マリインスキー・オペラ、リムスキー=コルサコフ「サトコ」
お正月に台北に行った際。国家戯劇院という国立の劇場に立ち寄った。いかにも中国的でとても立派な建物である。2週間ほど前にあったマリインスキー・バレエの台北公演もここで行われたという。その中にある書店は、バレエ関係のDVDが割りと充実していて、日本で見かけないものもかなり置いてあった。ただし大部分はリージョンが3である。ジョフリー・バレエの「緑のテーブル」があったのでほしかったのだけど、同行している家人が私がDVDを買うといい顔をしないので、まずは先に目に付いたマリインスキ-・オペラの「Sadko(サトコ)」を買った。私はオペラはとても疎いのだけど、リムスキー=コルサコフ作曲のゲルギエフ指揮、マリインスキー・バレエのバレエつきということで面白そうだと思って買ったのだ。
さて、「サトコ」とはどんな話かというと、ロシア版の「浦島太郎」である。その美声により大金持ちとなったグースリ(琴のようなロシアの民族楽器)弾きサトコの話。サトコは海外交易を行うために船団を組んで大海原を渡る途中、海王の求めにより海底王国へ行く。国では王女ヴォルホヴァが待ち受けており、サトコと結婚することになるが、二人を祝う大饗宴の中で現れた聖人の幻影の声により王国は姿を消し、地上に戻ったサトコは妻と仲間達と再会するってわけ。
で、実際見てみると、サトコを演じるおっさんが、海底で「ファラオの娘」に出てくるホタテ王そっくりの王様に迎えられ、美声を披露し、王女(歌っている人は東洋系の顔立ちをしている)と結婚させされ、その宴のシーンにバレエダンサーたちが登場して踊るのだ。これがまた、なんとも珍妙な振付で、「ファラオの娘」でゆらゆら踊っているお兄さんたちの踊りにちょっと近いかもしれない。バレエを目当てに見ると、ちょっとあちゃー、である。人数だけはたくさん出てくるけど。
でも、さすが海洋モノが得意なリムスキー=コルサコフだけあって、音楽は非常にドラマティック、起伏が豊かで良い。歌っている人たちも実力は十分だし、ゲルギエフの指揮も、バレエの時みたいな振りとあっていないぞ、というところがなくて気合入りまくり。ロシア的エキゾチックな香りが漂う良い作品になっていると思う。
ところで、ロシアのバレエ団情報さんで知ったのですが、2月12日(月)~18日(日)の7日間、8公演にわたって マリインスキー劇場 「第3回マスレニツァ・フェスティバル」というのが開催され、2月13日には、「サトコ」も上演されるようです。
http://www.mariinsky.ru/en/afisha/20070213
DVDと同じプロダクションのようですね。
このフェスティバルはオペラだけでなく、バレエも上演されます。
プログラムはこちら。
http://www.mariinsky.ru/en/afisha/fest224/maslenitsa
さて、この「サトコ」ですが、日本でもアマゾンとHMVが扱っているのでDVDはそちらで買えます。ってゆうか台湾より安いんですけど。興味がある方はぜひ。リージョン1とありますが、私が買ったのはALLでした。HMVが扱っていることからも、ALLの可能性が高いと思います。ただしバレエだけを目当てにするんだったら、ちょっとがっかりするかも。オペラとしては見ごたえも聴き応えもあります。ゲルギエフの熱い(熱すぎる)マエストロぶりも堪能できます。なんだかんだ言って、結構気に入ってしまいました。
ディスクの詳細についてはHMVのほうが詳しく書いてあるのでそちらをご覧ください。
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オペラ「サトコ」の紹介、ありがとうございました。
正直、オペラのストーリーは知らないモノが多いので、なるほど~と、とても勉強になりました。
DVDも台湾で購入するより、アマゾンの方が安いなんてビックリ!
アマゾンでプライスを見たら、(わたし的には(笑))決して「安い」値段じゃないのに…。
投稿: ユーラ | 2007/01/08 13:19
ユーラさん、いつも貴重な情報をありがとうございます。こちらのマスレニツァ・フェスティバルも、ユーラさんのブログがなければ知りえなかったわけで。勝手に情報を引用してしまってすみません。
私も、このDVDを見かけるまでは、当然「サトコ」という演目自体知らなかったのですよね。定番の演目だけではなく、こういう変わったものも日本で観られるといいのですが。
今年、来年はイーゴリ公が1回ずつ見られるのが楽しみです。
DVDは、HMVの方がお安いですね。台湾は、今円安なので買い物をしても結構高くついちゃうんです。このDVDも、アマゾンのは台湾とほぼ同じお値段って感じです。
投稿: naomi | 2007/01/09 03:04