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« ローザンヌ国際バレエコンクールのファイナリスト発表 | トップページ | Domaniに吉田都さんのインタビュー »

2007/02/05

2/3スペイン国立ダンスカンパニー「バッハへのオマージュ」

鬼才ナチョ・ドゥアト率いるスペイン国立ダンスカンパニー、待望の初来日である。横浜で2公演のみというのがとてももったいない上、この時期なぜかバレエ公演がかぶりまくりで、本当は2日間通いたいところを翌日はマールイの「バヤデルカ」を観るので泣く泣く一日のみに。さらには新国立劇場の「眠れる森の美女」はパス。マイレンのブルーバードも観たかったよ~。

「バッハへのオマージュ~静けさと虚ろさのかたち」
振付:ナチョ・ドゥアト
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
衣装:ナチョ・ドゥアト
1999年ヨーロッパ文化都市ワイマール市との共同制作

第1部 マリティプリシティ
第2部 静けさと虚ろさのかたち

冒頭、暗い照明の下、ナチョ・ドゥアト本人が登場してプロローグ「ゴルドベルグ変奏曲」で踊る。彼は50歳ということだけど、とても立派な、存在感のある肉体をしているし、腕の波打つような動きが驚異的。ついでに大変なハンサムである。もう一人、バッハに扮したと思しき白いカツラと古典的な衣装の男性(アレハンドロ・アルヴァレス)が出てくる。次に、世俗カンタータ「墓を裂け、破れ、砕け」で大勢のダンサーたちが、ちょうちんブルマのような、短いスカート状の衣装を着けて登場。次の無伴奏チェロ組曲第1番では、バッハがチェロの弓を持ち、女性ダンサーの身体をチェロのように扱って弾く。女性ダンサーのほうもさまざまな形でオフバランスな踊りを見せて絶えず姿勢を変化させているので、バッハのほうも彼女の身体をコントロールするのがさぞかし大変だっただろう。ユーモラスで、ちょっとセクシーで面白い表現だ。歓びとしての音楽とダンスがここにある。

その後も、ヴァイオリンの弓を剣に見立てたような男性たちの踊りや、長いクラシックなスカート状の衣装(時には前が割れている)をつけた男女、白い仮面をつけた女性ダンサー(イネラ・ペレイラ)とバッハとの踊りなど、さまざまなバッハの曲をコラージュしていった2時間あまり。バッハが狂言回しのように、ずっと登場している。後ろの工事現場の足場のようなところをダンサーたちが歩いていたり、立体的な空間の使い方がうまい。また、ナチョといえば音楽性を非常に重視した振付が特徴的である。バランシンとはもちろん全然振付が違うにもかかわらず、音楽への合わせ方はバランシンを思わせる。音符にダンサーを合わせるのではなく、ダンサー自身が音楽そのものになっているのだ。動きは流麗で、タメを効かせつつも、とどまるところを知らない奔流のようだ。男性が女性をリフトしている時ですら、静止していることはほとんどない。特に重心を低くして、上半身を左右に曲げたりする動きが多い。オフバランスも多用していて、テクニック的には、非常に高度であると思われるし、ダンサーたちはナチョの世界観と音楽性、ユーモアまでも見事に体現していて、優れたカンパニーである。。日本人の秋山珠子さんも、もちろん大活躍。クラシックバレエ的な要素もあるので、バレエ好きにもとても楽しめる。ナチョ自身がデザインしているという衣装のセンスは、スペイン的でかつ古典的で深みのある色彩感覚が素敵。バッハなのに、バロック音楽なのに、まるで舞台からスペインの風が吹いてきているようで、どこか懐かしく温かい肌触り。

しかし白いマスクの女性は、死を象徴しているかのようでもあった。終盤にはユーモラスさは影を潜め、荘厳さと悲しみを内包していてドラマティックな幕切れへ。足場の上を歩いていくダンサーたちは、まるで「ラ・バヤデール」の影の王国のバヤデールたちのよう。

ラストはまたナチョ本人の踊りのリフレイン。彼の波打つ動きは、おおきなうねりを感じさせ、奇跡のようである。バッハは、ナチョ自身であり、彼自身によってダンサーが操られているかのような楽しい趣向。

全部で21曲もあったけれども、まったくだれることも飽きることもなく、もっともっと観ていたかった。ダンスを、音楽を観る喜びに満たされた宝石のような時間。映像でも繰り返し観たい傑作!そして早期の再来日を期待したい。新国立劇場でも、また彼の作品を取り上げてほしいものだ。

追記:韓国のLG Art Centerのページで、同会場で上演されるナチョ・ドゥアトの「Alas(Wings)の動画が1分だけですが観られます。6月6日~8日。以前にも書きましたがヴェンダーズの映画「ベルリン天使の詩」をモチーフにした作品です。日本でも上演してほしい。
http://www.lgart.com/2007/micro_eng/dance_04.html

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2007年2月4日(日) 神奈川県民ホール 大ホール ナチョ・ドゥアト率いるスペ [続きを読む]

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