしまって、キレてしまう。こんな下々の女なんか、なんとしてでも思い通りにさせるわ、という強い意志がぎらぎらと顔を出す。だけど、ニキヤはニキヤでソロルへの一途な思いがあるから、絶対に譲歩できない。詰め寄るガムザッティに追い詰められ、2回もガムザッティを地面に叩きつけるほどの激しさを見せた。最後にはナイフを向ける。ガムザッティも、こんなことは初めてだから、お嬢様らしく途中で泣き出してしまったりして。だが、ニキヤが去った後には、あの女を絶対に殺してやる!という強い決意の表情が恐ろしい。こんな怖い顔をしたのも、ガムザッティにとっては生まれて初めてのことだろう。

<2幕>
とても華やかな婚約式。ソロルは象に乗って登場。もちろん本物の象ではないのだけど、なかなか立派な象の装置である。パ・ダクシオンやブロンズ・アイドル、壷の踊り、太鼓の踊り、グラン・パとたっぷりと踊りが楽しめる。中でも素晴らしかったのが太鼓の踊り。ボリショイにも引けを取らないほどのパワー全開ぶりで、最高だった。インドの踊りのガルネツ&ポドショーノフ、かっこよかった。ブロンズ・アイドルもなかなかではあった。グラン・パにはコシェレワやミリツェワといった主役級を揃え、レベルが非常に高くて目に快い。

ソロルとガムザッティのパ・ド・ドゥ。ルジマトフはヴァリエーションを踊らなかったのが残念。エフセーエワのピルエットのサポートはうまいし、二人でジュッテやアントルラッセを踊るところはとてもきれいに跳んでいたのだけど。
エフセーエワのイタリアン・フェッテは見事の一言。これだけびしっときれいにポアントに立って、アティチュードやバットマンをきめられているところはなかなか見られないと思う。自信に満ち溢れていて、ゴージャスに光り輝く絶世の美女。そして横で、やはり魂ここにあらず、後ろめたい気持ちで暗く沈むソロルがたたずむ。

婚約した二人の前に、打ちひしがれたニキヤが現れ、踊りを奉納する。

(つづく)

ニキヤ:オクサーナ・シェスタコワ
ソロル:ファルフ・ルジマトフ
ガムザッティ:エレーナ・エフセーエワ
大僧正:アンドレイ・ブレグバーゼ
ドゥグマンタ(藩主):アレクセイ・マラーホフ
マグダヴィア(苦行僧):ラシッド・マミン
アイヤ(ガムザッティの召使い):ナタリア・オシポワ
奴隷:ドミトリー・シャドルーヒン
ジャンペー:オリガ・ポリョフコ、ユリア・カミロワ
黄金の偶像:デニス・トルマチョフ
インドの踊り:エカテリーナ・ガルネツ、マクシム・ポドショーノフ
太鼓の踊り:アレクセイ・クズネツォフ
マヌー(壷の踊り):ナタリア・リィコワ
グラン・パ:
 イリーナ・コシェレワ、タチアナ・ミリツェワ、ユリア・アヴェロチキナ
 ユリア・カミロワ、アリア・レズニチェンコ、アナスタシア・ガブリレンコワ
 マリーナ・バルエワ、ナタリア・エゴロワ
幻影の場面 ヴァリエーション:
 オリガ・ステパノワ、アナスタシア・ガブリレンコワ、タチアナ・ミリツェワ

指揮:セルゲイ・ホリコフ

2007/02/05

Domaniに吉田都さんのインタビュー

Domani3月号に、「美しい人、美しい生活」と題して吉田都さんのインタビューと写真が8ページに渡って掲載されています。

スターダンサーズバレエ団に客演したときのジゼルの美しい写真をはじめ、フェレッティのドレスをまとった美しいポーズのグラビア、少女時代やローザンヌコンクールに出場したときの写真や「二羽の鳩」のリハーサルなど貴重な写真もたくさん。
バレエを始めてから現在までの足跡を、優しい語り口で語っています。
素直な語り口から、控え目で謙虚、素敵な人柄が伝わって来ます。踊りそのままのかわいらしく素直な、本当に美しい生き方をしている方なんだな、と思わせる素敵な記事でした。

