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« ミラノ・スカラ座来日公演詳細決定 | トップページ | ABTのクレイグ・サルスタイン、ソリストに昇進 »

2007/02/01

1/30レニングラード国立バレエ「ジゼル」

最近いろいろな「ジゼル」の映像が手に入ってたので、見比べていると少しずつ違っていて、面白い。が、それにしてもルジマトフのアルブレヒト像というのは、異色のキャラクターである。

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(ジゼルの村娘衣装と、ウィリの衣装)

まだ若手といってもいいシェスタコワと並ぶと、さすがに年齢の差が大きい、って気がしてしまって、最初に舞台に登場したときには違和感を感じてしまった。しかも、あの独特の濃いメイクである。絶対村人なんかに見えないし、お貴族様オーラ出しまくり。しかも悲劇の主人公オーラも同時に出しているし。
でも、このルジマトフのアルベルトは、ジゼルにぞっこんなのだ。とても優しくて大人の男の人の余裕を見せている。だから、ヒラリオンがアルベルトの正体を暴き、思わず婚約者バチルドの手にくちづけをしてしまった時、唇をぬぐい、一生の不覚をしてしまったと気の毒になるくらい動転してしまうのだ。このあたりから、ルジ・ワールドが炸裂して最後まで続くからすごい。

シェスタコワのジゼルは素晴らしかった。彼女は金髪に均整の取れたスタイルで、村娘にするには少しきれいすぎるくらいなのだが、気立てがよく純情で、かつしっかりもののジゼルを好演。アルベルトと一緒にいられて幸せ~という気持ちが良く伝わってきただけに、狂乱のシーンではとてもかわいそうだった。珍しいことに、このシーンでジゼルは髪を解かない。大袈裟な演技はひとつも見せずに、少しずつ、少しずつ壊れていってついに理性が失われ、愛しいアルベルトの姿もわからなくなるほどになり果てて、死に至ってしまう。

シェスタコワ、踊りの方は、最初は少し本調子ではないのかしら、と思ったけど2幕に入ってからは絶好調。バランスもいいし、浮遊感があって空気のように軽かった。「海賊」の時も思ったけど足音をほとんどさせない、見事な着地。ウィリになってしまってからのジゼルは、完全に異界の存在であり、アルベルトへの想いだけが形となってあの姿になっているのだと思わせた。姿かたちは人間ではなく、愛ゆえにかろうじてウィリの姿になっているのだと。だから観ていると胸を締め付けられそうになる。

そのジゼルに魅入られたように森を彷徨うアルベルトは、全身悔恨の塊となっていて、ミルタへの命乞いも、命乞いというよりこの罪深い私を殺してください、とすら言っているように見えた。後半の死ぬまで踊らされそうになるところでは、本当にものすごく苦しそうで、それはルジマトフの体力的な問題もあるんだろうけど、すごく真に迫っていて。だけど素晴らしいのは、そのふらつきそうになる苦しそうな踊りであっても、形はあくまでも美しいこと。いったいナンなんだ、彼は。何でここまで、一つ一つのポーズや身体の軌跡に深い陰影とむせ返りそうなほどの色気が漂っているのか。ここまで来ると犯罪だ。ものすごく嗜虐心を駆り立てられてしまう。ジゼルがお墓の中に消えた後に、さらに苛まれ、お墓の上に突っ伏す姿までもが、どうしてここまで酔わせるほどの美しさがあるのだろうか。これぞ至芸というものだ。ルジマトフは老いと肉体的な衰えは否めないが、それを補うための個性と演技力が発揮できているのは、自分をちゃんとわかっているからだろう。

コール・ドはマールイということを考えるとちょっと疲れが出てきて、今一歩な感じ。その分、ソリストはなかなか良かったと思う。ミルタのステパノワは威厳と恐ろしさの中にもたまに見せる弱さや優しさが伝わってくるのが良かった。テクニック的には強靭そのもの。ヒラリオンのペトォオフは、脚のラインがほっそりとしていて、ヒラリオンの割にはちょっと男前過ぎるかもしれないけど、かなり押しが強い、同情心を起こさせにくいキャラクターで良かった。ウィルフリードのアレクセイ・マラーホフもかっこよくて、それでいて忠臣らしかった。ペザントのマスロボエフは、せっかくスタイルに恵まれているしテクニックもあるんだから、もう少し丁寧に踊ってほしかった。

オーエストラは、う~ん、マールイのオケと考えるとかなり落ちる。指揮者ホリコフの責任ではなく、大事なところでミスをする演奏者がいけない。ただ、音自体はさすがにいい音を出していた。

カーテンコールの時のスポットライトは薄暗い紫色で、その中に立ち、役から抜けきれないまま寄り添う二人の姿には、心を揺さぶられた。

ルジマトフの至芸を堪能し、幽玄で情感溢れるシェスタコワのジゼルに惹きつけられて、とても満足できた舞台だった。

ジセル    オクサーナ・シェスタコワ
アルベルト  ファルフ・ルジマトフ

森番ハンス     ロマン・ペトゥホフ
ペサント・パ・ド・ドゥ  タチアナ・ミリツェワ
             アンドレイ・マスロボエフ
バチルド      ナタリア・オシポワ
公爵        アンドレイ・ブレグバーゼ
ジセルの母     アンナ・ノボショーロワ
アルベルトの従者  アレクセイ・マラーホフ

ミルタ       オリガ・ステパノワ
ドゥ・ウィリー   スベトラーナ・ロバノワ
          エレーナ・カシチェーワ 

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

ほんとによかった。
ジゼルとシェスタコワ大好きなのでそれだけでもうれしいのにほんとに良いもの見られて大感激。

そう、1幕前半はただ踊ってるって感じがしちゃいました。。。
狂乱当たりからシェスタコワ、心がしっかり入ってきて2幕、もう妖精そのものでしたね。

アルブレヒトの振付(というか演出)換えることできないのかしらね。ジゼルが死んでいるのに自分だけは命乞いして助かりたいというの変ですよねー ましてやルジさまのように愛があふれかえっているアルベルトならなおさら。

もう一回見たかった。。

ずずさん、
そう、シェスタコワは本当に優れたバレリーナだと思うわ。演技力もあるしね。精霊そのものになりきっていました。
ジゼルの原台本、私も読み直してみます。アルブレヒトはどう思っていたんだろう。
私ももう一度観たかった!

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