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« 3月4日NHK芸術劇場 | トップページ | ゴールデン・バレエ・コー・スターの豪華出演者 »

2007/02/24

2/22日本バレエ協会「ジゼル」

「シェヘラザード」のゾベイダが素晴らしかった下村由理恵さんがジゼルを演じるということで、楽しみにしていた公演。しかも演出は由理恵さんのだんなさんである篠原聖一さんという。どんな世界が展開されるのかわくわくしていた。

由理恵さんのジゼルはかわいいのだけど、同時に落ち着いていて少し大人なところもあり。演技力、テクニックはさすがに申し分ない。ロイヤル系のメソッドなので、脚などはあまり高く上げないで品良く踊る。1幕から足音をまったくさせないこと。そして、背中~腕の使い方の美しさが印象的だった。特にアームスはまさにお手本のようにきれいに決まっている。
演技には定評のある由理恵さんなので、狂乱のシーンをどのように演じるかがとても興味深かったのだけど、やはり凄かった。最初はあまり派手に取り乱さず、いったい何が起きてしまったのか自分でもわかっていない風。まずは深い悲しみが襲ってきて、少しずつ歯車が狂っていって、そして一気に針が振り切れてしまった。途中からは自分がいったい何をやっているのか、目の前にいる人は誰なのかもわからなくなってしまっているのだけど、大袈裟でもなければ激しくもない。だけど、間違いなくイってしまっている。髪も最初から乱れているわけではなく、途中から自然に乱れていっているのが効果的。しまいにはアルブレヒトの剣で自分の胸を刺してしまい、それが致命傷になってしまうのだけど、それすらも、自殺しようという意識の元ではやっていないのだ。非常に印象的な演技だった。

遅沢さんは、とても長身で容姿がなかなか素敵なダンサー。テクニックもあるようで、ジュッテが非常に高い。日本人でプレイボーイを表現するのってなかなか難しいようで、海外で活躍している遅沢さんでもそうなのね、と思った。考えてみれば、お恥ずかしい話だけど日本人のアルブレヒトを見るのって初めてだったりする。日本のカンパニーの「ジゼル」でも、ジゼル役は日本人でもアルブレヒトだけ外国のゲストってことが多いのよね。とにかく遅沢さんのアルブレヒトは、お坊ちゃま風であまり遊びなれていなくて、けっこうジゼルとはマジ。だからバチルドが出てきた時の言い訳もすごく下手でかなり動揺しているし、ジゼルが狂ってしまった時には彼自身もめちゃめちゃ動転して、狂わんばかり。このあたりは篠原さんの演出の効果もあるのだけど、かなり異色な役作り。ジゼルが胸を刺した後で、彼もヒラリオンに剣を向けるのではなく。自分の胸を刺そうとするのだから。ジゼルが死んで彼女の遺体に取りすがるアルブレヒト、それをベルタが突き放し、ウィルフリードに支えられて去っていくというのが通常の演出。だけど、ここでは一旦去ったかに見えたアルブレヒトが、村人たちを掻き分けてジゼルの元に戻り、そこでへたり込んで号泣するのだ。情熱的というか、若いというか。なかなか面白い演出だったと思う。彼にとっては、ジゼルのことは決して遊びではなかったと言うわけだ。