なお、今更な話ですが、吉田都さんは、英批評家協会が主催する2006年度のダンスアワードで、最優秀女性ダンサーに輝いています。過去の受賞者は、タマラ・ロホ、アリーナ・コジョカル、ゼナイダ・ヤノウスキー、リヤーン・ベンジャミン、そしてマリアネラ・ヌニェスです。

http://www.nationaldanceawards.com/dance/best_female.htm

2/3スペイン国立ダンスカンパニー「バッハへのオマージュ」

鬼才ナチョ・ドゥアト率いるスペイン国立ダンスカンパニー、待望の初来日である。横浜で2公演のみというのがとてももったいない上、この時期なぜかバレエ公演がかぶりまくりで、本当は2日間通いたいところを翌日はマールイの「バヤデルカ」を観るので泣く泣く一日のみに。さらには新国立劇場の「眠れる森の美女」はパス。マイレンのブルーバードも観たかったよ~。

「バッハへのオマージュ~静けさと虚ろさのかたち」
振付:ナチョ・ドゥアト
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
衣装:ナチョ・ドゥアト
1999年ヨーロッパ文化都市ワイマール市との共同制作

第1部 マリティプリシティ
第2部 静けさと虚ろさのかたち

冒頭、暗い照明の下、ナチョ・ドゥアト本人が登場してプロローグ「ゴルドベルグ変奏曲」で踊る。彼は50歳ということだけど、とても立派な、存在感のある肉体をしているし、腕の波打つような動きが驚異的。ついでに大変なハンサムである。もう一人、バッハに扮したと思しき白いカツラと古典的な衣装の男性(アレハンドロ・アルヴァレス)が出てくる。次に、世俗カンタータ「墓を裂け、破れ、砕け」で大勢のダンサーたちが、ちょうちんブルマのような、短いスカート状の衣装を着けて登場。次の無伴奏チェロ組曲第1番では、バッハがチェロの弓を持ち、女性ダンサーの身体をチェロのように扱って弾く。女性ダンサーのほうもさまざまな形でオフバランスな踊りを見せて絶えず姿勢を変化させているので、バッハのほうも彼女の身体をコントロールするのがさぞかし大変だっただろう。ユーモラスで、ちょっとセクシーで面白い表現だ。歓びとしての音楽とダンスがここにある。

その後も、ヴァイオリンの弓を剣に見立てたような男性たちの踊りや、長いクラシックなスカート状の衣装(時には前が割れている)をつけた男女、白い仮面をつけた女性ダンサー(イネラ・ペレイラ)とバッハとの踊りなど、さまざまなバッハの曲をコラージュしていった2時間あまり。バッハが狂言回しのように、ずっと登場している。後ろの工事現場の足場のようなところをダンサーたちが歩いていたり、立体的な空間の使い方がうまい。また、ナチョといえば音楽性を非常に重視した振付が特徴的である。バランシンとはもちろん全然振付が違うにもかかわらず、音楽への合わせ方はバランシンを思わせる。音符にダンサーを合わせるのではなく、ダンサー自身が音楽そのものになっているのだ。動きは流麗で、タメを効かせつつも、とどまるところを知らない奔流のようだ。男性が女性をリフトしている時ですら、静止していることはほとんどない。特に重心を低くして、上半身を左右に曲げたりする動きが多い。オフバランスも多用していて、テクニック的には、非常に高度であると思われるし、ダンサーたちはナチョの世界観と音楽性、ユーモアまでも見事に体現していて、優れたカンパニーである。。日本人の秋山珠子さんも、もちろん大活躍。クラシックバレエ的な要素もあるので、バレエ好きにもとても楽しめる。ナチョ自身がデザインしているという衣装のセンスは、スペイン的でかつ古典的で深みのある色彩感覚が素敵。バッハなのに、バロック音楽なのに、まるで舞台からスペインの風が吹いてきているようで、どこか懐かしく温かい肌触り。

しかし白いマスクの女性は、死を象徴しているかのようでもあった。終盤にはユーモラスさは影を潜め、荘厳さと悲しみを内包していてドラマティックな幕切れへ。足場の上を歩いていくダンサーたちは、まるで「ラ・バヤデール」の影の王国のバヤデールたちのよう。

ラストはまたナチョ本人の踊りのリフレイン。彼の波打つ動きは、おおきなうねりを感じさせ、奇跡のようである。バッハは、ナチョ自身であり、彼自身によってダンサーが操られているかのような楽しい趣向。

全部で21曲もあったけれども、まったくだれることも飽きることもなく、もっともっと観ていたかった。ダンスを、音楽を観る喜びに満たされた宝石のような時間。映像でも繰り返し観たい傑作!そして早期の再来日を期待したい。新国立劇場でも、また彼の作品を取り上げてほしいものだ。

