ABTパリ・ロンドン公演トピックス
パリ公演が終わったばかりのABTですが、予想通り?ダンソマニのフォーラムや批評家にはかなり酷評されており、特に「ラ・バヤデール」の影の王国のコール・ドは、メディアが集まった初日は無理なスケジュールによる時差ぼけ等もあったようでボロボロだったもようです。ニキヤ役のパロマ・ヘレーラも調子が悪かったよう。また、会場となったシャトレ座は伝統ある劇場ですが、いささか狭く、ABTのような大規模なカンパニーには不向きだったようです。傘下にバレエ学校を持たなかった(最近設立されたジャクリーヌ・オナシス・ケネディ・スクールはあるものの)ABTは、ダンサー育成に関して大きな弱点を持っています。
しかしその中でもやはり、「薔薇の精」「ファンシー・フリー」で活躍したエルマン・コルネホや、ホセ・カレーニョ、アンヘル・コレーラは高い評価を得ており、中でも小柄で身体能力に優れているテクニシャンタイプなのに、同時にエレガンスを持ちあわせているエルマンは絶賛されています。また、高いテクニックを持つジリアン・マーフィも、マリーヤ・アレクサンドロワやゼナイダ・ヤノウスキーと並ぶバレリーナだと評価されています。
パリ公演で復活を遂げたイーサン・スティーフェル、そしてパロマ・ヘレーラ、エルマン・コルネホらのインタビューが、Daily Telegraphに掲載されています。エルマンなどはアメリカン・バレエ・シアターというカンパニーは知らなかったけどそこのスターダンサーたちの名前は良く知っていたと語っていた、という具合に、やっぱりスターによるカンパニーなのですね。
14日からは16年ぶりのロンドン公演です。このTimesの記事によると、チケットの価格はサドラーズ・ウェルズでも前代未聞の高額、70ポンド(約16000円)だそうで。ABTのダンサーは一年のうち36週(約9ヶ月)しかカンパニーに雇われておらず、それ以外の時期はゲスト出演などで稼がないといけなかったり、公的な援助は経費のわずか1%しかまかなっていなかったりと、いろいろと興味深いことが書いてあります。
ところで、METシーズンに向けて公式サイトの写真も入れ替えられていますが、「ラ・バヤデール」のイメージ写真で、仏像の上に色っぽく横たわるヴェロニカ・パールトにはドキッとしてしまいました。アレッサンドラ・フェリのご主人ファブリッツィオ・フェリの撮影によるものです。
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