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2007/02/04

2/1 レニングラード国立バレエ「白鳥の湖」

キャスト変更で一時王子役のシヴァコフがプハチョフに交代か!とちょっとした騒ぎになったこの公演。結局当初の予定通りシヴァコフが踊ることに。

1幕。ここの「白鳥の湖」を観るのは1年ぶり。前回は東京国際フォーラムAという巨大な会場で、2階席の一番前で観ていたのだけど、今回はオーチャードホールの前方、段差が出てくるあたり。わりと舞台の近くで観ると、衣装がとても美しいのがわかる。村人たちの群舞も良く揃っているし、男性ダンサーがみな脚が長くてきれい。パ・ド・トロワは、配られたキャスト表と変更があり、プハチョフ、ステパノワ、そしてコシュレワという主役クラスを揃えてきた。プハチョフの踊りは、今日の王子シヴァコフ以上に王子らしく、美しい脚に惚れ惚れとする。柔らかい踊りで実に端正だ。ステパノワもコシェレワも調子良さそうで、マリインスキーの白鳥のトロワよりも「私上手いでしょ」という過剰な自己アピールがなくて好感が持てる。と思ったら最後のキメの前に後方にジュッテ・アントルラッセするところで、ステパノワが思いっきり転倒。が、何事もなかったかのように立ち直って笑顔でポーズはさすが。

道化も王子の友人も出てこないので、ボヤルチコフ版白鳥は1幕1場が今ひとつ見せ場がないのだ。王妃役のズヴェズダナ・マルチナが大変な美人なのに驚いた。

<1幕2場>
湖畔に迷い込んだ王子。舞台の一番奥を通る白鳥たちは、通常はハリボテだったりすることが多いのだけど、こちらではコール・ドのダンサーたちが一人一人駆け抜けていく演出で、これは素敵だったと思う。そしてペレンのオデットが登場。ものすごく華奢で美しい容姿。腕といい、脚といい、ラインは完璧な曲線を描いている。アームスの動きも繊細で、白鳥の羽ばたきそのもの。ただ、とても美しいしこれといって欠点はないのだけど、際立った何かがないのが惜しいところ。これみよがしに脚を高く上げるといったいやらしさがないのはとても好ましいし、基本に忠実に丁寧に踊っている。ここにさらにペレンらしさが加わったら、この人は化けるんだろうな、と思った。
ボヤルチコフ版はセルゲイエフ版がベースなので、オデットがマイムで身の上を語る演出はなし。しかし、オデットの哀しい運命と儚さは、ペレンの踊りからしっかり伝わってきた。技術も表現力もあるんだから、あと何年か後の彼女が楽しみである。

シヴァコフの王子は、サポートはしっかりやっていた。2幕は、王子にはほとんど見せ場がないから。彼は容姿は本当にいいし、青二才っぽいところは白鳥の王子らしいので、これだけサポートができれば十分、ではある。コーダのフィニッシュは、マリインスキーのセルゲイエフ版と同じで、王子の膝の上でオデットがアティチュードをするというもの。
大きな白鳥は4人とも、とても良かったと思う。「ジゼル」ではマールイのコールドも悪くはないけどすごくいいわけでもないな、と思ったのだが、さすがに「白鳥」のコールドは素晴らしい。よく揃っているし足音も少ない。きれいだな~とぼーっと見入ってしまう。

ロットバルトのシェミウノフがすごくかっこよかった。長身細身で、シャープな踊りをする。ふわっとした跳躍が気持ちいいし、いかにも悪~な感じのメイクもよく似合っていた。

<2幕>
スペインが悪の手下というパターン。スペインのメンバーが、男性がリャブコフとアレクセイ・マラーホフでここも長身美脚コンビ。カッコいいです。ロシアのバレエ団のいいところは、キャラクターダンスがみんな様になっているところで、チャルダッシュもマズルカもナポリも見ごたえがあった。

が、ペレンのオディールはどうしたものだろう。オデットはすごくよかったのに、オディールは踊りがちょっと雑なのではないかしら。邪悪さはなく、光り輝く美しさで王子を圧倒するタイプである。たしかにとてもゴージャスで麗しい。視線の使い方もうまい。だけど、フェッテはとにかく張り切りすぎ。ダブルをいっぱい入れるのはいいんだけど、速く回ろうとするあまりぐらぐらと軸がぐらつくのはいただけない。もっと悪女の余裕を見せ付けてほしいところだ。コーダでは、ピケをするのが普通だと思うけど、その合間にジュッテも入れていて、テクニックはすごいわ~と関心はさせられた。シヴァコフは最初のヴァリエーションはこんなものか、という普通のレベルのものだったけど、コーダは高く跳んでいたし、着地はきれいな5番だし、よかったと思う。オディールに魅せられてとっても嬉しそうな感じがよく出ていた。それだけに、オディールの正体を知った時の落胆振りが痛ましく、何で自分はコロッとだまされて結婚の誓いなんかしてしまったんだろう、という自責の念が切ないほど伝わってきた。

3幕は、2羽の白鳥を踊ったロバノワとバルエワが良かった。特にロバノワは音楽性が豊かで、音符に忠実に優雅に舞っていた。ペレンのオデットは、とにかく哀しそうで哀しそうで、観ていて胸が痛むほど。そして許しを乞うシヴァコフの、心から悔いている様子。「白鳥の湖」というのは許しについての物語なんだな、と感じさせてくれた。白鳥たちも一緒に悲しんでいるのが良く伝わってくる。しかし、何回観てもオデットと王子が湖の底に沈んでそれで終わりという終わり方は、盛り上がらなくて良くないと思ってしまう。ラストシーンに主役二人が出てこないというのが、致命的につまらない構図だし、湖に飛び込むのではなく、波に呑まれるというのがさらに受身な感じでイヤ。ボヤルチコフには、この件について小一時間問い詰めたい。せっかくドラマが盛り上がったところで、気が付いたら主人公たちがいないんだもの。

演出はさておき、公演は全体的なレベルが高く、ペレンの叙情性、シヴァコフの王子らしさ、シェミウノフのカッコよさ、そしてコールドの端正さ、このバレエ団の質の高さが伺えるいい公演だったと思う。ただし、オーケストラの音のバランスが著しく悪く、特に打楽器系が悪目立ちしたり、金管の音が変だったり、マールイのオーケストラとは思えないほどのひどさにはがっかり。アニハーノフ氏が帰国してしまって指揮がパブージンだったのが影響しているのだろうか。踊りそのものとは関係ないとはいえ、マールイを観る時には当然演奏にも大いに期待しているのだ。

それと観客の質の低さに集中力をそがれそうになった。黒鳥のパ・ド・ドゥのときですらおしゃべりをやめない人とか、4羽の小さな白鳥の時に手拍子をする人とか、携帯電話を鳴らす人とか、他の公演ではなかなかないような現象が起きていたのにはびっくり。おしゃべりをしている人は相当多かったようなので、始まる前や休憩時間には、携帯電話のほかおしゃべりも迷惑になりますという放送をしてもらう必要がありそうだ。

オデット/オディール イリーナ・ペレン
ジークフリード ミハイル・シヴァコフ
ロットバルト マラト・シェミウノフ
パ・ド・トロワ オリガ・ステパノワ イリーナ・コシェレワ アルチョム・プハチョフ
大きい白鳥 タチアナ・ミリツェワ アリョーナ・ヴィジェニナ エレーナ・フィルソワ マリーナ・バルエワ
2羽の白鳥 スヴェトラーナ・ロバノワ マリーナ・バルエワ

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