追記:韓国のLG Art Centerのページで、同会場で上演されるナチョ・ドゥアトの「Alas(Wings)の動画が1分だけですが観られます。6月6日~8日。以前にも書きましたがヴェンダーズの映画「ベルリン天使の詩」をモチーフにした作品です。日本でも上演してほしい。
http://www.lgart.com/2007/micro_eng/dance_04.html

2007/02/04

ローザンヌ国際バレエコンクールのファイナリスト発表

ローザンヌ国際バレエコンクールの、2月4日(今日ですね)決勝戦の進出者は以下に発表。

http://www.prixdelausanne.org/layout/pdf/ResSemiFin.pdf

日本人出場者は、
河野舞衣さん(ミュンヘン州立バレエアカデミー)、新井誉久さん、(ともにロイヤルバレエスクール)
Charles-Louis Yoshiyamaさん(イングリッシュ・ナショナル・バレエスクール)です。

追記:日本人出場者の横顔についての記事があります。
http://www.swissinfo.org/jpn/front/detail.html?siteSect=105&sid=7490472&cKey=1170576595000

4日現地時間5時に入賞者が発表となります。

なお、準決勝の進出者は以下の通りですね。
http://www.prixdelausanne.org/layout/pdf/ResQuart.pdf
「学校へ行こう」の望月理沙さんは残念ながら準決勝にも進出できなかったようです。

テレビ放映はまた例によってGWごろなんでしょうかね。

追記:各賞の受賞者が決定しました。

http://www.prixdelausanne.org/layout/pdf/Laureats2007.pdf
優勝は韓国のSae-eun Parkさん(女性)

日本人入賞者について
http://www.swissinfo.org/jpn/front/detail.html?siteSect=105&sid=7495294&cKey=1170629110000


河野舞衣さんが2位と観客賞受賞です。おめでとうございます!!!観客賞って実質的なグランプリのようなものですよね。素晴らしいことです。ミュンヘン・バレエへの入団を希望されているようです。
また、吉山シャールル・アンドレさんは入賞はしませんでしたがコンテンポラリー賞を受賞しました。

河野舞衣さんの写真がこのJapan Timesの記事にありますが、本当に美しい方ですね。
埼玉新聞の記事には、コンクール参加までの経緯が書いてあります。

優勝した韓国のSae-eun Parkさんの記事も興味深いです。

ファイナルの動画は、こちらで見られます。"Final 2007"をクリックしてください:
http://www.prixdelausanne.org/e/live/index.php

2/1 レニングラード国立バレエ「白鳥の湖」

キャスト変更で一時王子役のシヴァコフがプハチョフに交代か!とちょっとした騒ぎになったこの公演。結局当初の予定通りシヴァコフが踊ることに。

1幕。ここの「白鳥の湖」を観るのは1年ぶり。前回は東京国際フォーラムAという巨大な会場で、2階席の一番前で観ていたのだけど、今回はオーチャードホールの前方、段差が出てくるあたり。わりと舞台の近くで観ると、衣装がとても美しいのがわかる。村人たちの群舞も良く揃っているし、男性ダンサーがみな脚が長くてきれい。パ・ド・トロワは、配られたキャスト表と変更があり、プハチョフ、ステパノワ、そしてコシュレワという主役クラスを揃えてきた。プハチョフの踊りは、今日の王子シヴァコフ以上に王子らしく、美しい脚に惚れ惚れとする。柔らかい踊りで実に端正だ。ステパノワもコシェレワも調子良さそうで、マリインスキーの白鳥のトロワよりも「私上手いでしょ」という過剰な自己アピールがなくて好感が持てる。と思ったら最後のキメの前に後方にジュッテ・アントルラッセするところで、ステパノワが思いっきり転倒。が、何事もなかったかのように立ち直って笑顔でポーズはさすが。

