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« 小林十市、ベジャールを語る(その1) | トップページ | アエラの現代の肖像に首藤康之さん »

2007/01/22

映画「オーロラ」

ニコラ・ル・リッシュが準主役、パリ・オペラ座全面協力、ということでバレエファンを客層の中心と想定した作品ではあるけど、そのバレエファンの皆様からの受けがとても悪いので、前売り券を持っていたにもかかわらず観るのを躊躇していたら、観るのが遅くなってしまいました。ちなみにシャンテ・シネは1月26日まで、Bunkamuraル・シネマは2月9日までの上映。

http://www.aurore.jp/

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踊ることを禁じられている国の王女、オーロラは踊るのが大好き。しかし国の財政は傾き、国を救うために16歳のオーロラは政略結婚を強いられる。ところが彼女が恋した相手は、名もなき画家だった・・・。

ってあらすじだけど、結局なぜこの国では踊ることが禁じられているのかが最後までわからなかった。重要な設定なのにその説明がないのはちょっと問題があるのではないか?圧倒的な気品と美しさのキャロル・ブーケ扮する王妃も結婚する前は踊りの名手だったのに、王と結婚するために踊りをあきらめたということになっているから、なおのこと、この設定についてはきちんと説明すべきである。

おとぎ話でありファンタジーなのに、光や色彩の設計が間違っている作品だ。お話自体はけっこう暗いのだけど、その現実を忘れるための、オーロラの夢の世界は光に溢れ、色鮮やかでなければならないと思う。なのに、冒頭の屋外でオーロラがのびのびと踊るシーンでも、濁っていて光と色彩に乏しい魅力のない映像になってしまっている。せっかくロケーションはとても美しいのに。終盤の雲の上のシーンですら、空の上なのに色あせたような光量が足りない世界で、地上の悲しみとの対比がうまくいっていない。各国の王子が自国自慢の踊りを見せるところも、とにかくライティングが暗く、宮廷の華やかな踊りという感じがしなくて寒々しい。

現代のお話ではないから、室内のシーンが暗かったりする分には問題はないと思うのだけど、映像に重厚さもないから、なんだかチープに見えてしまう。それに最後の飛翔シーンのCG、これはひどい。

さらにはカメラワークにも大いに問題がある。踊りを見せるのにダンサーの上半身だけを映してどうする。特に雲の上のシーンでは、雲が足元をすっかり覆ってしまっているので足先が全然見えない。カロリン・カールソンによる振付だから完全なクラシックバレエではないけれども、クラシックのダンサーを起用した意味がまったくなくなってしまう。

ダンスのシーンで言えば、見せ場は二つ。カデル・ベラルビ演じるアブダラ王子の国の踊り。振付もべラルビが行ったという。メーンのダンサーを務めたマリ=アニエス・ジロの凛々しいカッコよさと肉体美にうならされる。彼女にかしづくブベニチェク兄弟はちょっとしか映らないけれども、一応判別可能。もう少しジロ中心のカメラにしてほしかったが、ジロのただならぬ踊り手としての実力は十分わかる。この後に出てくるシパンゴ国の暗黒舞踊は、まあ悪い冗談でしょう。

それと、前述の雲の上での踊り。それまで一切踊るシーンがなくて、ニコラを起用した意味はいったいなんだったんだろうか、と思ってしまったがここで本領発揮。素晴らしいトゥール・ザン・レールやマネージュを見せてくれて、エトワールの貫禄ここにあり、と思わせた。それだけに、雲で足先が見えないのが残念。オーロラのマルゴ・シャトリエはまだオペラ座学校の生徒だから、ニコラと渡り合うのはちょっと難しそうだったが、初々しくお姫様らしい魅力はあるからいいのでは。

よくよく考えてみると本当に救いのないお話である。王様は自らどんどん不幸に孤独になる道を選んで、いったい何がしたかったんだろう・・。後味もあまりよくない。

だけど、実のところ前評判ほど悪いとも思わなかった。踊りたい、というオーロラの強い想いだけはちゃんと伝わってきているし、マルゴもその部分はちゃんと表現しているから。ただし、物語の中盤でいろいろな悲劇が襲ってきた後、その悲しみを突き抜けて大人の女性へと成長していくところをもっと見せてほしかったと思う。ふぁんたじーが主体のこの物語では、それは難しかったか。ダンサーも本物だけが持つ吸引力がある人たちを使っているから、その部分は見ごたえがある。そして、キャロル・ブーケ。出番はそんなに多くないけど、年を重ねてなお美しさを増している彼女を観られて良かった。先日逝去されたダニエル・シュミット監督の「デ・ジャ・ヴュ」での彼女の美しさたるや、世界でも1,2を争うほどだったけど、50歳の今もこんなにきれいだなんて。

以下は雑談です。
オーロラととても仲のよい、ここまで仲良いなら何かあるんじゃないかと思ってしまうくらいの弟ソラル役の子がすごく可愛い。でもキャスト紹介には載っていないの。3人目の王子を演じたヤン・ブリダールが、あまりにもよい人過ぎて、かなり気の毒。オーロラも、この人と結婚していれば幸せだったかもしれないのにね。

それと、前売り券を劇場で買うと、その劇場でしか観られない券を売ってきた。友達と一緒に観ようねって約束したのに、別々の劇場でしか使えないので、一緒に観られなかったのがすごく残念。だって、この映画、見終わった後で突っ込みを入れまくるのが楽しかっただろうに、と思わせたもの。

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コメント

こんばんわ。
先日は拙blogにコメントありがとうございました。
こちらはよく拝見しておりましたがコメントさせていただくのは初めてです。
この「オーロラ」は内容を聞いてとても楽しみにしていました。
仰るとおりなぜ踊ることが御法度なのか・・・・が最大の肝だし、それで物語が膨らむと思うのですが。

とはいえ劇場はともかくDVDになったら買ってしまうかもしれません。最近は映像作品で購入して枝葉末節を捏ねくりまわすのが好きなのです。
最初から長くなってすみません。
またお邪魔すると思いますので、よろしくお願いいたします。

Fさん、こんにちは。いつも楽しい貴サイトにお邪魔させていただいています~
「オーロラ」はヒロインのマルゴちゃんはとても可愛くて、彼女を見ているだけでも楽しめますよ。お話はホント他愛ないというかしょうもないですが、DVDで家族や友達と突っ込みながら見ると楽しいと思います!
これからもどうぞよろしく!

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