2幕の演出もとても面白かった。いやはや篠原さんの「ジゼル」2幕は怖いよ。何しろミルタとウィリたちがめちゃめちゃ怖い!ピーター・ライト版のゾンビのようなウィリも怖かったけど、さらに恐ろしかった。まず、ジゼルの墓の前で号泣しているヒラリオンと墓堀人たち。そこへ、四隅から、白いヴェールをまとったウィリたちがヒラリオンを追い詰めるのだから。出たな化け物、って感じだ。ミルタの前田さんはとても上手な人なのでもちろん期待していたが、期待以上に凄かった。もうめちゃめちゃ怖いし、女王様というよりボスというか親玉というか。長身で細いというのもあるんだけど何よりメイクが怖い。。。眉毛がほとんどなくて、顔色も真っ青で、隈取のようなアイライン。そのメイクに負けないくらい演技が強烈だった。ウィリたちも、心底この親玉への畏敬の念があって、命令どおりに動きます、って感じ。踊りそのものはとても上半身が美しいし威厳があるし、良かったと思う。ドゥ・ウィリのキミホ・ハルバートさんのメイクも怖かった。ここのウィリはミルタに絶対服従でどんなことでもしでかしちゃうし人間らしさのかけらもないのが怖い。ヒラリオンもたっぷりといたぶって殺すし。ヒラリオンの沖潮隆之さん、とてもよく踊れる人で、ミルタへの懇願ぶりも必死で、良かった。ヒラリオンはいっぱいウィリにいじめられているところを観ないと、物足りないのだ(笑)
ウィリの皆様、バレエ協会という寄せ集め公演にしてはよく揃っていたと思う。ただ、最大の見せ場のひとつであるアラベスクのままでずんずん進んでいくところでは、時々後ろ足が低くなっている人がいたのが残念。

2幕の由理恵さんは、霊的というよりは生っぽいというか1幕の村娘ジゼルの部分をかなり残している役作り。アルブレヒトを守り抜こうという強い意志が見えた。情感はあるのだけど、アームスと背中が美しいので浮遊感はあって、こっちの世界とあっちの世界の中間に存在しているというのがよくわかる。スーブルソーではあまり背中を反らさないし、デヴロッペの脚もあまり高く上げない。だけどそうすることで、より生身の感情を残したジゼルという印象を植え付けられた。アルブレヒトに対して揺るぎのない包み込むような愛情を持っていて、最後にお墓へと消えていくところでも、最後まで彼に対する想いを残したまま、消えたくない、でも消えなくてはならないという締め付けられるような気持ちが表現できていたと思う。素晴らしかった。

遅沢さんのアルブレヒトは、長身なのでマント姿は似合っているのだけど、百合の花束の持ち方はもう少しなんとかしましょう。顔を花束に埋めようとしても、そこは茎だって!2幕で甘ちゃんダメダメ君の本性がとても出ていて、情けないまでにウィリたちにこてんぱんにやられている。お願い、助けて~って声が聞こえてきそう。だけど終盤踊らされるところは、まだ体力残っているように見えた。とてもよく踊れる人で、グリッサードもカブリオールも上手なのだけど、もう少し弱っている演技を頑張りましょう。ジゼルへの熱い想いは最後まで持っていて、一緒にお墓に入りかねない勢いで、若さを感じたわ。お墓に倒れこむ姿は絵になるし、たまにはこういうアルブレヒトもいいかも。

ペザント・パ・ド・ドゥの粕谷さんと青木さんも非常にテクニックがあったし、予想していたよりも全体的なレベルも高く、充実した公演だったと思う。中でもやはり由理恵さんの演技力と、怖い怖い前田さんのミルタは強烈だった。機会があればこの二人は観たいダンサーだ。

ジゼル:下村由理恵
アルブレヒト:遅沢佑介
ヒラリオン:沖潮隆之
ミルタ:前田新奈
ペザント・パ・ド・ドゥ:奥田花純、青木崇
ドゥ・ウィリ:石井美香、キミホ・ハルバート
振付:演出:篠原聖一
指揮:堤俊作

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コメント

naomiさんこんばんは。
感想とレポート興味深く読みました。
見応えのあった公演なのが伝わってきます。
これは見てみたかったな、と感じましたよ。
前田さんは新国立のリラで感動しましたが下村さんは未見なので次の機会を狙ってみます。

ほみさん、こんばんは。

相変わらずちょっと体調崩れ気味でお返事が遅れて申し訳ありません。
いい公演でしたよ~私も新国立や東京バレエ団以外の日本のバレエを見始めたのは割りと最近なのですが、いいダンサーはやっぱりいますね。
下村さんといえば、秋に小林恭バレエ団の「バフチサライの泉」に出演されるそうです。これがまたけっこう豪華なメンバーで、宮内真理子さん、黄凱さんも出るようで、絶対必見だと思って楽しみにしています。

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