道化も王子の友人も出てこないので、ボヤルチコフ版白鳥は1幕1場が今ひとつ見せ場がないのだ。王妃役のズヴェズダナ・マルチナが大変な美人なのに驚いた。

<1幕2場>
湖畔に迷い込んだ王子。舞台の一番奥を通る白鳥たちは、通常はハリボテだったりすることが多いのだけど、こちらではコール・ドのダンサーたちが一人一人駆け抜けていく演出で、これは素敵だったと思う。そしてペレンのオデットが登場。ものすごく華奢で美しい容姿。腕といい、脚といい、ラインは完璧な曲線を描いている。アームスの動きも繊細で、白鳥の羽ばたきそのもの。ただ、とても美しいしこれといって欠点はないのだけど、際立った何かがないのが惜しいところ。これみよがしに脚を高く上げるといったいやらしさがないのはとても好ましいし、基本に忠実に丁寧に踊っている。ここにさらにペレンらしさが加わったら、この人は化けるんだろうな、と思った。
ボヤルチコフ版はセルゲイエフ版がベースなので、オデットがマイムで身の上を語る演出はなし。しかし、オデットの哀しい運命と儚さは、ペレンの踊りからしっかり伝わってきた。技術も表現力もあるんだから、あと何年か後の彼女が楽しみである。

シヴァコフの王子は、サポートはしっかりやっていた。2幕は、王子にはほとんど見せ場がないから。彼は容姿は本当にいいし、青二才っぽいところは白鳥の王子らしいので、これだけサポートができれば十分、ではある。コーダのフィニッシュは、マリインスキーのセルゲイエフ版と同じで、王子の膝の上でオデットがアティチュードをするというもの。
大きな白鳥は4人とも、とても良かったと思う。「ジゼル」ではマールイのコールドも悪くはないけどすごくいいわけでもないな、と思ったのだが、さすがに「白鳥」のコールドは素晴らしい。よく揃っているし足音も少ない。きれいだな~とぼーっと見入ってしまう。

ロットバルトのシェミウノフがすごくかっこよかった。長身細身で、シャープな踊りをする。ふわっとした跳躍が気持ちいいし、いかにも悪~な感じのメイクもよく似合っていた。

<2幕>
スペインが悪の手下というパターン。スペインのメンバーが、男性がリャブコフとアレクセイ・マラーホフでここも長身美脚コンビ。カッコいいです。ロシアのバレエ団のいいところは、キャラクターダンスがみんな様になっているところで、チャルダッシュもマズルカもナポリも見ごたえがあった。

が、ペレンのオディールはどうしたものだろう。オデットはすごくよかったのに、オディールは踊りがちょっと雑なのではないかしら。邪悪さはなく、光り輝く美しさで王子を圧倒するタイプである。たしかにとてもゴージャスで麗しい。視線の使い方もうまい。だけど、フェッテはとにかく張り切りすぎ。ダブルをいっぱい入れるのはいいんだけど、速く回ろうとするあまりぐらぐらと軸がぐらつくのはいただけない。もっと悪女の余裕を見せ付けてほしいところだ。コーダでは、ピケをするのが普通だと思うけど、その合間にジュッテも入れていて、テクニックはすごいわ~と関心はさせられた。シヴァコフは最初のヴァリエーションはこんなものか、という普通のレベルのものだったけど、コーダは高く跳んでいたし、着地はきれいな5番だし、よかったと思う。オディールに魅せられてとっても嬉しそうな感じがよく出ていた。それだけに、オディールの正体を知った時の落胆振りが痛ましく、何で自分はコロッとだまされて結婚の誓いなんかしてしまったんだろう、という自責の念が切ないほど伝わってきた。

3幕は、2羽の白鳥を踊ったロバノワとバルエワが良かった。特にロバノワは音楽性が豊かで、音符に忠実に優雅に舞っていた。ペレンのオデットは、とにかく哀しそうで哀しそうで、観ていて胸が痛むほど。そして許しを乞うシヴァコフの、心から悔いている様子。「白鳥の湖」というのは許しについての物語なんだな、と感じさせてくれた。白鳥たちも一緒に悲しんでいるのが良く伝わってくる。しかし、何回観てもオデットと王子が湖の底に沈んでそれで終わりという終わり方は、盛り上がらなくて良くないと思ってしまう。ラストシーンに主役二人が出てこないというのが、致命的につまらない構図だし、湖に飛び込むのではなく、波に呑まれるというのがさらに受身な感じでイヤ。ボヤルチコフには、この件について小一時間問い詰めたい。せっかくドラマが盛り上がったところで、気が付いたら主人公たちがいないんだもの。

演出はさておき、公演は全体的なレベルが高く、ペレンの叙情性、シヴァコフの王子らしさ、シェミウノフのカッコよさ、そしてコールドの端正さ、このバレエ団の質の高さが伺えるいい公演だったと思う。ただし、オーケストラの音のバランスが著しく悪く、特に打楽器系が悪目立ちしたり、金管の音が変だったり、マールイのオーケストラとは思えないほどのひどさにはがっかり。アニハーノフ氏が帰国してしまって指揮がパブージンだったのが影響しているのだろうか。踊りそのものとは関係ないとはいえ、マールイを観る時には当然演奏にも大いに期待しているのだ。

それと観客の質の低さに集中力をそがれそうになった。黒鳥のパ・ド・ドゥのときですらおしゃべりをやめない人とか、4羽の小さな白鳥の時に手拍子をする人とか、携帯電話を鳴らす人とか、他の公演ではなかなかないような現象が起きていたのにはびっくり。おしゃべりをしている人は相当多かったようなので、始まる前や休憩時間には、携帯電話のほかおしゃべりも迷惑になりますという放送をしてもらう必要がありそうだ。

オデット/オディール イリーナ・ペレン
ジークフリード ミハイル・シヴァコフ
ロットバルト マラト・シェミウノフ
パ・ド・トロワ オリガ・ステパノワ イリーナ・コシェレワ アルチョム・プハチョフ
大きい白鳥 タチアナ・ミリツェワ アリョーナ・ヴィジェニナ エレーナ・フィルソワ マリーナ・バルエワ
2羽の白鳥 スヴェトラーナ・ロバノワ マリーナ・バルエワ

2007/02/01

Penのルーヴル美術館特集にバンジャマン・ペッシュ

本日発売の雑誌Penは1冊まるごとルーヴル美術館特集です。

http://pen.hankyu-com.co.jp/

そのなかで様々な美術の目利きに好きな作品を語らせているのですが、パリオペラ座のエトワール、バンジャマン・ペッシュも登場しています。
ペッシュ自身の写真はルーヴルの中に佇むカットが一枚だけですが、彼の愛する美術作品とインタビューは2ページにわたり掲載されています。

さすがにダンサーだけあって、美術の中の身体表現に注目しており、表現者としての深い洞察と美意識にあふれた素晴らしいチョイスです。

ジロデの「エンディミオンの眠り」は、「シルヴィア」に出てくるキャラクターですね。

サモトラケのニケや、アングルの大オダリスクは有名ですが、私もルーヴルでは必ず観る作品。
そして中でも彫刻をめぐるペッシュの言葉はさすが、という示唆に満ちたものです。知的で素敵な方ですね。

ABTのクレイグ・サルスタイン、ソリストに昇進

とても嬉しいニュースです。久しぶりのABTでの昇進は、笑顔のとてもかわいいクレイグ君 Craig Salsteinでした。個人的にも応援していたからすごく嬉しいです。

http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=179

クレイグは「ロミオとジュリエット」のマキューシオ、「マノン」の乞食のかしら、そして次のMETシーズンで久しぶりにレパートリーに復活する「真夏の夜の夢」でパックを踊ります。映像では、アンヘル・コレーラとジリアン・マーフィが共演した「白鳥の湖」のDVDで、ナポリをカルロス・ロペスと踊っています。

やや小柄でプロポーションには恵まれていませんが、いかにも人柄の良さそうな愛嬌あるアメリカンボーイ。「ファンシー・フリー」の水平役などはぴったりでした。ソリストで唯一のアメリカ人になりますね。コンテンポラリーで見せるアレグロの動きの的確さと音楽性、クラシックでの跳躍力、さらに演技力に優れた良いダンサーです。三つ子のうちの一人なんだそうです。

どうしても、超絶技巧派のプリンシパル、エルマン・コルネホと役柄がかぶりますが、これを機にエルマンには王子役に進出して欲しいですね。

それにしてもこんなに嬉しいニュースは久しぶりです!

1/30レニングラード国立バレエ「ジゼル」

最近いろいろな「ジゼル」の映像が手に入ってたので、見比べていると少しずつ違っていて、面白い。が、それにしてもルジマトフのアルブレヒト像というのは、異色のキャラクターである。

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(ジゼルの村娘衣装と、ウィリの衣装)

まだ若手といってもいいシェスタコワと並ぶと、さすがに年齢の差が大きい、って気がしてしまって、最初に舞台に登場したときには違和感を感じてしまった。しかも、あの独特の濃いメイクである。絶対村人なんかに見えないし、お貴族様オーラ出しまくり。しかも悲劇の主人公オーラも同時に出しているし。
でも、このルジマトフのアルベルトは、ジゼルにぞっこんなのだ。とても優しくて大人の男の人の余裕を見せている。だから、ヒラリオンがアルベルトの正体を暴き、思わず婚約者バチルドの手にくちづけをしてしまった時、唇をぬぐい、一生の不覚をしてしまったと気の毒になるくらい動転してしまうのだ。このあたりから、ルジ・ワールドが炸裂して最後まで続くからすごい。

シェスタコワのジゼルは素晴らしかった。彼女は金髪に均整の取れたスタイルで、村娘にするには少しきれいすぎるくらいなのだが、気立てがよく純情で、かつしっかりもののジゼルを好演。アルベルトと一緒にいられて幸せ~という気持ちが良く伝わってきただけに、狂乱のシーンではとてもかわいそうだった。珍しいことに、このシーンでジゼルは髪を解かない。大袈裟な演技はひとつも見せずに、少しずつ、少しずつ壊れていってついに理性が失われ、愛しいアルベルトの姿もわからなくなるほどになり果てて、死に至ってしまう。

シェスタコワ、踊りの方は、最初は少し本調子ではないのかしら、と思ったけど2幕に入ってからは絶好調。バランスもいいし、浮遊感があって空気のように軽かった。「海賊」の時も思ったけど足音をほとんどさせない、見事な着地。ウィリになってしまってからのジゼルは、完全に異界の存在であり、アルベルトへの想いだけが形となってあの姿になっているのだと思わせた。姿かたちは人間ではなく、愛ゆえにかろうじてウィリの姿になっているのだと。だから観ていると胸を締め付けられそうになる。

そのジゼルに魅入られたように森を彷徨うアルベルトは、全身悔恨の塊となっていて、ミルタへの命乞いも、命乞いというよりこの罪深い私を殺してください、とすら言っているように見えた。後半の死ぬまで踊らされそうになるところでは、本当にものすごく苦しそうで、それはルジマトフの体力的な問題もあるんだろうけど、すごく真に迫っていて。だけど素晴らしいのは、そのふらつきそうになる苦しそうな踊りであっても、形はあくまでも美しいこと。いったいナンなんだ、彼は。何でここまで、一つ一つのポーズや身体の軌跡に深い陰影とむせ返りそうなほどの色気が漂っているのか。ここまで来ると犯罪だ。ものすごく嗜虐心を駆り立てられてしまう。ジゼルがお墓の中に消えた後に、さらに苛まれ、お墓の上に突っ伏す姿までもが、どうしてここまで酔わせるほどの美しさがあるのだろうか。これぞ至芸というものだ。ルジマトフは老いと肉体的な衰えは否めないが、それを補うための個性と演技力が発揮できているのは、自分をちゃんとわかっているからだろう。

コール・ドはマールイということを考えるとちょっと疲れが出てきて、今一歩な感じ。その分、ソリストはなかなか良かったと思う。ミルタのステパノワは威厳と恐ろしさの中にもたまに見せる弱さや優しさが伝わってくるのが良かった。テクニック的には強靭そのもの。ヒラリオンのペトォオフは、脚のラインがほっそりとしていて、ヒラリオンの割にはちょっと男前過ぎるかもしれないけど、かなり押しが強い、同情心を起こさせにくいキャラクターで良かった。ウィルフリードのアレクセイ・マラーホフもかっこよくて、それでいて忠臣らしかった。ペザントのマスロボエフは、せっかくスタイルに恵まれているしテクニックもあるんだから、もう少し丁寧に踊ってほしかった。

オーエストラは、う~ん、マールイのオケと考えるとかなり落ちる。指揮者ホリコフの責任ではなく、大事なところでミスをする演奏者がいけない。ただ、音自体はさすがにいい音を出していた。

カーテンコールの時のスポットライトは薄暗い紫色で、その中に立ち、役から抜けきれないまま寄り添う二人の姿には、心を揺さぶられた。

ルジマトフの至芸を堪能し、幽玄で情感溢れるシェスタコワのジゼルに惹きつけられて、とても満足できた舞台だった。

ジセル    オクサーナ・シェスタコワ
アルベルト  ファルフ・ルジマトフ

森番ハンス     ロマン・ペトゥホフ
ペサント・パ・ド・ドゥ  タチアナ・ミリツェワ
             アンドレイ・マスロボエフ
バチルド      ナタリア・オシポワ
公爵        アンドレイ・ブレグバーゼ
ジセルの母     アンナ・ノボショーロワ
アルベルトの従者  アレクセイ・マラーホフ

ミルタ       オリガ・ステパノワ
ドゥ・ウィリー   スベトラーナ・ロバノワ
          エレーナ・カシチェーワ 

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